JP5751613B2 - 防水シートの固定構造および施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は断熱工法における防水シートの固定構造に関する。
建築物の屋上、ベランダ、バルコニーの防水構造には、近年、断熱工法が多く採用されている。断熱工法では下地の上に断熱材を設け、さらに上側に防水シートが設けられている。ここで断熱工法において、断熱材の上に防水シートを固定する工法として、接着剤を使用して固定する接着工法が用いられている。しかし、接着工法は一般的に防水シートと被接着面の両全面に接着剤を塗布することを要し、工程が多く煩雑な施工方法である。
一方、防水シートを固定用ディスクとビスを用いて下地に固定するいわゆる機械的固定工法も用いられている。機械的固定工法では固定用ディスクは断熱材の上に配置されビスで断熱材を貫通して下地に止め付けているため接着工法に比べ簡便であるという利点を有する。
しかし、機械固定工法において断熱材の上からビスで固定用ディスクを下地に止め付けた場合、固定用ディスクを充分に止め付けるためにビスを強く締め付けると固定用ディスクが断熱材に沈み込んでしまうことがあった。このため、ビスをあまり強く締め付けることが出来なかった。またビスを止め付けても断熱材が経時的に変形等する場合などは、ビスが緩んでしまうという問題があった。
これに対して緩み止めを施したビスおよび固定用ディスクの組み合わせた工法が提案されている(特許文献1)。
特開2008−002123号公報
しかしながら、上記の緩み止めのビス等を用いても、断熱材が沈み込むために固定用ディスクを強く固定することは出来ていなかった。
そこで、本発明は断熱工法において、固定用ディスクをビスで止め付けても断熱材が沈み込むことを防止できる防水シート固定構造を提供することを目的とする。
本発明の上記課題を解決するためにとった手段は以下の通りである。
すなわち、補強材を下地の上に設け、補強材の上に配置された固定用ディスクの上から補強材に対してディスク固定用ビスを打つことで、固定用ディスクを補強材に固定することを要旨とする。
そして、防水シートはこの固定用ディスクにより固定され、補強材は天板部とこれに連結された側面部とを備えるものである。
したがって、下地の上に敷設された断熱材と、断熱材に差し込まれるように下地の上に配置されると共に天板部と天板部に連結された側面部を有する補強材と、補強材の天板部の上に配置される固定用ディスクと、固定用ディスクの上から補強材の天板部に打ち込まれたディスク固定用ビスと、固定用ディスクにより断熱材の上に固定される防水シートとを備える防水シート固定構造とするものである。
ここで、補強材は断熱材に差し込まれるように下地の上に配置されていればよい。すなわち下地の上に配置された補強材が断熱材に囲まれるような態様であればよい。また、補強材は断熱材を貫通して下地の上に配置することができる。ここで貫通とは必ずしも断熱材に貫通孔を設けそこに補強材を配置する態様に限定されるものではなく、補強材が下地の上に配置され、その補強材の周側面を断熱材に囲まれ、その補強材の上に固定用ディスクが配置されることで、補強材を介して固定用ディスクが下地の上に固定されていればよい。したがって、固定用ディスが補強材を介して下地の上に固定されるのであれば、補強材と下地の間に部材を設けていてもよく、補強材と固定ディスクの間に部材を設けてもよい。
ここで、防水シートは固定用ディスクの上側、下側のどちらに設けてもよい。防水シートが固定用ディスクの下側に設けられる場合には、ディスク固定用ビスで止め付けられた固定用ディスクによって上から挟まれて防水シートが断熱材の上に固定されることとなる。
一方、防水シートが固定ディスクの上側に設けられる場合には、固定用ディスクの上面すなわち補強材の天板部側と対向する面に接着層を設け、接着層と防水シートの裏面を接合することで、防水シートが断熱材の上に固定されることとなる。
また、補強材の天板部と断熱材の上面が下地からの高さが略同一である防水シート固定構造とすることができる。断熱材の上側には防水シートが敷設されるため、断熱材を貫通する補強材の天板部も防水シートで覆われることになる。したがって、防水シートが平坦となるように天板部と断熱材の上面は下地からの高さが略同一であることが好ましい。ここで、下地からの高さが略同一とは、断熱材に上に敷設される防水シートがおよそ平坦となるような程度において下地からの高さが略同一であって、厳密に天板部と断熱材の上面が水平面を構成することを指すものではない。
ディスク固定用ビスが下地に止め付けられている防水シート固定構造とすることもできる。補強材の上に配置され、防水シートを固定するための固定用ディスクはディスク固定用ビスで補強材に止め付けられているが、このディスク固定用ビスが補強材を貫通し下地に達することで下地に止め付けることができる。このようにディスク固定用ビスにより防水シートが補強材に固定され、その補強材がさらに下地に止め付けられることとなる。
さらに、防水シートの上から固定用ディスクで防水シートを固定する場合には、断熱材に差し込むように補強材を下地の上に配置し、さらに防水シートを敷設し、その防水シートの上であって補強材に対応する位置に固定用ディスクを配置しディスク固定用ビスを打ち込むことができる。
すなわち、以下の防水シート固定工法を用いることができる。下地の上に断熱材を敷設し、天板部と天板部に連結され天板部を支持する側面部を有する補強材を断熱材に差し込むようにして下地の上に配置する。そして、断熱材と補強材を覆うように防水シートを敷設し、この防水材の上から補強材と対応する位置に固定用ディスクを配置する。さらに、固定用ディスクの上からディスク固定用ビスを補強材の天板部に打ち込む。
また、固定用ディスクの上から防水シートを敷設し固定する場合には、断熱材に差し込むように補強材を下地の上に配置し、補強材の上に固定用ディスクを配置し、固定用ディスクとその固定用ディスクの上に敷設された防水シートを接合することができる。
すなわち、以下の防水シート固定工法を用いることができる。下地の上に断熱材を敷設し、天板部と天板部に連結され天板部を支持する側面部を有する補強材を断熱材に差し込むようにして前記下地の上に配置する。そして、接着層を有する固定用ディスクを補強材の上に配置し、固定用ディスクの上からディスク固定用ビスを補強材の天板部に打ち込む。さらに、断熱材と固定用ディスクを覆うように防水シートを敷設し、接着層を介して防水シートと固定用ディスクを接合する。
本発明の防水シート固定構造によれば、下地の上に配置された補強材に固定用ディスクが配置されているため、固定用ディスクを固定する際にディスク固定用ビスを強く止め付けても断熱材が沈み込んで変形することはなく固定用ディスクが強固に固定される。
固定用ディスクの下に防水シートを敷設する防水シート固定構造を示す断面図である。 固定用ディスクの上に防水シートを敷設する防水シート固定構造を示す断面図である。 補強材の斜視図である。 コンクリート下地に対する防水シート固定構造を示す断面図である。 補強材を補強材固定用ビスで固定する場合の防水シート固定構造を示す断面図である。 軽量発泡コンクリート下地に対する防水シート固定構造であって、補強材を補強材固定用ビスで固定する場合の断面図である。 既存の防水構造を改修する際の防水シート固定構造を示す断面図である。 図4の防水シート固定構造における部材の組み合わせを示す斜視図である。 防水シート固定構造の平面図である。 補強材を使用しない従来の防水シート固定構造を示す断面図である。
以下、好適実施の態様について図面を参照して詳細に説明する。
図1に固定用ディスクの下に防水シートを敷設する防水シート固定構造について示した。これによると下地1の上に断熱材2が設けられ、断熱材2に差し込まれるように補強材4が下地1の上に配置されている。そして補強材4の上に固定用ディスク5が配置され、ディスク固定用ビス6で補強材4に止め付けられている。さらに断熱材2の上には防水シート3が敷設され、固定用ディスク5によって防水シート3が固定されている。
この実施態様では補強材4は断熱材2を貫通した状態で差し込まれている。そして、補強材4はこの様に断熱材2を貫通していることで安定的に下地の上に配置されるため好ましい。
ここで防水シート3は図1の様に固定ディスクの下側に敷設することができ、また、図2の様に固定ディスクの上側に敷設することもできる。図1においては、断熱材2と補強材4の天板部を覆うように防水シート3が敷設され、この防水シート3の補強材4と対応する位置に固定用ディスク5を配置しディスク固定用ビスを打ち込むことで防水シート3が補強材4と固定用ディスク5に挟まれて断熱材2の上に固定されている。
図2においては、防水シート3が固定用ディスク5の上に敷設固定されている。この場合には、補強材4の上に固定用ディスク5を配置しその上からディスク固定用ビス6を打ち込むことで固定用ディスク5が補強材4の上に固定されている。そして、固定用ディスク5の上面に接着層が設けられていてその接着層と防水シート3の裏面を接合することで、防水シート3が固定用ディスクによって断熱材2の上に固定される。そして、電磁誘導加熱による融着を行うことで簡単に防水シート3と固定用ディスク5との接合が可能となるために好ましい。
図1、図2のような実施態様においては、下地1の上に補強材4が配置され、その天板部41に対応する位置に固定用ディスク5が配置されディスク固定用ビス6で天板部41を貫通して固定用ディスクが止め付けられる。よって、断熱材2は固定用ディスク5の固定に際しディスク固定用ビス6の締め付け力を直接受けることが無い。したがって、図10のように補強材4を用いない場合は、固定用ディスク5をディスク固定用ビス6で強く止め付けると断熱材2が沈み込んでしまうが、補強材4を用いる場合には断熱材2が沈み込むことはなく、固定用ディスク5が補強材4に対して強固に固定される。
さらに固定用ディスク5は補強材4に支持されているから断熱材が経時変化によって劣化し体積が減少した場合にでも固定用ディスク5がその変化に伴って傾いたりずれたりすることが無く、またディスク固定用ビス6が緩むことがない。したがって、断熱材が経時変化で変形した場合でも防水シート3の固定部である補強材4、固定用ディスク5およびディスク固定用ビス6は固定力を維持することができる。
また図2の様にディスク固定用ビス6が下地1に対して止め付けられている場合、固定用ディスク5は補強材4を介してディスク固定用ビス6によって下地に対して止め付けられ、固定されることとなる。そのため、下地1の上に配置された断熱材2が動くことがあっても、ディスク固定用ビスは緩まず、固定用ディスク5はそれに伴って動くことはないため、防水シート3も充分に固定されることとなる。
ここで図10のように補強材4を用いない場合は、断熱材2の上に固定用ディスクを配置しディスク固定用ビスで下地1に止め付けるとディスク固定用ビスは下地1の1か所で固定されるが、図2のようにディスク固定用ビス6が補強材4の天板部41を貫通し、下地1も貫通する場合、天板部41と下地1との2か所でディスク固定用ビス6が止められるために接合強度が高くなる。
補強材4は下地の上に配置され、天板部41とこの天板部41に連結された側面部42を備えていればよい。したがって、断面視、略コの字形とすることができる。
また補強材4の形状は立方体、長方体、円柱形、台推体などの形状を採用することができ、それに応じて天板部41の形状は正方形、長方形、円形、楕円形、多角形、不定形など任意に選択することができる。中でも円柱形は安定的に固定用ディスク等を支持できるために好ましい態様である。
さらに補強材4はその内側に空間を設けた中空体とすることもでき、この場合には天板部41に対向する面に底部を設けてもよいし、また底部を設けない形状とすることもできる。
ここで、天板部41は防水シートに覆われ、固定用ディスクを載せ、ディスク固定用ビスが貫通されるような形態であればよいが、略平坦であることが好ましい態様である。また側面部42は天板部41を支持する足の役割を担うため、天板部41に対してその周囲を完全に囲むように閉じた側面部42を設けることを要しない。すなわち、天板部41を支持し、補強材が自立するように側面部42を設けることができる。したがって図3(3−1)のように天板部41が四角形の場合に側面部42は2面以上あればよく、その一の側面部と他の側面部が対向するように設けることが安定的に自立し、ディスク固定用ビスを止め付ける際により安定してこれを支持できる点から好ましい。
また天板部41の外周に沿って閉じた側面部とすることもできる。具体的には、天板部41が四角形である場合には、図3(3−2)のようにその四角形の外周に沿って4辺に対応する側面部42を設けることもできる。また、図3(3−3)のように天板部41が円形の場合にはその円周に対応した閉じた側面部42とすることができ、この場合の補強材4は円柱形状となる。また、円柱形の補強材4の内側に空間を設けた中空体であって断面が略コの字形である図3(3−4)のような形状とすることもできる。
ここで、補強材4は断熱材2に差し込まれるように配置されるため、補強材自体が断熱性能を有していることが好ましい。したがって、補強材4の内側すなわち天板部41と側面部42で囲まれる内側に断熱材と同質の部材を充填することが好ましい態様である。よって補強材4は中空体であって、その中空体の内側に断熱材を充填してもよい。
さらに中空体であって底部を有しない補強材においては、施工現場にて断熱材を補強材内側に充填することができるため、補強材の製造を簡略化するとういう点から好ましい。
そして、このような底部を有しない補強材に断熱材を充填する場合は、補強材4の天板部41が断熱材2の上面と対向するように側面部42を断熱材2に接触させて補強材4を断熱材2の上に載せ、天板部41を上から加圧することで側面部42が断熱材に押し込まれ、その結果補強材4の内側空間に断熱材が充填されるようにすることもできる。このような実施形態には図3(3−1)、(3−4)の形状の補強片4が好ましく用いられる。
また、補強材4の天板部41には、貫通孔43を設けることができる。この貫通孔43にはディスク固定用ビス6や後述する補強材固定用ビス9が差し込まれる。これらのビスを下地1にまで打ち込む場合には、貫通孔43の径はこれらのビスの径より大きくすることができる。これにより、これらのビスの打ち込み時において天板部に下穴を開ける作業を省くことができ好ましい。さらに、貫通孔43の径はこれらのビスの径より僅かに小さくすることでこれらビスが天板部41で固定される効果も得られる。
ここで補強材4は、金属製、硬質合成樹脂製、木製等が用いられる。強度や耐久性の点から金属製がこのましい。金属製の固定用ディスクを構成する鋼鈑の材質としては、ステンレス板や、亜鉛・アルミニウム・マグネシウムメッキまたは亜鉛メッキ等の防錆処理が施された鋼板など、多湿状態でも錆びにくい鋼鈑が好適に使用される。厚みとしては、0.5〜5mm程度が好ましい。
補強材4の天板部41の1辺の長さ(天板部41が円形の場合は直径)は30mm〜200mm程度のものが好ましく、50mm〜180mmがより好ましく、60mm〜150mmがさらにこのましい。また側面部42の長さ、すなわち補強材4の高さは使用される断熱材2の厚さに応じて設定することができ、10mm〜100mm程度とすることができる。
ここで防水シート3は熱可塑性樹脂製防水シートが好ましく、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系、アクリル系等を使用することができる。熱可塑性樹脂製防水シートを熱溶融着、溶剤溶着により接合し、また後述する補強用シートで補強し得るという点から塩化ビニル系樹脂製防水シートがより好ましい。
熱可塑性樹脂製防水シートは単層でも良いが、寸法安定性、引張強度に優れるという点からガラスクロス、不織布等の基材層を積層した複層品が好ましい。基材層は最下層に設けても良いが熱可塑性樹脂層の中間に設けても良い。また熱可塑性樹脂層は一層であっても、複数の層であってもよく、それぞれの層の組成を異なるものとしてもよい。
断熱材は、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフォーム等が使用でき、強度を考慮するとクラフト紙やアルミ箔が両面に積層された断熱材が好ましい。また、勾配をとる必要がある場合には、勾配のある断熱ボードを使用することができる。
固定用ディスク5は防水シートを固定できるものであればよく、金属製、硬質合成樹脂製、木製等が用いられる。強度や耐久性の点から金属製がこのましい。金属製の固定用ディスクを構成する鋼鈑の材質としては、ステンレス板や、亜鉛・アルミニウム・マグネシウムメッキまたは亜鉛メッキ等の防錆処理が施された鋼板など、多湿状態でも錆びにくい鋼鈑が好適に使用される。厚みとしては、0.6〜1.5mm程度で、形状は正方形または長方形をした矩形状のプレート状や、円形または楕円形状のディスク状、長尺状など任意であり、大きさは1辺または外径が50〜100mm程度に形成することができる。
また、その固定用ディスクの少なくとも上面に熱可塑性樹脂被覆層を積層一体化した構成が好ましい。特に固定用ディスクが鋼板で構成される場合には、熱可塑性樹脂被覆層を積層することが好ましい態様である。これにより防水シート3や後述する補強用シート7との熱融着、溶剤溶着による接合が可能となる。ここで熱可塑性樹脂被覆層は、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系、アクリル系等を使用することができる。また接合強度を考慮すると、防水シート3、補強用シート7とこの熱可塑性樹脂被覆層の材質は同種のものを用いるのが好ましく、防水シート等が塩化ビニル系樹脂製防水シートである場合には、熱可塑性樹脂被覆層も塩化ビニル系樹脂からなることが好ましい。
ここで、固定用ディスクの上面とは下地、断熱材に対して上側の面であって、固定用ディスクを配置した際に断熱材側の面と対向する側の面である。
また、図2の様に固定用ディスク5の上に防水シート3を敷設する場合において、固定用ディスク5の上面に設けられる接着層は接着剤を塗布することや、熱可塑性樹脂層を積層する等して設けることができる。そして、接着層と防水シート3との接着は圧着や熱による融着や溶剤による溶着等によって行われる。また電磁誘導加熱を行う場合において固定用ディスク5の接着層は、加熱より溶融するホットメルト接着剤や熱可塑性樹脂等である熱溶融着層とすることができる。ホットメルト接着剤としては、ポリエステル系、ポリアミド系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系のホットメルト接着剤等が挙げられる。
ディスク固定用ビス6は、少なくとも固定用ディスク5と補強材4を固定するに足る長さが必要であり、補強材4を貫通して下地に達するような長さのものを用いることもできる。
材質としては、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼等の鋼材などが使用できる。また、固定用ディスク5等の上面から頭部がはみ出ないように、ディスク固定用ビス6のビス頭の形状は皿、平、なべがよく、ドライバーやレンチで掛ける座面の窪み形状は十字穴、六角穴、四角穴が好ましい。
ディスク固定用ビス6は固定用ディスク5および補強材4に止め付けられていればよい。したがって、ディスク固定用ビス6は補強材4を貫通することなくにねじ込まれ止め付けられていてよいし、図1の様に補強材4を貫通した態様であっても、また補強材4を貫通しさらに下地1に止め付けられている図2のような態様とすることができる。
下地1は特に限定されずコンクリート下地、金属下地、軽量発泡コンクリート(ALC)、鋼材、木質材等が用いられる。また、下地1の上に無機質板、モルタル材層等の他の層を積層しても良い。
別の実施形態として下地1をコンクリート下地とした態様を図4、図8に示した。この場合も図1と同様に、下地1であるコンクリート下地11の上に断熱材2が設けられ、断熱材2を貫通するように補強材4が下地の上に配置されている。そして、断熱材2と補強材4の天板部41を覆うように防水シート3として塩化ビニル系樹脂製防水シート31が敷設されている。この塩化ビニル系樹脂製防水シート31の上の補強材4と対応する位置に固定用ディスク5が配置され固定用ディスク5がディスク固定用ビス6で補強材4に止め付けられている。これによって、塩化ビニル系樹脂製防水シート31は固定用ディスク5によって断熱材2の上に固定されている。さらに、塩化ビニル系樹脂製防水シート31の上に固定用ディスク5を覆うように補強用シート7が溶剤溶着または熱融着されている。この場合にはさらに補強用シート7の端部をシーラー8で防水処理することもできる。
この実施形態において補強材4は、ステンレス製であって図3(3−3)、(3−4)に示した天板部41が円形であり側面部42が閉じた円柱形であるが底部を有していない形状である。また補強片4は断熱材の上面から側面部42を押し付けて突き刺すことで、断熱材2を貫通し下地の上に配置されている。したがって補強片4の天板部41と側面部42で囲まれた内側空間には断熱材が充填された状態となっている。また、補強材4の天板部41と断熱材2の上面が下地からの高さが略同一となるように押し込まれている。


補強用シート7はディスク固定用ビス6が防水シート3を貫通しているために防水性を確実なものとするために、固定用ディスク5およびディスク固定用ビス6を覆うものである。また、補強用シート7として熱可塑性樹脂製シートを使用することで、熱融着や溶剤溶着により防水シート3との接合が容易かつ確実になるため好ましい。さらに、本実施態様では防水シート3は塩化ビニル系樹脂製防水シート31で構成されているため、補強用シート7も防水シート3と同質の塩化ビニル系樹脂製シートとすることでより接合強度が向上するという点で好ましい。
また、固定用ディスク5は、鋼板で構成され上面には熱可塑性樹脂層が積層されている。さらに、本実施態様では防水シート3は塩化ビニル系樹脂製防水シート31で構成されているため、固定用ディスク5はこの上面を防水シート3と同質の塩化ビニル系樹脂製層で積層された塩化ビニル系樹脂積層鋼板が用いられている。そのために熱融着や溶剤溶着により接合することができ接合強度が向上するという点で好ましい。
図9には図4のような固定構造を用いた場合の平面図を示した。このように断熱材2の上に防水シート31が敷設され、その防水シート31の上に固定用ディスク5が所定の間隔で配置され、ディスク固定用ビス6によって止め付けられその上から補強用シート7が溶剤溶着または熱融着されている。また、補強用シート7の端部をシーラー(図示せず)で防水処理することもできる。固定用ディスクの間隔すなわち固定ピッチは図9のように縦、横ともに等間隔とすることができるが、その固定ピッチは任意である。また、その固定部位に応じて固定ピッチを変えてもよく、例えば防水すべき面の端縁部では固定ピッチを小さくしそれ以外の部分ではそれより大きくすることもできる。
補強材4は固定用ディスク5を止め付けるディスク固定用ビス6で同時に固定することができるが、ディスク固定用ビス6以外の補強材固定用のビス9を用いて別に補強材4を下地1に対して固定することもできる。これにより補強材4は下地に強く固定され接合強度が増し好ましい。また、断熱材3が経時により動く場合でも補強材4は下地に固定されているためディスク固定用ビス6のゆるみを防止できる。
この様な実施態様を図5に示した。これによると、コンクリート下地11の上に断熱材2が敷設され、補強材4が断熱材2を貫通するようにしてコンクリート下地11の上に配置される。そして、補強材4の天板部41に補強材固定用ビス9をねじ込みコンクリート下地に対して補強材4を止め付ける。そして、断熱材2の上に防水シート3である塩化ビニル製樹脂防水シート31を敷設し、その上で補強材4に対応する位置に固定用ディスク5を配置し、ディスク固定用ビス6で固定用ディスク5を止め付けて固定した。
また固定用ディスク5はこの上面を防水シート3と同質の塩化ビニル系樹脂製層で積層された塩化ビニル系樹脂積層鋼板が用いられている。そして塩化ビニル系樹脂製シートから成る補強用シート7を塩化ビニル製樹脂製防水シート31の上面と固定ディスク5の上面の塩化ビニル系樹脂層に熱による融着を行って、固定用ディスク5を覆うように接合した。さらに、その補強用シート7の端部をシーラーで防水処理した。
ここでディスク固定用ビス6は補強材4を貫通し、下地1であるコンクリート下地11に固定されている。これによって補強材4の天板部41とコンクリート下地11との2か所でディスク固定用ビス6が止められるために接合強度が大きくなる。また、固定用ディスク6は下地1には達せず補強材4で固定されていてもよい。
下地1として軽量発泡コンクリート(ALC)下地12を使用することもできる。この場合の実施態様を図6に示したが、図5と同様に補強材4を補強材固定用ビス91、92でALCに対して固定している。
ここでALCは下地にビスを打ち込んだ際の引き抜き強度が弱く、ディスク固定用ビス6を下地に打ち込むだけでは補強材4は下地に十分には固定されない場合がある。すなわち強風の際にその風による揚力によってディスク固定用ビス6が補強材4と共に抜け、塩化ビニル系樹脂製シート31が飛ばされることもありうる。このような場合においても、補強材固定用ビス9を下地に対して固定することで高い引き抜き強度が得られるため好ましい。
さらにALC下地12において、補強材固定用ビス9の間隔Lが小さいと複数のビスがまとまってALC下地から脱離する場合があるため、補強材固定用ビス9を複数使用する場合には、そのビス9の間隔を適切な範囲とすることがより好ましい。すなわち、図6において、2本の補強材固定用ビス91と92の間隔Lを30mm〜200mmとするのが好ましく、50mm〜150mmがより好ましく、60mm〜120mmがさらに好ましい。補強材固定用ビス9の間隔Lが30mm以上であれば、複数のビスがまとまって脱離するおそれが低くなり好ましい。また補強材4は補強材固定用ビス9の間隔Lに対応した大きさが必要となるため、補強材固定用ビス9の間隔Lを200mm以下とすることで補強材4を大型化する必要がなく好ましい。
ここで補強材固定用ビス9は、補強材4と下地1を固定するものであるから、ディスク固定用ビス6と同様の形状、材質ディスク固定用ビスのものが使用できる。また、複数本を使用してもよいが、ビス止めの工数とコストを考慮すると2本〜6本が好ましい。
さらに、既存の断熱材と防水シートを有する場合の改修にも適用することができる。この様な実施態様を図7に示した。コンクリート下地11の上には既存断熱材21と既存防水シート32が敷設されている。そして、この既存断熱材21と既存防水シート32の一部を切除して補強材4を下地の上に配置する。そして、既存防水シート32の上に緩衝用シート10と新規の防水シートとして塩化ビニル系樹脂製シート31を敷設し、その上の補強材4と対応する位置に固定用ディスク5を配置し、ディスク固定用ビス6を補強材4を貫通して、下地1に打ち込み、固定用ディスク5を固定した。これにより、新規の防水シート3である塩化ビニル系樹脂製シート31が固定ディスク5により固定される。
また固定用ディスク5はこの上面を塩化ビニル製樹脂製防水シート31と同質の塩化ビニル系樹脂製層で積層された塩化ビニル系樹脂積層鋼板が用いられている。そして塩化ビニル系樹脂製シートから成る補強用シート7を塩化ビニル製樹脂製防水シート31の上面と固定ディスク5の上面の塩化ビニル樹脂層に熱による融着を行って、固定用ディスク5を覆うように接合した。さらに、その補強用シート7の端部をシーラーで防水処理した。
ここで緩衝用シート10としては、1〜5mm厚みの発泡ポリエチレンシート、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維系の不織布、ポリエチレンを発泡させた格子状ネット等を用いることができる。これによって塩化ビニル製樹脂製防水シート31に含まれる可塑剤の移行を防止できる。ただし、緩衝用シート10を配置することを必須とするものではない。
また、これらの全ての実施態様において固定用ディスク5が補強材4を介して下地の上に固定されるのであれば、緩衝用シート10、防水性を向上させる増し張シート、下地に設けられた下穴に挿入されるアンカービスやエポキシ接着剤等の部材、材料を使用することができる。
1 下地
11 コンクリート下地
12 軽量発泡コンクリート(ALC)下地
2 断熱材
21 既存断熱材
3 防水シート
31 塩化ビニル系樹脂製防水シート
32 既存防水シート
4 補強材
41 天板部
42 側面部
5 固定用ディスク
6 ディスク固定用ビス
7 補強用シート
8 シーラー
9 補強材固定用ビス

Claims (7)

  1. 下地の上に敷設された断熱材と、
    前記断熱材に差し込まれるように前記下地の上に配置されると共に天板部と前記天板部に連結され前記天板部を支持する側面部を有する補強材と、
    前記補強材の前記天板部の上に配置される固定用ディスクと、
    前記固定用ディスクの上から前記天板部に打ち込まれたディスク固定用ビスと、
    前記固定用ディスクにより前記断熱材の上に固定される防水シートと、を備える防水シート固定構造。
  2. 前記防水シートが前記断熱材の上に敷設され、前記防水シートの上に前記固定用ディスクが配置され、前記ディスク固定用ビスが前記固定用ディスクの上から前記天板部に打ち込まれる請求項1に記載の防水シート構造。
  3. 前記固定用ディスクの前記天板部側の面と対向する面に接着層をさらに設け、
    前記防水シートが前記断熱材および前記固定用ディスクの上に敷設され、前記接着層を介して前記防水シートが前記固定用ディスクと接合された請求項1に記載の防水シート構造。
  4. 前記天板部と前記断熱材の上面が下地からの高さが略同一である請求項1または2に記載の防水シート固定構造。
  5. 前記ディスク固定用ビスが下地に止めつけられている請求項1〜3の何れか1項に記載の防水シート固定構造。
  6. 下地の上に断熱材を敷設し、
    天板部と前記天板部に連結され前記天板部を支持する側面部を有する補強材を前記断熱材に差し込むようにして前記下地の上に配置し、
    前記断熱材と前記補強材を覆うように防水シートを敷設し、
    前記防水シートの上から前記補強材と対応する位置に固定用ディスクを配置し、
    前記固定用ディスクの上からディスク固定用ビスを前記補強材の前記天板部に打ち込む防水シートの固定工法。
  7. 下地の上に断熱材を敷設し、
    天板部と前記天板部に連結され前記天板部を支持する側面部を有する補強材を前記断熱材に差し込むようにして前記下地の上に配置し、
    接着層を有する固定用ディスクを前記補強材の上に配置し、
    前記固定用ディスクの上からディスク固定用ビスを前記補強材の前記天板部に打ち込み、
    前記断熱材と前記固定用ディスクを覆うように防水シートを敷設し、
    前記接着層を介して前記防水シートと前記固定用ディスクを接合する防水シートの固定工法。
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