JP2014014667A - 吸収性物品の吸収体及びそれを備えた吸収性物品。 - Google Patents

吸収性物品の吸収体及びそれを備えた吸収性物品。 Download PDF

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Abstract

【課題】排泄された液の拡散速度が高く、排泄された液を素早く吸収することができ、かつ着用者の身体へのフィット性が良好な吸収体を提供すること。
【解決手段】吸収体は単層構造部位10を有する。吸収体は中央に位置する第1吸収部11と、第1吸収部11から長手方向に延出する第2吸収部12及び第3吸収部13とに区分される。第2吸収部12に存在する高吸収性ポリマーの坪量が、第3吸収部13に存在する高吸収性ポリマーの坪量よりも高くなっている。第1吸収部11の表面に、一方向に延びる第1凹部21が形成されている。第1凹部21はその端部が、吸収体10の側縁にまで達しておらず、かつその延びる方向が、吸収体10の長手方向を向いている。第2吸収部12の表面に、少なくとも第1凹部から連続しかつ吸収体10の長手方向に延在する第2凹部221が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる吸収体に関する。また本発明は、該吸収体を備えた使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、吸収体の構造や構成材料等を様々に改良し、その機能の向上等が図られてきた。例えば特許文献1においては、吸収体の構造に関し、該吸収体に含まれる吸収性ゲル化物質を、その少なくとも75%が吸収性物品の前方2/3の部分に見いだされるような方式で配置することが記載されている。
同じく吸収体の構造に関し、特許文献2には、パネルどうし間で屈曲可能な腹部パネルと股部パネルと背部パネルと外縁部パネルとが間隔を置いて配置され、各パネルが全体として1枚の吸収コアパネルとして保持されている吸収コアが記載されている。
特開平2−5945号公報 特開2004−49507号公報
特許文献1に記載の技術においては、吸収性ゲル化物質を特定の部位に偏在させることに起因して、該吸収性ゲル化物質の粒状感が過度に高くなり、それが着用者に知覚されやすくなる。その結果、良好な装着感が得られない場合がある。
特許文献2に記載の技術においては、吸収性物品の着用時に、各パネル間の屈曲部において肌面との間に隙間が生じると、その隙間を通じて液漏れを起こすことがある。更に、その隙間に起因して着用状態で違和感を生じることがある。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品の吸収体及びそれを備えた吸収性物品を提供することにある。
本発明は、パルプと高吸収性ポリマーとを含み、長手方向及びそれに直交する幅方向を有する吸収性物品の吸収体であって、
前記吸収体は少なくとも単層構造部位を有し、
前記吸収体は、これを長手方向に三分割したときに、中央に位置する第1吸収部と、該第1吸収部から長手方向の前方及び後方にそれぞれ延出する第2吸収部及び第3吸収部とに区分され、
第2吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量が、第3吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量よりも高くなっており、
第1吸収部の表面に、一方向に延びる第1凹部が形成されており、
一方向に延びる第1凹部はその端部が、前記吸収体の側縁にまで達しておらず、かつその延びる方向が、該吸収体の長手方向を向いており、
第2吸収部の表面に、少なくとも第1凹部から連続しかつ前記吸収体の長手方向に延在する第2凹部が形成されており、
第1凹部と第2凹部とが、前記吸収体における同じ側の表面に形成されている吸収性物品の吸収体を提供するものである。
本発明によれば、排泄された液の拡散速度が高く、排泄された液を素早く吸収することができ、かつ着用者の身体へのフィット性が良好な吸収体及び吸収性物品が提供される。
図1(a)は、本発明の吸収体の一実施形態を表面シート側から見た示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるb−b線断面図である。 図2は、図1に示す吸収体を備えた展開型の使い捨ておむつを、表面シート側から見た平面図である。 図3は、図2に示すおむつの分解斜視図である。 図4(a)ないし(i)は、吸収体の第2吸収部に形成された第2凹部の種々の他の態様を示す平面図である。 図5は、吸収体の第1吸収部に形成された第1凹部の他の態様を示す平面図である。 図6は、吸収体の第3吸収部に形成された第3凹部の他の態様を示す平面図である。 図7は、図1に示す吸収体の製造装置の一例を示す概略図である。 図8(a)は、図7に示す回転ドラムにおける外周面側の一部(凹部)の幅方向に沿った模式断面図であり、図8(b)は、図7に示す回転ドラムにおける外周面側の一部(凹部)の回転方向に沿った模式断面図である。 図9は、図7に示す回転ドラムの凹部に吸収性材料が堆積した状態を示す模式断面図である。 図10(a)は、図7に示す装置を用いて製造された吸収体前駆体の長手方向に沿う厚み方向での断面図であり、図10(b)は、図10(a)に示す吸収体前駆体を圧縮して得られた本発明の吸収体の長手方向に沿う厚み方向での断面図である。 図11は、実施例で製造した吸収体の平面図である。 図12は、実施例及び比較例で製造した吸収体の平面図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の吸収体は単層構造又は多層構造のものであり、パルプと高吸収性ポリマーとを含む単層構造部位を少なくとも有している。そして、該吸収体の長手方向における特定の部位に高吸収性ポリマーを偏在させるとともに、該吸収体の長手方向における中央域に、長手方向に延びる凹部を有する点に特徴の一つを有する。吸収体10が単層構造である場合には、前記単層構造部位そのものが吸収体10を構成する。吸収体10が多層構造である場合には、該多層構造のうちの少なくとも1層が前記単層構造部位からなる。吸収体10が単層である場合には、該吸収体10として前記単層構造部位そのものを用いるか、又は該単層構造部位をティッシュペーパーや不織布等の液透過性のシートで被覆して用いる。吸収体10が多層構造である場合には、多層構造の該吸収体10そのものを用いるか、又は多層構造の該吸収体10全体を液透過性のシートで被覆して用いる。あるいは、多層構造の各層をそれぞれ液透過性のシートで被覆し、それらを積層して用いる。なお以下の説明においては、吸収体10の坪量や厚み、及び高吸収性ポリマーの坪量に関する記載があるところ、それらの値は吸収体10から液透過性のシートを除去した状態で測定されたものを意味する。
図1(a)及び(b)には、本発明の吸収体の一実施形態としての単層構造からなる吸収体10が示されている。したがって同図に示す吸収体10は、本発明に言う単層構造部位に該当する。同図に示す吸収体10は、長手方向Y及びそれに直交する幅方向Xを有する縦長の形状を有している。吸収体10はその長手方向の中央域に第1吸収部11を有する。更に吸収体10は、第1吸収部10から長手方向の前方及び後方にそれぞれ延出する第2吸収部12及び第3吸収部13を有する。第1、第2及び第3吸収部11,12,13は、単に吸収体10の平面視での領域を区分表示しただけであり、それぞれの吸収部間で分離しているものではない。本発明においては第1、第2及び第3吸収部11,12,13の位置を客観的に特定するために、吸収体10を長手方向に仮想的に三分割したときに、中央に位置する部位を第1吸収部11と定める。第1吸収部11は吸収体10の長手方向の長さの1/2を占めるものとする。そして、第1吸収部10から長手方向の前方及び後方にそれぞれ延出する1/4ずつの領域を第2吸収部12及び第3吸収部13と定める。後述する図2に示すとおり、吸収体10が吸収性物品に組み込まれた場合、第1吸収部11が物品の股下部に位置し、第2吸収部12が腹側部に位置し、第3吸収部13が背側部に位置する。第2吸収部12は吸収体10の幅方向全面に位置している。
図1に示す吸収体10は、平面視において長手方向に長辺を有する略矩形状をしている。尤も吸収体10の形状はこれに限られず、例えば吸収体10が着用者の鼠蹊部にフィットするようにすることを目的として、第1吸収部11における左右の側縁が幅方向内方に向けて湾曲した形状であってもよい。また、第2吸収部12における長手方向端部域の幅又は第3吸収部13における長手方向端部域の幅が、長手方向端縁に向かうに連れて漸次狭くなるような形状としてもよい。
上述した高吸収性ポリマーの偏在に関しては、第2吸収部12に存在する高吸収性ポリマーの坪量が、第3吸収部13に存在する高吸収性ポリマーの坪量よりも高くなっている。つまり高吸収性ポリマーの坪量に関し、第2吸収部12は第3吸収部13に対して高坪量部になっている。第2吸収部12は、吸収体10を吸収性物品に組み込んだときに腹側部に位置する部位であり、第3吸収部13は背側部に位置する部位であるから、高吸収性ポリマーは背側部よりも腹側部の側に偏在していることになる。高吸収性ポリマーをこのように偏在させることで、吸収体10の全面積を液の吸収のために効率的に利用することができる。この観点から、第3吸収部13に存在する高吸収性ポリマーの坪量を1としたとき、第2吸収部12に存在する高吸収性ポリマーの坪量が、1よりも大きいことが好ましく、1.2以上であることが更に好ましく、1.5以上であることが一層好ましい。上限値に関しては2.5よりも小さいことが好ましく、2.3以下であることが更に好ましく、2.0以下であることが一層好ましい。また、第2吸収部12と第3吸収部13とでの高吸収性ポリマーの坪量の関係をこのように設定することで、高坪量部である第2吸収部12において高吸収性ポリマーを多量に配することに起因する粒状感の発生を、効果的に防止することもできる。
高吸収性ポリマーを偏在させる場合には、偏在の境界面がゆるやかに変化することが好ましい。高吸収性ポリマーの偏在の境界面がゆるやかに変化していることによって、偏在の境界面における毛管力が急激に変化せず、ゆるやかに変化する。毛管力が急激に変化してしまった部分では、配設されたすべての液が毛管力の変化に反応しきれず、液の滞留を引き起こし自由水を増加させてしまい、吸収時間の遅延やウエットバック量の増加を引き起こしてしまう場合がある。これに対して、吸収体の平面方向における毛管力がゆるやかに変化していると、毛管力の変化がゆるやかであるために、配設された液もゆるやかに分布することになる。その結果、液の吸収時間の短縮効果やウエットバック量の低減効果を最大限に高めることができる。
以上の説明は、第2吸収部12と第3吸収部13との間での高吸収性ポリマーの坪量に関してのものであるところ、第1吸収部11における高吸収性ポリマーの坪量に関しては以下のとおりであることが好ましい。第1吸収部11のうち、第2吸収部12と連接している部位での高吸収性ポリマーの坪量は、第2吸収部12での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっていることが好ましい。一方、第1吸収部11のうち、第3吸収部13と連接している部位での高吸収性ポリマーの坪量は、第3吸収部13での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっていることが好ましい。したがって第1吸収部11内には、図1に示すとおり、第2吸収部12での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位112と、第3吸収部13での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位113とが混在している。その結果、第1吸収部11内には、部位112と部位113との境界部Kが存在する。
別の好ましい態様として、第1吸収部11の全域での高吸収性ポリマーの坪量が、第2吸収部12での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている態様が挙げられる。この場合には、第2吸収部12での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位112と、第3吸収部13での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位113との境界部Kは、第1吸収部11と第3吸収部13との境界部と一致する。
更に別の好ましい態様として、第1吸収部11の全域での高吸収性ポリマーの坪量が、第2吸収部12での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっており、かつ第3吸収部13のうち、第1吸収部11と連接している部位での高吸収性ポリマーの坪量が、第1吸収部11での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている態様が挙げられる。この場合には、第2吸収部12での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位112と、第3吸収部13での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位113との境界部Kは、第3吸収部13内に存在する。
境界部Kが(イ)第1吸収部11内に存在する場合、(ロ)第1吸収部11と第3吸収部13との境界に存在する場合、及び(ハ)第3吸収部13内に存在する場合のいずれの場合であっても、境界部Kは、吸収体10を平面視した場合、一般に幅方向に直線状に延びている。そしてこれら(イ)−(ハ)のいずれの場合であっても、境界部Kは、吸収体10を長手方向に仮想的に二等分したときに、第3吸収部13寄りに位置していることが好ましい。換言すれば、吸収体10を長手方向に沿ってみたとき、高吸収性ポリマーの高坪量部が、吸収体10の長さの半分超を占めていることが好ましい。このような構成を採用することで、液が多量に排泄される部位に重点的に高吸収性ポリマーを配置することができ、液の吸収効率が向上して、液漏れが一層効果的に防止される。この効果を更に一層顕著なものとする観点から、境界部Kは吸収体10を仮想的に三等分したときに、第3吸収部13側の端縁から1/3までの領域内に位置していることが好ましい。
境界部Kは、吸収体10における高吸収性ポリマーの坪量を、第3吸収部13側から第1吸収部11に向けて順次測定していったときに、該坪量が最初に変化した位置とする。後述するパルプの境界部及び見掛け密度の境界部に関しても同様にして決定される。
以上の説明は、吸収体10における各吸収部間での高吸収性ポリマーの坪量の相対的な関係についてのものであるところ、坪量そのものの値に関しては以下に述べるとおりであることが好ましい。第2吸収部12に関しては、高吸収性ポリマーの坪量の下限値は175g/mであることが好ましく、200g/mであることが更に好ましく、225g/mであることが一層好ましく、235g/mであることがより一層好ましい。上限値は400g/mであることが好ましく、350g/mであることが更に好ましく、300g/mであることが一層好ましく、260g/mであることがより一層好ましい。第3吸収部13に関しては、高吸収性ポリマーの坪量の下限値は50g/mであることが好ましく、75g/mであることが更に好ましく、100g/mであることが一層好ましく、115g/mであることがより一層好ましい。上限値は250g/mであることが好ましく、200g/mであることが更に好ましく、150g/mであることが一層好ましく、130g/mであることがより一層好ましい。
以上の説明は、吸収体10における高吸収性ポリマーの坪量に関してのものであるところ、該吸収体10においてはパルプも偏在している。詳細には、第2吸収部12に存在するパルプの坪量が、第3吸収部13に存在するパルプの坪量よりも高くなっている。つまりパルプの坪量に関し、第2吸収部12は第3吸収部13に対して高坪量部になっている。高吸収性ポリマーに加えてパルプも偏在させることで、吸収体10の全面積を液の吸収のために更に一層効率的に利用することができる。この観点から、第3吸収部13に存在するパルプの坪量を1としたとき、第2吸収部12に存在するパルプの坪量が1よりも大きいことが好ましく、1.2以上であることが更に好ましく、1.5以上であることが一層好ましく、2.00以上であることがより一層好ましい。装着時の違和感を低減させる観点から、上限値に関しては3.0よりも小さいことが好ましく、2.5以下であることが更に好ましく、2.05以下であることが一層好ましく、2.0以下であることがより一層好ましい。
以上の説明は第2吸収部12と第3吸収部13との間のパルプの坪量に関してのものであるところ、第1吸収部11におけるパルプの坪量に関しては以下のとおりであることが好ましい。第1吸収部11のうち、第2吸収部12と連接している部位でのパルプの坪量は、第2吸収部12でのパルプの坪量と同じになっていることが好ましい。一方、第1吸収部11のうち、第3吸収部13と連接している部位でのパルプの坪量は、第3吸収部13でのパルプの坪量と同じになっていることが好ましい。したがって第1吸収部11内には、第2吸収部12でのパルプの坪量と同じになっている部位と、第3吸収部13でのパルプの坪量と同じになっている部位とが混在している。その結果、第1吸収部11内には、両部位の境界部が存在する。この境界部の位置は一般に、先に述べた高吸収性ポリマーに関しての境界部Kの位置と略一致している。
別の態様として、第1吸収部11の全域でのパルプの坪量が、第2吸収部12でのパルプの坪量と同じになっている態様が挙げられる。この場合には、第2吸収部12でのパルプの坪量と同じになっている部位と、第3吸収部13での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位との境界部は、第1吸収部11と第3吸収部13との境界部と一致する。
更に別の態様として、第1吸収部11の全域でのパルプの坪量が、第2吸収部12での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっており、かつ第3吸収部13のうち、第1吸収部11と連接している部位でのパルプの坪量が、第1吸収部11での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている態様が挙げられる。この場合には、第2吸収部12でのパルプの坪量と同じになっている部位と、第3吸収部13でのパルプの坪量と同じになっている部位との境界部は、第3吸収部13内に存在する。
上述のとおり、吸収体10においては高吸収性ポリマー及びパルプの坪量が偏在していることから、吸収体10自体の坪量も偏在している。詳細には、第2吸収部12の坪量が、第3吸収部13の坪量よりも高くなっている。つまり吸収体の坪量に関し、第2吸収部12は第3吸収部13に対して高坪量部になっている。吸収体10における高坪量部と低坪量部との境界部は、第1吸収部11内に存在するか、第1吸収部11と第3吸収部13との境界に存在するか、又は第3吸収部13内に存在することが好ましい。
吸収体10における各吸収部での坪量そのものの値に関しては以下に述べるとおりであることが好ましい。第2吸収部12に関しては、パルプの坪量の下限値は150g/mであることが好ましく、175g/mであることが更に好ましく、200g/mであることが一層好ましい。上限値は300g/mであることが好ましく、275g/mであることが更に好ましく、250g/mであることが一層好ましい。第3吸収部13に関しては、パルプの坪量の下限値は50g/mであることが好ましく、75g/mであることが更に好ましく、100g/mであることが一層好ましい。上限値は200g/mであることが好ましく、175g/mであることが更に好ましく、150g/mであることが一層好ましい。
第2吸収部12における高吸収性ポリマーとパルプとの坪量比(高吸収性ポリマー坪量/パルプ坪量)は、第3吸収部13における高吸収性ポリマーとパルプとの坪量比と同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。前者の場合、高吸収性ポリマーとの坪量比はその下限値が0.6であることが好ましく、0.8であることが更に好ましく、1.0であることが一層好ましく、1.10であることがより一層好ましい。上限値は、3.0であることが好ましく、2.5であることが更に好ましく、2.0であることが一層好ましく、1.15であることがより一層好ましい。後者の場合、第2吸収部12における坪量比は、第3吸収部13における坪量比よりも大きいことが好ましい。この場合、第2吸収部12における坪量比はその下限値が0.6であることが好ましく、0.8であることが更に好ましく、1.0であることが一層好ましく、1.14であることが一層好ましい。上限値は、3.5であることが好ましく、3.0であることが更に好ましく、2.5であることが一層好ましく、1.15であることがより一層好ましい。また、第3吸収部13における坪量比はその下限値が0.5であることが好ましく、0.7であることが更に好ましく、0.9であることが一層好ましく、1.12であることがより一層好ましい。上限値は、3.0であることが好ましく、2.5であることが更に好ましく、2.0であることが一層好ましく、1.14であることがより一層好ましい。
各吸収部における坪量は、下記の方法により測定することができる。
〔坪量の測定方法〕
吸収体10のうち、第1吸収部、第2吸収部及び第3吸収部のそれぞれから、50mm×50mmの吸収体片を切断し、吸収体片の質量(a)を測定する。なお、本測定は、吸収体片10個について行い、その平均値を各質量とする。該10個の吸収体片は、吸収体10が十分大きければ同一の吸収体10から複数個切断しても構わないし、吸収体10が小さければ10枚の吸収体10から1個ずつ別々に切断しても良い。
次に、該10個の吸収体片それぞれをメッシュ製の袋に封入し、アスコルビン酸及びリボフラビンの水溶液に一晩浸漬させる。そして、浸漬させたメッシュ製の袋ごと、各吸収体片を日光暴露する。その後、メッシュ製の袋を水洗し、袋の内容物の質量を測定(b)する。その後、メッシュ製の袋を水洗し、袋の内容物の質量を測定(b)する。ここで、aはパルプと高吸収ポリマーの総質量であり、bはパルプ質量であることから、a−bにより高吸収ポリマー質量が算出できる。そして、吸収体10の第1吸収部、第2吸収部及び第3吸収部のパルプ坪量および高吸収性ポリマー坪量は以下の式によって算出できる。
パルプ坪量:(パルプ質量(b))/(吸収体片の面積2500mm
高吸収ポリマー坪量:(高吸収ポリマー質量(a−b))/(吸収体片の面積2500mm2)
吸収体10における高吸収性ポリマー及びパルプの坪量との関連で、吸収体10の厚みは、(a)吸収体10の任意の位置においていずれも同じになっていることが好ましい。あるいは(b)第2吸収部12の厚みが第3吸収部13の厚みよりも大きくなっていてもよい。(b)の場合、第1吸収部11に関しては、(b−1)第2吸収部12の厚みと同じでもよく、あるいは第3吸収部13の厚みと同じでもよい。又は(b−2)第1吸収部11のなかに、第2吸収部12の厚みと同じ部位及び第3吸収部13の厚みと同じ部位が併存していてもよい。(b−2)の場合、第2吸収部12の厚みと同じ部位と、第3吸収部13の厚みと同じ部位との境界部は一般に、先に述べた高吸収性ポリマーに関しての境界部Kの位置と略一致している。
(a)の場合、吸収体10の厚みはその下限値が2mmであることが好ましく、4mmであることが更に好ましい。上限値は15mmであることが好ましく、10mmであることが更に好ましく、7mmであることが一層好ましい。(b)の場合、第2吸収部12の厚みはその下限値が3mmであることが好ましく、5mmであることが更に好ましい。上限値は15mmであることが好ましく、10mmであることが更に好ましく、8mmであることが一層好ましい。一方、第3吸収部13の厚みはその下限値が2mmであることが好ましく、4mmであることが更に好ましい。上限値は12mmであることが好ましく、9mmであることが更に好ましく、6mmであることが一層好ましい。ここで言う厚みとは、後述する凹部が設けられていない部位で測定された値のことである。吸収体10の厚みは、5cm×5cmのプレート(2.5g/cmの荷重)を吸収体10の上に乗せた状態で、KEYENCE社製非接触式レーザー変位計(レーザーヘッドLK−G30、変位計LK−GD500)を用いて測定される。
更に、吸収体10における高吸収性ポリマー及びパルプの坪量との関連で、吸収体10の見掛け密度は、(a)吸収体10の任意の位置においていずれも同じになっていることが好ましい。あるいは(b)第2吸収部12の見掛け密度が第3吸収部13の見掛け密度よりも大きくなっていてもよい。(b)の場合、第1吸収部11に関しては、(b−1)第2吸収部12の見掛け密度と同じでもよく、あるいは第3吸収部13の見掛け密度と同じでもよい。又は(b−2)第1吸収部11のなかに、第2吸収部12の見掛け密度と同じ部位及び第3吸収部13の見掛け密度と同じ部位が併存していてもよい。(b−2)の場合、第2吸収部12の見掛け密度と同じ部位と、第3吸収部13の見掛け密度と同じ部位との境界部は一般に、先に述べた高吸収性ポリマーに関しての境界部Kの位置と略一致している。
(a)の場合、吸収体10の見掛け密度はその下限値が0.03g/cmであることが好ましく、0.05g/cmであることが更に好ましい。上限値は0.30g/cmであることが好ましく、0.20g/cmであることが更に好ましく、0.10g/cmであることが一層好ましい。(b)の場合、第2吸収部12の見掛け密度はその下限値が0.02g/cmであることが好ましく、0.04g/cmであることが更に好ましい。上限値は0.35g/cmであることが好ましく、0.25g/cmであることが更に好ましく、0.15g/cmであることが一層好ましい。一方、第3吸収部13の見掛け密度はその下限値が0.01g/cmであることが好ましく、0.03g/cmであることが更に好ましい。上限値は0.20g/cmであることが好ましく、0.12g/cmであることが更に好ましく、0.15g/cmであることが一層好ましい。吸収体10の見掛け密度は、吸収体の各部位におけるパルプ量と高吸収性ポリマー量の合計質量を、吸収体の各部位の体積で除することで算出される。
先に述べたとおり、本発明の吸収体は、高吸収性ポリマーを偏在させることに加えて、長手方向における中央域に、長手方向に延びる凹部を有する点にも特徴の一つを有する。詳細には、図1に示すとおり、該中央域である第1吸収部11の表面に、長手方向に向けて一方向に延びる第1凹部21が形成されている。吸収体10は、図1(b)に示すとおり、第1面10a及びそれと反対側に位置する第2面10bを有しているところ、第1凹部21は第2面10bに設けられている。したがって第1吸収部11の第2面10bは凹凸面になっている。これに対して第1吸収部11の第1面10aは平坦面になっている。
第1凹部21は直線状に、かつ平行に二条設けられている。尤も、第1凹部21は一条のみ設けられていてもよく、あるいは三条以上設けられていてもよい。各第1凹部21は、吸収体11の長手方向中心線CLに対して対称に設けられている。第1凹部21は、第2面10bが第1面10aに向けて凹むことで形成されており有底になっている。第1凹部21が有底になっていることに代えて、又はそれに加えて、吸収体10の厚み方向にわたって貫通した貫通孔から第1凹部21が構成されていてもよい。第1凹部21はその幅が長手方向の全域にわたって略同一になっている。第1凹部21は同じ長さになっており、それらの前後端部は、第1吸収部11内で終端していてもよい。あるいは第1吸収部11と第2吸収部12との境界を越えて第2吸収部12に存在して第2凹部22(特に直行第2凹部221)を形成していてもよく、第1吸収部11と第3吸収部13との境界を越えて第3吸収部13に存在して第3凹部23(特に直行第3凹部231)を形成していてもよい。いずれの場合であっても、第1凹部21はその端部が、吸収体10の側縁にまで達していない。これによって、第1吸収部11においては、側縁からの液の流出が効果的に防止される。
第1凹部21を設けることで、先に述べた高吸収性ポリマーの偏在との相乗効果によって、高吸収性ポリマーが偏在する部位である第2吸収部12に向けて、排泄された液を素早く案内することができ、それによって排泄された液の拡散速度が高くなり、液を素早く吸収することができる。また第1凹部21を設けることで、吸収体10が変形しやすくなり、着用者の身体へのフィット性が向上する。液の拡散及び吸収速度を更に一層高める観点からは、第1凹部21は、吸収体10の長手方向にのみ延びていることが有利である。本明細書において「長手方向に延びている」とは、第1凹部21が直線状に延びている場合だけでなく、蛇行しながら延びている場合や緩やかな曲線を描きながら延びている場合等も含む概念である。また、第1凹部21の延びる方向は、吸収体10の長手方向と完全に一致している場合だけでなく、吸収体10の長手方向に対してプラスマイナス20度の範囲で傾斜している場合も包含する。
上述した効果を更に一層高める観点から、各第1凹部21は、その幅が、2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることが更に好ましく、5mm以上であることが一層好ましい。上限値に関しては、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることが更に好ましく、10mm以下であることが一層好ましい。また、この幅は、同一でも略同一でもよく、あるいは途中で変化してもよい。この幅は、吸収体10をベビー用の使い捨ておむつに用いた場合に特に好ましい。
第1吸収部11においては、第1凹部21が形成されている部位は、第1凹部21が形成されていない部位(以下、この部位を第1凹部21との対比で第1凸部と言う)と一体成形されている。「一体成形されている」とは、これらの部位が、接着剤や熱融着等の接合手段を介さずに互いに分離不可能に一体化されており、同一の材料から一体的に形成されていることを意味する。これらの部位が一体成形されていると、液がスムーズに移動し得る連続性を有するようになる。第1凹部21は、第1凸部に対して低坪量になっていることが好ましい。図1に示すとおり、第1凹部21は第1凸部よりも厚みが薄い部位であるから、第1凹部21は、第1凸部よりも低坪量でかつ低厚みになっている。更に見掛け密度に関しては、第1凹部21は、第1凸部よりも低密度になっていることが好ましい。第1吸収部11がこのような構成となっていることで、吸収体10は着用者の身体の形状に一層沿いやすくなる。
第1吸収部11には、上述した第1凹部21の別の形態としての第1貫通孔21’も形成されている。第1貫通孔21’は、第1吸収部11をその厚み方向にわたって貫通している。第1貫通孔21’は、第1凹部21における底部の厚みを薄くしていき、最終的にゼロになった状態の凹部のことである。したがって第1貫通孔21’も第1凹部21の一実施形態である。
第1貫通孔21’は、長手方向中心線CLに対して対称に二条設けられている。尤も、第1貫通孔21’は一条のみ設けられていてもよく、あるいは三条以上設けられていてもよい。第1貫通孔21’は、上述した第1凹部21に対して幅方向の外方側に形成されている。第1貫通孔21’は、吸収体10の長手方向に直線状に延び、かつ互いに平行な内側辺21a’及び外側辺21b’を有する扁平な略台形の形状をしている。尤も、第1貫通孔21’の形状は、扁平な略台形に限らず、長手方向に延びる長方形や長円形等であってもよい。内側辺21a’は外側辺21b’よりも短くなっている。また、内側辺21a’及び外側辺21b’は、上述した第1凹部21よりも短くなっている。第1貫通孔21’の前後端部は、第1吸収部11内で終端していてもよい。あるいは第1吸収部11と第2吸収部12との境界を越えて第2吸収部12に存在していてもよく、第1吸収部11と第3吸収部13との境界を越えて第3吸収部13に存在していてもよい。いずれの場合であっても、第1貫通孔21’はその端部が、吸収体10の側縁にまで達していない。
第1凹部21に加えて第1貫通孔21’を形成することで、排泄された液が吸収体10に吸収される時間が一層短くなる。この効果を一層顕著なものとする観点から、各第1貫通孔21’は、その幅が、2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることが更に好ましく、5mm以上であることが一層好ましい。上限値に関しては、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることが更に好ましく、10mm以下であることが一層好ましい。また、この幅は、同一でも略同一でもよく、あるいは途中で変化してもよい。この幅は、吸収体10をベビー用の使い捨ておむつに用いた場合に特に好ましい。
本実施形態においては、特に、第1凹部21が貫通孔からなり、かつ第1凹部21に加えて第1貫通孔21’が形成されていることが好ましい。
吸収体10においては、第1吸収部11に加えて第2吸収部12の表面にも凹部が形成されている。この凹部を第2凹部22という。第2凹部22は、第1吸収部11から連続し、単層構造部位の長手方向に直線状に延びている直行第2凹部221を有している。また、第2吸収部12の表面には、直行第2凹部221に加えて更に別の凹部である斜行第2凹部222,223が形成されている。各斜行第2凹部222,223は、吸収体10の長手方向中心線CLに対して傾斜している斜行凹部であり、互いに異なる第1の方向と第2の方向に向けて延びる形状をしている。ここで、傾斜とは、長手方向に対して90°の角度を有するものを含まない。各斜行第2凹部222,223と、先に述べた第1凹部21及び直行第2凹部221とは、吸収体10おける同じ側の表面に形成されている。つまり第2面10b側に開口が向くように形成されている。したがって第2吸収部12の第2面10bは凹凸となっている。これに対して第1面10aは平坦面になっている。各斜行第2凹部222,223は、長手方向中心線CLに対して対称に傾斜した第1の方向及び第2の方向に向けて傾斜していることで、斜め格子状に形成されている。このような形状で第2凹部22が形成されていることで、吸収体10のフィット性、特に第2吸収部12におけるフィット性が一層向上する。
第2凹部22は、第2面10bが第1面10aに向けて凹むことで形成されており有底になっている。第2凹部22が有底になっていることに代えて、又はそれに加えて、吸収体10の厚み方向にわたって貫通した貫通孔から第2凹部22が構成されていてもよい。第2凹部22はその幅が長手方向の全域にわたって略同一になっている。第2凹部22の幅は、先に説明した第1凹部21の幅と同様とすることができる。
斜行第2凹部222,223は、それらの端部のうちの一部の位置22aが、先に述べた第1凹部21又は直行第2凹部221の端部と位置と一致している。その結果、斜行第2凹部222,223のうちの一部は第1凹部21又は直行第2凹部221と連結している。これによって、第1吸収部11に排泄された液が第1凹部21及びそれに連結した第2凹部22に案内されて、高吸収性ポリマーの高坪量部となっている第2吸収部12へ円滑に導かれる。また、第2凹部22はその端部が、吸収体10の側縁にまで達していない。これによって、第2吸収部12においても、側縁からの液の流出が効果的に防止される。
第2吸収部12においては、第2凹部22が形成されている部位は、第2凹部22が形成されていない部位(以下、この部位を第2凹部22との対比で第2凸部と言う)と一体成形されている。「一体成形されている」の意味は、先に述べたとおりである。一体成形の利点についても先に述べたとおりである。第2凹部22は、第2凸部に対して低坪量になっていることが好ましい。第2凹部22は第2凸部よりも厚みが薄い部位であるから、第2凹部22は、第2凸部よりも低坪量でかつ低厚みになっている。更に見掛け密度に関しては、第2凹部22は、第2凸部よりも低密度になっていることが好ましい。第2吸収部12がこのような構成となっていることで、第2吸収部12は着用者の身体の形状に一層沿いやすくなる。
斜行第2凹部222,223が吸収体10の長手方向に対して傾斜している程度は、該長手方向に対して0度超90度未満になっている。しかしこのことは、第2吸収部12に、長手方向に延びる凹部が形成されていることや、長手方向と直交する方向に延びる凹部が形成されていることを妨げない。第2吸収部12のフィット性の一層の向上の点からは、第2凹部22の長さの総和に対して、斜行第2凹部222,223の長さの総和の割合が70%以上であることが好ましく、75%以上であることが更に好ましく、80%以上であることが一層好ましい。上限値に関しては、好ましくは95%であり、一層好ましくは90%である。
吸収体10においては、第1吸収部11及び第2吸収部12に加えて第3吸収部13の表面にも凹部が形成されている。この凹部を第3凹部23という。第3凹部23は、第1吸収部11から連続し、単層構造部位の長手方向に直線状に延びている直行第3凹部231を有している。また、第3吸収部13の表面には、直行第3凹部231に加えて更に別の凹部232が形成されている。凹部232は一方向に延びる形状をしており、吸収体10の長手方向中心線CLに対して0度超90度以下の角度で交差している。なお、吸収体10の長手方向中心線CLに対して0度超90度未満の角度で交差している凹部232を、斜行第3凹部とも呼ぶ。凹部232と、先に述べた第1凹部21、直行第2凹部221、斜行第2凹部222,223及び直行第3凹部231とは、吸収体10おける同じ側の表面に形成されている。つまり第2面10b側に開口が向くように形成されている。したがって第3吸収部13の第2面10bは凹凸となっている。これに対して第1面10aは平坦面になっている。
本実施形態においては、凹部232は、吸収体10の長手方向に対して90度の角度で交差している。つまり凹部232は、吸収体10の長手方向に対して直交する方向に延びている。しかしこのことは、第3吸収部13に、長手方向に延びる凹部が形成されていることを妨げない。凹部232が、吸収体10の長手方向に対して直交する方向に延びていることによって、排泄された液が第3吸収部13に流れてきたときに、凹部232が液のそれ以上の流れを堰き止める役割を果たす。したがって、背側部の端部からの液漏れが効果的に防止される。この効果を一層顕著なものとする観点から、すべての第3凹部23の長さの総和に対して、第3凹部23のうち、吸収性物品10の長手方向と0度超90度以下の角度で交差している凹部232の長さの総和の割合が60%以上であることが好ましく、70%以上であることが更に好ましく、80%以上であることが一層好ましい。上限値に関しては、好ましくは95%であり、一層好ましくは90%である。
更に、凹部232はその端部が、吸収体10の側縁にまで達していない。これによって、第3吸収部13においても、側縁からの液の流出が効果的に防止される。
第3凹部23は、第3吸収部13における第2面10bが第1面10aに向けて凹むことで形成されており有底になっている。第3凹部23が有底になっていることに代えて、又はそれに加えて、吸収体10の厚み方向にわたって貫通した貫通孔から第3凹部23が構成されていてもよい。
本実施形態においては、吸収体10の幅方向と平行に二条の凹部232が形成されている。凹部232の幅はその全長にわたってほぼ同一になっている。第3凹部23の幅は、先に述べた第1凹部21の幅と同様とすることができる。第3吸収部13においては、第3凹部23が形成されている部位は、第3凹部23が形成されていない部位(以下、この部位を第3凹部23との対比で第3凸部と言う)と一体成形されている。「一体成形されている」の意味は、先に述べたとおりである。一体成形の利点についても先に述べたとおりである。第3凹部23は、第3凸部に対して低坪量になっていることが好ましい。第3凹部23は第2凸部よりも厚みが薄い部位であるから、第3凹部23は、第3凸部よりも低坪量でかつ低厚みになっている。更に見掛け密度に関しては、第3凹部23は、第3凸部よりも低密度になっていることが好ましい。第3吸収部13がこのような構成となっていることで、液の流れを一層堰き止めやすくなる。
本実施形態においては、吸収体10は、その表面に、厚み方向において他の部分よりも高吸収性ポリマーの坪量が少ないパルプ層(以下、このパルプ層のことを「フィルター層」とも言う。)を有していることが好ましい。特にフィルター層は、吸収体10を吸収性物品に組み込んだ状態で、裏面シートに対向する側を向いていることが好ましい。これによって、吸収体10に吸収された液が、パルプの毛管力によってフィルター層まで円滑に移行する。フィルター層においては、該フィルター層に含まれる高吸収性ポリマーの坪量が少ないことに起因して、該フィルター層内での液の伝達が起こりやすい。その結果、吸収体10をその厚み方向に沿う断面で液の分布観察すると、該吸収体の肌対向面側から非肌対向面側に向けて凸の形状となる山型の分布となる。このような液の分布によって、液の吸収時間の短縮効果及びウエットバック量の低減効果が発現する。
吸収体10においては、フィルター層と、先に述べた第1凹部及び第2凹部の開口している側とが、該吸収体10の同じ側に位置していることが好ましい。特にフィルター層は、吸収体10を吸収性物品に組み込んだ状態で、裏面シートに対向する側を向いており、かつ第1凹部及び第2凹部の開口している側も裏面シートに対向する側を向いていることが好ましい。これによって、第1凹部及び第2凹部の空間を利用して、配設された液が、フィルター層にまで更に効率的に到達しやすくなるという有利な効果が奏される。その結果、液の吸収時間の短縮効果及びウエットバック量の低減効果が更に発現する。
吸収体10においては、フィルター層は、吸収体10の厚み方向において、第1凹部及び第2凹部以外の部位とのみ重なることが好ましい。これによって、第1凹部及び第2凹部が自由水を保持しにくくなる。これとともに、第1凹部及び第2凹部以外の部位に存在するフィルター層に液を伝達しやすくなる。その結果、液の吸収時間の短縮効果及びウエットバック量の低減効果が更に一層発現する。
フィルター層は、例えば後述する図7に示す装置を用いて形成することができる。詳細には、パルプと高吸収性ポリマーとの混合物を、同図に示す回転ドラム50のドラム凹部51に堆積させる前に、パルプのみをあらかじめ該ドラム凹部51に堆積させておくことにより形成することができる。ドラム凹部51にあらかじめフィルター層を形成させておくことにより、前記の吸収時間の短縮効果やウエットバック量の低減効果だけでなく、ドラム凹部51の目詰まりを防ぐ効果や、ドラム凹部51に混合物を堆積させるときの空気の吸引の圧力を常に安定化させる効果も発現する。
フィルター層の坪量は例えば次のようにして測定できる。まず吸収体10に十分な量の純水を加える。次いでピンセットを用いてフィルター層とそれ以外の部分をつまみ、剥がすことによりフィルター層を分離する。分離したフィルター層を105℃の乾燥機で十分に乾燥させる。乾燥後のフィルター層の質量を、フィルター層の面積で除することで坪量を算出する。このようにして測定されたフィルター層の坪量は3g/m以上50g/m以下であることが好ましい。またフィルター層には少量であれば高吸収性ポリマーが含まれていてもよく、その場合、高吸収性ポリマーの割合は50質量%以下であることが好ましい。
図2及び図3には、以上の構造を有する吸収体10を備えた吸収性物品である展開型の使い捨ておむつ100が示されている。以下の説明において「非肌当接面側」とは、吸収体10などの各部材の表裏両側(面)のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に配される側(面)である。「肌当接面側」とは、各部材の表裏両側(面)のうち、着用時に着用者の肌側に配される側(面)である。また、おむつ100の長手方向に関し、腹側部A側のことを「前側」ともいい、背側部A側のことを「後側」とも言う。
おむつ100は、着用者の肌当接面側に配された表面シート121と、非肌当接面側に配された裏面シート123と、これら両シート121,123間に配された吸収体10とを備えている。表面シート121は液透過性のシートからなり、おむつ100の着用状態において着用者の肌に対向する。裏面シートは液不透過性ないし撥水性のシートからなり、着用状態において外方を向いている。
おむつ100は、長手方向に延びる長手方向中心線CLに対して左右対称に形成されている。おむつ100は、長手方向の中央域に位置する股下部C、並びに股下部Cから長手方向前方及び後方にそれぞれ延出する腹側部A及び背側部Bを備えている。腹側部Aは、おむつ100の着用時に着用者の腹側に配される。背側部Bは、おむつ100の着用時に着用者の背側に配される。股下部Cは、おむつ100の着用時に着用者の股下に配される。
おむつ100は、腹側部Aの左右両側縁及び背側部Bの左右両側縁それぞれが股下部Cの左右両側縁よりも幅方向外方に延出している。股下部Cの左右両側縁は、幅方向内方に向かって円弧状に湾曲しており、全体として長手方向の中央域が内方に括れた形状を有している。表面シート121及び裏面シート123はそれぞれ、吸収体10の左右両側縁及び前後両端縁から外方に延出している。表面シート121及び裏面シート123はそれぞれ、吸収体10の周縁から外方に延出した延出部において直接的に又は他の部材を介在させて互いに接合されており、吸収体10を挟持・固定している。
おむつ100は、背側部Bの左右両側縁部に一対のファスニングテープF,Fが設けられている。腹側部Aの外表面(非肌当接面)、すなわち裏面シート123の非肌当接面には、図3に示すとおりファスニングテープF,Fを止着させるランディングテープLが設けられている。
おむつ100の長手方向に沿う両側部それぞれには、立体ギャザー形成用シート162が配されている。立体ギャザー形成用シート162は立体ギャザーを形成するために用いられるものである。立体ギャザー形成用シート162は、おむつ100の長手方向に延びる固定端及び自由端が立体ギャザーに形成されるように、肌当接面側に位置するシート、例えば表面シート121と接合されている。更に立体ギャザー形成用シート162は、その長手方向の前後端部域において、該前後端部域と、肌当接面側に位置するシート(例えば表面シート121)とが接合されている。
立体ギャザーの自由端には、おむつ10の長手方向に延びる立体ギャザー弾性部材161が伸長状態で固定されている。この立体ギャザー弾性部材161の収縮力によって、立体ギャザー形成用シート162が着用者の身体側に向けて起立して立体ギャザーが形成される。
立体ギャザーの固定端よりも幅方向外方の位置においては、立体ギャザー形成用シート162と裏面シート123とが接合されており、それによって一対のサイドフラップ124が形成されている。サイドフラップ124は、吸収体10の長手方向に沿う両側縁から幅方向外方に延出し、かつおむつ100の長手方向に延びている。サイドフラップ124には、股下部Cにほぼ対応する部位にレッグギャザー形成用の複数本のサイドフラップ弾性部材163が長手方向に伸長状態で配されている。サイドフラップ弾性部材163は、立体ギャザー形成用シート162と裏面シート123との間に挟持固定されている。サイドフラップ弾性部材163が収縮することによって、おむつ100の股下部Cにはレッグギャザーが形成される。
おむつ100の背側部B側の長手方向端部の位置には、ウエストギャザー形成用の弾性シート164が配置されている。弾性シート164は、2枚のシート部材164a,164bの間に、おむつ10の幅方向に延びる複数本の弾性部材165a,165bが伸長状態で挟持固定されて構成されている。
弾性シート164においては、複数本の弾性部材165a,165bのうち、ウエスト弾性部材165bが、おむつ100の背側部Bの長手方向端部域において、幅方向に延びるように配置されている。詳細には、ウエスト弾性部材165bはウエスト開口縁W寄りの位置において、背側部B側の長手方向端縁と吸収体10の背側部B側の長手方向端縁との間に位置している。更にウエスト弾性部材165bは、おむつ100の幅方向における一方の側縁部の近傍の位置から、他方の側縁部の近傍の位置にわたって連続して配置されている。一方、ウエスト弾性部材165bに隣接し、かつウエスト弾性部材165bよりも股下部C寄りに位置する弾性部材である胴回り弾性部材165aは、おむつ100の幅方向における左右の両側部にのみ配置されており、幅方向の中央域はいかなる弾性部材も非配置状態になっている。詳細には、胴回り弾性部材165aは、おむつ100の幅方向における側縁部近傍に一端を有する。他端は、おむつ100の幅方向中央域に達する前で終端している。したがって幅方向の中央域には何らの弾性部材も存在していない。
吸収体10は、おむつ100における腹側部Aから背側部にわたって位置している。吸収体10における第1吸収部11は、おむつ100における股下部Cに位置している。また、吸収体10における第2吸収部12及び第3吸収部13はそれぞれ、おむつ100における腹側部A及び背側部Bに位置している。吸収体10における各凹部が形成されている面である第2面10bは、裏面シート123側を向き、平坦面になっている第1面10aは、表面シート121側を向いている。
以上の構成を有するおむつ100においては、股下部Cに排泄された液が、吸収体10の第1吸収部11に形成された第1凹部21に案内されて素早く長手方向に拡散するとともに、長手方向に拡散した液が、第2吸収部12に高坪量で配置された高吸収性ポリマーによって素早く吸収される。しかも、吸収体11には、低坪量でかつ厚みの薄い各凹部が形成されていることで、吸収体10が柔軟に変形しやすいので、該吸収体10が着用者の身体に確実にフィットする。これらの作用によって、おむつ100は液漏れが効果的に防止されたものとなる。
図2及び図3に示す実施形態においては、吸収体10は単層構造のものであった。これに代えて、多層構造の吸収体を採用し、多層構造のうちの層の一つとして図1に示す吸収体を用いることもできる。尤も、図1に示す吸収体10を単層構造として用いると、積層による多層構造という繁雑な製造工程を経ずに、高吸収性ポリマーが偏在化した吸収体を使用できるという利点がある。また、積層が不要であるため、積層の際に各層の位相ずれが起こらないという利点もある。その上、単層構造の吸収体を用いることは、多層構造の吸収体を用いる場合に比較して経済的に有利でもある。
図4(a)ないし(i)には、本発明の吸収体10の別の実施形態が示されている。これらの図に示す実施形態は、第2凹部22の他の例である。図4(a)の第2凹部22は、長手方向に延びる2条の直行第2凹部221にそれぞれ連結し、かつ吸収体の長手方向に対してそれぞれ傾斜している2条の斜行第2凹部222a,222bからなる。斜行第2凹部222a,222bの長さはほぼ同一であり、それらの中点の位置において互いに交差している。斜行第2凹部222a,222bは、交差角θで交差している。図4(b)の第2凹部22は、図4(a)の第2凹部22と基本的に同じであるが、2条の斜行第2凹部222a,222bの交差角θが図4(a)に示す実施形態よりも大きくなっている。また、斜行第2凹部222a,222bは、それらの中点の位置よりも直行第2凹部221寄りの位置において交差している。これらの実施形態によれば、吸収体10が着用者の腹部に的確にフィットするだけでなく、第2吸収部12に高坪量で配された高吸収性ポリマーに向けて効率的に素早く液を伝達できるという効果が奏される。
図4(c)に示す実施形態では、第2凹部22が長手方向に延びる複数条の縦第2凹部222aと、幅方向に延びる複数条の横第2凹部222bとからなる。縦第2凹部222aと横第2凹部222bとは直交し、両者によって格子パターンが形成されている。そして、複数条の縦第2凹部222aのうちの2条の縦第2凹部222aが、長手方向に延びる2条の直行第2凹部221にそれぞれ連結している。この実施形態によれば、図4(a)及び(b)に示す実施形態において奏される効果と同様の効果が奏される。
図4(d)に示す実施形態では、第2凹部22が長手方向に延びる2条の縦第2凹部223aと、幅方向に延びる複数条の横第2凹部223bとからなる。縦第2凹部222aと横第2凹部222bとは直交している。横第2凹部222bは、2条の縦第2凹部223aを連結するように縦第2凹部223a間にのみ形成されている。そして、2条の縦第2凹部222aが、長手方向に延びる2条の直行第2凹部221にそれぞれ連結している。この実施形態によれば、図4(a)及び(b)に示す実施形態において奏される効果と同様の効果が奏される。
図4(e)に示す実施形態では、4条の斜行第2凹部224a〜dが連結して略矩形を形成している。各斜行第2凹部224a〜dは、いずれも長手方向に対して傾斜している。斜行第2凹部224aと斜行第2凹部224dとはほぼ同じ長さになっている。同様に、斜行第2凹部224bと斜行第2凹部224cとはほぼ同じ長さになっている。斜行第2凹部224bの一方の端部と、斜行第2凹部224cの一方の端部とは同位置P1にある。また、斜行第2凹部224bの他方の端部と、斜行第2凹部224aの一方の端部とは同位置P2にある。更に斜行第2凹部224cの他方の端部と、斜行第2凹部224dの一方の端部とは同位置P3にある。そして、斜行第2凹部224aの他方の端部P4及び斜行第2凹部224dの他方の端部P5が、長手方向に延びる2条の直行第2凹部221にそれぞれ連結している。本実施形態の第2凹部22は、斜行第2凹部224bの一方の端部と、斜行第2凹部224cの一方の端部とが結合している位置P1を通り、かつ長手方向に延びる線Lに対して対称形になっている。この実施形態によれば、図4(a)及び(b)に示す実施形態において奏される効果と同様の効果が奏される。
図4(f)に示す実施形態では、第2凹部22が、いずれも長手方向に対して傾斜している複数の凹部の連結体を有している。詳細には、複数の凹部は、長手方向に延びる2条の直行第2凹部221にそれぞれ連結している短い斜行第2凹部225aと長い斜行第2凹部225bを有している。斜行第2凹部225aと斜行第2凹部225bとは、長手方向に対して対称となる角度で傾斜している。また斜行第2凹部225aと斜行第2凹部225bとは、直行第2凹部221の端部を起点として、吸収体の端部側に向けて延びている。長い斜行第2凹部225bには、その略中点の位置から長い斜行第2凹部225cが延びている。斜行第2凹部225cの傾斜の方向は、短い斜行第2凹部225aの傾斜の方向と同方向となっている。更に、長い斜行第2凹部225cには、その略中点の位置から短い斜行第2凹部225dが延びている。短い斜行第2凹部225dの傾斜の方向は、長い斜行第2凹部225bの傾斜の方向と同方向となっている。この実施形態によれば、図4(a)及び(b)に示す実施形態において奏される効果と同様の効果が奏される。更に、それぞれの斜行第2凹部が交わっていないことから、着用者が激しい動きをしても第2吸収部12の耐久性を向上させることができるという効果も奏される。
図4(g)に示す実施形態では、第2凹部22が、長手方向にジグザグ状に延びる斜行第2凹部226を有している。そして各斜行第2凹部226の端部が、長手方向に延びる2条の直行第2凹部221にそれぞれ連結している。この実施形態によれば、図4(f)に示す実施形態において奏される効果と同様の効果が奏される。
図4(h)に示す実施形態では、第2凹部22が、長手方向に直線状に延びる直行第2凹部227aと、長手方向に対して傾斜する斜行第2凹部227b,227cとを有している。斜行第2凹部227b,227cは、直行第2凹部227aにおける同一の位置を起点として、吸収体の端部側に向けて延びている。また斜行第2凹部227b,227cは、直行第2凹部227aに対して対称となるように延びている。1条の直行第2凹部227aには、3対の斜行第2凹部227b,227cが連結している。そして直行第2凹部227aは、その端部が、長手方向に延びる2条の直行第2凹部221にそれぞれ連結している。この実施形態によれば、図4(f)に示す実施形態において奏される効果と同様の効果が奏される。
図4(i)に示す実施形態では、第2凹部22が、長手方向に延びる2条の直行第2凹部221の端部から分岐する短い斜行第2凹部228a,228bを有している。斜行第2凹部228a,228bは、直行第2凹部221の端部を起点として、吸収体の端部側に向けて延びている。斜行第2凹部228a,228bは、ほぼ同一の長さになっている。また斜行第2凹部228a,228bは、直行第2凹部221に対して対称となるように延びている。各斜行第2凹部228bの端部は、同一の位置であるP1の位置で終端している。そして位置P1からは、これを起点として、別の斜行凹部である長い斜行第2凹部228c,228dが延びている。斜行第2凹部228c,228dは、長手方向に対して対称となるように延びている。斜行第2凹部228cの傾斜角度は、斜行第2凹部228aの傾斜角度と同じになっている。斜行第2凹部228dの傾斜角度は、斜行第2凹部228bの傾斜角度と同じになっている。この実施形態によれば、図4(a)及び(b)に示す実施形態において奏される効果と同様の効果が奏される。
図4(a)ないし(i)は第2凹部22の別の実施形態であったところ、図5には、第1凹部21の別の実施形態が示されている。同図に示す第1凹部21は、長手方向に延びる2条の平行な直行凹部211aと、該直行凹部211aの前後の端部から幅方向外方に向けて緩やかな曲線を描くように延び、かつ長手方向に対して傾斜した湾曲凹部211bとからなる。この実施形態によれば、吸収体10が着用者の腹部に的確にフィットするだけでなく、第1吸収部11から第2吸収部12及び第3吸収部13の幅方向の端部に向けて効率的に素早く液を伝達できるという効果が奏される。なお、この実施形態では、直行凹部211aの前後の端部から湾曲凹部211bが延びていたが、これに代えて直行凹部211aの前後の端部のうちの、第2吸収部12側の端部からのみ湾曲凹部211bが延びていてもよい。あるいは第3吸収部13側の端部からのみ湾曲凹部211bが延びていてもよい。
図6には、第3凹部23の別の実施形態が示されている。同図に示す第3凹部23は、幅方向に延び、かつ幅方向と平行な1条の直行第3凹部232aと、該直行第3凹部232aの左右の端部から、長手方向の直行第3凹部231側に向けて緩やかな曲線を描くように延び、かつ長手方向に対して傾斜した湾曲第3凹部232b有している。直行第3凹部231は、第1凹部21と連接している。この実施形態によれば、吸収体10が着用者の腹部に的確にフィットするだけでなく、排泄された液が第3吸収部13に流れてきたときに、第3凹部23が液のそれ以上の流れを堰き止めるという効果が奏される。
次に、上述した実施形態の吸収体10の好適な製造方法を説明する。図7には、吸収体10の製造方法の一実施態様及びそれに用いる製造装置が示されている。以下の説明においては、吸収体10の製造装置は、矢印R1方向に回転駆動される回転ドラム50と、回転ドラム50の外周面に吸収体10の原料である高吸収性ポリマー及びパルプを含む吸収性材料45を供給するダクト60と、回転ドラム50の下流側の斜め下方に配置され、矢印R2方向に回転駆動されるトランスファーロール70と、回転ドラム50の周方向におけるダクト60とトランスファーロール70との間に配置されたバキュームボックス65と、バキュームボックス65と回転ドラム50との間及びトランスファーロール70と回転ドラム50との間を通るように配された、シート状の通気性部材であるメッシュベルト75と、トランスファーロール70の下方に配されたバキュームコンベア80とを備えている。
回転ドラム50は、図7に示すとおり円筒状をなし、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周面を形成する部材が水平軸回りを回転する。回転ドラム50の内側(回転軸側)の非回転部分には内部を減圧可能な空間56が形成されている。空間56には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間56内を負圧に維持可能である。他方、回転ドラム50の内側(回転軸側)の空間57及び58には、装置外の空気を取り込み可能な配管(図示せず)が接続されている。
図7に示すとおり、回転ドラム50の外周面には、複数個のドラム凹部51がR1方向に等間隔をおいて形成されている。各ドラム凹部51の底面部には、図8(a)及び(b)に示すとおり、多数の細孔が形成されたメッシュプレート52と、金属製又は樹脂製の難通気性部材53とが配されている。難通気性部材53は、その上端の位置が、形成される凹部の形状に影響する。詳細には、難通気性部材53の上端の位置が、フレーム体50’の上端の位置よりも低い場合には、有底の凹部を形成することができる。一方、難通気性部材53の上端の位置が、フレーム体50’の上端の位置と同じである場合には、吸収体10の厚み方向に貫通した凹部を形成することができる。
図8(a)に示すとおり、回転ドラム50の軸方向Xに沿ってドラム凹部51を見たとき、メッシュプレート52は、ドラム凹部51の同じ深さの位置にある。一方、図8(b)に示すとおり、回転ドラム50の回転方向Yに沿ってドラム凹部51を見たとき、メッシュプレート52は、ドラム凹部51の深さ方向に対して深くなっている深凹部51Aと、深凹部51Aよりも相対的に浅くなっている浅凹部51Bとが形成されるように、その深さが調整されている。
深凹部51A及び浅凹部51Bのいずれの位置においても、難通気性部材53は、メッシュプレート52上に突出するように設けられている。難通気性部材53は、上述した凹部の形状及び位置に対応するように配されている。難通気性部材53の上端の位置は、深凹部51A及び浅凹部51Bにおいて同じになっている。図8(a)及び(b)に示すとおり、このように配された難通気性部材53により区画されたメッシュプレート52のみからなる領域54が、吸収体10における凹部以外の部位(つまり凸部)に対応する部分となる。ドラム凹部51が形成されていない、回転ドラム50の外周面の部分は、金属製の剛体からなる回転ドラム50のフレーム体50’からなる。フレーム体は非通気性である。
ダクト60は、図7に示すとおり、その一端側が、負圧に維持される空間56上に位置する回転ドラム50の外周面を覆っており、図示しない他端側には、繊維材料導入装置を有している。繊維材料導入装置は、例えば、シート状の木材パルプを粉砕して解繊パルプとし、その解繊パルプ(繊維材料)をダクト内に送り込む粉砕器を備え、ダクト60の途中に高吸収性ポリマーを導入する高吸収性ポリマー導入部を備えている。
トランスファーロール70は、通気性を有する円筒状の外周部を有しており、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周部がR2方向に回転する。トランスファーロール70の内側(回転軸側)の非回転部分には、内部を減圧可能な空間71が形成されている。空間71には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間71内を負圧に維持可能である。
バキュームボックス65は、回転ドラム50の回転方向R1において、ダクト60の下流側端部61と、トランスファーロール70との間に配置されている。バキュームボックス65は、箱状の形状を有し、回転ドラム50に対向する部位に、回転ドラム50方向に向かって開口する開口部を有している。バキュームボックス65は、排気管67を介して、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置の作動により、バキュームボックス65内を負圧に維持可能である。
メッシュベルト75は、網目を有する帯状の通気性ベルトが無端状に連結されたものであり、複数のフリーロール及びトランスファーロール70に案内されて所定の経路を連続的に移動する。メッシュベルト75は、トランスファーロール70の回転によって駆動される。メッシュベルト75は、バキュームボックス65の前記開口部の前を通過している間は、回転ドラム50の外周面に接触しており、トランスファーロール70と回転ドラム50とが最も接近している最接近部付近で、回転ドラム50の外周面から離れてトランスファーロール70上へと移行する。
バキュームコンベア80は、駆動ロール81及び従動ロール82に架け渡された無端状の通気性ベルト83と、通気性ベルト83を挟んでトランスファーロール70と対向する位置に配されたバキュームボックス84とを備えている。
次に、上述した吸収体の製造装置を用いて吸収体を連続的に製造する方法について説明する。先ず、回転ドラム50内の空間56、及びバキュームボックス65内を、それぞれに接続された排気装置を作動させて負圧にする。空間56内をこのような負圧にすることで、ダクト60内に、吸液性材料45を回転ドラム50の外周面に搬送させる空気流が生じるからである。次に、回転ドラム50及びトランスファーロール70を回転させ、また、バキュームコンベア80を作動させる。そして前記繊維材料導入装置を作動させて、ダクト60内に繊維材料及び高吸収性ポリマーを供給すると、これらの吸液性材料45は、ダクト60内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム50の外周面に向けて供給される。
ダクト60に覆われた部分を搬送されている間に、回転ドラム50のドラム凹部51には、吸液性材料(パルプと高吸収性ポリマーとの混合物)45が吸引される。吸液性材料45は、図9に示すとおり、ドラム凹部51の各領域54及び領域55のメッシュプレート52上に徐々に堆積する。こうして得られた堆積物46においては、難通気性部材53上に吸液性材料45が堆積してなる部位(難通気性部材53対応部)46aが、相対的に吸液性材料45の堆積量が少なく、その他の部位(領域54対応部)46bが、相対的に吸液性材料45の堆積量が多くなっている。その結果、堆積物46全体として見ると、回転ドラム50の軸方向に沿って凹凸構造を有するようになる。一方、回転ドラム50の回転方向に沿って見ると、図8(b)に示す深凹部51Aにおいては、浅凹部51Bよりも相対的に多量のパルプ及び高吸収性ポリマーが堆積される。その結果、堆積物46のうち、深凹部51Aに対応する部位は、浅凹部51Bに対応する部位に比べて、堆積物全体としての坪量が高くなっている。これに加えて高吸収性ポリマーの坪量及びパルプの坪量も、深凹部51Aに対応する部位は、浅凹部51Bに対応する部位に比べて高くなっている。
回転ドラム50が回転して、ドラム凹部51がバキュームボックス65の対向位置にくると、ドラム凹部51内の堆積物46がバキュームボックス65からの吸引によって、メッシュベルト75に吸い付けられた状態となる。ドラム凹部51内の堆積物46は、その状態で、トランスファーロール70と回転ドラム50との最接近部の直前まで搬送され、該最接近部付近で、トランスファーロール70側からの吸引により、メッシュベルト75に吸い付けられた状態のままドラム凹部51より離型し、トランスファーロール70上へと移行する。
こうして、メッシュベルト75とともにトランスファーロール70上に移行した凹凸構造を有する堆積物46は、トランスファーロール70上のメッシュベルト75に吸着されたまま、バキュームコンベア80との受け渡し部(トランスファーロール70の最下端部)まで搬送され、該受け渡し部において、バキュームボックス84による吸引によりバキュームコンベア80上へと移行する。
このようにして得られた長尺状の堆積物46を所定の間隔で切断して、吸収体前駆体49を連続的に製造する。得られた吸収体前駆体49の長手方向に沿う厚み方向での断面は図10(a)に示すとおりとなり、厚みが大きく、かつ坪量が高くなっている高坪量部49aと、高坪量部49aよりも厚みが小さく、かつ坪量が低くなっている低坪量部49bとが、長手方向に沿って連接された状態になっている。また、同図に示す吸収体前駆体49の下面、すなわちメッシュプレート52と対向していた面には、上面側へ向けて凹んだ凹陥部49cが形成されている。このような構造になっている吸収体前駆体49を加圧手段90によって圧縮し、吸収体前駆体49を構成する堆積物46の厚みを積極的に減少させて、目的とする吸収体10を得る。加圧手段90は図7に示すとおり、少なくとも一方の表面が平滑な一対のロール91,92を備え、ロール91,92間に導入された被加圧物を上下面から加圧して厚み方向に圧縮可能に構成されている。
加圧手段90によって吸収体前駆体49を圧縮すると、次に述べる変化が生じる。先ず、吸収体前駆体49をその幅方向、つまり回転ドラム50の軸方向に沿って見た場合、吸液性材料45が相対的に多く厚みの大きい部位(領域54対応部)46bは、吸液性材料45が相対的に少なく厚みの小さい部位(難通気性部材53対応部)46aよりも強く圧縮される。その結果、部位46bから、高坪量でかつ高見掛け密度である凸部が形成される。また部位46aから低坪量でかつ低見掛け密度である凹部が形成される。
一方、吸収体前駆体49をその長手方向、つまり回転ドラム50の回転方向に沿って見た場合、厚みが大きい高坪量部49aは、厚みが小さい低坪量部49bよりも強く圧縮される。その結果、図10(b)に示すとおり、得られる吸収体10においては、高坪量部49aに由来して、坪量が高く、かつ見掛け密度が高い部位101が形成される。また、低坪量部49bに由来して、坪量が低く、かつ見掛け密度が低い部位102が形成される。部位101は、吸収体10における第2吸収部12、及び第2吸収部12に隣接する第1吸収部11の一部を含んでいる。部位102は、吸収体10における第3吸収部13、及び第3吸収部13に隣接する第1吸収部11の一部を含んでいる。そして、部位101と部位102との境界が、上述した境界部K(図1参照)となる。
以上の説明から明らかなとおり、吸収体10の製造において、境界部Kは、回転ドラム50のドラム凹部51におけるメッシュプレート52の深さを調整することで、吸収体10における所望の位置に形成することができる。
吸収体10は上記の製造方法及び製造装置によって、単層構造として製造することができる。また、多層構造の各層を、上記の又は通常の製造方法及び製造装置によって製造し、その後、該各層を積層して多層構造の吸収体10を製造することもできる。
また、吸収体前駆体49は、加圧することが好ましいが、必ずしも加圧する必要はなく、そのまま吸収体10としても構わない。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の範囲は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態は、本発明の吸収体及び吸収性物品を展開型の使い捨ておむつに適用した例であるが、本発明は展開型の使い捨ておむつ以外の吸収性物品、例えばパンツ型の吸収性物品等にも同様に適用することができる。
また前記の各実施形態においては、吸収体10における第2面10bに各凹部21,22,23が形成されていたが、これに代えて第1面10bに各凹部を形成し、該第1面が着用者の肌に対向するように吸収性物品に組み込んでもよい。
また前記の各実施形態は相互に組み合わせたり置換したりすることが可能である。また、図4(a)ないし(i)に示す形態の第2凹部22を、第3凹部23の形態として用いてもよい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の吸収体及び吸収性物品を開示する。
<1>パルプと高吸収性ポリマーとを含み、長手方向及びそれに直交する幅方向を有する吸収性物品の吸収体であって、
前記吸収体は少なくとも単層構造部位を有し、
前記吸収体は、これを長手方向に三分割したときに、中央に位置する第1吸収部と、該第1吸収部から長手方向の前方及び後方にそれぞれ延出する第2吸収部及び第3吸収部とに区分され、
第2吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量が、第3吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量よりも高くなっており、
第1吸収部の表面に、一方向に延びる第1凹部が形成されており、
一方向に延びる第1凹部はその端部が、前記吸収体の側縁にまで達しておらず、かつその延びる方向が、該吸収体の長手方向を向いており、
第2吸収部の表面に、少なくとも第1凹部から連続しかつ前記吸収体の長手方向に延在する第2凹部が形成されており、
第1凹部と第2凹部とが、前記吸収体における同じ側の表面に形成されている吸収性物品の吸収体。
<2>第1凹部は、第1吸収部における第1凹部以外の部位よりも低坪量になっている前記<1>に記載の吸収体。
<3>第2吸収部が前記吸収体の幅方向全面に位置する前記<1>又は<2>に記載の吸収体。
<4>第2吸収部の厚みは、第1吸収部における第1凹部以外の部位の厚みよりも薄くなっている前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の吸収体。
<5>前記高吸収性ポリマーの偏在の境界面がゆるやかに変化している前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載の吸収体。
<6>第1凹部が、前記吸収体の長手方向にのみ延びている前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の吸収体。
<7>第2凹部のうちの一部は第1凹部と連結しており、第2凹部はその端部が、前記吸収体の側縁にまで達していない<1>ないし<6>のいずれか1に記載の吸収体。
<8>第2吸収部の第2凹部は更に、一方向に延び、その延びる方向が前記吸収体の長手方向に対して傾斜している斜行凹部を有している<1>ないし<7>のいずれか1に記載の吸収体。
<9>第2吸収部の第2凹部は更に、前記斜行凹部と交差する方向に延び、その延びる方向が長手方向に対して傾斜している別の斜行凹部を有している前記<8>に記載の吸収体。
<10>第3吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量を1としたとき、第2吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量が、1よりも大きく2.5よりも小さくなっている前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載の吸収体。
<11>第1凹部及び第2凹部が非肌面側に配置されている前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載の吸収体。
<12>第3吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量を1としたとき、第2吸収部12に存在する高吸収性ポリマーの坪量が、1よりも大きいことが好ましく、1.2以上であることが更に好ましく、1.5以上であることが一層好ましく、2.5よりも小さいことが好ましく、2.3以下であることが更に好ましく、2.0以下であることが一層好ましい前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載の吸収体。
<13>第2吸収部における高吸収性ポリマーの坪量の下限値は175g/mであることが好ましく、200/mであることが更に好ましく、225g/mであることが一層好ましく、上限値は375/mであることが好ましく、350g/mであることが更に好ましく、325/mであることが一層好ましい前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載の吸収体。
<14>第3吸収部における高吸収性ポリマーの坪量の下限値は50g/mであることが好ましく、75g/mであることが更に好ましく、100g/mであることが一層好ましく、上限値は200g/mであることが好ましく、175g/mであることが更に好ましく、150g/mであることが一層好ましい前記<1>ないし<13>のいずれか1に記載の吸収体。
<15>第2吸収部に存在するパルプの坪量が、第3吸収部13に存在するパルプの坪量よりも高くなっている前記<1>ないし<14>のいずれか1に記載の吸収体。
<16>第3吸収部に存在するパルプの坪量を1としたとき、第2吸収部に存在するパルプの坪量が1よりも大きいことが好ましく、1.2以上であることが更に好ましく、1.5以上であることが一層好ましく、3.0よりも小さいことが好ましく、2.5以下であることが更に好ましく、2.0以下であることが一層好ましい前記<1>ないし<15>のいずれか1に記載の吸収体。
<17>第2吸収部における高吸収性ポリマーとパルプとの坪量比(高吸収性ポリマー坪量/パルプ坪量)は、第3吸収部における高吸収性ポリマーとパルプとの坪量比と同じあり、高吸収性ポリマーとの坪量比はその下限値が0.6であることが好ましく、0.8であることが更に好ましく、1.0であることが一層好ましく、上限値は、3.0であることが好ましく、2.5であることが更に好ましく、2.0であることが一層好ましい前記<1>ないし<16>のいずれか1に記載の吸収体。
<18>第3吸収部の表面に、少なくとも第1凹部から連続しかつ前記吸収体の長手方向に延在する第3凹部が形成されており、
第3凹部と、第1凹部及び第2凹部とが、前記吸収体における同じ側の表面に形成されている前記<1>ないし<17>のいずれか1に記載の吸収体。
<19>第3吸収部の第3凹部は更に、一方向に延び、その延びる方向が、前記吸収体の長手方向と0度超90度以下の角度で交差している凹部を有している前記<18>に記載の吸収体。
<20>すべての第3凹部の長さの総和に対して、第3凹部のうち、前記吸収体の長手方向と0度超90度以下の角度で交差している凹部の長さの総和の割合が80%以上である前記<18>又は<19>に記載の吸収体。
<21>前記吸収体の表面に、厚み方向において他の部分よりも高吸収性ポリマーの坪量が少ないパルプ層を有している前記<1>ないし<20>のいずれか1に記載の吸収体。
<22>前記パルプ層と、第1凹部及び第2凹部の開口している側とが、前記吸収体の同じ側の面に形成されている前記<21>に記載の吸収体。
<23>前記パルプ層は、厚み方向において、第1凹部及び第2凹部以外の部位とのみ重なる前記<21>又は<22>に記載の吸収体。
<24>前記パルプ層の坪量は50g/m以下である前記<21>ないし<23>のいずれか1に記載の吸収体。
<25>前記パルプ層はパルプのみによって形成される前記<21>ないし<24>のいずれか1に記載の吸収体。
<26>第1吸収部のうち、第2吸収部と連接している部位の高吸収性ポリマーの坪量が、第2吸収部の高吸収性ポリマーの坪量と同じになっており、
第1吸収部のうち、第3吸収部と連接している部位の高吸収性ポリマーの坪量が、第3吸収部の高吸収性ポリマーの坪量と同じになっており、
第1吸収部において、高吸収性ポリマーの坪量が変化している境界部が、前記単層構造部位を長手方向に二等分したときに、該二等分の位置を含んで第3吸収部寄りに位置している前記<1>ないし<25>のいずれか1に記載の吸収体。
<27>第1吸収部の全域での高吸収性ポリマーの坪量が、第2吸収部での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっており、第2吸収部での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位と、第3吸収部での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位との境界部が、第1吸収部11と第3吸収部13との境界部と一致している前記<1>ないし<26>のいずれか1に記載の吸収体。
<28>第1吸収部の全域での高吸収性ポリマーの坪量が、第2吸収部での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっており、かつ第3吸収部のうち、第1吸収部と連接している部位での高吸収性ポリマーの坪量が、第1吸収部での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっており、第2吸収部での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位と、第3吸収部13での高吸収性ポリマーの坪量と同じになっている部位との境界部が、第3吸収部内に存在する前記<1>ないし<27>のいずれか1に記載の吸収体。
<29>前記吸収体が単層構造部位のみからなる前記<1>ないし<28>のいずれか1に記載の吸収体。
<30>第2凹部が、前記吸収体の長手方向に対して傾斜している方向に延びる斜行凹部を含み、すべての第2凹部の長さの総和に対して、第2凹部のうち、斜行凹部の長さの総和の割合が70%以上である前記<1>ないし<29>のいずれか1に記載の吸収体。
<31>前記吸収体は、長手方向に凹凸を有しない面を有する前記<1>ないし<30>のいずれか1に記載の吸収体。
<32>第1凹部が、前記吸収体の長手方向に二条以上設けられており、かつ該吸収体の厚み方向にわたって貫通している前記<1>ないし<30>のいずれか1に記載の吸収体。
<33>前記<1>ないし<32>のいずれか1に記載の吸収体を備え、該吸収体における第2吸収部が腹側に配され、第3吸収部が背側に配された吸収性物品。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
図7に示す装置を用い、単層構造の吸収体を2枚製造し、それらを積層することで、図11に示す形態の吸収体を製造した。吸収体の原料として、フラッフパルプとポリアクリル酸系の高吸収性ポリマーを用いた。積層によって形成された吸収体は、その寸法が長さ390mm、幅120mm、厚さ6mmであった。
第1吸収部には、長手方向に沿って一対の直線状の第1凹部を形成した。第1凹部は、長さ190mm、幅10mm、深さ6mmとした。第1凹部の間隔は20mmとし、吸収体の長手方向中心線に対して対称に形成した。
第2吸収部には、第1凹部が第2吸収部まで延出し、長手方向に沿った、長さ25mm、幅10mm、深さ6mmの直行第2凹部を形成した。さらに、第2吸収部には、吸収体の長手方向中心線に対してプラスマイナス45度傾斜した斜め格子状であり、幅5mm、深さ4mmの斜め格子状の斜行第2凹部を形成した。斜行第2凹部のうち、プラス45度に傾斜したものとマイナス45度に傾斜したものとは、各凹部の長手方向の中央部分で交差した形状とした。斜行第2凹部の間隔は10mmとした。斜行第2凹部は、その一方の端部を、直行第2凹部と連結させ、他方の端部を、第2吸収部側の端縁から内側に10mmの位置で終端させた。第2吸収部には、直行第2凹部と斜行第2凹部を合わせた、合計六条の凹部を形成した。
第3吸収部には、第1凹部が第3吸収部まで延出し、長手方向に沿った、長さ25mm、幅10mm、深さ6mmの直行第3凹部を形成した。さらに、第3吸収部には、吸収体の長手方向中心線に対してプラスマイナス45度傾斜した斜め格子状であり、幅5mm、深さ4mmの斜行第3凹部を形成した。斜行第3凹部のうち、プラス45度に傾斜したものとマイナス45度に傾斜したものとは、各凹部の長手方向の中央部分で交差した形状とした。斜行第3凹部の間隔は10mmとした。斜行第3凹部は、その一方の端部を、直行第3凹部と連結させ、他方の端部を、第3吸収部側の端縁から内側に10mmの位置で終端させた。第3吸収部には、直行第3凹部と斜行第3凹部を合わせた、合計六条の凹部を形成した。
第1吸収部、第2吸収部及び第3吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量は、以下の表1に示すとおりとした。また、境界部Kの位置は、同表に示すとおりとした。
〔実施例2〕
第3吸収部の形態を図11に示すとおりに変更し、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表1に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
本実施例における第3吸収部には、第1凹部から延出した直行第3凹部の他に、吸収体の幅方向と平行に一対の直線状の幅方向第3凹部を形成した。幅方向第3凹部は、長さ100mm、幅5mm、深さ4mmとし、吸収体の長手方向の中心線に対して対称に形成した。一対の幅方向第3凹部のうち、直行第3凹部に近い側に位置する幅方向第3凹部と直行第3凹部の端部との間隔は25mmとした。一方、一対の幅方向第3凹部のうち、第3吸収部の端縁に近い側に位置する幅方向第3凹部と第3吸収部の端縁との間隔は20mmとした。第3吸収部には、直行第3凹部と幅方向第3凹部を合わせた、合計四条の凹部を形成した。
〔実施例3、4及び7〕
第3吸収部の形態を図11に示すとおりに変更し、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表1及び2に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
本実施例における第3吸収部には、第1凹部から延出した直行第3凹部のみを形成し、他の第3凹部を形成しなかった。
〔実施例5、11及び12〕
図7に示す装置を用いて単層構造の吸収体を製造し、第3吸収部の形態を図11及び図12に示すとおりに変更し、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表2及び3に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
本実施例における第3吸収部には、第1凹部から延出した直行第3凹部のみを形成し、他の第3凹部を形成しなかった。
〔実施例6〕
第2吸収部及び第3吸収部の形態を図11に示すとおりに変更し、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表6に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
本実施例における第2吸収部には、第1凹部から延出した直行第2凹部の他に、吸収体の長手方向中心線に対してプラスマイナス45度傾斜した斜行第2凹部を形成した。斜行第2凹部のうち、プラス45度に傾斜したものとマイナス45度に傾斜したものとは、各凹部の第1吸収部側の端部で連結した形状とした。第2吸収部には、直行第2凹部と斜行第2凹部を合わせた、合計六条の凹部を形成した。
本実施例における第3吸収部には、第1凹部から延出した直行第3凹部のみを形成し、その他の第3凹部を形成しなかった。
〔実施例8〕
第2吸収部及び第3吸収部の形態を図11に示すとおりに変更し、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表2に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
本実施例における第2吸収部では、斜行第2凹部の第1吸収部側端部を、直行第2凹部と連結させなかった。
本実施例における第3吸収部には、第1凹部から延出した直行第3凹部のみを形成し、その他の第3凹部を形成しなかった。
〔実施例9〕
図7に示す装置を用いて単層構造の吸収体を製造し、第3吸収部の形態を図12に示すとおりに変更し、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表3に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。また、得られた吸収体の表裏面を実施例1とは逆に、つまり、凹部の開口が肌面側に向くようにした。
本実施例における第3吸収部には、第1凹部から延出した直行第3凹部のみを形成し、その他の第3凹部を形成しなかった。
〔実施例10〕
第2吸収部及び第3吸収部の形態を図12に示すとおりに変更し、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表3に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
本実施例における第2吸収部には、第1凹部から延出した直行第2凹部の他に、吸収体の長手方向中心線に対してプラスマイナス45度傾斜した斜行第2凹部を形成した。斜行第2凹部のうち、プラス45度に傾斜したものとマイナス45度に傾斜したものとは、各凹部の第1吸収部側の端部近傍で交差した形状とした。第2吸収部には、直行第2凹部と斜行第2凹部を合わせた、合計六条の凹部を形成した。
本実施例における第3吸収部には、第1凹部から延出した直行第3凹部のみを形成し、その他の第3凹部を形成しなかった。
〔実施例13〕
第2吸収部及び第3吸収部の形態を図12に示すとおりに変更し、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表4に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
本実施例における第2吸収部には、第1凹部から延出した直行第2凹部の他に、吸収体の幅方向に平行な一対の直線状の幅方向第2凹部を形成した。第2吸収部には、直行第2凹部と幅方向第2凹部を合わせた、合計四条の凹部を形成した。
本実施例における第3吸収部には、第1凹部から延出した直行第3凹部の他に、吸収体の幅方向に平行な一対の直線状の幅方向第3凹部を形成した。第3吸収部には、直行第3凹部と幅方向第3凹部を合わせた、合計四条の凹部を形成した。
〔実施例14〕
第2吸収部及び第3吸収部の形態を図12に示すとおりに変更し、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表4に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
本実施例における第2吸収部には、第1凹部から延出した直行第2凹部のみを形成し、他の第2凹部を形成しなかった。
本実施例における第3吸収部には、第1凹部から延出した直行第3凹部のみを形成し、他の第3凹部を形成しなかった。
〔実施例15〕
第1吸収部、第2吸収部及び第3吸収部の形態を図12に示すとおりに変更し、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表4に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
本実施例における第1吸収部には、吸収体の長手方向及び幅方向に延びる格子状の第1凹部を合計十条形成した。長手方向に延びる凹部は、四条の直線状とし、長さ190mm、幅10mm、深さ6mmとした。幅方向に延びる凹部は、六条の直線状とし、長さ100mm、幅5mm、深さ4mmとした。
本実施例における第2吸収部には、吸収体の長手方向及び幅方向に延びる格子状の第2凹部を合計六条形成した。第1凹部から延出した直行第2凹部は四条とし、長さ65mm、幅10mm、深さ6mmとした。この凹部の間隔は15mmとし、吸収体の長手方向中心線に対して対称に形成した。吸収体の幅方向に平行な直線状の幅方向第2凹部は二条形成し、長さ100mm、幅5mm、深さ4mmとした。この凹部の間隔は30mmとし、吸収体の長手方向中心線に対して対称に形成した。
本実施例における第3吸収部には、吸収体の長手方向及び幅方向に延びる格子状の第3凹部を合計六条形成した。第1凹部から延出した直行第3凹部は四条とし、長さ65mm、幅10mm、深さ6mmとした。この凹部の間隔は15mmとし、吸収体の長手方向中心線に対して対称に形成した。吸収体の幅方向に平行な直線状の幅方向第3凹部は二条形成し、長さ100mm、幅5mm、深さ4mmとした。この凹部の間隔は30mmとし、吸収体の長手方向中心線に対して対称に形成した。
〔比較例1〕
各吸収部に凹部を形成せず、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表4に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
〔比較例2〕
第1吸収部の形態を図12に示すとおりに変更し、第2吸収部及び第3吸収部に凹部を形成せず、かつ各吸収部におけるパルプ及び高吸収性ポリマーの坪量を表4に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にして吸収体を得た。
本比較例における第1吸収部には、吸収体の長手方向に沿って延びる一対の直線状の第1凹部を合計二条形成した。この凹部は、長さ150mm、幅10mm、深さ6mmとした。この凹部の間隔は20mmとし、吸収体の長手方向中心線に対して対称に形成した。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた吸収体の全体を、坪量16g/mのティッシュペーパーで被覆した後、吸収体の一方の面を表面シートで被覆するとともに、他方の面を裏面シートで被覆し、使い捨ておむつを製造した。吸収体とティッシュペーパーとは、ホットメルト粘着剤によって接合した。また、表面シートと裏面シートとは、吸収体の周縁から延出した部位どうしをホットメルト粘着剤によって接合した。表面シート及び裏面シートとしては、花王(株)製の使い捨ておむつである「メリーズ」(登録商標)において用いられているものと同様のものを用いた。このようにして得られたおむつについて、以下の方法で最大吸収量、液戻り量、吸収時間、フィット性、粒状感及びクッション性を測定及び評価した。それらの結果を以下の表1ないし4に示す。
〔最大吸収量〕
角度30°の斜面台に、表面シートを上側に向けたおむつを載置して、0.9%食塩水を5g/秒の速度で注入した。注入位置は、上側に位置する吸収体の端部から股下部側に向けて130mm内側の位置とした。注入完了後、5分間放置した。次いで、おむつを角度10°の斜面台に移し、この斜面台の上に表面シートを上側に向けて載置した。表面シート上に6kg(押圧面300cm)のおもりを載せ、おむつを加圧した状態で5分間放置した。5分後におもりを取り除いた。以降、これらの操作を繰り返した。繰り返しは、おむつが0.9%食塩水を保持できなくなり漏れが生じるまで行った。そして、加圧しても漏れが生じない0.9%食塩水の総注入量を、最大吸収量とした。以上の測定を、おむつの腹側が斜面台の上側に位置する場合と、背側が斜面台の上側に位置する場合とで行った。そして、比較例1の最大吸収量を1.0としたときの相対値を以下の計算式を用いて算出した。
最大吸収量(相対値)=(サンプルの最大吸収量)/(比較例1の最大吸収量)
この最大吸収量(相対値)が大きいほど吸収量が多く、高評価となる。
〔液戻り量及び吸収時間〕
おむつにおける吸収体の長手方向中央部で、かつ幅方向中央部の位置に、内径35mmの円筒を置き、生理食塩水40gを、液面高さが10mmになるように維持しながら注入した。円筒最下部にはおむつ全体を覆うことのできる大きさのアクリル板が備えられている(厚さ5mm、長さ250mm、幅100mm)。吸収開始から10分後に、再度40gを注入した。この操作を4回繰り返し、合計160gの生理食塩水を吸収させた。予め、ろ紙(アドヴァンテックNo.5C)を100mm×100mmに切断し、16枚重ねにしたものを準備し(質量測定W1)、4回目の注入を開始してから10分後に、注入点を中心として吸収体上に載せ、3.5kPaの圧力を掛けて、ろ紙に生理食塩水を吸収させた。2分後にろ紙の質量を測定し(W2)、次式から液戻り量を算出した。
液戻り量(g)=加圧後のろ紙の質量(W2)−最初のろ紙の質量(W1)
比較例1の液戻り量を1.0としたときの相対値を以下の計算式を用いて算出した。
液戻り量(相対値)=(サンプルの液戻り量)/(比較例1の液戻り量)
この液戻り量(相対値)が小さいほど液戻り量が少なく、高評価となる。
以上の液戻り量の測定において、4回目の生理食塩水の注入操作で、生理食塩水の全量が円筒から吸収体内部に移動するまでの時間を測定し、その時間を吸収時間とした。そして比較例1の吸収時間を1.0としたときの相対値を以下の計算式を用いて算出した。
吸収時間(相対値)=(サンプルの吸収時間)/(比較例1の吸収時間)
この吸収時間(相対値)が小さいほど吸収時間が速く、高評価となる。
なお、液戻量及び吸収時間は、最大吸収量よりも重視されるべき吸収性能である。
〔フィット性〕
吸収体を、第1吸収部、第2吸収部、第3吸収部の3つの領域に切断した。切断位置は、吸収体の長手方向の前後端部から股下部側に向けて全長の1/4内側の位置とした。切断したそれぞれの吸収部の曲げ剛性を、大栄科学精器製作所社製のハンドロメーター(型式:HOM−3)を用いて測定した。ハンドロメーターのスリット幅は30mmに設定した。具体的には、切断した吸収部を10度ずつ回転させ、各角度における荷重値を測定し、それら荷重値の平均を算出した。この平均値を、フィット性を表す尺度とした。そして、比較例1のフィット性を1.0としたときの相対値を以下の計算式を用いて算出した。
フィット性(相対値)=(サンプルのフィット性)/(比較例1のフィット性)
このフィット性(相対値)が小さいほど柔軟性に優れ、高評価となる。
〔粒状感〕
吸収体を配したおむつにおいて、第2吸収部に相当する部分をおむつ長手方向に対して左右対称になるように両手でつかんだ。このとき、親指を表面材側に配し、残りの指4本をバックシート側に配するように持ち、親指で強く圧縮することで高吸収性ポリマーに起因する粒状感を評価した。粒状感を感じるとは、親指で強く圧縮した時に、ちくっと痛みを感じることである。評価は、A、B及びCの三段階の官能値とした。なお評価は、同一のおむつを10回評価するか、別々の10個のおむつを評価するか、あるいは一つのおむつで5回と別のおむつで5回評価するなど、いずれの方法を用いても構わない。この官能評価はA、B、Cの順に高評価となる。
A:別々の場所を10回押して、全く粒状感を感じない。
B:別々の場所を10回押して、1〜5回粒状感を感じる。
C:別々の場所を10回押して、6〜10回粒状感を感じる。
〔クッション性〕
吸収体を配したおむつにおいて、第2吸収部に相当する部分をおむつ長手方向に対して左右対象になるように両手でつかんだ。このとき、親指を表面材側に配し、残りの指4本をバックシート側に配するように持ち、親指で強く圧縮することでクッション性を評価した。クッション性を感じるとは、凹部と凸部とがある間隔で共存するときに、親指が圧縮できない凹部の中に、圧縮できる凸部を感じることにより強く発現する。すなわち、凹凸のない平坦な吸収体では、クッション性は発現しない。評価は、A、B及びCの三段階の官能値とした。なお評価は、同一のおむつを10回評価するか、別々の10個のおむつを評価するか、あるいは一つのおむつで5回と別のおむつで5回評価するなど、いずれの方法を用いても構わない。この官能評価はA、B、Cの順に高評価となる。
A:別々の場所を10回押して、6〜10回クッション性を感じる。
B:別々の場所を10回押して、1〜5回クッション性を感じる。
C:別々の場所を10回押して、全くクッション性を感じない。
表1ないし4に示す結果から明らかなとおり、各実施例は、比較例に比べて最大吸収量が多く、液戻り量が少なく、かつ吸収時間が短いものであることが判る。また、フィット性が良好であり、粒状感が少なく、かつクッション性を感じるものであることも判る。
10 吸収体
11 第1吸収部
12 第2吸収部
13 第3吸収部
21 第1凹部
21’第1貫通孔
22 第2凹部
23 第3凹部
100 展開型の使い捨ておむつ
K 境界部

Claims (16)

  1. パルプと高吸収性ポリマーとを含み、長手方向及びそれに直交する幅方向を有する吸収性物品の吸収体であって、
    前記吸収体は少なくとも単層構造部位を有し、
    前記吸収体は、これを長手方向に三分割したときに、中央に位置する第1吸収部と、該第1吸収部から長手方向の前方及び後方にそれぞれ延出する第2吸収部及び第3吸収部とに区分され、
    第2吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量が、第3吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量よりも高くなっており、
    第1吸収部の表面に、一方向に延びる第1凹部が形成されており、
    一方向に延びる第1凹部はその端部が、前記吸収体の側縁にまで達しておらず、かつその延びる方向が、該吸収体の長手方向を向いており、
    第2吸収部の表面に、少なくとも第1凹部から連続しかつ前記吸収体の長手方向に延在する第2凹部が形成されており、
    第1凹部と第2凹部とが、前記吸収体における同じ側の表面に形成されている吸収性物品の吸収体。
  2. 第1凹部は、第1吸収部における第1凹部以外の部位よりも低坪量になっている請求項1に記載の吸収体。
  3. 第2吸収部が前記吸収体の幅方向全面に位置する請求項1又は2に記載の吸収体。
  4. 第1凹部が、前記吸収体の長手方向にのみ延びている請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吸収体。
  5. 第2吸収部の第2凹部は更に、一方向に延び、その延びる方向が前記吸収体の長手方向に対して傾斜している斜行凹部を有している請求項1ないし4のいずれか一項に記載の吸収体。
  6. 第3吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量を1としたとき、第2吸収部に存在する高吸収性ポリマーの坪量が、1よりも大きく2.5よりも小さくなっている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の吸収体。
  7. 第1凹部及び第2凹部が非肌面側に配置されている請求項1ないし6のいずれか一項に記載の吸収体。
  8. 第3吸収部の表面に、少なくとも第1凹部から連続しかつ前記吸収体の長手方向に延在する第3凹部が形成されており、
    第3凹部と、第1凹部及び第2凹部とが、前記吸収体における同じ側の表面に形成されている請求項1ないし7のいずれか一項に記載の吸収体。
  9. 第3吸収部の第3凹部は更に、一方向に延び、その延びる方向が、前記吸収体の長手方向と0度超90度以下の角度で交差している凹部を有している請求項8に記載の吸収体。
  10. すべての第3凹部の長さの総和に対して、第3凹部のうち、前記吸収体の長手方向と0度超90度以下の角度で交差している第3凹部の長さの総和の割合が80%以上である請求項9に記載の吸収体。
  11. 前記吸収体の表面に、厚み方向において他の部分よりも高吸収性ポリマーの坪量が少ないパルプ層を有している請求項1ないし10のいずれか一項に記載の吸収体。
  12. 第1吸収部のうち、第2吸収部と連接している部位の高吸収性ポリマーの坪量が、第2吸収部の高吸収性ポリマーの坪量と同じになっており、
    第1吸収部のうち、第3吸収部と連接している部位の高吸収性ポリマーの坪量が、第3吸収部の高吸収性ポリマーの坪量と同じになっており、
    第1吸収部において、高吸収性ポリマーの坪量が変化している境界部が、前記単層構造部位を長手方向に二等分したときに、該二等分の位置を含んで第3吸収部寄りに位置している請求項1ないし11のいずれか一項に記載の吸収体。
  13. 前記吸収体が単層構造部位のみからなる請求項1ないし12のいずれか一項に記載の吸収体。
  14. 第2凹部が、前記吸収体の長手方向に対して傾斜している方向に延びる凹部を含み、すべての第2凹部の長さの総和に対して、第2凹部のうち、傾斜している第2凹部の長さの総和の割合が70%以上である請求項1ないし13のいずれか一項に記載の吸収体。
  15. 第1凹部が、前記吸収体の長手方向に二条以上設けられており、かつ該吸収体の厚み方向にわたって貫通している請求項1ないし14のいずれか一項に記載の吸収体。
  16. 請求項1ないし15のいずれか一項に記載の吸収体を備え、該吸収体における第2吸収部が腹側に配され、第3吸収部が背側に配された吸収性物品。
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