JP2014034748A - ポリエステル系経編地、およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル系経編地、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】制電性、吸水・速乾性、防透性および制菌性の他、肌離れ性、寸法安定性にも優れ、さらには濃色使いが十分可能なポリエステル系経編地を提供する。
【解決手段】本発明のポリエステル系経編地は、導電性繊維を0.1〜10質量%、フルダルポリエステル繊維を47質量%以上、および横断面に凹部を有する異型断面ポリエステル繊維を10質量%以上含有し、以下の(I)〜(IV)を同時に満足することを特徴とする。
(I)吸水加工および制菌加工がほどこされている。
(II)目付けが150〜270g/mである。
(III)ミドル筬および/またはフロント筬に異型断面ポリエステル繊維を配し、かつミドル筬に前記導電性繊維を等間隔に配して編成されたものである。
(IV)前記導電性繊維を1本/インチ以上の間隔で配している。
【選択図】図4

Description

本発明は、ポリエステル系経編地、およびその製造方法に関する。
従来から、静電気の発生を抑制できる繊維として、ポリエステル系ポリマーやナイロン系ポリマーなどの繊維形成性ポリマーに導電性物質を練り込み、これらのポリマーを紡糸して得られた繊維が知られている。そして、このような繊維と非導電性の繊維とを交編し制電性経編地としたもの(例えば、特許文献1)や、このような繊維と合成繊維とを合撚し、次いで、これをトリコット有毛布帛の経挿入組織に導入して導電性有毛布帛としたもの(例えば、特許文献2)などが知られている。
しかしながら、特定の用途、例えばオフィスユニフォーム分野、医療ユニフォーム分野、あるいは標準作業服分野といった一般ユニフォーム分野において、特許文献1および2に記載された経編地や布帛を適用する場合、下記(a)〜(d)のような問題があった。つまり、(a)発汗時の肌の不快感が抑制できないこと、(b)肌の透け感が強いため、例えば白衣や女性向けのユニフォーム分野には適さないこと、(c)制菌性を有していないため、例えば医療ユニフォーム分野には適さないこと、(d)所定の洗浄効果を得る目的でリネン洗濯すると、洗濯条件が過酷であることにより寸法変化が大きくなること、という問題があった。
上記(a)〜(d)の問題を解決するため、導電性繊維、セルロース系繊維およびフルダルポリエステル繊維を含有し、吸水加工や制菌加工がほどこされた制電性経編地が提案されている(特許文献3)。特許文献3に記載された経編地は、上記諸問題を解決するものとして、特に一般ユニフォーム分野において好適に使用され得るものである。
実開昭59−73389号公報 特開昭59−88956号公報 特許第4773181号公報
ユニフォーム分野の中でも、食品工場や温泉施設など暑熱環境下で着用される衣服に対しては、発汗に伴う蒸れ感を解消する観点から、一般ユニフォーム分野における衣服と比べ、より優れた吸水・速乾性が要求される。この点、特許文献3記載の経編地は、一定水準以上の吸水・速乾性を備えているため、基本的に暑熱環境下においても有用である。
しかしながら、同経編地には、セルロース繊維が相当量で使用されているところ、洗濯後に色落ちしやすいという点から、濃色使いが敬遠される傾向にある。また、セルロース繊維はそれ自体吸水性に優れ、水分を編地内にため込む傾向が強いため、当該経編地にあっては、この点を考慮して速乾性が一応改良されている。しかしながら、吸汗量があまりに多くなると、編地全体として拡散作用、速乾作用が追いつかず、結果、十分な肌離れ性が奏され難い。
以上のように、特許文献3に記載された経編地は、優れた特性を様々有しているものの、改良の余地を残しているのが実情である。
本発明は、前記の問題点を解決しようとするものであり、制電性、吸水・速乾性、防透性および制菌性の他、肌離れ性、寸法安定性にも優れ、さらには濃色使いが十分可能なポリエステル系経編地を得ることを技術的な課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)導電性繊維を0.1〜10質量%、フルダルポリエステル繊維を47質量%以上、および横断面に凹部を有する異型断面ポリエステル繊維を10質量%以上含有し、以下の(I)〜(IV)を同時に満足することを特徴とするポリエステル系経編地。
(I)吸水加工および制菌加工がほどこされている。
(II)目付けが150〜270g/mである。
(III)ミドル筬および/またはフロント筬に前記異型断面ポリエステル繊維を配し、かつミドル筬に前記導電性繊維を等間隔に配して編成されたものである。
(IV)前記導電性繊維を1本/インチ以上の間隔で配している。
(2)前記異形断面ポリエステル繊維がフルダルであることを特徴とする(1)のポリエステル系経編地。
(3)(1)または(2)のポリエステル系経編地を製造するための方法であって、経編地を精練・リラックスした後、長さ方向に−5〜+15%の範囲のオーバーフィード率でオーバーフィードを与えながら160〜210℃の範囲でプレセットし、染色後、長さ方向に−3〜+5%の範囲のオーバーフィード率でオーバーフィードを与えつつ、巾出し率を0〜+5%の範囲にして150〜190℃の範囲でファイナルセットすることを特徴とするポリエステル系経編地の製造方法。
本発明によれば、制電性、吸水・速乾性、防透性および制菌性のいずれにも優れるポリエステル系経編地を提供することができる。特に本発明では、吸水加工されていることに加え、経編地中の特定位置に異型断面ポリエステル繊維が特定量配されているため、優れた肌離れ性を発揮することができる。
また、本発明の方法によれば、一連の染色加工工程(すなわち、精練・リラックス、プレセット、染色およびファイナルセットを、この順に含む工程)のプレセットおよびファイナルセットにおいて、特定の条件を採用することにより、洗濯条件がより過酷であるリネン洗濯に付されても寸法変化の少ないポリエステル系経編地を、安定的に得る方法を提供することができる。
さらに、本発明のポリエステル系経編地には、所定量以上のポリエステル繊維が使用されるため堅牢性が高く、その結果、洗濯後に色落ちし難く、濃色展開が十分可能であるという利点もある。
本発明にて使用される導電性繊維の一態様の断面図である。 本発明にて使用される導電性繊維の他の態様の断面図である。 本発明にて使用される導電性繊維の他の態様の断面図である。 本発明のポリエステル系経編地に採用され得る編組織の一態様の概略図である。 本発明のポリエステル系経編地に採用され得る編組織の他の態様の概略図である。
本発明のポリエステル系経編地は、導電性繊維を0.1〜10質量%、フルダルポリエステル繊維を47質量%以上、および横断面が凹部を有する異型断面ポリエステル繊維を10質量%以上含有し、以下の(I)〜(IV)を同時に満足することを特徴とするものである。
(I)吸水加工および制菌加工がほどこされている。
(II)目付けが150〜270g/mである。
(III)ミドル筬および/またはフロント筬に前記異型断面ポリエステル繊維を配し、かつミドル筬に前記導電性繊維を等間隔に配して編成されたものである。
(IV)前記導電性繊維を1本/インチ以上の間隔で配している。
本発明における導電性繊維とは、制電性の発現が期待される繊維、すなわち、表面電気抵抗を下げて静電気の蓄積を抑えることのできる繊維であるか、あるいは静電気を中和、除電又は放電することのできる繊維をいう。このような繊維としては、具体的には、導電性合成繊維、金属繊維、炭素繊維、金属めっき繊維の他、編成後の後加工を通じて制電性が付与される繊維などが使用できる。中でも、価格、用途展開の観点から、導電性合成繊維が好ましく、具体的には、ポリエステル系ポリマーやポリアミド系ポリマーなどの繊維形成性ポリマーに導電性物質を均一分散したもの(つまり、導電性ポリマー)を用いて構成される導電性合成繊維が有用である。
導電性物質としては、例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックなどの導電性カーボンブラック;銀、ニッケル、銅、鉄、錫などの金属単体;硫化銅、硫化亜鉛、ヨウ化銅などの金属化合物などが挙げられる。
上記導電性合成繊維としては、一般に、導電性ポリマーと繊維形成性ポリマーとを複合紡糸して得られる繊維が好ましい。ここで、導電性合成繊維中の導電性ポリマーの含有量、または導電性ポリマーの含有形態などは特に限定されない。また、導電性合成繊維の横断面形状なども特に限定されないが、実用上の点で丸断面のものが好ましい。具体的には、図1〜3で例示するような横断面形状をなすものが好ましい。
図1〜3で例示される導電性合成繊維は、いずれも導電性ポリマー1を導電層、繊維形成性ポリマー2をベース層とするものである。図1および2は導電性ポリマー1が繊維表面に露出した形状を、図3は導電性ポリマー1が繊維表面に露出しない形状をそれぞれ例示するものである。
なお、図1では、三箇所の導電層が繊維断面において各々分離して配されていることから、このような横断面形状を三点分離型と称すことがある。一方、図2では、各導電層が互いに連接していることから、このような横断面形状を三点連接型と称すことがある。
本発明において、導電性繊維の電気抵抗値としては、10〜10Ω/cmであることが好ましい。該電気抵抗値が10Ω/cm未満であるものは、入手しにくく実用的でない場合がある。一方、10Ω/cmを超えるものは、十分な制電性を発現することができない場合がある。
本発明のポリエステル系経編地においては、上記のような導電性繊維が所定の割合で含有されている。そのため、摩擦などによって発生する静電気を、該経編地から効率よく放出することができる。この結果、得られるポリエステル系経編地においては静電気が蓄積され難く、制電性に優れるという効果が奏される。
本発明のポリエステル系経編地においては、このような導電性繊維を0.1〜10質量%含有することが必要であり、0.5〜4質量%含有することが好ましい。導電性繊維の含有量が0.1質量%未満であると、得られるポリエステル系経編地においては制電性を発現することができない。一方、10質量%を超えると、コストなどの観点から好ましくない。
なお、本発明では、導電性繊維を単独かつ直接的に使用して(つまり、予め導電性繊維を他の繊維と組み合わせることなく使用して)、経編地内に含有させてもよい。しかしながら、導電性繊維は一般に強度に劣るため、単独かつ直接的に後述する経編機械へ供されると、編成時に繊維が毛羽立つことがある。このため、導電性繊維を用いる際は、一旦他の繊維と混紡、混繊あるいは合撚するなどしたうえで使用することが好ましい。
導電性繊維は市販品を好適に使用することができる。例えば、ユニチカトレーディング社製「メガーナ」、KBセーレン社製「ベルトロン」、東レ社製「ルアナ」などを入手することができる。
本発明のポリエステル系経編地は、ミドル筬に導電性繊維を等間隔に配して編成されたものであることが必要である。これにより、該経編地全体に渡って制電性が均一に発現しやすくなる。さらに、本発明のポリエステル系経編地では、導電性繊維を1本/インチ以上の間隔で配している必要があり、1〜4本/インチの間隔で配していることが好ましく、等間隔で配することが特に好ましい。該経編地内における導電性繊維をこの範囲の間隔で配することにより、得られる経編地を制電性に優れたものとすることができる。なお、4本/インチを超える等間隔で導電性繊維を配しても、得られるポリエステル系経編地への制電性が低下することはないものの、該経編地の製造コストが上がる傾向にあり、好ましくない。
本発明のポリエステル系経編地は、上述のように導電性繊維を含有するものであるため、制電性に優れるものである。本発明において、制電性の指標としては、JIS T8118に従って測定される帯電電荷密度が、7μC/m以下の範囲を満足することが好ましい。帯電電荷密度が上記範囲を満足することで、本発明のポリエステル系経編地を衣服とした場合に、着用中の静電気の発生が抑制され、冬場などの低湿度で静電気の発生しやすい環境下においても快適に着用することができる。
フルダルポリエステル繊維および後述の異形断面ポリエステル繊維を構成するポリエステルとしては、共に、テレフタル酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコールなどのグリコール成分とを重縮合することにより得られるポリエステルが好適である。ポリエステル中には、必要に応じてアジピン酸、イソフタル酸、スルホン酸金属塩含有イソフタル酸などを共重合させてもよい。
また、フルダルポリエステル繊維および後述の異形断面ポリエステル繊維は、単一成分からなるものでもよいし、断面がサイドバイサイド型や芯鞘型などの形状をなす複数種のポリエステルからなるものであってもよい。また、これらの繊維には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ポリエステル以外の成分が含まれていてもよい。
フルダルポリエステル繊維および後述の異型断面ポリエステル繊維のトータル繊度としては、50〜200dtexであることが好ましい。また、これらの繊維は、生糸(フラットヤーン)、あるいは加工糸のいずれでもよい。なかでも、これらの繊維を、仮撚加工糸として用いると、ポリエステル系経編地とした際にボリューム感とストレッチ感とを付与することができる。
異型断面ポリエステル繊維について以下に述べる。本発明のポリエステル系経編地においては、異型断面ポリエステル繊維が含有されることにより、繊維間空隙においていわゆる毛細管現象が促進され、汗などの水分の拡散性に優れるものとなる。その結果、吸水・速乾性が促進されると共に蒸れ感が軽減され、後述の吸水加工と相まって、はりつき感、ベタツキ感を感じ難い(つまり、肌離れ性が良い)経編地を得ることができる。
本発明において、異型断面ポリエステル繊維とは、横断面に凹部を有するポリエステル繊維をいう。異型断面ポリエステル繊維における具体的な横断面形状としては、L型、T型、W型、V型、M型、X型、Y型、十字型、矢印型、八葉型、ドッグボーン型などの多角形型、さらには各種不定化型などが例示できる。
さらに、異型断面ポリエステル繊維においては、毛細管現象をより効果的に発現させ、吸水・速乾性ひいては肌離れ性をより向上させるために、角度のあるスリットや微細孔などが設けられていてもよい。
本発明のポリエステル系経編地は、異型断面ポリエステル繊維を10質量%以上含有することが必要であり、20質量%以上含有することが好ましい。異型断面ポリエステル繊維の含有量が10質量%未満であると、得られるポリエステル系経編地が、吸水・速乾性および肌離れ性に劣るものとなる。
さらに、本発明のポリエステル系経編地は、経編機械を用いて編成されたものであるが、この際、異型断面ポリエステル繊維が、ミドル筬および/またはフロント筬に筬入れされる必要がある。これにより、異型断面ポリエステル繊維が、得られる経編地の裏面、すなわち衣服としたときの肌に接触する側に多く配されることとなる。その結果、異型断面ポリエステル繊維による毛細管現象がより効率よく発現し、得られる経編地の吸水・速乾性がより優れたものとなる。加えて、異型断面ポリエステル繊維は、通常の丸断面ポリエステル繊維と比較すると、外力により長手方向に裂けやすく、結果として編地品位の低下を誘発することがあるところ、本発明においては、外力を受ける機会の少ない経編地の裏面に異型断面ポリエステルが配置されることで、編地品位の低下を未然に抑えることもできる。
フルダルポリエステル繊維とは、酸化チタンを1.0質量%以上含有するポリエステル繊維のことであり、例えば、紡糸時、酸化チタンをポリエステルポリマーに練り込むことにより得られるものである。ポリエステル繊維における酸化チタンの練り込み形態としては、特に限定されるものでなく、ポリエステル繊維の内部に酸化チタンを全分散させるものでもよいし、紡糸時、仮撚時および編成時などにガイドローラが損傷するのを防止する観点から、繊維横断面を芯鞘構造としたうえで芯部に酸化チタンを練り込むものでもよい。
本発明のポリエステル系経編地においては、このようなフルダルポリエステル繊維を含有することで透け感を抑制し得るものとなり、透け感の発現が問題となるような用途(例えば、白衣や女性向けユニフォームなどの用途)においても好適に用いられる。
なお、本発明においては、異形断面ポリエステル繊維も同じく、フルダルであることが好ましい。これにより、得られるポリエステル系経編地がいっそう防透性に優れるものとなる。
本発明のポリエステル系経編地においては、フルダルポリエステル繊維の含有量が47質量%以上であることが必要であり、70質量%以上であることが好ましい。フルダルポリエステル繊維の含有量が47質量%未満であると、得られるポリエステル系経編地の透け感が増すという問題がある。
本発明のポリエステル系経編地には、上記のようなフルダルポリエステル繊維および異型断面ポリエステル繊維が各々特定の割合で含有されており、結果として、経編地中にポリエステル繊維が多く含まれることになる。このため、リネン洗濯など条件の厳しい洗濯処理がほどこされた場合であっても色落ちがし難く、濃色展開が十分に可能なものとなる。
なお、本発明のポリエステル系経編地においては、本発明の効果を損なわない範囲において、セルロース系繊維が含有されていてもよい。ただ、セルロース系繊維を使用すると、該経編地の吸水性や肌触りがより向上する一方、洗濯を通じて該経編地が退色しやすくなることがある。したがって、得られるポリエステル系経編地の裏面(すなわち、衣服としたときの肌側に接触する面)にセルロース系繊維が配されるよう、編成時、ミドル筬および/またはフロント筬に当該繊維を筬入れするのが好ましい。
本発明のポリエステル系経編地において、上記セルロース系繊維の含有量は20質量%以下であることが好ましい。その理由は以下の通りである。セルロース系繊維はそれ自体吸水性に優れるものであるから、セルロース系繊維を多く使用すると、その分、水分を経編地内にため込みやすくなる。そうすると、吸汗量が過度に増えた場合、経編地全体として拡散作用、速乾作用が追いつかなくなる傾向にあり、肌離れ性が奏され難くなる。加えて、経編地においてセルロース系繊維の含有量を増やすことは、濃色展開する上で不利となることがある。このような点から、セルロース系繊維の含有量としては、20質量%以下が好ましいといえる。
セルロース系繊維としては、例えば、綿、麻、竹繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ、溶剤紡糸系セルロース繊維などが挙げられる。セルロース系繊維の形状としては、ステープル、フィラメントのいずれの形状であってもよい。これらの繊維は単独で用いられてもよい。あるいは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の繊維と混紡、混繊、合撚又は交編などされて用いられてもよい。
また、セルロース系繊維としては、例えば、市販の30番手単糸や40番手単糸のものをそのまま使用してもよいが、操業性が向上する観点から、双糸にしたものや各種フィラメントと合撚したもの、もしくは各種フィラメントでカバリングしたものを用いてもよい。
経編地とは、トリコット機やラッセル機などの経編機械で編成される布帛である。経編機械における針密度としては、20〜32本/インチであることが好ましく、28〜32本/インチであることがより好ましい。針密度が20本/インチ未満であると、密度が粗くなり、得られる経編地の防透性や強度が低下する傾向にある。一方、針密度が32本/インチを超えると、風合いが硬くなる傾向にある。また、経編機械の筬数としては、2〜4枚であることが好ましい。
本発明のポリエステル系経編地に採用され得る組織としては、例えば、図4や図5に示されるような、ニット組織と挿入組織とが組み合わせられた組織などが挙げられる。なお、ニット組織とはループを有する組織であり、挿入組織とはループを有しない組織である。
図4においては、(a)はフロント筬により1−2/1−0で編まれた部位を示している。(b)はミドル筬により0−0/1−1で編まれた部位を示している。(c)はバック筬により2−3/1−0で編まれた部位を示している。図5においては、(d)はフロント筬により1−0/1−2で編まれた部位を示している。(e)はミドル筬により0−0/2−2で編まれた部位を示している。(f)はバック筬により3−4/1−0で編まれた部位を示している。
つまり、図4および図5においては、ミドル筬が挿入組織を編成しており、フロント筬およびバック筬がニット組織を編成している。そして、ミドル筬によって形成される部位は、フロント筬がニット組織を編成することにより保持される。これにより、得られるポリエステル系経編地は安定なものとなる。
本発明のポリエステル系経編地においては、より優れた制電性を発現させる観点から、導電性繊維どうしが交差するような編組織を採用することが有効である。
さらに、本発明のポリエステル系経編地に採用され得る組織として、表面変化に富むもの、または、ストライプのようなデザイン性に富むものを採用する場合には、筬数を増やすことも可能である。この場合、全てのガイドに筬入れしてもよいが、必要に応じて空ガイドを設けてもよい。例えば、1本おきに筬入れしたり、ランダムに筬入れしたりする手法が有効である。
本発明のポリエステル系経編地は、吸水性を付与する目的で、吸水加工されている必要がある。吸水加工とは、経編地に親水性ポリマーを付与する加工をいう。吸水加工により吸水性が付与されると、防汚性も向上するという副次的な効果も奏される。
親水性ポリマーとしては、例えば、水溶性シリコン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂などが挙げられる。水溶性シリコン系樹脂としては、シリコン構造中にポリエーテル鎖を含有する化合物などが例示でき、具体的にはポリエーテル変性シリコンなどが挙げられる。水溶性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸とエチレングリコール等のジオールとをエステル化反応させてポリエステルを得る際に、水溶性基を導入したり、ポリエチレングリコール鎖の長いジオールを共重合させたりした樹脂が例示できる。本発明では、親水性ポリマーとしては、コスト面に加え、洗濯を繰り返した後でも所定の吸水性および防汚性を維持させる観点から、水溶性ポリエステル系樹脂が好適である。
親水性ポリマーを経編地に付与する方法としては、特に限定されるものでないが、例えば、液流染色機などを用いて、浴中で経編地に親水性ポリマーを付与する吸尽法、経編地を親水性ポリマー含有液に浸漬し、マングルで絞った後、乾燥、熱処理する連続法などが挙げられる。本発明では、これらの方法を単独で利用してもよいし、適宜組み合わせて利用してもよい。
吸尽法を用いて経編地を吸水加工する場合、その条件としては、60〜140℃の温度で15〜60分間処理することが好ましい。なかでも、100℃以上の温度で30分程度処理すると、洗濯を繰り返した後でも所定の吸水性、防汚性が維持されやすく、好ましい。
吸尽法を用いて経編地を吸水加工する場合、親水性ポリマー(固形分)の使用量としては、0.1〜5omfであることが好ましく、0.2〜2omfであることがより好ましい。親水性ポリマーの使用量が0.1omf未満であると、得られるポリエステル系経編地は吸水性や防汚性に劣る場合がある。一方、5質量%を超えると、堅牢性が低下したり、コスト面において不利になったりする場合がある。
一方、連続法を用いて経編地を吸水加工する場合、親水性ポリマー含有液としては、同ポリマーを効率よく経編地に付着させ、吸水性および防汚性をより向上させる観点から、同ポリマーを1〜7質量%の割合で含有するものを使用することが好ましい。
連続法における乾燥温度としては、経編地が乾燥する温度であれば、特に限定されない。また、連続法における熱処理としては、例えば、130℃〜200℃の温度で30〜120秒間処理すればよい。なかでも、170〜200℃の温度で30〜60秒間熱処理すると、洗濯を繰り返した後でも所望の吸水性および防汚性が維持されやすく、好ましい。なお、乾燥と熱処理を同時におこなっても構わない。
また、本発明では、工程簡略化の観点から、吸水加工は、経編地の染色処理と同時に行うことが好ましい。さらにまた、経編地を吸水加工する際は、目的に応じて風合い調整剤や触媒などの添加剤を併用してもよい。
上述のように、本発明のポリエステル系経編地は、制菌加工されている必要がある。制菌加工とは、経編地に抗菌剤を付与する加工をいう。
抗菌剤としては、無機系抗菌剤の他、有機ピリジン系化合物、第4級アンモニウム塩系化合物などの有機系抗菌剤などが使用できる。なかでも、制菌性に優れる観点から、有機ピリジン系化合物が好ましく用いられる。
有機ピリジン系化合物としては、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−(2−フリルメトキシ)ピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−メトキシピリジン、2−クロロ−6トリクロロメチルピリジン、ジ(4−クロロフェニル)ピリジルメタノール、2,3,5,−トリクロロ−4−(n−プロピルスルフォニル)ピリジン、2−ピリンジンチオール−1−オキシドナトリウム、1,4−(1−ジヨードメチルスルフォニル)ベンゼン、10,10’−オキシビスフェノキシアルシン、6−(2−チオフェンカルボニル)−1H−2−ベンズイミダゾールカルバニン酸メチル、5−クロロ−2メチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
経編地を制菌加工する方法としては、上述の親水性ポリマーを付与させる方法と同様に、吸尽法や連続法などが採用できる。また、制菌加工も吸水加工と同様に、染色処理と同時に行うことが好ましい。
なお、吸尽法の場合、抗菌剤(固形分)の使用量としては、0.01〜10omfであることが好ましく、0.05〜5omfであることがより好ましい。抗菌剤の使用量が0.01omf未満であると、制菌性を発現させることができない場合がある。一方、10omfを超えると、コスト的に不利となる場合がある。
本発明のポリエステル系経編地は、特定量のフルダルポリエステル繊維を含有しているため、防透性に優れるものである。より具体的には、本発明のポリエステル系経編地は、分光光度計による紫外域(280〜400nm)における平均透過率が15%以下であることを満足し、且つ可視光域(400〜780nm)における平均透過率が30%以下であることを満足することが好ましい。平均透過率が上記のような範囲を満足しないと、得られるポリエステル系経編地において所望の防透性が達成されず、例えば白衣や女性用衣料などの用途に適さない場合がある。
この点から、本発明のポリエステル系経編地においては、上記の平均透過率を満足させるために、上述のように、フルダルポリエステル繊維を47質量%以上含有させることが必要であり、70質量%以上含有させることが好ましいのである。
本発明のポリエステル系経編地は、該経編地中の特定部位において特定量の異型断面ポリエステル繊維を含有し、さらに親水性ポリマーによる吸水加工がほどこされていることにより、優れた肌離れ性を発揮する。
より具体的には、本発明のポリエステル系経編地においては、吸水性の指標として、JIS L1906(滴下法)に従って測定される、該経編地の裏面(つまり、衣服とされた際の肌側の面)の吸水時間が、10秒以下であることが好ましく、5秒以下であることがより好ましい。また、速乾性の指標として、同法にしたがって測定された拡散乾燥速度による残留水分率が10%に至るまでの時間が、45分以内であることが好ましい。さらに、密着性の指標として、同法の密着性評価における密着力が20gf以下であることが好ましい。
吸水時間および乾燥速度が早く、かつ肌への密着力が小さいほど、肌の水分を速やかに吸収、拡散することができるため、衣服とした場合に、発汗に起因するベタツキ感およびはりつき感などを抑えることができ、すなわち、優れた肌離れ性が発揮される点で好ましい。この結果、多量の発汗時においても快適に使用できるという効果が期待される。逆に、吸水時間、拡散乾燥速度および密着性のいずれかが、上記の評価における範囲を満足しない場合、得られるポリエステル系経編地において、肌に残留した水分により、ベタツキ感およびはりつき感などを感じ易くなり、結果、該経編地を食品工場や温泉施設など暑熱環境下で着用される衣服に適用し難くなることがある。
ここで、拡散乾燥速度の測定方法は、以下のようなものである。つまり、ガラス板上に蒸留水0.2mlを滴下し、その上に、試料として10cm×10cmのサイズに切り出した経編地を置く。そして、これらのガラス板、蒸留水、および試料の質量の合計を経時的に測定し、以下の式にしたがって、残留水分率(%)を算出する。
残留水分率(%)=[(一定時間経過後のガラス板、蒸留水、および試料の質量の合計)/(測定開始時のガラス板、蒸留水、および試料の質量の合計)]×100
本発明では、この残留水分率が10%に至るまでの時間を測定し、この時間により乾燥速度を評価する。
肌への密着性に関する密着力は、以下のようにして測定される。すなわち、まずポリエステル系経編地の裏側に対して1mlの蒸留水を付与する。次いで、簡易圧縮試験機(カトーテック社製、「KES−G5」)を使用し、直径が36mmであるゴム板を取り付けた圧縮子で50g/cmの圧力で圧縮した後、ゴム板から該経編地を引き剥がす際の力(密着力)を測定する。ここでは、ゴム板を肌に見立てている。
また、本発明のポリエステル系経編地は、目付けが150〜270g/mの範囲にあることが必要であり、190〜240g/mの範囲にあることが好ましい。目付けが150g/m未満になると防透性に劣るものとなる。一方、270g/mを超えると、防透性には優れるものの、軽量感ある経編地、ひいては衣料が得難い点で好ましくない。
上述のような本発明のポリエステル系経編地を製造する方法について、以下、一例を述べる。
本発明のポリエステル系経編地は、経編機械を用いて生機を作製した後、生機を特定条件で後加工することにより得ることができる。この場合、後加工としては、生機を精練・リラックスした後、プレセット、染色およびファイナルセットをほどこすという一連の染色工程を経る方法が好適である。この工程をおこなうための加工方式としては、連続方式、バッチ方式のいずれもが採用できる。また、上記した吸水加工および制菌加工は、この一連の染色工程中の任意の段階に組み込めばよく、当該2加工の順序としても何ら限定されるものでない。通常は、品質向上の観点から、一連の染色工程中の染色処理と同時にこれらの加工を行うことが好ましい。
生機を精練・リラックス処理するための装置としては、公知の装置が使用できる。このとき、精練・リラックス処理の際に使用される薬剤としても、公知な薬剤が使用できる。精練・リラックス処理条件としては、例えば、100℃〜135℃の温度下で10〜45分間処理する条件が採用できる。なお、経編地にかさ高性を付与したい場合は、120℃以上の温度で30分程度処理するのがよい。
精練・リラックス処理後は、経編地をプレセットする。経編地をプレセットするための装置としては、一般にピンテンターが使用できる。本発明では、−5〜+15%の範囲のオーバーフィード率で長さ方向にオーバーフィードを与えながら経編地をプレセットすることが好ましく、これにより、ふくらみ感並びに寸法安定性の向上が期待できるようになる。
ここで、オーバーフィード率は、下記式により算出される。
オーバーフィード率(%)={[(ヒートセット後の緯密度(コース)−ヒートセット前の緯密度(コース)]/[ヒートセット前の緯密度(コース)]}×100
また、プレセットの温度としては、160〜210℃の範囲が好ましい。プレセット温度が160℃未満になると、ポリエステル繊維に対するセット性が低下することに伴い、得られるポリエステル系経編地において寸法安定性が低下する傾向にある。一方、210℃を超えると、該経編地の風合いが硬くなったり、黄変したりすることがある。加えて、210℃を超える温度とすることは、コストの点からも好ましくない。なお、プレセット温度は、190℃〜210℃であることがより好ましい。さらに、プレセットの時間としては、セット性の観点から、45秒以上であることが好ましい。このように、本発明では、経編地を特定条件でプレセットすることにより、優れた寸法安定性を得ることができる。
プレセット後は、経編地を染色処理に付する。染色に用いる染料としては、経編地を構成する繊維素材に応じて最適なものを選択すればよい。また、染色時に併用する各種添加剤についても同様に最適なものを適宜選択すればよい。染色条件については、繊維素材、染料、添加剤の組成に応じて適宜決定すればよい。
染色後は、経編地をファイナルセットする。経編地をファイナルセットするための装置としては、プレセットのときと同様、ピンテンターが使用できる。本発明では、−3〜+5%の範囲のオーバーフィード率で長さ方向にオーバーフィードを与えると共に、巾出し率を0〜+5%の範囲にしながら経編地をファイナルセットすることが好ましく、これにより、寸法安定性の向上が期待できるようになる。
ここで、巾出し率は、下記式により算出される。
巾出し率(%)={[(ファイナルセット後の巾)―(ファイナルセット前の巾)]/ファイナルセット前の巾)}×100
また、ファイナルセットの温度としては、150〜190℃の範囲が好ましい。ファイナルセットの温度を150℃以上とすることで、得られるポリエステル系経編地の巾方向および長さ方向のいずれにおいても、寸法変化を抑えることができる。一方、190℃以下とすることで、経編地表面に染料がブリードするのを抑えることもでき、堅牢性の向上が期待できる。
経編地をファイナルセットする際には、風合い調整のために、柔軟剤、硬味剤、一次帯電防止剤、可縫性向上剤などの各種の添加剤を併用してもよい。より具体的には、これら添加剤に経編地を浸漬し、次いで脱水した後ファイナルセットを実施しても構わない。
本発明のポリエステル系経編地の製造方法では、このように、経編地を特定条件でプレセット及びファイナルセットすることにより、得られる経編地の寸法安定性を向上させることができる。寸法安定性の指標としては、JIS L1096 F−3法(高温ワッシャー法)に従って10回洗濯し、次いでタンブル乾燥した後における寸法変化率が、3%未満の範囲を満足することが好ましい。上記の寸法変化率が3%以上となると、リネン洗濯時、経編地が大きく寸法変化することがある。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
本発明の各種評価は、以下の方法によりおこなった。
(1)平均透過率(防透性)
分光光度計(島津製作所社製、「UV−3100PC」)を用い、紫外域(280〜400nm)および可視光域(400〜780nm)における経編地の平均透過率を測定し、防透性を評価した。
(2)防汚性
廃エンジンオイルを経編地における生地表面に0.04mL滴下し、30分間放置した。そして、この経編地をJIS L1096 F−3法に従って1回洗濯し、乾燥させた後、JIS L0805に基づく汚染用グレースケールを用い、防汚性を評価した。
(3)吸水性
既述の方法により評価した。
(4)拡散乾燥速度(速乾性)
既述の方法により評価した。
(5)密着性
既述の方法により評価した。
(6)制電性
既述の方法により評価した。なお、帯電電荷密度を測定する際には、摩擦布として、アクリル製布およびナイロン製布の2種類を用いた。
(7)寸法変化率(寸法安定性)
既述の方法により評価した。
(8)制菌性
JAFET統一試験法に従って、洗濯前および工業洗濯50回後の殺菌活性値を測定した。なお、菌種として、黄色ぶどう球菌(ATCC6538P)、肺炎かん菌(ATCC4532)およびMRSA菌(2D1677)の3種を用いた。
(9)汗堅牢度(堅牢性)
JIS L0848 A法に従って、酸性人工汗およびアルカリ性人工汗の2種類の人工汗に対する染色堅牢度を評価した。評価に際し、変退色用グレースケールおよび汚染用グレースケールを用いた。
(実施例1)
カールマイヤー社製の経編機械を使用し、針密度28本/インチ、筬数3にて、下記表1に示す設計で生機を編成した。この生機においては、密度は50コース/インチおよび30ウェール/インチであり、巾が200cmであり、導電性繊維を含有する合撚糸が1.06本/インチの等間隔で配されていた。また、生機中、フルダルポリエステル繊維の含有量は60質量%であり、異型断面ポリエステル繊維の含有量は39質量%であり、導電性繊維の含有量は1質量%であった。生機の目付けは178g/mであった。さらに、1レピートあたりの筬入れ配列を下記表2に示す。
Figure 2014034748
Figure 2014034748
表2において、○、◎および△は、それぞれ以下のものを示す。
○:酸化チタンの含有量が2.0質量%であるフルダルポリエステル繊維(仮撚加工糸、繊度84dtex72f)
◎:ユニチカトレーディング社製「メガーナE7」(導電性繊維)(繊度28dtex2f)と上記フルダルポリエステル繊維(仮撚加工糸、繊度84dtex72f)とを300T/Mで合撚したもの
△:酸化チタンの含有量が0.2質量%であって、横断面が十字形状の異形断面ポリエステル繊維(セミダル、仮撚加工糸、繊度84dtex48f)
界面活性剤2g/l、および重曹2g/lを含有する浴(浴比1:10)に得られた生機を投入し、130℃の温度で15分間精練・リラックスした。精練・リラックス後の経編地の性量は、巾140cm、密度52コース/インチであった。
次に、ピンテンターを使用し、長さ方向に1.9%のオーバーフィード率でオーバーフィードを与えながら、200℃の温度で90秒間、経編地をプレセットした。プレセットした結果、経編地の性量は、巾155cm、密度53コース/インチとなった。
その後、下記処方1で示される浴に上記経編地を投入し、温度135℃、時間45分、pH5〜6、浴比1:10の条件で、染色と同時に吸水加工および制菌加工を行った。次いで、下記処方2で示される浴に上記加工後の経編地を投入し、温度80℃、時間20分、浴比1:10の条件で、還元洗浄をおこなった。そして、湯洗い、水洗および乾燥をおこなった。このような加工がほどこされた経編地は発色性に優れ、深みのある色合いが発現されていた。
<処方1>
分散染料(ダイスタージャパン社製「Dainix Navy BG−SE」 5%omf
酢酸ナトリウム 1g/l
非イオン系界面活性剤 1g/l
親水性ポリマー(水溶性ポリエステル系樹脂、高松油脂社製「SR1000」) (固形分換算)0.6%omf
抗菌剤(有機ピリジン系化合物、大阪化成社製「マルカサイドYP−DP」) (固形分換算)0.6%omf
<処方2>
洗浄剤(日華化学社製「サンモールMC2000」) 2g/l
酢酸(氷酢酸) 0.7g/l
非イオン系界面活性剤 1g/l
上記加工後の経編地の性量は、巾150cm、密度55コース/インチであった。そして、ピンテンターを使用し、長さ方向に3.6%のオーバーフィード率でオーバーフィードを与えると共に、巾出し率を4.7%にしながら、175℃の温度で90秒間、経編地をファイナルセットし、ポリエステル系経編地を得た。得られた経編地の性量は、巾157cm、密度57コース/インチであった。また、目付けは232g/mであり、導電性繊維は1.3本/インチの等間隔で配されていた。
(実施例2)
カールマイヤー社製の経編機械を使用し、針密度32本/インチ、筬数3にて、下記表3に示す設計で生機を編成した。この生機においては、密度が60コース/インチおよび36ウェール/インチであり、巾が210cmであり、導電性繊維を含有する合撚糸が1.1本/インチの等間隔で配されていた。また、生機中、フルダルポリエステル繊維の含有量は47.1質量%であり、異型断面フルダルポリエステル繊維の含有量は51.9質量%であり、導電性繊維の含有量は1質量%であった。生機の目付けは158g/mであった。さらに、1レピートあたりの筬入れ配列を下記表4に示す。
Figure 2014034748
Figure 2014034748
表4において、○、◎および●は、それぞれ以下のものを示す。
○:酸化チタンの含有量が2.0質量%であるフルダルポリエステル繊維(仮撚加工糸、繊度84dtex72f)
◎:ユニチカトレーディング社製「メガーナE7」(導電性繊維)(繊度28dtex2f)と上記フルダルポリエステル繊維(仮撚加工糸、繊度84dtex72f)とを300T/Mで合撚したもの
●:酸化チタンの含有量が2.0質量%であって、横断面が十字形状の異型断面ポリエステル繊維(フルダル、仮撚加工糸、繊度84dtex72f)
実施例1の場合と同条件で生機を精練・リラックスした後、オーバーフィード率を4.8%に設定して経編地をプレセットした。そして、実施例1の場合と同条件で経編地を染色、吸水加工および制菌加工し、さらに還元洗浄した後、オーバーフィード率を−1.5%および巾出し率を3.1%にそれぞれ設定して経編地をファイナルセットし、ポリエステル系経編地を得た。得られた経編地の目付は230g/mであり、導電性繊維は1.4本/インチの等間隔で配されていた。
実施例2における各工程通過直後の経編地の性量を下記表5に示す。
Figure 2014034748
(比較例1、2)
フルダルポリエステル繊維に代えて、酸化チタンの含有量が0.2質量%であるセミダルポリエステル繊維(仮撚加工糸、繊度84dtex72f)を用いた以外は、実施例1と同様に行って比較例1にかかるポリエステル系経編地を、同じく実施例2と同様に行って比較例2にかかるポリエステル系経編地を各々作製した。
(比較例3、4)
<処方1>中の親水性ポリマーおよび抗菌剤を省いた以外は、実施例1と同様に行って比較例3にかかるポリエステル系経編地を、同じく実施例2と同様に行って比較例4にかかるポリエステル系経編地を各々作製した。
(比較例5、6)
異型断面ポリエステル繊維の横断面形状を、十字形状ではなく、仮撚したときの形状歪みのみで実質的に丸断面に近い形状のものとした以外は、実施例1と同様に行って比較例5にかかるポリエステル系経編地を、同じく実施例2と同様に行って比較例6にかかるポリエステル系経編地を各々作製した。
(比較例7、8)
導電性繊維を省いた以外は、実施例1と同様に行って比較例7にかかるポリエステル系経編地を、同じく実施例2と同様に行って比較例8にかかるポリエステル系経編地を各々作製した。
(参考例1)
ファイナルセット時のオーバーフィード率を−9.1%、巾出し率を10%にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様に行ってポリエステル系経編地を作製した。得られた経編地の性量は、巾165cm、密度50コース/インチであった。
(参考例2)
ファイナルセット時のオーバーフィード率を−9.1%、巾出し率を6.3%にそれぞれ変更した以外は、実施例2と同様に行ってポリエステル系経編地を作製した。得られた経編地の性量は、巾170cm、密度60コース/インチであった。
(参考例3、4)
実施例1において、セット温度のみを130℃に変更した一方でセット後の性量を変えずに経編地をプレセットし、以降は、同例に準じて経編地の最終性量が実施例1の場合と符合するように加工して参考例3にかかるポリエステル系経編地を得た。また、同じく実施例2においてプレセット温度のみを130℃に変更し、同例に準じて最終性量が符合するように加工して参考例3にかかるポリエステル系経編地を作製した。
参考例3および4における各工程通過直後の経編地の性量を下記表6に示す。
Figure 2014034748
(参考例5、6)
ファイナルセットの温度を200℃に変更した以外は、実施例1と同様に行って参考例5にかかるポリエステル系経編地を、同じくファイナルセットの温度を200℃に変更した以外は、実施例2と同様に行って参考例6にかかるポリエステル系経編地を各々作製した。
(参考例7、8)
ファイナルセットの温度を120℃に変更した以外は、実施例1と同様に行って参考例7にかかるポリエステル系経編地を、同じくファイナルセットの温度を120℃に変更した以外は、実施例2と同様に行って参考例8にかかるポリエステル系経編地を各々作製した。
これら実施例1〜2、比較例1〜8および参考例1〜8の評価結果を下記表7および8に示す。
Figure 2014034748
Figure 2014034748
表7から明らかなように、実施例1および実施例2で得られた本発明のポリエステル系経編地は、防透性、防汚性、吸水・速乾性、制電性および制菌性に優れるだけでなく、衣服とした際に肌離れ性の効果が期待できるものであった。また、厳しい条件で洗濯を繰り返しても寸法変化が少なく、制菌性の低下も特に認められなかった。さらに、経編地中にポリエステル繊維が所定量含まれることから、汗に対する堅牢性に優れており、濃色での展開も大いに期待できるものであった。
これに対し、比較例1、2にかかる経編地では、フルダルポリエステル繊維の含有量が所定範囲を満足していなかったため、紫外域および可視光域のいずれにおいても平均透過率が高く、所望の防透性が認められなかった。
また、比較例3、4にかかる経編地は、吸水加工および制菌加工がなされていなかったため、所望の吸水性および制菌性が認められなかった。
比較例5、6にかかる経編地では、異形断面ポリエステル繊維の含有量が所定範囲を満足していなかったため、吸水・速乾性に劣り、加えて肌離れ性の効果も期待できないものであった。
比較例7、8にかかる経編地では、導電性繊維の含有量が所定範囲を満足していなかったため、所望の制電性が認められなかった。
表8から明らかなように、参考例1、2にかかる加工では、ファイナルセット時のオーバーフィード率がともに所定範囲より小さ過ぎ(つまり、ファイナルセット時に経編地をタテ方向に引張り過ぎている)、また巾出し率がともに所定範囲より大き過ぎるものであった。この結果、得られた経編地にセット歪みが付与され、洗濯等を通じてその歪みが顕在化した結果、実施例にかかる経編地と比べ、ともに寸法安定性に劣るものとなった。
参考例3、4にかかる加工では、プレセット時の温度が低過ぎたため、セット性が十分でなく、経編地の性量が安定しなかった。この結果、この経編地は、染色を通じて大きく収縮した。そして、最終性量を調整するために、ファイナルセットの際の巾出し率を参考例3では8.3%、参考例4では6.5%と増大させなければならず、参考例1、2の場合と同様に経編地にセット歪みが付与され、所望の寸法安定性が得られなかった。
さらに、参考例5、6では、ファイナルセット時の温度が高すぎたため、分散染料が経編地の表面においてブリードしてしまい、所望の堅牢性が得られなかった。
一方、参考例7、8では、ファイナルセット時の温度が低すぎたため、セット性が十分でなく、経編地の性量が安定しなかった。このため、所望の寸法安定性が得られなかった。
1 導電性ポリマー
2 繊維形成性ポリマー

Claims (3)

  1. 導電性繊維を0.1〜10質量%、フルダルポリエステル繊維を47質量%以上、および横断面に凹部を有する異型断面ポリエステル繊維を10質量%以上含有し、以下の(I)〜(IV)を同時に満足することを特徴とするポリエステル系経編地。
    (I)吸水加工および制菌加工がほどこされている。
    (II)目付けが150〜270g/mである。
    (III)ミドル筬および/またはフロント筬に前記異型断面ポリエステル繊維を配し、かつミドル筬に前記導電性繊維を等間隔に配して編成されたものである。
    (IV)前記導電性繊維を1本/インチ以上の間隔で配している。
  2. 前記異形断面ポリエステル繊維がフルダルであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系経編地。
  3. 請求項1または2に記載のポリエステル系経編地を製造するための方法であって、経編地を精練・リラックスした後、長さ方向に−5〜+15%の範囲のオーバーフィード率でオーバーフィードを与えながら160〜210℃の範囲でプレセットし、染色後、長さ方向に−3〜+5%の範囲のオーバーフィード率でオーバーフィードを与えつつ、巾出し率を0〜+5%の範囲にして150〜190℃の範囲でファイナルセットすることを特徴とするポリエステル系経編地の製造方法。
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