JP2014013708A - 導電体、導電性シートおよびタッチパネル - Google Patents

導電体、導電性シートおよびタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、耐熱性に優れ、加熱処理に対し導電性低下の少ない導電体と、該導電体からなる導電層を備えた導電性シートと、該導電性シートを備えたタッチパネルを提供する。
【解決手段】 ポリチオフェン系導電剤と、メルカプト基を有する含珪素化合物を少なくとも含み、
前記メルカプト基を有する含珪素化合物が、メルカプト系シランカップリング剤及びその反応物のうちの少なくも1種であることを特徴とする導電体である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、位置入力装置として用いられるタッチパネルと、該タッチパネルに好適に使用される導電体、導電性シートに関する。
タッチパネルは、位置入力装置として機能する電子部品であり、液晶パネルのような表示装置と組み合わされ、携帯電話や携帯ゲーム機等において幅広く利用されている。タッチパネルは、操作者が画面表示に基づき、手や入力ペンでタッチパネルの特定位置を指し示すと、装置がその特定位置の情報を感知することで、操作者が望む適切な動作を行なわせることができるインターフェースである。
タッチパネルにおいて、指し示す位置の検出方法には、例えば抵抗膜式、静電容量方式があるが、静電容量方式は、携帯電話などのモバイル機器を中心として急速に拡大してきた。静電容量方式の代表的な検出方式としては、アナログ検出の表面型と、パターニングされた電極を用いた積算検出方式による投影型の2つが挙げられる。さらに投影型の構成は、方式やメーカー毎に多数の提案がなされているが、最近急増した投影型としては、導電層に挟まれる絶縁層や表面の保護板としてガラスや樹脂板を用いることで、耐久性を付与したものが多い。今後は、これらを各種樹脂フィルムにすることで、低価格化、フレキシブル化する動きが拡大するものと予想されている。
タッチパネルの要となるセンサー部に使われる導電層としては、導電性能と透明性の両立が図れることから、スパッタや蒸着などの乾式法により形成されるITO(酸化錫をドープした酸化インジウム)層が、最も多く用いられている。
しかしながら、無機層であるITO膜は屈曲に対して非常に割れやすいため、フレキシブル性を必要とするタッチパネルに適用するのは事実上困難である。それだけでなく、フレキシブル性を必要としないタッチパネルに適用する場合でも、加工工程中に受けた軽度の傷付きも導電性の大幅な低下を招くため、歩留まりが問題となることも多い。そこで、屈曲性に優れる導電層として、有機系の導電性高分子を用いる導電層が検討されており、有機系の導電性高分子としては、例えばポリチオフェン系導電剤が知られている。例えば特許文献1には、ポリチオフェン系導電剤とエポキシ基を有するカップリング剤とを含むコーティング組成物から形成された導電層を備えた導電性フィルムが開示されている。
特開2006−289780号公報
本発明者らは、これらのポリチオフェン系導電剤を含む導電層の活用を検討し、高温高湿条件下の耐久性試験においては、導電性の指標である表面抵抗値が大きく上昇することはない処方を見出すことが出来た。しかし、例えば85℃恒温庫などの湿度制御されていない高温低湿条件下においては、表面抵抗が徐々に上昇する傾向があった。更に、引き出し電極形成のために印刷した銀ペーストの焼結加工や、FPCの結線加工のためなどの目的で、加熱処理を施す場合も、表面抵抗の上昇傾向が見受けられた。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、耐熱性に優れ、加熱処理に対し導電性低下の少ない導電体と、該導電体からなる導電層を備えた導電性シートと、該導電性シートを備えたタッチパネルの提供を課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、ポリチオフェン系導電剤を含む導電体の耐熱性向上は、導電体に混合する含珪素化合物の選択により達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の導電体は、ポリチオフェン系導電剤と、メルカプト基を有する含珪素化合物を少なくとも含み、前記メルカプト基を有する含珪素化合物が、メルカプト系シランカップリング剤及びその反応物のうちの少なくも1種であることを特徴とする。
(2)前記メルカプト系シランカップリング剤が、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランまたはメルカプト系アルコキシオリゴマー、あるいはそれらの反応物の内、少なくとも1種を含むことを特徴とする。
(3)本発明の導電体が、さらに、pH緩衝剤を含んでいることがより好ましい。
(4)前記のpH緩衝剤が、リン酸―リン酸ナトリウム混合物またはクエン酸―クエン酸ナトリウム混合物の少なくとも1種であることが好ましい。
(5)本発明の導電性シートは、絶縁層の少なくとも片面に、ポリチオフェン系導電剤とメルカプト基を有する含珪素化合物を少なくとも含む溶液を塗工もしくは印刷後、乾燥して得られる導電体からなる導電層を有することを特徴とする。
(6)本発明のタッチパネルは、本発明の導電性シートを具備することを特徴とする。
本発明によれば、耐熱性に優れ、導電性低下の少ない導電体と、該導電体からなる導電層を備えた導電性シートと、該導電性シートを備えたタッチパネルを得ることができる。
本発明の導電性シートの一例を示す断面図である。 図1の導電性シートを備えた導電性積層体の一例を示す断面図である。 図2の導電性積層体の製造に使用する粘着シートの断面図である。 図1の導電性シートを備えた導電性積層体の他の一例を示す断面図である。 本発明のタッチパネルを具備する液晶モジュールの一例を示す断面図である 実施例で製造した導電性積層体を説明する断面図である。 実施例で製造した導電性積層体を説明する上から見た図である。なお、部材の構成を判りやすく示すため、本図には、一部部材に切り欠き部を設けてある。 実施例で製造したタッチパネル(タッチパネルモジュール)を示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<導電体(導電層)>
本発明の導電体は、ポリチオフェン系導電剤と、メルカプト基を有する含珪素化合物とを少なくとも含有する導電体である。メルカプト基を有する含珪素化合物は、後述のとおり、導電体の導電性を安定化させるバインダー成分として含まれる。そして、メルカプト基を有する含珪素化合物成分は、メルカプト系シランカップリング剤及びその反応物の内、少なくとも1種を含む。
以下、導電体の具体的な形態として、絶縁層上などに設けられる層状の導電体、すなわち導電層を例示し、詳細に説明する。
[ポリチオフェン系導電剤]
ポリチオフェン系導電剤は、二重結合と単結合が交互に並んだ主鎖により導電性を発現するπ共役系の有機導電性高分子であり、特に可視光領域に吸収が少ないことから、高い透明性が達成できる。
ポリチオフェン系導電剤としては、3−ヘキシルチオフェン(以下、3HTと略す場合がある。)の重合体(以下、P3HTと略す場合がある。)及びその誘導体、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDOTと略す場合がある。)の重合体(以下、PEDOTと略す場合がある)及びその誘導体からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。誘導体としては、主鎖にスルホン酸基を有する自己ドープ型ポリチオフェンや、ポリエチレングリコールなどのフレキシブルなポリマーと共重合した有機溶媒分散型PEDOTなどの誘導体を用いることもでき、得られる導電体の用途などに応じて、適宜選択される。
ポリチオフェン系導電剤を含有する導電層の形成方法としては、例えば絶縁層上に、導電層形成用の塗布液を塗工したり、導電層形成用のインキを印刷したりする方法が採用される場合が多い。このような方法が採用される場合には、ポリチオフェン系導電剤として、導電性を高めるドーパントの役割だけでなく、重合により水中で微粒子状となるPEDOTの分散剤としても機能するポリスチレンスルホン酸(以下、PSSと略す場合あり)の存在下で、EDOTを重合して得られる水分散体(以下、PEDOT−PSSと略す場合あり)や、PSSの代わりにポリビニルスルホン酸(以下、PVSと略す場合あり)を用いたPEDOT−PVSなどを用い、導電層形成用の塗布液を調製することが好ましい。
得られる導電性に優れるため、本発明には、特にこのPEDOT−PSSが好適に利用できる。
上述のPEDOTもしくはその誘導体などを用いる場合には、導電層形成用の塗布液に、導電性向上効果が確認されている高沸点溶媒を2次ドーパントとして加え、それにより、形成された導電層に2次ドーパントが存在するようにしてもよい。このような2次ドーパントとしては、ポリエチレングリコール、メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの高沸点溶媒が挙げられる。その場合、導電層形成用の塗布液における高沸点溶媒の添加量は、ポリチオフェン系導電剤100質量部に対して、10〜500質量部が好ましく、100〜300質量部が好ましい。高沸点溶媒の添加量が少なすぎると、2次ドーパントとしての効果が充分に得られず、高沸点溶媒の添加量が多すぎると、乾燥塗膜への高沸点溶媒の残留量が多くなり、ブリード(溶出)する懸念がある。
導電層には、導電性物質として必須成分であるポリチオフェン系導電剤の性能を損なわない範囲で、さらに他の導電剤が含まれてもよい。このような導電剤は、導電層形成用の塗布液やインキに添加された場合に、塗布や印刷を妨げない範囲で用いられることが好ましい。このような導電剤の一例としては、銀や銅などの金属化合物(微粒子、ワイヤー、ペーストもしくは可溶化塩)、ITO、ATOなどの金属酸化物微粒子、ポリアニリンなどの有機導電性高分子、導電性カーボンナノチューブなどが挙げられ、1種以上を使用できる。
導電層における導電剤の含有量(ポリチオフェン系導電剤と必要に応じて使用される他の導電剤の合計量。)は、高いほど好ましいが、成膜性やその他品質との兼ね合いから、10〜90質量%、より好ましくは30〜70質量%である。また、全導電剤中、ポリチオフェン系導電剤の割合を好ましくは50質量%以上とすると、屈曲性に優れた導電層を形成できる点で好ましい。
[バインダー成分]
ポリチオフェン系導電剤は、導電体に高濃度で配合された方が、効率良くその導電性能を発揮することができるが、導電剤を単独使用すると、温度や湿度、各種溶剤、擦過などの各種ストレスに対し、導電性能が著しく低下してしまうため、本発明の導電層には、ポリチオフェン系導電剤の導電性を安定化させるための成分としてバインダー成分が含まれる。本発明のメルカプト系シランカップリング剤やメルカプト系アルコキシオリゴマーも、このバインダー成分の内の一成分として導電層に含まれる。
(メルカプト基を有する含珪素化合物)
本発明の導電層は、バインダー成分としてメルカプト系シランカップリング剤及びその反応物の内、少なくとも1種を含む、メルカプト基を有する含珪素化合物を含有する。
メルカプト基を含有するシランカップリング剤としては、例えば、メルカプトトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、トリエトキシ(2-メルカプトエチル)シラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、4-メルカプトブチルトリメトキシシラン、10-メルカプトデシルトリエトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリメトキシシラン、11-メルカプトウンデシルトリエトキシシランなどが例示できるが、これに限定されるものではない。
これらの中で、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが、配合効果が高く好適に利用できる。これらは、信越化学工業社製「KBM−803(製品名)」、「KBE−803(製品名)」、「KBM−802(製品名)」として入手も可能である。中でも3-メルカプトプロピルトリメトキシシランはトリメトキシ構造により、導電層内の他成分とより強固に結合できることから最も好適に利用される。
更に、メルカプト基とアルコキシ基を持つオリゴマーである「メルカプト系アルコキシオリゴマー」もメルカプト基を含有するシランカップリング剤として例示できる。これらは、有機基とアルコキシ基を持つオリゴマーであれば特に構造を限定するものではなく、オリゴマー故に分子量に分布がある場合もある。メルカプト以外の有機基として、エポキシ基などの反応性基を含有していると、樹脂成分との結合が期待できる。このメルカプト系アルコキシオリゴマーの市販品として、信越化学工業社製「X−41−1805(製品名)」「X−41−1810(製品名)」「X−41−1818(製品名)」がある。
また、本発明の「メルカプト系シランカップリング剤の反応物」とは、主に導電層を形成する工程において生成したものであって、導電層形成用の塗布液に添加されたメルカプト系シランカップリング剤が、導電層に含まれる他の成分と反応して生成した反応物、および、導電層形成用の塗布液に添加されたメルカプト系シランカップリング剤同士が反応して生成した反応物の少なくとも一方である。すなわち、これら塗布液中に、メルカプト系シランカップリング剤を添加しておくことにより、形成された導電層中には、メルカプト系シランカップリング剤およびその反応物のうちの少なくも1種が含まれることになる。
このようにメルカプト基を有する含珪素化合物として、メルカプト系シランカップリング剤およびその反応物のうちの少なくとも1種を含む導電層は、高温低湿条件下での耐久性が優れ、導電性低下が少ない。この理由は必ずしも明らかではないが、シランカップリング剤の作用により導電層に強固に取り込まれたメルカプト基の一部が、熱ストレス環境下で先行して酸化することで、高温低湿環境下におけるポリチオフェン系導電剤の主な熱劣化反応であると考えられる酸化反応から防御する役割を担っているのではないかと推測される。よって、メルカプト基はポリチオフェン系導電剤の近傍に分布していることが重要であり、メルカプト系シランカップリング剤を導電層とは別に、下塗り層などの別層に配合したり、上塗りや含浸などの手法により、後から添加してもその効力を充分に活かすことができないので、メルカプト系シランカップリング剤はポリチオフェン系導電剤と共に塗工液やインキに配合し、導電層を形成することが望ましい。なお、メルカプト系シランカップリング剤の酸化反応が進行しても、導電層に黄変などの外観変化は特に発生しないため、配合によるデメリットは特に生じない。
導電層中におけるメルカプト系シランカップリング剤およびその反応物のうちの少なくとも1種の量は、その種類や、他成分の種類や量によってもその適量が異なってくるが、ポリチオフェン系導電剤100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましい。この範囲の下限値以上であると、導電層の高温低湿条件下における導電性低下が充分に抑制される。一方、この範囲の上限値以下であると、メルカプト系シランカップリング剤やその反応物の含有量が多いことによる導電層の導電性低下が抑制される。ただし、メルカプト系シランカップリング剤の添加量が多すぎると、ポリチオフェン系導電剤の導電性能の妨げとなる可能性があり、好ましくない。
なお、導電層形成用の塗布液中におけるポリチオフェン系導電剤100質量部に対するメルカプト系シランカップリング剤の量をもって、導電層中におけるポリチオフェン系導電剤100質量部に対するメルカプト系シランカップリング剤およびその反応物の量とする。
(その他樹脂成分)
更に、本発明の効果を阻害しない範囲で、少なくとも他の樹脂成分が含まれていてもよい。
樹脂成分は導電剤を前述の各種ストレスから保護するだけでなく、導電層中の導電剤の状態を固定化することで、導電性能を安定化する役割を担う。例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、これらの変性樹脂、これらの共重合樹脂などの樹脂が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
また、樹脂成分としては、このように重合が済んだ樹脂に限定されず、重合して重合体となるモノマーもしくはオリゴマーと、これらを光や熱で活性化する重合開始剤や架橋剤などの成膜用成分との混合物などの重合性組成物も用いることができる。
モノマーやオリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを1種以上使用できる。具体的には、ラジカル重合系としては、単官能のエチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、アクリロイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、N―ビニルピロリドンや、2官能のヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールポリエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3官能以上のトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなど、カチオン重合系としては、グリシジルエーテル化合物や脂環式エポキシ化合物などのエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物などが例示できるが、これらに限定するものではない。
これらと組み合わせて使用する重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物や過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物、ジハロゲン化合物など、公知のものを使用できる。
樹脂成分の種類は、ポリチオフェン系導電剤の種類、性状や、導電層が設けられる絶縁層の種類、構成などによって適宜選択されるが、吸湿性がなく、耐酸性が高く、塗工適性にも優れることから、ポリエステル系樹脂が好ましい。
また、導電層における樹脂成分の量は、前述の通りポリチオフェン系導電剤による導電性の観点からは、少ない方が好ましいが、少なすぎると導電層の成膜性が低下する。これらの観点から、樹脂成分の量は、ポリチオフェン系導電剤100質量部に対して、500質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましい。
導電剤を前述の各種ストレスから保護しつつ、導電性能の安定化のため導電層中の導電剤を固定化するには、バインダー成分として樹脂成分に加え架橋成分を配合することが好ましい。
架橋剤としては、導電層に耐溶剤性を付与できるものとして、上記モノマー、オリゴマーのうち、3官能以上のモノマーおよびオリゴマー;エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系などの公知の架橋剤などが例示できる。
カップリング剤も、架橋反応による導電層自体の成膜性、硬度などの向上、導電層と該導電層に積層される他の層との密着性向上などが期待できる。
カップリング剤としては、分子中に有機官能基とアルコキシル基とを有する有機ケイ素化合物であるシランカップリング剤やその反応物が、好適に利用される。例えば、導電層が絶縁層上に形成される場合において、絶縁層における導電層との接触表面が、Si成分を含むハードコート層からなる場合や、PETフィルム表面に形成された易接着層にSi成分が含まれる場合などは、特に、シランカップリング剤成分による導電層と絶縁層との密着性向上効果が期待できる。具体的には、本発明に利用されるメルカプト系以外には、エポキシ系、ビニル系、メタクリル系、アクリル系、ウレイド系、ウレイレン系、イソシアヌレート系、スルフィド系などのシランカップリング剤が例示できる。中でも、エポキシ系シランカップリング剤とメルカプト系シランカップリング剤と共に配合することにより、異種の結合性官能基の作用により強固に導電層中の導電剤を安定化することができ、メルカプト基が効果を発揮する高温低湿環境下だけでなく高温高湿環境下でも導電性能を安定化できるため、より好適である。
導電層中に配合される架橋剤やカップリング剤成分の量は、その種類や、他成分の種類や量によってもその適量が異なってくるが、メルカプト系シランカップリング剤との合計量が、ポリチオフェン系導電剤100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、3〜80質量部がより好ましい。この範囲の下限値以上であると、導電層中の導電剤を安定化することができる。一方、この範囲の上限値以下であると、導電剤以外の成分の含有量が多いことによる導電層の導電性低下が抑制される。
[その他の成分]
導電層には、ポリチオフェン系導電剤、その他樹脂成分の他に、導電性能を大きく損なわない範囲で、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、金属腐食防止剤、pH調整剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤等の添加剤や、濡れ剤、消泡剤などの塗工助剤が適宜含まれていてもよい。
濡れ剤や消泡剤は導電層の欠陥防止に効果的であり、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの界面活性剤が利用されるが、フッ素系界面活性剤を用いると、導電層に隣接して絶縁層が存在する場合、導電層と絶縁層との密着耐久性が低下しやすい。そのため、シリコーン系、長鎖アルキル系が好適に利用される。
また、これらの界面活性成分は、添加剤として混合する他、共重合などにより樹脂成分に一体化してもよい。これら成分の配合により、導電層の接触角を50度以上100度以下、より好ましくは60度以上90度以下に調整すると、導電層と絶縁層が隣接する場合、これらの間の密着耐久性を保ちつつ、欠陥のない導電層が得られやすい。
pH調整剤として、pH緩衝作用のある材料を添加すると、ポリチオフェン系導電剤の劣化反応を抑制する効果が期待される。PEDOT-PSSで具体例を示すと、PEDOTの酸化反応やPSSの加水分解反応を抑制する効果である。また、メルカプト化合物との相乗効果も確認されていることから、メルカプト化合物の酸化反応にも影響を及ぼしているものと推測される。
pH緩衝剤の具体例としては、本発明のポリチオフェン系導電剤の導電性能が安定して発揮される酸性領域に緩衝作用の適応範囲を持つ、酢酸―酢酸ナトリウム混合物、リン酸―リン酸ナトリウム混合物、クエン酸―クエン酸ナトリウム混合物、グリシン-塩酸混合物などが挙げられるが、酢酸と塩酸は、臭気や腐食性の観点から取り扱いに注意が必要であるため、リン酸―リン酸ナトリウム混合物やクエン酸―クエン酸ナトリウム混合物が好適に利用できる。また、pH緩衝剤のpHは、酸性領域であれば導電性の劣化を抑える効果が得られるが、pHが1.0〜4.5の範囲であると、耐久性向上効果が高く、pHが1.0〜3.0の範囲にあると、本発明に好適に利用されるPEDOT-PSS系導電剤と組み合わせた際、凝集物などの発生がなく更に好ましい。
次に、絶縁層の少なくとも片面に上述の導電層を備えた本発明の導電性シートについて図面を用いて詳細に説明する。
<導電性シート>
図1は、本発明の導電性シートの一例を示す断面図であり、絶縁層11の片面に、ポリチオフェン系導電剤と、メルカプト系シランカップリング剤及びその反応物のうちの少なくも1種を含む導電体からなる導電層12を有する。なお、図1では、絶縁層の片面のみに導電層を備えた形態を図示しているが、絶縁層の両面に導電層が設けられていてもよい。また、図1の断面図は、主に層構成を示すものであり、寸法や厚さは適宜強調している箇所があり、正確に示されたものではない。
[導電層]
導電層12は、例えばアナログ方式の抵抗膜式タッチパネルなどに用いられる、実質的に均一な厚さで絶縁層11上に形成された均一層でもよいし、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルなどに用いられる、位置検知のために形成された規則的なパターンを有する導電層であってもよい。規則的なパターンは、各種印刷方式などにより、絶縁層11上に予め部分的に導電層12を設ける方法で形成されたものであってもよいし、または、導電層形成用の塗布液を均一塗布後、エッチング液を用いた湿式エッチングやレーザー光線を用いた乾式エッチングなどにより、その一部を除去して形成されたものであってもよい。なお、均一層の場合でも、タッチパネルの構成などに応じて、周辺部の絶縁処理等のため、導電層12の一部がパターン化されていてもよい。
導電層12は、タッチパネル等に利用する目的においては、高透明であることが好ましいが、ポリチオフェン系導電剤が着色物質であるため、導電層12の透明性は、ポリチオフェン系導電剤の含有量によって大きく影響を受ける。導電層12の透明性は、導電層12と絶縁層11とからなる導電性シート10の全光線透過率(JIS K7105)として、70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。また、意図的に光拡散性を要する場合を除けば、導電性シート10のヘイズ(JIS K7105)は、5%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下である。
導電層12の厚さは、導電性シート1の用途や導電剤の組成、性質などによって最適値が大きく異なるため、一概に規定することは出来ないが、乾燥膜厚として、0.01〜1μm、より好ましくは0.02〜0.08μmである。乾燥膜厚が上記範囲の下限値以上であると、導電性の均一性を確保しやすく、上限値以下であると、効率低下、コスト的にも優れている。
導電層12の導電性は、タッチパネル用の電極板とするためには、表面抵抗を10Ω/sq以下としたものが好ましく、10Ω/sq以下の表面抵抗としたものがより好ましい。表面抵抗は、導電層形成用の塗布液における導電剤の組成、塗工量などにより調整できる。
また、引き出し電極は、導電層12の表面や導電層12に結線可能な形態で、使用状況に応じて、例えば導電性の高い銀、銅、アルミニウム、モリブテンなどの金属材料により形成してもよい。その形成方法は、ペーストなどを印刷した後焼結して得たり、スパッタリングなどの公知の手法が例示できる。
[絶縁層]
絶縁層11は、ガラス基板、樹脂フィルム、樹脂板などからなるシート状の絶縁性基材のみから構成されていてもよいし、絶縁性基材と、その表面に必要に応じて設けられた他の層とから構成されていてもよい。絶縁層11は、導電性シート1のフレキシブル化の観点からは、屈曲可能に形成されていることが好ましい。また、絶縁層11として、例えば液晶モジュールに使われる偏光板などを使用してもよい。
(絶縁性基材)
絶縁性基材を構成する樹脂フィルム、樹脂板の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミド、(メタ)アクリル樹脂、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体などが挙げられ、これらの混合物でもよい。
なかでも、絶縁性基材としては、透明性、耐候性、耐溶剤性、剛度、コストなどの観点から、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルム、ガラス基板、シクロオレフィンポリマーまたは透明性が良好なポリカーボネートなどのシートが好適に利用でき、屈曲性の点からは、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルム、シクロオレフィンポリマーまたは透明性が良好なポリカーボネートなどのシートが好ましい。また、これら絶縁性基材の厚みが10〜200μmであると、屈曲性の点で好ましい。
絶縁性基材には各種添加剤が含まれてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、カップリング剤等が挙げられる。これら添加剤は必要に応じて使用されるが、導電性シート1をタッチパネルに使用する際には、導電性シート1の透明性を阻害しない添加物を選択することが好ましい。
絶縁性基材の表面には、サンドブラスト処理や溶剤処理等の凹凸化処理、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等の表面酸化処理が施されていてもよい。
(絶縁層を構成する他の層)
必要に応じて絶縁性基材の表面に設けられる層としては、例えば、干渉縞対策層、各種拡散剤を添加した拡散調製層などの光学調整層、導電層12との密着性を高めるため、イソシアネートなどの反応性物質を添加したアンカー層などが挙げられる。また、絶縁性基材上に設けられる導電層12のパターニングのために、絶縁性基材上には、活性エネルギー線が照射された箇所のみ剥離可能な発泡剥離層が設けられてもよい。
また、絶縁性基材の表面が露出する場合や、工程中、絶縁性基材に生じる表面傷を抑制する目的などのために、その表面に、樹脂成分を主成分とし、硬質成分を含有するハードコート層を設けてもよい。
ハードコート層の主成分である樹脂成分としては、重合性不飽和基を有するモノマーまたはオリゴマーの重合体であるアクリル系重合体が好ましい。
重合性不飽和基を有するモノマーまたはオリゴマーとしては、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましく、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量600)ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量400)ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートは、1種以上を使用できる。
ハードコート層の鉛筆硬度を3H以上にするためには、4官能以上の(メタ)アクリレートを選択することがより好ましい。
重合性不飽和基を有するモノマーまたはオリゴマーは、熱硬化性でも活性エネルギー線硬化性でもよい。
硬質成分としては、反応性無機酸化物粒子および/または反応性有機粒子が使用される。反応性無機酸化物粒子および/または反応性有機粒子を用いると、防汚性、指紋付着防止性、帯電防止性などを付与できる。
反応性無機酸化物粒子は、カップリング剤により処理した無機酸化物粒子であり、反応性有機粒子は、カップリング剤により処理した有機粒子である。無機酸化物粒子または有機粒子をカップリング剤により処理することにより、樹脂成分であるアクリル系重合体との間の結合力を高めることができる。その結果、表面硬度や耐擦傷性を向上させることができ、さらに無機酸化物粒子および有機粒子の分散性を向上させることができる。
無機酸化物粒子としては、硬度が高いものが好ましく、例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などを用いることができる。
有機粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリアミドなどの樹脂粒子などを用いることができる。
カップリング剤としては、前述の各種シランカップリング剤の中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシアルミニウム等の反応性基を有するものが例示でき、1種以上を使用できる。
カップリング剤の処理量は、無機酸化物粒子および/または有機粒子100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
ハードコート層には柔軟性成分が含まれてもよい。柔軟性成分が含まれていると、導電性積層体を打ち抜き加工する際のクラックの発生をより防止できる。
ここで柔軟性成分は、分子内に1個以上の重合性不飽和基を有する重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレート類である。前記(メタ)アクリレート類としては、例えば、トリシクロデカンメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンのプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンのエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に、3官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートを選択することがより好ましい。
これらの(メタ)アクリレート類は、1種を単独で使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[導電性シートの製造方法]
図1の導電性シート1は、絶縁層11の片面に導電層12を形成することにより得られる(導電層形成工程)。ここで、必要に応じて、導電層12のパターニング等も実施できる。
導電層12の形成には、上述のとおり、導電層形成用の塗布液を塗工する方法や導電層形成用のインキを印刷する方法などの公知の方法を採用できる。
塗工の方式としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いた方法が挙げられ、比較的塗工量が少なめである導電層12の形成には、マイクログラビアコーターを用いることが好ましい。
印刷方式としては、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷などが挙げられる。
必要に応じて絶縁性基材に設けられるアンカー層などの他の層の形成にも、塗工または印刷など公知の方法が採用され、比較的塗工量が少なめである例えばアンカー層などの形成には、マイクログラビアコーターを用いることが好ましい。
導電層12やこれらの層を形成する際の乾燥には、例えば加熱送風乾燥機や真空乾燥機などを用いる。
また、導電層12に用いる樹脂成分が熱硬化性である場合には、導電層形成時には、加熱炉や赤外線ランプ等を用い、塗膜乾燥時もしくはムロなどにより加熱処理を施すことができる。樹脂成分が活性エネルギー線硬化性である場合には、活性エネルギー線を照射する。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線が挙げられ、中でも、汎用性の点から、紫外線が好ましい。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
活性エネルギー線の照射による硬化は、大気中の酸素による硬化阻害を回避するため、窒素などの不活性ガス存在下で行うことが好ましく、コストの観点から窒素ガスが好適に利用できる。また、活性エネルギー線照射工程は、予備硬化工程と本硬化工程の2段階に分けて行ってもよい。
なお、導電層形成用またはアンカー層などの他の層を形成するための塗布液およびインキは、塗装適性、印刷適性を向上するなどの目的で、有効成分の他に希釈用の溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、例えば、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコールなど。)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノンなど。)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソロブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど。)、トルエン、n−ヘキサン、石油エーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられ、1種以上を使用できる。
塗工ムラを軽減するためには、蒸発速度の異なる溶剤を使用することが好ましい。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルのなかから複数の溶剤を適宜選択し、これらを混合して使用することが好ましい。
また、導電層形成用の塗布液のpHは1〜6に調整することが好ましい。pHが高いと、塗布液やインキに含まれる含窒素シランカップリング剤に起因して、塗布液やインキがゲル化する場合がある。pHが高い場合には、塗布液およびインキに、例えば硫酸、塩酸などの酸性溶液を添加しても良いが、前述のpH緩衝材料を用いても良い。
なお、導電層12のパターニングが必要な場合は、例えばグラビアコーターや各種印刷方式により必要な箇所にのみ導電層12を形成してもよいし、予め均一な導電層を形成した後、公知の湿式もしくは乾式エッチング法(レーザー光によるアブレーションなど。)により、不要部分を除去してもよい。
湿式エッチングを行う場合、各種活性エネルギー線を用いたフォトリソ法やスクリーン印刷法により導電層の一部をマスキングしてからエッチング処理を行ってもよく、この処理には、特開2008−091487号公報や特開2008−115310号公報等に記載されている有機導電性高分子用のエッチング液が好適に利用できる。独メルク社製のisishape HigperEtch(製品名)のようなエッチングペーストを導電層の除去部分に直接印刷することで、マスキングなしでエッチング処理を実施してもよい。
また、独ヘレウス社製のClevios Etchのように導電層を除去まではせずに導電性能のみ失活させる薬剤を用いても良い。
<導電性シートを備えた導電性積層体>
上述の導電性シートを用いることにより、種々の構成の導電性積層体を製造することができる。
以下、導電性積層体について、第1〜第3実施形態例を挙げて説明する。
(1)第1実施形態例
図2の導電性積層体10は、絶縁層11と、絶縁層11の片面に形成された導電層12と、導電層12上に形成された粘着層21と、粘着層21における導電層12と反対側の面を被覆する剥離用第1基材22とを有する。この導電性積層体10は、互いに直接接する一組の導電層12および粘着層21を有し、絶縁層11の片面には、導電層12が接する構成を具備する。
なお、以後示す断面図も、主に層構成を示すものであり、寸法や厚さは適宜強調している箇所があり、正確に示されたものではない。
また、図2の例では、導電層12と粘着層21とが全面で接しているが、導電層の一部がパターニングにより除去されていたり、導電層の表面に銀ペーストなどで引き出し電極層を形成されているなどの理由から、導電層と粘着層とが一部で接している形態もある。
図2の導電性積層体10を製造する場合には、まず、図3に示すように、剥離用第1基材(剥離用基材)22の一方の面に粘着層21を形成するための塗布液を塗布乾燥して粘着層21を形成し、その上に剥離用第2基材23を貼合し、粘着シート20を得る(粘着層形成工程)。
なお、剥離用第1基材22の剥離力と剥離用第2基材23の剥離力とを異なるものとすると、一方のみを先に剥離しやすくなるため好ましい。
ついで、図3の粘着シート20から剥離用第2基材23を剥がして粘着層21を露出させ、この粘着層21と、図1の導電性シート1の導電層12とを貼着し、図2の導電性積層体10を得る(貼着工程)。
そして、導電性積層体10を必要に応じて断裁または打ち抜きし、所望の形態に加工する(断裁または打ち抜き工程)。
なお、断裁または打ち抜き工程は、貼着工程の後に行う形態に限定されず、貼着工程よりも前に実施しておいてもよい。
粘着層21を形成するための粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが使用できる。また、溶剤系、エマルジョン系、水系のいずれであってもよい。なかでも光学用途に使用する場合は透明度、耐候性、耐久性、コスト等の観点から溶剤系のアクリル系粘着剤が特に好ましく利用できる。さらに、粘着品質の観点から、エチルヘキシルアクリレートやブチルアクリレートをモノマー単位として含有する重合体が特に好ましい。また、必要に応じて粘着剤に助剤が添加されてもよい。助剤としては、紫外線吸収剤、増粘剤、pH調整剤、タッキファイヤ、バインダー成分、架橋剤、粘着性微粒子、消泡剤、防腐防黴剤などが、一例として挙げられる。
粘着層21の形成には、粘着層形成用の塗布液を上述の各種コーターで塗布する方法が好適であり、なかでも、リップコーター、ダイコーターを用いることが好ましい。
粘着層の最適な厚みは、使用環境、組成によっても異なるため一概には規定できないが、5〜500μmであることが好ましく、より好ましくは10〜300μmである。5μm以上であれば、充分な粘着性が得られやすく、一方、500μm以下であれば、導電性積層体10を過度に変形しやすくすることがないし、タッチパネルとした際に位置検知能力の妨げとなることもない。
また、粘着剤としては、粘着剤の主成分となるポリマーの一部に、カルボキシル基やリン酸基、スルホン酸基などの酸性基が結合しているものも使用できる。
なお、粘着層形成用の塗布液にも、塗装適性を向上するなどの目的で、希釈用の溶剤を含んでいてもよい。このような溶剤としては、導電層形成用の塗布液やインキに用いられる希釈用の溶剤として先に例示した溶剤を同様に使用できる。
剥離用第1基材22、剥離用第2基材23としては、先に絶縁性基材として例示した各種シートや紙などのシート表面を離型処理したものが好適に用いられる。離型処理には、縮合型もしくは付加型のシリコーン系離型剤や、オレフィン系、長鎖アルキル基含有ポリマー系、フッ素系などの非シリコーン系離型剤が用いられる。シートとしては、物性とコストの面から、ポリエステルやポリプロピレンなどの樹脂フィルムや紙が好ましい。
剥離用第1基材22は、導電性積層体10から剥離される。そして、それにより露出した粘着層21には、用途に応じて、例えばカバーガラス(透明シート)が貼合されたり、液晶モジュールの偏光板面が貼合されたりする。
図2の導電性積層体10は、例えば次の方法(a)または方法(b)によっても製造でき、特に制限はない。
(a)導電性シート1における導電層12の面に、粘着層21を形成するための塗布液を直接塗布乾燥して粘着層21を形成し、その上に剥離用第1基材22を貼着する。(b)剥離用第1基材22の一方の面に粘着層21を形成するための塗布液を塗布乾燥して粘着層21を形成し、その上に導電性シート1の導電層12側を貼着する。
(2)第2実施形態例
第1実施形態例の導電性積層体10は、一組の導電層12および粘着層21を備えるとともに絶縁性基材からなる絶縁層11を有し、導電層12が絶縁層11に接するように位置したものである。これに対して、第2実施形態例の導電性積層体は、絶縁性基材11の代わりに、剥離性基材を備える点で第1実施形態例とは異なる。
このような導電性積層体は、剥離性基材の剥離後、導電層側に他の部材を組み合わせて使用することができる。剥離性基材としては、先に剥離用第1基材として例示したものなどを好適に使用できる。
(3)第3実施形態例
図4は、第3実施形態例の導電性積層体10’を示す断面図である。この例の導電性積層体10’は、図2に示す導電性積層体1の絶縁層11における導電層12とは反対の面にも、導電層12、粘着層21、剥離用第1基材22を順次積層させた構成を有する。この形態において、絶縁層11の両面側に形成される導電層12、粘着層21、剥離用第1基材22は、それぞれ、両面側で同一組成の層であっても、異なる組成の層であってもよい。 そして、このような形態の導電性積層体1’において、各導電層12それぞれがパターニングされている場合、具体的には、それぞれ一軸方向に規則性を有するパターンに形成され、かつ、各導電層12のパターンが互いに直交する位置関係にある場合、この導電性積層体1’は、次に説明するように、投影型静電容量方式のタッチパネルの主要部材として好適に用いられる。
<タッチパネル>
図5は、投影型静電容量方式である本発明のタッチパネル100を具備する液晶モジュールの一例を示す断面図であり、このタッチパネル100は、図4の導電性積層体10’から、2枚の剥離用第1基材22を剥離した導電性シートを具備する。絶縁層11の両面で上部電極及び下部電極としてそれぞれ作用する各導電層12(U)、12(L)は、それぞれが一軸方向に規則性を有するパターンに加工され、且つ、各導電層の12(U),12(L)のパターンは位置検知のため互いに直交するように配置されている。
上部電極側となる導電層12(U)は、粘着層21(U)を介してガラスやフィルムなどの透明素材からなるカバー部材(透明シート)101と貼合される。下部電極側となる導電層12(L)には、粘着層21(L)が積層され、これを介して、例えば液晶モジュール102の偏光板面と貼合される、
なお、導電層12(U),12(L)は、それぞれ引き出し電極層32(U)。33(L)を備え、引き出し電極層とFPC(フレキシブル配線板)コネクタ103とが接続されており、更にFPCコネクタ103はFPCなどにより静電容量検出回路104に接続され、タッチパネル100が構成される。図5に示すタッチパネル100の断面図は、前述の通り、主に層構成を示すためのものであるため、細部を正確に示すものではなく、例えば、導電層や引き出し電極層はエッチングや印刷処理等によりパターニングされた状態となっている。また、タッチパネルの構成は、製造業者や機種毎に多様であるため、層構成もこれに限定されるものではない。
このように例えば図4の例の導電性積層体1’を用いることにより、容易に、図5の液晶モジュールに用いたような投影型静電容量方式のタッチパネル100を製造することができる。このようなタッチパネル100の導電層12(U),12(L)には、メルカプト系シランカップリング剤及びその反応物のうちの少なくも1種が含まれるため、高温低湿条件下での耐久性に優れ、導電性低下が抑制される。
なお、図5では、本発明の透明導電性シートをタッチパネルの静電容量式センサーに用いる一例を示したが、本発明の透明導電性シートは透明電磁波シールドフィルムして好適に利用できる。具体的には、近年、タッチパネルの高感度化や、タッチパネル搭載の各種モバイル機器の薄型化が進行したことから、画像表示部とタッチパネル部の間のノイズカットのため、本発明の透明導電性シートを電磁波シールドとして使用する等が例示できる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もちろんこれらに限定されるものではない。なお、例中の「%」は、特に断わらない限り質量%を示す。
[実施例1]
(導電性シートの作製)
3,4−エチレンジオキシチオフェンをポリスチレンスルホン酸の存在下で重合させた導電性物質(PEDOT−PSS)の固形分濃度1.2%水分散液に、メタノールでそれぞれ固形分濃度1.2%に希釈した、バインダー成分の樹脂成分であるポリエステル系樹脂(アクリル変性ポリエステルの30水分散液、高松油脂株式会社製、ペスレジンAー645GH)と、界面活性剤(信越化学工業株式会社製、レベリング剤KP−110)を、100:60:50の質量比で混合し、固形分濃度1.2%の混合液Aを得た。
この混合液Aと、メルカプト基を有する含珪素化合物であるメルカプト系アルコキシオリゴマー(信越化学工業株式会社製、X−41−1810)をメタノールで希釈して1.2%液としたものと、エポキシ系シランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−403)をメタノールで希釈して1.2%液としたものを、100:20:30の質量比で混合し、導電層形成用の塗布液を調製した。この塗布液を、絶縁層11を構成する第1基材(「両面に易接着処理層を設けた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム」(商品名「ルミラーU48」、東レ株式会社製、厚さ125μm))の片面に、乾燥厚みで約0.2μmとなるようにバーコーターで塗工後、乾燥して導電層12を形成し、表面抵抗240Ω/sq(JIS―K7194準拠)、全光線透過率(JIS−K7105準拠)89.1%の図1に示す構成の透明導電性シート1を得た。
更に、タッチパネル用として、絶縁層のもう一面にも同様に導電層を形成した両面導電性シートも作製した。
(粘着シートの作製)
<粘着層形成用の塗布液の調製>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを封入後、溶媒であるアセトン105質量部を添加した。次いで、反応装置内に、単量体成分としてのアクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルとが、モル組成比で55/45になるように調整したアクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルとの混合体100質量部、続いて、アクリル酸2−ヒドロキシエチル5.0質量部、開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.6質量部とをモノマー濃度が凡そ50質量%となるようにアセトン中に添加し、攪拌しながら窒素ガス気流中、50℃で8時間攪拌した後、氷水浴にて急冷することにより重合反応を停止させた。
このようにして得られた共重合体溶液を大量のn−ヘキサン中に投入し共重合体を再沈殿させた後濾過し、溶液中の未反応モノマーや低分子量成分を取り除き、再度、酢酸エチルおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(酢酸エチル40%、メチルエチルケトン60%)に溶解し、固形分30質量%で、重量平均分子量Mw36万、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比であるMw/Mn=3.4のアクリル酸エステル共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液の固形分100質量部に対し、架橋剤としてのヘキサメチレンジイソシアネート系3官能性アダクト体(旭化成株式会社製:P301−75E)0.4質量部を加え、酢酸エチルにて濃度25質量%の溶液となるように希釈し、粘着剤溶液とした。
なお、特に記載のないものを除き、粘着剤溶液の材料には、関東化学株式会社製の試薬を用いた。
<粘着シートの形成>
調製した粘着層形成用の塗布液を用いて、図3に示す構成の粘着シート20を以下のように作製した。
粘着層形成用の塗布液をバーコーターにより、剥離用第1基材22である厚さ38μmのPET剥離フィルム(品名:38RL07(5)、王子特殊紙株式会社製)に、乾燥後の粘着剤の塗布量が175g/m2になるように塗工し、100℃で5分間乾燥させ、粘着層21を形成した。次いで、該粘着層21の表面に、剥離用第1基材22よりも剥離力が軽くなる設定で離型処理された厚さ38μmのPET剥離フィルム(品名:38RL07(2)、王子特殊紙株式会社製)を剥離用第2基材23として貼合した後、室温で1週間放置し、剥離用第1基材22/粘着層21/剥離用第2基材23の層構成からなる粘着シート20を作製した。
(導電性積層体の作製)
作製した透明導電性シート1と粘着シート20を用いて、図6に断面図を、図7に上から見た図を示す構成の導電性積層体30を以下の通り作成した。
透明導電性シート10を2cm×9cmに切り出し、電極間距離が65mmとなる間隔で、サンプルの両端に銀ペースト(藤倉化成株式会社製、ドータイトFA−401CA)を印刷し、焼結処理のため140℃15分間加熱し、引き出し電極を形成した。次に、粘着シート20の剥離用第2基材23を剥がし、その表面に導電性シートの第1基材として用いたPETフィルムと同じものを第2基材として貼合し、2cm×7cmに切り出した。更に、このシートの反対面の剥離用第1基材22も剥がし、先に銀電極を形成した導電性シートの表面に貼合せた後、50℃、0.8Pa条件で30分間オートクレーブ処理を施し、第1基材/導電層/粘着層/第2基材の層構成からなる実施例1の導電性積層体30を得た。
(タッチパネルの作製)
上述した両面導電性シートの導電層に、フォトレジスト用ドライフィルムを貼合せ、石英マスクを重ね合わせて、メタルハライドランプ(紫外線硬化用マルチメタルランプM03−L31、アイグラフィックス株式会社製)にて、照射量300mJ/cm2の紫外線を片面ずつ照射する処理を両面に施した。石英マスクのパターンは、タッチパネルセンサーとして位置検知できるよう、第1基材からなる絶縁層の両面でXY電極パターンが直交する配置となるパターン形状とした。ここでの紫外線照射で、第1基材を透過して反対側の塗工面に到達する紫外線は微量であったため、反対面のパターニングが裏移りすることは無かった。続けて、有機ポリマー型導電層用エッチング液を用いて導電層の一部を未硬化部のレジストと一緒に除去後、残りのレジストフィルムも剥離し、両面パターニング導電フィルムを得た。
両面パターニング導電フィルムの両面周辺部に前述の銀ペーストを用いて引き出し電極線を形成し、FPCコネクタ103と結線した。続けて、更に2枚の粘着シート20を用いて、パターニングされた各導電層の両面に、1mm厚の光学ガラス101を貼合し、最後にFPCコネクタ103を静電容量検出回路104に接続し、図8に示す構成のタッチパネルモジュール100’を作製した。
1)透明導電性シートとしての評価
透明導電性シート1を5cm×10cmに2枚切り出し、常温常湿(23℃50RH%)環境で24時間調湿した後、三菱化学アナリテック株式会社製ロレスタEP:MCP−T360を用いてJIS −K7194準拠の手法にて表面抵抗(耐久試験前)を測定した(Rs0)。次に、これらのサンプルを高温低湿環境である85℃の恒温庫内(非加湿)と、高温高湿環境である85℃85%RH恒温恒湿庫に移して240時間処理した。処理後、各サンプルを常温常湿環境で24時間調湿後してから、処理前と同様の手法にて表面抵抗(耐久試験後)を測定した(Rs)。評価結果を表1及び表2に示す。
2)導電性積層体としての評価
実施例1で作製した導電性積層体30の試験片を、常温常湿(23℃50RH%)環境で各試験片の両端に形成した電極間の抵抗値を、抵抗計により測定した。次に、試験片を高温低湿環境である85℃の恒温庫内(非加湿)に移して、240時間処理した。処理後、常温常湿環境で24時間調湿してから処理前と同様にして試験片の抵抗値を測定した。評価結果を表1及び表2に示す。
3)タッチパネルとしての評価
実施例1で作製したタッチパネルモジュール100’に対しても、高温低湿環境である85℃の恒温庫内(85℃Dry;非加湿)に移して、耐久性試験のため240時間放置した後、常温常湿環境にて動作確認を行い、下記指標に従って評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
(判定基準)
A:試験前と同様に、良好な応答性を示した。
B:検出感度がやや悪化した。
C:検出感度が悪化した。
[実施例2]
メルカプト基を有する含珪素化合物として、X−41−1810の代わりにメルカプト系シランカップリング剤である3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−803)を用い、メタノールで希釈して1.2%液として、ポリチオフェン系導電剤を含む混合液AとKBM−803とKBM−403を100:10:40の質量比で混合し、導電層形成用の塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、表面抵抗263Ω/sq、全光線透過率89.3%の透明導電性シート1と導電性積層体30とタッチパネルモジュール100’を得て、実施例1と同様に評価した。結果を表1及び表2に示す。
[実施例3]
りん酸(関東化学株式会社製)と水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)の水溶液を混合し、濃度1.2%でpH1.8のリン酸―リン酸ナトリウム系緩衝液を作製した。この液とポリチオフェン系導電剤を含む混合液AとKBM−803とKBM−403を5:100:10:40の質量比で混合し、導電層形成用の塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、表面抵抗232Ω/sq、全光線透過率88.9%の透明導電性シート1と導電性積層体30とタッチパネルモジュール100’を得て、実施例1と同様に評価した。結果を表1及び表2に示す。
[実施例4]
くえん酸(関東化学株式会社製)とくえん酸三ナトリウム二水和物(関東化学株式会社製)の水溶液を混合し、濃度1.2%でpH2.0のクエン酸―クエン酸ナトリウム系緩衝液を作製した。この液をリン酸―リン酸Na系緩衝液の代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面抵抗308Ω/sq、全光線透過率89.6%の透明導電性シート1と導電性積層体30とタッチパネルモジュール100’を得て、実施例1と同様に評価した。結果を表1及び表2に示す。
[実施例5]
ポリチオフェン系導電剤を含む混合液AとKBM−803を100:50の質量比で混合し、導電層形成用の塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、表面抵抗232Ω/sq、全光線透過率89.0%の透明導電性シート1と導電性積層体30とタッチパネルモジュール100’を得て、実施例1と同様に評価した。結果を表1及び表2に示す。
[比較例1]
ポリチオフェン系導電剤を含む混合液AとKBM−403を100:50の質量比で混合し、導電層形成用の塗布液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、表面抵抗245Ω/sq、全光線透過率89.4%の透明導電性シート1と導電性積層体30とタッチパネルモジュール100’を得て、実施例1と同様に評価した。結果を表1及び表2に示す。
[比較例2]
ポリチオフェン系導電剤を含む混合液Aを、そのまま導電層形成用の塗布液としたこと以外は、実施例1と同様にして、表面抵抗253Ω/sq、全光線透過率89.3%の透明導電性シート1導電性積層体30とタッチパネルモジュール100’を得て、実施例1と同様に評価した。結果を表1及び表2に示す。
Figure 2014013708
Figure 2014013708
表1及び表2に示すように、メルカプト系シランカップリング剤やメルカプト系アルコキシオリゴマーを用いた実施例1〜5は、比較例1、2に比べ、高温低湿環境下における耐久試験前後で、表面抵抗値の変化が少なく、経時的な導電性低下が低減されていた。また、後工程の加工時に受ける加熱処理に対する耐性もあるため、熱劣化影響も小さく好ましい結果が得られた。
1 導電性シート
10、10’、30 導電性積層体
11、31 絶縁層
12、12(U)、12(L) 導電層
20 粘着シート
21、21(U)、22(L) 粘着層
22 剥離用第1基材
23 剥離用第2基材
32、32(U)、32(L) 引き出し電極層
100、100’ タッチパネルモジュール
101 カバー部材
102 液晶モジュール
103 FPCコネクタ
104 静電容量検出回路

Claims (6)

  1. ポリチオフェン系導電剤と、メルカプト基を有する含珪素化合物を少なくとも含み、
    前記メルカプト基を有する含珪素化合物が、メルカプト系シランカップリング剤及びその反応物のうちの少なくも1種であることを特徴とする導電体。
  2. 前記メルカプト系シランカップリング剤が、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランまたはメルカプト系アルコキシオリゴマー、あるいはそれらの反応物の内、少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電体。
  3. さらに、pH緩衝剤を含む請求項1または2いずれかに記載の導電体。
  4. 前記pH緩衝剤が、リン酸―リン酸ナトリウム混合物またはクエン酸―クエン酸ナトリウム混合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の導電体。
  5. 絶縁層の少なくとも片面に、ポリチオフェン系導電剤とメルカプト基を有する含珪素化合物を少なくとも含む溶液を塗工もしくは印刷後、乾燥して得られる請求項1〜4いずれかに記載の導電体からなる導電層を有することを特徴とする導電性シート。
  6. 請求項5に記載の導電性シートを具備することを特徴とするタッチパネル。
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