JP2006347913A - N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法 - Google Patents

N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 塩素化炭化水素のような環境に対する負荷が大きい溶媒を用いず、かつ工業的に有利にN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを製造する方法を提供する。
【解決手段】 芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中でシクロヘキシルスルフェニルクロリドを合成し、次いで芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中でシクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとを反応させ、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを製造方法する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ゴムの加硫工程における加硫遅延剤として有用な化合物であるN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法に関する。さらに詳しくは、環境に対する負荷が小さく、かつ工業的に有利にN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを製造する方法を提供する製造方法に関する。
一般に、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドは、シクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドを塩基の共存下に反応させて製造する。この製造方法は、通常、まず、塩素を用いて、強酸性条件で、シクロヘキシルスルフェニルクロリドを合成する。次いで、強塩基性条件で、シクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとの反応を行う。そのため、それぞれの反応で、特性の異なる溶媒を用いる方法も考案されたが、特性の異なる溶媒を用いる方法は、工業的に不利である。そこで、両反応条件で安定な溶媒として、塩素化炭化水素、たとえば、四塩化炭素を単一溶媒として用いる方法が知られている(特許文献1参照)。この方法は、沸点の高くない安定な単一溶媒で、分離回収・再利用の点では優れている。しかし、塩素化炭化水素は環境に対する負荷が非常に大きく、とくに四塩化炭素は、がん原性があり,水質汚濁防止法の有害物質であり,さらに、海洋汚染物質,オゾン層破壊物質などでもあるので、現在、工業的に溶媒として使用することが困難であるという問題があった。
特開昭59−122464号公報
本発明の目的は、塩素化炭化水素のような環境に対する負荷が大きい溶媒を用いず、かつ工業的に有利にN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを製造する方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、特定の条件下,環境に対する負荷が小さい特定の溶媒を用いることにより、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを製造することができる。
すなわち本発明は、芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中でシクロヘキシルスルフェニルクロリドを合成し、次いで芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中でシクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとを反応させ、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを製造するN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法である。
本発明によれば、従来、一般的に用いられてきた環境に対する負荷の大きい塩素化炭化水素溶媒を使用せず、かつ、工業的に有利に、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを製造することができる。
本発明は、芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中でシクロヘキシルスルフェニルクロリドを合成し、次いで芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中でシクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとを反応させ、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを製造するN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法である。
本発明では、芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中を用いる。
本発明の芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒に用いる芳香族炭化水素は、とくに制限はないが、炭素数が6から10の芳香族炭化水素が好ましい。本発明の混合溶媒に用いる芳香族炭化水素は、さらに好ましくは炭素数が7から8の芳香族炭化水素である。本発明の混合溶媒に用いる芳香族炭化水素は、具体的には、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。本発明の混合溶媒に用いる芳香族炭化水素は、なかでも好ましくはトルエンである。炭素数6のベンゼンは、毒性が強く、好ましくない。本発明の混合溶媒に用いる芳香族炭化水素は、炭素数が10より多いと、沸点が高くなり、蒸留回収が不利になる場合がある。
本発明の芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒に用いる飽和炭化水素溶媒は、とくに制限はないが、好ましくは炭素数が5から8の飽和炭化水素溶媒である。本発明の混合溶媒に用いる飽和炭化水素溶媒は、具体的には、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン、n−オクタン、シクロオクタンなどを挙げることができる。本発明の混合溶媒に用いる飽和炭化水素溶媒は、さらに好ましくは、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサンを挙げることができる。本発明の混合溶媒に用いる飽和炭化水素溶媒は、炭素数が少ないと沸点が低いため物理的損失が多くなり、炭素数が9より多いと沸点が高くなり蒸留回収が不利になる場合がある。
本発明で用いる芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中の芳香族炭化水素の含有率は、とくに制限はないが、好ましくは、3重量%から47重量%、さらに好ましくは、5重量%から20重量%である。芳香族炭化水素は、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの溶解性が高いので、芳香族炭化水素の含有率が3重量%より低いと反応混合物中に目的物が析出し、反応不良の原因になる場合があり、含有率が47重量%より高いと反応後、目的物の回収率低下の原因になる場合がある。
本発明で用いるシクロヘキシルスルフェニルクロリドの合成法については、とくに制限はないが、芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中で合成することが重要である。
一般に、シクロヘキシルスルフェニルクロリドは、ジシクロヘキシルジスルフィドあるいはシクロヘキシルメルカプタンと塩素との反応で合成されるが、その他の合成法であってもよい。
シクロヘキシルスルフェニルクロリドをジシクロヘキシルジスルフィドあるいはシクロヘキシルメルカプタンと塩素とを反応させて合成する場合の反応条件は、とくに制限はないが、通常、塩素の使用量は、塩素化原料に対して、0.5から2倍モル、好ましくは、1から1.5倍モルである。塩素のモル比が低くても高くても収率が低下する。溶媒の使用量は、通常、ジシクロヘキシルジスルフィドあるいはシクロヘキシルメルカプタンに対して、0.5から10倍重量、好ましくは、1から5重量倍である。溶媒量が少ないと収率が低下し、多いと生産性が落ちる。反応温度は、通常、−30から20℃、好ましくは、−20から0℃である。反応温度が低いと塩素化反応が遅くなり、反応温度が高いと目的物が分解する。塩素ガスとの反応時間は、通常、0.1から10時間である。塩素ガスとの反応時間は、好ましくは、1から5時間である。反応時間が短いと収率が低下し、長いと生産性が落ちる。反応圧力は、通常、常圧で行うが、減圧下であっても加圧下であってもよい。反応方法は、とくに制限はないが、通常、芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒に、ジシクロヘキシルジスルフィドあるいはシクロヘキシルメルカプタンを溶解し、塩素ガスを吹き込み合成する。反応方法は、それ以外の方法であってもよい。
次いで、本発明においては、芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中で、シクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとを反応させることが重要である。シクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとの反応は、好ましくは、シクロヘキシルスルフェニルクロリドの合成で用いた溶媒と同種類かつ同組成の混合溶媒を用いるが、必ずしも同一である必要はない。
本発明で用いるシクロヘキシルスルフェニルクロリドは、例えば、合成したものを、低温で保持して、フタルイミドとの反応に使用する。シクロヘキシルスルフェニルクロリドの保存温度は、通常−30から20℃、好ましくは、−20から0℃である。保存温度が低いとフタルイミドとの反応が遅くなり、保存温度が高いと内容物が分解する場合がある。
本発明で用いるフタルイミドは、とくに制限はなく、いかなる製法によって合成されたものでもよい。フタルイミドの製造方法は、たとえば、アンモニアあるいは尿素などと無水フタル酸との反応を挙げることができる。
本発明では、シクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとの反応条件は、とくに制限はないが、フタルイミドに対するシクロヘキシルスルフェニルクロリドのモル比は、通常、0.5から3倍モル、好ましくは、0.8から1.5倍モルである。フタルイミドに対するシクロヘキシルスルフェニルクロリドのモル比が低いと、未反応フタルイミドが多くなり、モル比が高いと、未反応のシクロヘキシルスルフェニルクロリドが分解するため不利である。シクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとの反応では、溶媒の使用量は、通常、フタルイミドに対して、0.5から10倍重量、好ましくは、1から5重量倍である。溶媒量が少ないと、収率が低下し、溶媒量が多いと生産性が落ちる。反応温度は、通常、30から100℃、好ましくは、50から80℃である。反応温度が低いと、反応が遅くなり、反応温度が高いと、目的物やシクロヘキシルスルフェニルクロリドが分解する。反応時間は、通常0.1から10時間である。好ましくは、1から5時間である。反応時間が短いと、収率が低下し、反応時間が長いと、生産性が落ちる。反応圧力は、通常、減圧下であり、常圧下あるいは減圧下であってもよい。
シクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドの反応方法は、芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中で合成されたシクロヘキシルスルフェニルクロリドと、フタルイミドとを、芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中で反応させる。シクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドの反応は、通常、シクロヘキシルスルフェニルクロリド溶液を反応器内のフタルイミドの溶媒中、スラリーに添加するか、または、フタルイミドの溶媒中スラリーを反応器内のシクロヘキシルスルフェニルクロリド溶液に添加するか、あるいは、同時に反応器内に添加し接触させることができる。シクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドの反応は、好ましくは、熱的に不安定なシクロヘキシルスルフェニルクロリド溶液を、−30から20℃で、低温保持しつつ、反応器内のフタルイミドの溶媒中スラリーに添加する。
本発明のシクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとの反応において、塩化水素が副生するので、捕捉剤として塩基を共存させることができる。
本発明で、好ましく使用する塩基は、とくに制限はない。本発明で使用する塩基は、有機塩基、無機塩基あるいはそれらの混合物でもよい。有機塩基としては、好ましくは3級アミンであり、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルフォリンなどを挙げることができる。さらに好ましくは、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンである。無機塩基としては、金属水酸化物、金属酸化物などを挙げることができる。無機塩基としては、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類酸化物である。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムを挙げることができる。さらに好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムである。無機塩基は、水溶液あるいは水中スラリーとして使用してもよい。
本発明で、好ましく使用する塩基の使用量は、通常、シクロヘキシルスルフェニルクロリドに対して、0.7倍モルから3倍モルの範囲である。塩基の使用量は、好ましくは、0.9倍モルから2倍モルである。さらに好ましくは1倍モルから1.5倍モルである。塩基の使用法は、とくに制限はないが、通常、反応開始前に全量仕込む。シクロヘキシルスルフェニルクロリド溶液をフタルイミドの溶媒中スラリーに添加する場合、シクロヘキシルスルフェニルクロリド溶液の添加に合わせて同時並行的に連続供給してもよい。また、無機塩基を使用する場合、単独使用せず、予めフタルイミドと使用する無機塩基を反応させ、カリウムフタルイミドやナトリウムフタルイミドのようなフタルイミド塩を合成し,シクロヘキシルスルフェニルクロリドと反応させてもよい。
本発明により製造したN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドには、反応後の処理および単離精製について、とくに制限はないが、一般に、最終的に溶媒と分離して、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを結晶性固体の製品として得る。
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法では、通常、後処理では副生する塩化水素、塩基、副生塩などを除くため、反応混合物を水と混合し、酸で中和後、分液してN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含む油層を得る。
本発明のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法では、その後、一般に単離精製は、晶析法を取ることが多く、精製方法として、いくつかの手法を挙げることができる。
N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの精製方法は、たとえば、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを含む油層を冷却し晶析する方法、油層を濃縮し晶析する方法、低溶解性の溶媒を添加し再沈する方法あるいはこれらを組み合わせた方法などを挙げることができる。本発明のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法では、好ましくは、冷却し晶析するか、あるいは濃縮しつつ蒸発により冷却する。晶析した結晶はろ過し母液と分離し、乾燥することにより溶媒を除去することができる。本発明のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法では、より好ましくは、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中で冷却して晶析する。
晶析して得られたN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドには、極微量の溶媒に加え、芳香族炭化水素溶媒由来の副生物が残存することがある。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例は、何ら本発明を限定するものではない。
実施例1
撹拌機、温度計を備えた500mLガラス製フラスコに、ジシクロヘキシルジスルフィド87g(以下、DSCXと略す)(純度94%、0.35モル)とトルエン(沸点111℃)/シクロヘキサン(沸点81℃)の混合溶媒127g(トルエン15重量%、密度0.79g/mL、160mL)を仕込み、冷媒で−20℃に冷却した。そこへ撹拌しながら、ガラス・ボンベに採取した塩素20mL(30g、0.43モル)を液温−20〜−10℃で1.5時間かけて吹き込み、DSCXを塩素化し、シクロヘキシルスルフェニルクロリド(以下、CSCXと略す)の溶液(0.70モル)を得た。
次いで、撹拌機、温度計を備えた1Lガラス製フラスコに、フタルイミド103g(0.70モル)、トリエチルアミン129mL(93g、0.92モル)およびトルエン/シクロヘキサン混合溶媒(トルエン15重量%)127gを仕込み、温水で60℃に加温した。そこへ撹拌しながら、先に調製したCSCXの溶液を−10℃に保冷しつつチューブ・ポンプにより、スラリー温度60〜65℃で1.5時間かけて供給し、その後1時間、同じ温度で撹拌を続行し、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(以下、CTPIと略す)、未反応フタルイミド、塩化トリエチルアンモニウムなどを含む反応混合物を得た。
その反応混合物へ温度60〜65℃で撹拌しながら、温水163gを加えアンモニウム塩などを溶解したのち、未反応フタルイミドなどをろ過した。温度60〜65℃で撹拌しながら、ろ液中の過剰のトリエチルアミンなどを水層へ除くため、硫酸を加えて中和した。次いで温度60〜65℃で撹拌しながら、分離した油層中に残るフタルイミドを除くため、48重量%苛性ソーダを加えて水層を分離した。残った油層を撹拌しながら、10℃まで冷却し、CTPIを晶析した。この結晶をろ過、乾燥することにより、製品159g(純度99%、CTPI含量157g、0.60モル)および晶析母液280g(CTPI含量6g、0.02モル)。フタルイミドに対する合計収率は89%(163g、0.62モル)、製品中CTPIの晶析率は96%であった。
また晶析母液を300mmHg(40kPa)で減圧濃縮し、留出した溶媒240g(トルエン13重量%)は、溶媒以外の不純物はほとんどなく、上記反応に再利用できる品質であった。
得られた製品中にはトルエン0.02%およびシクロヘキサン0.03%が残存し、トルエンの塩素化物の残存量は10ppm未満であった。また大気中へ損失した溶媒は、約10gであった。
また製品および母液の分析は、ガスクロマトグラフィーで行った。分析条件は次のとおりである。
GC装置 : 島津GC−17A
カラム : NB−1、長さ60m×内径0.25mmφ、膜圧0.40μm
カラム温度 : 70→270℃、5℃/分
キャリアーHeガス圧 : 180kPa(70℃)
注入口・FID検出器温度: 270℃。
比較例1
撹拌機、温度計を備えた500mLガラス製フラスコに、DSCX87g(純度94%、0.35モル)と四塩化炭素256g(沸点76℃、密度1.59g/mL、160mL)を仕込み、冷媒で−20℃に冷却した。そこへ撹拌しながら、ガラス・ボンベに採取した塩素20mL(30g、0.43モル)を液温−20〜−10℃で1.5時間かけて吹き込み、DSCXを塩素化し、CSCXの溶液(0.70モル)を得た。
次いで、撹拌機、温度計を備えた1Lガラス製フラスコに、フタルイミド103g(0.70モル)、トリエチルアミン129mL(93g、0.92モル)および四塩化炭素256gを仕込み、温水で55℃に加温した。そこへ撹拌しながら、先に調製したCSCXの溶液を−10℃に保冷しつつチューブ・ポンプにより、スラリー温度60〜65℃で1.5時間かけて供給し、その後1時間、同じ温度で撹拌を続行し、CTPI、未反応フタルイミド、塩化トリエチルアンモニウムなどを含む反応混合物を得た。
その反応混合物へ温度60〜65℃で撹拌しながら、温水163gを加えアンモニウム塩などを溶解したのち、未反応フタルイミドなどをろ過した。温度60〜65℃で撹拌しながら、ろ液中の過剰のトリエチルアミンなどを水層へ除くため、硫酸を加えて中和した。次いで温度60〜65℃で撹拌しながら、分離した油層中に残るフタルイミドを除くため、48重量%苛性ソーダを加えて水層を分離した。残った油層を撹拌しながら、10℃まで冷却し、CTPIを晶析した。この結晶をろ過、少量の溶媒で洗浄し、乾燥することにより、製品87g(純度98%、CTPI含量85g、0.33モル)および晶析母液610g(CTPI含量70g、0.27モル)。フタルイミドに対する合計収率は85%(155g、0.59モル)、製品中CTPIの晶析率は56%であった。
晶析率を上げるために、晶析母液を加熱し、300mmHg(40kPa)で減圧濃縮し、10℃まで冷却し、CTPIを晶析した。この結晶をろ過、少量の溶媒で洗浄し、乾燥することにより、製品47g(純度97%、CTPI含量45g)および晶析母液200g(CTPI含量25g)。晶析2回分の合計製品は134g(平均純度97%、CTPI含量130g)、製品中CTPIの合計晶析率は84%であった。留出した溶媒300gは、溶媒以外の不純物はほとんどなく、上記反応に再利用できる品質であった。
得られた製品中には有害な四塩化炭素0.05%が残存していた。また大気中などへ損失した有害な四塩化炭素は、約20gであった。
比較例2
DSCX合成およびCTPI合成溶媒に、それぞれトルエン139g(密度0.87g/mL、160mL)を用いた以外は、実施例1と同様に反応し、後処理した。
後処理で残った油層465g(CTPI含量146g、0.56モル)を撹拌しながら、10℃まで冷却したが、CTPIは晶析しなかった。フタルイミドに対する収率は80%であったが、製品を取得できなかった。
比較例3
DSCX合成およびCTPI合成溶媒に、それぞれシクロヘキサン125g(密度0.78g/mL、160mL)を用いた以外は、実施例1と同様に反応し、後処理した。しかしながら、反応後半で、未反応PIDおよび副生塩化トリエチルアンモニウムに加えて、生成したCTPIが析出し、反応スラリーの混合状態が悪化し撹拌不良となった。
後処理で残った油層を撹拌しながら、10℃まで冷却し、CTPIを晶析した。この結晶をろ過、乾燥することにより、製品143g(純度95%、CTPI含量136g、0.52モル)および晶析母液260g(CTPI含量1g、0.004モル)。フタルイミドに対する合計収率は75%(137g、0.52モル)、製品中CTPIの晶析率は99%であった。
なお、得られた製品中にはシクロヘキサン0.05%が残存した。また大気中などへ損失した溶媒は、約30gであった。
実施例2
DSCX合成およびCTPI合成溶媒に、それぞれトルエン/シクロヘキサンの混合溶媒131g(トルエン50重量%、密度0.82g/mL、160mL)を用いた以外は、実施例1と同様に反応し、後処理した。
後処理で残った油層を撹拌しながら、10℃まで冷却し、CTPIを晶析した。この結晶をろ過、乾燥することにより、製品121g(純度97%、CTPI含量117g、0.45モル)および晶析母液329g(CTPI含量40g、0.15モル)。フタルイミドに対する合計収率は86%(157g、0.60モル)、製品中CTPIの晶析率は75%であった。
なお、得られた製品中にはトルエン0.10%が残存し、トルエンの塩素化物の残存量は10ppm未満であった。また大気中などへ損失した溶媒は、約10gであった。
実施例3
DSCX合成およびCTPI合成溶媒に、それぞれトルエン/シクロヘキサンの混合溶媒127g(トルエン20重量%、密度0.79g/mL、160mL)を用いた以外は、実施例1と同様に反応し、後処理した。
後処理で残った油層を撹拌しながら、10℃まで冷却し、CTPIを晶析した。この結晶をろ過、乾燥することにより、製品158g(純度99%、CTPI含量156g、0.60モル)および晶析母液280g(CTPI含量9g、0.03モル)。フタルイミドに対する合計収率は90%(165g、0.63モル)、製品中CTPIの晶析率は95%であった。
得られた製品中には、トルエン0.03%およびシクロヘキサン0.03%が残存し、トルエンの塩素化物の残存量は、10ppm未満であった。また大気中などへ損失した溶媒は、約10gであった。
実施例4
DSCX合成およびCTPI合成溶媒に、それぞれトルエン/シクロヘキサンの混合溶媒125g(トルエン5重量%、密度0.78g/mL、160mL)を用いた以外は、実施例1と同様に反応し、後処理した。
後処理で残った油層を撹拌しながら、10℃まで冷却し、CTPIを晶析した。この結晶をろ過、乾燥することにより、製品158g(純度98%、CTPI含量155g、0.59モル)および晶析母液275g(CTPI含量4g、0.02モル)。フタルイミドに対する合計収率は87%(159g、0.61モル)、製品中CTPIの晶析率は97%であった。
得られた製品中には、トルエン0.01%およびシクロヘキサン0.03%が残存し、トルエンの塩素化物の残存量は、10ppm未満であった。また大気中などへ損失した溶媒は、約15gであった。
実施例5
DSCX合成およびCTPI合成溶媒に、それぞれトルエン/n−ヘプタン(沸点98℃)の混合溶媒123g(トルエン45重量%、密度0.77g/mL、160mL)を用いた以外は、実施例1と同様に反応し、後処理した。
後処理で残った油層を撹拌しながら、10℃まで冷却し、CTPIを晶析した。この結晶をろ過、乾燥することにより、製品154g(純度98%、CTPI含量151g、0.58モル)および晶析母液270g(CTPI含量8g、0.03モル)。フタルイミドに対する合計収率は、87%(159g、0.61モル)、製品中CTPIの晶析率は、95%であった。
得られた製品中には、トルエン0.02%およびn−ヘプタン0.02%が残存し、トルエンの塩素化物の残存量は10ppm未満であった。大気中などへ損失した溶媒は、約15gであった。

Claims (7)

  1. 芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中でシクロヘキシルスルフェニルクロリドを合成し、次いで芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中でシクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとを反応させ、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを製造するN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法。
  2. 芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中の芳香族炭化水素含有率が,3重量%から47重量%である請求項1に記載のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法。
  3. 芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中の芳香族炭化水素含有量が,5重量%から20重量%である請求項1に記載のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法。
  4. 芳香族炭化水素が、トルエンである請求項1から3のいずれかに記載のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法。
  5. 飽和炭化水素の炭素数5から8である請求項1から4のいずれかに記載のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法。
  6. シクロヘキシルスルフェニルクロリドとフタルイミドとを反応させる際に、有機塩基を共存させる請求項1から5のいずれかに記載のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法。
  7. N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドを芳香族炭化水素と飽和炭化水素との混合溶媒中で冷却して晶析する請求項1から6のいずれかに記載のN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの製造方法。
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