JP2014004622A - ろう付け用冶具 - Google Patents
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Abstract
【課題】ろう付け対象物40に対するろう付け部材50の所期位置からの位置ズレを生じさせないとともに、さらに、ろう付け部材50の表面に押圧用冶具30による打痕や線痕が形成されるのも回避することのできるろう付け用冶具1を提供する。
【解決手段】互いに対向して配置され、ろう付け対象物40とろう付け部材50とを重ねた状態で同時に挟持する上板部材11と下板部材12とを有したろう付け用冶具1において、上板部材11には、ろう付け部材50をろう付け対象物40に向けて押し付けるための面状の押圧面34を持つ押圧用冶具30が押圧方向に対して垂直方向に可動できるようにして取り付けられている。
【選択図】図1
【解決手段】互いに対向して配置され、ろう付け対象物40とろう付け部材50とを重ねた状態で同時に挟持する上板部材11と下板部材12とを有したろう付け用冶具1において、上板部材11には、ろう付け部材50をろう付け対象物40に向けて押し付けるための面状の押圧面34を持つ押圧用冶具30が押圧方向に対して垂直方向に可動できるようにして取り付けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ろう付け対象物にろう付け部材をろう付けする際に、ろう付け部材をろう付け対象物の所定位置に保持しておくためのろう付け用治具に関する。
従来から、例えばアルミニウム合金からなる冷却器や熱交換器などのように、通常の溶接による製造が困難な金属製品においては、ろう付けによる接合が行われている。一例として、特許文献1に記載されるように、ハイブリッド自動車のパワーコントロールユニット(インバータ)などにおいて用いられているパワーデバイス用冷却器の製造に際して、パワーデバイス用基板(DBA基板)を冷却器の天板に積層してろう付けにより接合することが行われる。
ろう付けは一般的に、ろう付け対象物と該ろう付け対象物にろう付けしようとする部材(本発明において「ろう付け部材」という)との間にろう材を配設したものを、図6に示すようなろう付け用治具に取り付け、それを加熱炉などによって高温状態にまで加熱することによって行われる。加熱によりろう材が溶融し、溶融したろう材が接着剤として機能して、ろう付け部材はろう付け対象物に接合される。
図6に示すように、一般的に、ろう付け用治具101は、炭素鋼で作られた治具フレーム102と、そこに取り付けられた複数の加圧装置103により構成される。治具フレーム102は、板状部材からなる上板部材121と下板部材122とを有し、これら上下両板部材121・122を複数の連結部材123によって連結することで、治具フレーム102は枠体構造に形成される。加圧装置103は、本体部103aとロッド部103bを有し、ロッド部103bは、例えば先端に面状の押圧面を備えた丸棒部材から形成され、該ロッド部103bは、本体部103aに対して軸心方向に沿って進退可能に設けられる。そして、治具フレーム102の上部板材121に加圧装置103のロッド部103bを挿入しつつ、本体部103aを上板部材121の上面に配置することで、治具フレーム102に各々固設される。
このような構成からなるろう付け用治具101を用いて、ろう付け対象物の所定位置にろう付け部材を保持しつつ、ろう付けを行う手順の一例を説明する。ここでは、ろう付け対象物の一例として、アルミニウム合金製の板状部材からなり、水平方向に延出する基板104を、また、ろう付け部材の一例として、該基板104に比べて表面積の小さな板状部材からなる複数の絶縁基板105を想定する。先ず、基板104上面の所定の位置(ろう付け位置)において、シート状のろう材106を間に挟んで、絶縁基板105を載置する。
次に、基板104や絶縁基板105を治具フレーム102内に投入し、下板部材122の上面に載置する。その後、加圧装置103のロッド部103bを、軸心方向に沿って下方に進出させて、ロッド部103bの先端により絶縁基板105の上面を押圧する。その結果、ろう付け部材である複数の絶縁基板105はろう付け対象物である基板104の所定位置に各々保持される。
次に、ろう付け用治具101によってろう付け位置を保持された基板104や絶縁基板105を加熱炉内に投入して加熱する。加熱時に、ろう付け用治具101と基板104との線膨張差の影響により、基板104における絶縁基板105のろう付け位置に僅かではあるが位置ズレが発生する。すなわち、炭素鋼を主な材料とするろう付け用治具101に比べて、アルミニウム合金を主な材料とする基板104は、加熱による線膨張率が大きい。そのために、基板104は治具フレーム102の上板部材121に比べて、より大きく面方向に膨張する。一方、加熱炉によって基板104および絶縁基板105を加熱している間においては、ろう材106は溶融された状態にあり、基板104と絶縁基板105との間における結合力は、殆ど発生していない状態にある。そして、絶縁基板105は、ロッド部103bの下方に向かう押圧力によって、ロッド部103bに対する相対位置を強固に保持されている。その結果、基板104に対する絶縁基板105の実際の位置と所定のろう付け位置との間にズレが発生するようになる。
その後、ろう付け用治具101によってろう付け姿勢を保持された基板104と絶縁基板105とを、加熱炉内より取り出して常温(外気温度)にまで冷却すると、溶融したろう材106が凝固し始め、基板104と絶縁基板105との間に結合力が発生する。そのために、絶縁基板105は、基板104のろう付け位置に対して僅かに位置ズレを生じた状態のままで、基板104によってろう付けされることとなる。
このように、従来のろう付け用治具では、ろう付け用治具とろう付け対象物(基板104)とにおける線膨張差の影響により、ろう付け対象物(基板104)におけるろう付け部材(絶縁基板105)のろう付け位置を当初の位置に保持することが困難であった。
この問題を解消したろう付け用冶具が特許文献2に開示されている。図7は、特許文献2に記載されたろう付け用冶具を示しており、このろう付け用治具201は、互いに対向して配設され、ろう付け対象物104とろう付け部材105とを重ね合わせた状態で同時に挟持する上板部材121と下板部材122とを有し、上板部材121には、任意の方向に転動可能な転動体130を備えた加圧装置103が設けられ、ろう付け対象物105を下板部材122の載置面上に載置するとともに、ろう付け部材105をろう付け対象物104に載置し、その状態で前記転動体130をろう付け部材105に当接させ、上板部材121と下板部材122とによるろう付け対象物104およびろう付け部材105の挟持を行うものである。
図7に示す上記のろう付け用治具201によれば、ろう付け用治具201とろう付け対象物104との線膨張差によって、ろう付け部材105の上面における押圧用冶具103の球体130に当接する位置が徐々に移動することとなっても、ろう付け部材105の移動に伴って球体130が転動することで、押圧用冶具103の下方に向かう押圧力によって、押圧用冶具103に対するろう付け部材105の相対位置が強固に保持されることはなく、ろう付け対象物104に対するろう付け部材105のろう付け位置について、位置ズレが発生するのを回避することができる。
特許文献2に記載されるろう付け用冶具は、ろう付け対象物104にろう付け部材105を加圧状態で位置決めするための押圧用冶具103は先端に球体130を備えており、加熱時および冷却時に、該転動自在な球体130がろう付け部材105に接した状態で、押圧用冶具103に対してろう付け部材105が相対的に移動するのを可能としている。それにより、ろう付け用治具201とろう付け対象物104との線膨張差の影響による、ろう付け部材105の位置ズレを防止することが可能となり、ろう付け対象物104におけるろう付け部材105のろう付け位置を、所定の位置に維持することができる。
しかし、押圧用冶具103の先端に取り付けた球体130がろう付け部材105に接していることは、押圧用冶具103はろう付け部材105に点接触していることとなり、加圧状態によっては、あるいはろう付け部材105の材質によっては、押圧用冶具103(の先端の球体130)に接した状態でろう付け部材105が相対的に移動するときに、ろう付け部材105の表面に僅かではあるが打痕あるいは線痕が付いてしまう場合がある。
ろう付け部材105が例えばパワーデバイス用冷却器を構成するパワーデバイス用基板(DBA基板)の場合、絶縁性のセラミックス基板の一方の面に形成されるアルミ層はパワーデバイスが実装される回路層となるので、このような打痕や線痕は不良品の原因となる恐れがあり、極力回避しなければならず、ろう付け用冶具の使用には慎重な操作を必要としている。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ろう付け用冶具において、ろう付け対象物に対するろう付け部材の所期位置からの位置ズレを生じさせないとともに、さらに、ろう付け部材の表面に押圧用冶具による打痕や線痕が形成されるのも効果的に回避することのできるより改良されたろう付け用冶具を提供することを課題とする。
本発明によるろう付け用冶具は、互いに対向して配置され、ろう付け対象物とろう付け部材とを重ねた状態で同時に挟持する上板部材と下板部材とを有したろう付け用冶具であって、上板部材には、ろう付け部材をろう付け対象物に向けて押し付けるための面状の押圧面を持つ押圧用冶具が押圧方向に対して垂直方向に可動できるようにして取り付けられていることを特徴とする。
本発明によるろう付け用冶具では、加熱時および冷却時に、面状の押圧面を持つ押圧用冶具がろう付け部材に押圧された状態で、押圧用冶具が押圧方向に対して垂直方向(ろう付け部材の面方向)に移動するのを可能としている。それにより、ろう付け用治具とろう付け対象物との線膨張差の影響による、ろう付け部材の位置ズレを防止することが可能となり、ろう付け対象物におけるろう付け部材のろう付け位置を、所定の位置に維持することができる。さらに、ろう付け部材と押圧用冶具との間には相対移動が生じないので、加熱時および冷却時、特に冷却時に、ろう付け部材の表面に押圧用冶具による打痕や線痕が形成されるのも回避することができる。
本発明によるろう付け用冶具の好ましい態様では、前記面状の押圧面はその外周縁が円もしくは楕円のように角部のない形状であることを特徴とする。さらに好ましくは、前記面状の押圧面の外周縁には面取り加工がなされていることを特徴とする。これらの態様では、押圧用冶具による押圧時に、ろう付け部材の表面に押圧用冶具の押圧面の痕跡が付くのを一層確実に回避することができる。
本発明によるろう付け用冶具を用いることにより、ろう付け部材がろう付け対象物の所定位置に位置ズレのない状態でろう付けされており、かつろう付けされたろう付け部材の表面に押圧用冶具による打痕や線痕が形成されることのないろう付け部品を、従来のろう付け用冶具を用いる場合より高い確立で製造することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態を説明する。
[ろう付け用治具の構造の説明]
基本的構造として、本発明によるろう付け用治具1は、枠体10と加圧装置20と加圧用冶具30とを備える。ろう付け用治具1を用いてろう付けされる部材は任意であるが、一例として、ろう付け対象物40がパワーデバイス用冷却器の天板であり、ろう付け部材50が該天板にろう付けするパワーデバイス用基板(DBA基板)を挙げることができる。通常、パワーデバイス用冷却器の天板にはアルミニウム合金が用いられ、ろう付け用治具1を構成する枠体10にはカーボン材が用いられる。また、ろう付け部材50であるDBA基板は、セラミックスからなる絶縁基板と、その両面に積層したアルミ層とで構成される。
[ろう付け用治具の構造の説明]
基本的構造として、本発明によるろう付け用治具1は、枠体10と加圧装置20と加圧用冶具30とを備える。ろう付け用治具1を用いてろう付けされる部材は任意であるが、一例として、ろう付け対象物40がパワーデバイス用冷却器の天板であり、ろう付け部材50が該天板にろう付けするパワーデバイス用基板(DBA基板)を挙げることができる。通常、パワーデバイス用冷却器の天板にはアルミニウム合金が用いられ、ろう付け用治具1を構成する枠体10にはカーボン材が用いられる。また、ろう付け部材50であるDBA基板は、セラミックスからなる絶縁基板と、その両面に積層したアルミ層とで構成される。
図1に示すように、カーボン材からなる枠体10は、上冶具として機能する上板部材11と、下冶具として機能する下板部材12とを備える。上板部材11は貫通孔13を有し、該貫通孔13に前記下板部材12に立設した支柱14を挿通した状態で、上板部材11は下板部材12に上下動できるようにして取り付けられている。支柱14の上端には前記加圧装置20を保持するための保持板15が取り付けられている。
加圧装置20は、前記下板部材12上に配置されたろう付け対象物40とろう付け部材50の積層体Aを下板部材12側に向けて押圧できるものであれば任意のものであってよく、広い押圧面を持つ面状の加圧装置であってもよいが、この例では、前記保持板15の適所に固定された加圧手段21と該加圧手段21によって押し出される加圧ロッド22とを備える。そして、図示の例では、加圧ロッド22の下端面、すなわち押圧時に前記積層体Aに衝接する面には、球体23が自由に回動できる状態で取り付けられている。加圧ロッド22の下端面それ自体が球面状をなす形状であってもよい。
パワーデバイス用冷却器の天板であるろう付け対象物40は、下板部材12を下冶具としてその上面に配置される。ろう付け対象物40の上面には、DBA基板である適数のろう付け部材50が予め設定された位置に設置され、両者の界面に配置されたろう材60によってろう付けされる。図示の例では、ろう付け対象物40の上面の2箇所にろう付け部材50をろう付けするようにしており、前記保持板15の前記2箇所のろう付け位置に対応する箇所に、前記加圧装置20が取り付けられている。
本発明によるろう付け用治具1では、ろう付けに際して、前記上冶具として機能する上板部材11に、前記した加圧用冶具30が装着される。加圧用冶具30はカーボン材のような耐熱性材料で作られており、限定されないが、この例では、図3に示すように、平面視で直方体形状をなしている。加圧用冶具30の上面側31は平坦面であるが、下面側は中央部が凹陥領域32とされ、該凹陥領域32の中央部には円筒状の押圧部33が形成されている。該押圧部33の先端面は平面状の押圧面34とされており、該押圧面34の外周縁部分には面取り加工35が施されている。また、加圧用冶具30の長手方向両端における下面側には、上面側に向けて所定深さの切り欠き部36が形成されている。後記するように、前記押圧部33の先端面である平面状の押圧面34が、ろう付け時に、ろう付け部材50に接触して、ろう付け部材50をろう付け対象物40に圧接する。
図2に示すように、前記した上冶具として機能する上板部材11における、下板部材12上に配置された前記積層体Aのろう付け部材50が位置することとなる箇所には、上記した加圧用冶具30を着脱自在に装着するための開口部16,16が形成されている。開口部16の平面視形状は、加圧用冶具30の平面視形状と相似する形状(この例示は長方形)であり、図4に示すように、その寸法は、加圧用冶具30よりも2mm〜5mm程度大きくされている。開口部16の長手方向の端部、すなわち短辺側には、突片17が形成されており、前記加圧用冶具30は、そこに形成された切り欠き部36内に前記突片17を入り込ませた姿勢で、開口部16内に着脱自在に保持されている。
図4に示すように、平面視での切り欠き部36の大きさは、加圧用冶具30を上板部材11の前記開口部16内の中央部に配置した状態で、前記突片17との間に幅方向および奥行き方向の双方において所要の隙間が形成される大きさとされている。したがって、加圧用冶具30は、上板部材11の前記開口部16内に取り付けられた状態で、面方向の任意の方向に移動することができる。この例において、切り欠き部36の奥行き端面37と突片17の先端面18との間の隙間が最も狭く、2mm〜3mm程度のされており、加圧用冶具30は上板部材11の前記開口部16内に取り付けられた状態で、長手方向には最大で2mm〜3mm程度移動することができ、幅方向にもほぼ同じ距離あるいはそれ以上の距離で移動することができる。なお、この隙間の大きさは、ろう付け用冶具1を構成する材料と前記積層体Aを構成する材料の種類による線膨張率の差、ろう付けするときの温度などを勘案して、適宜設定すればよい。
[ろう付け用治具を用いてろう付けを行う手順の説明]
次に、図1を参照して、ろう付けを行う手順の一例を説明する。最初に、下冶具として機能する下板部材12の所定の載置面に、パワーデバイス用冷却器の天板であるろう付け対象物40を載置する。その際に、上冶具として機能する上板部材11と加圧ロッド22は適宜の手段により上昇した位置としておく。ろう付け対象物40の上面におけるDBA基板であるろう付け部材50をろう付けすべき場所に、ろう材60を配置する。ろう材の例としては、Al−Si系材料などが挙げられる。配置したろう材60の上に、ろう付け部材50を置くことにより、ろう付け対象物40とろう付け部材50の積層体Aが形成される。
次に、図1を参照して、ろう付けを行う手順の一例を説明する。最初に、下冶具として機能する下板部材12の所定の載置面に、パワーデバイス用冷却器の天板であるろう付け対象物40を載置する。その際に、上冶具として機能する上板部材11と加圧ロッド22は適宜の手段により上昇した位置としておく。ろう付け対象物40の上面におけるDBA基板であるろう付け部材50をろう付けすべき場所に、ろう材60を配置する。ろう材の例としては、Al−Si系材料などが挙げられる。配置したろう材60の上に、ろう付け部材50を置くことにより、ろう付け対象物40とろう付け部材50の積層体Aが形成される。
次に、前記積層体Aの上に上板部材11を載せ、上板部材11のそれぞれの開口部16内の中央部に加圧用冶具30を取り付ける。それにより、互いに対向して配置された上板部材11と下板部材12とによって、ろう付け対象物40とろう付け部材50とを重ねた状態の積層体Aが挟持された状態となる。
その状態で、加圧装置20を操作して加圧ロッド22を下降させ、その下端面に取り付けた球体23を、所定圧で、ろう付け部材50の上面に配置した上板部材11に取り付けた加圧用冶具30の上面中央部に圧接して、積層体Aの安定化を図る。加圧用冶具30の重さだけで十分な安定性が確保されている場合には、加圧装置20による加圧は不要であり、省略してもよい。
次に、上板部材11の上面と下板部材12の下面にヒータ(不図示)を配設し、ろう材60の融点温度以上の温度、例えば約600℃で加熱する。それにより、積層体Aおよび上板部材11と下板部材12は加熱されるとともに、ろう材60も溶融する。加熱により、冶具として機能している上板部材11と下板部材12は線膨張し、積層体Aも線膨張する。そして、材料の持つ線膨張率の違いから、面方向の膨張量に違いが生じる。
ろう材60が十分に溶融した後、ヒータを除去し、上板部材11に取り付けた個々の加圧用冶具30に、加圧装置20の加圧ロッド22を下降させることによって、所要圧(例えば、2MPa程度)を加える。それにより、積層体Aは所要圧に加圧される。加圧と平行して、上板部材11と下板部材12の双方またはいずれか一方に冷却板(不図示)を接触させて、上板部材11と下板部材12および積層体Aを冷却する。
その冷却により、上板部材11と下板部材12(すなわち、ろう付け用治具1)と、ろう付け対象物40とろう付け部材50の積層体Aとは、ともに冷却する。冷却により、それぞれ収縮するが、材料の持つ線膨張率の違いから、面方向の収縮量に違いが生じる。本発明によるろう付け用治具1では、上冶具である上板部材11内でそれぞれの加圧用冶具30は面方向、すなわち、押圧用冶具30に対する加圧装置20による押圧方向に対して垂直方向の任意の方向に移動できるようになっているために、ろう付け部材50と加圧用冶具30との間に相対移動が生じさせることなく、前記面方向の収縮量に違いを、加圧用冶具30は面方向の移動によって吸収することが可能となる。それにより、従来のろう付け用治具のように、ろう付け部材50の表面を加圧装置20の加圧面が相対移動することによってろう付け部材50の表面に痕が付くのをなくすことができる。また、ろう付け対象物40に対するろう付け部材50の位置ずれも回避することができる。
また、図示のものでは、加圧装置20の加圧ロッド22の下端には自由回転できる球体23が装着されており、加圧用冶具30の面方向の移動が阻害されることもない。球体23に変えて、加圧ロッド22の先端を丸みをおびた形状とすることによっても、加圧用冶具30の面方向の移動は確保される。
なお、図示の例では、加圧用冶具30に設けた押圧部33を円筒状とし、かつその先端面を平面状の押圧面34とするとともに、該押圧面34の外周縁部分には面取り加工35を施したことで、冷却時に、加圧用冶具30に設けた押圧部33がろう付け部材50の表面に圧接されても、表面に押圧部33の痕跡が付くのも効果的に回避することができる。
また、図示の例では、加圧用冶具30に設けた押圧部33の押圧面の大きさを、ろう付け部材50の全表面積を押圧できる面積ではなく、部分的に押圧できる面積としたが、ろう付け部材50の全表面積を押圧できる広さとしてもよい。ただし、加圧装置20の能力によっては、ろう付け部材50の全表面積を押圧できる広さとした場合、単位面積あたりの押圧力(面圧)が十分でなくなり、ろう付け面にボイドが生じることが起こる。そのような場合には、図示のもののように、ボイドを生じさせないだけの面圧が得られるだけの押圧面積とすることが求められる。
その際に、ろう付け部材50の表面に加圧用冶具30に設けた押圧部33が接していない領域には、空気層が形成されることとなり、伝熱性が低下する恐れがある。それにより、ろう付け部材50の加圧用冶具30に接している部分と接していない部分とで温度差が生じる。それを回避するために、押圧部33の高さをできるだけ低くして、前記空気層の厚みを小さくすることが望まれる。本発明者らの実験では、形成される空気層の厚みが3mm程度であれば、有意な温度差が生じるのを回避することができた。
[本発明者らが行った実験例の説明]
図1に示した本発明によるろう付け用治具1と、比較例として、図1に示した本発明によるろう付け用治具1から上冶具として機能する上板部材11および加圧用冶具30を取り外し、加圧装置20の加圧ロッド22の下端に取り付けた球体23によって直接ろう付け部材50を加圧するようにした装置とを用い、それ以外はすべて同じ条件でろう付け部材を製造する実験を行ったところ、本発明によるろう付け用治具1を用いた場合には、ろう付け部材50に視認できる打痕および線痕が付いたものは皆無であったが、比較例の装置の場合には、視認できる打痕および線痕が形成された不良品が約2.6%検出された。
図1に示した本発明によるろう付け用治具1と、比較例として、図1に示した本発明によるろう付け用治具1から上冶具として機能する上板部材11および加圧用冶具30を取り外し、加圧装置20の加圧ロッド22の下端に取り付けた球体23によって直接ろう付け部材50を加圧するようにした装置とを用い、それ以外はすべて同じ条件でろう付け部材を製造する実験を行ったところ、本発明によるろう付け用治具1を用いた場合には、ろう付け部材50に視認できる打痕および線痕が付いたものは皆無であったが、比較例の装置の場合には、視認できる打痕および線痕が形成された不良品が約2.6%検出された。
A…ろう付け対象物とろう付け部材の積層体、
1…ろう付け用治具、
10…枠体、
11…上冶具として機能する上板部材、
12…下冶具として機能する下板部材、
13…上板部材の貫通孔、
14…支柱、
16…上板部材に形成された開口部、
17…開口部に形成された突片、
15…加圧装置を保持するための保持板、
20…加圧装置、
21…加圧手段、
22…加圧ロッド、
23…球体、
30…加圧用冶具、
31…加圧用冶具の上面側、
32…下面側の中央部に形成された凹陥領域、
33…凹陥領域の中央部に形成された円筒状の押圧部、
34…平面状の押圧面、
35…面取り加工部、
36…切り欠き部、
40…ろう付け対象物(パワーデバイス用冷却器の天板)、
50…ろう付け部材(パワーデバイス用基板(DBA基板))、
60…ろう材。
1…ろう付け用治具、
10…枠体、
11…上冶具として機能する上板部材、
12…下冶具として機能する下板部材、
13…上板部材の貫通孔、
14…支柱、
16…上板部材に形成された開口部、
17…開口部に形成された突片、
15…加圧装置を保持するための保持板、
20…加圧装置、
21…加圧手段、
22…加圧ロッド、
23…球体、
30…加圧用冶具、
31…加圧用冶具の上面側、
32…下面側の中央部に形成された凹陥領域、
33…凹陥領域の中央部に形成された円筒状の押圧部、
34…平面状の押圧面、
35…面取り加工部、
36…切り欠き部、
40…ろう付け対象物(パワーデバイス用冷却器の天板)、
50…ろう付け部材(パワーデバイス用基板(DBA基板))、
60…ろう材。
Claims (3)
- 互いに対向して配置され、ろう付け対象物とろう付け部材とを重ねた状態で同時に挟持する上板部材と下板部材とを有したろう付け用冶具であって、
上板部材には、ろう付け部材をろう付け対象物に向けて押し付けるための面状の押圧面を持つ押圧用冶具が押圧方向に対して垂直方向に可動できるようにして取り付けられていることを特徴とするろう付け用冶具。 - 前記面状の押圧面はその外周縁が円もしくは楕円のように角部のない形状であることを特徴とする請求項1に記載のろう付け用冶具。
- 前記面状の押圧面の外周縁には面取り加工がなされていることを特徴とする請求項1または2に記載のろう付け用冶具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012144023A JP2014004622A (ja) | 2012-06-27 | 2012-06-27 | ろう付け用冶具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012144023A JP2014004622A (ja) | 2012-06-27 | 2012-06-27 | ろう付け用冶具 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113787241A (zh) * | 2021-08-25 | 2021-12-14 | 北京无线电测量研究所 | 一种用于微带器件的焊接工装及基于该焊接工装的焊接方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02263774A (ja) * | 1989-04-04 | 1990-10-26 | Nippon Steel Corp | セラミックスと金属の接合方法 |
JP2002361410A (ja) * | 2001-05-31 | 2002-12-18 | Toyota Motor Corp | リフローはんだ付け用冶具 |
JP2004017061A (ja) * | 2002-06-13 | 2004-01-22 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 拘束治具及びその拘束治具を用いたろう付方法 |
-
2012
- 2012-06-27 JP JP2012144023A patent/JP2014004622A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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