JP2014004928A - 車両の駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アイドルストップとモータジェネレータによるアシストとを両立させる車両の駆動装置を提供する。
【解決手段】エンジン(2)と、モータジェネレータ(21)と、バッテリ(41)とを備える車両(1)において、バッテリ(41)の充放電積算量が第1の許可閾値以上である場合に、アイドルストップ制御部の動作を許可し、バッテリ(41)の充放電積算量が、第1の許可閾値よりも大きい第2の許可閾値以上である場合に、トルクアシスト制御部の動作を許可する。
【選択図】図1

Description

この発明は車両の駆動装置に関する。
エンジンのクランクシャフトに設けられたクランクプーリとモータジェネレータに設けたモータジェネレータプーリとにベルトを巻き掛けてエンジンの始動を行う車両の駆動装置がある。このモータジェネレータは、オルタネータ機能(ジェネレータ機能)に加えて、エンジン始動のためのモータ機能を有する(特許文献1参照)。
特許4451468号公報
近年、燃費向上の観点から、車両停車中にエンジンを停止するアイドルストップ技術が普及している。
そこで、さらなる燃費向上の観点から、モータジェネレータの駆動を、エンジンの始動のみでなく、エンジンの駆動力をアシストするように動作させて、燃料消費量を削減する技術が開発されている。
エンジンの駆動力をアシストするためにモータジェネレータを駆動するときは、バッテリの電力が使用される。また、アイドルストップを終了してエンジンを始動するときにもモータジェネレータを駆動するので、バッテリの電力が使用される。
一方、バッテリに蓄えられる電力の量には上限があるため、アイドルストップとエンジン駆動力のアシストとを無制限に実行ことはできない。そのため、アイドルストップとエンジンのアシストとの両立が考慮されなければエンジンのアシストによりバッテリの電力が不足した場合に、アイドルストップが実行できず、燃費性能が向上しないという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、エンジンのアイドルストップと、モータジェネレータによるエンジン駆動力のアシストとを両立させて、燃費性能を向上できる車両の駆動装置を提供することを目的とする。
本発明は、車両を走行させるエンジンと、エンジンの出力軸に連結されたモータジェネレータと、モータジェネレータに電力を供給し、モータジェネレータにより発電された電力を充電するバッテリと、エンジンの動作及びモータジェネレータの動作を制御する制御装置と、を備える車両の駆動装置に適用される。
本発明は、この車両の駆動装置において、制御装置は、車両の状態に基づきエンジンを停止させ、駆動力要求があったときにモータジェネレータを回転させてエンジンを再始動するアイドルストップ制御部と、車両の走行開始後にモータジェネレータを駆動して、エンジンの駆動力をアシストするトルクアシスト制御部と、バッテリの充放電積算量を算出する充放電積算量算出部と、を備える。そして、バッテリの充放電積算量が第1の許可閾値以上である場合にアイドルストップ制御部の動作を許可し、バッテリの充放電積算量が第1の許可閾値よりも大きい第2の許可閾値以上である場合にトルクアシスト制御部の動作を許可することを特徴とする。
本発明によれば、バッテリの充放電積算量に基づいてアイドルストップとトルクアシストの実行とが制御される。すなわち、モータジェネレータによるトルクアシストを実行する第2の許可閾値を、エンジンを停止するアイドルストップを実行する第1の許可閾値よりも大きく設定する。これにより、容量に上限があるバッテリを用いて、燃費向上効果が大きいアイドルストップ優先して実行することができるので、アイドルストップとトルクアシストの実行を両立させつつ、燃費性能を向上することができる。
本発明の実施形態の車両の駆動装置の構成を示す説明図である。 本発明の実施形態のエンジンの制御システム図である。 本発明の実施形態のエンジン再始動のタイミングチャートである。 本発明の実施形態のトルクアシスト制御のフローチャートである。 本発明の実施形態のメインバッテリの電圧及びSOCのタイムチャートである。 本発明の実施形態のアイドルストップ許可のフローチャートである。 本発明の実施形態のトルクアシスト許可のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の車両1の駆動装置の構成を示す説明図である。
車両1は、エンジン2、モータジェネレータ21、エアコン用コンプレッサ31を有する。
エンジン2のクランク軸3、モータジェネレータ21の回転軸22、エアコン用コンプレッサ31の回転軸32が平行に配置されている。クランク軸3の一端にクランクプーリ4が、回転軸22、32にそれぞれプーリ23、33が備えられている。これらクランクプーリ4、プーリ23、33にはベルト5が掛け回され、クランク軸3、回転軸22、33の間はベルト5によって動力が伝達(伝導)される。
エンジン2には、エンジンの始動に用いるスタータ6が備えられている。エンジン2のクランク軸3の他端にはトルクコンバータ8を介してベルト式の自動変速機9が接続されている。
トルクコンバータ8は図示しないポンプインペラ、タービンランナを有する。ベルト式の自動変速機9は図示しないプライマリプーリ、セカンダリプーリ、これらプーリに掛け回されるスチールベルトを有する。エンジン2の回転駆動力はこれらトルクコンバータ8、自動変速機9を介して最終的に車両駆動輪(図示しない)に伝達される。
車両1には、電源としてメインバッテリ41とサブバッテリ42との二つのバッテリが備えられる。メインバッテリ41とサブバッテリ42とは、いずれも14Vの電圧を入出力するバッテリである。メインバッテリ41とサブバッテリ42とは、並列された2つのリレー43によって電気的に接続されている。
スタータ6及びモータジェネレータ21は、メインバッテリ41に電気的に接続され、メインバッテリ41から電力が供給される。モータジェネレータ21は交流電機により構成されており、このモータジェネレータ21にはメインバッテリ41との間で直流と交流とを変換するインバータ24が備えられている。
エンジンコントロールモジュール(ECM)51は、エンジン2、スタータ6及びモータジェネレータ21の動作を制御する制御装置として機能する。
ここで、エンジン2の構成を、図2を参照して説明する。
図2は、本発明の実施形態のガソリンエンジンであるエンジン2の制御システムの構成図である。
各吸気ポート(図示しない)には燃料噴射弁7が設けられている。燃料噴射弁7は、エンジン2に燃料を間欠的に供給するものであり、ここでは4気筒分が例示されている。
吸気通路11は電子制御のスロットル弁12を備える。スロットル弁12はスロットルモータ13によって開度(以下、「スロットル開度」という。)が制御される。スロットル弁12の実際のスロットル開度はスロットルセンサ14により検出され、ECM51に入力される。
ECM51には、アクセルセンサ53からのアクセル開度(アクセルペダル52の踏込量)の信号、クランク角センサ54からのクランク角の信号、エアフローメータ55からの吸入空気量の信号が入力される。
ECM51は、クランク角センサ54の信号からエンジン2の回転速度(エンジン回転速度Ne)を算出し、また、その他の信号に基づいて目標吸入空気量及び目標燃料噴射量を算出する。そして、これら目標吸入空気量及び目標燃料噴射量が得られるようにスロットルモータ13及び各燃料噴射弁7に指令を出す。
エンジン2は、燃焼室(シリンダ)に臨んで点火プラグを備えている。ECM51は、圧縮上死点前の所定の時期に点火コイルの一次側電流を遮断することにより点火プラグに火花を発生させ、これによって燃焼室内の混合気に点火する。
また、ECM51は、スタータスイッチ56からの信号に基づいて初回の始動要求があると判断したときに、スタータ6を駆動しエンジン2を始動させる。
また、ECM51は、燃費向上を目的としてアイドルストップ制御を行う。
たとえば、アクセルペダル52が踏み込まれておらず(APO=0)、ブレーキペダル57が踏み込まれ(ブレーキスイッチ58がON)、かつ車両1が停止状態にある(車速VSP=0)のときにアイドルストップ許可条件が成立する。
アイドルストップ許可条件が成立したときには、ECM51は、燃料噴射弁7から吸気ポートへの燃料噴射を遮断してエンジン2を停止する。これによって無駄な燃料消費を低減する。
その後、アイドルストップ状態で、アクセルペダル52の踏み込みや、ブレーキペダル57の戻し(ブレーキスイッチ58がOFF)など、運転者からの駆動要求があった場合は、アイドルストップ許可条件が不成立となる。このとき、ECM51は、モータジェネレータ21をスタータとして用いてエンジン2をクランキングし、燃料噴射弁7からの燃料噴射と点火プラグによる火花点火とを再開しエンジン2を再始動する。
このように、モータジェネレータ21をアイドルストップからのエンジン2の始動用として用いることにより、スタータ6の使用頻度を減らしてスタータ6を保護する。このように、ECM51がエンジン2を停止させ、モータジェネレータ21を動作させてエンジン2を再始動させるように動作させることにより、アイドルストップ制御部が構成される。
なお、スタータ6やモータジェネレータ21を駆動するときには、ECM51により2つのリレー33をともに遮断して、メインバッテリ41とサブバッテリ42を電気的に切り離す。これによって、スタータ6やモータジェネレータ21がメインバッテリ41のみの電力で駆動し、サブバッテリ42の電圧が変動することを防止する。
図1に戻り、車両1は自動変速機用コントロールユニット(CVTCU)61を備える。
CVTCU61は、車速とスロットル開度とから定まる車両の走行条件に応じて、自動変速機9の変速比を無段階に制御する。
また、ポンプインペラ、タービンランナを有するトルクコンバータ8には、ポンプインペラとタービンランナとを締結・開放する機械式のロックアップクラッチを備えている。ロックアップクラッチを締結する車両の走行域はロックアップ領域(車速とスロットル開度とをパラメータとしている)として予め定めている。CVTCU61では車両の走行条件がロックアップ領域となったとき、ロックアップクラッチを締結してエンジン2と自動変速機9とを直結状態とし、車両の走行条件がロックアップ領域とないときにはロックアップクラッチを開放する。エンジン2と自動変速機9とを直結状態としたときにはトルクコンバータ8でのトルクの吸収がなくなり、その分燃費が良くなる。
車両1は、また、ビークルダイナミックコントロールユニット(VDCCU)62、車速感応式電動パワーステアリング用コントロールユニット(EPSCU)63、エアコン用オートアンプ64、コンビネーションメータ66を備える。
VDCCU62はセンサを備え、車両1が横滑りや尻振りを起こしそうになったことを検知する。この横滑り状態に応じて、ブレーキ制御とエンジン出力制御により走行時の車両安定性を向上させる。
EPSCU63は、トルクセンサからの操舵トルク及び車速から最適なアシストトルク信号をEPSモータに出力して、操舵力をアシストする。
これらCVTCU61、VDCCU62、EPSCU63及びコンビネーションメータ66は、電圧降下を許容できない電気負荷である。これらは、メインバッテリ41と電気的に切り離し可能なサブバッテリ42から電力の供給を受ける。
ECM51、CVTCU61、VDCCU62、EPSCU63、エアコン用オートアンプ64及びコンビネーションメータ66の間はCAN(Controller Area Network)により接続される。
次に、モータジェネレータ21によるエンジン駆動力のアシストについて説明する。
前述のように、アイドルストップによりエンジン2を停止した後、アイドルストップ許可条件が成立しなくなったときは、ECM51は、メインバッテリ41を電源として用いてモータジェネレータ21を駆動して、エンジン2を再始動する。
エンジン2が再始動し、車両1が走行を開始した後に、エンジン回転速度Neが予め定めた所定の回転速度域にある場合に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストが許可される。トルクアシストの許可中にエンジン回転速度Neが所定の回転速度域を外れたときには、トルクアシストが禁止される。
トルクアシストを許可するときには、ECM51は、エンジン2をトルクアシストするよう、メインバッテリ41を電源として用いてモータジェネレータ21に所定のアシストトルクを発生させる。また、トルクアシストを禁止するときには、モータジェネレータ21の駆動を停止してアシストトルクを発生させない。これによって、エンジン2の再始動後かつ車両1の走行開始後に良好な加速応答性(運転性)が得られるようにする。
また、メインバッテリ41には、電流センサ49が備えられており、ECM51は、メインバッテリ41の充放電電流値を検出する。ECM51は、メインバッテリ41の充放電電流値に基づいて積算処理を行い、メインバッテリ41のSOC(State Of Charge)を算出する。このように、ECM51が充放電電流値に基づいてメインバッテリ41のSOCを算出することで、バッテリ充放電力積算値算出部として構成される。ECM51は、このSOCに基づいてメインバッテリ41の充放電の収支を管理する。
インバータ24とECM51とは、LIN(Local Interconnect Network)で接続している。このLINを介してECM51がインバータ24に対して、モータジェネレータ21を駆動するのか、それともモータジェネレータ21で発電させるのか、モータとして駆動するためにどのくらいの電流を流すのか等を指令する。
エンジン2及びモータジェネレータ21には回転振動の共振点が存在する。この回転振動の共振点は、エンジン回転速度Neが例えば1000rpmより低い回転速度域に存在する。ベルト5の張力が低い状態でトルクアシストを実行すると、エンジン2およびモータジェネレータ21の回転振動の共振により(共振回転速度域で)ベルト滑りが発生し、ベルト5に鳴きが発生してしまう虞がある。
一方、この共振によるベルト滑りを防止するためにベルト5の張力を高くすると、クランクプーリ4とベルト5との間でのフリクションが増大してしまい燃費悪化を招く。クランクプーリ4とベルト5との間でのフリクション増大による燃費悪化を避けるために、ベルト張力を高めに設定することはできない。
従って、共振によるベルト滑り防止を考え、エンジン回転速度Neが、例えば1000rpm(第1閾値)より高い回転速度域(モータジェネレータ回転速度が例えば2600rpmより高い中・高回転速度域)でのみトルクアシストを許可する。エンジン回転速度Neが、例えば1000rpm(第1閾値)以下の回転速度域(モータジェネレータ回転速度が、例えば2600rpm以下の低回転速度域)ではトルクアシストを禁止する。
エンジン2が再始動し、車両1が走行を開始した後に、エンジン回転速度Neが第1閾値を超えた場合に、モータジェネレータ21を駆動してトルクアシストを行う。このように、車両1の走行開始後にモータジェネレータ21を駆動してエンジン2の駆動力をアシストするように制御することにより、トルクアシスト制御部が構成される。
図3は、本発明の実施形態のエンジン再始動の開始からのタイミングチャートを示す。
図3は、エンジン回転速度Ne、車両トルク、車速VSP、アクセル開度AOPそれぞれの時間の変化を示す。なお、図3に示す「トルクアシスト許可フラグ」、「トルクアシスト実行フラグ」については、図4で説明する。
「車両トルク」とは、車両の駆動に用いられるトルクのことで、通常はエンジントルクである。モータジェネレータ21によるトルクアシストがあるときには、このアシストトルクとエンジントルクの合計が車両トルクとなる。
タイミングt1において、アイドルストップ許可条件が不成立となった場合は、ECM51は、モータジェネレータ21を駆動してエンジン2のクランキングを行うと共に、燃料噴射弁7からの燃料噴射及び点火プラグによる火花点火を再開する。これによりエンジン2が燃焼を開始してエンジン2が再始動する。ECM51は、エンジン回転速度Neが所定の完爆回転速度となったときに、エンジン2が再始動したと判定する(タイミングt2)。
ここで、タイミングt2の付近でドライバがアクセルペダル52を少し踏み込んだため、エンジン回転速度Neが上昇して、車両トルクが増加する。これにより、車両1が走行を開始する(タイミングt3)。
図3において、車両1を発進させた後もアクセル開度APOが略一定であるので、エンジン回転速度Neと車両トルクとは、タイミングt3を過ぎた当たりで略一定値となっている。
次に、タイミングt5でドライバがアクセルペダル52を大きく踏み込んだとする。このアクセル開度の増加に応じてエンジン回転速度Neが上昇する。
このとき、エンジン回転速度Neが第1閾値(RPMLOK)を超えたとき、ECM51は、モータジェネレータ21が低回転速度域を脱したと判断する。ECM51は、メインバッテリ41からインバータ24に電流を供給してモータジェネレータ21をモータとして駆動する(タイミングt6)。
このタイミングt6以降、エンジントルクにモータトルクが加わり、車両トルクが増大し、車速が増大する。この結果、ドライバの望む加速が直ぐに得られることとなる。なお、モータジェネレータ21が発生するトルクは、ゼロから漸増して最大トルクとなるようにする。
このような制御によって、車両発信時のトルクアシストが実行される。
モータジェネレータ21によるトルクアシスト分をエンジン2の発生するトルクで賄おうとすると、燃料噴射弁7からの燃料供給を増量補正しなければならず、それだけ燃料消費が多くなり、燃費が悪くなる。これに対して、車両1の減速時にモータジェネレータ21により運動エネルギーを電気エネルギーとして回生し、メインバッテリ41に蓄えておく。そして、エンジン回転速度Neが第1閾値RPMLOKを超えたときに、メインバッテリ41の電気エネルギーによりモータジェネレータ21にアシストトルクを発生させるのであれば、燃料を消費することがないので、燃費を悪くすることがない。
また、モータジェネレータ21はエンジン2よりも応答良くトルクを発生することができるので、ドライバがアクセルペダルを踏み込み過ぎることを避け、無駄な燃料を消費することがない。
次に、ECM51で行われるトルクアシストを、図4のフローチャートを参照して説明する。
図4は、本発明の実施形態のトルクアシストのフローチャートである。
この図4に示すフローチャートは、ECM51により、所定周期(例えば10ms毎)に実行される。
まず、ECM51は、ステップS1において、エンジン2の初回始動後であるか否かを判定する。エンジン2の初回始動である場合は、スタータ6を用いてエンジンが始動されるので、NOが選択されて本フローチャートによる処理を終了する。
エンジン2の初回始動後である場合は、ステップS2に進み、ECM51は、エンジン2の再始動後であるか否かを判定する。
エンジン2の再始動とは、アイドルストップからのエンジン2の再始動のことである。アイドルストップからエンジン2を再始動する場合はモータジェネレータ21によって行われるので、ECM51は、車両停止中にモータジェネレータ21が作動したときにアイドルストップからのエンジン始動が行われたと判断する。アイドルストップからのエンジン2の再始動が行われていなければ、本フローチャートによる処理を終了する。
アイドルストップからのエンジン2の再始動が行われた後であれば、ステップS3に移行する。
ステップS3では、車両1の走行中であるか否かを判定する。車速がゼロまたはゼロに近い値以下であるときには車両の停止中(走行中でない)と判断し、本フローチャートの処理を終了する。
車速がゼロでないときまたはゼロに近い値を超えていると判断した場合は、車両の走行中であると判断してステップS4に進む。
ステップS4では、ECM51は、トルクアシスト許可条件が成立しているか否かを判断する。
トルクアシスト許可条件の成立は、次の(1)及び(2)の条件が成立してないときにトルクアシスト許可条件が成立したと判断する。言い換えると、次の(1)及び(2)のいずれか一つの条件が成立したときには、トルクアシスト許可条件が成立しない。
(1)ロックアップクラッチが解放されているとき。
(2)メインバッテリ41のSOCがトルクアシスト許可閾値未満であるとき。
ロックアップクラッチが解放されているときにエンジン2にアシストトルクを加えても、アシストトルクの一部がトルクコンバータ8で吸収されてしまい、トルク伝達の効率が悪いため、トルクアシストは禁止する。ロックアップクラッチを締結しエンジン2と自動変速機9とを直結状態としているときにエンジン2に対してアシストトルクを加えるのであれば、アシストトルクの分が車両トルクの増加となるので、トルク伝達の効率が悪くなることがない。なお、ロックアップクラッチの締結又は解放は、前述のように車速とスロットル開度とに基づいて決定される。
また、メインバッテリ41のSOCが後述する、トルクアシスト許可閾値(SOC2)以上であるときには、ECM51は、トルクアシストを許可する。
この条件(1)及び(2)のいずれも成立していない場合は、トルクアシスト許可条件が成立したと判断して、ステップS5に進む。ステップS5では、ECM51は、トルクアシスト許可フラグ=1に設定する。
図3において、t4のタイミングで、トルクアシスト許可フラグがゼロから1へと切り換わっていることが示されている。
一方、この条件(1)及び(2)の少なくとも一方が成立した場合は、トルクアシスト許可条件が成立しないと判断して、ステップS6に進む。ステップS6では、ECM51は、トルクアシスト許可フラグ=0に設定する。
次に、ステップS7では、トルクアシスト許可フラグが1であるかを判定する。トルクアシスト許可フラグ=1であるときにはステップ8に進む。
ステップS8では、ECM51は、現在のエンジン回転速度Ne(RPM)[rpm]と第1閾値RPMLOK[rpm]を比較する。第1閾値RPMLOKはモータジェネレータ21の低回転速度域の上限として予め定められている値である。
エンジン回転速度Neが第1閾値RPMLOKを超えている場合は、ECM51は、モータジェネレータ21の低回転速度域を外れたと判断する。このときにはトルクアシストを実行するためにステップS9に進む。ステップS9では、ECM51は、トルクアシスト実行フラグ=1に設定する。
トルクアシスト実行フラグ=1に設定されることにより、ECM51は、インバータ24に電流を供給してモータジェネレータ21をモータとして駆動する。
図3において、タイミングt6でトルクアシスト実行フラグがゼロから1へと切り換わっていることが示されている。これにより、モータトルクがエンジントルクに加わる。
なお、このとき、モータジェネレータ21が発生するトルクをゼロから漸増させて最大トルクとなるように、ECM51は、インバータ24に流す電流値を制御する。これは、車両発進時のように、運転ショックを感じやすいエンジン2の低回転速度域でモータジェネレータ21がステップ的に最大トルクを発生するのでは運転ショックが生じてしまうためである。また、トルクアシストを終了する場合も、最大トルクから漸増してゼロとなるように、インバータ24に流す電流値を制御する。
また、トルクアシストを行わせる期間(インバータ24に電流を流す期間)は後述するように、予め定めた時間とする。トルクアシストを行わせる期間を長くすればそれだけメインバッテリ41の電力消費を早めるので、メインバッテリ41の電力消費に影響を与えることがないように時間を設定しておく。
ステップS8でエンジン回転速度Neが第1閾値RPMLOK以下であると判断した場合は、モータジェネレータ21が低回転速度域にあると判断して、ステップS10に進む。ステップS10では、ECM51は、トルクアシスト実行フラグ=0に設定する。
トルクアシスト実行フラグ=0に設定することにより、ECM51は、インバータ24への電流供給を遮断してモータジェネレータ21を非駆動状態とする。
言い換えると、車両走行中での加速によってドライバが望みの加速が得られたとしてアクセルペダル52を戻すことによりエンジン回転速度Neが第1閾値RPMLOK以下となった場合は、もはやトルクアシストは必要ないので、トルクアシスト実行フラグ=0と設定して、モータジェネレータ21のトルクアシストを禁止する。
これにより、モータジェネレータ21の低回転速度域におけるベルト5の鳴きを防止し、クランク軸3、回転軸22、32の強度を確保しつつ、燃費向上と良好な加速応答性(運転性)を両立できる。
なお、ステップS7でトルクアシスト許可条件が成立しない場合には、ステップS10に進み、トルクアシスト実行フラグ=0に設定する。
このような制御により、車両発進時のトルクアシストが実行される。
次に、本発明の実施形態のアイドルストップ及びトルクアシストの許可について説明する。
図5は、本発明の実施形態のメインバッテリ41の状態(電圧及びSOC)を示し、アイドルストップ及びトルクアシストを示すタイムチャートである。
この図5は、上段にメインバッテリ41の電圧の推移を、下段にメインバッテリの充放電積算量(SOC)の推移を、それぞれ横軸を時間としたタイムチャートとして示す。
図5において、まず、タイミングt1で、ECM51は、スタータ6を回転駆動してエンジン2の駆動を開始する。このとき、スタータ6の駆動により、メインバッテリ41の電圧が過渡的に低下する。このスタータ6の駆動によりメインバッテリ41の電力が消費されて、メインバッテリ41の負荷電流、温度が変化し、SOCが変化(減少)する。
次に、タイミングt2において、前述のようにアイドルストップ許可条件が成立したとする。このとき、ECM51は、メインバッテリ41のSOCに基づいて、アイドルストップを許可するか否かを決定する。具体的には、メインバッテリ41のSOCが、所定の閾値(アイドルストップ許可閾値SOC1)以上の場合は、ECM51は、アイドルストップを許可する。
アイドルストップを許可した場合は、ECM51は、エンジン2への燃料の供給停止、トルクコンバータ8のロックアップクラッチの解放を行い、エンジン2の駆動を停止させる。
その後、アクセルペダル52の踏み込みや、ブレーキペダル57の戻しなど、運転者からの駆動要求があった場合は、アイドルストップ許可条件が不成立となり、エンジン2を再始動させる。ECM51は、モータジェネレータ21をスタータとして駆動させてエンジン2をクランキングする。これにより、エンジン2が再始動してアイドルストップ制御が終了する(タイミングt3)。
アイドルストップ制御中は、エンジン2の駆動が停止しているため、モータジェネレータ21による発電が行われず、メインバッテリ41の充電が行われない。従って、アイドルストップ制御中、特にエンジン2の再始動によりメインバッテリ41の電流が消費される。この結果、アイドルストップ制御中(タイミングt2〜t3)のメインバッテリ41のSOCが変化(減少)する。
なお、アイドルストップ制御中はメインバッテリ41の電力が消費されてSOCが減少する(図5中点線で示す)。このとき、モータジェネレータ21がエンジン2を再起動するために十分な電力がメインバッテリ41から供給されない場合は、エンジン2の再起動が不可能となってしまう。
そこで、アイドルストップ制御中に、メインバッテリ41のSOCが所定のSOC(例えばSOC1)未満に低下することが確実であると判定した場合は、ECM51は、アイドルストップの終了を決定する。具体的には、モータジェネレータ21を駆動してエンジンを再始動することで消費される電力を現在のメインバッテリ41のSOCから減算する。この値がSOC1よりも小さいことを検出した場合は、アイドルストップの終了を決定する。
また、アイドルストップ時間(S1)が所定時間を超えて継続して、メインバッテリ41のSOCが所定のSOC(例えばSOC1)未満に低下することが確実であると判定した場合にも、ECM51は、アイドルストップの終了を決定する。具体的には、モータジェネレータ21を駆動してエンジンを再始動することで消費される電力を現在のメインバッテリ41のSOCから減算する。この値がSOC1よりも小さいことを検出した場合は、アイドルストップの終了を決定する。
アイドルストップを終了することを決定した場合は、ECM51は前述のようにモータジェネレータ21を駆動してエンジン2を再始動する。これにより、メインバッテリ41のSOCが低下してエンジン2の再起動が不可能となることを防止することができる。
アイドルストップ制御の終了により、エンジン2が再始動し、車両1が走行を開始した後に、前述のようにトルクアシスト許可条件が成立したか否かを判定する。トルクアシスト許可条件が場合はモータジェネレータ21を駆動させてエンジン2の駆動力をアシストする。トルクアシスト許可条件が成立しない場合は、モータジェネレータ21を駆動しない。
図5において、タイミングt4で前述の条件(1)が成立しないことを判定した場合に、条件(2)、すなわち、メインバッテリ41の現在のSOCが、トルクアシスト許可閾値であるSOC2以上であるか否かが判断される。メインバッテリ41の現在のSOCがトルクアシスト許可閾値であるSOC2以上である場合は、トルクアシストが許可される。メインバッテリ41の現在のSOCがトルクアシスト許可閾値SOC2未満である場合は、トルクアシストが許可されない。
ここで、トルクアシスト許可閾値であるSOC2は、アイドルストップを許可するか否かを決定するアイドルストップ許可閾値SOC1よりも大きな値に設定される。
図5において、タイミングt4では、メインバッテリ41の現在のSOCがトルクアシスト許可閾値SOC2未満であるので、トルクアシストが許可されない。
トルクアシストが行われなかった場合は、トルクアシストが行われて、モータジェネレータ21の駆動による電圧の変化及びSOCの減少(一点鎖線で示す)は発生しない。
従って、図5において、タイミングt4以降、メインバッテリ41のSOCは、アイドルストップを許可するか否かを決定するアイドルストップ許可閾値SOC1以上となっている。従って、タイミングt4以降で、アイドルストップ許可条件が成立した場合には、メインバッテリ41のSOCがSOC1以上であるため、アイドルストップが許可される。
ここで、図5において、タイミングt4で、メインバッテリ41のSOCにかかわらずトルクアシストを実行した場合には、メインバッテリ41のSOCが減少して、図5の一点鎖線で示すように、SOCがアイドルストップ許可閾値SOC1未満となってしまう。
この場合は、タイミングt4以降にアイドルストップ許可条件が成立した場合にも、メインバッテリ41のSOCがアイドルストップ許可閾値SOC1未満であるため、アイドルストップが許可されない。そのため、燃費向上効果が大きいアイドルストップの実行機会が減少してしまう。
これに対して、本発明の実施形態では、トルクアシスト許可閾値(SOC2)を、アイドルストップ許可閾値(SOC1)よりも大きな値に設定した。
このように設定することにより、メインバッテリ41に蓄積された電気エネルギーがSOC1未満とならないように制御することができて、アイドルストップ制御に優先して用いることができるようになる。
アイドルストップ制御中は、エンジン2への燃料の供給が停止される。また、アイドルストップ後のエンジン2の再始動時に駆動されるモータジェネレータ21の電力は、車両1の減速時等の運動エネルギーを回生エネルギーとしてメインバッテリに蓄積した電力が使用される。そのため、アイドルストップ制御は、燃費向上の効果がトルクアシスト制御よりも大きい。
従って、メインバッテリ41の電力を、メインバッテリ41に蓄積された電気エネルギーを、アイドルストップ制御に優先して用いることにより、車両1の燃費を向上することができる。
図6は、本発明の実施形態のアイドルストップ許可のフローチャートである。
この図6に示すフローチャートは、ECM51により、所定周期(例えば10ms毎)に実行される。
ECM51は、前述のように、アクセルペダル52が踏み込まれておらず、ブレーキペダル57が踏み込まれ、かつ車両1が停止状態にあるときに、アイドルストップ許可条件を成立させる。ここで、EMC51は、さらなるアイドルストップ許可条件として図6に示すフローを実行する。
ステップS20において、EMC51は、メインバッテリ41の現在の充放電量積算値(SOC)を算出して、所定の閾値(アイドルストップ許可閾値SOC1)以上であるか否かを判定する。
現在のSOCがアイドルストップ許可閾値SOC1以上である場合は、ステップS21に移行して、ECM51は、アイドルストップを許可する。その後、このフローチャートの処理を終了する。
現在のSOCがアイドルストップ許可閾値SOC1未満である場合は、ステップS22に移行して、ECM51は、アイドルストップを禁止する。すなわち、前述のアイドルストップ許可条件が成立したとしても、アイドルストップが禁止される。その後、このフローチャートの処理を終了する。
図7は、本発明の実施形態のトルクアシスト許可のフローチャートである。
この図7に示すフローチャートは、ECM51により、所定周期(例えば10ms毎)に実行される。
ECM51は、前述の図4のステップS4において、トルクアシスト許可条件(1)及び(2)のいずれも成立していない場合にトルクアシストを許可する。ここで、EMC51は、さらなるトルクアシスト許可条件として図7に示すフローを実行する。
ステップS30において、EMC51は、メインバッテリ41の現在の充放電量積算値(SOC)を算出して、所定の閾値(トルクアシスト許可閾値SOC2)以上であるか否かを判定する。
現在のSOCがトルクアシスト許可閾値SOC2以上である場合は、ステップS31に移行して、ECM51は、トルクアシストを許可する。その後、このフローチャートの処理を終了する。
現在のSOCがトルクアシスト許可閾値SOC2未満である場合は、ステップS32に移行して、ECM51は、トルクアシストを禁止する。すなわち、前述のトルクアシスト許可条件が成立したとしても、トルクアシストが禁止される。その後、このフローチャートの処理を終了する。
このような制御によって、ECM51は、メインバッテリ41のSOCに基づいて、アイドルストップの許可、及び、トルクアシストの許可を決定する。
従来、燃費を向上するために、車両1の停車中にエンジン2を停止させるアイドルストップが一般的に行われている。また、さらに燃費を向上するために、モータジェネレータ21を、エンジン2の再始動だけでなく、エンジン2の駆動力のトルクアシストを行うように制御することもできる。
ところで、アイドルストップからの再始動にモータジェネレータ21によりメインバッテリ41の電力が消費される。また、トルクアシストにもモータジェネレータ21によりメインバッテリ41の電力が消費される。しかし、メインバッテリ41が貯えることができる電力には限りがあるため、アイドルストップとトルクアシストとを無制限に実施することは不可能である。
これに対して、本発明の実施形態は、ECM51が、メインバッテリ41の充電量(SOC)が、アイドルストップ及びトルクアシストのいずれも実行可能な状態においてもアイドルストップを実行し、トルクアシストを制限するように制御を行う。
本発明の実施形態では、ECM51が、メインバッテリ41のSOCに基づいてアイドルストップの実行とトルクアシストの実行とを制御する。そして、トルクアシストを実行する第2の許可閾値であるトルクアシスト許可閾値(SOC2)を、アイドルストップを実行する閾値である第1の許可閾値であるアイドルストップ許可閾値(SOC1)より大きく設定した。これにより、アイドルストップとトルクアシストの実行を両立させつつ、燃費向上効果が大きいアイドルストップの実行を優先させることができて、燃費性能を向上することができる。
1 車両
2 エンジン
3 クランク軸
4 クランクプーリ
5 ベルト
6 スタータ
8 トルクコンバータ
9 自動変速機
21 モータジェネレータ
22 回転軸
23 プーリ
24 インバータ
31 エアコン用コンプレッサ
32 回転軸
41 メインバッテリ
49 電流センサ
51 エンジンコントロールモジュール(ECM)

Claims (3)

  1. 車両を走行させるエンジンと、
    前記エンジンの出力軸に連結されたモータジェネレータと、
    前記モータジェネレータに電力を供給し、前記モータジェネレータにより発電された電力を充電するバッテリと、
    前記エンジンの動作及び前記モータジェネレータの動作を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記車両の状態に基づき前記エンジンを停止させ、駆動力要求があったときに前記モータジェネレータを回転させて前記エンジンを再始動するアイドルストップ制御部と、
    前記車両の走行開始後に前記モータジェネレータを駆動して、前記エンジンの駆動力をアシストするトルクアシスト制御部と、
    前記バッテリの充放電積算量を算出する充放電積算量算出部と、を備え、
    前記バッテリの充放電積算量が第1の許可閾値以上である場合に、前記アイドルストップ制御部の動作を許可し、
    前記バッテリの充放電積算量が、前記第1の許可閾値よりも大きい第2の許可閾値以上である場合に、前記トルクアシスト制御部の動作を許可することを特徴とする車両の駆動装置。
  2. 前記アイドルストップ制御部は、前記車両を停止させてから所定時間が経過した場合に、前記モータジェネレータを回転させて前記エンジンを再始動することを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動装置。
  3. 前記アイドルストップ制御部は、前記車両を停止させてから前記バッテリの充放電積算量が前記第1の許可閾値未満となった場合に、前記モータジェネレータを回転させて前記エンジンを再始動することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の駆動装置。
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