JP2004017061A - 拘束治具及びその拘束治具を用いたろう付方法 - Google Patents

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Yoshimi Kamito
上戸 好美
Toshihide Igari
猪狩 敏秀
Fumiko Kawashima
川島 扶美子
Ryoji Kishikawa
岸川 良治
Yorimasa Mizogami
溝上 頼賢
Masabumi Kuwabara
桑原 正文
Kiichi Tokunaga
徳永 貴一
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Abstract

【課題】簡易かつ低コストで部材間を均一に拘束する拘束治具及びその拘束治具を用いたろう付方法を提供する。
【解決手段】門型架台2とワーク3との間に配設された加圧タンク1の下面側のワーク3との接触面1aを扁平とし、予めワーク3の部材間の隙間の変位可能な変位量Hだけ凹ませて成形しておき、ワーク3の部材間の隙間の変位とともに凹ませた接触面1aを、所定の圧力の不活性ガスを導入することにより押付けるようにする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、部材間を拘束する拘束治具及びその拘束治具を用いたろう付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ろう付は母材より低い融点の金属又は合金からなるろうを溶融させ、溶融させたろうを母材間の隙間等に満たして接合する方法である。
【0003】
例えば、母材間の接合部分にろうを挟み込み、バーナー等の加熱方法により接合部分を加熱して、ろうを溶融することでろう付を行う。この時、母材間の接合部分のろう切れ(接合部分の母材同士がろうを介して接合できていない状態)を防止するために、母材同士を押付けて互いに動かないように拘束することで、適切な隙間を形成してろう付を行う。つまり、ろう付時には、母材間を動かないように拘束して行うことが重要である。なお、ろう付は、母材表面の酸化を防止するため、還元性雰囲気、不活性雰囲気、又は真空中で行われることが多い。
【0004】
ろう付の利点として、他の溶接方法が適用し難い材料や複雑で精密な部品の接合ができること、異種金属の溶接が容易で、かつ、母材をほとんど溶融しないこと等が有り、そのため、フィン及びプレートを何層も積層したプレートフィン型熱交換器等の接合にも従来から使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
プレートフィン型熱交換器を構成するプレートとフィンとの間をろう付にて接合する場合、常圧ろう付技術により、ポイントだけを押え込むくさび型の拘束治具を用いてプレートとフィンとの間を密着させて接合する。この場合、プレートとフィンとの間の拘束力は局所的であり、全接合部分に均一に働くものではない。そのため、接合率(全接合点に対して接合良点の割合)は必ずしも高いものではなかった。
【0006】
特に、分割して作製できない場合がある大型(面積の広い)のプレートフィン型熱交換機の場合、接合する面の中心部分におけるプレートとフィンとの間の拘束力が不十分となり、高温加熱中にろう付の隙間の不均一変形が防止できない。そのため、ろう切れ欠陥が発生し、接合率が低くなり、ろう付の品質が不十分となる。従って、大型の熱交換器等をろう付する場合でも、全接合点を均一に拘束して、高品質にろう付できる技術、つまり、対象物に対する一種の重しとして対象物に押付けて、対象物を構成する部材同士が動かないように、全接合点を均一に拘束する拘束治具の開発が望まれている。
【0007】
拘束技術の一つとして、板バネ、ベローズ等を用いたバネ式の多点拘束治具がある。この技術でも、大型(大面積)熱交換器等の構成部材の接合部分を均一に押え付けることが難しく、又、プレート及びフィンの積層段数が増えた場合、ろうの溶融後の積層高さの変化に対して、拘束治具の変形量に限界(10mm以下)があるため、ろう付の品質が管理できないという問題がある。
【0008】
又、他の拘束技術として、油圧作動のシリンダを用いて、高温下で上方より加圧することで、構成部材の接合部分を拘束してろう付を行うホットプレス(Hot Press)式がある。しかしながら、この技術は、装置が特殊で高価であり、生産コストが高いものであること、加圧対象物の大きさの制約があり、汎用性がないこと、低圧力での加圧の調整ができないなどの問題がある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、簡易かつ低コストで部材間を均一に拘束する拘束治具及びその拘束治具を用いたろう付方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係る拘束治具は、固定部材と複数の被加圧部材との間に配設された加圧タンクに、所定の圧力の気体を導入することにより、前記加圧タンクを前記被加圧部材に押付けるようにしたことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する本発明に係る拘束治具は、前記加圧タンクの下面側の前記被加圧部材との接触面を、予め前記被加圧部材間の隙間の変位可能な変位量だけ凹ませて成形し、前記被加圧部材間の隙間の変位とともに前記凹ませた接触面を押し出すようにしたことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する本発明に係る拘束治具は、前記加圧タンクを複数とすることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する本発明に係る拘束治具は、前記接触面を扁平としたことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する本発明に係る拘束治具は、前記接触面を、前記被加圧部材間の面圧分布が均一になるような形状としたことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する本発明に係る拘束治具は、前記接触面を、前記被加圧部材間の面圧分布が、その中央部分において大きくなるような形状としたことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する本発明に係る拘束治具は、前記気体を不活性ガスとすることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する本発明に係るろう付方法は、請求項1乃至請求項7のいずれかの拘束治具を用いて前記被加圧部材間を拘束することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る実施形態の一例を示す拘束治具の図であり、(a)は拘束治具の斜視図、(b)はワークとなるプレートフィン型熱交換器の細部の拡大図である。
【0019】
図1に示すように、本実施例に係る拘束治具は、固定部材となる門型形状の門型架台2と、門型架台2と複数の被加圧部材からなるワーク3との間に配設された加圧タンク1を有している。加圧タンク1は、具体的には、下面側の被加圧部材との接触面1aが扁平な形状を有しており、門型架台2により、その内面上部に、上方から支持されている。ワーク3は加圧タンク1の下面側と門型架台2を構成する平板状の底板2aとに挟み込まれるように設置されている。
【0020】
加圧タンク1は、その内部へ所定の圧力の気体が導入され、その内部を加圧できるように構成されている。そのため、加圧タンク1には図示していない配管が接続されており、その配管を通して気体が外部から供給される。又、導入する気体の圧力が過大となり加圧タンク1が膨出(バースト)しないように管理されている。加圧タンク1に所定の圧力を有する気体を導入することで、加圧タンク1の下面側のワーク3との接触面1aを用いて、ワーク3を上方より押付けることができる。なお、加圧タンク1は高温化で加圧されることを考慮して、融点の高い金属で構成されており、それ自体の酸化を避けるため、導入される気体として、例えば、Ar等の不活性ガスを使用している。
【0021】
門型架台2とその底部を構成する底板2aは堅牢に構成されており、加圧タンク1が所定の圧力の気体の導入により加圧され、ワーク3を上方より押付けている時にも、門型架台2及び底板2aは変形することなく加圧タンク1及びワーク3を支持することができる。
【0022】
加圧タンク1が堅牢な門型架台2の内面上部に支持されているため、加圧タンク1の内部に所定の圧力を有する気体を導入すると、加圧タンク1内部の圧力が、加圧タンク1の接触面1aを介して、ワーク3の上面に均一に働くこととなる。つまり、ワーク3は、扁平な形状の接触面1aと平板状の底板2aにより平行に挟まれ、均一に押付けられる。
【0023】
ろう付を行う場合、加圧対象物となるワーク3としては、複数の部材から構成されるものが考えられ、例えば、多数のプレートとフィンにより構成されるプレートフィン型の熱交換器が該当する。具体的には、上記拘束治具は大型の真空炉の中に設置されており、炉の温度を上げることによりワーク3を構成する部材間、例えば、熱交換器を構成するプレートとフィンの間に設けたろうを溶融してろう付を行う。
【0024】
この時、ろうが溶融するにしたがい溶融したろうの厚さ分、ワーク3の高さが減少する。そのため、上記拘束治具では、ワーク3上面側の加圧タンク1をAr等の不活性ガスを導入して加圧して、加圧タンク1の接触面1aをワーク3側へ常に押付けることで、接合不良を防いで高品質のろう付ができるようにしている。
【0025】
本実施例においては、ワーク3の上面を均一に押付けられるように、加圧タンク1のワーク3との接触面1aは扁平な形状に形成されており、更に、ろうの溶融後のワーク3の高さの変位量Hだけ、最初から加圧タンク1の内側に凹んだ形状としている。したがって、加圧タンク1の接触面1aは、ろうの溶融後加圧タンク1内部の圧力により下面側に押し出され、(図1(a)中に示した点線の接触面1b参照)、その側面の断面形状が略楕円状となる。この接触面1aの変化を、図1(b)を用いて詳述する。
【0026】
図1(b)は、ワークとなるプレートフィン型熱交換機の細部の拡大図であり、図1(a)のA部分の拡大図である。
これは、実際は奥行き、幅のあるものであるが、わかりやすいように一部を抜き出して記載した。
【0027】
プレートフィン型熱交換器は、多数の波状のフィン4a及び平板状のプレート4bを積層したものであり、多いものになると数百層も積層したものがある。このような構造の熱交換器を作製する場合、一般的には積層したフィン4a、プレート4b間にシート状又はペースト状のNiろう等を挿入し、炉中で加熱してろうを溶かして互いを接合している。
【0028】
プレートフィン型熱交換器のろう付の場合、全接合部分を均一に押付けるとともに、フィン4aとプレート4bの接合部分の隙間を所定値(例えば、0.1mm)以下に管理しながらろう付を行うことが、ろう切れを防止し、高品質のろう付とする点で大切である。本実施例の場合、加圧タンク1のワーク3との接触面1aは、予め、ろうの溶融に伴う最大収縮高さ、即ち、ワーク3の変位可能な変形量H分内側へプレス成形等により凹ませて成形されており、その状態を初期状態として、ワーク3を設置する。変位量H(最大収縮高さ)は、例えば、ろうの厚さを0.1mmとし、その積層数をN段とした場合、変位量H=0.1×Nmm内側に凹みを形成する(図1(a)における接触面1a参照)。
【0029】
ろうの溶融とともに、ワーク3の高さが減少していく。この時、ワーク3を構成する部材、つまり、熱交換器を構成するフィン4a、プレート4bの接合部分に、その拘束力となる力が働いていないと、熱応力、部材自体の応力等により、各接合部分が不均一に変形することとなり、フィン4aとプレート4bの接合部分の隙間を所定値以下に管理することが難しくなり、ろう切れ等の問題が発生することとなる。そのため、本実施例では、ワーク3の高さの減少とともに、加圧タンク1の内部の圧力により、扁平な接触面1aを介して、ワーク3上面を常に均一に押付けるようにし、熱交換器を構成するフィン4a、プレート4bの接合部分に、均一に拘束力を働かせて、各接合部分が不均一に変形することを防いでいる。そのため、フィン4aとプレート4bの接合部分の隙間を所定値以下に管理することができ、ろう切れ等の問題を防止できる。ろうの溶融後には、加圧タンク1の接触面1aは、加圧タンク1内部の圧力により下面側に変位量H押し出される(図1(a)中に示した点線の接触面1b参照)形状となる。
【0030】
一般的に、ろう付の接合部分の隙間が狭いほどろう付の接合強度が向上するため、接合部分の隙間を管理しながらろう付できることは、ろう付の接合率の向上のみならず、接合部の強度の向上にも寄与する。特に、高温ガス炉ヘリウムタービン発電システム等で用いられる再生熱交換機では、低温高圧、高温低圧、高温高圧の流体が内部を流れるため、流体の圧力のみならず、異なる温度を有する流体による熱応力も働くため、ろう付の品質、つまり接合強度が、熱交換器の構造上の耐圧強度等の向上に関連し、非常に重要な要素となる。
【0031】
図2は本発明に係る実施形態の一例を示す加圧タンクの図であり、(a)は接触面成形前の加圧タンクの断面図、(b)は(a)のB−B’矢視断面図、(c)は接触面成形後の加圧タンクの断面図である。
【0032】
図2(a)に示すように、加圧タンク1の凹んだ接触面1aの成型方法としては、予め接触面1bを有する形状、即ち、ワークの溶融後の高さに合うような略楕円状の断面形状の加圧タンク1を作製する。その長手方向の断面(図2(a)のB−B’矢視断面)の形状は、図2(b)に示すように矩形状となっており、加圧タンク1は、その側面を形成する側板1cを有している。一方の側板1cには供給口1dが設けられ、この供給口1dに接続された配管を通して、不活性ガス等が加圧タンク1内へ導入される。
【0033】
加圧タンク1は、図2(c)に示すように、その後、プレス成形等により、接触面1aを有する形状、即ち、ワークの溶融前の高さに合い、ワークの上面に相当する面が、変位量H凹んだ扁平な形状とする。上記成型方法とすることで、高温(900℃以上)、圧力数kg/cm2以下で、クリープ変形による加圧タンク1の膨出、寿命低下をクリアすることができる。なお、加圧タンク1の材質、厚さを適切に選択することで、更に、耐圧性をあげることもできる。又、ワークの設置時の設置しやすさを考慮して、加圧タンク1の下面側のワークの搬入側の形状を、ワークを設置しやすいような形状としてもよい。
【0034】
図3は本発明に係る実施形態の他の一例を示す拘束治具の斜視図である。
【0035】
図3に示すように、本実施例に係る拘束治具は、固定部材となる門型形状の門型架台2と、門型架台2と複数の被加圧部材からなるワーク3との間に配設された2つ(複数)の加圧タンク5を有している。加圧タンク5は、具体的には、図1において示した加圧タンク1を複数にしたものであり、楕円断面形状を有し、門型架台2により、その内面上部に、上方より支持されている。しかしながら、加圧タンクを複数としたことにより、加圧タンク5の下面側に配設され、下面側の被加圧部材との接触面が扁平なるようにした押圧板6とを備えた。ワーク3は、加圧タンク5の下面側の押圧板6と門型架台2を構成する平板状の底板2aに挟み込まれるように設置されている。
【0036】
加圧タンク5は、図1に示した加圧タンク1同様に、その内部へ所定の圧力の気体が導入され、加圧できるように構成されている。加圧タンク5には、図示していない配管を通して気体が外部から供給される。加圧タンク5が膨出しないように、導入する気体の圧力は管理されている。加圧タンク5に所定の圧力を有する気体を導入することで、加圧タンク5が変形し、下面側の押圧板6を用いて、上方よりワーク3に押付けることができる。又、加圧タンク5が2つ設けられているため、Ar等の不活性ガスの導入量に対する一つのタンク当たりの体積が小さいため、ワーク3の高さの変化に伴う応答が早くなる。なお、加圧タンク5の数は2つに限るものでなく、加圧タンクの変形量が確保できれば、増やしてもよい。
【0037】
門型架台2とその底部を構成する底板2aも、図1に示したものと同様に、堅牢に構成されており、加圧タンク5の加圧時にも変形しないようになっている。
【0038】
本実施例においては、複数の加圧タンク5を用いても、ワーク3の上面を均一に押付けられるように、加圧タンク5とワーク3との間には、ワーク3との接触面となる扁平な形状の押圧板6が設けられている。したがって、ワーク3は、扁平な接触面を有する押圧板6と平板状の底板2aにより平行に挟まれて、均一に押付けられることとなる。
【0039】
ワーク3の高さが変化する前(ワーク3を構成する部材間のろうの溶融前)の状態では、加圧タンク5の断面形状がつぶれた円、即ち楕円状になっており、加圧タンク5の内部に導入された気体の圧力により、押圧板6を介して、ワーク3上面に均一な力が働いている。
【0040】
ろうの溶融等によるワーク3の高さの減少に伴って、加圧タンク5の内圧により、加圧タンク5の断面形状が真円へ変形していき、それにより押圧板6が下側へ押し出されることで、押圧板6がワーク3側へ常に押付けられることとなる。上記拘束治具を用いてろう付を行う場合、加圧タンク5に接する扁平な押圧板6を、ワーク3側へ常に均一に押付けることで、ワーク3を構成する部材間を均一に拘束して、接合不良を防ぎ、高品質のろう付ができるようにしている。
【0041】
本発明は、加圧タンクを設け、加圧タンク内部に導入した気体の圧力を用いて加圧対象物に加圧タンクを均一に押し付けることで、加圧対象物を構成する部材間を均一に拘束することが特徴である。そのため、図1及び図3において示した拘束治具を用いれば、高温(1000℃以上)のろう付装置において、加圧対象物となるワークの部材間を均一に拘束することができ、部材間の接合面に設けたろうを、ろう切れすることなく溶融することができ、高品質に接合することができる。又、Ar等の不活性ガスによる加圧タンクを用いた簡単な構造であるため、簡易かつ低コストで上記拘束治具を提供することができる。
【0042】
なお、上記実施例では、加圧タンクのワークとの接触面を扁平にすることで、ワーク上面を均一に押付け、部材間の接合部分の拘束力を均一にするようにした。しかしながら、加圧タンクの接触面を扁平としても、部材間の横ずれ等により、上面から働く力が横方向に逃げて、部材間の接合部分を均一に拘束することができない場合や放射熱による加熱によりワーク内部に不均一な温度分布が発生し、その不均一な温度分布により、部材間の接合部分に不均一な面圧分布が存在する場合ある。その場合、その面圧分布を均一にするように加圧タンクの接触面の形状を変更してもよい。例えば、扁平な接触面の中央部の面圧が高いような同心円の分布を有する場合、その面圧分布に相似し、中央部に凹みを有する形状の接触面とすることで、ワーク上面を均一に押付けるようにしてもよい。
【0043】
又、ワーク上面の中央部を積極的に押付けたい場合、逆に中央部に凸部を有する形状の接触面とすることで、ワーク上面を押付けるようにしてもよい。この場合、接合率の低くなりやすいワーク中央部を積極的に押付けることで、ワーク中央部の接合率を向上させることが可能となる。
【0044】
いずれの接触面の場合でも、高温時のクリープ変形による膨出を避けるため、加圧タンクの成型方法としては、加圧タンクの最終的な形状(例えば、ワーク中の部材間のろうが完全に溶融し、ワークの高さが最も低くなった時)を成形し、その後プレス成形等により、初期状態の形状(例えば、ワーク中の部材間のろうを溶融する前であり、ワークの高さが最も高い時)を成形するのがよい。
【0045】
なお、本発明における架台及び加圧タンクの形状は、実施例の図において示したものに限定するものではなく、本発明の範囲において適宜に変更できる。又、本発明は大型の熱交換器の真空ろう付やコジェネレーション用電池積層スタック等の大型製品の熱処理時の加圧拘束に好適であるが、対象として大型製品、熱交換器等に限定するものではない。更に、本発明はろう付のみに用いるものではなく、対象物を加圧拘束する必要があれば他の用途に用いてもよい。
【0046】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、拘束治具が、固定部材と複数の被加圧部材との間に配設された加圧タンクに、所定の圧力の気体を導入することにより、前記加圧タンクを前記被加圧部材に押付けるようにしたので、加圧式のタンクを用いて、対象物に押付けて、その構成部材を動かないように拘束することができ、又、他の技術と比較して簡易な構造で、かつ、低コストで提供することができる。
【0047】
請求項2に係る発明によれば、前記加圧タンクの下面側の前記被加圧部材との接触面を、予め前記被加圧部材間の隙間の変位可能な変位量だけ凹ませて成形し、前記被加圧部材間の隙間の変位とともに前記凹ませた接触面を押し出すようにしたので、対象物の厚さの変化に追従するように、対象物の上面を一定の力で押付けるができる。
【0048】
請求項3に係る発明によれば、前記加圧タンクを複数とするので、導入された気体に対する一つ当たりの加圧タンクの体積が小さいため、対象物の厚さの変化への追従が早くなる。
【0049】
請求項4に係る発明によれば、前記接触面を扁平としたので、対象物の上面を均一に押付けることができる。
【0050】
請求項5に係る発明によれば、前記接触面を、前記被加圧部材間の面圧分布が均一になるような形状としたので、対象物を構成する部材間の面圧分布が不均一な場合でも、接触面の形状を合わせることで、面圧分布が均一になり、部材間の接合部分の隙間を所定値以下に管理することができる。
【0051】
請求項6に係る発明によれば、前記接触面を、前記被加圧部材間の面圧分布が、その中央部分において大きくなるような形状としたので、部材間の接合部分の隙間が広がりやすい対象物の中央部分において、接合部分の面圧を高くすることができ、部材間の接合部分の隙間を所定値以下に管理することができる。
【0052】
請求項7に係る発明によれば、前記気体を不活性ガスとするので、加圧タンクの酸化を防止し、加圧タンクの寿命を延ばすことができる。又、高温下で漏洩したとしても、他の物質と反応することもなく安全であり、対象物を変質することがない。
【0053】
請求項8に係る発明によれば、複数の被加圧部材間の接合面にろうを設け、前記ろうを溶融することで前記被加圧部材間を接合するろう付方法において、請求項1乃至請求項7のいずれかの拘束治具を用いて前記被加圧部材間を拘束するので、対象物を構成する部材を均一に拘束することで、簡易かつ低コストで、ろう切れの無い、高品質なろう付を行うことができる。特に、従来難しかった大型の熱交換器等のろう付の接合率を大幅に向上させることができる(接合率50%→80%以上)。接合率の向上は、熱交換効率の向上につながり、ひいては熱交換器の小型化も可能となる。又、ろう付の隙間を所定値に管理することは、ろう付の強度を強くすることができるとともに、対象物の耐圧強度も高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る実施形態の一例を示す拘束治具の図であり、(a)は拘束治具の斜視図、(b)はワークとなるプレートフィン型熱交換器の細部の拡大図である。
【図2】本発明に係る実施形態の一例を示す加圧タンクの図であり、(a)は接触面成形前の加圧タンクの断面図、(b)は(a)のB−B’矢視断面図、(c)は接触面成形後の加圧タンクの断面図である。
【図3】図3は本発明に係る実施形態の他の一例を示す拘束治具の斜視図である。
【符号の説明】
1  加圧タンク
2  門型架台
2a 底板
3  ワーク(熱交換器)
4a フィン
4b プレート
5  加圧タンク
6  押圧板

Claims (8)

  1. 固定部材と複数の被加圧部材との間に配設された加圧タンクに、所定の圧力の気体を導入することにより、前記加圧タンクを前記被加圧部材に押付けるようにしたことを特徴とする拘束治具。
  2. 請求項1記載の拘束治具において、
    前記加圧タンクの下面側の前記被加圧部材との接触面を、予め前記被加圧部材間の隙間の変位可能な変位量だけ凹ませて成形し、前記被加圧部材間の隙間の変位とともに前記凹ませた接触面を押し出すようにしたことを特徴とする拘束治具。
  3. 請求項2記載の拘束治具において、
    前記加圧タンクを複数とすることを特徴とする拘束治具。
  4. 請求項2又は請求項3記載の拘束治具において、
    前記接触面を扁平としたことを特徴とする拘束治具。
  5. 請求項2又は請求項3記載の拘束治具において、
    前記接触面を、前記被加圧部材間の面圧分布が均一になるような形状としたことを特徴とする拘束治具。
  6. 請求項2又は請求項3記載の拘束治具において、
    前記接触面を、前記被加圧部材間の面圧分布が、その中央部分において大きくなるような形状としたことを特徴とする拘束治具。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の拘束治具において、
    前記気体を不活性ガスとすることを特徴とする拘束治具。
  8. 複数の被加圧部材間の接合面にろうを設け、前記ろうを溶融することで前記被加圧部材間を接合するろう付方法において、
    請求項1乃至請求項7のいずれかの拘束治具を用いて前記被加圧部材間を拘束することを特徴とするろう付方法。
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JP2006275186A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Tohoku Univ 断熱容器及びその製造方法
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