JP2014052430A - 黒色硬化性樹脂組成物およびそれを用いたプリント配線基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の黒色硬化性樹脂組成物は、(A)アミン系触媒で(メタ)アクリロイル化した感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)着色剤とを含有し、前記(E)着色剤は、(E1)青色着色剤と、(E2)黄色着色剤と、(E3)赤色着色剤とを含有することを特徴とするものである。
【選択図】なし
Description
そこで、例えば黒色のソルダーレジスト膜を形成する材料として、カルボキシル基含有樹脂に配合される着色剤が、黒色着色剤と、黒色着色剤以外の1種以上の着色剤であるソルダーレジスト組成物が提案されている(特許文献1)。また、カルボキシル基含有樹脂に配合される着色剤が、黄色着色剤と紫色着色剤、黄色着色剤と青色着色剤と赤色着色剤、緑色着色剤と紫色着色剤、及び緑色着色剤と赤色着色剤の群から選択されたいずれかの組合せとすることにより黒色化した黒色ソルダーレジスト組成物が提案されている(特許文献2)。
また、近年のプリント配線基板の微細化の要求に伴い、露光装置の中でも散乱光露光装置では、散乱光によりパターンのライン寸法が大きくなってしまうという問題(寸法精度の問題)を解決することが困難になっている。そのため、高い寸法精度が求められる場合には、平行光露光装置が用いられるようになっている。しかし、平行光露光装置では、寸法精度の問題は改善するものの、ライン寸法が小さくなるためにライン残りが劣化してしまう。そのため、平行光露光装置にて、黒色のソルダーレジスト膜を形成する場合には、解像性の中でも特にライン残りが問題となる。
上記特許文献1、2に記載のソルダーレジスト組成物は、平行光露光装置にて露光した場合における解像性が十分なものではなく、黒色の色調の濃さと解像性とを両立できるものではなかった。
すなわち、本発明の黒色硬化性樹脂組成物は、(A)アミン系触媒で(メタ)アクリロイル化した感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)着色剤とを含有し、前記(E)着色剤は、(E1)青色着色剤と、(E2)黄色着色剤と、(E3)赤色着色剤とを含有することを特徴とするものである。
本発明のプリント配線基板は、前記黒色硬化性樹脂組成物をプリント配線基板に塗布して得られることを特徴とするものである。
本発明に用いる(A)アミン系触媒で(メタ)アクリロイル化した感光性樹脂は、多官能エポキシ樹脂のエポキシ基とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とをアミン系触媒下にて反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートに対し、多塩基酸または多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂である。ここで、多官能エポキシ樹脂を(メタ)アクリロイル化する際の触媒として、アミン系触媒以外を用いる場合には、得られる黒色硬化性樹脂組成物において、黒色の色調の濃さと解像性とを両立させることができない。
前記アミン系触媒の使用量は、前記多官能エポキシ樹脂の固形分に対して10質量ppm以上500質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以上200質量ppm以下であることがより好ましい。使用量が前記下限未満では、触媒としての安定した機能が得られにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、エステル化の反応が速くなり過ぎ、ゲル化を起こしやすい傾向にある。
本発明に用いる(B)光重合開始剤としては、例えば、オキシム系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐メチル‐1‐〔4‐(メチルチオ)フェニル〕‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルが挙げられる。これらの光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(B)光重合開始剤の配合量は、前記(A)成分100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下であることが好ましく、8質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
本発明に用いる(C)希釈剤は、例えば、反応性希釈剤である光重合性モノマーであり、感光性樹脂の光硬化を十分にして、耐酸性、耐熱性、耐アルカリ性などを有する硬化物を得るために使用する。この光重合性モノマーとしては、例えば、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの光重合性モノマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記光重合性モノマーの配合量は、前記(A)成分100質量部に対して、2質量部以上40質量部以下であることが好ましく、10質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
前記有機溶媒を用いる場合、前記有機溶媒の配合量は、前記(A)成分100重量部に対して、40重量部以上500重量部以下であることが好ましい。
本発明に用いる(D)エポキシ化合物は、硬化物の架橋密度を上げて、十分な機械的強度を有する硬化塗膜を得るためのものである。前記(D)エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型やビスフェノールS型エポキシ樹脂、さらにシクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどのトリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(D)エポキシ化合物の配合量は、硬化後に十分な機械的強度の硬化塗膜を得るという観点から、前記(A)成分100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、20質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。
本発明に用いる(E)着色剤は、(E1)青色着色剤と、(E2)黄色着色剤と、(E3)赤色着色剤とを含有するものである。ここで、(E1)青色着色剤、(E2)黄色着色剤および(E3)赤色着色剤のうちのいずれかが欠ける場合には、得られる黒色硬化性樹脂組成物において、黒色の色調の濃さと解像性とを両立させることができない。
また、(E)着色剤中のおける(E1)青色着色剤、(E2)黄色着色剤および(E3)赤色着色剤の質量比率((E1)成分:(E2)成分:(E3)成分)は、硬化塗膜の色調を漆黒に近づけるという観点から、35〜45質量%:15〜25質量%:35〜45質量%であることが好ましい。
前記(E)着色剤としては、前記(E1)成分〜(E3)成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲において、他の着色剤(黒色、緑色など)を適宜配合することができる。
本発明に用いる(E1)青色着色剤としては、例えば、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系の顔料が挙げられる。この青色着色剤の具体例としては、下記に示すようなカラーインデックス番号のものが挙げられる。
Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 60
これらの青色着色剤の中でも、黒色の濃さおよび色具合の調整が容易で漆黒性を出し易いという観点からフタロシアニン系の顔料が好ましい。これらの青色着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(E1)青色着色剤の配合量は、解像性を維持しつつ、硬化物の赤味を抑えて漆黒性を出すという観点から、前記(A)成分100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
本発明に用いる(E2)黄色着色剤としては、例えば、アントラキノン系、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系などの顔料または染料が挙げられる。この黄色着色剤の具体例としては、下記に示すようなカラーインデックス番号のものが挙げられる。
アントラキノン系:Solvent Yellow 163, Pigment Yellow 24, Pigment Yellow 108, Pigment Yellow 193, Pigment Yellow 147, Pigment Yellow 199, Pigment Yellow 202
モノアゾ系:Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 9, 10, 12, 61, 62, 62:1, 65, 73, 74, 75, 97, 100, 104, 105, 111, 116, 167, 168, 169, 182, 183
ジスアゾ系:Pigment Yellow 12, 13, 14, 16, 17, 55, 63, 81, 83, 87, 126, 127, 152, 170, 172, 174, 176, 188, 198
縮合アゾ系:Pigment Yellow 93, Pigment Yellow 94, Pigment Yellow 95, Pigment Yellow 128, Pigment Yellow 155, Pigment Yellow 166, Pigment Yellow 180
ベンズイミダゾロン系:Pigment Yellow 120, Pigment Yellow 151, Pigment Yellow 154, Pigment Yellow 156, Pigment Yellow 175, Pigment Yellow 181
イソインドリノン系:Pigment Yellow 110, Pigment Yellow 109, Pigment Yellow 139, Pigment Yellow 179, Pigment Yellow 185
これらの黄色着色剤の中でも、黒色の濃さおよび色具合の調整が容易で漆黒性を出し易いという観点からアントラキノン系の顔料が好ましい。これらの黄色着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(E2)黄色着色剤の配合量は、解像性を維持しつつ、硬化物の紫味を抑えて漆黒性を出すという観点から、前記(A)成分100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
本発明に用いる(E3)赤色着色剤としては、例えば、モノアゾ系、ジスアゾ系、モノアゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などの顔料または染料が挙げられる。この赤色着色剤の具体例としては、下記に示すようなカラーインデックス番号のものが挙げられる。
モノアゾ系:Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 12, 14, 15, 16, 17, 21, 22, 23, 31, 32, 112, 114, 146, 147, 151, 170, 184, 187, 188, 193, 210, 245, 253, 258, 266, 267, 268, 269,C.I.Pigment Orange 38
ジスアゾ系:Pigment Red 37, 38, 41
モノアゾレーキ系:Pigment Red 48:1, 48:2, 48:3, 48:4, 49:1, 49:2, 50:1, 52:1, 52:2, 53:1, 53:2, 57:1, 58:4, 63:1, 63:2, 64:1, 68
ベンズイミダゾロン系:Pigment Red 171, Pigment Red 175, Pigment Red 176, Pigment Red 185, Pigment Red 208,C.I.Pigment Orange 36,C.I.Pigment Orange 64
ペリレン系:Solvent Red 135, Solvent Red 179, Pigment Red 123, Pigment Red 149, Pigment Red 166, Pigment Red 178, Pigment Red 179, Pigment Red 190, Pigment Red 194, igment Red 224
ジケトピロロピロール系:Pigment Red 254, Pigment Red 255, Pigment Red 264, Pigment Red 270, Pigment Red 272,C.I.Pigment Orange 71,C.I.Pigment Orange 73
縮合アゾ系:Pigment Red 220, Pigment Red 144, Pigment Red 166, Pigment Red 214, Pigment Red 220, Pigment Red 221, Pigment Red 242,C.I.pigment Brown 23
アンスラキノン系:Pigment Red 168, Pigment Red 177, Pigment Red 216, Solvent Red 149, Solvent Red 150, Solvent Red 52, Solvent Red 207
キナクリドン系:Pigment Red 122, Pigment Red 202, Pigment Red 206, Pigment Red 207, Pigment Red 209. Pigment Violet 19
その他の系:C.I.Pigment Orange 5(ナフトール系),C.I.Pigment Orange 34(ジアリル系),C.I.Pigment Orange 13(ジアリル系),C.I.Pigment Orange 61(イソインドリノン系),C.I.Pigment Orange 43(ペリノン系)
これらの赤色着色剤の中でも、黒色の濃さおよび色具合の調整が容易で漆黒性を出し易いという観点からペリレン系の顔料が好ましい。これらの赤色着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(E3)赤色着色剤の配合量は、解像性を維持しつつ、硬化物の黒色の色調をさらに濃くするという観点から、前記(A)成分100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
((A)成分)
感光性樹脂A:下記合成例1で得られる感光性樹脂A
((B)成分)
光重合開始剤A:2−メチル1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノープロパン−1−オン、商品名「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
光重合開始剤B:2,4−ジエチルチオキサントン、商品名「SPEEDCURE DETX」、日本シイベルヘグナー社製
((C)成分)
反応性希釈剤:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、商品名「アロニックスM400」、東亜合成社製
((D)成分)
エポキシ化合物A:トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、商品名「TEPIC−HP」、日産化学工業社製
エポキシ化合物B:ビスフェノールAノボラック型固形エポキシ樹脂、商品名「エピコート157S70」、ジャパンエポキシレジン社製
((E1)成分〜(E3)成分)
青色着色剤:フタロシアニン系の青色顔料、商品名「リオノールブルーFG−7351」、東洋インキ製造社製
黄色着色剤:アントラキノン系の黄色顔料、商品名「クロモフタロイエローAGR」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
赤色着色剤:ペリレン系の赤色顔料、商品名「Paliogen red K3580」、BASFジャパン社製
(他の成分)
感光性樹脂B:下記合成例2で得られる感光性樹脂B
黒色着色剤:カーボン、商品名「アセチレンブラック」、電気化学工業社製
体質顔料A:シリカ、商品名「ミニュシル5ミクロン」、エア・ブラウン社製
体質顔料B:シリカ、商品名「ACEMATT OK412」、エボニック デグザ ジャパン社製
体質顔料C:硫酸バリウム、商品名「硫酸バリウムB−30」、堺化学工業社製
体質顔料D:含水ケイ酸マグネシウム、商品名「LMS−200」、富士タルク工業社製
体質顔料E:シリカ、商品名「エロジール♯380」、日本アエロジル社製
潜在性硬化剤:2,4,6トリアミノー1,3,5トリアジン、商品名「メラミン」、日産化学工業社製
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:213、商品名「エピクロンN−680」、DIC社製)213質量部、アクリル酸72質量部、ハイドロキノン0.1質量部、ジメチルベンジルアミン(アミン系触媒)0.025質量部を、カルビトールアセテート120質量部を溶媒として還流下に温度110〜120℃で8時間反応させ(エポキシ樹脂の(メタ)アクリロイル化)、エステル化反応により酸価が2以下になったことを確認した。次いで、無水テトラヒドロフタル酸76質量部を加え、温度110〜120℃で反応させた。赤外線吸収スペクトル分析により波数1850cm−1の酸無水物の吸収がなくなったことを確認し、反応を終了させた。この時点で酸価50mgKOH/g、平均分子量8000のカルボン酸付加エポキシアクリレート樹脂を主とする感光性樹脂Aを得た。なお、感光性樹脂Aの固形分は75質量%である。
エポキシ樹脂の(メタ)アクリロイル化の反応での触媒として、ジメチルベンジルアミン0.025質量部に代えてナフテン酸クロム(金属クロム3質量%)0.4質量部を用いた以外は合成例1と同様にして、酸価50mgKOH/g、平均分子量8000のカルボン酸付加エポキシアクリレート樹脂を主とする感光性樹脂Bを得た。なお、感光性樹脂Bの固形分は75質量%である。
感光性樹脂A100質量部、光重合開始剤A8質量部、光重合開始剤B0.5質量部、反応性希釈剤14質量部、エポキシ化合物A10質量部、エポキシ化合物B10質量部、青色着色剤1質量部、黄色着色剤0.5質量部、赤色着色剤1質量部、体質顔料A2質量部、体質顔料B2質量部、体質顔料C60質量部、体質顔料D6質量部、体質顔料E1質量部、および潜在性硬化剤2質量部を容器に投入し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールを用いて室温にて混合し分散させて、黒色硬化性樹脂組成物を調製した。
また、回路パターン形成したガラスエポキシ基板(FR−4)を、希硫酸(3質量%)により表面処理した後、スクリーン印刷法にて、黒色硬化性樹脂組成物を塗布後、BOX炉にて80℃で20分の予備乾燥を行った。予備乾燥後、塗膜上に平行光露光装置(アドテック社製)にて200mJ/cm2露光した後、30℃、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて現像後、BOX炉にて150℃で60分のキュアを行ってガラスエポキシ基板上に黒色硬化性樹脂組成物の硬化塗膜を形成し、試験片(プリント配線基板)を作製した。硬化塗膜の厚みは20μmであった。
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、黒色硬化性樹脂組成物を得た。
また、得られた黒色硬化性樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、試験片(プリント配線基板)を作製した。硬化塗膜の厚みはそれぞれ20μmであった。
黒色硬化性樹脂組成物の評価(解像性、透過率、密着性、はんだ耐熱性、色調)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。
(1)解像性(ライン残り)
試験片における所定のフォトマスク(ライン寸法が30μmから130μmまで、10μmづつ変化するパターンがあるもの)を介して形成した部分の残存ラインを目視にて確認、評価した。残存ラインのうち最もライン寸法が小さいものを、解像性(ライン残り)の数値(単位:μm)とする。
(2)透過率
試験片(硬化塗膜を形成したガラスエポキシ基板)について波長400nmの光の透過率を測定し、別途測定したガラスエポキシ基板単体の波長400nmの光の透過率をベースラインに用いることで、硬化塗膜の透過率を測定した。透過率の測定には、UV分光光度計U−3310(日立ハイテクノロジー社製)を使用した。
(3)密着性
JIS K5600−5−6に記載の方法に準拠して試験片の密着性を評価した。具体的には、試験片の導体箔がある部分に1mmの碁盤目100個(10個×10個)を設け、セロハンテープによるピーリング試験(剥離試験)を行い、碁盤目の剥離状態を目視により観察し、以下の基準に従って評価した。
○:剥離が認められない碁盤目が、100個中90個以上である。
△:剥離が認められない碁盤目が、100個中50個以上90個未満である。
×:剥離が認められない碁盤目が、100個中50個未満である。
(4)はんだ耐熱性
JIS C−6481に記載の方法に準拠して試験片のはんだ耐熱性を評価した。具体的には、試験片を260℃のはんだ槽に30秒間浸漬後、セロハンテープによるピーリング試験をすることを1サイクルとし、このサイクルを1〜3回繰り返した後の硬化塗膜の状態を目視により観察し、以下の基準に従って評価した。
◎:3サイクル繰り返し後も硬化塗膜に変化が認められない。
○:3サイクル繰り返し後の硬化塗膜にほんの僅か変化が認められる。
△:2サイクル繰り返し後の硬化塗膜に変化が認められる。
×:1サイクル繰り返し後の硬化塗膜に剥離が認められる。
(5)色調
試験片の色調を目視により観察し、以下の基準に従って評価した。
◎:黒色の色調が濃く、かつ漆黒に近い。
○:黒色の色調が濃い。
×:黒色以外の色であるか、或いは黒色の色調が薄い。
また、実施例1の結果から、(E)着色剤中のおける(E1)青色着色剤、(E2)黄色着色剤および(E3)赤色着色剤の質量比率((E1)成分:(E2)成分:(E3)成分)が、40質量%:20質量%:40質量%とすると、解像性を維持しつつ、硬化塗膜の色調を漆黒に近づけることができることが確認された。
Claims (3)
- (A)アミン系触媒で(メタ)アクリロイル化した感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)着色剤とを含有し、
前記(E)着色剤は、(E1)青色着色剤と、(E2)黄色着色剤と、(E3)赤色着色剤とを含有する
ことを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物。 - 請求項1に記載の黒色硬化性樹脂組成物において、
前記(A)アミン系触媒で(メタ)アクリロイル化した感光性樹脂は、多官能エポキシ樹脂のエポキシ基とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とをアミン系触媒下にて反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートに対し、多塩基酸または多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂である
ことを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物。 - 請求項1または請求項2に記載の黒色硬化性樹脂組成物をプリント配線基板に塗布して得られることを特徴とするプリント配線基板。
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