以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキン1(以下、「ナプキン1」とも言う。)に基づき図面を参照して説明する。図1には、本実施形態のナプキン1を肌側シート側から視た平面図が示されている。本実施形態のナプキン1は、図1に示すように、肌対向面を形成する肌側シート2と、非肌対向面を形成する非肌側シート3と、これら両シート2,3間に介在された吸収性コア41とを備え、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと該縦方向Xに直交する横方向Yとを有し、前方区域A及び後方区域Cを有する。ナプキン1は、図1に示すように、着用者の液排泄部に対向配置される中間区域Bと、該中間区域Bの縦方向Xの前後に配置された前方区域A及び後方区域Cとに区分されている。
本明細書において、縦方向Xは、着用者の前後方向に対応しており、吸収性物品(ナプキン1)の長手方向に一致し、横方向Yは、吸収性物品(ナプキン1)の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致している。したがって、特段の断りがない場合には、本明細書において、長手方向(縦方向X)の長さは、縦方向Xで測定される距離である「長さ」を意味し、横方向Yの長さは、横方向Yで測定される距離である「幅」を意味する。ナプキン1は、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。縦方向Xとは、中心線CLに平行な方向でもある。また、本明細書において、肌対向面は、吸収性物品(ナプキン1)又はその構成部材である例えば吸収体4における、吸収性物品(ナプキン1)の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品(ナプキン1)又はその構成部材である例えば吸収体4における、吸収性物品(ナプキン1)の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。
ナプキン1は、図1に示すように、着用時に着用者の液排泄部(膣口等)に対向配置される中間区域Bと、該中間区域Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方区域Aと、該中間区域Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方区域Cとを有している。即ち、ナプキン1は、縦方向Xに、前方区域A、中間区域B及び後方区域Cの順番で区分される。
尚、本発明の吸収性物品において、中間区域Bとは、本実施形態のナプキン1のようにウイング部1Wを有する場合には、縦方向Xにおいてウイング部1Wを有する領域(一方のウイング部1Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部1Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。また、ウイング部を有しない吸収性物品の場合には、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。
本実施形態のナプキン1は、図1に示すように、肌対向面を形成する液透過性の肌側シート2、非肌対向面を形成する非肌側シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備している。吸収体4は、吸収性コア41と、該吸収性コア41を包むコアラップシート(不図示)とから構成されている。
ナプキン1では、肌側シート2は、図1に示すように、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、非肌側シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に肌側シート2の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート5と共にサイドフラップ部1Sを形成している。非肌側シート3とサイドシート5とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。尚、肌側シート2及び非肌側シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
ナプキン1では、サイドシート5は、図1に示すように、肌側シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に配されている。好適には、サイドシート5は、平面視において肌側シート2の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、肌側シート2の縦方向Xの全長に亘って配されている。
ナプキン1では、一対のサイドシート5,5は、それぞれ、図1に示すように、波形状の接合部6にて肌側シート2に接合されている。接合部6の横方向Y外側端よりも内方に、サイドシート5と肌側シート2とが接合されていない空間部が形成され、横方向Yの中央から外方へ流れる経血等の体液が該空間部に収容されるようになり、結果として体液の漏れが効果的に防止できる。
ナプキン1では、サイドフラップ部1Sは、図1に示すように、中間区域Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これによりナプキン1は、その縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部1W,1Wを備えるようになる。また、肌側シート2及び非肌側シート3は、図1に示すように、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されてエンドシール部を形成している。
ナプキン1では、図1に示すように、肌側シート2と吸収性コア41とが圧搾一体化され、肌側シート2の肌対向面に、肌側シート2及び吸収体4が非肌側シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状圧搾溝7が形成されている。ナプキン1では、線状圧搾溝7は、図1に示すように、吸収体4の前方区域A及び後方区域Cそれぞれに横方向Yに延びる横圧搾溝71と、吸収体4の中間区域の縦方向Xに沿う両側部に縦方向Xに延びる縦圧搾溝73とを有しており、全体として環状の全周溝となっている。尚、線状圧搾溝7は、線状に延びていれば、溝の底部の厚みが一定であってもよく、溝の底部の厚みが一定でなくてもよい。線状圧搾溝7は、肌側シート2及び吸収体4に関して、構成部材である各々の繊維の密度が、該線状圧搾溝7の周囲部の密度よりも高くなっている。このようにリング状の全周溝に形成された線状圧搾溝7は、吸収体4の平面方向への体液の拡散を抑制して、ナプキン1の周囲から液漏れを効果的に防止することができる。
ナプキン1では、吸収体4を構成する吸収性コア41は、図2に示すように、縦方向Xの前方区域A側に位置する第一領域41F及び後方区域C側に位置する第三領域41Rを有し、第一領域41Fと第三領域41Rとの間に第二領域41Mを有している。第二領域41Mには、第一領域41F側及び第三領域41R側における坪量よりも、坪量の多い高坪量部42を備えている。ナプキン1では、吸収性コア41の第二領域41Mは、中間区域Bに配置されており、中間区域Bに吸収性コア41の高坪量部42を有している。
ナプキン1のように、横方向Y両外側に一対のウイング部1Wを備える場合には、各ウイング部1Wにおける縦方向Xに間隔を空けて配されたウイング部1Wの付け根どうし間に第二領域41Mが存在している。
また、ナプキン1では、第二領域41Mは、図3に示すように、後述する中高境界溝部43を除き、第二領域41Mの前方に位置する第一領域41F及び第二領域41Mの後方に位置する第三領域41Rの各領域における吸収性コア41の厚みよりも厚みが厚くなっている。ナプキン1では、吸収性コア41は、ナプキン1の縦方向Xと同方向に長い形状を有する。したがって、吸収性コア41の縦方向は、ナプキン1の縦方向Xと同方向であり、吸収性コア41の横方向は、ナプキン1の横方向Yと同方向である。
ナプキン1では、図3に示すように、高坪量部42の厚みが、吸収性コア41における第一領域41Fの厚み及び第三領域41Rの厚みよりも厚く形成されている。高坪量部42の厚み及び坪量と比較する第一領域41F及び第三領域41Rのそれぞれの厚み及び坪量は、第一領域41F及び第三領域41Rに後述する溝部45が形成されている場合には、第一領域41F及び第三領域41Rにおける溝部45が存在しない部分における厚み及び坪量を意味する。ナプキン1の吸収性コア41は、コア材料の坪量に差を設けて厚み差を設けてあるため、坪量の均一な吸収性コアの一部を圧縮して厚み差を設ける場合とは異なり、吸収性コア41は、全体として柔軟である。
高坪量部42の厚みは、高坪量部42を肌に向かって突出させて、吸収性コア41の液の吸収性等を向上させる観点から、吸収性コア41における第一領域41F及び第三領域41Rの厚みの、好ましくは120%(即ち1.2倍)以上700%(即ち7倍)以下、より好ましくは140%以上500%以下である。また、高坪量部42の厚みと第一領域41F又は第三領域41Rの厚みとの厚みの差(前者−後者)は、好ましくは1.0mm以上8.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上6.0mm以下である。上述した構成は、本実施形態のナプキン1のように高坪量部42が中間区域Bに設けられているときに、特に有効である。具体的に、高坪量部42の厚みは、好ましくは2.0mm以上10.0mm以下、より好ましくは3.0mm以上7.0mm以下である。なお、高坪量部42の全範囲において上記厚みの関係になっていることが好ましいが、高坪量部42の厚み方向において、横方向Y若しくは縦方向X又は、その両方向に漸次的な厚み増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
また、具体的に、第一領域41F又は第三領域41Rの厚みは、後述する溝部45のない部分において、好ましくは0.5mm以上7.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上3.5mm以下である。ナプキン1では、第一領域41F又は第三領域41Rの厚みは、後述する溝部45が存在しない部分において、略均一に形成されていることが好ましいが、第一領域41F又は第三領域41Rの横方向Y又は縦方向Xに漸次的な厚みの増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
高坪量部42、第一領域41F又は第三領域41R、後述する中高隣接部44等の吸収性コア41の各部の厚みは、以下の方法によって測定される。
<吸収性コア41の各部の厚みの測定方法>
吸収性コアを水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、該吸収性コア41から測定対象物である各部を切り出す。そして、切り出した測定対象物における5cN/cm2の荷重下での厚みを測定する。具体的には、厚みの測定に、例えば、厚み計PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いる。このとき、厚み計の先端部と切り出した測定対象物との間に、荷重が5cN/cm2となるように大きさを調整した平面視円形状又は正方形状のプレート(30mm×30mm、厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、厚みを測定する。吸収性コア41における第一領域41F又は第三領域41R等の厚みを測定する際には、後述する溝部45を含まないように測定する。
ナプキン1では、吸収性コア41における高坪量部42の坪量は、高坪量部42を肌に向かって突出させ、中間区域における吸収性コアの液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは100g/m2以上1500g/m2以下、より好ましくは200g/m2以上1200g/m2以下である。また、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量又は第三領域41Rの坪量は、好ましくは50g/m2以上1000g/m2以下、より好ましくは100g/m2以上900g/m2以下である。高坪量部42及び各領域41F,41Rの坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した対象測定物のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
第二領域41Mを備える高坪量部42は、図2に示すように吸収性コア41を平面視して、高坪量部42の縦方向Xの長さL2が吸収性コア41の縦方向Xの長さL1よりも短く、高坪量部42の縦方向Xに沿う両側縁42s,42sが吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sにまで及んでいる。好適には、高坪量部42は、図2に示すように吸収性コア41を平面視して、高坪量部42の最大幅部が吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁に従って縦方向Xに所定の長さに延在して形成される中高中央部421を有している。中高中央部421の最大幅部の横方向Yの長さは、吸収性コア41の幅と同一となっている。なお、ここで吸収性コア41の幅とは、高坪量部42を含めた吸収性コア41の幅を意味する。高坪量部42の最大幅部は肌側幅と非肌側幅が略同一であることが望ましく、特に厚み方向に略均一であることが望ましい。
ナプキン1では、中高中央部421は、図2に示すように、最大幅部において、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41s間が、一定の間隔であるが、両側縁41s,41sはそれぞれ、縦方向Xに平行であり、且つ直線状となっていることがより好ましい。ただし、側縁形状が波打っている場合等を排除するものではなく、最大幅部の幅の5%程度の差の範囲で吸収性コア41の幅が変動するものであれば同一の幅とする。
ナプキン1では、高坪量部42は、図2に示すように吸収性コア41を平面視して、中高中央部421から前方区域A側又は後方区域C側に向かって高坪量部42の前記最大幅部よりも横方向Yの長さが狭くなっている前方側凸部422又は後方側凸部423を備えている。ナプキン1では、1個の前方側凸部422及び1個の後方側凸部423を有している。
ナプキン1では、前方側凸部422は、縦方向Xに延びる中心線CL上に前方側凸部422の頂部422tが配され、頂部422tから吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sに亘って直線形状に延びる両側辺422s,422sを備えている。また、ナプキン1では、後方側凸部423は、縦方向Xに延びる中心線CL上に後方側凸部423の頂部423tが配され、頂部423tから吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sに亘って直線形状に延びる両側辺423s,423sを備えている。このように、吸収性コア41を平面視して、高坪量部42は、縦方向Xの長さが、横方向Yの中央部から側縁4sに向かって漸減する部分を有している。
このように、高坪量部42は、前方側凸部422、帯状に延在する中高中央部421及び後方側凸部423を有しているので、ナプキン1では、平面視で、高坪量部42は、横方向Yの中央部における縦方向Xの長さが、該高坪量部42の側縁42sの縦方向Xの長さよりも長い。
ナプキン1では、図2に示すように、ナプキン1の吸収性コア41における前方側凸部422では、両側辺422s,422sの間隔(幅d)が、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sから頂部422tに向かって漸減している。同様に、ナプキン1の吸収性コア41における後方側凸部423では、両側辺423s,423sの間隔(幅d)が、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sから頂部423tに向かって漸減している。ここで、幅dが漸減しているとは、頂部422t,423tに向って幅dが連続的に少しずつ減少していることである。ナプキン1では、高坪量部42が平面視六角形状となっている。
ナプキン1における吸収性コア41では、一方の側辺422sと縦方向Xに延びる中心線CLとのなす角αは、身体形状へのフィット性及び動きの中での追従性向上の観点から、好ましくは20°以上75°以下、より好ましくは30°以上60°以下である。後方側凸部423も前方側凸部422と同様である。
高坪量部42の中高中央部421は、ナプキン1では、図4に示すように断面視して、横方向Yの中央部から縦方向Xに沿う両側縁部に向かって、その高さが低くなるように形成されていて、中間区域Bにおける液の吸収性等を向上させることが可能になっている。この場合、中心線CL上に配された中央部の高さ(T1)の、最も高さの小さい側縁41sでの高さ(T2)に対する比(T1/T2)は、着用時に高坪量部42が排泄部へ良好に密着し、かつ違和感ない着用感を得ることができる観点から、1.1以上4以下、特に1.3以上3以下であることが好ましい。
高坪量部42の中高中央部421は、ナプキン1では、図4に示すように断面視して、横方向Yの中央部から縦方向Xに沿う両側縁部に向かって、その坪量が小さくなるように形成されていて、中間区域における液の吸収性等を向上させることができる。また、ナプキン1の中高中央部421は、ナプキン1に予期せぬシワや折れが生じさせない観点から、少なくとも肌当接面側に、吸収性コア41における第一領域41F及び第三領域41Rの坪量よりも坪量が低い凹部を有さない形態となっている。ここで、第一領域41F及び第三領域41Rの坪量とは、第一領域41F及び第三領域41Rが溝部45を有する場合には、溝部45を除いた部分の坪量を意味する。
高坪量部42の縦方向Xの全長L2は、吸収性コア41の縦方向Xの全長L1に対して、好ましくは25%以上90%以下、より好ましくは30%以上75%以下である。全長L1とは吸収性コア41の縦方向Xにおける最も長い位置での距離を示し、全長L2とは高坪量部42の縦方向Xにおける最も長い位置での距離を意味する(図2参照)。
高坪量部42を構成する中高中央部421の縦方向Xの全長L3は、高坪量部42の全長L2の好ましくは20%以上80%以下、より好ましくは30%以上70%以下である。
高坪量部42を構成する前方側凸部422の縦方向Xの全長L4は、高坪量部42の全長L2の、好ましくは5%以上50%以下、より好ましくは10%以上30%以下である。高坪量部42を構成する後方側凸部423の縦方向X全長も、前方側凸部422の縦方向Xの全長L4と同様である。なお、全長L4とは前方側凸部422の縦方向Xにおける最も長い位置での距離を意味する(図2参照)。
ナプキン1では、図2に示すように、吸収性コア41は、第二領域41Mに高坪量部42と高坪量部42以外の部分との境界を区画する中高境界溝部43を有している。中高境界溝部43は、ナプキン1では、高坪量部42を構成する前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sに沿って延在する前方中高境界溝部43aと、後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sに沿って延在する後方中高境界溝部43cとを有している。前方中高境界溝部43aと後方中高境界溝部43cは、吸収性コア41の横方向Yの全長(全幅)に亘り形成されている。このため、脚部からの吸収性コア41の幅方向の内側に働く力に対し、ナプキン1の縦方向に縦シワが生じ難く、ナプキン1が身体の形状に沿って3次元的にフィットし易くなる。このように、吸収性コア41では、前方中高境界溝部43aと後方中高境界溝部43cとによって高坪量部42との境界を区画している。
ナプキン1では、吸収性コア41における中高境界溝部43の溝幅は、中間区域における液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは0.1mm以上5.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上3.0mm以下である。尚、中高境界溝部43の溝幅及び後述する厚みは、中高境界溝部43の延びる方向に直交する方向に切断し、切端面の写真から計測する。また、ナプキン1では、吸収性コア41における中高境界溝部43での厚みは中間区域Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは0.08mm以上7.0mm以下、より好ましくは、0.15mm以上3.5mm以下である。
ナプキン1では、中高境界溝部43は、高坪量部42の坪量よりも低く、更に、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量及び第三領域41Rの坪量よりも坪量が低く形成されている。ここで、第一領域41Fの坪量及び第三領域41Rの坪量とは、溝部45を有する場合には、溝部45を除いた部分の坪量を意味する。中高境界溝部43の坪量は、好ましくは10g/m2以上350g/m2以下、より好ましくは20g/m2以上250g/m2以下である。尚、中高境界溝部43の坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した中高境界溝部43の部分のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
ナプキン1では、吸収性コア41は、図2に示すように、その第二領域41Mに、高坪量部42及び中高境界溝部43を除く領域に、中高隣接部44を有している。中高隣接部44は、第二領域41Mにおいて、高坪量部42を構成する前方側凸部422に隣接する第一領域41F側に配された前方中高隣接部44aと、高坪量部42を構成する後方側凸部423に隣接する第三領域41R側に配された後方中高隣接部44cとを有している。前方中高隣接部44aは、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。前方中高隣接部44aにおける、中心線CLよりも吸収性コア41の縦方向Xに沿う一方の側縁41s側の半分の部分は、縦方向Xの長さが、該一方の側縁41sから中心線CLに向かって漸減するように形成されている。後方中高隣接部44cも、前方中高隣接部44aと同様に、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。後方中高隣接部44cにおける、中心線CLよりも吸収性コア41の縦方向Xに沿う一方の側縁41s側の半分の部分は、縦方向Xの長さが、該一方の側縁41sから中心線CLに向かって漸減するように形成されている。
ナプキン1では、中高隣接部44は、図3に示すように、その厚みが、中高境界溝部43の厚みよりも大きく、且つ、吸収性コア41における高坪量部42の厚みよりも小さい。中高隣接部44a、44cは、各々の厚みが、隣接する第一領域41F及び第三領域41Rの厚みに対して同じか小さいと、身体動作への追従性に優れ、大きいと、繰り返し変形に対する耐性の点で優れる。各中高隣接部44の厚みは、好ましくは0.5mm以上10.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上7.0mm以下である。中高隣接部44の厚みは、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法に基づいて測定される。
ナプキン1では、中高隣接部44の坪量が、高坪量部42の坪量より小さく、且つ、中高境界溝部43の坪量よりも大きい。なお、各中高隣接部44a、44cの坪量は、隣接する第一領域41F及び第三領域41Rの坪量に対して、同じか小さいと身体動作への追従性に優れ、大きいと繰り返し変形に対する耐性の点で優れる。中高隣接部44の坪量は、好ましくは20g/m2以上800g/m2以下、より好ましくは50g/m2以上700g/m2以下である。尚、中高隣接部44の坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した中高隣接部44のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
ナプキン1では、図2に示すように、吸収性コア41における第一領域41F及び第三領域41Rに、周囲よりも坪量が小さい溝部45を備え、溝部45が縦方向Xに延びる縦溝45Xと横方向Yに延びる横溝45Yとを有している。ナプキン1では、第一領域41F及び第三領域41Rは、それぞれ、相対的に坪量が小さい溝部45と相対的に坪量が大きい小吸収部46とを有している。好適には、溝部45は、縦方向Xに延びる縦溝45Xと、横方向Yに延びる横溝45Yとからなる。そして、縦方向Xに延びる縦溝45Xは、横方向Yに一定の間隔を空けて配され、横方向Yに延びる横溝45Yは、縦方向Xに一定の間隔を空けて配されている。小吸収部46は、縦溝44Y及び横溝44Xで区画された格子の目の位置に配されている。上述した第一領域41F及び第三領域41Rの厚み及び坪量とは、小吸収部46の厚み及び坪量を意味する。
ナプキン1では、第一領域41F及び第三領域41Rに溝部45及び小吸収部46を有し、第二領域41Mに高坪量部42、中高境界溝部43及び中高隣接部44を有する吸収性コア41は、その全体が一体成形されている。「一体成形されている」とは、別の工程で製造した部材どうしを接着剤や圧縮などの接合手段で結合したものとは異なり、同一の材料を用いて、一つの工程で一体的に形成されていることを意味する。
上述したナプキン1の吸収性コア41は、例えば、図8(a)に示すように、外周面に集積用凹部55を備え、一方向Rに回転する積繊ドラム54と、該積繊ドラム54の外周面に、コア材料を飛散状態で供給するダクト(図示せず)を備えた積繊装置を用いて製造することができる。
集積用凹部55は、積繊ドラム54の外周面の周方向に一定の間隔で複数個形成されている。集積用凹部55の底面56は、メッシュプレート等からなり、吸引孔として機能する多数の細孔を有している。
また、図8(a)に示すように、1個の集積用凹部55の底面56の一部には、吸収性コア41の第二領域41Mを形成するための1つの凹部56bが形成されている。また、凹部56bには、その底面に、高坪量部42と中高隣接部44とを区分する中高境界溝部43を形成するための第1難通気性部材57が配置されている。第1難通気性部材57は、中高境界溝部43に対応する位置に配され、凹部56bの底面から突出するように固定されている。また、凹部56bに隣接する回転方向Rの上流側領域及び下流側領域の底面56には、溝部45を形成するための第2難通気性部材58が配置されている。第2難通気性部材58は、縦溝44Y及び横溝44Xに対応する位置に配され、集積用凹部55の底面56から突出するように固定されている。第1難通気性部材57及び第2難通気性部材58は、非通気性部材であっても良く、例えば金属やプラスチック、セラミック等からなる。
積繊ドラムを備えた公知の積繊装置と同様に、集積用凹部55の底面から吸引しつつ、ダクト内に、吸水性ポリマーとパルプ繊維とを混合したコア材料を供給することによって、図8(b)に示すように、コア材料が集積用凹部55内に所定形状に堆積する。その堆積物40を、集積用凹部55から離型することで、吸収性コア41の前駆体が得られる。吸収性コア41の前駆体は、コアラップシート(不図示)で被覆された後に、ロータリーカッター等でカットされ、搬送方向にベルトコンベア等の搬送手段によって搬送される。このようにして吸収性コア41が得られる。このようにして得られたコアラップシート(不図示)で被覆された吸収性コア41は、一対のロール間に単回又は複数回通すこと等により、全体又は部分的に加圧し適度に圧縮させる。これにより、凹部56bに堆積した部分が、坪量及び厚みともに相対的に大きい高坪量部42となる。同様に、凹部56bに隣接する上流側領域及び下流側領域に堆積したコア材料からなる部分が、坪量が相対的に小さい吸収性コア41における第一領域41F及び第三領域41Rとなる。また、凹部56bの第1難通気性部材57上に堆積したコア材料からなる部分が、第一領域41Fの坪量及び第三領域41Rの坪量よりも相対的に小さい中高境界溝部43となる。凹部56bに隣接する上流側領域及び下流側領域の第2難通気性部材58上に堆積したコア材料からなる部分が、小吸収部46の坪量よりも相対的に小さい溝部45となる。
ナプキン1では、図5に示すように、肌側シート2は、肌対向面側に突出した高凸部2t1が複数横方向に並んだ高凸部列21Lと、高凸部2t1よりも高さの低い低凸部2t2が複数横方向に並んだ低凸部列22Lとが、縦方向に交互に配置された高低凸部列領域47を有しており、高低凸部列領域47が高坪量部42と平面視で重なっている。詳述すると、図5に示すように、中間区域Bにおいて、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sにまで及ぶ高坪量部42と重なる位置に、高坪量部42の横方向Yに沿って、肌側シート2の肌対向面側に突出する高凸部2t1が横方向Yに沿って複数配された高凸部列21Lを形成しており、低凸部2t2が横方向Yに沿って複数配された低凸部列22Lを形成している(図6及び図7参照)。そして、図5に示すように、高坪量部42と重なる位置に、高凸部列21L及び低凸部列22Lが縦方向Xに交互に配されている。本実施形態のナプキン1においては、肌側シート2の全面に高凸部列21Lと低凸部列22Lが存在しており、吸収性コア41の全域と肌側シート2の高凸部列21L及び低凸部列22Lが平面視重なっている。一の高凸部列21Lと、該一の高凸部列21Lに隣接する一の低凸部列22Lとの関係は、該一の高凸部列21Lを構成する横方向Yに隣り合う高凸部2t1,2t1どうしの中間位置に、該一の低凸部列22Lを構成する1個の低凸部2t2が配されるようになっている。
ナプキン1では、肌側シート2は、図9に示すように、複数のエンボス部2Eによって囲まれた大多角形領域BTを複数有し、エンボス部2Eは大多角形領域BTの頂部をなしている。そして、各大多角形領域BT内には相対的に高さの高い高凸部2t1が形成されている。また、肌側シートは、複数の大多角形領域BTの頂部をなすエンボス部2Eによって囲まれた、大多角形領域BTよりも面積が小さい小多角形領域STを複数有し、エンボス部2Eは小多角形領域STの頂部もなしている。そして、各小多角形領域ST内には、高凸部2t1よりも高さの低い低凸部2t2が形成されている。尚、図中のX方向は、肌側シート2の製造時の機械方向(MD方向)及びナプキン1の縦方向Xと同じ方向である。また、図中のY方向は、肌側シートの製造時の機械方向(MD方向)に直交する方向(CD方向)及びナプキン1の横方向Yと同じ方向である。
詳述すると、ナプキン1の肌側シート2においては、大多角形領域BTは、図9に示すように、頂部をなす6つのエンボス部2Eによって囲まれており、外形が六角形の形状となっている。一方、小多角形領域STは、図9に示すように、頂部をなす4つのエンボス部2Eによって囲まれており、外形が四角形の形状となっている。
肌側シート2では、図9に示すように、複数の大多角形領域BTが横方向Yに沿って互いに隣接して配されて構成された大多角形領域列BTLが形成され、大多角形領域BT内の高凸部2t1が横方向Yに沿って複数配されて高凸部列21Lを構成されている。また、肌側シート2では、複数の小多角形領域STが横方向Yに沿って互いに隣接して配されて構成された小多角形領域列STLが形成され、小多角形領域ST内の低凸部2t2が横方向Yに沿って複数配されて低凸部列22Lが構成されている。そして、大多角形領域列BTLと小多角形領域列STLとが、横方向Yと直交する縦方向Xに交互に配されている。即ち、縦方向Xに沿って、高凸部列21L、低凸部列22L、高凸部列21L・・・と交互に配置されている。そして、高凸部列21Lの高凸部2t1と低凸部列22Lの低凸部2t2とは、肌側シート2上で千鳥状に配置されている。言い換えると、高凸部2t1と低凸部2t2とは、横方向Yと縦方向Xそれぞれに対して斜めの方向に向かって交互に並んでいる。尚、高凸部2t1及び低凸部2t2に関しては、後で詳述する。
ナプキン1の肌側シート2においては、図9に示すように、エンボス部2Eは、縦方向Xに関して最も近い位置にある2つの高凸部2t1,2t1どうしの間で、且つ、横方向Yに関して最も近い位置にある2つの低凸部2t2,2t2どうしの間に中間エンボス部2E1を有している。肌側シート2においては、複数のエンボス部2Eは、中間エンボス部2E1と、中間エンボス部2E1を除く残りの他エンボス部2E2の2種からなる。ナプキン1では、中間エンボス部2E1はX字形状、各他エンボス部2E2は、図9に示すように、Y字形状に形成されている。
各エンボス部2E(中間エンボス部2E1及び他エンボス部2E2)は、良好な肌触りを維持しながら、肌側シート2における液の引き込み性および拡散性を高める観点から、1個のエンボス部2E(中間エンボス部2E1及び他エンボス部2E2の平均)の面積が、1mm2以上15mm2以下であることが好ましく、1.5mm2以上12mm2以下であることが更に好ましい。なお、本明細書において、「1個のエンボス部」とは、外形的に1つと見做せるエンボス形状のことをいい、該エンボス部が複数のドットや破線で構成されていても「1個のエンボス部」という。
エンボス部2E(中間エンボス部2E1及び他エンボス部2E2)においては、肌側シート2の構成繊維が圧密化されている。肌側シート全面積に対するエンボス部2Eの面積の比率、即ちエンボス化率は5%以上30%以下であることが好ましく、特に、7%以上20%以下であることが体液引き込み性と風合いの観点から好ましい。肌側シート2におけるエンボスパターンによれば、このような低いエンボス化率としても、着用者の肌との接触面積を低くすることができる。
以上のように形成された肌側シート2では、図9に示すように、六角形の大多角形領域BT内に形成される高凸部2t1は、平面形状が楕円の凸部であり、四角形の各小多角形領域ST内に形成される低凸部2t2は、平面形状が円形の凸部となっている。
高凸部2t1の厚み方向(Z方向)の頂点における高さhb(図10参照)は、肌側シート2の良好な肌触りを高め、且つ繊維の密度勾配を強化して液の引込み性を高める観点から、1.0mm以上7.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以上5.0mm以下であることが更に好ましい。また、高凸部2t1の底面からの隆起角度θ3(図11参照)は、多量の経血時においても、肌に触れる部分に経血を残し難くする観点から、70°以上90°以下であることが好ましく、75°以上85°以下であることが更に好ましい。
低凸部2t2の厚み方向(Z方向)の頂点における高さhs(図12参照)は、肌側シート2の良好な肌触り感を高め、且つ繊維の密度勾配を強化して液の引込み性を高める観点から、0.4mm以上4.5mm以下であることが好ましく、0.8mm以上2.5mm以下であることが更に好ましい。
また、低凸部2t2の底面からの隆起角度θ4(図12参照)は、多量の経血時においても、肌に触れる部分に経血を残し難くする観点から、25°以上70°以下であることが好ましく、30°以上65°以下であることが更に好ましい。隆起角度θ4は、上記高さhsを測定する際に同時に測定する。
ナプキン1の肌側シート2は、図10ないし図12に示すように、肌対向面側に位置する第1層2uと吸収性コア41側に位置する第2層2dとが積層されて形成されている。ナプキン1では、肌側シート2は、図10ないし図12に示すように、肌対向面側に非熱収縮性繊維を含む第1層としての非熱収縮繊維層2uと、非肌対向面側に熱収縮した熱収縮性繊維を含む第2層としての熱収縮繊維層2dとからなっている。肌側シート2の熱収縮繊維層2dと非熱収縮繊維層2uとは、複数のエンボス部2Eにより、間欠的に接合されている。具体的には、肌側シート2は、熱収縮繊維層2dと非熱収縮繊維層2uとが、規則的に配された複数のエンボス部2Eにより部分的に接合されて貼り合わされており、非肌対向面側の熱収縮繊維層2dの熱収縮性繊維が熱収縮されて形成されている。肌側シート2には、図10ないし図12に示すように、非熱収縮繊維層2uの肌対向面側からエンボスしたエンボス部2Eにより凹陥した複数の凹部と、エンボスされていない非エンボス部に複数の凸部2tが形成されている。そして、凸部2tが、複数の高凸部2t1と複数の低凸部2t2とを有している。高凸部2t1と低凸部2t2とは、第1層2uの非熱収縮繊維層2uで構成されており、非熱収縮繊維層2uを構成する同一の繊維で満たされている。
肌側シート2においては、低凸部2t2の繊維密度が高凸部2t1の繊維密度よりも高くなっている。また、第2層2dの熱収縮繊維層2dを構成する繊維の繊維密度が、低凸部2t2を構成する第1層2uの非熱収縮繊維層2uの繊維の繊維密度よりも高くなっている。好適に、立体ドーム構造の高凸部2t1は、その繊維密度が、立体ドーム構造の低凸部2t2の繊維密度よりも低くなっており、特にそのZ方向の頂点(高さhbの基準点)において、肌側シート2の中で最も低くなっている。立体ドーム構造の低凸部2t2は、その繊維密度が、そのZ方向の頂点(高さhsの基準点)において、低凸部2t2の中で最も低くなっている。
低凸部2t2のZ方向の頂点(高さhsの基準点)における繊維密度dsに対する、高凸部2t1のZ方向の頂点(高さhbの基準点)における繊維密度dbの比率(db/ds)は、排泄された体液の引き込み性を強化する観点から、1.2倍以上3.0倍以下であることが好ましく、1.5倍以上2.5倍以下であることが更に好ましい。肌側シート2の繊維密度の比率は、特開2015−186543号公報の段落〔0042〕乃至〔0046〕に記載の方法によって測定することができる。
肌側シート2の形成材料については、特開2015−186543号公報の段落〔0047〕乃至〔0053〕に記載を援用できる。
肌側シート2の坪量は、20g/m2以上100g/m2以下であることが好ましく、35g/m2以上80g/m2以下であることが更に好ましい。
肌側シート2と着用者の肌との接触面積は45%以下、特に42%以下であることが上述の理由から好ましい、また下限値としては25%以上、特に30%以上が好ましい。
また、肌側シート2は、図10ないし図12に示すように、非熱収縮繊維層2uを肌対向面側に配し、熱収縮繊維層2dを非肌対向面側に配して形成されている。そのため、収縮によって繊維密度が高まった熱収縮繊維層2dへ向かって、排泄された体液が肌対向面側から非肌対向面側に毛管力により引き込まれて速やかに移行し、ムレ低減効果を奏する。
上述した本実施形態のナプキン1の各構成部材の形成材料については、当該技術分野で公知のものを使用することができる。非肌側シート3は、難透液性又は、不透過性を有することが好ましく、坪量が10〜50g/m2であり、厚さが、8〜200μmであることが好ましい。吸収性コア41のコア材料は、パルプ繊維や吸水性ポリマーを使用することができる。また、吸収性コア41には、消臭剤や抗菌剤等を必要に応じて配合しても良い。吸収性コア41を被覆するコアラップシート(不図示)を使用する場合、ティッシュペーパー、透水性の不織布等が使用できる。サイドシート5としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。サイドシート5と肌側シート2とを接合する接合部6は熱シール加工により常法に従って形成することができる。
上述したナプキン1によれば、図1及び図2に示すように、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sにまで及ぶ高坪量部42を吸収性コア41が備えている。その為、ナプキン1の着用中に、より安定的に大量の血液などの体液が吸収できると共に、体液の横方向Yへの拡散が制御できる。また、図5に示すように、高坪量部42と重なる位置に、高坪量部42の横方向Yに沿って、肌側シート2の肌対向面側に突出する高凸部2t1が横方向Yに沿って複数配された高凸部列21Lを形成し、低凸部2t2が横方向Yに沿って複数配された低凸部列22Lを形成しており、高坪量部42と重なる位置に、高凸部列21L及び低凸部列22Lが縦方向Xに交互に配置された高低凸部列領域47が形成されている。その為、肌側シート2に排泄された体液が、横方向Yに適度な速度で拡がり易く、高坪量部42の縦方向Xに沿う両側部まで有効に体液の吸収に活用できる。その結果、肌側シート2の高凸部2t1及び低凸部2t2による着用者の肌と接触する面積の減少と相俟って、一度吸収体4に吸収された体液の肌への液戻り性が大幅に改善でき、着用時のべたつき感やムレ感が低減する。このように、ナプキン1によれば、十分な吸収性能が発現できると共に、着用時のべたつき感やムレ感が低減して着用感に優れる。
また、ナプキン1では、図10ないし図12に示すように、肌側シート2の高凸部2t1と低凸部2t2とが、非熱収縮繊維層2uを構成する同一の繊維で満たされている。また、低凸部2t2の繊維密度が高凸部2t1の繊維密度よりも高くなっている。したがって、排泄された体液は、着用者の肌に接触している高凸部2t1から高密度の低凸部2t2側へと移行し易く、肌側シート2に排泄された体液が、横方向Yに適度な速度で更に拡がり易い。特に、ナプキン1では、第2層2dの熱収縮繊維層2dを構成する繊維の繊維密度が低凸部2t2を構成する第1層2uの非熱収縮繊維層2uの繊維の繊維密度よりも高くなっているので、第2層2dの熱収縮繊維層2dによって肌側シート2に排泄された体液を横方向Yに適度な速度で拡がらせることができる。そして、第1層2uの非熱収縮繊維層2uが非熱収縮性繊維を含み、第2層2dの熱収縮繊維層2dが熱収縮した熱収縮性繊維を含んでいるので、第2層2dの熱収縮繊維層2dによって肌側シート2に排泄された体液を横方向Yに適度な速度で更に拡がらせることができる。更に、横方向Yに隣接する低凸部2t2,2t2どうしの間に位置し、かつ、縦方向Xに隣接する高凸部2t1,2t1どうしの間に位置する中間エンボス部2E1が存在することによって、中間エンボス部2E1周辺の繊維密度が高められている。また、熱収縮繊維層2dの繊維密度が、低凸部2t2を構成する非熱収縮繊維層2uの繊維密度よりも高くなっている。このために、肌へのクッション性を与える最も密度の低い高凸部2t1へ排出された体液は、表面から下方へと浸透しやすくなっているので、急速に肌側シート2上をY方向及びX方向へと拡散されることなく、液モレが抑制される。
また、ナプキン1は、図5に示すように、中高境界溝部43と重なる位置に中高境界溝部43に沿って、肌側シート2の肌対向面側に突出する高凸部2t1及び低凸部2t2が交互に配された部分を有している。その為、上記効果を一層奏することができる。
また、ナプキン1では、吸収性コア41を平面視して、高坪量部42は、横方向Yの中央部における縦方向Xの長さが、該高坪量部42の側縁42sの縦方向Xの長さよりも長く形成されている。図2に示すように、ナプキン1では、高坪量部42が、前方側凸部422、中高中央部421及び後方側凸部423に区分されている。その為、ナプキン1が多少ズレた状態で着用されても、高坪量部42が前方側凸部422及び後方側凸部423の何れか一方を有していれば、両大腿部からナプキン1の横方向Y内側への力に対し、前方側凸部422及び後方側凸部423が変形することで、高坪量部42が身体形状への追従性に優れ、着用者に違和感を与え難くなっている。特に、ナプキン1では、前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sが頂部422tから吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sに亘って直線形状に延びており、後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sが頂部423tから吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sに亘って直線形状に延びている。このように、吸収性コア41を平面視して、高坪量部42は、縦方向Xの長さが、横方向Yの中央部から側縁4sに向かって漸減する部分を有しているので、高坪量部42の身体形状への追従性が更に向上する。
また、ナプキン1では、図2に示すように吸収性コア41を平面視して、吸収性コア41における第一領域41F及び第三領域41Rに、周囲よりも坪量が小さい溝部45を備え、溝部45が縦方向Xに延びる縦溝45Xと横方向Yに延びる横溝45Yとを有している。その為、高坪量部42が身体形状への追従性に優れると共に、肌側シート2の高凸部2t1及び低凸部2t2により着用者の肌と接触する面積の減少と相俟って、着用時の着用感が向上する。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は本実施形態のナプキン1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
また、ナプキン1の吸収性コア41は、その全体が一体成形されているが、これに代えて、第一領域41Fから第三領域41Rに亘って同じ高さにコア材料で形成しておき、次に、別のコア材料で形成されたものを配置して高坪量部42を形成してもよい。
また、ナプキン1の吸収性コア41における高坪量部42は、図13に示すような形態であってもよい。図13に示す吸収性コア41においては、第一領域41F側及び第三領域41R側における坪量よりも坪量の多い高坪量部42が、吸収性コア41の縦方向Xに長い縦長形状を有する中央高坪量部42BCと、中央高坪量部42BCの縦方向Xに沿う両側縁それぞれから横方向Y外方に延出して吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sにまで及ぶ側方高坪量部42BS,42BSとを有する。中央高坪量部42BCは、中間区域のみに形成されていても良いが、図13に示す吸収性コア41では、中間区域から後方区域Cの一部に亘って延在している。また、一対の側方高坪量部42BS,42BSが、中間区域内に形成されている。中間区域から後方区域Cの一部に亘って延在する中央高坪量部42BCは、第三領域41Rにおける中央高坪量部42BCを除く周辺の坪量よりも坪量が多く形成されている。側方高坪量部42BSは、第一領域41F及び第三領域41Rにおける坪量よりも坪量が多く形成されている。中央高坪量部42BC及び一対の側方高坪量部42BS,42BSを有する高坪量部42は、図13に示すように、横方向Yの中央部における縦方向Xの長さが、該高坪量部42の側縁42sの縦方向Xの長さよりも長く形成されている。
図13に示す吸収性コア41においては、高坪量部42は、厚みの薄い中高部溝部43mを有している。ここで「厚みの薄い中高部溝部43m」とは、厚み方向Zに薄くても厚みを有する有底である場合と、吸収性コアの構成材料を全く存在せずに吸収性コアを貫通している場合の双方を含んでおり、高坪量部42における他の部位よりも厚みが薄くなっている部位のことを意味する。ナプキン1では、中高部溝部43mは、その底部の坪量が、吸収性コア41の他の領域、具体的には、第一領域41F及び第三領域41Rの小吸収部46の坪量よりも低くなっている。
図13に示す吸収性コア41においては、中高部溝部43mは、高坪量部42の輪郭に沿って延びる外周中高境界溝部43maを有している。ナプキン1では、図13に示すように、吸収性コア41の高坪量部42は、相対的に坪量が低い中高部溝部43mと相対的に坪量が高く中高部溝部43mで囲まれた複数の中高部小吸収部43kとを有するブロック構造が、縦方向Xに複数配されたブロック領域を有している。中高部溝部43mは、外周中高境界溝部43maと、外周中高境界溝部43ma以外に、吸収性コア41の横方向Yに延びる横中高部溝部43myと、吸収性コア41の縦方向Xに延びる縦中高部溝部43mxとを有している。横中高部溝部43myは、吸収性コア41の第一領域41F及び第三領域41Rに配された横方向Yに延びる横溝45Yと連続して一直線上に形成されている。また、縦中高部溝部43mxは、吸収性コア41の第一領域41F及び第三領域41Rに配された縦方向Xに延びる縦溝45Xと連続して一直線上に形成されている。吸収性コア41の中高部溝部43mは、横溝45Y及び縦溝45Xと同様に、肌対向面側に開口している。
図13に示す吸収性コア41を図2に示す吸収性コア41に換えたとしても、上述したナプキン1と同様の効果が得られる。
また、上述した実施形態における吸収性コア41は、高坪量部42が肌対向面側に向かって突出しているが、本発明における吸収性コア41は、高坪量部42が非肌対向面側に向かって突出していてもよい。例えば、前述した実施形態の吸収性物品において、吸収性コア41を、高坪量部42が肌対向面側に向かって突出する向きに配置するのに代えて、高坪量部42が非肌対向面側に向かって突出する向きに配置してもよい。図14に示す吸収性コア41は、肌対向面側が略平坦となる一方、非肌対向面側が高坪量部42の部分において肌側とは反対側に突出している。図14に示す吸収性コア41は、上下を逆にして配置した以外は、図2に示す吸収性コア41と同一構成であり、前述した吸収性コア41の好ましい構成に関する説明は、矛盾しない限り、図14に示す実施形態にも適用することができる。尚、図14においては、吸収性コア41を包むコアラップシートの図示を省略してある。
本発明における吸収性物品1によれば、吸収性コア41の高坪量部42が、図2に示す吸収性コア41のように上向きに突出している場合も、図14に示すように下側に突出している場合も、着用中に、より安定的に大量の血液などの体液を吸収することができると共に、体液の横方向Yへの拡散を制御することができるという効果が奏される。更に、高坪量部42が下側に向かって突出している場合は、吸収性コア41の肌対向面が略平坦となるため、肌側シート2と吸収性コア41とを密着性が高まり、肌側シート2から吸収性コア41への液の移行性が一層向上するという利点も有する。
〔実施例1〕
図1に示す生理用ナプキンを作成した。肌側シートとしては特開2015−186543号公報の実施例1に記載のものを使用した。また、吸収性コア41は、パルプ繊維と吸水性ポリマーの混合積繊体として形成した。吸収性コア41は、第二領域41Mに高坪量部42を有し、高坪量部42は、吸収性コア41の全幅に亘る中高中央部421と、中高中央部421の前後端部にそれぞれ前方側凸部422及び後方側凸部423とを有している。高坪量部42の厚みは3.5mmであり、第一領域41Fの厚み及び第三領域41Rの厚みは2.3mmであった。高坪量部42の坪量は350g/m2であり、第一領域41Fの坪量及び第三領域41Rの坪量は250g/m2であった。厚み及び坪量は上述した方法により測定した。また、高坪量部42の縦方向Xの全長L2は、吸収性コア41の縦方向Xの全長L1の63%であった。
次いで、図2に示す形態の吸収性コアを、ティッシュペーパーで被覆して吸収体を形成し、肌側シートと非肌側シートとの間に挟み、実施例1のナプキンとした。吸収体と肌側シートとの間は、及び吸収体と非肌側シートとの間は接着剤を介して接合した。
非肌側シートは、坪量25g/m2の非透湿ポリエチレン製フィルムシートを用いた。
〔実施例2〕
高坪量部42を非肌対向面側に突出させて形成した以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを得た。
〔比較例1〕
実施例1において、肌側シート2を特許4343992号公報の実施例記載の、高さが同じ凸部を全面に有するものに変更し、吸収性コア41として図13記載のものから側方高坪量部42BS,42BSを除いた形状とした以外は同様にして生理用ナプキンを得た。
〔評価〕
実施例1、実施例2及び比較例1の生理用ナプキンについて、以下の<ウエットバック量の測定方法>に従って、疑似血液に対するウエットバックの評価を行った。
<ウエットバック量の測定方法(疑似血液の量6g)>
実施例1及び比較例1の生理用ナプキンを肌側シート側が上側となるようにして水平に置き、生理用ナプキンの上面に長さ50mm、幅22.5mmからなる楕円形状の液注入口アクリル板を重ねて、注入口から疑似血液3gを3分間隔で合計6g注入し、注入後1分間その状態を保持した。次に、楕円形状の注入口アクリル板を取り除き、表面シートの表面上に、縦9.5cm×横6cmで坪量13g/m2の吸収紙を16枚重ねて載せた。更にその上に圧力が4.0×102Paになるように重りを載せて5秒間加圧した。加圧後、吸収紙を取り出し、加圧前後の紙の重さを測定して、紙に吸収された疑似血液の質量を測定して表面液戻り量とした。
<ウエットバック量の測定方法(疑似血液の量15g)>
擬似血液3gを3分間隔で合計15g注入した以外は、上述の測定方法と同様の方法で測定した。
なお、疑似血液は、本明細書で説明した通り、B型粘度計(東機産業株式会社製 型番TVB−10M、測定条件:ローターNo.19、30rpm、25℃、60秒間)を用いて測定した粘度が8mPa・sになるように、脱繊維馬血(日本バイオテスト(株)製)の血球・血漿比率を調製したものである。
表1に示すように、6g吸収時及び15g吸収時において、実施例1の生理用ナプキンは比較例1の生理用ナプキンに比べて格段に優れたウエットバック性能であり、着用時のべたつき感やムレ感が低減することが期待できる。
実施例2の生理用ナプキンについても、実施例1の生理用ナプキンと同様の結果が得られた。