JP2014041861A - インプリント装置およびインプリント方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インプリント装置1を、モールドを保持するためのモールド保持部2と、基材を保持するための基材保持部4と、樹脂の液滴を吐出するインクジェットヘッド7を有する液滴供給部6と、インクジェットヘッド7から予備吐出された樹脂の液滴を受容するインク受容部材8と、を少なくとも備えたものとし、基材保持部4を、モールド保持部2と離接可能である転写位置とインクジェットヘッド7から樹脂の液滴の供給を受ける液滴供給位置との間で移動可能とし、基材保持部4に保持される基材に樹脂の液滴を供給する状態のインクジェットヘッド7とモールド保持部2との間の空間、および、インク受容部材8の近傍の空間の少なくとも一方に排気口が存在する排気部10を備えるものとする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、高精度のパターン構造体の形成が可能なインプリント装置とインプリント方法を提供することを目的とする。
また、インプリント装置の第3発明は、第1発明の前記モールド保持部が、前記基材保持部に対向し転写を行う転写位置と、該転写位置から離れて待機するモールド待機位置との間を移動可能であるような構成とした。
また、インプリント装置の第6発明は、第4発明の前記基材保持部が、前記モールド保持部に対向し転写を行う転写位置と、該転写位置から離れて待機する基材待機位置との間を移動可能であるような構成とした。
また、インプリント装置の第7発明は、第1発明〜第6発明の前記排気部の排気口が、前記インク受容部材に連結される位置にも存在するような構成とした。
また、インプリント装置の第8発明は、第1発明〜第7発明の前記インクジェットヘッドが、前記インク受容部材の上方のヘッド待機位置と前記液滴供給位置との間を移動可能であるような構成とした。
また、インプリント装置の第9発明は、第2発明の前記インク受容部材が、前記基材保持部と共に移動可能であり、前記基材保持部が前記転写位置にあるときに、前記インクジェットヘッドの下方に位置するような構成とした。
また、インプリント装置の第10発明は、第1発明〜第9発明の前記インクジェットヘッドと前記排気口との距離が常に一定となるように、前記排気管が移動可能、あるいは、前記排気管が前記インクジェットヘッドと連動可能であるような構成とした。
また、本発明のインプリント方法では、基材上に供給された液滴、および/または、インク受けに吐出された液滴からの揮発成分やミストが、モールドや基材に付着することが防止され、高精度のパターン構造体を安定して製造することができる。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
図1は本発明のインプリント装置の一実施形態を示す側面図であり、図2は図1に示されるインプリント装置の平面図である。図1、図2において、本発明のインプリント装置1は、モールド101を保持するためのモールド保持部2と、基材111を保持するための基材保持部4と、基材111上に光硬化性樹脂の液滴を吐出するインクジェットヘッド7を備えた液滴供給部6と、インクジェットヘッド7から予備吐出された樹脂の液滴を受容するためのインク受容部材8と、排気部10とを備えている。
本発明のインプリント装置では、モールド保持部2と基材保持部4とインクジェットヘッド7は相対的な位置を変更可能とされており、図示例のインプリント装置1では、基材保持部4が、モールド保持部2に対向し転写を行う転写位置と、保持する基材111にインクジェットヘッド7から樹脂の液滴の供給を受ける液滴供給位置との間を移動可能とされている。
インプリント装置1を構成するモールド保持部2は、凹凸構造領域102を有する面を基材保持部4方向に向けてモールド101を保持するものである。このモールド保持部2は、例えば、吸引による保持機構、機械挟持による保持機構、静電気による保持機構等によりモールド101を保持するものであり、保持機構には特に制限はない。
インプリント装置1を構成する基材保持部4は、インプリント用の基材111を保持するものであり、例えば、吸引による保持機構、機械挟持による保持機構、静電気による保持機構等により基材111を保持可能とされている。図示例では、基材保持部4は、液滴供給部6のインクジェットヘッド7から樹脂の液滴の供給を受ける液滴供給位置にある。この基材保持部4は、この液滴供給位置と、モールド保持部2に対向し転写を行う転写位置(図1において二点鎖線で示される位置(モールド保持部2下方の位置))との間を、図示されるx方向で往復移動可能とされている。このようなモールド保持部2と基材保持部4の図示されるz方向での離接、x方向での基材保持部4の往復移動は、図示しない駆動機構部によって行われる。モールド保持部2と基材保持部4の離接は、モールド保持部2または基材保持部4の一方の駆動、あるいは、双方の駆動のいずれにより行うものであってもよい。また、駆動機構部は、液滴供給位置にて液滴供給部6のインクジェットヘッド7からの液滴の供給を受ける際に、所望の位置に液滴の供給を受けることを目的として、インクジェットヘッド7と連動し、図示のx方向にて基材保持部4の位置を制御するものであってもよい。
また、インプリント装置1を構成する液滴供給部6は、基材保持部4に保持された基材111上に樹脂の液滴(図示せず)を供給するものであり、インクジェット装置(図示例ではインクジェットヘッド7のみを示している)を備えている。図示例では、液滴供給部6のインクジェットヘッド7は、基材保持部4に保持された基材111上に樹脂の液滴を供給する液滴供給位置にある。液滴供給部6が備えるインクジェット装置は、この液滴供給位置にて基材111上に樹脂の液滴を供給するためのインクジェットヘッド7の所望の動作、例えば、図2に示されるy方向での往復動作、あるいは、このy方向の往復動作とx方向の往復動作を組み合わせた動作等を可能とする駆動部、インクジェットヘッド7へのインク供給部、および、インクジェットヘッド7と駆動部やインク供給部を制御する制御部等を具備している。また、液滴供給部6は、このような液滴供給位置とヘッド待機位置(図1において二点鎖線で示される位置)との間を、図1に示されるx方向でインクジェットヘッド7の往復移動を可能としている。
インプリント装置1を構成するインク受容部材8は、インクジェットヘッド7のヘッド待機位置の下方に位置しており、インクジェットヘッド7の吐出性能維持を目的としてヘッド待機位置で定期的に予備吐出(捨て打ち、フラッシングとも呼ばれる)される液滴を受容するものであり、例えば、所望の形状の開口部を有する有底容器を備えている。また、このような有底容器の底部に多孔質体を備えるものであってもよく、これにより液滴の受容性が向上する。多孔質体としては、無機あるいは有機の公知の多孔質体、布等、液滴の成分により溶解、劣化しない材料からなるものであれば、特に制限はない。
(排気部10)
さらに、インプリント装置1を構成する排気部10は、インクジェットヘッド7から吐出された樹脂の液滴からの揮発成分、ミストを除去して、モールド101や基材111、インプリント装置1の構成部材への無用な付着を防止するものである。尚、本発明においてミストとは、インクジェットヘッドを発生源とした液滴で、意図せずに装置内に漂うものを意味する。このようなミストを構成する液滴とは、インクジェットヘッドから意図して吐出したものの、基材上、モールド上、インク受容部材などの意図した所定位置に着弾しなかった液滴や、主滴の後に形成される微小な液滴(一般にサテライトと呼ばれる)や、インクジェットヘッドのノズル面に溜まった液がインクジェットヘッドの動作により振り落とされたりして生じた液滴など、意図せずに生じた液滴を含む。
これにより、モールド保持部2が配設されている転写位置から排気管11Aの排気口11a方向への気流が発生し、液滴供給位置にあるインクジェットヘッド7から基材111上に吐出された樹脂の液滴からの揮発成分やミストが、モールド保持部2の方向へ拡散してモールド101等に付着することが防止される。排気管11Aの配設位置は、図示例に限定されものではなく、したがって、図示例よりも下方、例えば、基材保持部4の往復移動経路よりも下方側に位置してもよいが、好ましくは基材保持部4の往復移動経路に対してモールド保持部2が配置された側と同じ側に配設されるとよい。これにより、モールド101等への樹脂の液滴からの揮発成分やミストの付着防止効果を向上させることができるからである。
さらに、排気管11Cは、インク受容部材8に予備吐出された樹脂の液滴からの揮発成分やミストがインク受容部材8の外部に拡散するのを抑制する。特に、上記のようにインク受容部材8の底部に多孔質体を備える場合、液滴の表面積が増大し、インク受容部材8の周囲から排気口11cへの気流により揮発しやすくなり、排気管11Cへ送り込みやすくなる。
このような排気部10は、各排気管11A,11B,11Cからの排気能力を個々に調整可能であってもよい。例えば、各排気管11A,11B,11Cと排気ポンプとの間にそれぞれ流量調整弁を設け、これらの流量調整弁を制御して、例えば、排気管11A,11Bからの排気流量を大きく、排気管11Cからの排気流量を小さくしてもよく、また、流量調整弁を閉じて所望の排気管からの排気を随時停止してもよい。さらに、排気部10は、排気管11A,11B,11Cにより排気した樹脂の揮発成分やミストを回収するトラップ装置を具備するものであってよい。また、インプリント装置1をチャンバー内に配置し、排気した樹脂の揮発成分やミストをチャンバーの外部に排出するものであってもよく、さらに、チャンバーの外部に排気した樹脂の揮発成分やミストを回収するトラップ装置を具備するものであってよい。
尚、排気口11aの垂直方向の位置は、図1に示される例では、モールド保持部2に保持されているモールド101とインクジェットヘッド7とを結ぶ線と略一致しているが、これに限定されるものではなく、上述の転写位置から排気管11Aの排気口11a方向への気流が発生し、樹脂の液滴からの揮発成分やミストが、モールド保持部2の方向へ拡散してモールド101等に付着することが防止される機能が発現される範囲内で、垂直方向での位置設定が許容される。したがって、排気口11aが存在するインクジェットヘッド7とモールド保持部2との間の空間とは、平面的な空間ではなく、水平方向と垂直方向に拡がる立体的な空間である。そして、この空間内であれば、例えば、水平方向位置および垂直方向位置が異なるように排気口11aを複数箇所に設定することができる。また、複数箇所に配置した排気口11aの排気能力を排気口ごとに変えてもよい。例えば、モールド保持部2に近接した排気口の排気能力を、樹脂液滴を供給するインクジェットヘッド7に近接した排気口の排気能力よりも高くすることで、樹脂液滴の供給に支障を与えないようにしつつ、モールド101等への液滴からの揮発成分やミストの付着を防止することができる。
排気管11Cの排気口11cは、図示例では、インク受容部材8の底部の中央に形成したスリット形状であるが、これに限定されず、例えば、インク受容部材8の底部の全域に形成した複数の円形排気口等であってもよい。尚、排気口11cからの排気は、インプリント装置が稼働している間、常時行うことが好ましいが、ヘッド待機位置にあるインクジェットヘッド7からの予備吐出が行われる間のみの排気としてもよい。
そして、インプリント装置1′では、上記のように、インク受容部材8′が基材保持部4と共に移動可能とされている。したがって、基材保持部4が液滴供給位置にあるとき(図3(A))は、インク受容部材8′は液滴供給位置の外側に位置している。また、基材保持部4が転写位置にあるとき(図3(B))は、インク受容部材8′はインクジェットヘッド7の下方に位置するように設定されている。そして、インクジェットヘッド7のヘッド待機位置は、このインク受容部材8′の上方となり、インク受容部材8′はインクジェットヘッド7から予備吐出される樹脂の液滴を受容可能な状態にある。
このインプリント装置1′では、インクジェットヘッド7を液滴供給位置の外側(図面の右方向)に移動させる機構はないが、インクジェットヘッド7の点検、整備等のために、上述のインプリント装置1のようにインクジェットヘッド7を液滴供給位置の外側に移動させる機構を具備していてもよい。
このような本発明のインプリント装置1,1′は、インクジェットヘッド7から吐出される液滴からの揮発成分、ミストを排気部10により除去することができ、モールド101や基材111、インプリント装置1,1′の構成部材への無用な付着を防止することができ、パターン構造体を高い精度で製造可能である。
また、上述のインプリント装置1,1′では、液滴供給位置にあるインクジェットヘッド7とモールド保持部2との間の空間に存在する排気部10の排気管11Aが、上方への排気を行うように配設されているが、例えば、ミストが沈降し易い場合では、図5(A)に示されるように、下方への排気を行うように排気管11Aを配設してもよい。この場合、排気部10の排気管11Aは、液滴供給位置における基材保持部4の動作に支障を来さないように、配設位置、形状を設定する。排気部10の排気管11Aが基材保持部4の移動の妨げとなる場合、基材保持部4が液滴供給位置から転写位置に移動する際に、図5(B)に示されるように、基材保持部4の移動の妨げとならない位置まで降下可能とすることが好ましい。
本発明のインプリント装置では、モールド保持部22と基材保持部24とインクジェットヘッド27は相対的な位置を変更可能とされており、図示例のインプリント装置21では、モールド保持部22は、基材保持部24に対向し転写を行う転写位置と、当該転写位置から離れて待機するモールド待機位置との間を移動可能とされている。
インプリント装置21を構成するモールド保持部22は、上述のインプリント装置1を構成するモールド保持部2と同様のモールド保持機構を備えるものであってよく、図示例では、モールド待機位置にある。そして、モールド保持部22は、このモールド待機位置と、基材保持部24に対向し転写を行う転写位置(図6において二点鎖線で示される位置)との間を、図示されるx方向で往復移動可能とされている。尚、モールド保持部22は、例えば、上記のx方向と直交するy方向において転写位置とモールド待機位置との間を往復移動可能であってもよい。
インプリント装置21を構成する基材保持部24は、上述のインプリント装置1を構成する基材保持部4と同様の基材保持機構を備えるものであってよい。この基材保持部24は、液滴供給部26のインクジェットヘッド27から樹脂の液滴の供給を受ける液滴供給位置に配設されており、この液滴供給位置は上記の転写位置でもある。このような基材保持部24と上記のモールド保持部22の図示されるz方向での離接、x方向でのモールド保持部22の往復移動は、図示しない駆動機構部によって行われる。モールド保持部22と基材保持部24の離接は、モールド保持部22または基材保持部24の一方の駆動、あるいは、双方の駆動のいずれにより行うものであってもよい。また、駆動機構部は、液滴供給位置にて液滴供給部26のインクジェットヘッド27からの液滴の供給を受ける際に、所望の位置に液滴の供給を受けることを目的として、インクジェットヘッド27と連動し、図示のx方向にて基材保持部24の位置を制御するものであってもよい。
インプリント装置21を構成する液滴供給部26は、上述のインプリント装置1を構成する液滴供給部6と同様の構成であってよい。図示例では、液滴供給部26のインクジェットヘッド27は、液滴供給位置にあり、この液滴供給位置とヘッド待機位置(図6において鎖線で示される位置)との間を、図6に示されるx方向およびy方向で往復移動可能とされている。尚、ヘッド待機位置の設定箇所は、図示例に限定されるものではなく、例えば、液滴供給位置に対して図示のx方向と直交するy方向においてヘッド待機位置を設定してもよい。
インプリント装置21を構成するインク受容部材28は、上述のインプリント装置1を構成するインク受容部材8と同様の構成であってよく、インクジェットヘッド27のヘッド待機位置の下方に位置している。
さらに、インプリント装置21を構成する排気部30は、液滴供給位置にあるインクジェットヘッド27とモールド待機位置にあるモールド保持部22との間の空間に排気口31aが存在する排気管31A、インク受容部材28に隣接する位置に排気口31bが存在する排気管31B、および、インク受容部材28の底部に連結される位置に排気口31cが存在する排気管31Cと、これらの排気管31A,31B,31Cと接続された排気ポンプ(図示せず)を備えている。そして、排気ポンプの作動により、排気管31Aから図6の鎖線矢印方向への上方排気が行われ、排気管31B,31Cから図6の鎖線矢印方向への下方排気が行われる。
また、液滴供給位置から排気管31Bの排気口31b方向への気流が発生し、ヘッド待機位置にあるインクジェットヘッド27からインク受容部材28に予備吐出された樹脂の液滴からの揮発成分やミストが、液滴供給位置やモールド待機位置方向へ拡散して基材111やモールド101等に付着することが防止される。
さらに、排気管31Cは、インク受容部材28に予備吐出された樹脂の液滴からの揮発成分やミストがインク受容部材28の外部に拡散するのを抑制する。特に、インク受容部材28の底部に多孔質体を備える場合、液滴の表面積が増大し、インク受容部材28の周囲から排気口31cへの気流により揮発しやすくなり、排気管31Cへ送り込みやすくなる。
排気管31Aの排気口31aからの排気は常時行ってもよいが、モールド保持部22がモールド待機位置から転写位置に移動した後のインプリント動作時に所望の気体を転写位置に供給する場合には、基材111への樹脂液滴の供給が完了した後、排気口31aからの排気を停止することが好ましい。また、排気管31Bの排気口31bからの排気は、インプリント装置が稼働している間、常時行うことが好ましいが、ヘッド待機位置にあるインクジェットヘッド27からの予備吐出が行われる間のみの排気としてもよい。さらに、排気管31Cの排気口31cからの排気は、インプリント装置が稼働している間、常時行うことが好ましいが、ヘッド待機位置にあるインクジェットヘッド27からの予備吐出が行われる間のみの排気としてもよい。
このような本発明のインプリント装置21は、インクジェットヘッド27から吐出される液滴からの揮発成分、ミストを排気部30により除去することができ、モールド101や基材111、インプリント装置21の構成部材への無用な付着を防止することができ、パターン構造体を高い精度で製造可能である。
上述のインプリント装置の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、ミストが沈降し易い場合には、下方への排気を行うように排気管31Aを配設してもよい。
本発明のインプリント方法は、液滴供給工程、接触工程、硬化工程、離型工程を有している。そして、液滴供給工程におけるモールドとインクジェットヘッドとの間の空間で行われる第1排気操作、および、インクジェットヘッドからインク受けに光硬化性樹脂の液滴が予備吐出されたときに当該インク受けの近傍の空間で行われる第2排気操作、の少なくとも一方の排気操作を行うものである。
このような本発明のインプリント方法を、上述の本発明のインプリント装置1を使用した場合を例として図7を参照しながら説明する。尚、図7では、基材とモールドのみを示し、インプリント装置1は図示していない。
<液滴供給工程>
本発明では、まず、液滴供給工程で、液滴供給位置にある基材保持部材4に保持されているインプリント用の基材111上の所望の領域に、液滴供給部6のインクジェットヘッド7から光硬化性樹脂の液滴51を吐出して供給する(図7(A))。
基材111は適宜選択することができ、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板、金属基板、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってよい。また、例えば、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等の所望のパターン構造物が形成されたものであってもよい。
本発明のインプリント装置1を使用した本発明のインプリント方法では、排気部10の排気ポンプを作動させ、排気管11Aから図1の鎖線矢印方向への上方排気を行うことにより、モールド101とインクジェットヘッド7との間の空間において第1排気操作を行うことができる。これにより、液滴供給位置にあるインクジェットヘッド7から基材111上に吐出された樹脂の液滴からの揮発成分やミストが、転写位置方向へ拡散してモールド101等に付着することが防止できる。
次に、接触工程にて、基材保持部4を液滴供給位置から転写位置に移動させ、モールド保持部2と基材保持部4とを近接させ凹凸構造を備えたモールド101と基材111を近接させて、このモールド101と基材111との間に樹脂の液滴51を展開して光硬化性樹脂層52を形成する(図7(B))。
図示例では、モールド101は凸構造部位を有するメサ構造であり、凹凸構造領域102は凸構造部位に位置している。このようなモールド101の材質は適宜選択することができるが、光硬化性樹脂層を硬化させるための照射光が透過可能な透明基材を用いて形成することができ、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。モールド101の厚みは凹凸構造の形状、材料強度、取り扱い適性等を考慮して設定することができ、例えば、300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができる。尚、モールド101はメサ構造を具備しないものであってもよい。
次いで、硬化工程で、モールド101側から光照射を行い、光硬化性樹脂層52を硬化させて、モールド101の凹凸構造が転写された転写樹脂層55とする(図7(C))。この硬化工程では、基材111が光を透過する材料であれば、基材111側から光照射を行ってもよく、また、基材111とモールド101の両側から光照射を行ってもよい。
この硬化工程においても、上記の第2排気操作を行い、これにより、インク受容部材8に予備吐出された樹脂の液滴からの揮発成分やミストが、液滴供給位置や転写位置へ拡散して基材111やモールド101等に付着することを防止することができる。
次に、離型工程にて、転写樹脂層55とモールド101を引き離して、転写樹脂層55であるパターン構造体61を基材111上に位置させた状態とする(図7(D))。
この剥離工程においても、上記の第2排気操作を行い、これにより、インク受容部材8に予備吐出された樹脂の液滴からの揮発成分やミストが、液滴供給位置や転写位置へ拡散して基材111やモールド101等に付着することを防止することができる。
上述の本発明のインプリント方法では、液滴供給工程におけるモールドとインクジェットヘッドとの間の空間で行われる第1排気操作、および、インクジェットヘッドからインク受けに光硬化性樹脂の液滴が予備吐出されたときにインク受けの近傍の空間で行われる第2排気操作、の少なくとも一方の排気操作を行うので、基材上に供給された液滴、および/または、インク受けに吐出された液滴からの揮発成分やミストが、モールドや基材に付着することが防止され、高精度のパターン構造体を安定して製造することができる。
また、液滴供給工程の前に、予備吐出を行うことでインクジェットヘッドの吐出状態を確認するとともに安定化させておきたい場合にも、第2排気操作を実施しながら予備吐出を行うことが好ましい。
上述のインプリント方法の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述の第1排気操作と第2排気操作の一方のみを行うものであってもよい。また、液滴供給工程において、第1排気操作とともに第2排気操作も行い、液滴供給工程から離型工程までの全工程において第2排気操作を行うものであってもよい。
[実施例1]
本発明の実施例では、図4に示すような構成の本発明のインプリント装置を使用した。このインプリント装置では、液滴供給位置にある基材保持部とモールド保持部との間隔は約250mmであり、液滴供給位置にて基材に液滴を供給する状態のインクジェットヘッドとモールド保持部との間隔は約300mmであり、基材保持部とインク受容部材との間隔は300mmであった。そして、モールド保持部から150mmの距離に図4の排気管11Aに相当する排気管を配設し、この排気管は、基材保持部の幅と同じ長さのスリット形状の排気口を備えるものとした。また、インク受容部材に隣接させて図4の排気管11Bに相当する排気管を配設し、この排気管は、インク受容部材の一部を囲むようなL字形状の排気口を備えるものとした。また、インク受容部材の底部に図4のスリット形状の排気口11cに相当する排気口を設け、この排気口に排気管を接続し、さらに、排気口を覆うようにインク受容部材の底部に多孔質体としての布材を配設した。
このインプリント装置のモールド保持部にモールド(外形150mm×150mm)を装着し、また、基材保持部に基材としてシリコン基板(直径150mm)を装着した。
尚、第1排気操作の排気流量は1.0m3/分、第2排気操作の排気流量は1.0m3/分、インク受容部材の排気口からの排気流量は0.3m3/分とした。
本実施例では、モールドを用いたインプリントを行わず、上記の予備吐出が完了するまで転写位置にモールドとシリコン基板を放置してミスト等の付着が生じ得る状態を維持した。
以上の操作を完了したシリコン基板とモールドを直ちに基材保持部から取り出し、表面に存在する異物を、異物検出器を用いて検出し、粒径別に結果(3枚のシリコン基板、3個のモールドでの検出結果の平均値)を下記の表1、表2に示した。
第1排気操作と第2排気操作を行い、インク受容部材の排気口からの排気を行わなかった他は、実施例1と同様の操作を行い、シリコン基板表面、モールド表面に存在する異物を実施例と同様に検出して、結果を下記の表1、表2に示した。
第1排気操作とインク受容部材の排気口からの排気を行い、第2排気操作を行わなかった他は、実施例1と同様の操作を行い、シリコン基板表面、モールド表面に存在する異物を実施例と同様に検出して、結果を下記の表1、表2に示した。
第2排気操作とインク受容部材の排気口からの排気を行い、第1排気操作を行わなかった他は、実施例1と同様の操作を行い、シリコン基板表面、モールド表面に存在する異物を実施例と同様に検出して、結果を下記の表1、表2に示した。
第1排気操作のみを行い、第2排気操作とインク受容部材の排気口からの排気を行わなかった他は、実施例1と同様の操作を行い、シリコン基板表面、モールド表面に存在する異物を実施例と同様に検出して、結果を下記の表1、表2に示した。
第2排気操作のみを行い、第1排気操作とインク受容部材の排気口からの排気を行わなかった他は、実施例1と同様の操作を行い、シリコン基板表面、モールド表面に存在する異物を実施例と同様に検出して、結果を下記の表1、表2に示した。
第1排気操作および第2排気操作を行わず、インク受容部材の排気口からの排気のみを行った他は、実施例1と同様の操作を行い、シリコン基板の表面に存在する異物を実施例と同様に検出して、結果を下記の表1、表2に示した。
2,22…モールド保持部
4,24…基材保持部
6,6′,26…液滴供給部
7,27…インクジェットヘッド
8,8′,28…インク受容部材
10,30…排気部
11A,11B,11C,31A,31B,31C…排気管
11a,11b,11c,31a,31b,31c…排気口
101…モールド
111…基材
Claims (12)
- モールドを保持するためのモールド保持部と、基材を保持するための基材保持部と、樹脂の液滴を吐出するインクジェットヘッドを有する液滴供給部と、該インクジェットヘッドから予備吐出された樹脂の液滴を受容するインク受容部材と、を少なくとも備え、
前記基材保持部と前記モールド保持部と前記インクジェットヘッドは相対的な位置を変更可能であり、
前記基材保持部に保持される基材に樹脂の液滴を供給する状態の前記インクジェットヘッドと前記モールド保持部との間の空間、および、前記インク受容部材の近傍の空間の少なくとも一方に排気口が存在する排気部を備えることを特徴とするインプリント装置。 - 前記基材保持部は、前記モールド保持部に対向し転写を行う転写位置と、保持する基材に前記インクジェットヘッドから樹脂の液滴の供給を受ける液滴供給位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
- 前記モールド保持部は、前記基材保持部に対向し転写を行う転写位置と、該転写位置から離れて待機するモールド待機位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
- モールドを保持するためのモールド保持部と、基材を保持するための基材保持部と、樹脂の液滴を吐出するインクジェットヘッドを有する液滴供給部と、該インクジェットヘッドから予備吐出された樹脂の液滴を受容するインク受容部材と、を少なくとも備え、
前記モールド保持部と前記基材保持部と前記インクジェットヘッドは相対的な位置を変更可能であり、
前記モールド保持部に保持されるモールドに樹脂の液滴を供給する状態の前記インクジェットヘッドと前記基材保持部との間の空間、および、前記インク受容部材の近傍の空間の少なくとも一方に排気口が存在する排気部を備えることを特徴とするインプリント装置。 - 前記モールド保持部は、前記基材保持部に対向し転写を行う転写位置と、保持するモールドに前記インクジェットヘッドから樹脂の液滴の供給を受ける液滴供給位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
- 前記基材保持部は、前記モールド保持部に対向し転写を行う転写位置と、該転写位置から離れて待機する基材待機位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
- 前記排気部の排気口が、前記インク受容部材に連結される位置にも存在することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のインプリント装置。
- 前記インクジェットヘッドは、前記インク受容部材の上方のヘッド待機位置と前記液滴供給位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のインプリント装置。
- 前記インク受容部材は、前記基材保持部と共に移動可能であり、前記基材保持部が前記転写位置にあるときに、前記インクジェットヘッドの下方に位置することを特徴とする請求項2に記載のインプリント装置。
- 前記インクジェットヘッドと前記排気口との距離が常に一定となるように、前記排気管が移動可能、あるいは、前記排気管が前記インクジェットヘッドと連動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のインプリント装置。
- 基材上の所望の領域にインクジェットヘッドから光硬化性樹脂の液滴を吐出して供給する液滴供給工程と、
モールドと前記基材を近接させて、前記モールドと前記基材との間に前記液滴を展開して光硬化性樹脂層を形成する接触工程と、
光照射を行い前記光硬化性樹脂層の所望領域を硬化させて前記凹凸構造が転写された転写樹脂層とする硬化工程と、
前記転写樹脂層と前記モールドを引き離して、前記転写樹脂層であるパターン構造体を前記基材上に位置させた状態とする離型工程と、を有し、
前記液滴供給工程における前記モールドと前記インクジェットヘッドとの間の空間で行われる第1排気操作、および、前記インクジェットヘッドからインク受けに光硬化性樹脂の液滴が予備吐出されたときに該インク受けの近傍の空間で行われる第2排気操作、の少なくとも一方の排気操作を行うことを特徴とするインプリント方法。 - モールド上の所望の領域にインクジェットヘッドから光硬化性樹脂の液滴を吐出して供給する液滴供給工程と、
前記モールドと基材を近接させて、前記モールドと前記基材との間に前記液滴を展開して光硬化性樹脂層を形成する接触工程と、
光照射を行い前記光硬化性樹脂層の所望領域を硬化させて前記凹凸構造が転写された転写樹脂層とする硬化工程と、
前記転写樹脂層と前記モールドを引き離して、前記転写樹脂層であるパターン構造体を前記基材上に位置させた状態とする離型工程と、を有し、
前記液滴供給工程における前記基材と前記インクジェットヘッドとの間の空間で行われる第1排気操作、および、前記インクジェットヘッドからインク受けに光硬化性樹脂の液滴が予備吐出されたときに該インク受けの近傍の空間で行われる第2排気操作、の少なくとも一方の排気操作を行うことを特徴とするインプリント方法。
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