JP2013540703A - ジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法 - Google Patents

ジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法を提供する。
【解決手段】二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを含水溶媒中で反応させて、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成する。そこで副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にし、次いで中和することにより塩化ナトリウムを回収する。また、塩化ナトリウムの製造方法も提供する。ここでは二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを含水溶媒中で反応させて生成した塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にし、それを中和することにより塩化ナトリウムを回収する。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤのゴム加硫遅延剤用の原料等として有用なジシクロヘキシルジスルフィド、及び工業用の塩化ナトリウムの製造方法に関するものである。
一般に、ジシクロヘキシルジスルフィドの工業的な製造方法として、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを反応させる方法がある。この製造方法では、生産工程で産出する廃液に、副生した塩化ナトリウム、硫化物類、有機物類等が大量に含まれており、廃液の悪臭と着色が大きな問題となる。また、もしその廃液をそのまま排出すると、河川や海洋を汚染する。そのため、環境に悪影響を与えずに廃液を排出可能にする処理は容易ではない。
そこで、以下のような方法がある。副生する不溶物を反応混合物中から除去した後、反応混合物から油層を分離し、残った水層の一部または全てをさらに二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応に再使用する。また一方で、酸化剤を用いて副生する不溶物を処理して、環境負荷が少ない廃水に変えるという方法である(特許文献1および2を参照)。この方法は環境に対する影響を減らすことができるという面で優れている。しかし、実際には、この廃水は、無機塩の濃度が高いために以下の重大な欠点を有する。すなわち、各地域の環境規制等によっては、その廃水を河川や海洋に排出することができず、廃棄できない。しかも、副生する不溶物に含まれる塩化ナトリウム等の有用な資源を利用することができないという欠点がある。
中国特許出願、公開CN101070296号公報 日本特許出願、特開2007−326850号公報
本発明の目的は、環境に対して悪影響を全く与えず、かつ資源を有効に利用できる工業的に有利なジシクロヘキシルジスルフィドおよび塩化ナトリウムの製造方法を提供することにある。
本発明は、含水溶媒を用いて二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを反応させて、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成する方法において、副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にした後、中和することにより塩化ナトリウムを回収するジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法である。
また、本発明は、含水溶媒を用いた二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応により生成した塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にした後、中和することにより塩化ナトリウムを回収する塩化ナトリウムの製造方法である。
本発明によれば、環境に悪影響を全く与えず、低コストで、工業的に実用可能なジシクロヘキシルジスルフィド、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、および塩化ナトリウムの製造方法が提供できる。
本発明は、含水溶媒を用いて二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを反応させて、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成する方法において、副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にした後、中和することにより塩化ナトリウムを回収するジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法である。
また、本発明は、含水溶媒の二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応により生成した塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にした後、中和することにより塩化ナトリウムを回収する塩化ナトリウムの製造方法である。
本発明では、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを反応させる際に、含水溶媒を使用する。含水溶媒は水溶媒でもよい。クロロシクロヘキサンと水溶媒中の二硫化ナトリウムの混合状態を改善するために、水以外の親水性溶媒を水と共に使用してもよい。親水性溶媒はアルコールの使用が好ましく、メタノール、エタノールの使用がより好ましい。含水溶媒は含水メタノールまたは含水エタノールが好ましい。
アルコールを親水性の溶媒として使う場合、アルコールの含水溶媒全体に対する含有率は90重量%以下が好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%である。アルコールの含有率を90重量%以下にすれば、ジシクロヘキシルジスルフィドの収率と生産率が高くなる。
含水溶媒の使用量は、通常、クロロシクロヘキサンに対して、0.1〜10重量倍であり、好ましくは0.5〜5重量倍である。クロロシクロヘキサンに対して0.1〜10重量倍の範囲で含水溶媒を使用すると、ジシクロヘキシルジスルフィドの収率と生産率が高くなる。
本発明で使用する二硫化ナトリウムの製造方法に制限はない。二硫化ナトリウムは他者から提供されるものであっても、また使用前に合成したもの、あるいはクロロシクロヘキサンとの反応液中で同時に合成するものでもよい。
二硫化ナトリウムの使用量は、クロロシクロヘキサンに対して0.1〜2モル倍が好ましい。より好ましくは0.3〜1モル倍である。二硫化ナトリウムの使用量がクロロシクロヘキサンに対して、0.1〜2モル倍であれば、シクロヘキシルジスルフィドの収率が高く、原料のクロロシクロヘキサンの損失も少なくなる。
本発明で使用する二硫化ナトリウムの合成法には、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、含水溶媒中で硫化ナトリウムと硫黄を反応させる方法である。硫化ナトリウムと硫黄の反応は定量的に進行するので、硫黄の使用量は通常、硫化ナトリウムに対して0.5〜1.5モル倍である。好ましくは0.8〜1.2モル倍である。
本発明で使用するクロロシクロヘキサンの製造方法に制限はない。本発明で使用するクロロシクロヘキサンの製造方法には、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、シクロヘキサンと塩素を反応させる方法、或いは、シクロヘキサノールまたはシクロヘキセンと塩化水素を反応させる方法等である。
本発明では、反応促進剤として、好ましくは水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を共存させてもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量はクロロシクロヘキサンに対して、好ましくは1モル倍以下である。より好ましくは0.05〜0.5モル倍である。アルカリ金属水酸化物の使用量はクロロシクロヘキサンの1モル倍以下が有効で、クロロシクロヘキサンの損失が少なくなる。
本発明において、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応温度は、好ましくは50〜150℃、より好ましくは70〜120℃である。反応温度を50〜150℃にすると、反応速度が速くなりジシクロヘキシルジスルフィドの収率が高くなる。二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応時間は、好ましくは1〜24時間である。より好ましくは5〜15時間である。反応時間が1〜24時間であると、ジシクロヘキシルジスルフィドの収率が高くなる。反応の圧力は、通常は常圧でよいが、加圧してもよい。
本発明において、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応方法は、通常、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを反応器中で混合する。二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンのどちらを先に、反応器中へ入れてもよい。例えば、反応器中で二硫化ナトリウムを合成して、次いでクロロシクロヘキサンを加えてもよい。
本発明では、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを反応させると、反応終了後に目的物のジシクロヘキシルジスルフィドを生成し、副生物の塩化ナトリウムを生成している。
本発明では、副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にした後、中和することにより塩化ナトリウムを回収する。
本発明では、原料のクロロシクロヘキサン、硫化ナトリウム、二硫化ナトリウム由来の硫化ナトリウム等が、反応せずに一部残留する場合がある。このような場合、反応混合物は分離して、ジシクロヘキシルジスルフィド、クロロシクロヘキサン等を含む油層と、塩化ナトリウム、硫化ナトリウム等を含む水層となる。
すなわち、本発明は、含水溶媒を用いて二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを反応させて、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成する方法において、副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にした後、中和することにより塩化ナトリウムを回収するジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法である。
また、本発明は、含水溶媒を使った二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応で生成した塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にした後、中和することにより塩化ナトリウムを回収する塩化ナトリウムの製造方法である。
本発明では、好ましくは副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部が固体成分および/または液体成分である。
副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の一部が固体である場合には、塩化ナトリウム、硫化ナトリウム等を含む固体成分を反応混合物から取り出し、液体と分離するのがよい。副生する塩化ナトリウムを含む固体成分は、反応後に自然に析出させてもよく、また反応後にある種の処理をして析出させてもよい。
副生する塩化ナトリウムを含む固体成分を自然に析出させるには、以下のような例が挙げられる。すなわち、反応に使われる含水溶媒に、あらかじめアルコール等の塩化ナトリウムの貧溶媒を用いる方法、含水溶媒の量を少なくする方法等が挙げられる。副生する塩化ナトリウムを含む固体成分を自然に析出させるには、含水アルコール溶媒で反応を行うのが好ましい。より好ましいのは、含水メタノール溶媒または含水エタノール溶媒を用いるとよい。
副生する塩化ナトリウムを含む固体成分にある種の処理を行って析出させる方法としては、以下の例が挙げられる。すなわち、反応後、反応混合物にアルコールなどの塩化ナトリウムの貧溶媒を加える方法、溶媒を留出して析出させる方法等などがある。
本発明で、副生する塩化ナトリウムを含む固体成分を取り出す方法としては、通常、遠心濾過、加圧濾過、遠心沈降等を行う。また、固体成分を取り出すときに、溶媒で固体成分を洗浄(リンス)してもよい。リンス溶媒としては、アルコール、水等が挙げられる。
本発明では、副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にする。固体成分を酸性にするには、固体成分に水を加えるのが好ましい。さらに好ましくは、固体成分を水に完全に溶かして水溶液にすることである。本発明では、塩化ナトリウムを含む固体成分を反応混合物から取り出して、その後水を加えて水溶液とするのがさらに好ましい。本発明では、好ましくは、生成した塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にして、特に環境に悪影響を与える硫化ナトリウム類を取り除き、精製された塩化ナトリウムを回収する。本発明で、さらに好ましくは、精製した塩化ナトリウム水溶液として塩化ナトリウムを回収する。
副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にするには、酸を加える。酸としては無機酸が好ましい。より好ましくは、塩酸、硫酸が挙げられる。酸の濃度に制限はない。酸を加えて、塩化ナトリウムを含む混合物の水素イオン濃度をpH6以下にするのが好ましく、さらに好ましくは水素イオン濃度をpH4〜5にするとよい。
本発明では、塩化ナトリウムを含む固体成分を反応混合物から取り出して、残留した液体成分から油層を分液し、少量の塩化ナトリウムが残留した水層の一部或いは全てを、さらに二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応に用いるのが好ましい。二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの再反応(第2回目の反応)は、最初の反応(二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを反応させてジシクロヘキシルジスルフィドを合成する初回の反応)と同様に実施することができる。
例えば、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応後に、先ず塩化ナトリウムを含む固体成分を遠心分離して、反応混合物中から取り出し、その後、濾液の液体成分の油層を分液して、残留した水層に硫化ナトリウムと/または硫黄を加えて、混合して加熱し、二硫化ナトリウムを合成した後、クロロシクロヘキサンと再反応させる。この再反応は、複数回繰り返すことができ、また水層を有効利用することができて、環境に悪影響を及ぼす水層を廃棄する必要がなくなる。
本発明では、塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にすることで、好ましくは、反応混合物中に共存する硫化ナトリウム類を、硫化水素を含むガスとして放出させ、水酸化ナトリウム水溶液に吸収させて回収することができる。硫化水素を含むガスを放出させるには、反応混合物の一部に酸を加えてもよく、酸に反応混合物の一部を加えてもよい。本発明では、好ましくは、反応混合物に酸を加える。吸収に用いる水酸化ナトリウム水溶液の水酸化ナトリウムの量は、含まれる硫化ナトリウムまたは硫化水素の1モル倍以上が好ましく、2モル倍以上がより好ましい。ガスの吸収装置には、液滴式、気泡式、液膜式等があるが、特に制限はない。実験室ではガスの吸収装置としてはガス洗浄瓶の使用が好ましい。確実に吸収するために、ガスの吸収装置は複数の装置を使用する。水酸化ナトリウム水溶液中に回収した硫化ナトリウムは、工業的に有効に使用できる。水酸化ナトリウム水溶液中に回収した硫化ナトリウムは、本発明のジシクロヘキシルジスルフィドと塩化ナトリウムの製造方法で使用するのが好ましい。
本発明では、塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にした後、酸性にした反応混合物に塩基を加えて中和する。使用する塩基は無機塩基が好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウムである。塩基は水溶液として加えてもよく、固体のまま直接加えてもよい。塩基の使用量については、塩化ナトリウムを含む混合物の水素イオン濃度をpH6〜8にする量が好ましく、より好ましくはpH7となる量である。水素イオン濃度がpH6〜8であれば、塩化ナトリウムの品質が良好である。
本発明では、回収した塩化ナトリウムまたは塩化ナトリウム水溶液を、酸化剤を用いて処理して、微量の残留した硫化物類を分解するのが好ましい。酸化剤を入れて酸化処理を行うことで、通常、還元性の硫化物や悪臭がなくなり、塩化ナトリウムの品質を高めることができる。本発明で使用する酸化剤は、過酸化物類、酸素、空気、次亜塩素酸類、塩素、オゾン等が好ましい。より好ましくは、酸化剤は、過酸化水素、空気、次亜塩素酸ナトリウムである。過酸化水素の濃度は、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは5〜50重量%である。次亜塩素酸ナトリウムの濃度は1〜50重量%が好ましく、より好ましくは5〜15重量%である。酸化剤の使用量は回収する塩化ナトリウムに対して、0.001モル倍以上が好ましく、より好ましくは0.01〜1モル倍である。酸化剤の使用量が少なければ効果は低く、多ければ経済的に不利となる。本発明では、複数の酸化処理を組み合わせてもよい。例えば、過酸化水素水、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を加えて酸化処理を行い、その後さらに空気を液体中に導入して酸化、脱臭してもよい。酸化処理の温度は、好ましくは25℃以上、より好ましくは60〜100℃である。温度が低いと酸化は遅く、高いと不経済になる場合がある。酸化処理の時間は0.1時間以上が好ましく、より好ましくは0.2〜4時間である。時間が短ければ、酸化は進まず、長ければ不経済になる場合がある。塩化ナトリウムの水溶液に酸化処理をした後、不溶物や濁りを生じる場合があり、品質を考えれば濾過することが好ましい。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法においては、目的物のジシクロヘキシルジスルフィドを精製するのが好ましい。ジシクロヘキシルジスルフィドの精製法としては、反応後、副生したシクロヘキセン、未反応のクロロシクロヘキサン等の不純物を、分離した油層から留去する方法が挙げられる。また、高純度のジシクロヘキシルジスルフィドを得るには、好ましくはジシクロヘキシルジスルフィドを蒸留する方法がある。
得られたジシクロヘキシルジスルフィドは、主にゴム加硫遅延剤の一つであるN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの原料として使用できる。例えば、有機溶媒中でジシクロヘキシルジスルフィドに塩素ガスを反応させて、シクロヘキシルスルフェニルクロリド溶液を調製し、次に、その溶液をフタルイミド、塩基、および有機溶媒の混合物と反応させ、後処理し、晶析する。こうして工業的に使用可能な品質のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドが得られる。
また、本発明で製造する精製された塩化ナトリウムは、陽イオン交換樹脂の再生に使うことができる。一般に、陽イオン交換樹脂は、ナトリウムイオン形の製品形態である。例えば、金属の種類によるイオン選択性の傾向に従って、ナトリウムイオンを放出して、カルシウム、マグネシウム等の他の金属イオンを捕捉するのに用いられる。その後その他の金属イオンと交換されたイオン交換樹脂に本発明の塩化ナトリウム水溶液を作用させれば、再度、ナトリウムイオン形に再生することができる。陽イオン交換樹脂には、強酸性形と弱酸性形がある。強酸性形が好ましく、スルホン酸形がより好ましく挙げられる。
本発明で製造する精製された塩化ナトリウムは、特に、工業用ボイラーの供給水、洗浄水、冷却水の軟水化用の陽イオン交換樹脂の再生に適している。例えばイオン交換塔等にイオン交換樹脂を充填して、地下水などの硬水を通液させれば、軟水が得られる。その間、陽イオン交換樹脂は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等を捕捉して、イオン交換能力は低下する。その後、本発明の精製した塩化ナトリウムを10重量%ほどの濃度の溶液にして通液させることにより、樹脂上の金属イオンをナトリウムイオンに交換して、イオン交換能力を回復させることができる。
こうして、本発明によれば、環境に悪影響を全く与えることなく、以前は廃棄されていた塩化ナトリウム等を有用な資源として、また工業的に有用な化合物として有効に利用することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
(含水メタノール溶媒での反応)
オートクレーブに、60重量%硫化ナトリウム140g(結晶水56.0g、硫化ナトリウム量84.0g、1.08モル(分子量78.1))、硫黄31.4g(0.978モル(原子量32.1))、水酸化ナトリウム12.1g(0.303モル(分子量40.0))、メタノール80.0g、および水130gを仕込み、65℃で0.5時間加熱し、二硫化ナトリウムを調製した。冷却後、オートクレーブを開放し、95重量%クロロシクロヘキサン190g(クロロシクロヘキサン量181g、1.53モル(分子量118.6))を仕込み(合計584g)、100℃、ゲージ圧力200kPaで8時間加熱して、初回の反応を実施した。冷却後、初回反応混合物から、副生した塩化ナトリウムを含む固体成分を濾過して取り出した。こうして、110gの固体成分が得られた。濾液は440gであった。固体成分には、78.0gの塩化ナトリウム(1.33モル(分子量58.44))が含まれていた。固体成分には副生した塩化ナトリウムを含む液体成分が付着していた。
その後、濾液を分液すると、残留した塩化ナトリウムを含む初回反応の水層280gと油層160gになった。水層は硫黄化合物の悪臭がひどく、真っ黒で、環境負荷が大きな液体であった。油層にガスクロマトグラフィー分析を実施した。油層のジシクロヘキシルジスルフィドの濃度は84.4重量%(ジシクロヘキシルジスルフィド量135g、0.586モル(分子量230.4)、反応収率76.6%)であった。
再利用(第二回目の反応)を行うために、初回反応の水層280gをオートクレーブに入れ、60重量%硫化ナトリウム95g(結晶水38g、硫化ナトリウム量57g、0.730モル)、硫黄20.6g(0.643モル)、水酸化ナトリウム5.5g(0.14モル)、メタノール7.0g、および水6.0gを仕込み、65℃で0.5時間加熱して二硫化ナトリウムを調製した。冷却後、オートクレーブを開放し、95重量%クロロシクロヘキサン190g(クロロシクロヘキサン量181g、1.53モル)を仕込み(合計604g)、100℃、ゲージ圧力200kPaで8時間加熱し、第二回反応を実施した。冷却後、第二回反応混合物から、副生した塩化ナトリウムを含む固体成分を濾過して取り出して、120gの固体成分を得た。濾液は460gであった。固体成分には、塩化ナトリウム80.0g(1.37モル)が含まれていた。固体成分には、副生した塩化ナトリウムを含む液体成分が付着していた。
それから濾液を分液して、第二回反応の水層300gと油層160gを得た。水層は硫黄化合物の悪臭がひどく、真っ黒で、河川の汚染など環境に悪影響を及ぼすと思われる液体であった。油層にはガスクロマトグラフィー分析を実施した。油層のジシクロヘキシルジスルフィドの濃度は83.1重量%(ジシクロヘキシルジスルフィド133g、0.577モル、反応収率75.5%)であった。
このように、環境に悪影響を与える初回反応の水層を、全く廃棄せずに、問題なく第二回反応(再反応)に有効に利用することができた。
引き続き、300gの第二回反応の水層を、上記と同様に、第三回目の反応に用いて、環境負荷が大きい第二回反応の水層を全く廃棄せずに第三回反応(再反応)に有効に利用することができる。
ジシクロヘキシルジスルフィドの濃度については、以下の分析条件で、ガスクロマトグラフィー分析を行った。
ガスクロマトグラフィー装置:島津GC−17A
カラム:NB−1、長さ60m×内径0.25mmφ、膜厚0.40μm
カラム温度:70→270℃、5℃/分
キャリアーHeガス圧力:180kPa(70℃)
注入口・FID検出器温度:270℃
(固体成分の処理)
初回反応と第二回反応において副生した固体成分を混合した。そこから175g(塩化ナトリウム量120g、2.06モル;硫化ナトリウム量8.6g、0.11モル)を取り出して、300mlの水で溶解すると黒緑色の塩化ナトリウム水溶液となって、硫黄化合物の悪臭がした。この溶液に30重量%塩酸30ml(35g、塩化水素量10.4g、0.28モル(分子量36.46))を撹拌しながら加えて、液体の温度が20℃から50℃まで上がり、pH値を4にした。同時に放出された硫化水素ガスを30重量%水酸化ナトリウム水溶液160ml(214g、水酸化ナトリウム量64g、1.6モル)を入れたガス洗浄瓶に導入して吸収させ、500gの粗製塩化ナトリウム水溶液が残った。
一方、このようにして塩酸を加えて酸性にした500gの粗製塩化ナトリウム水溶液に、30重量%の水酸化ナトリウム水溶液6.0ml(8.0g;水酸化ナトリウム量2.4g、0.06モル)を加えて中和し、液体温度50℃で、pH値を7にした。その後、30%の過酸化水素水5.0g(過酸化水素量1.5g、0.044モル(分子量34.0))を加え、80℃で0.5時間加熱した。0.5時間、同温度下で水溶液の底部から空気をバブリングして臭気を除いた。その後、液体の温度を50℃に冷却し、濾紙で不溶物を濾過した。こうして無色透明な26重量%精製塩化ナトリウム水溶液510g(比重1.2)が得られた。精製塩化ナトリウム水溶液中には、塩化ナトリウム137g(2.34モル)、硫酸ナトリウム1.5g(分子量142.1)が含まれていた。
(陽イオン交換樹脂の再生)
このようにして回収した精製塩化ナトリウム水溶液を脱イオン水で希釈して、室温で10重量%塩水400mlを調製した。ボイラー用地下水の軟化に用いた50gの強酸性スチレン系陽イオン交換樹脂(全交換容量4.5mmol/g、上海源叶生物科技有限公司製)を分液漏斗に入れた。そこに先に調製した塩水を入れ、樹脂を浸漬した状態で一日放置した。次に、分液漏斗の下部から塩水を抜き出し、もう一度分液漏斗に入れた。同様にして塩水を抜き出した。
続いて、未処理の地下水2000ml(硬度8.0ミリグラム当量/L)を分液漏斗に入れて通し、処理後の水を回収した。回収した水をEDTA滴定した。その結果、硬度は、0.01ミリグラム当量/Lであった。硬度が0.04ミリグラム当量/L以下であり、軟化の面で問題はなく、ボイラー用に用いることができた。
実施例2
(液体成分の処理)
実施例1に記載した含水メタノール溶媒の反応で、初回反応で得られた固体成分を反応混合物から取り出して、濾液を分液した。残留した塩化ナトリウムを含む初回反応の水層280gから48g(メタノール量13g、塩化ナトリウム量2.0g、0.034モル;硫化ナトリウム量4.8g、0.062モル)を取った。初回反応の水層は黒緑色、硫黄化合物の悪臭がある液体であった。
48gの初回反応の水層に、30重量%塩酸16ml(19g、塩化水素量5.6g、0.154モル)を、撹拌しながら加えた。水層の温度は20℃から40℃に上がり、水層のpH値は2になった。30重量%塩酸を加えることで、放出された硫化水素のガス2.1g(0.062モル(分子量は34.1))を、30重量%水酸化ナトリウム水溶液36g、(水酸化ナトリウム量10.8g、0.270モル)に導入して吸収させ、硫化ナトリウムを得た。水層として、粗製塩化ナトリウム水溶液67g(メタノール量13g、塩化ナトリウム量9.2g、0.158モル)が残った。
その後、この粗製塩化ナトリウム水溶液に、30重量%の水酸化ナトリウム水溶液4.0g(水酸化ナトリウム量1.2g、0.030モル)を加えて中和し、pH値を7にした。粗製塩化ナトリウム水溶液の温度は30℃であった。次に、30%過酸化水素水2.7g(過酸化水素量0.81g、0.024モル)を加えて、80℃で0.5時間加熱した。0.5時間、80℃で水溶液の底部から空気をバブリングし、臭気とメタノールを除去した。そして、液体の温度を50℃に冷却し、濾紙で不溶物を濾過した。こうして58gの無色透明な19重量%精製塩化ナトリウム水溶液(比重1.2)が得られた。精製された塩化ナトリウム水溶液には、塩化ナトリウム11g、硫酸ナトリウム0.3gが含まれていた。この精製塩化ナトリウム水溶液は、実施例1と同様に陽イオン交換樹脂の再生に使うことができた。
実施例3
(含水エタノール溶媒での反応)
実施例1のメタノールに替えて、同量のエタノールを仕込み(合計584g)、100℃、常圧、12時間加熱したこと以外は、実施例1と同様に初回反応を実施し、固体成分に同様の処理を行った。
初回反応では、103gの固体成分を得た。濾液は460gであった。固体成分には塩化ナトリウム72.1g(1.23モル)が含まれていた。固体成分には、副生した塩化ナトリウムを含んだ液体成分が付着していた。
次いで、初回反応の水層300gと油層152gに分離した。水層は硫黄化合物の悪臭がひどく、真っ黒で環境負荷が大きな液体であった。油層にガスクロマトグラフィー分析を行った。油層のジシクロヘキシルジスルフィドの濃度は59.2重量%(ジシクロヘキシルジスルフィド量は90.0g、0.391モル、反応収率は51.1%)であった。
引き続き、上記と同様に300gの初回反応の水層を、第二回反応に用いて、環境負荷が大きな初回反応の水層を全く廃棄することなく、第二回反応(再反応)に有効に利用することができる。
(固体成分の処理)
初回反応で副生した固体成分の中から88g(塩化ナトリウム量62g、1.1モル;硫化ナトリウム量4.4g、0.056モル)を取り出して、150mlの水を加えて溶かしたところ、黒緑色の塩化ナトリウム水溶液になって、硫黄化合物の悪臭があった。実施例1と同様に、この溶液を酸性にする処理を行って、230gの粗製塩化ナトリウム水溶液が残った。
次に、実施例1と同様に、この粗製塩化ナトリウム水溶液に中和等の処理を行って、235gの無色透明な30重量%精製塩化ナトリウム水溶液(比重1.2)を得た。精製塩化ナトリウム水溶液には、塩化ナトリウム70.5g、硫酸ナトリウム1.0gが含まれていた。
実施例4
(N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法)
実施例1の第二回反応で得た油層160g(ジシクロヘキシルジスルフィド量133g、0.577モル)を、常圧、80〜120℃で濃縮して、さらに減圧して、20〜85kPaで濃縮し、こうして140gの精製ジシクロヘキシルジスルフィド(純度94%)を得た。
こうして得た精製ジシクロヘキシルジスルフィド87g(純度94%、0.35モル)と、トルエン/シクロヘキサンの混合溶媒127g(トルエン15重量%)を、ガラス製フラスコに仕込み、冷却媒体で−20℃まで冷却した。撹拌しながら、ガラス・ボンベに採取した塩素20ml(30g、0.43モル(分子量70.9))を、ガラス製フラスコに、液体温度−20〜−10℃で1.5時間かけて吹き込んで、ジシクロヘキシルジスルフィドの塩素化を行って、シクロヘキシルスルフェニルクロリド溶液(0.70モル)を得た。
次いで、ガラス製フラスコに、フタルイミド103g(0.70モル(分子量147.1))、トリエチルアミン129ml(93g、0.92モル(分子量101.2))、およびトルエン/シクロヘキサン混合溶媒127g(トルエン15重量%)を仕込み、温水で60℃まで加温した。先に調製したシクロヘキシルスルフェニルクロリドの溶液は−10℃に保冷した。撹拌しながら、60〜65℃で1.5時間かけて、フラスコにシクロヘキシルスルフェニルクロリド溶液を供給した。その後1時間、60〜65℃で撹拌を続けて、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、未反応のフタルイミド、塩化トリエチルアンモニウム等を含む反応混合物を得た。
60〜65℃で、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含む反応混合物に、温水163gを加えて、アンモニウム塩等を溶解し、その後未反応のフタルイミドなどを濾過した。温度60〜65℃で濾液から過剰なトリエチルアミン等を水層へ除くため、硫酸を加えて中和した。そして、油層中に残留するフタルイミドを除くために、温度60〜65℃で、48重量%苛性ソーダを加えて水層を分離した。残留した油層を10℃まで冷却して、粗製のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを晶析した。この結晶を濾過し、乾燥して、159gの精製品(純度99%、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの含有量157g、0.60モル(分子量261.3))と280gの晶析母液(N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド含有量6g、0.02モル)を得た。N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドのフタルイミドに対する合計収率は89%(163g、0.62モル)であり、精製N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの晶析率は96%であった。
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの濃度については、以下の分析条件でガスクロマトグラフィー分析を行った。
ガスクロマトグラフィー装置:島津GC−17A
カラム:NB−1、長さ60m×内径0.25mmφ、膜厚0.40μm
カラム温度:70→270℃、5℃/分
キャリアーHeガス圧力:180kPa(70℃)
注入口・FID検出器温度:270℃
実施例5
(回収した硫化ナトリウムを利用した反応)
実施例1の固体成分の処理と同様に、固体成分を水に溶かして、pH4の酸性に調節し、放出される硫化水素ガスを、30重量%水酸化ナトリウム水溶液を入れたガス洗浄瓶へ導入し吸収させた。固体成分を水に溶かして、pH4の酸性に調節し、放出される硫化水素ガスを、30重量%水酸化ナトリウム水溶液を入れたガス洗浄瓶へ導入し吸収させる工程をガスが吸収されにくくなるまで繰り返して、27重量%硫化ナトリウム水溶液を得た。
27重量%硫化ナトリウム水溶液311g(水量227g、硫化ナトリウム量84.0g、1.08モル)を用いて、硫化ナトリウムと水を仕込まずに(合計625g)、実施例1と同様に反応を行った。100gの固体成分を得た。濾液は500gであった。固体成分には塩化ナトリウムが76.0g(1.30モル)含まれていた。固体成分には、副生された塩化ナトリウムを含む液体成分が付着していた。
次に、濾液を分液した。残留した塩化ナトリウムを含む初回反応の水層342gと油層158gを得た。水層は硫黄化合物の悪臭がひどく、真っ黒で環境負荷が大きな液体であった。油層にはガスクロマトグラフィー分析を実施した。油層のジシクロヘキシルジスルフィドの濃度は83.5重量%(ジシクロヘキシルジスルフィド量は132g、0.573モル、反応収率は74.9%)であった。
比較例
(固体成分の処理)
実施例1で使用した固体成分と同様の固体成分175g(塩化ナトリウム量120g、2.06モル;硫化ナトリウム量8.6g、0.11モル)を取り、300mlの水で溶解すると、黒緑色の塩化ナトリウム水溶液となり、硫黄化合物の悪臭があった。この475gの粗製塩化ナトリウム水溶液に、30%過酸化水素水57g(過酸化水素量17g、0.5モル)を加えて、80℃で0.5時間加熱した。80℃で0.5時間、水溶液底部から空気をバブリングして臭気を除いた。そして液体の温度を50℃に冷却して、濾紙で不溶物を濾過した。こうして530gの薄黄色の濁った23重量%精製塩化ナトリウム水溶液(比重1.2)を得た。精製塩化ナトリウム水溶液には塩化ナトリウム120g、硫酸ナトリウム16gが含まれていた。
この溶液は硫酸ナトリウムを多く含んでいる。そのため陽イオン交換樹脂の再生剤などの工業的な利用はできない。また無機塩の濃度が高く、そのままでは河川や海洋に排出することはできない。
本発明は環境に対して悪影響を与えず、かつ工業的にも有利なジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法を提供することができる。また、環境に悪影響を与えずに、塩化ナトリウム等の副生物を回収して有効利用することができる。
本発明で製造したジシクロヘキシルジスルフィドは、主にゴム加硫遅延剤の一つであるN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの原料になる。
本発明で製造される塩化ナトリウムは工業用ボイラーの供給水、洗浄水、冷却水の軟水化に用いられる陽イオン交換樹脂の再生に使用できる。

Claims (13)

  1. 含水溶媒を用いて、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンを反応させて、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成する製造方法であって、副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にした後、中和することにより塩化ナトリウムを回収するジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
  2. 副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部が、固体成分および/または液体成分である請求項1に記載のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
  3. 塩化ナトリウムを含む固体成分を、反応混合物から取り出し、次に水を加えて水溶液にする請求項2に記載のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
  4. 塩化ナトリウムを含む固体成分を、反応混合物から取り出し、次に濾液からジシクロヘキシルジスルフィドを含む油層を分離し、残留している塩化ナトリウムを含む水層を、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応に再利用する請求項3に記載のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
  5. 副生した塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にすることにより、硫化水素を含むガスを放出させ、放出された硫化水素を含むガスを、水酸化ナトリウム水溶液で吸収して、硫化ナトリウム水溶液にして回収する請求項1に記載のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
  6. 含水溶媒が含水メタノールまたは含水エタノールである請求項1に記載のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
  7. 請求項1に記載の方法で製造したジシクロヘキシルジスルフィドを原料とするN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法。
  8. 含水溶媒を用いて行った二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応で生成した塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にした後、中和することにより塩化ナトリウムを回収する塩化ナトリウムの製造方法。
  9. 副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部が、固体成分および/または液体成分である請求項8に記載の塩化ナトリウムの製造方法。
  10. 塩化ナトリウムを含む固体成分を、反応混合物から取り出し、次に水を加えて水溶液にする請求項9に記載の塩化ナトリウムの製造方法。
  11. 副生する塩化ナトリウムを含む反応混合物の少なくとも一部を酸性にすることにより、硫化水素を含むガスを放出させ、放出された硫化水素を含むガスを、水酸化ナトリウム水溶液で吸収させて、硫化ナトリウム水溶液として回収する請求項8に記載の塩化ナトリウムの製造方法。
  12. 含水溶媒が含水メタノールまたは含水エタノールである請求項8に記載の塩化ナトリウムの製造方法。
  13. 請求項8に記載の塩化ナトリウムの製造方法で回収した塩化ナトリウムを、陽イオン交換樹脂の再生剤として用いる塩化ナトリウムの使用法。
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