JP5207020B2 - ジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法 - Google Patents

ジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、タイヤ用のゴム加硫遅延剤原料などとして有用な化合物であるジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法に関する。さらに詳しくは、環境に対し悪影響を与えることなく、かつ、工業的に有利にジシクロヘキシルジスルフィドを製造方法に関する。
一般に、ジシクロヘキシルジスルフィドの工業的製造方法としては、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとを反応させる方法がある。この製造方法では、通常、二硫化ナトリウムを溶解して反応するため、含水溶剤を用いる。収率を向上するために、アルコールやアルカリ金属水酸化物を共存させる方法がある(特許文献1参照)。この方法は、生産性が上がる点では優れている。しかし、生産工程で発生する廃液は、硫化物類、有機物類、塩化ナトリウムなどを大量に含有し、廃液の悪臭や着色が著しいことが大きな問題である。さらに、生産工程で発生する廃液は、そのまま河川に流すと、河川への汚染など、環境に対し悪い影響を与えるので、環境に悪い影響を与えずに廃液を排出するための処理は容易ではない。
特開平9−020751号公報
本発明の目的は、河川の汚染などの環境に悪い影響を及ぼすことなく、かつ、工業的に有利なジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法を提供することにある。
本発明は、含水メタノールを用いて二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとを反応させて、ジシクロヘキシルジスルフィド合成し、次いで、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を反応混合物から取り出した後、反応混合物から油層を分離し、残った水層の一部または全部を二硫トリウムとクロロシクロヘキサンとの反応に再使用し、一方、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を酸化剤で処理するジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法であって、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を酸化剤で処理するジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法である。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法は、生産工程で発生する廃液は、再利用されるので、河川の汚染などの環境に悪影響を及ぼすことがない。本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法は、工業的に有利に、ジシクロヘキシルジスルフィドを製造方法することができる。
本発明は、含水メタノールを用いて二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとを反応させて、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成し、次いで、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を反応混合物から取り出した後、反応混合物から油層を分離し、残った水層の一部または全部を二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応に再使用する。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法では、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとを反応させる時に、含水メタノールを用いる。
含水メタノールの使用量は、通常、クロロシクロヘキサンに対して、0.1から10重量倍であり、好ましくは0.5から5重量倍である。含水メタノールを、クロロシクロヘキサンに対して、0.1から10重量倍の範囲で使用すると、ジシクロヘキシルジスルフィドの収率と生産性が高い。
ましくは、メタノールの含水メタノール全量に対する含有率は、90重量%以下であり、より好ましくは、20から80重量%である。メタノールの含有率が90重量%以下であると、ジシクロヘキシルジスルフィドの収率と生産性が高い。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法では、本発明で用いる二硫化ナトリウムの製造方法は、限定されない。二硫化ナトリウムは、他者から入手したもの、使用前に合成したもの、あるいは、クロロシクロヘキサンとの反応液中で同時に合成するものであっても良い。
二硫化ナトリウムの使用量は、好ましくは、クロロシクロヘキサンに対して、0.1から2モル倍であり、より好ましくは、0.3から1モル倍である。二硫化ナトリウムの使用量が、クロロシクロヘキサンに対して、0.1から2モル倍であれば、シクロヘキシルジスルフィドの収率が高く、原料のクロロシクロヘキサンの損失が少ない。
本発明で用いる二硫化ナトリウムの合成法は、例えば、含水メタノール中、硫化ナトリウムと硫黄との反応を挙げることができる。硫化ナトリウムと硫黄の反応は、定量的に進行するので、硫黄の使用量は、通常硫化ナトリウムに対して、0.5から1.5モル倍、好ましくは0.8から1.2モル倍である。
本発明で用いるクロロシクロヘキサンの製造方法は、制限はない。本発明で用いるクロロシクロヘキサンの製造方法は、たとえば、シクロヘキサンと塩素との反応、シクロヘキサノールと塩化水素との反応などを挙げることができる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法において、好ましくは、反応促進剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を共存させることができる。二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応後に、反応混合物から油層を分離し、残った水層を二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応に再使用する場合に、とくに収率向上の効果がある。アルカリ金属水酸化物の使用量は、好ましくは、クロロシクロヘキサンに対して、1モル倍以下である。アルカリ金属水酸化物の使用量は、より好ましくは、クロロシクロヘキサンに対して、0.1から0.6モル倍である。アルカリ金属水酸化物を、クロロシクロヘキサンに対して、1モル倍以下の使用量で効果があり、クロロシクロヘキサンの損失が少ない。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法における二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応温度は、好ましくは、50から150℃であり、より好ましくは、70から120℃である。硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応温度が、50から150℃であると、反応速度が速く、ジシクロヘキシルジスルフィドの収率が高い。硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応時間は、好ましくは、1から24時間であり、より好ましくは、5から15時間である。硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応時間が1から24時間であると、ジシクロヘキシルジスルフィドの収率が高い。ジシクロヘキシルジスルフィドの反応において、反応圧力は、通常、常圧でも加圧下でも良い。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法における二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応方法は、通常、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとを反応器で混合する。二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンのどちらを先に、反応器へ入れてもよい。二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンの反応は、例えば、反応器中で、二硫化ナトリウムを合成し、次いでクロロシクロヘキサンを添加することができる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法においては、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとを反応させると、通常、未反応の二硫化ナトリウムと副生塩化ナトリウムを主な成分とする水層と、未反応のクロロシクロヘキサンとジシクロヘキシルジスルフィドを主な成分とする油層とからなる反応混合物が生成する。水層と油層は、通常、分液する。
二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応後に、反応混合物から油層を分離し、残った水層は、還元性の硫化物類、有機物類、塩化ナトリウムなどを大量に含み、悪臭が著しく、濃厚な黒褐色であるため、そのままでは廃棄できない。また、反応混合物から分離した水層は、そのままの状態で、河川などに排出すると、河川の汚染など環境に悪い影響を及ぼす。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法は、反応混合物から分離した水層を、再利用することにより、水層に含まれた硫化物類、有機物類、塩化ナトリウムなどを有効利用できる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法では、含水メタノールを用いて二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとを反応させて、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成し、次いで、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を反応混合物から取り出した後、反応混合物から油層を分離し、残った水層の一部または全部を二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応に再使用する。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法においては、好ましくは、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応後に、油層を分離し、残った水層の全部を二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応に再使用する。
二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの再反応(第2回反応)は、初めの反応(二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとを反応させ、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成する初回反応)と同じように実施できる。
例えば、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応後に油層を分離し、残った水層は、硫化ナトリウムおよび/または硫黄を添加して二硫化ナトリウムを合成した後、クロロシクロヘキサンと再反応することが望ましい。
二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応後に油層を分離し、残った水層は、未反応の二硫化ナトリウムを含むので、そのまま再反応しても良い。硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応後に分離した水層は、好ましくは再反応で仕込むクロロシクロヘキサンの量に応じて硫化ナトリウムおよび/または硫黄を添加して再反応する。この再反応は、何度でも繰り返すことができる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法は、含水メタノールを用いて二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとを反応させて、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成し、次いで、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を反応混合物から取り出す。
生する不溶物には、主に塩化ナトリウムが含まれる。不溶物は、反応後に自然に析出するものであっても、反応後に何らかの処理をして析出するものであっても良い。
副生する不溶物を自然に析出させるには、例えば、反応に用いる含メタノール量を少なくする方法などを挙げることができる
副生する不溶物を何らかの処理をして析出させる方法には、反応混合物にアルコールなどの塩化ナトリウムの貧溶媒を添加する方法、溶媒を留出し析出させる方法などを挙げることができる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法では、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物の取り出し方法には、通常、遠心ろ過、加圧ろ過、重力ろ過、減圧ろ過、遠心沈降などを行う。また、不溶物の取り出し時に不溶物を溶剤でリンスしても良い。リンス溶剤としては、アルコール、水、原料クロロシクロヘキサン、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応で副生するシクロヘキセンなどを挙げることができる。
塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物は、悪臭があり、黒緑色に着色しているため、そのままでは廃棄できない。
本発明においては、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を反応混合物から取り出し、酸化剤で処理する。副生する不溶物を、酸化剤で酸化することにより、環境に対する悪い影響を大幅に軽減できる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法において、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物は、酸化剤で処理することにより、通常、還元性の硫化物や悪臭がなくなり、環境に悪影響を及ぼさない廃水となる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法において、酸化剤による処理方法は、例えば、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を水に添加して酸化剤で処理しても、直接、副生する不溶物を、酸化剤に接触させても良い。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法においては、好ましくは、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を水に添加して、その後、水を添加した不溶物を、酸化剤で処理する、あるいは、空気中で酸化させる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法においては、より好ましくは、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を水に添加し、液体の有機物を加え、液体の有機物で、有機物を抽出した後、分離した水層を酸化剤で処理する。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法においては、より好ましくは、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を水に添加し、酸化剤で処理した後、液体の有機物で有機物を抽出する。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法においては、好ましくは、有機物の抽出に用いられる液体の有機物としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素、原料クロロシクロヘキサン、反応で副生するシクロヘキセンなどを挙げることができる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法においては、液体の有機物で抽出した場合、油層には、少量の原料クロロシクロヘキサン、ジシクロヘキシルジスルフィドを含んでいるので、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成する反応に再利用することができる。液体の有機物で抽出した油層は、燃料として再利用することもできる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法において、好ましく用いられる酸化剤は、例えば、液体あるいは気体の酸化剤を挙げることができる。酸化剤は、好ましくは、次亜塩素酸類、過酸化物類、酸素、空気、塩素、オゾンなどである。さらに好ましくは、酸化剤は、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、空気である。次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、好ましくは、1から50重量%であり、より好ましくは、5から15重量%である。過酸化水素の濃度は、好ましくは、1から80重量%、より好ましくは5から50重量%である。次亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素水溶液使用量は、好ましくは、副生する不溶物に対して、0.1から100重量%であり、より好ましくは、1から50重量%である。
塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物に対して、0.1から100重量%の酸化剤を使用すると効果があり、酸化剤の廃水への損失が少ない。
空気で酸化させる場合は、好ましくは、不溶物を加熱して、有機物類などに着火し、有機物類を火炎により燃焼させる。
本発明のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法では、好ましくは、目的物のジシクロヘキシルジスルフィドを精製する。ジシクロヘキシルジスルフィドの精製法は、反応後に分離した油層から副生するシクロヘキセン、未反応のクロロシクロヘキサンなどの不純物を留去する方法を挙げることができる。さらに、高純度のジシクロヘキシルジスルフィドを得るためには、好ましくは、ジシクロヘキシルジスルフィドを蒸留し取得することができる。こうして得たジシクロヘキシルジスルフィドは、主としてゴム加硫遅延剤の一種であるN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドの原料として使用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
1Lオートクレーブに60重量%硫化ナトリウム150g(結晶水60g、硫化ナトリウム量90g、1.15モル(分子量78.1))、硫黄30g(0.94モル(原子量32.1))、メタノール120g、および水100gを仕込み、70℃、ゲージ圧力80kPa、1h加熱し二硫化ナトリウムを調製した。冷却後、オートクレーブを開放し、95重量%クロロシクロヘキサン250g(クロロシクロヘキサン量237g、2.00モル(分子量118.6))を仕込み(合計650g)、100℃、ゲージ圧力180kPa、11h加熱反応した。冷却後、反応混合物から副生する塩化ナトリウムを含む初回反応で副生した不溶物をろ過して取り出した後、メタノール5mLでリンスし、不溶物120gを得た。
次いで、濾液を分液し、初回反応の水層280gと油層228gに分離した。水層は硫黄化合物の悪臭が激しく、真黒く、環境負荷の大きい液体であった。油層は、ガスクロマトグラフィ−分析を行った。油層のジシクロヘキシルジスルフィド濃度は、77.2重量%(ジシクロヘキシルジスルフィド量176g、0.76モル(分子量230.4)、反応収率76%)であった。
初回反応の水層280gは、再使用(第2回反応)のため、オートクレーブに入れ、60重量%硫化ナトリウム120g(結晶水48g、硫化ナトリウム量72g、0.92モル)、および硫黄24g(0.75モル)を仕込み、70℃、ゲージ圧力70kPa、1h加熱し二硫化ナトリウムを調製した。冷却後、オートクレーブを開放し、95重量%クロロシクロヘキサン250g(クロロシクロヘキサン量237g、2.00モル)を仕込み(合計674g)、100℃、ゲージ圧力180kPa、11h加熱反応した。冷却後、反応混合物から副生する塩化ナトリウムを含む第2回反応で副生した不溶物をろ過して取り出した後、メタノール5mLでリンスし、不溶物122gを得た。
次いで、濾液を分液し、第2回反応の水層312gと油層230gに分離した。水層は硫黄化合物の悪臭が激しく、真黒く、河川の汚染など環境に悪影響を及ぼす可能性がある液体であった。油層は、ガスクロマトグラフィ−分析を行った。油層のジシクロヘキシルジスルフィド濃度は、75.1重量%(ジシクロヘキシルジスルフィド量173g、0.75モル、反応収率75%)であった。
このようにして、環境への悪影響が大きい初回反応の水層については、全く廃棄することなく、問題なく第2回反応(再反応)に有効利用できた。
引き続き、第2回反応の水層312gは、第3回反応に上と同じく再使用でき、環境負荷の大きい第2回反応の水層を全く廃棄することなく、第3回反応(再反応)に有効利用できる。
初回反応および第2回反応で副生した不溶物を混合した後、初回反応および第2回反応で副生した不溶物を合わせて20gを取り、水80gを加え混合したところ、黒緑色溶液になり、硫黄化合物の悪臭があった。環境に対する影響を調べるため、JIS K0102(1981)に従い、CODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)を測定すると、5000ppmであった。この廃水に、室温で撹拌しながら、30重量%過酸化水素1gを添加した。数分後に廃水は白色に変化した。CODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)を測定すると1200ppmであった。n−ヘキサン10mLを加え良く混合した後、分液したところ、廃水層は無色透明となり、硫黄化合物の悪臭はなくなった。CODMnを測定すると800ppmとなり、廃水のCODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)を5分の1以下に低減することができた。また、分液後のn−ヘキサン油層は燃料として使用可能であった。
このようにして、副生する不溶物については、環境に対する悪い影響が小さい廃水にすることができた。
ガスクロマトグラフィ−分析は,次の分析条件にて行った。
ガスクロマトグラフィ−装置: 島津GC−17A
カラム: NB−1、長さ60m×内径0.25mmφ、膜圧0.40μm
カラム温度: 70→270℃、5℃/分
キャリアーHeガス圧: 180kPa(70℃)
注入口・FID検出器温度: 270℃。
実施例2
実施例1と同様にして、初回反応および第2回反応で副生した不溶物の混合物の溶液を調製し、n−ヘキサン10mLを加え良く混合した後、分液したところ、廃水層は黒緑色半透明となった。CODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)を測定すると4000ppmであった。この廃水に、室温で撹拌しながら、30重量%過酸化水素1gを添加した。数分後に廃水は無色透明に変化した。硫黄化合物の悪臭はなくなり、CODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)は、800ppmとなり、廃水のCODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)を5分の1以下に低減することができた。また分液後のn−ヘキサン油層は燃料として使用可能であった。
このようにして、副生する不溶物は、環境に対する悪い影響が小さい廃水にすることができた。
実施例3
実施例2における30重量%過酸化水素1mLの代わりに、12%次亜塩素酸ナトリウム2gを使用する以外は、同じ処理したところ、数分後に廃水は無色透明に変化した。硫黄化合物の悪臭はなくなり、CODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)は、900ppmとなり、廃水のCODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)を5分の1以下に低減することができた。また分液後のn−ヘキサン油層は燃料として使用可能であった。
このようにして、副生する不溶物は、環境に対する悪い影響が小さい廃水にすることができた。
実施例4
実施例1と同様にして、初回反応および第2回反応で副生した不溶物の混合物の溶液を調製し、室温で撹拌しながら、12重量%次亜塩素酸ナトリウム2gを添加した。数分後に廃水は白色に変化し、静置すると半透明になり、硫黄化合物の悪臭は少なくなった。CODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)を測定すると、1500ppmであり、廃水のCODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)を3分の1以下に低減することができた。
このようにして、副生する不溶物については、環境に対する悪い影響が小さい廃水にすることができた。
実施例5
実施例1と同様に、初回反応を実施して得た水層280gを再使用(第2回反応)のため、オートクレーブに入れ、水酸化ナトリウム13.2g(0.33モル)、60重量%硫化ナトリウム120g(結晶水48g、硫化ナトリウム量72g、0.92モル)、および硫黄24g(0.75モル)を仕込み、70℃、ゲージ圧力70kPa、1h加熱し二硫化ナトリウムを調製した。冷却後、オートクレーブを開放し、95重量%クロロシクロヘキサン250g(クロロシクロヘキサン量237g、2.00モル)を仕込み(合計687g)、100℃、ゲージ圧力180kPa、11h加熱反応した。冷却後、反応混合物から副生する塩化ナトリウムを含む第2回反応で副生した不溶物をろ過して取り出した後、メタノール5mLでリンスし、不溶物125gを得た。
次いで、ろ液を分液し、第2回反応の水層308gと油層240gに分離した。油層は、ガスクロマトグラフィ−分析を行った。油層のジシクロヘキシルジスルフィド濃度は、76.7重量%(ジシクロヘキシルジスルフィド量184g、0.80モル、反応収率80%)であった。
引き続き、第2回反応の水層308gは、第3回反応に上と同じく再使用でき、環境負荷の大きい第2回反応の水層を全く廃棄することなく、第3回反応(再反応)に有効利用できた。
実施例6
実施例1で得た初回反応および第2回反応で副生した不溶物の混合物20gを100mLルツボに入れ、電熱器上に置いた(約500℃)。強熱を開始し、発生する燃焼性ガスに直火を近づけ、着火させ、約10分間燃焼させた。黒緑色の不溶物は、薄い灰色の結晶性粉体となった。放冷後、不溶物の重量は19gになり、水80gを加え混合したところ、薄い褐色となり、悪臭はなかった。環境への影響を調べると、CODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)は、600ppmとなり、廃水のCODMn(過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)を8分の1以下に低減することができた。
このようにして、副生する不溶物は、環境に対する悪い影響が小さい廃水にすることができた。
比較例
実施例1と同様にして、1Lオートクレーブに60重量%硫化ナトリウム150g(結晶水60g、硫化ナトリウム量90g、1.15モル)、硫黄30g(0.94モル)、水220gを仕込み、70℃、ゲージ圧力0kPa、1h加熱し二硫化ナトリウムを調製した。冷却後、オートクレーブを開放し、95重量%クロロシクロヘキサン250g(クロロシクロヘキサン量237g、2.00モル)を仕込み(合計650g)、100℃、ゲージ圧力10kPa、11h加熱反応した。冷却後、副生する不溶物の析出はなく、溶液状態であった。
次いでこの溶液を分液し、初回反応の水層420gと油層220gに分離した。水層は硫黄化合物の悪臭が激しく、真黒く、環境に対する悪影響が大きい液体であった。油層は、ガスクロマトグラフィ−分析し、ジシクロヘキシルジスルフィド濃度は、52.4重量%(ジシクロヘキシルジスルフィド量115g、0.50モル、反応収率50%)であった。
初回反応の水層420gを再使用のため、オートクレーブに入れ、60重量%硫化ナトリウム120g(結晶水48g、硫化ナトリウム量72g、0.92モル)、および、硫黄24g(0.75モル)を仕込み、70℃、ゲージ圧力0kPa、1h加熱し二硫化ナトリウムを調製した。冷却後、オートクレーブを開放し、95重量%クロロシクロヘキサン250g(クロロシクロヘキサン量237g、2.00モル)を仕込み(合計814g)、100℃、ゲージ圧力10kPa、11h加熱反応した。冷却後、副生する不溶物の析出はなく、溶液状態であった。
次いでこの溶液を分液し、第2回反応の水層590gと油層215gに分離した。水層は硫黄化合物の悪臭が激しく、真黒く、環境に対する悪影響が大きい液体であった。油層は、ガスクロマトグラフィ−分析し、ジシクロヘキシルジスルフィド濃度は、34.3重量%(ジシクロヘキシルジスルフィド量74g、0.32モル、反応収率32%)であった。
このようにして、環境に対する悪影響が大きい初回反応の水層については、第2回反応(再反応)に利用したが、ジシクロヘキシルジスルフィドの反応収率が大幅に低下した。また、ジシクロヘキシルジスルフィドの収率低下が著しいので、この水層を次の再反応に利用することができず、廃棄しなければならなかった。水層は、そのまま河川に流すと、河川への汚染など、環境に対し悪い影響を与える危険性があるものであった。

Claims (5)

  1. 含水メタノールを用いて二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとを反応させて、ジシクロヘキシルジスルフィドを合成し、次いで、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を反応混合物から取り出した後、反応混合物から油層を分離し、残った水層の一部または全部を二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応に再使用するジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法であって、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を酸化剤で処理するジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
  2. 反応混合物から分離した水層に、硫化ナトリウムおよび/または硫黄を添加して、二硫化ナトリウムを合成し、クロロシクロヘキサンとの反応に再使用する請求項1に記載のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
  3. 反応混合物から分離した水層に、アルカリ金属水酸化物を共存させ、反応混合物から分離した水層を、二硫化ナトリウムとクロロシクロヘキサンとの反応に再使用する請求項1または2に記載のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
  4. 塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物を酸化剤で処理する時に、塩化ナトリウム、還元性の硫化物類、有機物類を含む副生する不溶物に水を添加して得られた水溶液を、酸化剤で処理する請求項1から3のいずれかに記載のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
  5. 酸化剤が、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、酸素、空気、塩素、または、オゾンである請求項1から4のいずれかに記載のジシクロヘキシルジスルフィドの製造方法。
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