以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキン1(以下、「ナプキン1」とも言う。)に基づき図面を参照して説明する。図1には、本実施形態のナプキン1を肌側シート側から視た平面図が示されている。本実施形態のナプキン1は、図1に示すように、肌対向面を形成する肌側シート2と、非肌対向面を形成する非肌側シート3と、これら両シート2,3間に介在された吸収性コア41とを備え、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと該縦方向Xに直交する横方向Yとを有し、前方区域A及び後方区域Cを有する。ナプキン1は、図1に示すように、着用者の液排泄部に対向配置される中間区域Bと、該中間区域Bの縦方向Xの前後に配置された前方区域A及び後方区域Cとに区分されている。
本明細書において、縦方向Xは、着用者の前後方向に対応しており、吸収性物品(ナプキン1)の長手方向に一致し、横方向Yは、吸収性物品(ナプキン1)の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致している。したがって、特段の断りがない場合には、本明細書において、長手方向(縦方向X)の長さは、縦方向Xで測定される距離である「長さ」を意味し、横方向Yの長さは、横方向Yで測定される距離である「幅」を意味する。ナプキン1は、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。縦方向Xとは、中心線CLに平行な方向でもある。また、本明細書において、肌対向面は、吸収性物品(ナプキン1)又はその構成部材である例えば吸収体4における、吸収性物品(ナプキン1)の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品(ナプキン1)又はその構成部材である例えば吸収体4における、吸収性物品(ナプキン1)の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。
ナプキン1は、図1に示すように、着用時に着用者の液排泄部(膣口等)に対向配置される中間区域Bと、該中間区域Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方区域Aと、該中間区域Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方区域Cとを有している。即ち、ナプキン1は、縦方向Xに、前方区域A、中間区域B及び後方区域Cの順番で区分される。
尚、本発明の吸収性物品において、中間区域Bとは、本実施形態のナプキン1のようにウイング部1Wを有する場合には、縦方向Xにおいてウイング部1Wを有する領域(一方のウイング部1Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部1Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。また、ウイング部を有しない吸収性物品の場合には、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。
本実施形態のナプキン1は、図1に示すように、肌対向面を形成する液透過性の肌側シート2、非肌対向面を形成する非肌側シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備している。吸収体4は、吸収性コア41と、該吸収性コア41を包むコアラップシート(不図示)とから構成されている。
ナプキン1では、肌側シート2は、図1に示すように、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、非肌側シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に肌側シート2の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート5と共に後方フラップ部1Sを形成している。非肌側シート3とサイドシート5とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。尚、肌側シート2及び非肌側シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
ナプキン1では、サイドシート5は、図1に示すように、肌側シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に配されている。好適には、サイドシート5は、平面視において肌側シート2の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、肌側シート2の縦方向Xの全長に亘って配されている。
ナプキン1では、後方フラップ部1Sは、図1に示すように、後方区域Cにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出している。後方フラップ部1Sは、着用時にショーツ等の着衣の内面(肌側に向けられる面)上に配される。後方フラップ部1Sの非肌側シート3からなる面にも、ショーツ等の着衣の内面に固定するための粘着部が設けられていることが好ましい。またナプキン1では、一対のウイング部1W,1Wは、中間区域Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出している。ウイング部1Wは、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面側に折り返されて用いられるものであり、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面に固定するためのウイング部粘着部1Waが設けられている。また、肌側シート2及び非肌側シート3は、図1に示すように、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されてエンドシール部を形成している。
ナプキン1では、吸収体4を構成する吸収性コア41は、図2に示すように、縦方向Xに長い縦長形状であり、縦方向Xの前方区域A側に位置する第一領域41F及び後方区域C側に位置する第三領域41Rを有し、第一領域41Fと第三領域41Rとの間に第二領域41Mを有している。また吸収性コア41は、第二領域41Mにおける横方向Yの中央部にその前後部分より厚みの大きい中間中高部42を有し、第三領域41Rにおける横方向Yの中央部にその前後部分より厚みの大きい後方中高部47を有している。中間中高部42及び後方中高部47は、それぞれ、吸収性コア41の周辺領域41Arにおける厚みよりも厚みが厚く、該吸収性コア41の周辺領域41Arの坪量よりも坪量が多く形成されている。なお、吸収性コア41の周辺領域41Arとは、吸収性コア41における中央中間中高部42C、一対の側方中間中高部42S,42S、後方中高部47、後述する溝部45及び後述する中高間隔溝部48を除く周辺の領域を意味する。
図1に示すナプキン1のように、横方向Y両外側に一対のウイング部1W,1Wを備える場合には、各ウイング部1Wにおける縦方向Xに間隔を空けて配されたウイング部1Wの付け根どうし間に第二領域41Mが存在している(図2参照)。ナプキン1では、第二領域41Mの縦方向Xの長さL2(図2参照)は、各ウイング部1Wにおける縦方向Xに間隔を空けて配されたウイング部1W(図1参照)の付根どうし間の長さと同一である。
ナプキン1では、第二領域41Mに配される中間中高部42は、図2に示すように吸収性コア41を平面視して、吸収性コア41の縦方向Xに長い長円形状を有する中央中間中高部42Cと、中央中間中高部42Cの縦方向Xに沿う両側縁それぞれから横方向Yの外方に延出する一対の側方中間中高部42S,42Sとを有する。各側方中間中高部42Sは、中央中間中高部42Cの縦方向Xに沿う各側縁から吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sにまで及んでいる。中央中間中高部42Cは、中間区域Bのみに形成されていても良いが、図2に示す吸収性コア41では、中間区域Bから後方区域Cの一部に亘って延在している。一方、一対の側方中間中高部42S,42Sは中間区域B内に形成されている。中間区域Bから後方区域Cの一部に亘って延在する中央中間中高部42Cは、その前後部よりも厚みが大きく、坪量が多く形成されている。また、各側方中間中高部42Sは、吸収性コア41の周辺領域41Arの坪量よりも坪量が多く形成されている。
中央中間中高部42Cは、図2に示すように吸収性コア41を平面視して、横方向Yの中央部における縦方向Xの長さL2が吸収性コア41の縦方向Xの長さL1よりも短く、横方向Yの長さよりも長くなるように形成されている。また中央中間中高部42Cは、横方向Yの中央部における縦方向Xの長さL2が、各側方中間中高部42Sの中心線CLから離れている側の側縁の縦方向Xの長さL4よりも長く形成されている。また、各側方中間中高部42Sは、横方向Yの外方に向かって縦方向Xの長さが漸次短くなっている。具体的に各側方中間中高部42Sは、中心線CLに近い側の縦方向Xに沿う内方側辺と、中心線CLから離れた側の縦方向Xに沿う外方側辺と、内方側辺及び外方側辺の上端同士を結ぶ上辺と、内方側辺及び外方側辺の下端同士を結ぶ下辺とを有しており、上辺と下辺との間隔(幅)が横方向Yの外方に向かって漸減している。このように、各側方中間中高部42Sは、縦方向Xの長さが、中央中間中高部42Cの縦方向Xに沿う両側縁それぞれから吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁それぞれに向かって漸減する部分を有している。
図2及び図3に示す吸収性コア41においては、中央中間中高部42C及び一対の側方中間中高部42S,42Sを有する中間中高部42は、厚みの薄い中高部溝部43を有している。ここで「厚みの薄い中高部溝部43」とは、厚み方向Zに薄くても厚みを有する有底である場合と、吸収性コア41の構成材料を全く存在せずに吸収性コアを貫通している場合の双方を含んでおり、中間中高部42における他の部位よりも厚みが薄くなっている部位のことを意味する。ナプキン1では、中高部溝部43は、その底部の坪量が、吸収性コア41の他の領域、具体的には、第一領域41F及び第三領域41Rの後述する小吸収部46の坪量よりも低くなっている。
図2及び図3に示す吸収性コア41においては、中高部溝部43は、中間中高部42の輪郭に沿って延びる外周中高境界溝部43aを有している。外周中高境界溝部43aは、中央中間中高部42C及び一対の側方中間中高部42S,42Sの輪郭に沿って形成されている。ナプキン1では、図2に示すように、中間中高部42の中央中間中高部42Cは、相対的に坪量が低い中高部溝部43と相対的に坪量が高く中高部溝部43で囲まれた複数の中高部小吸収部43kとを有するブロック構造が、縦方向Xに複数配されたブロック領域を有している。また中間中高部42の一対の側方中間中高部42S,42Sは、相対的に坪量が低い中高部溝部43と相対的に坪量が高く中高部溝部43で囲まれた複数の中高部小吸収部43kとを有するブロック構造となっている。
中間中高部42の中高部溝部43は、外周中高境界溝部43a以外に、吸収性コア41の横方向Yに延びる横中高部溝部43yと、吸収性コア41の縦方向Xに延びる縦中高部溝部43xとを有している。横中高部溝部43yは、吸収性コア41の第一領域41F及び第三領域41Rに配された横方向Yに延びる横溝45Yの一部と連続して一直線上に形成されている。また、縦中高部溝部43xは、吸収性コア41の第一領域41F及び第三領域41Rに配された縦方向Xに延びる縦溝45Xの一部と連続して一直線上に形成されている。吸収性コア41の中高部溝部43は、横溝45Y及び縦溝45Xと同様に、肌対向面側に開口している。
ナプキン1では、第三領域41Rにおける横方向Yの中央部に配される後方中高部47は、図2及び図3に示すように、縦方向Xに長い直方体状に形成されており、第三領域41Rに配された縦溝45X、横溝45Y、及び後述する横中高間隔溝部48yで囲まれている。後方中高部47は、吸収性コア41の周辺領域41Arにおける厚みよりも厚みが厚く、該吸収性コア41の周辺領域41Arの坪量よりも坪量が多く形成されている。後方中高部47は、図2に示すように、横方向Yの長さが中間中高部42の横方向Yの長さよりも短く、縦方向Xの長さが中間中高部42の縦方向Xの長さよりも短く形成されている。
ナプキン1では、中間中高部42と後方中高部47との間は中高間隔領域42Dを介して互いに離間している。好適に、中間中高部42と後方中高部47とは、縦方向Xに間隔を空けて配されており、吸収性コア41は、図2及び図3に示すように、中間中高部42と後方中高部47との間に中高間隔領域41Dを有している。中高間隔領域41Dは周辺領域41Arに配されている。ナプキン1では、中高間隔領域41Dは、後方区域Cの一部に亘って延在している中間中高部42と後方区域Cに配されている後方中高部との間に位置している。即ち、中高間隔領域41Dは、後方区域Cに位置している。
吸収性コア41における中高間隔領域41Dには、厚みの薄い中高間隔溝部48が設けられている。ここで、「厚みの薄い中高間隔溝部48」とは、厚み方向Zに薄くても厚みを有する有底である場合と、吸収性コアの構成材料を全く存在せずに吸収性コアを貫通している場合の双方を含んでおり、中間中高部42における他の部位よりも厚みが薄くなっている部位のことを意味する。ナプキン1では、中高間隔溝部48は、吸収性コア41の周辺領域41Arよりも坪量が小さく形成されている。具体的には、中高間隔溝部48は、その底部の坪量が、第一領域41F及び第三領域41Rの後述する小吸収部46の坪量よりも坪量が小さく形成されている。中高間隔溝部48は、吸収性コア41の横方向Yに延びる横中高間隔溝部48yと、吸収性コア41の縦方向Xに延びる縦中高間隔溝部48xとを有している。横中高間隔溝部48yは、吸収性コア41の横方向Yに延在し、中間中高部42の縦方向Xの後端、及び後方中高部47の縦方向Xの先端に接する位置に配されている。横中高間隔溝部48yは、吸収性コア41の第三領域41Rに配された横方向Yに延びる横溝45Yに平行に一直線上に形成されている。縦中高間隔溝部48xは、吸収性コア41の第三領域41Rに配された縦方向Xに延びる縦溝45Xの一部と連続して一直線上に形成されている。吸収性コア41の中高間隔溝部48は、横溝45Y及び縦溝45Xと同様に、肌対向面側に開口している。
ナプキン1では、図4に示すように、肌側シート2は、肌対向面側に突出した高凸部2t1が複数横方向に並んだ高凸部列21Lと、高凸部2t1よりも高さの低い低凸部2t2が複数横方向に並んだ低凸部列22Lとが、縦方向に交互に配置された高低凸部列領域49を有しており、高低凸部列領域49が中高間隔領域41Dと重なっている。好適に、ナプキン1では、図4〜図6に示すように、ナプキン1を肌対向面側から平面視して、吸収性コア41の中高間隔領域41Dと重なる位置に肌側シート2の高凸部列21Lと低凸部列22Lとが縦方向Xに交互に配された高低凸部列領域49を有している。ナプキン1では、図4に示すように、吸収性コア41の中高間隔領域41Dと重なる位置に、肌側シート2の肌対向面側に突出する高凸部2t1が横中高間隔溝部48yと平行に複数配された高凸部列21Lを形成し、及び低凸部2t2が横中高間隔溝部48yと平行に複数配された低凸部列22Lを形成している。ナプキン1では、吸収性コア41の中高間隔領域41Dと重なる位置に、高凸部列21L及び低凸部列22Lが縦中高間隔溝部48xに沿って交互に配されている。尚、図中のX方向は、肌側シート2の製造時の機械方向(MD方向)及びナプキン1の縦方向Xと同じ方向である。また、図中のY方向は、肌側シートの製造時の機械方向(MD方向)に直交する方向(CD方向)及びナプキン1の横方向Yと同じ方向である。また、図中のZ方向は、厚み方向である。
また、ナプキン1は、図1に示すように、中央中間中高部42Cの全部及び一対の側方中間中高部42S,42Sの一部と重なる位置に、高凸部列21L及び低凸部列22Lが縦方向Xに交互に配されている。
ナプキン1では、中間中高部42(中央中間中高部42C及び各側方中間中高部42S)及び後方中高部47は、その坪量が、吸収性コア41における周辺領域41Arの坪量よりも坪量が高く形成されている。好適に、ナプキン1では、図3に示すように、中間中高部42及び後方中高部47の厚みが、吸収性コア41における周辺領域41Arの厚みよりも厚く形成されており、且つ、吸収性コア41における周辺領域41Arの坪量よりも坪量が高く形成されている。中間中高部42及び後方中高部47の厚み及び坪量と比較する周辺領域41Arの厚み及び坪量は、周辺領域41Arに後述する溝部45が形成されている場合には、周辺領域41Arにおける溝部45が存在しない部分における厚み及び坪量を意味する。ナプキン1の吸収性コア41は、コア材料の坪量に差を設けて厚み差を設けてあるため、坪量の均一な吸収性コアの一部を圧縮して厚み差を設ける場合とは異なり、吸収性コア41は、全体として柔軟である。
中間中高部42の中央中間中高部42Cの厚みは、中央中間中高部42Cを肌に向かって突出させて吸収性コア41の液の吸収性等を向上させつつ着用時における身体への追従性や違和感を抑える観点から、吸収性コア41における周辺領域41Arの厚みの、好ましくは110%以上250%以下、より好ましくは120%以上220%以下である。中央中間中高部42Cに前述した中高部溝部43等を有する場合の中央中間中高部42Cの厚みは、それらの溝部以外の部分の厚みを意味し、中央中間中高部42Cの厚みと対比する周辺領域41Arの厚みは、好ましくは吸収性コア41の周辺領域41Arにおける中高部溝部43等の溝部が存在しない部分における厚みである。上述した構成は、本実施形態のナプキン1のように中間中高部42が中間区域Bに設けられているときに、特に有効である。
具体的に、中間中高部42の厚みは、好ましくは3mm以上15mm以下、より好ましくは5mm以上10mm以下である。なお、中間中高部42の全範囲において上記厚みの関係になっていることが好ましいが、中間中高部42の厚み方向に漸次的な増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
中間中高部42の各側方中間中高部42Sの厚みは、一対の側方中間中高部42S,42Sを肌に向かって突出させて吸収性コア41の液の吸収性等を向上させる観点から、中央中間中高部42Cの厚みよりも小さいことが好ましく、中央中間中高部42Cの厚みの好ましくは60%〜99%、より好ましくは65%〜95%である。各側方中間中高部42Sに前述した中高部溝部43等を有する場合の各側方中間中高部42Sの厚みは、それらの溝部以外の部分の厚みを意味する。上述した構成は、本実施形態のナプキン1のように中間中高部42が中間区域Bに設けられているときに、特に有効である。
具体的に、各側方中間中高部42Sの厚みは、なお、中間中高部42の全範囲において上記厚みの関係になっていることが好ましいが、中間中高部42の厚み方向に漸次的な増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
後方中高部47の厚みは、後方中高部47を肌に向かって突出させて身体(好ましくは臀裂)に対してフィット性を向上させる観点から、中央中間中高部42Cの厚みよりは小さいことが好ましく、また側方中間中高部42Sの厚みよりも大きいことが好ましい。後方中高部47の厚みは、着用時における身体への良好な追従性と違和感を抑える観点から、側方中間中高部42Sの厚みの好ましくは100%以上180%以下、より好ましくは100%以上150%以下である。なお、中間中高部42の全範囲において上記厚みの関係になっていることが好ましいが、中間中高部42の厚み方向に漸次的な増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
吸収性コア41の周辺領域41Arの厚みは、好ましくは2.0mm以上7.0mm以下、より好ましくは3.0mm以上6.0mm以下である。ナプキン1では、吸収性コア41の周辺領域41Arの厚みは、後述する溝部45が存在しない部分において、略均一に形成されていることが好ましいが、周辺領域41Arの横方向Y又は縦方向Xに漸次的な厚みの増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。中央中間中高部42C、各側方中間中高部42S、後方中高部47及び周辺領域41Ar等の吸収性コア41の各部の厚みは、以下の方法によって測定される。
<吸収性コア41の各部の厚みの測定方法>
吸収性コアを水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、該吸収性コア41から測定対象物である中央中間中高部42C、側方中間中高部42S、後方中高部47又は周辺領域41Ar等を切り出す。そして、切り出した測定対象物における8cN/cm2の荷重下での厚みを測定する。具体的には、厚みの測定に、例えば、厚み計 PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いる。このとき、厚み計の先端部と切り出した測定対象物との間に、荷重が8cN/cm2となるように大きさを調整した平面視円形状又は正方形状のプレート(20mm×20mm、厚さ5mm程度の金属板)を配置して、厚みを測定する。吸収性コア41における周辺領域41Ar等の厚みを測定する際には、後述する溝部45を含まないように測定する。
ナプキン1では、吸収性コア41における中間中高部42の中央中間中高部42Cの坪量は、中央中間中高部42Cを肌に向かって突出させて中間区域Bにおける吸収性コアの液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは300g/m2以上900g/m2以下、より好ましくは450g/m2以上800g/m2以下である。
また、吸収性コア41における中間中高部42の各側方中間中高部42Sの坪量は、各側方中間中高部42Sを肌に向かって突出させて中間区域Bにおける吸収性コアの液の吸収性等を向上させる観点から、中央中間中高部42Cの坪量の40%以上90%以下であることが好ましく、50%以上75%以下であることが更に好ましい。
また、吸収性コア41における後方中高部47の坪量は、後方中高部47を肌に向かって突出させて身体(好ましくは臀裂)に対してフィット性を向上させる観点から、好ましくは300g/m2以上800g/m2以下、より好ましくは400g/m2以上700g/m2以下である。
また、吸収性コア41における周辺領域41Arの坪量は、好ましくは100g/m2以上500g/m2以下、より好ましくは150g/m2以上400g/m2以下である。
中央中間中高部42C、各側方中間中高部42S及び後方中高部47の坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した中央中間中高部42C、側方中間中高部42S及び後方中高部47の部分のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。周辺領域41Arの坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した周辺領域41Arのサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。吸収性コア41における周辺領域41Ar等の坪量を測定する際には、後述する溝部45を含まないように測定する。
中間中高部42の縦方向Xの全長(中央中間中高部42Cの縦方向Xの全長)L2は、吸収性コア41の縦方向Xの全長L1の、好ましくは25%以上70%以下、より好ましくは30%以上55%以下である。
全長L1とは吸収性コア41の縦方向Xにおける最も長い位置での距離を示し、全長L2とは中間中高部42の縦方向Xにおける最も長い位置での距離(中央中間中高部42Cの縦方向Xにおける最も長い距離)を意味する(図2参照)。
中間中高部42を構成する各側方中間中高部42Sの中心線CLに近い内方側辺の縦方向Xの全長L3は、中間中高部42を構成する中央中間中高部42Cの全長L2の好ましくは20%以上80%以下、より好ましくは30%以上60%以下である。全長L3とは各側方中間中高部42Sの縦方向Xにおける最も長い位置でも距離を意味する(図2参照)。
各側方中間中高部42Sの中心線CLから離れた外方側辺の縦方向Xの全長L4は、各側方中間中高部42Sの内方側辺の縦方向Xの全長L3の好ましくは10%以上70%以下、より好ましくは20%以上60%以下である。
ナプキン1では、吸収性コア41における中高部溝部43(外周中高境界溝部43a、縦中高部溝部43x及び横中高部溝部43y)の溝幅は、中間区域Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは0.1mm以上5.0mm以下、より好ましくは、0.5mm以上3.0mm以下である。尚、中高部溝部43の溝幅及び後述する厚みは、中高部溝部43の延びる方向に直交する方向に切断し、切端面の写真から計測する。ナプキン1では、吸収性コア41における中高部溝部43での厚みは、中間区域Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは、0.08mm以上7.0mm以下、より好ましくは、0.15mm以上3.5mm以下である。
ナプキン1では、中高部溝部43は、中間中高部42の坪量よりも坪量が低く、更に、吸収性コア41における周辺領域41Arの坪量よりも坪量が低く形成されている。ここで、周辺領域41Arの坪量とは、溝部45を有する場合には、溝部45を除いた部分の坪量を意味する。中高部溝部43の坪量は、好ましくは10g/m2以上350g/m2以下、より好ましくは20g/m2以上250g/m2以下である。尚、中高部溝部43の坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した中高部溝部43の部分のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
ナプキン1では、図2に示すように、吸収性コア41の周辺領域41Arに、周囲よりも坪量が小さい溝部45を備え、溝部45が縦方向Xに延びる縦溝45Xと横方向Yに延びる横溝45Yとを有している。ナプキン1では、周辺領域41Arは、それぞれ、相対的に坪量が小さい溝部45と相対的に坪量が大きい小吸収部46とを有している。好適には、溝部45は、縦方向Xに延びる縦溝45Xと、横方向Yに延びる横溝45Yとからなる。そして、縦方向Xに延びる縦溝45Xは、横方向Yに一定の間隔を空けて配され、横方向Yに延びる横溝45Yは、縦方向Xに一定の間隔を空けて配されている。小吸収部46は、縦溝45X及び横溝45Yで区画された格子の目の位置及び中間中高部42に隣接した位置に配されている。上述した周辺領域41Arの厚み及び坪量とは、小吸収部46の厚み及び坪量を意味する。
ナプキン1では、周辺領域41Arに溝部45及び小吸収部46を有し、第二領域41Mと第三領域41Rとに中間中高部42、中高部溝部43及び後方中高部47を有する吸収性コア41は、その全体が一体成形されている。「一体成形されている」とは、別の工程で製造した部材どうしを接着剤や圧縮などの接合手段で結合したものとは異なり、同一の材料を用いて、一つの工程で一体的に形成されていることを意味する。
ナプキン1では、吸収性コア41における溝部45の溝幅は、追従性と体液の平面方向拡散性の観点から、好ましくは0.1mm以上5mm以下、より好ましくは、0.5mm以上3mm以下である。また、ナプキン1では、吸収性コア41における溝部45での厚みは、柔軟性と体液の平面方向拡散性の観点から、周辺領域41Arの溝部45以外の厚みに対して好ましくは5%〜65%、より好ましくは5%〜45%である。尚、溝部45の溝幅及び後述する厚みは、溝部45の延びる方向に直交する方向に切断し、切端面の写真から計測する。溝部45の坪量は、好ましくは周辺領域41Arに対して好ましくは5〜95%である。尚、溝部45の坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した溝部45の部分のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
なお、ナプキン1では、中高間隔溝部48の溝幅、厚み及び坪量は、溝部45と同様である。
上述したナプキン1の吸収性コア41は、例えば、図7(a)に示すように、外周面に集積用凹部55を備え、一方向Rに回転する積繊ドラム54と、該積繊ドラム54の外周面に、コア材料を飛散状態で供給するダクト(図示せず)を備えた積繊装置を用いて製造することができる。
集積用凹部55は、積繊ドラム54の外周面の周方向に一定の間隔で複数個形成されている。集積用凹部55の底面56は、メッシュプレート等からなり、吸引孔として機能する多数の細孔を有している。
また、図7(a)に示すように、集積用凹部55の底面56の一部には、中間中高部42及び後方中高部47を形成するための2つの凹部56b,56cが形成されている。また、凹部56bの底部には、中央中間中高部42Cを形成する部分と、一対の側方中間中高部42S,42Sを形成する部分とで深さを異ならせてあり、また、中央中間中高部42Cや一対の側方中間中高部42S,42Sに溝部43,48を形成するための難通気性部材57及び中央中間中高部42Cと一対の側方中間中高部42S,42Sとの間に中高部溝部43を形成するための同様の難通気性部材が配置されている。また、集積用凹部55の底面56の凹部56b,56c以外の部分には、溝部45を形成するための難通気性部材58が形成されている。難通気性部材57,58は、集積用凹部55の底面から突出するように固定されており、非通気性部材であっても良く、例えば金属やプラスチック、セラミック等からなる。
積繊ドラムを備えた公知の積繊装置と同様に、集積用凹部55の底面から吸引しつつ、ダクト内に、吸水性ポリマーとパルプ繊維とを混合したコア材料を供給することによって、図7(b)に示すように、コア材料が集積用凹部55内に所定形状に堆積する。その堆積物40を、集積用凹部55から離型することで、吸収性コア41の前駆体が得られる。吸収性コア41の前駆体は、コアラップシート(不図示)で被覆された後に、ロータリーカッター等でカットされ、搬送方向にベルトコンベア等の搬送手段によって搬送される。このようにして吸収性コア41が得られる。このようにして得られたコアラップシート(不図示)で被覆された吸収性コア41は、一対のロール間に単回又は複数回通すこと等により、全体又は部分的に加圧し適度に圧縮させる。これにより、凹部56bに堆積した部分が、坪量及び厚みともに相対的に大きい中間中高部42となる。同様に、凹部56bに隣接する上流側領域及び下流側領域に堆積したコア材料からなる部分が、坪量が相対的に小さい吸収性コア41における第一領域41F及び第三領域41Rとなる。また、凹部56bの第1難通気性部材57上に堆積したコア材料からなる部分が、第一領域41Fの坪量及び第三領域41Rの坪量よりも相対的に小さい中高部溝部43となる。凹部56bに隣接する上流側領域及び下流側領域の第2難通気性部材58上に堆積したコア材料からなる部分が、小吸収部46の坪量よりも相対的に小さい溝部45となる。
ナプキン1では、肌側シート2は、図8に示すように、複数のエンボス部2Eによって囲まれた大多角形領域BTを複数有し、エンボス部2Eは大多角形領域BTの頂部をなしている。そして、各大多角形領域BT内には相対的に高さの高い高凸部2t1が形成されている。また、肌側シートは、複数の大多角形領域BTの頂部をなすエンボス部2Eによって囲まれた、大多角形領域BTよりも面積が小さい小多角形領域STを複数有し、エンボス部2Eは小多角形領域STの頂部もなしている。そして、各小多角形領域ST内には、高凸部2t1よりも高さの低い低凸部2t2が形成されている。
詳述すると、ナプキン1の肌側シート2においては、大多角形領域BTは、図8に示すように、頂部をなす6つのエンボス部2Eによって囲まれており、外形が六角形の形状となっている。一方、小多角形領域STは、図8に示すように、頂部をなす4つのエンボス部2Eによって囲まれており、外形が四角形の形状となっている。
肌側シート2では、図8に示すように、複数の大多角形領域BTが横方向Yに沿って互いに隣接して配されて構成された大多角形領域列BTLが形成され、大多角形領域BT内の高凸部2t1が横方向Yに沿って複数配されて高凸部列21Lを構成されている。また、肌側シート2では、複数の小多角形領域STが横方向Yに沿って互いに隣接して配されて構成された小多角形領域列STLが形成され、小多角形領域ST内の低凸部2t2が横方向Yに沿って複数配されて低凸部列22Lが構成されている。そして、大多角形領域列BTLと小多角形領域列STLとが、横方向Yと直交する縦方向Xに交互に配されている。即ち、縦方向Xに沿って、高凸部列21L、低凸部列22L、高凸部列21L・・・と交互に配置されている。
ナプキン1の肌側シート2においては、図8に示すように、エンボス部2Eは、縦方向Xに関して最も近い位置にある2つの高凸部2t1,2t1どうしの間で、且つ、横方向Yに関して最も近い位置にある2つの低凸部2t2,2t2どうしの間に中間エンボス部2E1を有している。肌側シート2においては、複数のエンボス部2Eは中間エンボス部2E1と、中間エンボス部2E1を除く残りの他エンボス部2E2の2種からなる。なお、本明細書において、「1個のエンボス部」とは、外形的に1つと見做せるエンボス形状のことをいい、該エンボス部が複数のドットや破線で構成されていても「1個のエンボス部」という。ナプキン1では、中間エンボス部2E1はX字形状、各他エンボス部2E2は、図8に示すように、Y字形状に形成されている。
各エンボス部2E(中間エンボス部2E1及び他エンボス部2E2)は、良好な肌触りを維持しながら肌側シート2における液の引き込み性および拡散性を高める観点から、1個のエンボス部2E(中間エンボス部2E1及び他エンボス部2E2の平均)の面積が、1mm2以上15mm2以下であることが好ましく、1.5mm2以上12mm2以下であることが更に好ましい。
エンボス部2E(中間エンボス部2E1及び他エンボス部2E2)においては、肌側シート2の構成繊維が圧密化されている。肌側シート全面積に対するエンボス部2Eの面積の比率、即ちエンボス化率は5%以上30%以下であることが体液引き込み性と風合いの観点から好ましく、特に、7%以上20%以下であることが好ましい。肌側シート2におけるエンボスパターンによれば、このような低いエンボス化率としても、着用者の肌との接触面積を低くすることができる。
以上のように形成された肌側シート2では、図8に示すように、六角形の大多角形領域BT内に形成される高凸部2t1は、平面形状が楕円の凸部であり、四角形の各小多角形領域ST内に形成される低凸部2t2は、平面形状が円形の凸部となっている。
高凸部2t1の厚み方向(Z方向)の頂点における高さhb(図9参照)は、肌側シート2の良好は肌触りを高め且つ繊維の密度勾配を強化して液の引込み性を高める観点から、1.0mm以上7.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以上5.0mm以下であることが更に好ましい。また、高凸部2t1の底面からの隆起角度θ3(図10参照)は、多量の経血時においても肌に触れる部分に経血を残し難くする観点から、70°以上90°以下であることが好ましく、75°以上85°以下であることが更に好ましい。
低凸部2t2の厚み方向(Z方向)の頂点における高さhs(図11参照)は、肌側シート2の良好な肌触り感を高め且つ繊維の密度勾配を強化して液の引込み性を高める観点から、0.4mm以上4.5mm以下であることが好ましく、0.8mm以上2.5mm以下であることが更に好ましい。
また、低凸部2t2の底面からの隆起角度θ4(図11参照)は、多量の経血時においても肌に触れる部分に経血を残し難くする観点から、25°以上70°以下であることが好ましく、30°以上65°以下であることが更に好ましい。隆起角度θ4は、上記高さhsを測定する際に同時に測定する。
肌側シート2は、図9〜図11に示すように、肌対向面側に非熱収縮性繊維を含む非熱収縮繊維層2uと、非肌対向面側に熱収縮した熱収縮性繊維を含む熱収縮繊維層2dとからなっている。肌側シート2の熱収縮繊維層2dと非熱収縮繊維層2uとは、複数のエンボス部2Eにより、間欠的に接合されている。具体的には、肌側シート2は、熱収縮繊維層2dと非熱収縮繊維層2uとが、規則的に配された複数のエンボス部2Eにより部分的に接合されて貼り合わされており、非肌対向面側の熱収縮繊維層2dの熱収縮性繊維が熱収縮されて形成されている。肌側シート2には、図9〜図11に示すように、非熱収縮繊維層2uの肌対向面側からエンボスしたエンボス部2Eにより凹陥した複数の凹部と、エンボスされていない非エンボス部に複数の凸部2tが形成されている。そして、凸部2tが、複数の高凸部2t1と複数の低凸部2t2とを有している。高凸部2t1と低凸部2t2とは、第1層2uの非熱収縮繊維層2uで構成されており、非熱収縮繊維層2uを構成する同一の繊維で満たされている。
肌側シート2においては、低凸部2t2の繊維密度が高凸部2t1の繊維密度よりも高くなっている。また、第2層2dの熱収縮繊維層2dを構成する繊維の繊維密度が、低凸部2t2を構成する第1層2uの非熱収縮繊維層2uの繊維の繊維密度よりも高くなっている。好適に、立体ドーム構造の高凸部2t1は、その繊維密度が、立体ドーム構造の低凸部2t2の繊維密度よりも低くなっており、特にそのZ方向の頂点(高さhbの基準点)において、肌側シート2の中で最も低くなっている。立体ドーム構造の低凸部2t2は、その繊維密度が、そのZ方向の頂点(高さhsの基準点)において、低凸部2t2の中で最も低くなっている。
低凸部2t2のZ方向の頂点(高さhsの基準点)における繊維密度dsに対する、高凸部2t1のZ方向の頂点(高さhbの基準点)における繊維密度dbの比率(db/ds)は、排泄された体液の引き込み性を強化する観点から、1.2倍以上3.0倍以下であることが好ましく、1.5倍以上2.5倍以下であることが更に好ましい。
肌側シート2の繊維密度の比率は、特開2015−186543号公報の段落〔0042〕乃至〔0046〕に記載の方法によって測定することができる。
肌側シート2の形成材料については、特開2015−186543号公報の段落〔0047〕乃至〔0053〕に記載を援用できる。
肌側シート2の坪量は、20g/m2以上100g/m2以下であることが好ましく、35g/m2以上80g/m2以下であることが更に好ましい。
肌側シート2と着用者の肌との接触面積は45%以下、特に42%以下であることが上述の理由から好ましい、また下限値としては25%以上、特に30%以上が好ましい。
また、肌側シート2は、図2に示すように、非熱収縮繊維層2uを肌対向面側に配し、熱収縮繊維層2dを非肌対向面側に配して形成されている。そのため、収縮によって繊維密度が高まった熱収縮繊維層2dへ向かって、排泄された体液が肌対向面側から非肌対向面側に毛管力により引き込まれて速やかに移行し、ムレ低減効果を奏する。
上述した本実施形態のナプキン1の各構成部材の形成材料については、当該技術分野で公知のものを使用することができる。非肌側シート3は、難透液性又は、不透過性を有することが好ましく、坪量が10〜50g/m2であり、厚さが、8〜200μmであることが好ましい。吸収性コア41のコア材料は、パルプ繊維や吸水性ポリマーを使用することができる。また、吸収性コア41には、消臭剤や抗菌剤等を必要に応じて配合しても良い。吸収性コア41を被覆するコアラップシート(不図示)を使用する場合、ティッシュペーパー、透水性の不織布等が使用できる。サイドシート5としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。
上述したナプキン1によれば、図1及び図2に示すように、吸収性コア41が前方区域A側に位置する第一領域41Fと後方区域C側に位置する第三領域41Rとの間の第二領域41Mに配される中間中高部42と、第三領域41Rに配される後方中高部47とを有している。その為、ナプキン1を着用すると中間中高部42及び後方中高部47に対応する部分が肌に向かって突出することで着用者の身体に沿って変形し、フィット性が向上することで安定的に血液などの体液を吸収できる。また、図4に示すように、中間中高部42と後方中高部47との間は中高間隔領域41Dを介して互いに離間しており、肌側シート2は、肌対向面側に突出した高凸部2t1が複数横方向Yに並んだ高凸部列21Lと、高凸部2t1よりも高さの低い低凸部2t2が複数横方向Yに並んだ低凸部列22Lとが縦方向Xに交互に配された高低凸部列領域49を有しており、高低凸部列領域49が中高間隔領域41Dと重なっている。その為、例えば、ナプキン1を着用して中間中高部42及び後方中高部47が着用者の身体に沿って変形した場合に、中高間隔領域41Dで高凸部列21Lが着用者の肌にフィットし、隣り合う高凸部列21Lどうしの間で低凸部列22L上に空間を形成する。これにより、着用者の肌にフィットしながら空気の流路が横方向Yに沿って形成され、通気性が維持されるので、着用時のべたつき感やムレ感を低減させることができる。このようにナプキン1は、十分なフィット性が得られると共に、着用時のべたつき感やムレ感が低減して着用感が優れる。
また、ナプキン1では、図9〜図11に示すように、肌側シート2の高凸部2t1と低凸部2t2とが、非熱収縮繊維層2uを構成する同一の繊維で満たされている。また、低凸部2t2の繊維密度が高凸部2t1の繊維密度よりも高くなっている。したがって、排泄された体液は、着用者の肌に接触している高凸部2t1から高密度の低凸部2t2側へと移行し易く、肌側シート2に排泄された体液が、横方向Yに適度な速度で更に拡がり易い。特に、ナプキン1では、第2層2dの熱収縮繊維層2dを構成する繊維の繊維密度が低凸部2t2を構成する第1層2uの非熱収縮繊維層2uの繊維の繊維密度よりも高くなっているので、第2層2dの熱収縮繊維層2dによって肌側シート2に排泄された体液を横方向Yに適度な速度で拡がらせることができる。そして、第1層2uの非熱収縮繊維層2uが非熱収縮性繊維を含み、第2層2dの熱収縮繊維層2dが熱収縮した熱収縮性繊維を含んでいるので、第2層2dの熱収縮繊維層2dによって肌側シート2に排泄された体液を横方向Yに適度な速度で更に拡がらせることができる。
また、ナプキン1では、図2及び図4に示すように、中高間隔領域41Dに、周囲よりも坪量が小さく、横方向Yに延在する横中高間隔溝部48yが配されている。その為、横中高間隔溝部48yを基端にして縦方向Xに折れ曲がり易くなるので吸収性コア41が着用者の身体に沿って変形し易くなり、フィット性を向上させることができる。
また、中高間隔領域41Dに配される横中高間隔溝部48yは、図2及び図4に示すように、中間中高部42の縦方向Xの後端又は後方中高部47の縦方向の先端に接する位置に配されている。ナプキン1では、中間中高部42の縦方向Xの後端及び後方中高部47の縦方向の先端に接する位置に配されている。その為、中間中高部42の縦方向Xの後端及び後方中高部47の縦方向の先端で吸収性コアが縦方向Xに更に折れ曲がり易くなり、より一層、フィット性を向上させることができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は本実施形態のナプキン1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
ナプキン1の吸収性コア41は、その全体が一体成形されているが、これに代えて、第一領域41Fから第三領域41Rに亘って同じ高さにコア材料で形成しておき、次に、別のコア材料で形成されたものを配置して高坪量部を形成してもよい。