JP2014024899A - 感圧接着剤組成物、感圧接着性シート状成形体、これらの製造方法、及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】適度な接着力を有し、透明度が高く、生産性が良い感圧接着剤組成物及び感圧接着性シート状成形体と、これらの製造方法と、該感圧接着剤組成物又は該感圧接着性シート状成形体を備えた表示装置とを提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)を0.3質量部以上9質量部以下と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)を0.15質量部以上1.8質量部以下と、を含む混合組成物中において、少なくとも、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、が行われてなることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)を0.3質量部以上9質量部以下と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)を0.15質量部以上1.8質量部以下と、を含む混合組成物中において、少なくとも、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、が行われてなることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、感圧接着剤組成物、感圧接着性シート状成形体、及びこれらの製造方法、並びに、該感圧接着剤組成物又は該感圧接着性シート状成形体を備えた表示装置に関する。
液晶表示装置、プラズマテレビ、及びプロジェクションスクリーン等の映像提供機器の映像表示部は、光源からの光(映像光)を観察者にとって適切で見易いものにする等の目的で、複数の部材を積層して構成されている。このような積層構造を有する映像表示部を構成する各部材を貼り合わせる接着剤には、適度な接着力に加えて高い透明度が求められる。
透明な接着剤を作成するには、例えばアクリル樹脂などの透明な樹脂を用いることが考えられる。アクリル樹脂を用いた接着剤に関する技術として、例えば特許文献1には、(メタ)アクリレート系ポリマーと、金属水酸化物とを有する感圧接着性組成物であって、前記(メタ)アクリレート系ポリマーが、イオン架橋構造を有し、前記金属水酸化物が周期表第2族または第13族の金属の水酸化物であり、前記(メタ)アクリレート系ポリマー100重量部に対する前記金属水酸化物の配合割合が50〜200重量部である感圧接着性組成物が開示されている。
また、特許文献2〜4には、イオン架橋構造を有する粘着剤が開示されている。イオン架橋構造を導入することによって、粘着剤の凝集力および抗せん断力が増すと考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示された技術のように、有色のフィラーを添加した接着剤は、高い透明度を求められる用途には不向きである。また、特許文献2〜4に開示された技術のように、イオン架橋構造を形成する物質を多量に添加しようとすると、粘着剤をシート状に成形したり基材に塗工したりする前の前駆体の粘度が高くなり過ぎることによって、粘着剤の生産性が低下するという問題があった。このように、従来技術では、適度な接着力に加えて高い透明度と生産性とを成立させることが困難であった。そこで、本発明は、適度な接着力を有し、透明度が高く、生産性が良い感圧接着剤組成物及び感圧接着性シート状成形体と、これらの製造方法と、該感圧接着剤組成物又は該感圧接着性シート状成形体を備えた表示装置とを提供することを課題とする。
本発明の第1の態様は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)を0.3質量部以上9質量部以下と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)を0.15質量部以上1.8質量部以下と、を含む混合組成物中において、少なくとも、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、が行われてなる、感圧接着剤組成物(F)である。
本明細書中において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル、及び/又は、メタクリル」を意味する。また、「(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応」とは、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体を得る重合反応を意味する。また、「(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応」とは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)同士の架橋反応、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体同士の架橋反応、及び、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)と(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体との架橋反応のうち、一又は複数の架橋反応を意味する。
本発明の第2の態様は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)を0.3質量部以上9質量部以下と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)を0.15質量部以上1.8質量部以下と、を含む混合組成物をシート状に成形した後、又は該混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、が行われてなる、感圧接着性シート状成形体(G)である。
本発明の第3の態様は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)を0.3質量部以上9質量部以下と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)を0.15質量部以上1.8質量部以下と、を含む混合組成物を作製する工程、並びに、該混合組成物中において、少なくとも、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、を行う工程、を含む、感圧接着剤組成物(F)の製造方法である。
本発明の第4の態様は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)を0.3質量部以上9質量部以下と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)を0.15質量部以上1.8質量部以下と、を含む混合組成物を作製する工程、並びに、該混合組成物をシート状に成形した後、又は、該混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、を行う工程、を含む、感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法である。
本発明の第5の態様は、上記本発明の第1の態様の感圧接着剤組成物(F)、又は、上記本発明の第2の態様の感圧接着性シート状成形体(G)を備えた表示装置である。
本発明によれば、適度な接着力を有し、透明度が高く、生産性が良い感圧接着剤組成物及び感圧接着性シート状成形体と、これらの製造方法と、該感圧接着剤組成物又は該感圧接着性シート状成形体を備えた表示装置とを提供することができる。
1.感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)
本発明の感圧接着剤組成物(F)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)(以下、単に「多官能性単量体(B)」という場合がある。)と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)(以下、単に「多官能性単量体(C)」という場合がある。)と、を含む混合組成物中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、が行われてなるものである。
本発明の感圧接着剤組成物(F)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)(以下、単に「多官能性単量体(B)」という場合がある。)と、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)(以下、単に「多官能性単量体(C)」という場合がある。)と、を含む混合組成物中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、が行われてなるものである。
また、本発明の感圧接着性シート状成形体(G)は、上記混合組成物をシート状に成形した後、又は上記混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、が行われてなるものである。
このような感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)を構成する物質について以下に説明する。
<(メタ)アクリル樹脂組成物(A)>
本発明に用いる(メタ)アクリル樹脂組成物(A)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含んでいる。なお、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)を得る際には、上述したように重合反応及び架橋反応が行われる。当該重合反応及び架橋反応を行うことによって(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の成分と混合及び/又は一部結合する。
本発明に用いる(メタ)アクリル樹脂組成物(A)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含んでいる。なお、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)を得る際には、上述したように重合反応及び架橋反応が行われる。当該重合反応及び架橋反応を行うことによって(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の成分と混合及び/又は一部結合する。
本発明において、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量%として、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が50質量%以上80質量%以下、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)が20質量%以上50質量%以下であることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が55質量%以上75質量%以下、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)が25質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の含有比率を上記範囲とすることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)を成形することが容易になる。(メタ)アクリル樹脂組成物(A)に含まれる成分について、以下により詳細に説明する。
((メタ)アクリル酸エステル重合体(A1))
本発明に用いることができる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a1)、及び、有機酸基を有する単量体単位(a2)を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a1)、及び、有機酸基を有する単量体単位(a2)を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位(a1)を与える(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は特に限定されないが、例えば、アクリル酸エチル(単独重合体のガラス転移温度は、−24℃)、アクリル酸n−プロピル(同−37℃)、アクリル酸n−ブチル(同−54℃)、アクリル酸sec−ブチル(同−22℃)、アクリル酸n−ヘプチル(同−60℃)、アクリル酸n−ヘキシル(同−61℃)、アクリル酸n−オクチル(同−65℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(同−50℃)、アクリル酸2−メトキシエチル(同−50℃)、アクリル酸3−メトキシプロピル(同−75℃)、アクリル酸3−メトキシブチル(同−56℃)、アクリル酸エトキシメチル(同−50℃)、メタクリル酸n−オクチル(同−25℃)、メタクリル酸n−デシル(同−49℃)などを挙げることができる。中でも、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましく、アクリル酸2−エチルヘキシルがさらに好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、それから導かれる単量体単位(a1)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは80質量%以上99.9質量%以下、より好ましくは85質量%以上99.5質量%以下となるような量で重合に供する。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)の使用量が上記範囲内であると、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
次に、有機酸基を有する単量体単位(a2)について説明する。有機酸基を有する単量体単位(a2)を与える単量体(a2m)は特に限定されないが、その代表的なものとして、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基などの有機酸基を有する単量体を挙げることができる。また、これらのほか、スルフェン酸基、スルフィン酸基、燐酸基などを含有する単量体も使用することができる。
カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の他、イタコン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノプロピルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステルなどを挙げることができる。また、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの、加水分解などによりカルボキシル基に誘導することができる基を有するものも同様に使用することができる。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのα,β−不飽和スルホン酸、及び、これらの塩を挙げることができる。
単量体(a2m)としては、上に例示した有機酸基を有する単量体のうち、カルボキシル基を有する単量体がより好ましく、中でも、アクリル酸又はメタクリル酸を有する単量体が特に好ましい。これらの単量体は工業的に安価で容易に入手することができ、他の単量体成分との共重合性も良く、生産性の点でも好ましい。なお、単量体(a2m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
有機酸基を有する単量体(a2m)は、それから導かれる単量体単位(a2)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下となるような量で重合に供する。有機酸基を有する単量体(a2m)の使用量が上記範囲内であると、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
なお、有機酸基を有する単量体単位(a2)は、前述のように、有機酸基を有する単量体(a2m)の重合によって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中に導入するのが簡便であり好ましいが、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を生成後に、公知の高分子反応により、有機酸基を導入してもよい。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)から誘導される単量体単位(a3)を含有していてもよい。上記有機酸基以外の官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、メルカプト基などを挙げることができる。
水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどを挙げることができる。
アミノ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アミノスチレンなどを挙げることができる。
アミド基を有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体などを挙げることができる。
エポキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
これらの有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、それから導かれる単量体単位(a3)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、10質量%以下となるような量で重合に使用することが好ましい。10質量%以下の単量体(a3m)を使用することにより、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことが容易になる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、上述したガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a1)、有機酸基を有する単量体単位(a2)、及び、有機酸基以外の官能基を有する単量体単位(a3)以外に、上述した単量体と共重合可能な単量体(a4m)から誘導される単量体単位(a4)を含有していてもよい。
単量体(a4m)は、特に限定されないが、その具体例として、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステル、アルケニル芳香族単量体、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、オレフィン系単量体などを挙げることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、アクリル酸メチル(単独重合体のガラス転移温度は、10℃)、メタクリル酸メチル(同105℃)、メタクリル酸エチル(同63℃)、メタクリル酸n−プロピル(同25℃)、メタクリル酸n−ブチル(同20℃)などを挙げることができる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステルの具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチルなどを挙げることができる。
アルケニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエン、及び、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
共役ジエン系単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレンと同義)、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエンなどを挙げることができる。
非共役ジエン系単量体の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどを挙げることができる。
シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどを挙げることができる。
カルボン酸不飽和アルコールエステル単量体の具体例としては、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンなどを挙げることができる。
単量体(a4m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
単量体(a4m)は、それから導かれる単量体単位(a4)の量が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下となるような量で重合に供する。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、上述した、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)、有機酸基を有する単量体(a2m)、必要に応じて使用する、有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)、及び、必要に応じて使用するこれらの単量体と共重合可能な単量体(a4m)を共重合することによって特に好適に得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を得る際の重合方法は特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などのいずれであってもよく、これら以外の方法でもよい。ただしこれらの重合方法の中で溶液重合が好ましく、中でも重合溶媒として、酢酸エチル、乳酸エチルなどのカルボン酸エステルやベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒を用いた溶液重合がより好ましい。重合に際して、単量体は、重合反応容器に分割添加してもよいが、全量を一括添加するのが好ましい。重合開始の方法は、特に限定されないが、重合開始剤として熱重合開始剤を用いるのが好ましい。当該熱重合開始剤は特に限定されず、例えば過酸化物重合開始剤やアゾ化合物重合開始剤を用いることができる。
過酸化物重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドや、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドのようなペルオキシドの他、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩などを挙げることができる。これらの過酸化物は、還元剤と適宜組み合わせて、レドックス系触媒として使用することもできる。
アゾ化合物重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などを挙げることができる。
重合開始剤の使用量は特に限定されないが、単量体100質量部に対して0.01質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましい。
これらの単量体のその他の重合条件(重合温度、圧力、撹拌条件など)は、特に制限がない。
重合反応終了後、必要により、得られた重合体を重合媒体から分離する。分離の方法は特に限定されない。例えば、溶液重合の場合、重合溶液を減圧下に置き、重合溶媒を留去することによって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、10万以上100万以下の範囲にあることが好ましく、20万以上90万以下の範囲にあることが、より好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)とは、分子量測定ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したものを意味する(以下、同じ。)。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、重合の際に使用する重合開始剤の量や、連鎖移動剤の量を適宜調整することによって制御することができる。
なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、重量平均分子量(Mw)が異なる2種の(メタ)アクリル酸エステル重合体を混合して用いることが好ましい。この場合、重量平均分子量(Mw)が比較的大きな(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を適量用いることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に適切な引張強度を持たせやすくなる。一方、重量平均分子量(Mw)が比較的小さな(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を適量用いることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に適度な柔軟性を持たせやすくなる。すなわち、重量平均分子量(Mw)が異なる2種の(メタ)アクリル酸エステル重合体を混合して用いることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に適度な引張強度と柔軟性とを両立させやすくなる。
この場合、重量平均分子量(Mw)が比較的大きな(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は50万以上100万以下が好ましく、重量平均分子量(Mw)が比較的小さな(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は10万以上50万未満が好ましい。また、両者の含有量比は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)全体を100質量%として、重量平均分子量(Mw)が比較的大きな(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が15〜35質量%、重量平均分子量(Mw)が比較的小さな(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が65〜85質量%であることが好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、重量平均分子量(Mw)が異なる3種以上の(メタ)アクリル酸エステル重合体を混合して用いてもよい。
((メタ)アクリル酸エステル単量体(α1))
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有するものであれば特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)を含有するものであることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有するものであれば特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)を含有するものであることが好ましい。
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)と同様の(メタ)アクリル酸エステル単量体を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは75質量%以上100質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率を上記範囲とすることによって、感圧接着性や柔軟性に優れた感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)を得やすくなる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)、及び、これらと共重合可能な有機酸基を有する単量体(a6m)の混合物としてもよい。
上記単量体(a6m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a2m)として例示したものと同様の有機酸基を有する単量体を挙げることができる。単量体(a6m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a6m)の比率は、30質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a6m)の比率を上記範囲とすることによって、感圧接着性や柔軟性に優れた感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)を得やすくなる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)及び所望により共重合させることができる有機酸基を有する単量体(a6m)の他に、これらと共重合可能な単量体(a7m)も含む混合物としてもよい。
上記単量体(a7m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a3m)、及び単量体(a4m)として例示したものと同様の単量体を挙げることができる。単量体(a7m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)における単量体(a7m)の比率は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
<多官能性単量体(B)>
次に、多官能性単量体(B)について説明する。多官能性単量体(B)は、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体である。多官能性単量体(B)と後述する多官能性単量体(C)とを所定量ずつ併用することによって、多官能性単量体(C)の添加量を従来よりも少なくしても感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に感圧接着剤としての適正な凝集力を付与しやすくなる。
次に、多官能性単量体(B)について説明する。多官能性単量体(B)は、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体である。多官能性単量体(B)と後述する多官能性単量体(C)とを所定量ずつ併用することによって、多官能性単量体(C)の添加量を従来よりも少なくしても感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に感圧接着剤としての適正な凝集力を付与しやすくなる。
本発明に用いることができる多官能性単量体(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)に含まれる単量体と共重合可能なものを用いる。また、当該多官能性単量体(B)は重合性不飽和結合を末端に有することが好ましい。このような多官能性単量体(B)を用いることによって、共重合体に分子内及び/又は分子間架橋を導入して、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の感圧接着剤としての凝集力を高めることができる。
多官能性単量体(B)としては、例えば1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートや、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチレン−5−トリアジンなどの置換トリアジンの他、4−アクリルオキシベンゾフェノンのようなモノエチレン系不飽和芳香族ケトンなどを用いることができる。中でも、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性単量体(B)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
多官能性単量体(B)の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部として、0.3質量部以上9質量部以下であり、0.3質量部以上8質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上7質量部以下であることがより好ましい。多官能性単量体(B)の使用量を上記範囲とし、後述する多官能性単量体(C)を所定量併用することによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に感圧接着剤としての適正な凝集力を付与しやすくなる。
<多官能性単量体(C)>
次に、多官能性単量体(C)について説明する。多官能性単量体(C)は、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体である。多官能性単量体(C)を用いることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)にイオン架橋構造を導入し、凝集力を付与することができる。しかしながら、多官能性単量体(C)を多量に添加すると、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の前駆体である混合組成物の粘度が過度に上昇しやすくなり、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の生産性が悪くなる。本発明によれば、上述したように、多官能性単量体(B)と多官能性単量体(C)とを所定量ずつ併用することによって、多官能性単量体(C)の添加量を従来よりも少なくしても感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に感圧接着剤としての適正な凝集力を付与しやすくなる。
次に、多官能性単量体(C)について説明する。多官能性単量体(C)は、重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体である。多官能性単量体(C)を用いることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)にイオン架橋構造を導入し、凝集力を付与することができる。しかしながら、多官能性単量体(C)を多量に添加すると、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の前駆体である混合組成物の粘度が過度に上昇しやすくなり、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の生産性が悪くなる。本発明によれば、上述したように、多官能性単量体(B)と多官能性単量体(C)とを所定量ずつ併用することによって、多官能性単量体(C)の添加量を従来よりも少なくしても感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に感圧接着剤としての適正な凝集力を付与しやすくなる。
本発明に用いることができる多官能性単量体(C)としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)に含まれる単量体と共重合可能なものを用いる。また、多官能性単量体(C)は重合性不飽和結合を末端に有することが好ましい。このような多官能性単量体(C)を用いることによって、多官能性単量体(C)が(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)と共重合した結果、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)にイオン架橋構造を導入して感圧接着剤としての凝集力を高めることができる。
多官能性単量体(C)としては、例えば、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸ストロンチウム、(メタ)アクリル酸バリウム、(メタ)アクリル酸ニッケル、(メタ)アクリル酸銅などを挙げることができる。中でも、(メタ)アクリル酸亜鉛が好ましく、メタクリル酸亜鉛がより好ましい。多官能性単量体(C)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
多官能性単量体(C)の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部として、0.15質量部以上1.8質量部以下であり、0.2質量部以上1.5質量部以下であることが好ましい。多官能性単量体(C)の使用量を上記範囲とすることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に感圧接着剤としての適正な凝集力を付与しやすくなる。
<重合開始剤>
感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)を得る際、上述したように(メタ)アクリル樹脂組成物(A)に含まれる成分が重合する。当該重合反応を促進するため、重合開始剤を用いることが好ましい。当該重合開始剤としては、光重合開始剤、アゾ系熱重合開始剤、有機過酸化物熱重合開始剤などが挙げられる。ただし、得られる感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に強い接着力を付与する等の観点からは、有機過酸化物熱重合開始剤を用いることが好ましい。
感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)を得る際、上述したように(メタ)アクリル樹脂組成物(A)に含まれる成分が重合する。当該重合反応を促進するため、重合開始剤を用いることが好ましい。当該重合開始剤としては、光重合開始剤、アゾ系熱重合開始剤、有機過酸化物熱重合開始剤などが挙げられる。ただし、得られる感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に強い接着力を付与する等の観点からは、有機過酸化物熱重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、公知の各種光重合開始剤を用いることができる。その中でも、アシルホスフィンオキサイド系化合物が好ましい。好ましい光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
アゾ系熱重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などが挙げられる。
有機過酸化物熱重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドや、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンのようなペルオキシドなどを挙げることができる。ただし、熱分解時に臭気の原因となる揮発性物質を放出しないものが好ましい。また、有機過酸化物熱重合開始剤の中でも、1分間半減期温度が100℃以上かつ170℃以下のものが好ましい。
上記重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル樹脂組成物(A)100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上2質量部以下であることがさらに好ましい。重合開始剤の使用量を上記範囲とすることによって、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率を適正な範囲にし易くなり、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に単量体臭が残ることを防止し易くなる。なお、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率は、95質量%以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合転化率が95質量%以上であれば、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)に単量体臭が残ることを防止し易くなる。また、重合開始剤の使用量を上記範囲とすることによって、重合反応が過度に進行して感圧接着性シート状成形体(G)が平滑なシート状にならずに材料破壊を起こすという事態を防止し易くなる。
<諸性能>
本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)は透明な(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を主成分としており、適度な接着力を有している。また、本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の透明度を過度に損なう種類及び量のフィラーを含んでいないため、高い透明度を有している。さらに、本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)によれば、多官能性単量体(B)および多官能性単量体(C)を所定量ずつ併用することによって、多官能性単量体(C)の使用量を従来よりも少なくしても適正な凝集力を付与することができる。多官能性単量体(C)の使用量を従来よりも少なくすることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の前駆体である混合組成物の過度な粘度上昇を抑制することができるので、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の生産性を向上させることができる。
本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)は透明な(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を主成分としており、適度な接着力を有している。また、本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の透明度を過度に損なう種類及び量のフィラーを含んでいないため、高い透明度を有している。さらに、本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)によれば、多官能性単量体(B)および多官能性単量体(C)を所定量ずつ併用することによって、多官能性単量体(C)の使用量を従来よりも少なくしても適正な凝集力を付与することができる。多官能性単量体(C)の使用量を従来よりも少なくすることによって、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の前駆体である混合組成物の過度な粘度上昇を抑制することができるので、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の生産性を向上させることができる。
<添加剤>
本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)には、これまでに説明した物質以外にも、上述した本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の諸性能を満足できる範囲で、公知の各種添加剤を添加することができる。公知の添加剤としては、ガラス繊維;外部架橋剤;アクリル系ポリマー粒子などの増粘剤;リン酸エステルなどの難燃剤;などの、製品の透明度を過度に損なわない添加剤を挙げることができる。
本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)には、これまでに説明した物質以外にも、上述した本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の諸性能を満足できる範囲で、公知の各種添加剤を添加することができる。公知の添加剤としては、ガラス繊維;外部架橋剤;アクリル系ポリマー粒子などの増粘剤;リン酸エステルなどの難燃剤;などの、製品の透明度を過度に損なわない添加剤を挙げることができる。
<用途>
上記のように、本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)は高い透明度を有している。したがって、本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)は、表示装置の表示部を構成する部材の貼合に好適である。
上記のように、本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)は高い透明度を有している。したがって、本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)は、表示装置の表示部を構成する部材の貼合に好適である。
2.製造方法
次に、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法について説明する。
次に、感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法について説明する。
本発明の感圧接着剤組成物(F)は、これまでに説明した各物質を混合して混合組成物を作製した後、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と行うことにより得ることができる。
すなわち、本発明の感圧接着剤組成物(F)の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)と、多官能性単量体(B)と、多官能性単量体(C)と、を含む混合組成物を作製する工程、並びに、該混合組成物中において、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、を行う工程を含んでいる。なお、その他に使用できる物質や、各物質の好ましい含有比率等は上述した通りであり、ここでは詳細な説明を省略する。
本発明の感圧接着性シート状成形体(G)は、これまでに説明した各物質を混合して混合組成物を作製し、該混合組成物をシート状に成形した後、又は該混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、を行うことにより得ることができる。
すなわち、本発明の感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)と、多官能性単量体(B)と、多官能性単量体(C)と、を含む混合組成物を作製する工程、並びに、該混合組成物をシート状に成形した後、又は、該混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、を行う工程を含んでいる。なお、その他に使用できる物質や、各物質の好ましい含有比率等は上述した通りであり、ここでは詳細な説明を省略する。
本発明の感圧接着剤組成物(F)及び感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法において、上記重合及び架橋反応を行う際には、加熱することが好ましい。当該加熱には、例えば、熱風、電気ヒーター、赤外線などを用いることができる。このときの加熱温度は、重合開始剤が効率良く分解し、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合が進行する温度が好ましい。温度範囲は、用いる重合開始剤の種類等により異なるが、100℃以上200℃以下が好ましく、130℃以上180℃以下がより好ましい。
また、本発明の感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法において、上記混合組成物をシート状に成形する方法は特に限定されない。好適な方法としては、例えば、離型処理したポリエステルフィルムなどの工程紙の上に上記混合組成物を塗布してシートを成形する方法、二枚の離型処理した工程紙間に上記混合組成物を挟んでロールの間を通して押圧することでシートを成形する方法、及び、押出機を用いて上記混合組成物を押出し、その際にダイスを通して厚さを制御することでシートを成形する方法などが挙げられる。
感圧接着性シート状成形体(G)の厚さは特に限定されないが、0.05mm以上5mm以下にすることができ、0.08mm以上4.5mm以下であることが好ましく、0.1mm以上4mm以下であることがより好ましい。感圧接着性シート状成形体(G)の厚さを上記範囲の上限以下とすることによって、感圧接着性シート状成形体(G)の透明度を高めやすくなる。また、感圧接着性シート状成形体(G)の厚さを上記範囲の下限以上とすることによって、取り扱いやすくなる。
以下に、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、ここで用いる「部」や「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
<透明度>
後に説明するようにして感圧接着性シート状成形体を作製し、これを5枚重ねて名刺の上に乗せた。名刺の文字を読み取れた場合を「○」、読み取れなかった場合を「×」として、結果を表1に示した。
後に説明するようにして感圧接着性シート状成形体を作製し、これを5枚重ねて名刺の上に乗せた。名刺の文字を読み取れた場合を「○」、読み取れなかった場合を「×」として、結果を表1に示した。
<反応前粘度(生産性)>
後述する混合組成物の入ったホバート容器を水平面に対して30°傾け、1分後の混合組成物の状態で評価した。混合組成物に流動性があった方が、これをシート化する際の生産性が高い。よって、混合組成物が傾斜に沿って流れた場合を「○」、動かなかった場合を「×」として、結果を表1に示した。
後述する混合組成物の入ったホバート容器を水平面に対して30°傾け、1分後の混合組成物の状態で評価した。混合組成物に流動性があった方が、これをシート化する際の生産性が高い。よって、混合組成物が傾斜に沿って流れた場合を「○」、動かなかった場合を「×」として、結果を表1に示した。
<PET剥離性(凝集力)>
後に説明するようにして離型PETフィルム(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム。以下同じ。)によって上面及び下面がそれぞれ被覆された感圧接着性シート状成形体を作製し、その後、上面側の離型PETフィルムを剥がした。このとき、感圧接着性シート状成形体に適正な凝集力が付与されていれば、感圧接着性シート状成形体を破壊することなく離型PETフィルムを剥がすことができる。感圧接着性シート状成形体を破壊することなく剥がせた場合を「○」、感圧接着性シート状成形体が破壊された場合を「×」として、その結果を表1に示した。
後に説明するようにして離型PETフィルム(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム。以下同じ。)によって上面及び下面がそれぞれ被覆された感圧接着性シート状成形体を作製し、その後、上面側の離型PETフィルムを剥がした。このとき、感圧接着性シート状成形体に適正な凝集力が付与されていれば、感圧接着性シート状成形体を破壊することなく離型PETフィルムを剥がすことができる。感圧接着性シート状成形体を破壊することなく剥がせた場合を「○」、感圧接着性シート状成形体が破壊された場合を「×」として、その結果を表1に示した。
<接着力>
以下の手順で、感圧接着性シート状成形体をアルミニウム板に貼付した直後の接着力を評価した。結果を表1に示した。まず、後述する方法で作製した感圧接着性シート状成形体を10mm×10mmの大きさに裁断した試験片を用意した。この試験片をアルミニウム板に貼り付けて、試験片の上で200gのローラーを1往復させて試験片をアルミニウム板側に押圧した。次に、引張試験機にて試験片を挟み、アルミニウム板から試験片を引きはがすときの応力を求めた。このとき、引張速度は100mm/分とした。同様の試験を複数回行い、その平均値を求め、これをアルミニウム板に貼付した直後の接着力(N/cm)とした。
以下の手順で、感圧接着性シート状成形体をアルミニウム板に貼付した直後の接着力を評価した。結果を表1に示した。まず、後述する方法で作製した感圧接着性シート状成形体を10mm×10mmの大きさに裁断した試験片を用意した。この試験片をアルミニウム板に貼り付けて、試験片の上で200gのローラーを1往復させて試験片をアルミニウム板側に押圧した。次に、引張試験機にて試験片を挟み、アルミニウム板から試験片を引きはがすときの応力を求めた。このとき、引張速度は100mm/分とした。同様の試験を複数回行い、その平均値を求め、これをアルミニウム板に貼付した直後の接着力(N/cm)とした。
<感圧接着性シート状成形体の作製>
(実施例1)
反応器に、アクリル酸2−エチルヘキシル94%とアクリル酸6%とからなる単量体混合物100部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.015部及び酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行った。重合転化率は97%であった。得られた重合体を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、粘性のある固体状の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)を得た。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)の重量平均分子量(Mw)は800,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.5であった。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求めた。
(実施例1)
反応器に、アクリル酸2−エチルヘキシル94%とアクリル酸6%とからなる単量体混合物100部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.015部及び酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行った。重合転化率は97%であった。得られた重合体を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、粘性のある固体状の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)を得た。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)の重量平均分子量(Mw)は800,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.5であった。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求めた。
反応器に、アクリル酸2−エチルヘキシル94%とアクリル酸6%とからなる単量体混合物100部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.03部及び酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行った。重合転化率は97%であった。得られた重合体を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、粘性のある固体状の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−2)を得た。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−2)の重量平均分子量(Mw)は270,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は3.1であった。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求めた。
次に、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)35部と、重合開始剤(1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(1分間半減期温度は150℃である。))0.2部と、多官能性単量体(B)(ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びペンタエリスリトールジアクリレートを60:35:5の割合で混合した多官能性単量体(ライトアクリレートPE−3A、共栄社化学株式会社製))0.3部と、多官能性単量体(C)(メタクリル酸亜鉛 SK−30、三新化学工業株式会社製)0.5部と、を電子天秤で計量し、これらを上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)15部、及び上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−2)50部と混合した。混合には、恒温槽(ビスコメイト 150III、東機産業株式会社製)及びホバートミキサー(ACM−5LVT型、株式会社小平製作所製、容量:5L)を用いた。ホバート容器の温調は40℃に設定し、回転数目盛を3にして10分間攪拌し、混合組成物を得た。
次に、上記混合組成物を、厚さ75μmの離型PETフィルム上に垂らし、当該混合組成物上にさらに、厚さ75μmの他の離型PETフィルムを被せた。混合組成物が離型PETフィルムに挟持されたこの積層体を、間隔を1.15mmに調整したロールの間に通し、混合組成物をシート状に成形した。その後、当該積層体をオーブンに投入し、150℃で15分間加熱した。この加熱工程によって、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合反応させ、またほぼ同時に、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−1)、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1−2)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構造単位を含む重合体を架橋反応させ、厚さ1mmの感圧接着性シート状成形体(以下、単に「シート」と表記する。)(G1)を得た。なお、シート(G1)中の残存単量体量から(メタ)アクリル酸エステル単量体の重合転化率を計算したところ、99.9%であった。
(実施例2〜5、及び比較例1〜6)
各物質の配合を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様にして実施例2〜5に係るシート(G2〜G5)、及び比較例1〜6に係るシート(GC1〜GC6)を作製した。なお、比較例4では、多官能性単量体(B)および多官能性単量体(C)を用いずに酸化亜鉛(WZ−0501 アムテック社製)を用いた。
各物質の配合を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様にして実施例2〜5に係るシート(G2〜G5)、及び比較例1〜6に係るシート(GC1〜GC6)を作製した。なお、比較例4では、多官能性単量体(B)および多官能性単量体(C)を用いずに酸化亜鉛(WZ−0501 アムテック社製)を用いた。
表1に示したように、実施例にかかるシート(G1〜G5)はいずれも透明度が高く、生産性が良く、凝集力および接着力が適正であった。一方、メタクリル酸亜鉛を用いなかった比較例1にかかるシート(GC1)は、凝集力が不十分であり、離型PETフィルムを剥がす際に壊れた。また、多官能性単量体(B)を用いず、メタクリル酸亜鉛を本発明の規定量より少ない量添加した比較例2にかかるシート(GC2)も、凝集力が不十分であり、離型PETフィルムを剥がす際に壊れた。また、メタクリル酸亜鉛を本発明の規定量を超えて添加した比較例3にかかるシート(GC3)は、混合組成物の粘度が高くなりすぎたことによって、シート化が困難であった。また、酸化亜鉛を添加した比較例4にかかるシート(GC4)は、透明度が低かった。また、多官能性単量体(B)の添加量が本発明の規定量未満であった比較例5にかかるシート(GC5)は、凝集力が不十分であり、離型PETフィルムを剥がす際に壊れた。また、多官能性単量体(B)を本発明の規定量を超えて添加した比較例6にかかるシート(GC6)は、シートが硬くなり過ぎたことによって、接着力が劣っていた。
Claims (5)
- (メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、
重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)を0.3質量部以上9質量部以下と、
重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)を0.15質量部以上1.8質量部以下と、
を含む混合組成物中において、少なくとも、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、が行われてなる、感圧接着剤組成物(F)。 - (メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、
重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)を0.3質量部以上9質量部以下と、
重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)を0.15質量部以上1.8質量部以下と、
を含む混合組成物をシート状に成形した後、又は該混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、が行われてなる、感圧接着性シート状成形体(G)。 - (メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、
重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)を0.3質量部以上9質量部以下と、
重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)を0.15質量部以上1.8質量部以下と、
を含む混合組成物を作製する工程、並びに、
前記混合組成物中において、少なくとも、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、を行う工程、
を含む、感圧接着剤組成物(F)の製造方法。 - (メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物(A)を100質量部と、
重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有しない多官能性単量体(B)を0.3質量部以上9質量部以下と、
重合性不飽和結合を複数有し、且つイオン架橋構造を有する多官能性単量体(C)を0.15質量部以上1.8質量部以下と、
を含む混合組成物を作製する工程、並びに、
前記混合組成物をシート状に成形した後、又は、前記混合組成物をシート状に成形しながら、少なくとも、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)の重合反応と、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び/又は前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)由来の構造単位を含む重合体の架橋反応と、を行う工程、
を含む、感圧接着性シート状成形体(G)の製造方法。 - 請求項1に記載の感圧接着剤組成物(F)、又は、請求項2に記載の感圧接着性シート状成形体(G)、を備えた表示装置。
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