JPWO2008078767A1 - ビニルスルホン酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

ビニルスルホン酸塩を脱金属処理する工程を有するビニルスルホン酸の製造方法であって、式:脱金属率(%)={(脱金属処理後の酸価)/(脱金属処理前の酸価)}×100で表される脱金属率が95%以上である方法。ビニルスルホン酸塩を脱金属処理する工程を有するビニルスルホン酸の製造方法であって、脱金属処理が強酸性イオン交換樹脂を用いて行う処理である方法。更に薄膜蒸留装置により精製する工程を有する前記ビニルスルホン酸の製造方法。

Description

本発明は、ビニルスルホン酸の製造方法、特に、ビニルスルホン酸塩を脱金属処理する工程を有するビニルスルホン酸の製造方法に関する。
近年、ビニルスルホン酸は、機能性ポリマーや導電性材料を構成するモノマーとして、高い注目を集めるようになっている。
ビニルスルホン酸を製造する方法については、各種の方法が知られている(非特許文献1参照)。しかし、ビニルスルホン酸を工業的に製造する方法については、未だ十分な方法が確立されていない。
例えば、特許文献1には、ビニルスルホン酸ナトリウムを塩酸で脱ナトリウム処理することによりビニルスルホン酸を製造する方法が記載されている。しかし当該記載された方法では十分な品質のものが得られず、また得られたビニルスルホン酸を蒸留すると固形残渣が大量に生じ、工業的に用いることは困難であった。
また、特許文献2には、イセチオン酸を、五酸化ニリン酸或いはピロリン酸を脱水剤として脱水処理することによりビニルスルホン酸を製造する方法が記載されている。しかし、この方法では脱水剤を多量に使用する必要があり、また脱水剤の処理が必要であるため、工業的に適した製造方法とはいえなかった。
米国特許第3312735号 米国特許第2597696号 国近三吾、片桐孝夫、工業化学雑誌、第64巻第5号、1961、pp.929-932
本発明は、ビニルスルホン酸の工業的な製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、ビニルスルホン酸の製造方法について鋭意検討を重ねた結果、ビニルスルホン酸塩を原料として用い、脱金属処理において金属の水素への交換率を一定値以上とすること、また、イオン交換樹脂を用いて脱金属処理を行うことにより、収率が向上し得ることを見出し、更に鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の製造方法に関する。
項1:ビニルスルホン酸塩を脱金属処理する工程を有するビニルスルホン酸の製造方法であって、前記脱金属処理における下記式で表される脱金属率が95%以上である方法:
脱金属率(%)={(脱金属処理後の酸価)/(脱金属処理前の酸価)}×100。
好ましくは、ビニルスルホン酸塩がビニルスルホン酸ナトリウムであって、金属がナトリウムである項1に記載の方法。
項2:ビニルスルホン酸塩を脱金属処理する工程を有するビニルスルホン酸の製造方法であって、脱金属処理が強酸性イオン交換樹脂を用いて行う処理である方法。
好ましくは、脱金属処理における下記式で表される脱金属率が95%以上である項2に記載の方法:
脱金属率(%)={(脱金属処理後の酸価)/(脱金属処理前の酸価)}×100。
好ましくは、ビニルスルホン酸塩がビニルスルホン酸ナトリウムであって、金属がナトリウムである項2に記載の方法。
項3:更に、得られた脱金属処理物を薄膜蒸留により精製する工程を有する、項1又は2に記載のビニルスルホン酸の製造方法。
好ましくは、ビニルスルホン酸塩を脱金属処理する工程、及び得られた脱金属処理物を薄膜蒸留装置により精製する工程を有するビニルスルホン酸の製造方法であって、前記脱金属処理において下記式で表される脱金属率が95%以上である項1又は項2に記載の方法:
脱金属率(%)={(脱金属処理後の酸価)/(脱金属処理前の酸価)}×100。
好ましくは、ビニルスルホン酸塩を強酸性イオン交換樹脂に接触させて脱金属処理する工程、及び得られた脱金属処理物を薄膜蒸留により精製する工程を有する項1又は2に記載のビニルスルホン酸の製造方法。
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
1.ビニルスルホン酸塩
本発明においては、ビニルスルホン酸塩を用いてビニルスルホン酸を製造する。ビニルスルホン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩またはそれらの混合物を挙げることができる。このうち特にビニルスルホン酸ナトリウムが好適に用いられる。
ビニルスルホン酸塩は、組成物の形態で供されるものでもよい。例えば、ビニルスルホン酸塩の他にイセチオン酸塩やビススルホエチルエーテルの塩などを含む組成物を原料として用いてもよい。組成物を用いる場合、組成物全体におけるビニルスルホン酸塩の割合は通常25%以上程度である。
2.脱金属処理
本明細書において、脱金属処理とは、ビニルスルホン酸塩から金属を除去して水素に交換する処理をさす。換言すると、ビニルスルホン酸塩から金属イオンを除去してビニルスルホン酸に変換する処理をいう。
脱金属処理工程を一般式で示すと、下記のようになる:
CH=CHSOM → CH=CHSO
(ここで、Mは塩を形成する金属を示す。具体的には、ナトリウムやカリウムなどを示す)。
(1)脱金属率
本発明において、脱金属率は95%以上、特に97%以上、更に99%以上であることが好ましい。
本明細書において、脱金属率とは、下記式で表される値をいう:
脱金属率(%)={(脱金属処理後の酸価)/(脱金属処理前の酸価)}×100。
脱金属率とは、換言すると、原料に含まれる金属の水素への交換率である。例えばナトリウムから水素への交換率(ナトリウム交換率)である。更に別言すると、原料に含まれる金属塩化合物の低減率である。
脱金属率は、公知の方法により酸価を測定することにより求めることができる。例えば、中和滴定により酸価を測定して求めることができる。
脱金属率が95%以上であると、化合物の分解又はその影響が著しく低減される。また脱金属処理後の精製工程において薄膜蒸留を導入することが可能になり、高い回収率で大量に蒸留を行うことが可能になる。
さらに、高品質のビニルスルホン酸を得ることが可能になり、蒸留工程の留出時に着色の少ないビニルスルホン酸を得ることが可能になる。また経時変色の少ないビニルスルホン酸を得ることが可能になる。
脱金属率を95%以上とする処理であれば、脱金属処理の方式は特に限定されないが、強酸性イオン交換樹脂を用いる処理が特に好ましい。
(2)強酸性イオン交換樹脂による処理
本発明において、脱金属処理は、強酸性イオン交換樹脂を用いて行うことが好ましい。換言すると、ビニルスルホン酸塩を強酸性イオン交換樹脂に接触させて脱金属処理を行うことが好ましい。
強酸性イオン交換樹脂に接触させる方法は、常法に従って行うことができるが、イオン交換樹脂をカラムに充填し、ビニルスルホン酸塩水溶液を通液させて行うことが、イオン交換が確実に行えるため、好ましい。
強酸性イオン交換樹脂の種類は、本発明の効果を奏する範囲であれば特に限定されず、公知のものから適宜選定することができる。例えば、架橋された不溶性の有機高分子化合物の側鎖に強酸基を有する化合物を用いることができる。強酸基の例としては、硫酸基、リン酸基およびスルホン酸基などが挙げられる。
具体的な例としては、ダイヤイオン(SK1B,SK116,PK216等)、アンバーライト(IR−120B,IR−124等)、ダウエックス(50wx8, HCR-S、モノスフィア 650C等)、レバチット(S−100等)などが挙げられる。
強酸性イオン交換樹脂を用いて脱金属処理を行うことにより、高い割合でビニルスルホン酸塩を低減することができ、化合物の分解を抑え、収率を向上させることが可能になる。
また品質に優れ、着色の少ないビニルスルホン酸を得ることが可能になる。
また強酸性イオン交換樹脂を用いることにより1度の処理で効率よく脱金属処理を行うことができる。
また後の精製工程において薄膜蒸留の導入が可能になり、大量に蒸留を行うことが可能になる。
強酸性イオン交換樹脂を用いて行う脱金属処理において、脱金属率は、95%以上、特に97%以上、更には99%以上であることが、ガスの発生が低減され、蒸留における回収率がより向上する等の点から、好ましい。
3.薄膜蒸留工程
上記脱金属処理により得られた処理物は、更に公知の方法によって精製することが好ましい。脱金属処理物とは、ビニルスルホン酸塩又はその組成物を脱金属処理して得られた物、具体的には、脱金属処理により得られたビニルスルホン酸またはその組成物を意味する。
精製方法は、公知の方法から適宜設定し得るが、蒸留、特に薄膜蒸留による精製が好ましい。
薄膜蒸留で精製することにより、品質に優れ、留出時の着色が少なく、経時着色の問題が少ないビニルスルホン酸を得ることが可能になる。また高い回収率で、大量に精製を行うことが可能になる。
薄膜蒸留は、公知の方法に従って行うことができる。
薄膜蒸留の条件は、適宜設定し得るが、通常温度が150〜250℃程度、好ましくは150〜200℃程度である。また圧力は通常30〜400Pa程度、好ましくは30〜200Pa程度である。このような条件で行う場合、分解や重合がより抑制される。
薄膜蒸留は、必要に応じて二度以上繰り返して行うこともでき、連続蒸留とすることもできる。
薄膜蒸留装置は、公知のものを用いることができるが、ビニルスルホン酸の接液部が、タンタルで形成されているものが、腐食のおそれが少ない点で好適である。
好ましくは、ビニルスルホン酸塩を脱金属率が95%以上となるように脱金属処理して得られた処理物を薄膜蒸留することが好ましい。また好ましくはビニルスルホン酸塩を強酸性イオン交換樹脂を用いて脱金属処理して得られた処理物を薄膜蒸留することが好ましい。特にビニルスルホン酸塩を強酸性イオン樹脂に接触させて脱金属率が95%以上となるように脱金属処理して得られた処理物を薄膜蒸留することが好ましい。
このような処理物は、薄膜蒸留に際し、蒸留時における化合物の分解がほとんどなく、回収率を向上させることができる。また蒸留におけるガスの発生が低減され、減圧度を安定して保持することが容易となる。また、連続蒸留が可能となり、大量に蒸留することが可能になる。
更に、残渣が、高粘性の固形状のものでなく流動性のあるものとして得られる。このため、装置や設備の洗浄が容易となる。
また得られるビニルスルホン酸も品質の高いものが得られ、留出時にはほとんど無色のビニルスルホン酸が得られる。また経時変色の少ないビニルスルホン酸が得られる。
4.他の工程
本発明の製造方法においては、上記脱金属処理工程及び蒸留工程以外の工程を必要に応じて付加することができる。例えば原料精製工程などを付加することができる。
また、本発明においては、ビニルスルホン酸の製造に関する公知技術を必要に応じて付加することができる。
5.特性
本発明の製造方法を用いて得られるビニルスルホン酸は、高品質であり、着色が少なく、経時変色も少ない。
このような優れた性質から、本発明の方法を用いて得られるビニルスルホン酸は、例えば、電解質膜、塗料或いは接着剤等の水溶化剤などの原料などとして好適に利用し得る。
本発明によれば、高品質のビニルスルホン酸を大量に効率よく生産することが可能になり、ビニルスルホン酸の生産性が格段に向上する。
従来、ビニルスルホン酸の製造方法として種々の合成方法が知られていたが、工程が煩雑で収率も低く、蒸留スケールを上げることができず、工業化することが困難であった。
これに対し、本発明の製造方法によれば、化合物の分解が抑制され、収率が格段に向上する。更に、1段階で処理を行うことができ、工程も煩雑でない。
また、ガスの発生が低減され、減圧度の維持も容易になり、蒸留工程の回収率が向上する。更に残渣は流動性のものが得られ、装置や設備の洗浄が容易となる。
更に、薄膜蒸留の導入が可能となり、スケールアップが可能であり、生産性が格段に向上する。
更に、品質の優れたビニルスルホン酸が得られ、着色や経時変色の問題も低減される。
このように、本発明は、ビニルスルホン酸の工業的な製造のために優れた方法及び手段を提供するものであり、ビニルスルホン酸の現実的な工業生産を可能にするものである。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
材料及び測定方法
ビニルスルホン酸塩としては、ビニルスルホン酸ナトリウムを用いた。
酸価およびよう素価の測定は、日本工業規格 JIS K0070-1992に準じて行った。酸価は中和滴定法で測定した。
酸価の測定値から下記式により脱金属率(脱ナトリウム率)を決定した。
脱金属率(%)={(脱金属処理後の酸価)/(脱金属処理前の酸価)}×100
また製造工程の収率を、よう素価の測定値から、下記式により計算した。
収率(%)={(脱金属処理後のよう素価)/(脱金属処理前のよう素価)}×100
また蒸留工程の回収率を、よう素価の測定値から下記式により計算した。
回収率(%)={(蒸留後のよう素価)/(蒸留前のよう素価)}×100
尚、特記しない限り、各例中の%はモル%、収率はモル収率を示す。
比較例1:塩酸による脱ナトリウム処理
25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液(旭化成ファインケム株式会社製、N-SVS-25)7.5Kgに35%塩酸3Kgを加え、室温で30分撹拌した。次いで減圧下、水を約4L濃縮し、析出した塩を濾別することにより、脱ナトリウム処理を行った。この脱ナトリウム処理をさらに2度行い、ビニルスルホン酸ナトリウムのナトリウムを水素に交換させて、ビニルスルホン酸水溶液を得た。
脱ナトリウム処理前の酸価と3度の脱ナトリウム処理後の酸価から求めた脱ナトリウム率は93.5%であった。また脱ナトリウム処理前のよう素価と3度の脱ナトリウム処理後のよう素価から求めた収率は94.8%であった。
比較例2:塩酸による脱ナトリウム処理及びバッチ蒸留
比較例1で得られたビニルスルホン酸水溶液4.5Kgを5Lガラスフラスコで減圧下蒸留を行い、ビニルスルホン酸2.1Kgを得た。回収率は67%であった。減圧度は500−1000Pa程度となり、変動が大きく、減圧度を保持することが困難であった。また、得られたビニルスルホン酸は留出時から濃い暗紫色に着色した。また残渣は黒色の流動性の無いものが生じた。
比較例3:塩酸による脱ナトリウム処理及びバッチ蒸留
比較例1で得られたビニルスルホン酸水溶液1200gを1Lガラスフラスコで減圧下蒸留を行い、ビニルスルホン酸740gを得た。回収率は82%であった。比較例2と同様に、減圧度は500−1000Pa程度であり、変動が大きく、減圧度を保持することが困難であった。また得られたビニルスルホン酸は留出時から濃い暗紫色に着色した。また残渣は黒色の流動性の無いものが生じた。
比較例4:塩酸による脱ナトリウム処理及び薄膜蒸留
比較例1で得られたビニルスルホン酸水溶液を、薄膜蒸留装置(SIBATA社製MS-300)を用いて蒸留したが、蒸発面に分解物が固着し、蒸留できなかった。
実施例1:強酸性イオン交換樹脂による脱ナトリウム処理
あらかじめ塩酸で再生した強酸性イオン交換樹脂(DOWEX社製モノスフィア 650C)26Lを内径180mm高さ690mmのカラム塔に充填し、カラム下より25%ビニルスルホン酸ナトリウム12.2Kgを流入し、次にイオン交換水100Kgでカラム下より洗浄して脱ナトリウム処理を行った。1回の脱ナトリウム処理前後の酸価から求めた脱ナトリウム率は98.4%であった。また収率は94.3%であった。
実施例2〜8:強酸性イオン交換樹脂による脱ナトリウム処理
イオン交換樹脂として実施例1に用いたものを再生して繰り返し使用する以外は、実施例1と同様の操作を7回行い、実施例2〜8とした。
イオン交換樹脂は、実施例1で使用した後のイオン交換樹脂カラムに5%塩酸を通液し、次いでイオン交換水でよく洗浄することで再生した。また各実施例で同様の再生を行い、繰り返し使用した。
実施例2〜8における収率と脱ナトリウム率(ナトリウム交換率)を表1に示す。
Figure 2008078767
実施例9:強酸性イオン交換樹脂による脱ナトリウム処理
あらかじめ塩酸で再生した強酸性イオン交換樹脂26Lを内径180mm高さ690mmのカラム塔に充填し、カラム上より25%ビニルスルホン酸ナトリウム12.2Kgを流入し、次にイオン交換水100Kgでカラム上より洗浄して脱ナトリウム処理した。1回の脱ナトリウム処理の前後の酸価から求めた脱ナトリウム率は84.4%であった。また収率は92.0%であった。
実施例10:強酸性イオン交換樹脂による脱ナトリウム処理及びバッチ蒸留
実施例1の脱ナトリウム処理により得られたビニルスルホン酸組成物0.6kgを減圧下濃宿し、500mLのスケールで減圧下蒸留を行った。その結果、わずかに亜硫酸ガスの臭気はするものの減圧度は150Paに保たれ、回収率は94%であった。得られたビニルスルホン酸は、留出時は薄い黄色であり、経時で着色した。また蒸留時に残渣が生じたものの、黒褐色で流動性のあるものとなり、容易に洗浄できた。
実施例11:強酸性イオン交換樹脂による脱ナトリウム処理及びバッチ蒸留
ビニルスルホン酸組成物を1.2Kg及びスケールを1Lとした他は実施例10と同様に減圧下、蒸留を行った。その結果、亜硫酸ガスの臭気が弱くして、減圧度は220Pa程度であった。回収率は92%であった。得られたビニルスルホン酸は、留出時は薄い黄色であり、経時で着色亢進した。また蒸留時に残渣が生じたものの、黒褐色で流動性のあるものとなり、容易に洗浄できた。
実施例12:強酸性イオン交換樹脂による脱ナトリウム処理及びバッチ蒸留
ビニルスルホン酸組成物を2.4Kg及びスケールを2Lとした他は実施例10と同様に減圧下、蒸留を行った。その結果、亜硫酸ガスの臭気が強くして、減圧度は360Pa程度であった。回収率は89%であった。得られたビニルスルホン酸は留出時は薄い黄色であったが、経時で着色亢進した。また蒸留時に残渣が生じたものの、黒褐色で流動性のあるものとなり、容易に洗浄できた。
実施例13:強酸性イオン交換樹脂による脱ナトリウム処理及びバッチ蒸留
ビニルスルホン酸組成物を5Kg及びスケールを5Lとした他は実施例10と同様に減圧下、蒸留を行った。その結果、亜硫酸ガスの臭気がきわめて強く、減圧度は600Pa程度であった。回収率は78%であった。得られたビニルスルホン酸は留出時は薄い黄色であったが、経時で着色亢進した。また蒸留時に残渣が生じたものの、黒褐色で流動性のあるものとなり、容易に洗浄できた。
実施例14:強酸性イオン交換樹脂による脱ナトリウム処理及び薄膜蒸留
実施例1の脱ナトリウム処理で得られたビニルスルホン酸組成物を連続して3.6Kgフィードし、薄膜蒸留装置で減圧下連続蒸留を試みた。温度条件は160〜200℃とした。その結果、減圧度は70Paに保たれ、安定に蒸留運転を継続することができた。また亜硫酸ガスの臭気は全くなく、回収率は96%程度に保たれた。
得られたビニルスルホン酸は、留出時は薄い黄色であり、6ヶ月経時後も着色の進行はみられなかった。また蒸留時に残渣が生じたものの、黒褐色で流動性のあるものとなり、容易に洗浄できた。

Claims (3)

  1. ビニルスルホン酸塩を脱金属処理する工程を有するビニルスルホン酸の製造方法であって、前記脱金属処理における下記式で表される脱金属率が95%以上である方法:
    脱金属率(%)={(脱金属処理後の酸価)/(脱金属処理前の酸価)}×100。
  2. ビニルスルホン酸塩を脱金属処理する工程を有するビニルスルホン酸の製造方法であって、前記脱金属処理が強酸性イオン交換樹脂を用いて行う処理である方法。
  3. 更に、得られた脱金属処理物を薄膜蒸留により精製する工程を有する請求項1又は2に記載のビニルスルホン酸の製造方法。
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