JP2005144523A - ガス圧による拘束治具及びその拘束治具を用いたろう付け方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 拘束治具1は、上側規制板3とワーク4との間に加圧タンク14を配設し、さらにこの加圧タンク14とワーク4との間に上押さえ板11を配設し、加圧タンク14に所定圧力のガスを導入することにより、加圧タンク14が上押さえ板11を介してワーク4を押圧する。熱交換器のような積層構造体としてのワーク4は、中央部が加熱によるフィンのスプリング効果で中央部が盛り上がるような変形が生じるが、加圧タンク14によりワーク4全体を均一な圧力で押圧できるようにした。
【選択図】 図1
Description
例えば、母材間の接合部分にろうを挟み込み、バーナー等の加熱方法により接合部分を加熱して、ろうを溶融することでろう付を行う。この時、母材間の接合部分のろう切れ(接合部分の母材同士がろうを介して接合できていない状態)を防止するために、接合するべき母材同士に隙間がないように押付けてろう付を行う。つまり、ろう付時には、母材間を動かないように拘束して行うことが重要である。なお、ろう付は、母材表面の酸化を防止するため、還元性雰囲気、不活性雰囲気、又は真空中で行われることが多い。
図6は、そのプレートフィン型の熱交換器のろう付方法を示す。ワーク(熱交換)4は、プレート4bの上に台形形状の凹凸を交互に水平方向に形成したフィン4aを載置し、上下方向にプレート4bとフィン4aを交互に重ね合わせている。プレート4bとフィン4aとの接合部にはろう材を設け、それらの重合物56を天板53と基盤54との間に配設し、その両側部には側板55を配設している。そして、熱交換器を天板53と基盤54で挟み、さらに天板53と基盤54を押さえ治具で挟んで固定し、真空炉において、熱交換器を加熱してろう付を行っている。
プレートフィン型熱交換器のろう付の場合、全接合部分を均一に押付けるとともに、フィン4aとプレート4bの接合部分の隙間を所定値(例えば、0.1mm)以下に管理しながらろう付を行うことが、ろう切れを防止し、高品質のろう付とする点で大切である。
一般的に、ろう付の接合部分の隙間が所定の値に近いほどろう付の接合強度が向上するため、接合部分の隙間を管理しながらろう付できることは、ろう付の接合率の向上のみならず、接合部の強度の向上にも寄与する。特に、高温ガス炉ヘリウムタービン発電システム等で用いられる再生熱交換機では、低温高圧、高温低圧、高温高圧の流体が内部を流れるため、流体の圧力のみならず、金属の温度分布による熱応力も働くため、ろう付の品質、つまり接合強度が、熱交換器の構造上の耐圧強度等の向上に関連し、非常に重要な要素となる。
また、拘束技術の一つとして、板バネ、ベローズ等を用いたバネ式の多点拘束治具がある。この技術でも、大型(大面積)熱交換器等の構成部材の接合部分を均一に押え付けることが難しく、又、プレート及びフィンの積層段数が増えた場合、ろうの溶融後の積層高さの変化に対して、拘束治具の変形量に限界(10mm以下)があるため、ろう付けの品質が管理できないという問題がある。
上記ガス圧による拘束治具は、前記加圧タンクの押圧板に当接する面を、押圧板側に向けて突出することができる。
また、上記目的を達成するために、本発明のガス圧による拘束治具は、規制部材の下部に押さえ板を固定し、これらの規制部材と押さえ板との間にガス圧室を形成し、前記ガス圧室にガスを導入しガス圧室の体積変化を用いた押圧力により、ろう付けを行う積層構造体を前記押さえ板で押圧するようにした。
上記各発明は、前記積層構造体が複数のフィンとプレートとを交互に重ね合わせた熱交換器であって、フィンとプレートとの接合面にろう材を挟着し、ろう材を溶融することによりフィンとプレートとを接合することができる。
また、上記各発明は、前記規制部材の上部に歪み防止用のリブを形成することができる。
さらに、上記各発明は、前記ガスを不活性ガスとすることができる。
上記目的を達成するために、複数の被加圧部材間の接合面にろう材を設け、前記ろう材を溶融することで前記被加圧部材間を接合するろう付方法において、請求項1〜6のいずれか1項のガス圧による拘束治具を用いて前記被加圧部材間を拘束してろう付けを行うようにした。
特に、積層構造体が複数のフィンとプレートとを交互に重ね合わせた熱交換器であって、フィンとプレートとの接合面にろうを設け、前記ろうを溶融することによりフィンとプレートとを接合するようにしたものであれば、そのフィンのスプリング効果を抑制し、フィンとプレートとの重合物を均等の圧力で押圧することができる。特に、従来困難であった、大型の熱交換器等のろう付けの接合率を大幅に向上させることができる。
図1は、本発明に係わるガス圧による拘束治具1を示す。拘束治具1は、下側規制板2と上側規制板3とを設けた外側治具(これを符号2,3とする)2,3とを備え、下側規制板2は平板ブロック形状であり、その任意の箇所には複数本のロッド(図1には2本のみ表示)5を下側規制板2面に対して直角にかつ上方に立設した。各ロッド5は、円柱形であり上端部及び下端部の周囲にネジ5a,5bを形成し、下端側のネジ5bは、下側規制板2に形成したネジ孔2aに螺合させて固定している。
ロッド5の上端側のネジ5aは、上側規制板3を貫通している。上側規制板3は、四角形状の平板の上面に、補強用の縦リブ6を1条または複数条(若しくは井形)設けてリブ6が上側に突出するようにして形成し、各ロッド5に対応する位置には、ネジ貫通孔3aを形成している。上側規制板3は、その貫通孔3aに各ロッド5を通し、上側規制板3の上面側にナット8を螺着している。
下押さえ板10と上押さえ板11との間には、ワーク4を配設している。ワーク4は、上下に面圧を付与する天板16を設け、側部には側板18を配している。このワーク4は、下押さえ板10の面上に載置し、ワーク4の面上には上押さえ板11を載置している。そして、上側規制板3と上押さえ板11との間には間隔が開けられ、それらの板3,11との間に挟まれるようにして加圧タンク14を配設している。
なお、ワーク4については、従来技術で説明した図7に示すワーク4と同じものであるので、その詳細な説明を省略した。
図1に示すように、ワーク4が内側治具10,11に挟むようにして配置され、上側規制板3と上押さえ板11との間に加圧タンク14が配置されている。このような状態で、加圧タンク14は、その内部へ任意の圧力の気体が導入され、加圧できるように構成されている。加圧タンク14には、図示しない配管を通して気体が外部から供給される。加圧タンク14が膨出しないように、導入する気体の圧力は管理されている。加圧タンク14に導入する気体量を調整することにより、加圧タンク14の膨張量(若しくは収縮量)を調整し、下面側の上押さえ板11を用いて、上方よりワーク4に押付けることができる。
本実施例においては、ワーク4(天板16)の上面を均一に押付けるように、加圧タンク14とワーク4との間には、ワーク4との接触面が平坦形状の上押さえ板11が設けられている。したがって、ワーク4は、その平坦な接触面を有する上下押さえ板10,11との間に挟まれて、均一に押付けられることになる。
図3は、本発明に係わるガス圧による拘束治具1を示す。拘束治具1は、下側規制板2と上側規制板3とを設けた外側治具2,3とを備え、下側規制板2は平板形状であり、その任意の箇所には複数本のロッド5を下側規制板2面に対して直角に立設した。各ロッド5は、円柱形であり上端部及び下端部の周囲にネジ5a,5bを形成し、下端側のネジ5bは、下側規制板2に形成したネジ孔2aに螺合している。
ロッド5の上端側のネジ5aは、上側規制板3を貫通している。上側規制板3は、四角形状の平板の上面に、補強用の縦リブ6を1条または複数条(若しくは井形)上側に突出するようにして形成し、各ロッド5に対応する位置には、ネジ貫通孔3aを形成している。上側規制板3は、その貫通孔3aに各ロッド5を通し、上側規制板3の上面側にナット8を螺着している。
上押さえ板11のロッド12に対応する位置には、ネジ貫通孔11aを形成し、上押さえ板11はその貫通孔11aに各ロッド12を通し、上押さえ板11の上側の位置で、ナット13をロッド12のネジ12aに螺着している。
下押さえ板10と上押さえ板11との間には、ワーク4を配設している。ワーク4は、従来技術及び上記第1の実施の形態で説明したワーク4と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
加圧タンク15には図示しない供給口が設けられ、この供給口に接続された配管を通して、不活性ガス等のガスが加圧タンク15内へ導入される。加圧タンク15の高さは、ワークの溶融前の高さにおいて、上側規制板3と上押さえ板11の間隔に適合するように形成した。加圧タンク15の強度は、高温(900℃以上)、圧力2kg/cm2以上に耐えるものでなければならない。
その他の効果については上記実施の形態と同じである。
図4及び図5は、本実施形態の拘束治具1の上部を示す。上記各実施の形態と同様に拘束治具1の上部には、上面に縦、横方向に延在するリブ6を形成した上側規制板3を設けている。上側規制板3の下面には、中間部材21と左右側板22a,22bとからなる固定ブロック20を設け、側板22a,22bは、下側規制板2から上方に向けて立設されている。
中間部材21の下面には、上方に窪ませた凹所23を形成している。そして、その凹所23を塞ぐようにして、押さえ板としての変形板24と中間部材21を溶接aして、凹所23を密閉し、加圧室25を形成している。
また、加圧室25の凹所23の底部形状は、全体として平坦にしたが、底部形状を円弧形状等の曲線形状に窪ませるようにしてもよい。
よって、ワーク4の接合部に配したろうが溶けてワーク4の高さが低くなっても、変形板24がワーク4を押圧することができる。また、ワーク4のスプリング効果が生じ、その中央部が上方へ突出しようとしても、加圧室25のガス圧により変形板24の中央部が下向きに突出しワーク4の中央部を押圧する。よって、ワーク4は両端部から中央部まで均等な圧力を得ることができる。その他の効果については、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
例えば、上記第1の実施の形態における加圧タンク14の上押さえ板11に接する側の底板14aの肉厚、及び第2の実施の形態の加圧タンク15の下板15aの肉厚t1、及び第3の実施の形態の加圧室25の変形板24の肉厚を、各々均一厚さとしたが、中央部分を突出変形しやすいように、肉厚を薄くしてもよい。
さらに、本発明における加圧タンクの形状は、実施例の図において示したものに限定するものではなく、本発明の範囲において適宜に変更できる。又、本発明は大型の熱交換器の真空ろう付やコジェネレーション用電池積層スタック等の大型製品の熱処理時の加圧拘束に好適であるが、対象として大型製品、熱交換器等に限定するものではない。更に、本発明はろう付のみに用いるものではなく、対象物を加圧拘束する必要があれば他の用途に用いてもよい。
2 下側規制板
3 上側規制板
4 ワーク
5,12 ロッド
6 リブ
8,13 ナット
10 下押さえ板
11 上押さえ板
14,15 加圧タンク
20 固定ブロック
21 中間部材
22a,22b 側板
23 凹所
24 変形板
25 加圧室
26 供給口
Claims (7)
- 規制部材とろう付けを行う積層構造体との間に加圧タンクを配設し、さらに該加圧タンクと積層構造体との間に押さえ板を配設し、前記加圧タンクにガスを導入して前記加圧タンクの体積変化を用いた押圧力により、前記押さえ板が前記積層構造体を押圧するようにしたことを特徴とするガス圧による拘束治具。
- 前記加圧タンクの押圧板に当接する面を、押圧板側に向けて突出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のガス圧による拘束治具。
- 規制部材の下部に押さえ板を固定し、これらの規制部材と押さえ板との間にガス圧室を形成し、前記ガス圧室にガスを導入しガス圧室の体積変化を用いた押圧力により、ろう付けを行う積層構造体を前記押さえ板で押圧するようにしたことを特徴とするガス圧による拘束治具。
- 前記積層構造体が複数のフィンとプレートとを交互に重ね合わせた熱交換器であって、フィンとプレートとの接合面にろう材を挟着し、ろう材を溶融することによりフィンとプレートとを接合するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに1項に記載のガス圧による拘束治具。
- 前記規制部材の上部に歪み防止用のリブを形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス圧による拘束治具。
- 前記ガスを不活性ガスとすることを特徴とする請求項1〜5に記載のガス圧による拘束治具。
- 複数の被加圧部材間の接合面にろう材を設け、前記ろう材を溶融することで前記被加圧部材間を接合するろう付方法において、請求項1〜6のいずれか1項のガス圧による拘束治具を用いて前記被加圧部材間を拘束してろう付けを行うようにしたことを特徴とするろう付方法。
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