JP2014001532A - 防水シートの固定構造および施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】建築物の屋根における金属下地の防水構造として断熱工法を採用する際の、固定用ディスクを充分に固定できる断熱工法を提供する。
【解決手段】断熱材2を貫通する補強材4を下地1の上に設け、補強材4の上に配置された固定用ディスク5の上から補強材4に対して固定用ビス6を打つことで、固定用ディスク5を補強材4に固定し、この固定用ディスク5により固定される防水シート3を備え、補強材4は天板部とこれに連結された側面部と、下板部を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は断熱工法における防水シートの固定構造に関する。
建築物の屋上、ベランダ、バルコニーの防水構造には、近年、下地の上に断熱材を敷設する断熱工法が多く採用されている。ここで断熱工法において、断熱材の上に防水シートを固定する工法として、いわゆる機械的固定工法が用いられている。この工法は、断熱材の上から固定用ディスクを固定用ビスで下地に固定し、固定用ディスクによって防水シートを断熱材の上に固定する方法であり、接着剤を塗布する必要がある接着工法と比較して簡便であるという利点を有する。そして、固定用ディスクで防水シートを固定する方法としては、防水シートを先に断熱材の上に敷設し、その上に固定用ディスクを載せ固定用ビスを打ち込む方法や、断熱材の上に接着層を有する固定用ディスクを固定し、その上に防水シートを敷設し防水シートの上から電磁誘導加熱装置で接着層を溶融させ防水シートの裏面と固定用ディスクを接合する方法などが用いられている。
しかし、機械固定工法において断熱材の上から固定用ビスで固定用ディスクを下地に止め付けた場合、固定用ビスを強く締め付けると固定用ディスクが凹状に変形し断熱材に沈み込んでしまうことがあった。また断熱材が経時的に変形等する場合などは、固定用ビスが緩んでしまうという問題があった。
これに対して緩み止めを施した固定用ビスおよび固定用ディスクを組み合わせた工法が提案されている(特許文献1)。
特開2008−002123号公報
しかしながら、鋼板などで構成された金属下地の場合には固定用ビスのネジ山が鋼板の厚みでしか有効に効いていない。例えば金属下地における鋼板の厚みが1.2mm程度であれば固定用ビスはネジ山の約1つ半でしか固定されていない場合がある。すなわち、固定用ビスは金属下地に対して充分に固定されていないおそれがある。さらに断熱工法のために、断熱材の上に敷設される防水シートに水平方向のせん断力がかかると、固定用ディスクにも水平方向の応力が働く。そして、固定用ディスクを固定している固定用ビスと金属下地との貫通部では、断熱材の厚みだけ距離があるためにより大きな力がかかることになり、固定用ビスの引き抜き強度が不充分となるおそれがある。
そこで、本発明は上記のような課題に鑑み、金属下地での断熱工法において、防水シートに水平方向の応力が作用しても、固定用ビスが充分に固定される防水シート固定構造を提供することを目的とする。
本発明の上記課題を解決するためにとった手段は以下の通りである。
すなわち、補強材を金属下地の上に設け、補強材の上に配置された固定用ディスクの上から補強材を貫通して金属下地に対して固定用ビスを打つことで、固定用ディスクを補強材に固定することを要旨とする。
そして、防水シートはこの固定用ディスクにより固定され、補強材は天板部とこれに連結された側面部と、下板部とを備えるものである。
さらに具体的には、金属下地の上に敷設される断熱材と、断熱材に差し込まれるように金属下地の上に配置される補強材と、補強材の上に配置される固定用ディスクと、固定用ディスクの上から補強材を貫通して金属下地に打ち込まれる固定用ビスと、固定用ディスクにより断熱材の上に固定される防水シートとを備え、補強材は天板部と天板部に連結された側面部と天板部に対向して配置された下板部とを有する防水シート固定構造とするものである。このように、補強材を用いることで、固定用ディスクは補強材の上に支持されるために固定用ビスを締め付けても固定用ディスクが凹状に変形することなく充分に固定される。また、固定用ビスが補強材を貫通するために固定用ディスクに対して水平方向の応力が作用しても固定用ビスは補強材によって引き抜かれにくくなる。
また、固定用ビスは、金属下地面に対する水平方向の可動を規制されるように、補強材および金属下地を貫通している防水シート固定構造がより好ましい。これにより固定用ビスは金属下地面に対する水平方向すなわち横方向の力を受けても、固定用ビスの水平方向の可動が規制されるために、金属下地と固定用ビスとの固定部に大きな応力が作用することを防ぎ、固定用ビスの引き抜き強度が向上する。
さらに固定用ビスが補強材と金属下地とで固定されている防水シート固定構造とすることができる。固定用ビスが補強材と金属下地とで固定されることで、引き抜き強度が向上する。また、補強材の天板部と金属下地で固定用ビスが固定されれば、固定用ビスが水平方向に可動するのを規制でき、より水平方向への応力に対して対抗できる。
さらに固定用ビスが下板部で固定されている防水シート固定構造としてもよい。これにより、固定用ビスの引き抜き強度が向上するために好ましい。
ここで、防水シートは固定用ディスクの上側、下側のどちらに設けてもよい。防水シートが固定用ディスクの下側に設けられる場合には、防水シートが断熱材の上に敷設され、防水シートの上に固定用ディスクが配置され、固定用ビスが固定用ディスクの上から天板部に打ち込まれ、防水シートが断熱材の上に固定されることとなる。
一方、防水シートが固定ディスクの上側に設けられる場合には、防水シートが固定用ディスクの上に敷設され、防水シートの下面と固定用ディスクの上面が接合されることで、防水シートが断熱材の上に固定されることとなる。
そして、防水シートが固定用ディスクの下側に設けられる場合には、金属下地の上に断熱材を敷設し、天板部と天板部に連結された側面部と天板部と対向する下板部を有する補強材を断熱材に差し込むようにして下地の上に配置し、断熱材と補強材を覆うように防水シートを敷設し、防水シートの上から補強材と対応する位置に固定用ディスクを配置し、固定用ディスクの上から固定用ビスを補強材の天板部から金属下地に向けて打ち込む防水シートの固定工法を用いることができる。
また、防水シートが固定ディスクの上側に設けられる場合の工法としては、金属下地の上に断熱材を敷設し、天板部と天板部に連結された側面部と天板部と対向する下板部を有する補強材を断熱材に差し込むようにして金属下地の上に配置し、接着層を有する固定用ディスクを補強材の上に配置し、固定用ディスクの上から固定用ビスを補強材の天板部から金属下地に向けて打ち込み、断熱材と固定用ディスクを覆うように防水シートを敷設し、接着層を介して防水シートと固定用ディスクを接合する防水シートの固定工法を用いることができる。
本発明の防水シート固定構造によれば、下地の上に配置された天板部と下板部を有する補強材によって、防水シートに水平方向の応力が作用しても、固定用ビスが充分に固定されることで固定用ディスクが充分に金属下地に固定される
固定用ディスクの下に防水シートを敷設する本発明の第1実施形態に係る防水シート固定構造を示す断面図である。 第1実施形態に係る補強材の斜視図である。(2a)は天板部41から見た斜視図であり、(2b)は下板部から見た補強材の組み立てを示す斜視図である。 補強材4の変形例を示す斜視図である 補強材4の変形例を示す断面図である。 固定用ディスクの上に防水シートを敷設する本発明の第2実施形態に係る防水シート固定構造を示す断面図である。 粘着層を用いた本発明の第3実施形態に係る防水シート固定構造を示す断面図である。 補強材を使用しない従来の防水シート固定構造を示す断面図である。 従来の防水シート固定構造において水平方向に力が作用する状態を示す断面図である。なお、説明のために補強シート等を省略している。 第1実施形態に係る一部分の平面図である。
以下、好適実施の態様について図面を参照して詳細に説明する。
図1に第1実施形態として、固定用ディスク5の下に防水シートを敷設する防水シート固定構造について示した。これによると金属下地1の上に断熱材2が設けられ、断熱材2に差し込まれるように補強材4が金属下地1の上に配置されている。さらに補強材4の上に固定用ディスク5が配置され、固定用ビス6で補強材4を貫通して金属下地1に固定されている。そして断熱材2の上には防水シート3が敷設され、固定用ディスク5によって防水シート3が固定されてシート防水構造を構成している。本実施形態においては、さらに固定用ディスク5を上から覆うように補強用シート7を接合し、補強用シート7の端部と防水シート3をシーラー8で防水処理している。
また別の実施形態として、防水シート3は固定ディスクの上側に敷設することもできる。
そこでこのような第2実施形態について図5を用いて説明する。金属下地1の上に断熱材2に差し込まれるようにして補強材4が配置されている。そして、補強材4の上に固定用ディスク5を配置し、その上から固定用ビス6が打ち込まれ固定用ディスク5が補強材4の上に固定されている。そして、固定用ディスク5の上面には接着層(図示なし)が設けられており、この固定用ディスク5の上に防水シート3が敷設されている。さらに、固定用ディスク5の接着層と防水シート3の裏面が接合されることで、防水シート3が固定用ディスク5によって断熱材2の上に固定される。そして、第2実施形態において、固定用ディスク5と防水シート3の接合は電磁誘導加熱装置10による融着により行われている。このような電磁誘導加熱による融着を行うことで簡単に防水シート3と固定用ディスク5との接合を行うことができる。
以下まず、第1、第2実施形態で用いられた補強材4について説明する。
これらの実施形態で使用された補強材4は、図2(2a)に示したような中空の円柱体である。そして、図2(2b)は(2a)の補強材4を下板部43側から示した図であって、その下板部43の取り付け構造を示している。これによると、天板部41とこれと連結された側面部42をもつ底のない円筒形の部材に下板部43を嵌めこんで天板部41と下板部43が対向して配置され、中空の円柱体が補強材4として構成されている。
そして、補強材4は金属下地1の上に配置され、その天板部41に対応する位置に固定用ディスク5が配置され固定用ビス6で天板部41、下板部43を貫通して固定用ディスクが止め付けられる。よって、断熱材2は固定用ディスク5の固定に際し固定用ビス6の締め付け力を直接受けることが無い。ここで、図7のように補強材4を用いない従来の固定構造の場合は、固定用ディスク5を固定用ビス6で強く止め付けると断熱材2が沈み込むことで固定用ディスク5が凹状に変形し固定強度が低下する。しかし、補強材4を用いる場合には断熱材2が沈み込むことはなく、固定用ディスク5が金属下地に対して強固に固定される。
また、補強材4は天板部41に固定用ビス6の径よりも小さいビス穴44が設けられているので、固定用ビス6を打ち込んだ際に、天板部41と下板部43と金属下地1の3か所で固定される。それに対して、従来の固定構造(図7)では固定用ビス6が金属下地1の固定部101でしか有効に効かず、金属下地1の鋼板の厚みのみで固定強度が保持されていることとなる。したがって、第1、第2実施形態の様に補強材4を使用することで、従来と比較して固定用ディスクは強固に固定される。
さらに、台風などの強風が吹く場合には、図8のように屋上に施工されたシート防水構造には水平方向のせん断力が働くことがある。このように、防水シートに水平方向の応力が加わると固定用ディスク5や固定用ビス6にも水平方向の応力F1が作用することとなる。そして、固定用ディスク5は断熱材2の上に配置され、固定用ビス6は断熱材の下にある金属下地1に止め付けられているので、固定用ディスク5や固定用ビス6に水平方向の応力F1が加わると、断熱材2の厚みhだけ固定用ビス6と金属下地1との固定部101にはより大きな応力が作用することとなる。そのため従来技術では、固定用ビス6の固定強度が充分ではない場合がある。
それに対し、補強材4を使用した第1、第2実施形態では、固定用ビス6は補強材4の天板部41と下板部43、金属下地1の3か所で固定される。さらに天板部41では金属下地1からほぼ断熱材2の厚み分だけ上方の位置において固定用ディスクを固定している。このような構成を用いることで、より確実に固定用ビス6が水平方向に可動するのを規制することができる。これによって、水平方向の応力が金属下地1と固定用ビス6との固定部101に大きく作用することを防止できるために、固定用ディスク5は水平方向の応力に対しても充分な固定強度が得られる。
また、これらの実施形態において、固定用ビス6は補強材4の天板部41と下板部43、金属下地1の3か所で固定される。このため、風による防水シートのフラッタリングと呼ばれる振動によって固定用ビスが緩むのを効果的に防止することができる。
また、固定用ディスク5は補強材4に支持されているから断熱材が経時変化によって劣化し体積が減少した場合にでも固定用ディスク5がその変化に伴って傾いたりずれたりすることが無く、また固定用ビス6が緩むことがない。したがって、断熱材が経時変化で変形した場合でも防水シート3の固定部である補強材4、固定用ディスク5および固定用ビス6は固定力を維持することができる。
ここで補強材4は金属下地1の上に配置され、天板部41とこの天板部41に連結された側面部42と天板部41に対向して配置された下板部43を備えていればよい。また、補強材4の形状は立方体、長方体、円柱形、錐台などの形状を採用することができ、それに応じて天板部41、下板部43の形状は正方形、長方形、円形、楕円形、多角形、不定形など任意に選択することができる。中でも円柱形は安定的に固定用ディスクを支持できるために好ましい態様である。
ここで、下板部43は側面部42と組み合わせて用いることができればよいが、補強材4を金属下地1の上に配置した際に側面部42が下板部43と接していることが好ましい。また、側面部42と下板部43を着脱可能としてもよいし、予め側面部42と下板部43とを連結していおいてもよい。
下板部43と側面部42を連結する場合の態様は特に限定されないが、図4(4a)のように下板部43が側面部42の途中に設けられていてもよいし、図4(4b)のように側面部42の下端付近に設けられていてもよい。このときに、下板部43が側面部42の内側に収められる図4(4b)とすることや、下板部43の上に側面部42が載せられる様な形状である図4(4c)とすることができる。
また下板部43は側面部42に嵌めこまれる構造とすることができる。図4(4b)の様にする場合に下板部43の径を側面部42の内径より僅かに小さくすることで、下板部43を側面部42に簡単に連結できるために好ましい態様である。また、側面部42の内側に切り欠き45設け、その切り欠き45に下板部43を嵌めこむ図4(4d)のような態様としてもよい。さらに、図4(4e)のごとく下板部43が略U字型に形成され、側面部42を外側から嵌めこむ態様であってもよい。
ここで、天板部41は防水シートに覆われ、固定用ディスク5を載せ、固定用ビス6が貫通されるような形態であればよいが、略平坦であることが好ましい態様である。また側面部42は天板部41を支持する足の役割を担うため、天板部41に対してその周囲を完全に囲むように閉じた側面部42を設けることを要しない。すなわち、天板部41を支持し、補強材4が自立するように側面部42を設けることができる。したがって図3(3a)のように天板部41が四角形の場合に側面部42は2面以上あればよく、その一の側面部と他の側面部が対向するように設けることが安定的に自立し、固定用ビスを止め付ける際により安定してこれを支持できる点から好ましい。
また天板部41の外周に沿って閉じた側面部42とすることもできる。具体的には、天板部41が四角形である場合には、図3(3b)のような直方体とし、その四角形の外周に沿って4辺に対応する側面部42を設けることもできる。また、図2(a)のように天板部41が円形の場合にはその円周に対応した閉じた側面部42とすることができ、この場合の補強材4は円柱形状となる。
また、補強材4の天板部41、下板部43には、図2(a)や図3(c)のようにビス穴44を設けることができる。このビス穴44には固定用ビス6が差し込まれる。ビス穴44の径は固定用ビス6の径より小さくすることでこれら固定用ビス6が天板部41、下板部43で固定される効果も得られる。このようなビス穴44は、天板部41と下板部43の両方またはどちらか一方に設けることもできる。そして、図2(2b)においては、下板部43にはビス穴を設けてないが、図3(3c)では天板部41と下板部43の両方にビス穴44を設けている。
また、補強材4は固定用ビス6の水平方向の可動を規制するように構成されていることが好ましい。これによって、固定用ビス6に水平方向の応力が作用しても固定用ビス6の動きが規制され、固定用ビス6と金属下地1との固定部101に大きな力が作用するのを防ぐことができる。
ここで、固定用ビス6の水平方向の可動を制限するには、金属下地1との固定部101からより離れた位置にある断熱材2の上面付近において固定用ビスを固定するか、可動範囲を規制することが好ましい。より具体的には、固定用ビス6が補強材4の天板部43で固定されるか、可動範囲を小さくすることが好ましい。したがって、天板部43にはビス穴44を設けないまたは、固定用ビス6の径よりも小さいビス穴44を設けるなどして天板部43で固定用ビス6のネジ山が有効に効くようにすることが好ましい。
また、ビス穴44は固定用ビス6の径よりも大きくすることもできる。このような場合でも固定用ビス6が水平方向に可動するのを規制されるように設けることが好ましく、ビス穴44はより小さい方が好ましい。
ここで、補強材4は断熱材2に差し込まれるように配置されるため、断熱効率を低下させないとの点から補強材自体が断熱性能を有していることが好ましい。したがって、補強材4の内側すなわち天板部41と側面部42で囲まれる内側に断熱材と同質の部材を充填することが好ましい態様である。
また補強材4は、金属製、硬質合成樹脂製、木製等が用いられる。強度や耐久性の点から金属製がこのましい。金属製の固定用ディスクを構成する鋼鈑の材質としては、ステンレス板や、亜鉛・アルミニウム・マグネシウムメッキまたは亜鉛メッキ等の防錆処理が施された鋼板など、多湿状態でも錆びにくい鋼鈑が好適に使用される。厚みとしては、0.5〜5mm程度が好ましい。
そして、天板部41、側面部42、下板部43は同一の素材、同一厚みで構成されることは要せず、それぞれを別の素材、異なった厚みで構成してもよい。補強材4の生産性を考慮すると、天板部41と側面部42は同一の素材で略同一厚みとし、下板部43は任意の素材、厚みを選択することが好ましい。
補強材4の天板部41の1辺の長さ(天板部41が円形の場合は直径)は30mm〜200mm程度のものが好ましく、50mm〜180mmがより好ましく、60mm〜150mmがさらにこのましい。また側面部42の長さ、すなわち補強材4の高さは使用される断熱材2の厚さに応じて設定することができ、10mm〜100mm程度とすることができる。そして下板部43の1辺の長さ(下板部43が円形の場合は直径)は、30mm〜200mm程度のものが好ましく、50mm〜180mmがより好ましく、60mm〜150mmがさらにこのましい。
防水シート3は熱可塑性樹脂製防水シートが好ましく、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系、アクリル系等を使用することができる。熱可塑性樹脂製防水シートを熱溶融着、溶剤溶着により接合し、また後述する補強用シートで補強し得るという点から塩化ビニル系樹脂製防水シートがより好ましい。
熱可塑性樹脂製防水シートは単層でも良いが、寸法安定性、引張強度に優れるという点からガラスクロス、不織布等の基材層を積層した複層品が好ましい。基材層は最下層に設けても良いが熱可塑性樹脂層の中間に設けても良い。また熱可塑性樹脂層は一層であっても、複数の層であってもよく、それぞれの層の組成を異なるものとしてもよい。
断熱材は、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフォーム等が使用でき、強度を考慮するとクラフト紙やアルミ箔が両面に積層された断熱材が好ましい。また、勾配をとる必要がある場合には、勾配のある断熱ボードを使用することができる。
固定用ディスク5は防水シート3を固定できるものであればよく、金属製、硬質合成樹脂製、木製等が用いられる。強度や耐久性の点から金属製がこのましい。金属製の固定用ディスクを構成する鋼鈑の材質としては、ステンレス板や、亜鉛・アルミニウム・マグネシウムメッキまたは亜鉛メッキ等の防錆処理が施された鋼板など、多湿状態でも錆びにくい鋼鈑が好適に使用される。厚みとしては、0.6〜1.5mm程度で、形状は正方形または長方形をした矩形状のプレート状や、円形または楕円形状のディスク状、長尺状など任意であり、大きさは1辺または外径が50〜100mm程度に形成することができる。
また、その固定用ディスク5の少なくとも上面に熱可塑性樹脂被覆層を積層一体化した構成が好ましい。これにより防水シート3や補強用シート7との熱融着、溶剤溶着による接合が容易となる。ここで熱可塑性樹脂被覆層は、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系、アクリル系等を使用することができる。また接合強度を考慮すると、防水シート3、補強用シート7とこの熱可塑性樹脂被覆層の材質は同種のものを用いるのが好ましく、防水シート等が塩化ビニル系樹脂製である場合には、熱可塑性樹脂被覆層も塩化ビニル系樹脂からなることが好ましい。
なお本明細書では、固定用ディスクの上面とは下地、断熱材に対して上側の面である。
また、図5の様に固定用ディスク5の上に防水シート3を敷設する場合において、固定用ディスク5の上面に設けられる接着層は接着剤を塗布することや、熱可塑性樹脂層を積層する等して設けることができる。そして、接着層と防水シート3との接着は圧着や熱による融着や溶剤による溶着等によって行われる。また電磁誘導加熱を行う場合において固定用ディスク5の接着層は、加熱より溶融するホットメルト接着剤や熱可塑性樹脂等である熱溶融着層とすることが好ましい。ホットメルト接着剤としては、ポリエステル系、ポリアミド系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系のホットメルト接着剤等が挙げられる。
固定用ビス6は、少なくとも固定用ディスク5と補強材4を固定するに足る長さが必要であり、補強材4を貫通して金属下地1に達するような長さのものを用いることができる。
材質としては、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼等の鋼材などが使用できる。また、固定用ディスク5等の上面から頭部がはみ出ないように、固定用ビス6のビス頭の形状は皿、平、なべがよく、ドライバーやレンチで掛ける座面の窪み形状は十字穴、六角穴、四角穴が好ましい。
金属下地1は、折板屋根、瓦棒屋根、デッキプレート等を使用することができる。
つぎにこれらの実施形態の施工方法について以下に説明する。
第1実施形態においては、金属下地1の上に断熱材2を敷設し、金属下地1である折板の凸状部に対応する位置の断熱材2に、ホールソーを用いて補強材4が挿入できる下穴を形成する。そして、補強材4を下穴に挿入し、その上からポリ塩化ビニル製の防水シート3を敷設する。次に補強材4と対応する位置に防水シート3の上から熱可塑性樹脂被覆層が積層一体化された固定用ディスク5を配置し、固定用ビス6を補強材4の天板部41、下板部43、金属下地1を貫通して打ち込み、固定用ディスク5を固定する。さらに、固定用ディスク5を覆うように補強用シート7をかぶせ、固定用ディスク5の上面および防水シート3と熱溶着を行う。なお、本実施態様においては、補強用シート7はポリ塩化ビニル製であり、固定用ディスクの上面の熱可塑性樹脂被覆層にはポリ塩化ビニル層が用いられている。そして、補強用シート7の周囲をシーラー8で防水処理を施した。
第2実施形態においては、金属下地1の上に断熱材2を敷設し、金属下地1である折板の凸状部に対応する位置の断熱材2に、ホールソーを用いて補強材4が挿入できる下穴を形成する。そして、補強材4を下穴に挿入し、上面に接着層を設けた固定用ディスク5を補強材4の天板部41に載せ、固定用ビス6を補強材4の天板部41、下板部43、金属下地1を貫通して打ち込み、固定用ディスク5を固定する。そして、その上からポリ塩化ビニル製の防水シート3を敷設し、固定用ディスク5と対応する位置に電磁誘導加熱装置10を載せて、加熱することで固定用ディスク5と防水シート3を接合する。なお、本実施形態において固定用ディスク5の接着層はポリ塩化ビニル層が用いられている。
さらに、補強材4の下板部43と金属下地1の間に粘着層9を使用する第3実施形態を図6に示した。ここで、同一の部材には同一の符号を付し詳細な説明は省略した。
これによると、金属下地1の上に断熱材2を敷設し、断熱材2に差し込まれるように補強材4に配置されている。そして、補強材4の下板部43と金属下地1との間に粘着層9が配置されている。補強材4および断熱材2の上に防水シート3を敷設し、補強材4の対応する位置に固定用ディスク5を載せられ、固定用ビス6で補強材4を貫通して金属下地1に固定されている。さらに断熱材2の上には防水シート3が敷設され、固定用ディスク5によって防水シート3が固定されている。さらに固定用ディスクを上から覆うように補強用シート7を接合し、補強用シート7の端部と防水シート3をシーラー8で防水処理されている。
このように、補強材4の下板部43と金属下地1の間に粘着層9を使用することで、補強材4が金属下地1により強固に固定されるために好ましい。ここで、粘着層としては、接着剤、粘着テープ、定形シーラー、不定形シーラー等を用いることができる。粘着力にすぐれ、施工しやすいとの点からブチルテープなどの定形シーラーが好ましく用いられる。第3実施形態においてはブチルテープが用いられている。
また、本実施形態においては図2に示した補強材4を使用している。したがって、粘着層9は下板部43の下面に貼り付けられた状態で設置されている。また、補強材4における下板部43の下側に粘着層9を嵌めこむ空間を有していてもよい。
第3実施形態における施工方法は以下のようにして行われる。金属下地1の上に断熱材2を敷設し、金属下地1である折板の凸状部に対応する位置の断熱材2に、ホールソーを用いて補強材4が挿入できる下穴を形成する。補強材4の下板部43の下面に粘着層9であるブチルテープを貼り付けておく。そして、粘着層9が貼り付けられた補強材4を下穴に挿入し、その上からポリ塩化ビニル製の防水シート3を敷設する。次に補強材4と対応する位置に防水シート3の上から固定用ディスク5を配置し、固定用ビス6を補強材4の天板部41、下板部43、金属下地1を貫通して打ち込み、固定用ディスク5を固定する。さらに、固定用ディスク5を覆うように補強用シート7をかぶせ、固定用ディスク5の上面および防水シート3と熱溶着をおこなう。なお、本実施態様においては、補強用シート7はポリ塩化ビニル製であり、固定用ディスクの上面にはポリ塩化ビニル層が被覆されている。そして、補強用シート7の周囲をシーラー8で防水処理を施した。
このように、粘着層9としてブチルテープを使用し、補強材4に貼り付けて施工することで、簡単に金属下地1と補強材4の間に粘着層9を設けることができる。そして粘着層9によって、補強材4は金属下地1に強固に固定される。
図9には図1に示す第1実施形態に係る平面図を示した。このように断熱材2の上に防水シート3が敷設され、その防水シート3の上に固定用ディスク5が所定の間隔で配置され、固定用ビス6によって止め付けられその上から補強用シート7が溶剤溶着または熱融着されている。固定用ディスクの間隔すなわち固定ピッチは図9のように縦、横ともに等間隔とすることができるが、その固定ピッチは任意である。また、その固定部位に応じて固定ピッチを変えてもよく、例えば防水すべき面の端縁部では固定ピッチを小さくしそれ以外の部分ではそれより大きくすることもできる。そして、第1実施形態においては、金属下地1の凸部102に固定用ディスク5を配置するために、固定ピッチは金属下地1の凸部102のピッチに対応して設定されている。
また、これらの全ての実施態様において固定用ディスク5が補強材4を介して下地の上に固定されるのであれば、緩衝用シート、防水性を向上させる増し張りシート等の部材を使用することができる。
1 金属下地
2 断熱材
3 防水シート
4 補強材
41 天板部
42 側面部
43 下板部
5 固定用ディスク
6 固定用ビス
7 補強用シート
8 シーラー
9 粘着層
10 電誘導加熱装置

Claims (8)

  1. 金属下地の上に敷設される断熱材と、
    前記断熱材に差し込まれるように前記金属下地の上に配置される補強材と、
    前記補強材の上に配置される固定用ディスクと、
    前記固定用ディスクの上から前記補強材を貫通して前記金属下地に打ち込まれる固定用ビスと、
    前記固定用ディスクにより前記断熱材の上に固定される防水シートとを備え、
    前記補強材は天板部と前記天板部に連結された側面部と前記天板部に対向して配置された下板部とを有する防水シート固定構造。
  2. 前記固定用ビスは、前記金属下地面に対する水平方向の可動を規制されるように、前記補強材および前記金属下地を貫通している請求項1に記載の防水シート固定構造。
  3. 前記固定用ビスが前記補強材と前記金属下地とで固定されている請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の防水シート固定構造。
  4. 前記固定用ビスが前記下板部で固定されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防水シート固定構造。
  5. 前記防水シートが前記断熱材の上に敷設され、前記防水シートの上に前記固定用ディスクが配置され、前記固定用ビスが前記固定用ディスクの上から前記天板部に打ち込まれる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防水シート固定構造。
  6. 前記防水シートが前記固定用ディスクの上に敷設され、前記防水シートの下面と前記固定用ディスクの上面が接合されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防水シート固定構造。
  7. 金属下地の上に断熱材を敷設し、
    天板部と前記天板部に連結された側面部と前記天板部と対向する下板部を有する補強材を前記断熱材に差し込むようにして前記下地の上に配置し、
    前記断熱材と前記補強材を覆うように防水シートを敷設し、
    前記防水シートの上から前記補強材と対応する位置に固定用ディスクを配置し、
    前記固定用ディスクの上から前記固定用ビスを前記補強材の前記天板部から前記金属下地に向けて打ち込む防水シートの固定工法。
  8. 金属下地の上に断熱材を敷設し、
    天板部と前記天板部に連結された側面部と前記天板部と対向する下板部を有する補強材を前記断熱材に差し込むようにして前記下地の上に配置し、
    接着層を有する固定用ディスクを前記補強材の上に配置し、
    前記固定用ディスクの上から前記固定用ビスを前記補強材の前記天板部から前記金属下地に向けて打ち込み、
    前記断熱材と前記固定用ディスクを覆うように防水シートを敷設し、
    前記接着層を介して前記防水シートと前記固定用ディスクを接合する防水シートの固定工法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019007311A (ja) * 2017-06-28 2019-01-17 Jfe建材株式会社 圧縮装置及び崩落予防装置

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