[020] 本発明者らは、医療用具、特にバルーンカテーテルまたはステントの外面を、たとえば療法薬、および親水性部分と薬物親和性部分の両方をもつ添加剤を含む層でコーティングすることが、前記に述べたコーティングに関連する問題を解決するのに有用であることを見出した。薬物親和性部分は疎水性部分であり、ならびに/あるいは水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性をもつ。意外なことに、本発明者らは、本発明の態様による親和性部分と薬物親和性部分を含む少なくとも1種類の添加剤は、療法薬との組み合わせで、油および脂質を用いずに医療用具上に有効な薬物送達コーティングを形成し、これによって一般的な油性コーティング配合物の脂質分解依存性その他の欠点が避けられることを見出した。さらに、本発明の態様による添加剤は、迅速な薬物溶出および患部組織内への卓越した薬物透過を容易にする。したがって、本発明の態様によるコーティングは、脈管系その他の体腔の罹患組織における疎水性療法薬の吸収の速度および/または程度を向上させる。本発明の態様において、コーティング付き医療用具は、2分未満のごく短い配置期間中に療法薬を組織へ送達し、体腔の狭窄および遅発性内腔喪失を軽減する。
[021] 1態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具であって、医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に関する。この医療用具には、バルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、および注入カテーテル、たとえば遠位有孔型の薬物注入チューブ、有孔バルーン、離間ダブルバルーン(spaced double balloon)、多孔バルーン、および掃引バルーン(weeping balloon)、カッティングバルーンカテーテル(cutting balloon catheter)、スコアリングバルーンカテーテル(scoring balloon catheter)、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル(debulking catheter)、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。さらに、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。
[022] 医療用具の1態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は80から750までの分子量をもつ。
[023] 医療用具の1態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬、抗酸化剤および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、下記のものから選択される:アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル類、アミド類、エーテル類、酸無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、可溶性ポビドン(Povidone)、分子量4000未満の可溶性ポリビニルピロリドン、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF、尿素、ビウレット、アセトアミド、乳酸アミド、アミノ酸アミド、アセトアミノフェン、尿酸、ポリウレア、ウレタン、尿素誘導体、ナイアシンアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルファセタミドナトリウム、ベルセタミド(versetamide)、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルステアルアミド)、コカミドMEA、コカミドDEA、アルギニン、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、クエン酸トリメチル、酢酸および無水物、安息香酸および無水物、ジエチレントリアミン五酢酸ジアンヒドリド、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、アスパラギン酸、ニコチン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、アロイリチン酸(aleuritic acid)、シェロリン酸(shellolic acid)、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子。
[024] 医療用具の1態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬、抗酸化剤および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもつ。他の態様において、医療用具の外面を覆う層は、本質的に療法薬、抗酸化剤および添加剤からなる。
[025] 1態様において、抗酸化剤は下記のうちの少なくとも1つである:オリゴマーまたはポリマー状のプロアントシアニジン類、ポリフェノール類、ポリホスフェート類、ポリアゾメチン、高スルフェート寒天オリゴマー類、キトオリゴ糖類、多官能性オリゴマーチオエーテル類であって立体障害フェノール類(sterically hindered phenols)、ヒンダードアミン類、p−フェニレンジアミン、トリメチルジヒドロキノロン類、およびアルキル化ジフェニルアミン類を含むもの、ヒンダードフェノール類(hindered phenols)、t−ブチル、アリールアミン類、ホスファイト類、ヒドロキシルアミン類、ベンゾフラノン類、p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N,N’ ジ置換p−フェニレンジアミン類、ブチル化ヒドロキシトルエン(“BHT”)、ブチル化ヒドロキシアニソール(“BHA”)、L−アスコルベート(ビタミンC)、ビタミンE、薬草ローズマリー、セージエキス、グルタチオン、レスベラトール、エトキシキン、ロスマノール(rosmanol)、イソロスマノール(isorosmanol)、ロスマリジフェノール(rosmaridiphenol)、没食子酸プロピル、没食子酸、コーヒー酸、p−クメル酸(p-coumeric acid)、p−ヒドロキシ安息香酸、アスタキサンチン、フェルラ酸(ferulic acid)、デヒドロジンゲロン(dehydrozingerone)、クロロゲン酸、エラグ酸(ellagic acid)、プロピルパラベン、シナピン酸、ダイジン(daidzin)、グリシチン、ゲニスチン、ダイゼイン(daidzein)、グリシテイン、ゲニステイン、イソフラボン類、tert−ブチルヒドロキノン、ジ(ステアリル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリル、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、オクタデシル−3,5,ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート、テトラキス−メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート メタン 2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、イオノール、ピロガロール、レチノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、グルタチオン、リポ酸、メラトニン、トコフェロール類、トコトリエノール類、チオール類、ベータ−カロテン、レチノイン酸、クリプトキサンチン、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、没食子酸プロピル、カテキン、没食子酸カテキン、ケルセチン、およびその誘導体。
[026] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬、抗酸化剤および添加剤を含み、添加剤は下記のものから選択される:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、Tween 20、Tween 21、Tween 40、Tween 60、Tween 61、Tween 80、Tween 81、Tween 85、PEGオレエート、PEGステアレート、PEG−15 12−ヒドロキシステアレート(Solutol HS 15)、Cremophor ELおよびELP、Cremophor RH40、ポリエステル−PEGブロックコポリマー、PLLA−PEG、PEG−PLLA−PEG、PEG−PPG、PEG−PPG−PEG、ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、Soluplus、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、Laneth−5、Laneth−10、Laneth−15、Laneth−20、Laneth−25、Laneth−40)、Laureth−5、laureth−10、Laureth−15、laureth−20、Laureth−25、laureth−40、Oleth−2、Oleth−5、Oleth−10、Oleth−12、Oleth−16、Oleth−20、およびOleth−25、Steareth−2、Steareth−7、Steareth−8、Steareth−10、Steareth−16、Steareth−20、Steareth−25、Steareth−80、Ceteth−5、Ceteth−10、Ceteth−15、Ceteth−20、Ceteth−25、Ceteth−30、Ceteth−40、PEG−3 オレイルエーテル(Volpo 3)およびPEG−4 ラウリルエーテル(Brij 30)、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、硫酸化ひまし油、コレステリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、中鎖−分岐または非分岐アルキルスルフェート類、ドクセートナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド(n-noyl-β-D-glucopyranoside)、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン(acetiamine)、ベンフォチアミン(benfotiamine)、パントテン酸;セトチアミン(cetotiamine);シコチアミン(cycothiamine)、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシル(docecyl)トリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸(glucomic acid)、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸(sinapic acid)、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン(tiletamine)、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、可溶性ポビドン、分子量4000未満の可溶性ポリビニルピロリドン、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF、尿素、ビウレット、アセトアミド、乳酸アミド、アミノ酸アミド、アセトアミノフェン、尿酸、ポリウレア、ウレタン、尿素誘導体、ナイアシンアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルファセタミドナトリウム、ベルセタミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルステアルアミド)、コカミドMEA、コカミドDEA、アルギニン、ならびにその誘導体および組合せ。
[027] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および1種類以上の添加剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、1種類以上の添加剤のうちの1つは液体添加剤である。
[028] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および少なくとも1種類の添加剤を含み、その少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、第1添加剤は第2添加剤より親和性である。
[029] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および少なくとも1種類の添加剤を含み、その少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス力相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、第1添加剤のHLB値は第2添加剤のものより高い。
[030] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および少なくとも1種類の添加剤を含み、その際、その少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、第1添加剤のLog Pは第2添加剤のものより低い。
[031] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および少なくとも1種類の添加剤を含み、その際、その少なくとも1種類の添加剤は少なくとも1つのエステル基をもつ少なくとも1種類の化学化合物を含む。有機酸とアルコール類の生成物はエステル基をもつ化学化合物の例である。エステル基をもつ化学化合物は、ポリマー材料の可塑剤としてしばしば用いられる。少なくとも1つのエステル基をもつ化学化合物には、セベート類、アジペート類、グルタレート類、およびフタレート類が含まれる。これらの化学化合物の例は、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、およびクエン酸トリメチルである。
[032] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および少なくとも1種類の添加剤を含み、その少なくとも1種類の添加剤は少なくとも1つのアミド基をもつ少なくとも1種類の化学化合物を含む。特定の態様において、少なくとも1つのアミド基をもつ化学化合物はコーティング配合物に重要である。尿素は少なくとも1つのアミド基をもつ化学化合物の例である。少なくとも1つのアミド基をもつ化学化合物の他の例には、ビウレット、アセトアミド、乳酸アミド、アミノ酸アミド、アセトアミノフェン、尿酸、ポリウレア、ウレタン、尿素誘導体、ナイアシンアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルファセタミドナトリウム、ベルセタミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルステアルアミド)、コカミドMEA、コカミドDEA、アルギニン、および他の有機酸アミド類、ならびにその誘導体が含まれる。少なくとも1つのアミド基をもつある化学化合物は、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、酸またはエステル部分をも含む。
[033] 少なくとも1つのアミド基をもつ化学化合物のひとつは、可溶性の低分子量ポビドンである。ポビドンの若干例には、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF、Kollidon 17、Kollidon 25、およびKollidon 30が含まれる。Kollidon製品には、可溶性および不溶性グレードの種々の分子量および粒度のポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ならびにポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンのブレンドが含まれる。同族製品は、ポビドン、クロスポビドン(Crospovidone)およびコポビドン(Copovidone)という名称をもつ。低分子量の可溶性ポビドン類およびコポビドン類は本発明の態様において重要な添加剤である:たとえば、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF、およびKollidon 17。固体ポビドンは医療用具上のコーティングの統合性を維持することができる。低分子量ポビドンは罹患組織内へ吸収または透過することができる。ポビドンの好ましい分子量範囲は、54,000未満、11,000未満、7,000、および4000未満である。ポビドン類は水不溶性療法薬を可溶化することができる。ポビドン類およびコポビドン類は、それらの特性(固体、低分子量、および組織吸収/透過性)のため、本発明の態様に特に有用である。ポビドン類は本発明の態様の他の添加剤と組み合わせて使用できる。1態様において、ポビドンおよび非イオン性界面活性剤(たとえば、PEG−15 12−ヒドロキシステアレート(Solutol HS 15)、Tween 20、Tween 80、Cremophor RH40、Cremophor ELおよびELP)をパクリタキセルもしくはラパマイシンまたはそれらの類似体と共に、医療用具、たとえばバルーンカテーテルのためのコーティングとして配合することができる。
[034] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は4つより多いヒドロキシル基をもつ。1態様において、4つより多いヒドロキシル基をもつ化学化合物は120℃以下の融点をもち、その化学化合物はアルコール類またはエステル類である。
[035] 1態様において、医療用具の外面を覆う層は本質的に療法薬および添加剤からなる。1態様において、医療用具の外面を覆う層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。1態様において、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、化学化合物はアミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、酸無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、およびそれらの置換された分子から選択される。他の態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。
[036] 他の態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬および添加剤を含み、添加剤は界面活性剤である。他の態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸エステル類、エーテル類、アミド類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。
[037] 他の態様において、添加剤は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物である。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル類、アミド類、エーテル類、酸無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、およびそれらの置換された分子から選択される。
[038] 他の態様において、添加剤は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ、分子量5,000〜10,000未満、好ましくは1000〜5,000未満、より好ましくは750〜1,000未満、または最も好ましくは750未満の親水性化学化合物である。添加剤の分子量は、送達される薬物のものより低いことが好ましい。小分子は速やかに拡散でき、それらは送達バルーンの表面から容易に遊離して、それらと共に薬物を運ぶ。それらは薬物が組織に結合すると薬物から速やかに拡散分離する。ただし、添加剤の分子量は低すぎてはならない;80未満の分子量をもつ添加剤は蒸発しやすく、安定なコーティング成分ではないので、望ましくない。添加剤が低い分子量をもつけれども揮発性ではなく(たとえば、ペーストまたは固体)、容易には蒸発または反応しないならば、添加剤の分子量は80未満、50未満、および20未満であってもよい。他の態様において、添加剤は界面活性剤と1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物との組合せである。他の態様において、添加剤はアミノアルコールと有機酸の組合せである;この組合せは、他の場合には酸またはアミンとパクリタキセルのような薬物との反応性のため生じる可能性のある不安定さを防ぐので有利である。他の態様において、添加剤はヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシル酸、ヒドロキシルエステル、またはヒドロキシルアミドである。他の態様において、添加剤はグルコノラクトンまたはそのリボン酸ラクトンである。さらに他の態様において、添加剤はメグルミン/乳酸、メグルミン/ゲンチシン酸、メグルミン/酢酸、ラクトビオン酸、Tween 20/ソルビトール、Tween 20/ラクトビオン酸、Tween 20/糖または糖誘導体およびN−オクタノイル N−メチルグルカミンから選択される。他の態様において、添加剤はビタミンまたはその誘導体である。他の態様において、添加剤はアミノ酸またはその誘導体である。他の態様において、添加剤はタンパク質またはその誘導体である。他の態様において、添加剤はアルブミンである。他の態様において、添加剤は水性溶剤に可溶性であり、かつ有機溶剤に可溶性である。他の態様において、添加剤は有機酸またはその無水物である。さらに他の態様において、添加剤はオレイン酸ソルビタンおよびソルビタン脂肪酸エステルから選択される。
[039] 他の態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は20から750までの分子量をもつ化学化合物である。
[040] 1態様において、医療用具の外面を覆う層は油、脂質、またはポリマーを含有しない。他の態様において、医療用具の外面を覆う層は油を含有しない。他の態様において、医療用具の外面を覆う層はポリマーを含有しない。他の態様において、医療用具の外面を覆う層は純疎水性の添加剤を含有しない。1態様において、添加剤は療法薬ではない。他の態様において、添加剤はサリチル酸またはその塩類ではない。
[041] 他の態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は下記のものから選択される:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、Tween 20、Tween 40、Tween 60、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール類、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、ならびにペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[042] 1態様において、療法薬はパクリタキセルおよびその類似体、ラパマイシンおよびその類似体、ベータ−ラパコン(beta-lapachone)およびその類似体、生体ビタミンDおよびその類似体、ならびにこれらの療法薬の混合物のうちの1つである。他の態様において、療法薬は第2療法薬との組合せであり、その際、療法薬はパクリタキセル、ラパマイシン、およびその類似体のうちの1つであり、第2療法薬はベータ−ラパコン、生体ビタミンDおよびそれらの類似体のうちの1つである。
[043] 1態様において、医療用具の外面を覆う層を含む医療用具は、医療用具の外面とこの層の間にさらに接着層を含む。他の態様において、医療用具は、体内を組織へ移動する際の薬物の損失を少なくするために、さらに層の表面を覆う最上層を含む。他の態様において、医療用具の外面を覆う層の表面を覆う最上層は、医療用具の外面を覆う層中の添加剤より親水性の低い添加剤を含み、最上層の添加剤は下記のものから選択される:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、Tween 20、Tween 40、Tween 60、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[044] 他の態様において、医療用具はさらにジメチルスルホキシド溶剤層を含み、その際、ジメチルスルホキシド溶剤層は前記層の表面を覆う。
[045] 医療用具の1態様において、医療用具は約0.1〜2分で療法薬および添加剤を放出して療法薬を組織へ送達することができる。1態様において、層中の療法薬の濃度は1から20μg/mm2までである。1態様において、層中の療法薬の濃度は2から10μg/mm2までである。1態様において、療法薬は水溶性ではない。
[046] 1態様において、添加剤は療法薬がバルーンから放出されるのを促進する。他の態様において、添加剤は組織への療法薬の浸透および吸収を促進する。他の態様において、添加剤は少なくとも1mg/mlの水およびエタノール溶解度をもち、療法薬は水溶性ではない。
[047] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆う層は療法薬および少なくとも2種類の添加剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、各添加剤は極性有機溶剤に可溶性であり、かつ水に可溶性である。この態様の1観点において、極性有機溶剤はメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、酢酸エチル、およびクロロホルム、ならびにこれらの極性有機溶剤と水の混合物から選択される。この態様の他の観点において、医療用具は、体内を標的組織へ移動する際の損失を少なくするために、さらに医療用具の外面を覆う層の表面を覆う最上層を含む。
[048] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆う層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は療法薬の結晶サイズおよび粒子数を低下させ、その際、添加剤は水溶性であり、療法薬は水溶性ではない。
[049] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆う層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は酸、エステル、エーテルまたはアルコールの脂肪族鎖をもち、その際、この脂肪族鎖は組織の脂質膜構造内へ直接挿入でき、その際、療法薬は水溶性ではない。
[050] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆う層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、添加剤は組織の脂質膜構造内へ透過してそれを再配列することができ、その際、療法薬は水溶性ではなく、ミセルに内包されておらず、またはポリマー粒子に封入されていない。
[051] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆う層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、添加剤は酸、エステル、エーテルまたはアルコールの脂肪族鎖をもち、その際、この脂肪族鎖は組織の脂質膜構造内へ直接挿入でき、その際、添加剤は水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により薬物に対する親和性を有する1以上の官能基をもち(官能基には、ヒドロキシル、エステル、アミド、カルボン酸、第一級、第二級および第三級アミン、カルボニル、酸無水物、オキシド、およびアミノアルコールが含まれる)、その際、療法薬は水溶性ではなく、ミセルに内包されておらず、またはポリマー粒子に封入されておらず、その際、層はポリマーを含有せず、層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。
[052] さらに他の態様において、本発明は、療法薬を組織へ送達するためのステントコーティングであって、ステントの表面を覆う層を含むステントコーティングに関する。この態様の1観点において、ステントの表面を覆う層は療法薬、添加剤、およびポリマーマトリックスを含み、その際、療法薬は粒子としてポリマーマトリックス中に分散しているが、封入されてはおらず、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つである。この態様の1観点において、添加剤は療法薬とポリマーマトリックスの相溶性を向上させ、添加剤は療法薬の粒度を低下させてポリマーマトリックス中における分布の均一性を向上させ、添加剤はポリマーマトリックスからの薬物の迅速な放出を促進する。
[053] さらに他の態様において、本発明は、薬物を組織へ送達するための、ある混合物から作成した医療用具コーティングに関する。この態様の1観点において、コーティングは、内部に分散した薬物粒子を含有する有機相と水溶性添加剤を含有する水相を含む混合物から作成される。この態様の1観点において、水溶性添加剤はポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノン、ポリペプチド類、水溶性界面活性剤、水溶性ビタミン類、およびタンパク質から選択される。この態様の他の観点において、混合物の調製は高剪断条件下での、また場合によっては加圧下でのホモジナイゼーションを含む。
[054] 他の態様において、本発明は療法薬を血管へ送達するためのバルーンカテーテルであって、バルーンの外面を覆うコーティング層を含むカテーテルに関する。バルーンカテーテルの1態様において、コーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもつ。
[055] バルーンカテーテルの他の態様において、コーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は4つより多いヒドロキシル基をもつ。この態様の1観点において、4つより多いヒドロキシル基をもつ化学化合物は120℃以下の融点をもち、化学化合物はアルコール類またはエステル類である。
[056] バルーンカテーテルの1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は本質的に療法薬および添加剤からなる。他の態様において、医療用具の外面を覆う層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。
[057] 1態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。1態様において、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選択される。
[058] バルーンカテーテルの1態様において、バルーンの外面を覆うコーティング層は純疎水性の添加剤を含有しない。他の態様において、バルーンの表面を覆うコーティング層はヨウ素化された造影剤を含有しない。他の態様において、添加剤は療法薬ではない。他の態様において、添加剤はサリチル酸またはその塩類ではない。他の態様において、バルーンの表面を覆うコーティング層は油、脂質、またはポリマーを含有しない。さらに他の態様において、バルーンの表面を覆うコーティング層は油を含有しない。この態様の他の観点において、コーティング層はポリマーを含有しない。
[059] バルーンカテーテルの1態様において、療法薬および添加剤を含むコーティング層中の添加剤は、下記のものから選択される:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、Tween 20、Tween 40、Tween 60、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[060] 1態様において、療法薬はパクリタキセルおよびその類似体、ラパマイシンおよびその類似体、ベータ−ラパコンおよびその類似体、生体ビタミンDおよびその類似体、ならびにこれらの療法薬の混合物のうちの1つである。他の態様において、療法薬は第2療法薬との組合せであり、その際、療法薬はパクリタキセル、ラパマイシン、およびその類似体のうちの1つであり、第2療法薬はベータ−ラパコン、生体ビタミンDおよびそれらの類似体のうちの1つである。1態様において、療法薬は水溶性ではない。
[061] 1態様において、添加剤は有機溶剤および水に可溶性である。他の態様において、添加剤は血管の組織への療法薬の浸透および吸収を促進する。他の態様において、療法薬は水溶性ではない。他の態様において、添加剤は少なくとも1mg/mlの水およびエタノール溶解度をもち、療法薬は水溶性ではない。
[062] バルーンカテーテルの1態様において、カテーテルはバルーンの外面とコーティング層の間にさらに接着層を含む。他の態様において、カテーテルはさらにコーティング層の表面を覆う最上層を含み、この最上層は体内を血管へ移動する際の療法薬の損失を少なくする。最上層は、本明細書に記載する発明の態様に従った添加剤から選択される添加剤を含む。最上層は、療法介入のために体内を標的部位の体腔へ移動する際に徐々に溶解するであろう。この最上層は、移動中の薬物損失を減らし、本発明の態様の医療用具を内腔組織と圧迫接触させる際に組織が利用できる薬物を増加させるであろう。1態様において、最上層中の添加剤はコーティング層中の添加剤より親水性が低い。他の態様において、カテーテルはさらにジメチルスルホキシド溶剤層を含み、その際、ジメチルスルホキシド溶剤層はコーティング層の表面を覆う。
[063] 1態様において、バルーンカテーテルは約0.1〜2分で療法薬および添加剤を放出して療法薬を血管へ送達することができる。
[064] バルーンカテーテルの1態様において、コーティング層中の療法薬の濃度は1から20μg/mm2までである。他の態様において、コーティング層中の療法薬の濃度は2から10μg/mm2までである。
[065] さらに他の態様において、本発明は療法薬を血管へ送達するためのバルーンカテーテルに関する。この態様の1観点において、カテーテルは、内腔および遠位末端を備えた細長い部材(elongate member)、この細長い部材の遠位末端に接続してその内腔と流体連絡した膨張可能なバルーン、ならびにバルーンの外面を覆うコーティング層を含む。この態様の1観点において、バルーンの表面を覆うコーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもち、その際、カテーテルは約2分未満で療法薬および添加剤を放出して療法薬を血管の組織へ送達することができる。この態様の1観点において、層はヨウ素化された造影剤を含有しない。
[066] 1態様において、バルーンカテーテルはさらにコーティング層を覆うジメチルスルホキシド溶剤層を含み、その際、ジメチルスルホキシド溶剤層は療法薬が血管内へ浸透する能力を増強する。他の態様において、バルーンカテーテルはバルーンの外面とコーティング層の間にさらに接着層を含む。さらに他の態様において、カテーテルはさらにコーティング層を覆う最上層を含み、この最上層は療法介入のために血管内を標的部位へ移動する際のコーティングの統合性を維持する。
[067] 1態様において、コーティング層中の療法薬の濃度は2.5から6μg/mm2までである。1態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族、および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。1態様において、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および酸無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選択される。1態様において、化学化合物は4つより多いヒドロキシル基をもち、120℃以下の融点をもち、化学化合物はアルコール類またはエステル類である。
[068] バルーンカテーテルの1態様において、添加剤は下記のものから選択される:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、Tween 20、Tween 40、Tween 60、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[069] さらに他の態様において、本発明は療法薬および添加剤を含む医薬組成物に関するものであり、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもつ。この態様の1観点において、医薬組成物はヨウ素共有結合した造影剤またはポリマーを含有せず、その際、療法薬はミセルまたは粒子に封入されていない。
[070] 1態様において、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および酸無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選択される。1態様において、化学化合物は4つより多いヒドロキシル基をもち、120℃以下の融点をもち、化学化合物はアルコール類またはエステル類である。1態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。
[071] 医薬組成物の1態様において、添加剤は下記のものから選択される:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、Tween 20、Tween 40、Tween 60、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[072] さらに他の態様において、本発明は、外科処置または介入処置後の罹患した体腔または空洞を処置するための方法であって、医薬組成物を外科処置部位へカテーテルによる注入または噴霧によって送達することを含む方法に関するものであり、その際、組成物は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもつ。1態様において、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、添加剤は水溶性であり、組成物はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。
[073] 1態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選択される。
[074] さらに他の態様において、本発明は、卵巣、胸部、肺、食道、頭頸部、膀胱、前立腺、脳、肝臓、結腸の癌を含めた癌およびリンパ腫を処置するための医薬組成物に関するものであり、その際、組成物は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、療法薬はミセルに内包されておらず、またはポリマー粒子に封入されておらず、その際、組成物はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。この態様の1観点において、療法薬はパクリタキセルおよびその類似体ならびにラパマイシンおよびその類似体から選択される。
[075] さらに他の態様において、本発明は医療用具をコーティングするための溶液に関する。この態様の1観点において、溶液は有機溶剤、療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもつ。他の態様において、医療用具をコーティングするための溶液はヨウ素共有結合した造影剤、油、脂質、またはポリマーを含有しない。
[076] 1態様において、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選択される。1態様において、界面活性剤は、イオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。1態様において、療法薬はパクリタキセルもしくはラパマイシンまたはその類似体である。
[077] 他の態様において、コーティング溶液中の添加剤は下記のものから選択される:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、Tween 20、tween 60、Tween 80、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[078] さらに他の態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具であって、医療用具の外面に付与される第1層、および第1層を覆う第2層を含む医療用具に関する。この態様の1観点において、第1層は療法薬を含み、第2層は添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つである。この態様の1観点において、第1層はさらに添加剤を含み、その際、添加剤は水溶性であり、この層はヨウ素化された造影剤を含有しない。この態様の他の観点において、第2層はさらに療法薬を含む。この態様のさらに他の観点において、第1層はさらに添加剤を含み、かつ第2層はさらに療法薬を含む。
[079] さらに他の態様において、本発明は、療法薬を含む第1層および添加剤を含む最上層を含む、2層コーティングに関する。この態様の1観点において、最上層は第1層を覆っていてもよい。この態様の1観点において、第1層と最上層の両方において、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもつ。この態様の1観点において、第1層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。この態様の他の観点において、最上層はさらに療法薬を含む。
[080] さらに他の態様において、本発明は医療用具の作成方法に関する。この態様の1観点において、この方法は下記を含む:(a)有機溶剤、療法薬および添加剤を含むコーティング溶液を調製し、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は80から750までの分子量をもち、(b)このコーティング溶液を医療用具に付与し、そして(c)コーティング溶液を乾燥させてコーティング層を形成する。この態様の1観点において、コーティング層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。この態様の1観点において、医療用具の外面の一部をコーティング溶液に浸漬することによりコーティング溶液を付与する。この態様の他の観点において、医療用具の外面の一部にコーティング溶液を吹き付けることによりコーティング溶液を付与する。この態様の他の観点において、コーティング層中の療法有効量の療法薬が医療用具の表面に沈着するまで工程(b)および(c)を繰り返す。この態様の他の観点において、コーティング層の全厚は約0.1から200ミクロンまでである。この態様のさらに他の観点において、この方法はさらに、工程(c)で得られた乾燥コーティング層にジメチルスルホキシド溶剤を付与することを含む。
[081] さらに他の態様において、本発明は薬物コーティング付きバルーンカテーテルの作成方法に関する。この態様の1観点において、この方法は下記を含む:(a)有機溶剤、療法薬および添加剤を含むコーティング溶液を調製し、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもち、(b)このコーティング溶液を膨張させたバルーンカテーテルに付与し、そして(c)バルーンカテーテルを収縮させて折りたたみ、コーティング溶液を乾燥させて、薬物コーティングの均一性を高める。
[082] さらに他の態様において、本発明は血管を処置する方法に関する。この態様の1観点において、この方法は、コーティング層を含む医療用具を血管に挿入することを含み、その際、コーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもち、そして2分以下で療法薬および添加剤を放出させて療法薬を血管の組織内へ送達する。この態様の1観点において、コーティング層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。
[083] さらに他の態様において、本発明は体内管(body passage)の完全閉塞または狭窄を処置する方法に関する。この態様の1観点において、この方法は、体内管からプラークを取り除き、コーティング層を含む医療用具を体内管に挿入することを含み、その際、コーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は80から750までの分子量をもち、そして2分以下で療法薬および添加剤を放出させて療法薬を血管の組織内へ送達する。
[084] さらに他の態様において、本発明は身体組織を処置する方法に関するものであって、コーティング層を含む医療用具を身体組織と接触させることを含み、その際、コーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもち、そして2分以下で療法薬および添加剤を放出させて療法薬を血管の組織内へ送達する。この態様の1観点において、コーティング層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。この態様の1観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。
[085] さらに他の態様において、本発明はバルーンカテーテルの作成方法に関する。この態様の1観点において、この方法は、有機溶剤、療法薬および添加剤を含む溶液を調製し、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもち、この溶液をバルーンカテーテルに付与し、そして溶剤を蒸発させることを含む。1態様において、コーティング層はヨウ素化された造影剤を含有しない。
[086] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はPEG脂肪酸エステル、PEG脂肪酸エーテル、およびPEG脂肪アルコールのうちの1つである。この態様の1観点において、添加剤はPEG−8ラウレート、PEG−8オレエート、PEG−8ステアレート、PEG−9オレエート、PEG−10ラウレート、PEG−10オレエート、PEG−12ラウレート、PEG−12オレエート、PEG−15オレエート、PEG−20ラウレート、PEG−20オレエート、PEG−20ジラウレート、PEG−20ジオレエート、PEG−20ジステアレート、PEG−32ジラウレートおよびPEG−32ジオレエートから選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[087] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はグリセロールおよびポリグリセロール脂肪酸エステルおよびPEGグリセロール脂肪酸エステルのうちの1つである。この態様の1観点において、添加剤はポリグリセリルオレエート、ポリグリセリル−2 ジオレエート、ポリグリセリル−10 トリオレエート、ポリグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリルリノレエート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 モノ、ジオレエート、ポリグリセリル−10 ステアレート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート、ポリグリセリル−10 リノレエート、ポリグリセリル−6ステアレート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、およびポリグリセリル−6 リノレエート、ポリグリセリルポリリシノレエート、PEG−20 グリセリルラウレート、PEG−30 グリセリルラウレート、PEG−40 グリセリルラウレート、PEG−20 グリセリルオレエート、およびPEG−30 グリセリルオレエートから選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[088] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はソルビタン脂肪酸エステルおよびPEGソルビタンエステルのうちの1つである。この態様の1観点において、添加剤はソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、PEG−20 ソルビタンモノラウレート、PEG−20 ソルビタンモノパルミテート、PEG−20 ソルビタンモノオレエート、およびPEG−20 ソルビタンモノステアレートから選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[089] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はフェノール部分を含む化学化合物である。この態様の1観点において、添加剤はp−イソノニルフェノキシポリグリシドール、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、オクトキシノール−9、およびモノキシノール−9から選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[090] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、添加剤はモノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、D−グルコアスコルビン酸およびその塩、トロメタミン、グルカミン、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、およびグルコサミンから選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[091] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はイオン性界面活性剤である。この態様の1観点において、添加剤は塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化エドロホニウム(edrophosphonium chloride)、臭化ドミフェン、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、およびタウロコール酸ナトリウムから選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[092] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はビタミンまたはビタミン誘導体である。この態様の1観点において、添加剤はアセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸、セトチアミン、シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸およびその塩類、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、ビタミンU、エルゴステロール、1−アルファ−ヒドロキシコレカルシフェロール、ビタミンD2、ビタミンD3、アルファ−カロテン、ベータ−カロテン、ガンマ−カロテン、ビタミンA、フルスルチアミン、メチロールリボフラビン、オクトチアミン、プロスルチアミン、リボフラビン、ビンチアモール、ジヒドロビタミンK1、二酢酸メナジオール、二酪酸メナジオール、二硫酸メナジオール、メナジオール、ビタミンK1、ビタミンK1オキシド、ビタミン K2、およびビタミンK−−S(II)から選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[093] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はアミノ酸、アミノ酸塩、またはアミノ酸誘導体である。この態様の1観点において、添加剤はアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、およびその誘導体から選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[094] さらに他の態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具に関するものであり、医療用具は医療用具の外面を覆う層を含み、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はペプチド、オリゴペプチド、またはタンパク質である。この態様の1観点において、添加剤はアルブミン類、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、およびリパーゼ類から選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[095] さらに他の態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具に関するものであり、医療用具は医療用具の外面を覆う層を含み、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は界面活性剤と化学化合物の両方の組合せまたは混合物を含み、その際、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。この態様の1観点において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。この態様の他の観点において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、20から750までの分子量をもつ。この態様の他の観点において、化学化合物はアミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選択される。この態様の他の観点において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、下記のものから選択される:酢酸および無水物、安息香酸および無水物、ジエチレントリアミン五酢酸ジアンヒドリド、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、ジグリコール酸および無水物、グルタル酸および無水物、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸 アスパラギン酸、ニコチン酸、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖ホスフェート類、リン酸グルコピラノース、糖スルフェート類、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2−エトキシエタノール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、上記のいずれかの有機酸およびアミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[096] 他の態様において、本発明は、哺乳動物に投与するための、パクリタキセルもしくはラパマイシンまたはその誘導体、および界面活性剤と化学化合物の両方の組合せを含む医薬配合物に関するものであり、その際、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、20から750までの分子量をもつ。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、グルコース、スクロース、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選択される。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、下記のものから選択される:L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、リボン酸ラクトン、メグルミン/乳酸、メグルミン/ゲンチシン酸、メグルミン/酢酸、ソルビトール、キシリトール、2−エトキシエタノール、糖類、ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[097] 他の態様において、本発明は、哺乳動物に投与するための、パクリタキセルもしくはラパマイシンまたはその誘導体、および1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物を含む、医薬配合物に関するものであり、その際、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、20から750までの分子量をもつ。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、糖ホスフェート、糖スルフェート、カテキン、没食子酸カテキン、およびアミノアルコールと有機酸の組合せから選択される。この態様の1観点において、アミノアルコールはトロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、グルコサミン、リジン、およびその誘導体から選択され;有機酸はグルコヘプトン酸、グルコム酸、グルタミン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、バニリン酸、乳酸類、酢酸、およびその誘導体から選択される。
[098] さらに他の態様において、本発明は、哺乳動物に投与するための、パクリタキセルもしくはラパマイシンまたはその誘導体、およびアミノアルコールと有機酸の組合せを含む、医薬配合物に関するものであり、その際、アミノアルコールはトロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、グルコサミン、リジン、およびその誘導体から選択され;有機酸はグルコヘプトン酸、グルコム酸、グルタミン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、バニリン酸、乳酸類、酢酸、およびその誘導体から選択される。
[099] さらに他の態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具に関するものであり、医療用具は医療用具の外面を覆う層を含み、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトンおよびラクトビオン酸から選択される。
[0100] さらに他の態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具に関するものであり、医療用具は医療用具の外面を覆う層を含み、層は療法薬および添加剤を含み、その際、療法薬はパクリタキセルおよびその類似体またはラパマイシンおよびその類似体であり、添加剤はソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールオリゴマー、ポリプロピレングリコールオリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマーオリゴマー、キシリトール、2−エトキシエタノール、糖類、ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、Tween 20、Tween 40、Tween 60、およびそれらの誘導体から選択され、その際、薬物と添加剤の重量比は0.5から3までであり、その際、療法薬と添加剤は同時に放出される。
[0101] 本発明の多数の態様は、脈管疾患の処置、ならびに狭窄および遅発性内腔喪失の軽減に特に有用であり、あるいはその目的のための用具の作成に有用である。
[0102] 以上の全般的記載および以下の詳細な記載は例示および説明にすぎず、特許請求の範囲に記載する本発明を限定するものではないと解釈される。
[0105] 本発明の態様は、迅速放出コーティングをもつ、特にバルーンカテーテルおよびステントを含めた医療用具、およびそのようなコーティング付き用具を作成するための方法に関する。本発明の態様による療法薬は遅延放出または長期放出を必要とするのではなく、好ましくは組織と接触した際にごく短期間で療法薬および添加剤を放出して療法効果をもたらす。本発明の目的は、用具を一時的に標的部位に配置している間に薬物が迅速かつ効果的に標的組織により取り込まれるのを容易にすることである。
[0106] 図1に示すように、1態様において、医療用具はバルーンカテーテルである。バルーンカテーテルは、希望する用途に適切ないずれかのカテーテルであってよく、当業者に既知の一般的バルーンカテーテルが含まれる。たとえば、バルーンカテーテル10は、カテーテル10の遠位末端の可膨張(expandable、inflatable)バルーン12、カテーテル10の近位末端のハンドルアセンブリー16、および近位末端と遠位末端の間に延びた細長い可撓性部材14を含むことができる。ハンドルアセンブリー16は1以上の適切な医療用具、たとえば膨張媒体(たとえば、空気、生理食塩水、または造影剤)の供給源に接続し、および/またはそれを受容することができる。可撓性部材14は、適切な生体適合性材料から作製された、内部に1以上の管腔をもつチューブであってもよい。少なくとも1つの管腔は、膨張媒体を受容してその媒体をバルーン12の膨張のためにそこへ送るように構築される。バルーンカテーテルは迅速交換型またはオーバー・ザ・ワイヤー(over-the-wire)型カテーテルであってもよく、いずれか適切な材料で作製される。
[0107] 1態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具を提供する。この医療用具は、たとえばバルーンカテーテルまたはステントなどの医療用具の外面に付与された層を含む。この層は療法薬および添加剤を含有する。たとえば、図2Aに記載する態様に示すように、バルーン12は療法薬および添加剤を含有する層20でコーティングされている。ある態様において、この層は本質的に療法薬および添加剤からなり、すなわちこの層は本質的に療法薬および添加剤のみを含有し、有意の他のいずれの材料成分も含まない。ある態様において、医療用具は接着層を含んでもよい。たとえば、図2Bに記載する態様に示すように、バルーン12は接着層22でコーティングされている。療法薬および添加剤を含有する層24がこの接着層を覆っている。薬物コーティング層の下にある別個の層である接着層は、医療用具の外面への薬物コーティング層の接着性を向上させ、かつコーティング統合性を保護する。たとえば、医療用具に対する薬物と添加剤の付着性が異なる場合、接着層は、療法介入のための標的部位へ移動する際の成分の損失差を防いでコーティング中の薬物−対−添加剤の比率を維持することができる。さらに、接着層は、標的部位の組織と接触した時点でコーティング層成分が医療用具の表面から離れて迅速に放出されるのを容易にする機能を果たすことができる。他の態様において、医療用具は最上層を含むことができる。最上層は、薬物層が標的組織と接触する前の、たとえばバルーン12が療法介入部位へ移動する際の、またはバルーン12の最初の膨張の瞬間にコーティング層20が標的組織に押し付けられて直接接触する前の、薬物層の損失を少なくすることができる。
[0108] 1態様において、医療用具の表面に付与された少なくとも1種類の療法薬の濃度密度は、約1から20μg/mm2まで、またはより好ましくは約2から6μg/mm2までである。添加剤に対する療法薬の重量比は、約0.5から100まで、たとえば約0.1から5まで、0.5から3まで、さらにたとえば約0.8から1.2までである。添加剤に対する療法薬の比率(重量)が低すぎると薬物は早期に放出される可能性があり、この比率が高すぎると薬物は標的部位に配置した際に十分に速やかには溶出しないかまたは組織に吸収されない可能性がある。
[0109] 他の態様において、層は療法薬および添加剤を含み、その際、療法薬はパクリタキセルおよびその類似体またはラパマイシンおよびその類似体であり、添加剤はソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、キシリトール、2−エトキシエタノール、糖類、ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、Tween 20、Tween 40、Tween 60、およびそれらの誘導体から選択され、その際、添加剤に対する療法薬の重量比は0.5から3までである。添加剤に対する療法薬の比率(重量)が0.5未満であると薬物は早期に放出される可能性があり、この比率が3を超えると薬物は標的部位に配置した際に十分に速やかには溶出しないかまたは組織に吸収されない可能性がある。他の態様において、層は療法薬および1種類より多い添加剤を含んでもよい。たとえば、1種類の添加剤は、薬物放出または組織の薬物取込みの促進において優れた他の添加剤(単数または複数)がバルーンに接着するのを向上させる作用をすることができる。
[0110] 現在の薬物含有ステントコーティングは、薬物およびポリマーキャリヤーを含む。薬物はポリマーマトリックス中に、時には粒子として分散している。耐久性ポリマーの場合、薬物は長時間にわたって放出される。耐久性ポリマーはステントと共に体内に永続的に留まる。生分解性ポリマー、たとえばPLLAの場合、薬物は1〜3カ月で放出され、次いでポリマーがほぼ1年またはそれ以上で分解される。薬物は純粋な薬物として放出される。純粋な薬物粒子は組織における毒性のリスクを高める。しかし、本発明の態様の添加剤は、ポリマーキャリヤーと組み合わせてステントコーティングとして用いた場合、このリスクを軽減するであろう。本発明の態様ではポリマー系のステントコーティング中の薬物と添加剤は異なるが、一緒に組織へ同時に放出される。これは組織に対する薬物の毒性のリスクを軽減するであろう。
[0111] 他の態様において、ステントまたはバルーンなどの医療用具のコーティングとして、層は少なくとも1種類の療法薬、少なくとも1種類の添加剤、および少なくとも1種類のポリマーキャリヤーを含んでもよい。ステントコーティング中にポリマーキャリヤーと組み合わせて用いる添加剤は、本明細書中で考察する発明の態様に従った少なくとも1種類の添加剤であってよい。層中の添加剤は、薬物とポリマーキャリヤーの相溶性を向上させる。それはコーティングのポリマーマトリックス中における薬物結晶粒子のサイズを縮小し、または排除する。コーティング中の均一な薬物分布は、薬物をより均一に標的組織へ送達することによって臨床結果を改善する。
[0112] 他の態様において、医療用具は、医療用具、特にたとえばバルーンカテーテルの外面に付与された2層を含む。第1層は療法薬を含む。第1層は添加剤(単数または複数)を含んでもよい。第2層は添加剤(単数または複数)を含む。第2層は少なくとも1種類の療法薬を含んでもよい。第1層および第2層の両方が療法薬を含む場合、第2層中の療法薬の含量は第1層中の療法薬の含量より低い。1態様において、第2層は第1層を覆う。この様式では、第2層は医療用具を体内管中へ配置する際の、たとえばバルーンカテーテルが蛇行した解剖学的構造を通って脈管系内の組織部位へ移動するのに伴う、薬物損失を阻止することができる。
[0113] 他の態様において、医療用具は、医療用具、特にたとえばバルーンカテーテルの外面に付与された2層を含む。第1層は療法薬を含む。第1層は添加剤(単数または複数)を含んでもよい。第2層は添加剤(単数または複数)を含む。第2層は少なくとも1種類の療法薬を含んでもよい。第1層および第2層の両方が療法薬を含む場合、第1層中の療法薬の含量は第2層中の療法薬の含量より低い。1態様において、第2層中は第1層を覆う。この様式は、たとえばバルーン表面に緊密に付着しすぎて標的部位で膨張した際にバルーンから迅速に溶出できない療法薬の場合に有用である。この様式では、第1層は、医療用具が療法介入の標的部位で膨張している間に第2層中にある多量の薬物が医療用具の表面から離れて迅速に放出されるのを容易にする機能を果たす。
[0114] 他の態様において、2以上の療法薬を組み合わせて薬物−添加剤層中に使用する。
[0115] さらに他の態様において、2層コーティングを含む医療用具は、接着層を含んでもよい。この接着層は療法薬を含まない。たとえば、図2Cに記載する態様に示すように、バルーン12を接着層22でコーティングする。療法薬および場合によっては添加剤(単数または複数)を含む第1層26が接着層22を覆っている。添加剤および場合によっては療法薬を含む添加剤第2層28が第1層26を覆っている。接着層は医療用具の外面への第1層の付着性を向上させ、第1層の統合性を保護する。たとえば、医療用具に対する第1層中の薬物と添加剤(単数または複数)の接着強度が異なる場合、接着層は、療法介入のための標的部位へ移動する際の成分の損失差を阻止して薬物−対−添加剤の比率および添加剤−対−添加剤の比率を維持することができる。さらに接着層は、標的部位で組織に接触した時点で医療用具の表面からコーティング層が迅速に溶出するのを容易にする機能を果たすことができる。1態様において、第1層、第2層および接着層がそれぞれ添加剤を含有する。
[0116] 場合によってはジメチルスルホキシド(DMSO)または他の溶剤による処理が有利である;DMSOは組織内への薬物の浸透および吸収をさらに増強することができるからである。DMSOは、標的細胞の膜脂質二重層の脂質ヘッド基およびタンパク質ドメインから水を排除し、間接的に脂質構造を緩めて薬物の吸収および浸透を促進する。
[0117] さらに他の態様において、本発明は、外科処置または介入処置(PTCA、PTA、ステント配置、癌などの罹患組織の切除、および狭窄の軽減または治療)後の罹患した体腔または空洞を処置するための医薬組成物に関するものであり、その際、医薬組成物は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は疎水性部分であり、ならびに/あるいは水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有し、その際、療法薬はミセルに内包されていないか、またはポリマー粒子に封入されていない。
[0118] 他の態様、すなわち外科処置または介入処置、たとえばPTCA、PTA、ステント配置、狭窄部またはプラークの除去(病巣減量術、アテローム切除術またはレーザー処置による)後の、合併症または疾患再発(たとえば、癌または再狭窄)を阻止する方法において、介入部位またはその付近に、コーティング付き医療用具(たとえば、薬物コーティング付きバルーン)により、または噴霧により、注射により、もしくは沈着により、医薬組成物を局所送達する。たとえば、癌組織の外科的除去により形成された空洞内へ、再発のリスクを軽減するために、医薬組成物を噴霧、注射、バルーンまたは他の沈着方法により送達することができる。他の例として、医薬組成物を送達する方法は、血管介入、たとえばPTCA、PTA、ステント配置の後に、再狭窄を阻止するために、医療用具(たとえば、ガイドカテーテルまたは薬物注入カテーテル)を血中へ挿入して医薬組成物を注入することを含み、その際、医薬組成物は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は疎水性部分であり、ならびに/あるいは水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有し、その際、療法薬はミセルに内包されていないか、またはポリマー粒子に封入されていない。
[0119] 本発明の多くの態様が、脈管疾患を処置し、狭窄および遅発性内腔喪失を軽減するために特に有用であり、あるいはその目的のための用具の作成またはその疾患の処置方法に有用である。
[0120] 添加剤
[0121] 本発明の態様の添加剤は2つの部分をもつ。1つの部分は疎水性部分であり、他方の部分は薬物親和性部分である。薬物親和性部分は疎水性部分であり、ならびに/あるいは水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性をもつ。添加剤の薬物親和性部分は親油性薬物、たとえばラパマイシンまたはパクリタキセルを結合することができる。親水性部分は拡散を促進し、組織への薬物の透過を高める。それは、疎水性薬物分子の相互凝集もしくは医療用具への凝集を阻止することにより、間質腔内での薬物の溶解度を高めることにより、および/または薬物が標的組織の細胞膜の極性ヘッド基を通過して脂質二重層へ達するのを促進することにより、標的部位に配置した際に医療用具から薬物が迅速に離れて移動するのを容易にすることができる。本発明の態様の添加剤は一緒に機能する2つの部分をもち、配置した際に医療用具の表面から薬物が迅速に離れて標的組織に取り込まれるのを容易にし(それに対して薬物が高い親和性をもつ組織と薬物が接触するのを促進することにより)、一方では医療用具を標的部位に配置する前に薬物が医療用具から早期に放出されるのを阻止する。
[0122] 本発明の態様において、療法薬は医療用具を組織と接触させた後に迅速に放出され、直ちに吸収される。たとえば、本発明の医療用具の特定の態様には薬物コーティング付きバルーンカテーテルが含まれ、それは親油性の抗増殖薬(たとえば、パクリタキセルまたはラパマイシン)をバルーン血管形成術中に短期間の直接的な圧迫接触によって高い薬物濃度で血管組織へ送達する。親油性薬物は送達部位で優先的に標的組織に保持され、そこで過形成および再狭窄を阻止し、なおかつ内皮形成を可能にする。これらの態様において、本発明のコーティング配合物は、配置した際にバルーン表面から薬物が迅速に放出されて薬物が標的組織内へ移行するのを容易にするだけでなく、蛇行した動脈構造を通って移動する間に標的組織に到達する前に薬物が医療用具から拡散するのを阻止し、かつバルーン膨張の初期に薬物コーティングが血管壁の表面と直接に圧迫接触する前に薬物が医療用具から爆発的に放出されるのを阻止する。
[0123] 特定の態様による添加剤は、薬物親和性部分および親水性部分をもつ。薬物親和性部分は疎水性部分であり、ならびに/あるいは水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性をもつ。薬物親和性部分には、脂肪族および芳香族の炭化水素系化合物、たとえば特にベンゼン、トルエン、およびアルカン類が含まれる。これらの部分は水溶性ではない。それらは、それらが構造類似性を共有する疎水性薬物と細胞膜の脂質の両方を結合できる。それらは共有結合したヨウ素をもたない。薬物親和性部分には、薬物およびそれ自身との水素結合を形成できる官能基を含めることができる。親水性部分には、特にヒドロキシル基、アミン基、アミド基、カルボニル基、カルボン酸および無水物、エチルオキシド、エチルグリコール、ポリエチレングリコール、アスコルビン酸、アミノ酸、アミノアルコール、グルコース、スクロース、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機塩類、およびそれらの置換された分子を含めることができる。たとえば、1以上のヒドロキシル、カルボキシル、酸、アミドまたはアミン基が有利な可能性がある;それらは、細胞膜の極性ヘッド基および表面タンパク質に水素結合している水分子を容易に排除することができ、疎水性薬物と細胞膜脂質の間のこのバリヤーを除去する機能を果たすことができるからである。これらの部分は水および極性溶剤に溶解することができる。これらの添加剤は油、脂質またはポリマーではない。療法薬はミセルもしくはリポソームに内包されていないか、またはポリマー粒子に封入されていない。本発明の態様の添加剤は、薬物を結合する構成要素、および配置した際に医療用具から薬物が迅速に離れて標的組織内へ移動するのを容易にする構成要素の両方をもつ。
[0124] 本発明の態様の添加剤は、界面活性剤、および1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物である。界面活性剤には、イオン性、非イオン性、脂肪族、および芳香族の界面活性剤が含まれる。1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸および無水物、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、グルコース、スクロース、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、およびそれらの置換された分子から選択される。
[0125] 当技術分野で周知のように、用語“親水性”および“疎水性”は相対的用語である。本発明の例示態様において添加剤として機能するために、化合物は極性または親水性の部分および非極性の疎水性(親油性)部分を含む。
[0126] 医薬化学において医薬化合物の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるために一般的に用いられる経験的パラメーターは、分配係数P、すなわち2種類の非混和性溶剤(通常はオクタノールと水)の混合物の2相中におけるイオン化していない化合物の濃度の比であり、したがって([溶質]オクタノール/[溶質]水)である。より高いlog Pをもつ化合物ほどより疎水性であり、一方、より低いlog Pをもつ化合物ほどより親水性である。リピンスキー(Lipinski)の法則は、log P<5をもつ医薬化合物は一般に、より膜透過性であることを示唆する。本発明の特定の態様の目的について、添加剤は配合される薬物のlog Pより低いlog Pをもつことが好ましい(一例として、パクリタキセルのlog Pは7.4である)。薬物と添加剤の間のlog P差がより大きいほど、薬物の相分離が容易になる可能性がある。たとえば、添加剤のlog Pが薬物のlog Pよりはるかに低ければ、添加剤は水性環境で、他の場合は薬物が緊密に付着しているであろう器具の表面からの薬物の放出を促進することができ、これによって介入部位に短期間配置した際の組織への薬物送達が促進される。本発明の特定の態様において、添加剤のlog Pは負である。他の態様において、添加剤のlog Pは薬物のlog Pより低い。オクタノール−水 分配係数P、すなわちlog Pは、相対的な親水性および疎水性の測定法として有用であるが、それは本発明の態様に使用するのに適した添加剤を決定する際に有用なおおまかな指標にすぎない。
[0127] 本発明の態様のコーティングは、療法薬および少なくとも1種類の添加剤を含み、添加剤は各療法薬の独自の特性に基づいてコーティング層中の療法薬と組み合わせられて、療法薬の分解を最小限に抑え、安全かつ有効な薬物コーティング付き医療用具を提供する。本発明の態様の添加剤は、療法有効薬剤の官能基と化学反応しない。療法有効薬剤はそれぞれ独自の化学構造および特性をもち、異なる薬物キャリヤー添加剤と異なる反応をし、薬物と添加剤の反応は療法薬を不活性にするか、または潜在的に有毒な分解生成物を生成する可能性がある。添加剤は、療法有効薬剤の官能基と化学反応する官能基をもたないように選択される。さもなければ、薬物と添加剤の間のそのような反応は療法薬を不活性にするか、または潜在的に有毒な分解生成物を生成するであろう。療法薬の分解を最小限に抑えるために、また薬物コーティング付き医療用具が安全かつ有効であるために、療法薬と選択した添加剤(単数または複数)を調和させることが重要である。パクリタキセルは多くの官能基、たとえば酸、水、酸素、およびアミンと反応する。ラパマイシンおよびそれの誘導体は容易に加水分解または酸化される可能性がある。コーティング付き医療用具の表面積が大きいので、コーティング中の有効薬剤の安定性の最適化はよりいっそう重要になる。薬物コーティング付き医療用具は殺菌に際して高い熱、水分、および酸化性条件に曝され、またそれらは使用前にしばしば長期間貯蔵される。本発明の態様の添加剤は、苛酷な条件に曝される際および長期間貯蔵される際の療法薬の分解を最小限に抑えるように、慎重に選択される。ある種の薬物、たとえばラパマイシンおよびそれの誘導体は酸素および水分に対して感受性であり、酸化および加水分解されやすい。本発明者らは、抗酸化剤はラパマイシンなどの薬物を酸化および加水分解から保護する添加剤であることを見出した。本発明の態様は、添加剤および有効薬剤を含む医療用具用コーティングであって、添加剤が有効薬剤の分解に関与しないか、または−抗酸化剤である添加剤のように−有効薬剤を分解から保護するコーティングを提供する。
[0128] 本発明の態様はまた、ラパマイシンおよびそれの誘導体など感受性療法薬の酸化および/または加水分解による分解を最小限に抑える、コーティング付き医療用具を作成するための方法(コーティング組成物の調製および加工のための方法を含む)に関する。コーティング付き医療用具の加工、パッケージングおよび貯蔵は薬物安定性にとって特に重要であり、本発明の態様において、パッケージングに際して酸素および水分を減らすと長期貯蔵中の経時的な療法薬の酸化および加水分解がさらに抑えられる。特定の態様の方法は、療法薬の分解を最小限に抑えるためのコーティング付き医療用具の加工およびパッケージングを提供する。
[0129] 本発明の態様に使用できる適切な添加剤には、限定ではなく、有機および無機の医薬賦形剤、天然物およびその誘導体(たとえば、糖類、ビタミン類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、および脂肪酸)、低分子量オリゴマー、界面活性剤(陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、およびイオン性)、ならびにその混合物が含まれる。本発明に有用な下記の詳細なリストは例示の目的で提示され、包括的であることを意図したものではない。他の多数の添加剤を本発明の目的に使用できる。
[0130] 界面活性剤
[0131] 界面活性剤は医薬組成物に使用するのに適したいかなる界面活性剤であってもよい。そのような界面活性剤は陰イオン性、陽イオン性、両性イオン性または非イオン性であってよい。界面活性剤の混合物も本発明の範囲に含まれ、界面活性剤と他の添加剤の組合せも含まれる。界面活性剤はしばしば脂肪酸のように1以上の長い脂肪族鎖をもち、それを細胞膜の脂質二重層内へ直接挿入して脂質構造の一部を形成することができ、一方、界面活性剤の他の構成要素は脂質構造を緩め、薬物の浸透および吸収を増強する。造影剤イオプメミドはこれらの特性をもたない。
[0132] 界面活性剤の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるために一般に用いられる経験的パラメーターは、親水性−親油性バランス(“HLB”値)である。より低いHLB値をもつ界面活性剤ほどより疎水性であって油中でより大きい溶解度をもち、一方、より高いHLB値をもつ界面活性剤ほどより親水性であって水溶液中でより大きい溶解度をもつ。HLB値をおおまかな指標として用いると、親水性界面活性剤は一般に約10より大きいHLB値をもつ化合物、および一般にHLB値を適用できない陰イオン性、陽イオン性、または両性イオン性化合物であると考えられる。同様に、疎水性界面活性剤は約10未満のHLB値をもつ化合物である。本発明の特定の態様において、高い親水性は医療用具の表面からの疎水性薬物の放出を容易にすることができるので、より高いHLB値が好ましい。1態様において、界面活性剤のHLBは約10より高い。他の態様において、添加剤のHLBは約14より高い。あるいは、医療用具を標的部位に配置する前の薬物損失を阻止するために、たとえばきわめて親水性の添加剤を含む薬物層を覆うトップコート中に使用する際には、より低いHLBをもつ界面活性剤が好ましい場合がある。特定の態様における界面活性剤系添加剤のHLB値は、0.0〜40の範囲である。
[0133] 界面活性剤のHLB値は、たとえば工業用、医薬用および化粧品用のエマルジョンの配合を可能にするために一般に用いられるおおまかな指標にすぎないことを理解すべきである。幾つかのポリエトキシル化界面活性剤を含めた多くの重要な界面活性剤について、HLB値はHLB値を測定するために選択する経験的方法に応じて約8HLB単位も異なる可能性があると報告されている(Schott, J. Pharm. Sciences, 79(1), 87-88 (1990))。これらの固有の難点を考慮し、HLB値を指標として用いて、本明細書に記載するように本発明の態様に使用するのに適した親水性または疎水性をもつ界面活性剤を同定することができる。
[0134] PEG−脂肪酸ならびにPEG−脂肪酸モノエステルおよびジエステル
[0135] ポリエチレングリコール(PEG)自体は界面活性剤として機能しないが、多様なPEG−脂肪酸エステルが有用な界面活性剤特性をもつ。PEG−脂肪酸モノエステルのうち、ラウリン酸、オレイン酸、およびステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、エルシン酸、リシノレイン酸、およびドコサヘキサエン酸のエステルは本発明の態様に最も有用である。好ましい親水性界面活性剤には、PEG−8ラウレート、PEG−8オレエート、PEG−8ステアレート、PEG−9オレエート、PEG−10ラウレート、PEG−10オレエート、PEG−12ラウレート、PEG−12オレエート、PEG−15オレエート、PEG−20ラウレートおよびPEG−20オレエートが含まれる。PEG−15 12−ヒドロキシステアレート(Solutol HS 15)は、注射液に用いられる非イオン性界面活性剤である。Solutol HS 15は本発明の特定の態様において好ましい添加剤である;それは室温では白色ペーストであり、室温より高いけれども体温より低い約30℃で液体になるからである。HLB値は4〜20の範囲である。
[0136] この添加剤(たとえば、Solutol HS 15)は室温ではペースト、固体または結晶状態であり、体温では液体になる。室温で液体である特定の添加剤は、均一にコーティングされた医療用具の作成を困難にする場合がある。特定の液体添加剤は、溶剤の蒸発を妨げる場合があり、あるいは室温で用具のコーティングプロセスに際して医療用具の表面の適所に、たとえばバルーンカテーテルのバルーン部分に、留まらない場合がある。本発明の特定の態様において、ペースト状および固体状の添加剤が好ましい;それらは医療用具上に均一なコーティングとして局在して留まることができ、それを室温で乾燥させることができるからである。ある態様において、人体内に配置された際に医療用具上の固体コーティングがより高い約37℃の生理的温度に曝されると、それは液体になる。これらの態様において、液体コーティングはきわめて容易に医療用具の表面から放出され、容易に罹患組織内へ移行する。生理的条件下で温度誘導状態の変化を伴う添加剤は、本発明の特定の態様において、特に薬物コーティングされたバルーンカテーテルにおいて、きわめて重要である。特定の態様において、固体添加剤と液体添加剤の両方を組み合わせて本発明の薬物コーティング中に用いる。この組合せは、医療用具のコーティングの統合性を向上させる。本発明の特定の態様において、少なくとも1種類の固体添加剤を薬物コーティング中に用いる。
[0137] ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルも本発明の態様の組成物中に界面活性剤として使用するのに適している。最も好ましい親水性界面活性剤には、PEG−20 ジラウレート、PEG−20 ジオレエート、PEG−20 ジステアレート、PEG−32 ジラウレートおよびPEG−32 ジオレエートが含まれる。HLB値は5〜15の範囲である。
[0138] 一般に、界面活性剤の混合物も本発明の態様に有用であり、これには2種類以上の市販の界面活性剤の混合物、および界面活性剤と他の添加剤(単数または複数)の混合物が含まれる。幾つかのPEG−脂肪酸エステルがモノエステルおよびジエステルの混合物として市販されている。
[0139] ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル
[0140] 好ましい親水性界面活性剤は、PEG−20 グリセリルラウレート、PEG−30 グリセリルラウレート、PEG−40 グリセリルラウレート、PEG−20 グリセリルオレエート、およびPEG−30 グリセリルオレエートである。
[0141] アルコール−油 エステル交換生成物
[0142] アルコール類またはポリアルコールと多様な天然油および/または水素化油との反応によって、疎水性または親水性の程度が異なる多数の界面活性剤を製造することができる。最も一般的には、用いられる油はひまし油もしくは水素化ひまし油、または食用植物油、たとえばトウモロコシ油、オリーブ油、ラッカセイ油、パーム核油、杏仁油もしくは扁桃油(アーモンド油)である。好ましいアルコール類には、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、およびペンタエリトリトールが含まれる。これらのアルコール−油 エステル交換型界面活性剤のうち好ましい親水性界面活性剤は、PEG−35 ひまし油、ポリエチレングリコール−リシノール酸グリセロール(Incrocas−35、およびCremophor ELおよびELP)、PEG−40 水素化ひまし油(Cremophor RH 40)、PEG−15 水素化ひまし油(Solutol HS 15)、PEG−25 トリオレエート(TAGAT.RTM.TO)、PEG−60 トウモロコシグリセリド類(Crovol M70)、PEG−60 扁桃油(Crovol A70)、PEG−40 パーム核油(Crovol PK70)、PEG−50 ひまし油(Emalex C−50)、PEG−50 水素化ひまし油(Emalex HC−50)、PEG−8 カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Labrasol)、およびPEG−6 カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Softigen 767)である。このクラスの好ましい疎水性界面活性剤には、PEG−5水素化ひまし油、PEG−7水素化ひまし油、PEG−9水素化ひまし油、PEG−6トウモロコシ油(Labrafil.RTM. M 2125 CS)、PEG−6 扁桃油(Labrafil.RTM. M 1966 CS)、PEG−6 杏仁油(Labrafil.RTM. M 1944 CS)、PEG−6 オリーブ油(Labrafil.RTM. M 1980 CS)、PEG−6 ラッカセイ油(Labrafil.RTM. M 1969 CS)、PEG−6 水素化パーム核油(Labrafil.RTM. M 2130 BS)、PEG−6 パーム核油(Labrafil.RTM. M 2130 CS)、PEG−6 トリオレイン(Labrafil.RTM.b M 2735 CS)、PEG−8 トウモロコシ油(Labrafil.RTM. WL 2609 BS)、PEG−20 トウモロコシグリセリド類(Crovol M40)、およびPEG−20 扁桃グリセリド類(Crovol A40)が含まれる。
[0143] 脂肪酸ポリグリセリル
脂肪酸のポリグリセリルエステルも、本発明の態様に使用するのに適した界面活性剤である。脂肪酸ポリグリセリルエステルのうち、好ましい疎水性界面活性剤には、ポリグリセリルオレエート(Plurol Oleique)、ポリグリセリル−2 ジオレエート(Nikkol DGDO)、ポリグリセリル−10 トリオレエート、ポリグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、およびポリグリセリルリノレエートが含まれる。好ましい親水性界面活性剤には、ポリグリセリル−10 ラウレート(Nikkol Decaglyn 1−L)、ポリグリセリル−10 オレエート(Nikkol Decaglyn 1−O)、およびポリグリセリル−10 モノ、ジオレエート(Caprol.RTM. PEG 860)、ポリグリセリル−10 ステアレート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート、ポリグリセリル−10 リノレエート、ポリグリセリル−6 ステアレート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、およびポリグリセリル−6 リノレエートが含まれる。ポリグリセリルポリリシノレエート類(Polymuls)も好ましい界面活性剤である。
[0144] プロピレングリコール脂肪酸エステル
[0145] プロピレングリコールと脂肪酸のエステルは、本発明の態様に使用するのに適した界面活性剤である。この界面活性剤クラスにおいて、好ましい疎水性界面活性剤には、プロピレングリコールモノラウレート(Lauroglycol FCC)、プロピレングリコールリシノレエート(Propymuls)、プロピレングリコールモノオレエート(Myverol P−O6)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(Captex.RTM. 200)、およびプロピレングリコールジオクタノエート(Captex.RTM. 800)が含まれる。
[0146] ステロールおよびステロール誘導体
[0147] ステロール類およびステロール誘導体は、本発明の態様に使用するのに適した界面活性剤である。好ましい誘導体には、ポリエチレングリコール誘導体が含まれる。このクラスの好ましい界面活性剤はPEG−24 コレステロールエーテル(Solulan C−24)である。
[0148] ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル
[0149] 多様なPEG−ソルビタン脂肪酸エステルが入手可能であり、本発明の態様において界面活性剤として使用するのに適している。PEG−ソルビタン脂肪酸エステルのうち、好ましい界面活性剤には、PEG−20 ソルビタンモノラウレート(Tween−20)、PEG−4 ソルビタンモノラウレート(Tween−21)、PEG−20 ソルビタンモノパルミテート(Tween−40)、PEG−20 ソルビタンモノステアレート(Tween−60)、PEG−4 ソルビタンモノステアレート(Tween−61)、PEG−20 ソルビタンモノオレエート(Tween−80)、PEG−4 ソルビタンモノオレエート(Tween−81)、PEG−20 ソルビタントリオレエート(Tween−85)が含まれる。ラウリン酸エステルはオレイン酸エステルと比較して短い脂質鎖をもち、薬物吸収を高めるので好ましい。
[0150] ポリエチレングリコールアルキルエーテル
[0151] ポリエチレングリコールとアルキルアルコール類のエーテルは本発明の態様に使用するのに適した界面活性剤である。好ましいエーテルには、Laneth類(Laneth−5、Laneth−10、Laneth−15、Laneth−20、Laneth−25、およびLaneth−40)、laureth類(Laureth−5、laureth−10、Laureth−15、laureth−20、Laureth−25、およびlaureth−40)、Oleth類(Oleth−2、Oleth−5、Oleth−10、Oleth−12、Oleth−16、Oleth−20、およびOleth−25)、Steareth類(Steareth−2、Steareth−7、Steareth−8、Steareth−10、Steareth−16、Steareth−20、Steareth−25、およびSteareth−80)、Ceteth類(Ceteth−5、Ceteth−10、Ceteth−15、Ceteth−20、Ceteth−25、Ceteth−30、およびCeteth−40),PEG−3 オレイルエーテル(Volpo 3)およびPEG−4 ラウリルエーテル(Brij 30)が含まれる。
[0152] 糖類およびそれの誘導体
[0153] 糖誘導体は、本発明の態様に使用するのに適した界面活性剤である。このクラスの好ましい界面活性剤には、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、およびオクチル−β−D−チオグルコピラノシドが含まれる。
[0154] ポリエチレングリコールアルキルフェノール
[0155] 幾つかのPEG−アルキルフェノール系界面活性剤、たとえばPEG−10−100 ノニルフェノールおよびPEG−15−100 オクチルフェノールエーテル、Tyloxapol、オクトキシノール、ノノキシノールが入手可能であり、本発明の態様において界面活性剤として使用するのに適している。
[0156] ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン(POE−POP)ブロックコポリマー
[0157] POE−POPブロックコポリマーは独自のクラスのポリマー系界面活性剤である。親水性POE部分と疎水性POP部分を良好に規定された比率および位置で含むこれらの界面活性剤の独自の構造は、本発明の態様に使用するのに適した多種多様な界面活性剤を提供する。これらの界面活性剤は種々の商品名で入手でき、これにはSynperonic PEシリーズ(ICI);Pluronic.RTM.シリーズ(BASF)、Emkalyx、Lutrol(BASF)、Supronic、Monolan、Pluracare、およびPlurodacが含まれる。これらのポリマーの一般名は“ポロキサマー(poloxamer)”(CAS 9003−11−6)である。これらのポリマーは次式をもつ:
[0158] HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)aH:式中の“a”および“b”は、それぞれポリオキシエチレン単位およびポリオキシプロピレン単位の数を表わす。
[0159] このクラスの好ましい親水性界面活性剤には、Poloxamer 108、188、217、238、288、338、および407が含まれる。このクラスの好ましい疎水性界面活性剤には、Poloxamer 124、182、183、212、331、および335が含まれる。
[0160] ポリエステル−ポリエチレングリコールブロックコポリマー
[0161] ポリエチレングリコール−ポリエステルブロックコポリマーは、独自のクラスのポリマー系界面活性剤である。親水性ポリエチレングリコール(PEG)部分と疎水性ポリエステル部分を良好に規定された比率および位置で含むこれらの界面活性剤の独自の構造は、本発明の態様に使用するのに適した多種多様な界面活性剤を提供する。これらのブロックポリマー中のポリエステルには、下記のものが含まれる:ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(DL−ラクチド)(PDLLA)、ポリ(D−ラクチド)(PDLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエステルアミド(PEA)、ポリヒドロキシアルカノエート類、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシブチレート−co−ヒドロキシバレレート類(PHBV)、ポリヒドロキシブチレート−co−ヒドロキシヘキサノエート(PHBHx)、ポリアミノ酸、ポリグリコリドまたはポリグリコール酸(PGA)、ポリグリコリドおよびそれのコポリマー(乳酸とのポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ε−カプロラクトンとのポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、およびトリメチレンカーボネートとのポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネート))、ならびにそれらのコポリエステル。例はPLA−b−PEG、PLLA−b−PEG、PLA−co−PGA−b−PEG、PCL−co−PLLA−b−PEG、PCL−co−PLLA−b−PEG、PEG−b−PLLA−b−PEG、PLLA−b−PEG−b−PLLA、PEG−b−PCL−b−PEG、ならびに他のジ、トリ、およびマルチブロックコポリマーである。親水性ブロックは他の親水性または水溶性ポリマー、たとえばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、およびポリアクリル酸であってもよい。
[0162] ポリエチレングリコールグラフトコポリマー
[0163] グラフトコポリマーの一例は、Soluplus(BASF,ドイツ)である。Soluplusは、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである。このコポリマーは両親媒性化学構造をもつ可溶化剤であり、貧溶解性薬物、たとえばパクリタキセル、ラパマイシンおよびそれらの誘導体を水性媒体に可溶化することができる。このコポリマーの分子量は90,000〜140000g/molの範囲である。
[0164] 両親媒性化学構造をもつポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、およびグラフトコポリマーは、本発明において添加剤として用いられる。両親媒性化学構造をもつポリマーは、ブロックまたはグラフトコポリマーである。異なる反復単位の多数セグメント(少なくとも2つのセグメント)がこれらのコポリマー中にある。ある態様において、セグメントのうちの1つはそれらのコポリマー中の他のセグメントより親水性である。同様に、セグメントのうちの1つはそれらのコポリマー中の他のセグメントより疎水性である。たとえば、Soluplus(BASF,ドイツ)において、ポリエチレングリコールセグメントはポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニルセグメントより親水性である。ポリエチレングリコール−ポリエステルブロックコポリマー中のポリエステルセグメントはポリエチレングリコールセグメントより疎水性である。PEG−PLLAにおいて、PEGはPLLAより親水性である。PEG−b−PCL−b−PEGにおいて、PCLはPEGより疎水性である。親水性セグメントはポリエチレングリコールに限定されない。他の水溶性ポリマー、たとえば可溶性ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールは、両親媒性構造をもつポリマー中の親水性セグメントを形成することができる。これらのコポリマーを、本発明において他の添加剤と組み合わせて使用できる。
[0165] ソルビタン脂肪酸エステル
[0166] 脂肪酸のソルビタンエステルは、本発明の態様に使用するのに適した界面活性剤である。これらのエステルのうち、好ましい疎水性界面活性剤には、ソルビタンモノラウレート(Arlacel 20)、ソルビタンモノパルミテート(Span−40)、およびソルビタンモノオレエート(Span−80)、ソルビタンモノステアレートが含まれる。
[0167] ビタミンCの両親媒性誘導体であるソルビタンモノパルミテート(それはビタミンC活性をもつ)は、可溶化系において2つの重要な機能を果たすことができる。第1に、それはミクロ環境を調節することができる有効な極性基を保有する。これらの極性基は、入手できるうちで最も水溶性の有機固体化合物のひとつである有機ビタミンC自体(アスコルビン酸)を形成するものと同じ基である:アスコルビン酸は水に約30wt/wt%まで溶解する(たとえば、塩化ナトリウムの溶解度にきわめて近い)。第2に、pHが上昇すると、パルミチン酸アスコルビルの一部がより可溶性の塩、たとえばアスコルビルパルミチン酸ナトリウムに変換される。
[0168] イオン性界面活性剤
[0169] 陽イオン性、陰イオン性および両性イオン性界面活性剤を含めたイオン性界面活性剤は、本発明の態様に使用するのに適した親水性界面活性剤である。
[0170] 陰イオン性界面活性剤は、負の電荷を親水性部分に保有するものである。本発明の態様において添加剤として用いられる主要なクラスの陰イオン性界面活性剤は、カルボキシレート、スルフェートおよびスルホネートイオンを含むものである。本発明の態様に用いられる好ましい陽イオンは、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよび亜鉛である。その直鎖は一般に飽和または不飽和C8〜C18脂肪族基である。カルボキシレートイオンを含む陰イオン性界面活性剤には、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜塩、オレイン酸ナトリウム、亜塩およびカリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、およびミリストイルサルコシン酸ナトリウムが含まれる。スルフェート基をもつ陰イオン性界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノ−、ジ、およびトリエタノールアミン、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、硫酸化ひまし油、コレステリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、他の中鎖−分岐または非分岐アルキルスルフェート類、ならびにラウリル硫酸アンモニウムが含まれる。スルホネート基をもつ陰イオン性界面活性剤には、ドクセートナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジイソブチルスルホコハク酸ナトリウム、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)、およびビス(1−メチルアミル)スルホコハク酸ナトリウムが含まれる。
[0171] 本発明の態様に用いられる最も一般的な陽イオン性界面活性剤は、一般式R1,R2,R3,R4N+X−をもつ第四級アンモニウム化合物であり、式中のX−は通常は塩素または臭素イオンであり、RはC8〜18原子を含むアルキル基を表わす。これらのタイプの界面活性剤は、それらの殺細菌特性のため医薬的に重要である。本発明において医薬および医療用具の調製に用いられる主要な陽イオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム塩である。これらの界面活性剤には、セトリミド、臭化セトリモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化ステアラルコニウム、塩化ラウラルコニウム、テトラデシルアンモニウムクロリド、ミリスチルピコリニウムクロリド、およびドデシルピコリニウムクロリドが含まれる。これらの界面活性剤は、配合物またはコーティング中のある療法薬と反応する可能性がある。これらの界面活性剤は、それらが療法薬と反応しなければ好ましい場合がある。
[0172] 双性または両性界面活性剤には、特にドデシルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホクリシネート(cocoampho clycinate)が含まれる。
[0173] 好ましいイオン性界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、硫酸化ひまし油、コレステリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、他の中鎖−分岐または非分岐アルキルスルフェート類、ドクセートナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化エドロホニウム、臭化ドミフェン、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、およびタウロコール酸ナトリウムが含まれる。これらの第四級アンモニウム塩は好ましい添加剤である。それらは有機溶剤(たとえば、エタノール、アセトン、およびトルエン)および水の両方に溶解できる。これは調製およびコーティングのプロセスを簡略化し、かつ良好な接着特性をもつので、医療用具コーティングに特に有用である。水不溶性薬物は一般に有機溶剤に溶解させる。これらの界面活性剤のHLB値は、一般に20〜40の範囲にあり、たとえばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は38〜40のHLB値をもつ。
[0174] 本明細書に記載するある界面活性剤は、加熱下できわめて安定である。それらはエチレンオキシド殺菌プロセスで存続する。それらは殺菌プロセスでパクリタキセルまたはラパマイシンなどの薬物と反応しない。ヒドロキシル、エステル、アミド基は薬物と反応しないと考えられるので好ましく、一方、アミンおよび酸基は殺菌処理中にしばしばパクリタキセルまたはラパマイシンと実際に反応する。さらに、界面活性剤系添加剤はコーティング層の統合性および品質を向上させ、したがって粒子は取扱い中に脱落しない。本明細書に記載する界面活性剤をパクリタキセルと共に配合すると、それは実験によれば医療用具送達プロセスで薬物を早期放出から保護し、一方で標的部位における0.2〜2分間のごく短期間の配置に際してパクリタキセルの迅速な放出および溶出を容易にする。標的部位の組織による薬物吸収は、実験によれば予想外に高い。
[0175] 1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物
[0176] 1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物には、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子が含まれる。1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ親水性化学化合物であって、5,000〜10,000未満の分子量をもつものが特定の態様に好ましい。他の態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ添加剤の分子量は、好ましくは1000〜5,000未満、またはより好ましくは750〜1,000未満、または最も好ましくは750未満である。これらの態様において、添加剤の分子量は送達される薬物のものより小さいことが好ましい。さらに、添加剤の分子量は、80より大きいことが好ましい;80未満の分子量をもつ分子はきわめて蒸発しやすく、医療用具のコーティング中に留まらないからである。添加剤が室温で揮発性または液状である場合、コーティングプロセスで溶剤を蒸発させる際に添加剤が失われないためには、それの分子量が80を超えることが重要である。しかし、添加剤が揮発性ではない特定の態様、たとえば固体添加剤であるアルコール類、エステル類、アミド類、酸類、アミン類、およびそれらの誘導体においては、添加剤がコーティングから容易に蒸発することはないので、添加剤の分子量は80未満、60未満、および20未満であってもよい。固体添加剤は結晶質、半結晶質、および非晶質であってよい。小分子は速やかに拡散することができる。それら自身が送達バルーンから容易に溶出して薬物の放出を促進することができ、かつそれらは薬物が体腔の組織に結合すると薬物から離脱拡散することができる。特定の態様において、たとえば高分子量添加剤の場合は、4つより多いヒドロキシル基が好ましい。大分子は拡散するのが遅い。添加剤または化学化合物の分子量が高い場合、たとえば分子量が800より大、1000より大、1200より大、1500より大、または2000より大である場合、大分子は医療用具の表面から溶出するのが遅すぎて薬物を2分未満で放出できない可能性がある。これらの大分子が4つより多いヒドロキシル基を含むとそれらは親水性が増大し、これは比較的大きな分子が薬物を速やかに放出するために必要である。親水性の増大はコーティングがバルーンから溶出するのを補助し、薬物の放出を促進し、薬物が水バリヤーおよび脂質二重層の極性ヘッド基を通って移動して組織に浸透するのを向上させ、または容易にする。ヒドロキシル基は水不溶性薬物、たとえばパクリタキセルまたはラパマイシンと反応しないと考えられるので、親水性部分として好ましい。ある態様において、4つより多いヒドロキシル基を含む化学化合物は、120℃以下の融点をもつ。ある態様において、4つより多いヒドロキシル基を含む化学化合物は3個の隣接ヒドロキシル基をもち、それらはすべて立体配置において分子の片側にある。たとえば、ソルビトールおよびキシリトールは、立体配置においてすべて分子の片側にある3個の隣接ヒドロキシル基をもち、一方、ガラクチトールはそれらをもたない。この相異は異性体の物理的特性、たとえば融解温度に影響を及ぼす。3個の隣接ヒドロキシル基のこの立体配置は薬物結合を増強することができる。これによって水不溶性薬物と親水性添加剤の相溶性が向上し、組織による薬物の取込みおよび吸収が向上するであろう。
[0177] アミド部分をもつ化学化合物は、本発明の特定の態様においてコーティング配合物に重要である。尿素はアミド基をもつ化学化合物の一例である。他には、ビウレット、アセトアミド、乳酸アミド、アミノ酸アミド、アセトアミノフェン、尿酸、ポリウレア、ウレタン、尿素誘導体、ナイアシンアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルファセタミドナトリウム、ベルセタミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルステアルアミド)、コカミドMEA、コカミドDEA、アルギニン、および他の有機酸アミド、ならびのそれらの誘導体が含まれる。アミド基をもつある化学化合物は、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、またはエステル部分をも有する。
[0178] アミド基をもつ化学化合物のひとつは、可溶性の低分子量ポビドンである。ポビドンには、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF、Kollidon 17、Kollidon 25、およびKollidon 30が含まれる。Kollidon製品は、種々の分子量および粒度をもつ可溶性および不溶性グレードのポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ならびにポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンのブレンドからなる。ファミリー製品はポビドン、クロスポビドンおよびコポビドンと表示される。低分子量の可溶性ポビドン類およびコポビドン類は、本発明において特に重要な添加剤である。たとえば、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF、およびKollidon 17はきわめて重要である。固体ポビドンは医療用具上のコーティングの統合性を維持することができる。低分子量ポビドンは罹患組織内へ吸収または透過することができる。ポビドンの好ましい分子量範囲は54000未満、11000未満、7000未満、4000未満である。それらは水不溶性療法薬を可溶化することができる。これらの固体、低分子量および組織吸収/透過の特性のため、ポビドンおよびコポビドンは本発明に特に有用である。ポビドンは、本発明において他の添加剤と組み合わせて使用できる。1態様において、ポビドンおよび非イオン性界面活性剤(たとえば、PEG−15 12−ヒドロキシステアレート(Solutol HS 15)、Tween 20、Tween 80、Cremophor RH40、Cremophor ELおよびELP)をパクリタキセルもしくはラパマイシンまたはそれらの類似体と共に、バルーンカテーテルなどの医療用具のコーティングとして配合することができる。
[0179] エステル部分をもつ化学化合物は、特定の態様のコーティング配合物に特に重要である。有機酸とアルコール類の生成物がエステル基をもつ化学化合物である。エステル基をもつ化学化合物は、ポリマー材料の可塑剤としてしばしば用いられる。広範なエステル化学化合物には、セベート類、アジペート類、グルテレート類、およびフタレート類が含まれる。これらの化学化合物の例は、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、およびクエン酸トリメチルである。
[0180] 本明細書に記載する1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物のうちあるものは、加熱下できわめて安定である。それらはエチレンオキシド殺菌プロセスで存続し、殺菌処理中に水不溶性薬物パクリタキセルまたはラパマイシンと反応しない。これに対し、L−アスコルビン酸およびそれの塩ならびにジエタノールアミンはそのような殺菌プロセスで必ずしも存続せず、かつそれらはパクリタキセルと反応する。したがって、L−アスコルビン酸およびジエタノールアミンには別の殺菌法が好ましい。ヒドロキシル、エステル、およびアミド基はパクリタキセルまたはラパマイシンなどの療法薬と反応しないと考えられるので好ましい。アミンおよび酸基は時にはパクリタキセルと実際に反応する;たとえば、実験によれば安息香酸、ゲンチシン酸、ジエタノールアミン、およびアスコルビン酸はエチレンオキシド殺菌、加熱、およびエージングのプロセス下で安定ではなく、パクリタキセルと反応した。本明細書に記載する化学化合物をパクリタキセルと共に配合する場合、親水性の小分子は時には薬物を容易に放出しすぎるので、医療用具の送達プロセスで標的部位に配置する前の早期薬物損失を阻止するためにトップコート層が有利な可能性がある。本明細書中の化学化合物は、標的部位に配置した際に薬物をバルーンから迅速に溶出させる。意外にも、コーティングがこれらの添加剤を含有する場合は、医療用具を標的部位へ移動させる際に若干の薬物が失われるとしても、実験によれば組織による薬物吸収は、たとえばリボン酸ラクトンおよびグルコノラクトンなどの添加剤ヒドロキシルラクトン類については配置してわずか0.2〜2分後と予想外に高い。
[0181] 抗酸化剤
[0182] 抗酸化剤は、他の分子の酸化を遅らせるかまたは阻止することができる分子である。酸化反応はフリーラジカルを発生する可能性があり、これが連鎖反応を開始させ、感受性療法薬、たとえばラパマイシンおよびそれの誘導体の分解を引き起こす場合がある。抗酸化剤はフリーラジカルを除去することによりこれらの連鎖反応を終結させ、それらはさらにそれら自身が酸化されることにより有効薬剤の酸化を阻害する。抗酸化剤は特定の態様において、医療用具のコーティング中の療法薬の酸化を阻止するかまたは遅らせるために添加剤として用いられる。抗酸化剤は一種のフリーラジカルスカベンジャーである。抗酸化剤は単独でまたは他の添加剤と組み合わせて本発明の特定の態様に用いられ、殺菌処理中または使用前の貯蔵中の有効療法薬の分解を阻止することができる。
[0183] 本発明方法に使用できる抗酸化剤の若干の代表例には、限定ではなく、オリゴマーまたはポリマー状のプロアントシアニジン類、ポリフェノール類、ポリホスフェート類、ポリアゾメチン、高スルフェート寒天オリゴマー類、キトサンの部分加水分解により得られるキトオリゴ糖類、多官能性オリゴマーチオエーテル類であって立体障害フェノール類、ヒンダードアミン類、たとえば、限定ではなく、p−フェニレンジアミン、トリメチルジヒドロキノロン類、およびアルキル化ジフェニルアミン類を含むもの、tert−ブチルなど1以上の嵩高い官能基を含む置換フェノール化合物(ヒンダードフェノール類)、アリールアミン類、ホスファイト類、ヒドロキシルアミン類、およびベンゾフラノン類が含まれる。芳香族アミン、たとえばp−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、およびN,N’ ジ置換p−フェニレンジアミンもフリーラジカルスカベンジャーとして使用できる。他の例には、限定ではなく、ブチル化ヒドロキシトルエン(“BHT”)、ブチル化ヒドロキシアニソール(“BHA”)、L−アスコルベート(ビタミンC)、ビタミンE、薬草ローズマリー、セージエキス、グルタチオン、レスベラトール、エトキシキン、ロスマノール、イソロスマノール、ロスマリジフェノール、没食子酸プロピル、没食子酸、コーヒー酸、p−クマル酸(p-coumeric acid)、p−ヒドロキシ安息香酸、アスタキサンチン、フェルラ酸、デヒドロジンゲロン、クロロゲン酸、エラグ酸、プロピルパラベン、シナピン酸、ダイジン、グリシチン、ゲニスチン、ダイゼイン、グリシテイン、ゲニステイン、イソフラボン類、およびtert−ブチルヒドロキノンが含まれる。若干のホスファイト類の例には、ジ(ステアリル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリルおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイトが含まれる。ヒンダードフェノール類の若干例には、限定ではなく、オクタデシル−3,5,ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート、テトラキス−メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート メタン 2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、イオノール、ピロガロール、レチノール、およびオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが含まれる。抗酸化剤には、グルタチオン、リポ酸、メラトニン、トコフェロール類、トコトリエノール類、チオール類、ベータ−カロテン、レチノイン酸、クリプトキサンチン、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、没食子酸プロピル、カテキン、没食子酸カテキン、およびケルセチンを含めることができる。好ましい抗酸化剤はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)である。
[0184] 脂溶性ビタミン類およびその塩類
[0185] ビタミンA、D、EおよびKはそれらの種々の形態およびプロビタミンの形態のものが脂溶性ビタミン類とみなされ、これらのほかに多数の他のビタミン類およびビタミン源または近縁のものも脂溶性であり、極性基および比較的高いオクタノール−水 分配係数をもつ。明らかに、全般的クラスのそのような化合物は安全な使用歴および高い損益比をもつので、それらは本発明の態様において添加剤として有用となる。
[0186] 下記の脂溶性ビタミン誘導体および/またはビタミン源の例も添加剤として有用である:アルファ−トコフェロール、ベータ−トコフェロール、ガンマ−トコフェロール、デルタ−トコフェロール、酢酸トコフェロール、エルゴステロール、1−アルファ−ヒドロキシコレカルシフェロール、ビタミンD2、ビタミンD3、アルファ−カロテン、ベータ−カロテン、ガンマ−カロテン、ビタミンA、フルスルチアミン、メチロールリボフラビン、オクトチアミン、プロスルチアミン、リボフラビン、ビンチアモール、ジヒドロビタミンK1、二酢酸メナジオール、二酪酸メナジオール、二硫酸メナジオール、メナジオール、ビタミンK1、ビタミンK1オキシド、ビタミン K2、およびビタミンK−−S(II)。葉酸もこのタイプのものであり、それは生理的pHでは水溶性であるが、遊離酸の形態で配合できる。本発明の態様に有用な脂溶性ビタミンの他の誘導体は、親水性分子との周知の化学反応によって容易に得ることができる。
[0187] 水溶性ビタミン類およびそれらの両親媒性誘導体
[0188] ビタミンB、C、U、パントテン酸、葉酸、および若干のメナジオン関連ビタミン類/プロビタミン類は、それらの種々の形態のものが水溶性ビタミン類とみなされる。これらを疎水性部分または多価イオンとコンジュゲートまたは複合体形成させて、比較的高いオクタノール−水 分配係数および極性基をもつ両親媒性形態にすることもできる。この場合も、そのような化合物は低い毒性および高い損益比をもつ可能性があるので、それらは本発明の態様において添加剤として有用になる。これらの塩類も本発明の態様において添加剤として有用となることができる。水溶性ビタミンおよび誘導体の例には、限定ではなく、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸,セトチアミン,シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンUが含まれる。同様に前記に述べたように、葉酸は生理的pHを含めた広いpH範囲にわたって塩として水溶性である。
[0189] アミノまたは他の塩基性基が存在する化合物は、疎水性基を含む酸、たとえば脂肪酸(特に、ラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、または2−エチルヘキサン酸)、低溶解性アミノ酸、安息香酸、サリチル酸、または酸性脂溶性ビタミン(たとえば、リボフラビン)との簡単な酸−塩基反応によって容易に修飾できる。他の化合物は、そのような酸をビタミン上の他の基、たとえばヒドロキシル基と反応させて、エステル結合などの結合を形成することにより得ることができる。酸基を含む水溶性ビタミンの誘導体は、疎水性基を含む反応体、たとえばステアリルアミンまたはリボフラビンとの反応で製造でき、本発明の態様に有用な化合物が形成される。ビタミンCへのパルミテート鎖の結合により、パルミチン酸アスコルビルが得られる。
[0190] アミノ酸およびそれらの塩類
[0191] アラニン、アルギニン、アスパラギン類、アスパラギン酸、システイン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、およびその誘導体は、本発明の態様に有用な他の添加剤である。
[0192] 特定のアミノ酸は、それらの双性イオン形態のもの、および/または一価もしくは多価イオンとの塩の形態のものが、極性基をもち、オクタノール−水 分配係数が比較的高く、本発明の態様に有用である。本発明の開示に関して、“低溶解性アミノ酸”は、緩衝化されていない水中で約4%(40mg/ml)未満の溶解度をもつアミノ酸を意味するものとする。これらには、シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニンが含まれる。
[0193] アミノ酸の二量体、糖コンジュゲート、および他の誘導体も有用である。当技術分野で周知の簡単な反応により、親水性分子を疎水性アミノ酸に、または疎水性分子を親水性アミノ酸に結合させて、本発明の態様に有用なさらに他の添加剤を製造できる。
[0194] カテコールアミン類、たとえばドーパミン、レボドパ、カルビドパ、およびDOPAも、添加剤として有用である。
[0195] オリゴペプチド、ペプチドおよびタンパク質
[0196] オリゴペプチドおよびペプチドは疎水性および親水性アミノ酸が容易にカップリングされるので添加剤として有用であり、種々のアミノ酸配列を試験して薬物の組織透過を最大限に促進させることができる。
[0197] タンパク質も本発明の態様において添加剤として有用である。たとえば血清アルブミンは水溶性であり、かつ薬物を結合する有意の疎水性部分を含有するので、特に好ましい添加剤である:パクリタキセルはヒトに静脈内注入した後に89%〜98%がタンパク質結合し、ラパマイシンは92%がタンパク質、主に(97%)アルブミンに結合する。さらに、PBS中でのパクリタキセルの溶解度はBSAの添加によって20倍以上増大する。アルブミンは自然界で血清中に高濃度で存在するので、ヒトの血管内に使用するものとしてきわめて安全である。
[0198] 他の有用なタンパク質には、限定ではなく、他のアルブミン類、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類などが含まれる。
[0199] 有機酸ならびにそれらのエステル、アミドおよび無水物
[0200] 例は、酢酸および無水物、安息香酸および無水物、ジエチレントリアミン五酢酸ジアンヒドリド、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸 アスパラギン酸、ニコチン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、アロイリチン酸、シェロリン酸、および2−ピロリドンである。アロイリチン酸およびシェロリン酸はシェラックと呼ばれる樹脂を形成することができる。パクリタキセル、アロイリチン酸、およびシェロリン酸を合わせてバルーンカテーテル用の薬物放出コーティングとして使用できる。
[0201] これらのエステルおよび酸無水物は、有機溶剤、たとえばエタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルに可溶性である。水不溶性薬物をこれらのエステル、アミドおよび酸無水物を含む有機溶剤に溶解し、次いで容易に医療用具上にコーティングし、次いで高pH条件下で加水分解することができる。加水分解された酸無水物またはエステルは酸またはアルコール類であり、それらは水溶性であって効果的に薬物を医療用具から離して脈管壁内へ運ぶことができる。
[0202] 1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ他の化学化合物
[0203] 本発明の態様による添加剤には、環状および線状両方の脂肪族および芳香族のアミノアルコール類、アルコール類、アミン類、酸類、アミド類およびヒドロキシル酸類が含まれる。例は下記のものである:L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖ホスフェート類、リン酸グルコピラノース、糖スルフェート類、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2−エトキシエタノール、糖類、ガラクトース、グルコース、リボース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、アラビノース、リキソース、フルクトース、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、上記のいずれかの有機酸およびアミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[0204] 添加剤の組合せも本発明の目的に有用である。
[0205] 1態様は、2種類の添加剤の組合せまたは混合物を含み、たとえば第1添加剤は界面活性剤を含み、第2添加剤は1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物を含む。
[0206] 界面活性剤と水溶性小分子(1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物)の組合せまたは混合物は利点をもつ。2種類の添加剤と水不溶性薬物の混合物を含む配合物は、特定の場合はいずれかの添加剤を単独で含む混合物より優れている。疎水性薬物は、極端に水溶性である小分子を、界面活性剤を結合するより弱く結合する。それらはしばしば水溶性小分子から相分離し、このためコーティング均一性および統合性が最適に達しない可能性がある。水不溶性薬物は、界面活性剤のものおよび水溶性小分子のものの両方より高いLog Pをもつ。しかし、界面活性剤のLog Pは一般に、1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物のLog Pよりは高い。界面活性剤は比較的高いLog P(通常は0より大)をもち、水溶性分子は低いLog P(通常は0未満)をもつ。ある界面活性剤は、本発明の態様に添加剤として用いる場合、水不溶性薬物および医療用具の表面に著しく強く付着するので、薬物を標的部位で医療用具の表面から迅速には放出できない。これに対し、ある水溶性小分子(1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物)は医療用具に著しく弱く結合するので、それが標的部位に到達する前に、コーティング付きバルーンカテーテルが介入のために標的とする部位へ移動する際に、たとえば血清中へ薬物を放出する。意外にも、配合物中の親水性小分子と界面活性剤の濃度比を調整することにより、移動中のコーティング安定性、および膨張して療法介入の標的部位の内腔壁の組織に押し付けられた際の迅速な薬物放出が、場合によっては、いずれかの添加剤を単独で含む配合物より優れていることを、本発明者らは見出した。さらに、水不溶性薬物と水溶性が高い分子との混和性および相溶性は、界面活性剤の存在によって向上する。界面活性剤は、薬物および小分子へのそれの良好な付着によって、コーティングの均一性および統合性も向上させる。界面活性剤の長鎖疎水性部分は薬物を緊密に結合し、一方、界面活性剤の親水性部分は水溶性小分子を結合する。
[0207] 混合物または組合せ中の界面活性剤には、本発明の態様に使用するものとして本明細書に記載したすべての界面活性剤が含まれる。混合物中の界面活性剤は、下記のものから選択できる:PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸エステルおよびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、Tween 20、Tween 40、Tween 60、p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、およびそれらの誘導体。
[0208] 混合物または組合せ中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物には、本発明の態様に使用するものとして本明細書に記載した1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物がすべて含まれる。混合物中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物は、本発明の態様のうちの1つにおいて、少なくとも1つのヒドロキシル基をもつ。特定の態様において、たとえば高分子量添加剤の場合は4つより多いヒドロキシル基が好ましい。ある態様において、4つより多いヒドロキシル基をもつ化学化合物は120℃以下の融点をもつ。大分子は拡散するのが遅い。添加剤または化学化合物の分子量が高い場合、たとえば分子量が800より大、1000より大、1200より大、1500より大、または2000より大である場合、大分子は医療用具の表面から溶出するのが遅すぎて薬物を2分未満で放出できない可能性がある。これらの大分子が4つより多いヒドロキシル基を含むとそれらは親水性が増大し、これは比較的大きな分子が薬物を速やかに放出するために必要である。親水性の増大はコーティングがバルーンから離れて溶出するのを補助し、薬物の放出を促進し、薬物が水バリヤーおよび脂質二重層の極性ヘッド基を通って移動して組織に浸透するのを向上させ、または容易にする。ヒドロキシル基は水不溶性薬物、たとえばパクリタキセルまたはラパマイシンと反応しないと考えられるので、親水性部分として好ましい。
[0209] 混合物中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物は、下記のものから選択される:L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖ホスフェート類、リン酸グルコピラノース、糖スルフェート類、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2−エトキシエタノール、糖類、ガラクトース、グルコース、リボース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、アラビノース、リキソース、フルクトース、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、上記のいずれかの有機酸およびアミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[0210] 界面活性剤と水溶性小分子の混合物または組合せは、両方の添加剤の利点をもたらす。水不溶性薬物は水溶性の高い化学化合物との相溶性にしばしば乏しく、界面活性剤は相溶性を向上させる。界面活性剤はコーティングの品質、均一性および統合性も向上させ、取扱いに際して粒子がバルーンから脱落しない。界面活性剤は標的部位へ移動する際の薬物損失を減らす。水溶性化学化合物は、バルーンからの薬物放出および組織への薬物吸収を向上させる。実験によれば、この組合せは意外にも、移動に際して薬物放出を阻止し、かつ0.2〜2分のごく短期間の配置後に組織中の高い薬物レベルを達成するのに効果的であった。さらに、動物試験で、それは動脈狭窄および遅発性内腔喪失を効果的に軽減した。
[0211] 界面活性剤と水溶性小分子のある混合物または組合せは、加熱下できわめて安定である。それらはエチレンオキシド殺菌プロセスで存続し、殺菌処理中に水不溶性薬物パクリタキセルまたはラパマイシンと反応しない。ヒドロキシル、エステル、アミド基はパクリタキセルまたはラパマイシンなどの薬物と反応しないと考えられるので好ましい。アミンおよび酸基は時にはエチレンオキシド殺菌、加熱およびエージング下でパクリタキセルと実際に反応し、安定ではない。本明細書に記載する混合物または組合せをパクリタキセルと共に配合する場合、薬物層を保護し、用具の間での早期薬物損失から保護するために、トップコート層が有利な可能性がある。
[0212] 液体添加剤
[0213] 固体添加剤が薬物コーティング付き医療用具にしばしば用いられる。ヨウ素造影剤であるイオプロミドはパクリタキセルと共にバルーンカテーテルをコーティングするために用いられている。これらのタイプのコーティングは液体化学化合物を含有しない。そのコーティングはパクリタキセル固体とイオプロミド固体がバルーンカテーテルの表面で凝集したものである。このコーティングは医療用具への付着性がなく、コーティング粒子は取扱いおよび介入操作中に脱落する。水不溶性薬物、たとえばパクリタキセル、ラパマイシン、およびその類似体は、しばしば固体の化学化合物である。本発明の態様において、液体添加剤を医療用具コーティング中に用いて、コーティングの統合性を向上させることができる。固体薬物および/または他の固体添加剤の相溶性を向上させることができる液体添加剤の使用が好ましい。2以上の固体粒子の凝集体ではない固体のコーティング溶液を形成できる液体添加剤の使用が好ましい。他の添加剤および薬物が固体である場合、少なくとも1種類の液体添加剤の使用が好ましい。
[0214] 本発明の態様に用いられる液体添加剤は溶剤ではない。エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、およびアセトンなどの溶剤は、コーティングを乾燥させた後に蒸発しているであろう。言い換えると、溶剤は、コーティングを乾燥させた後にコーティング中には残存しないであろう。これと対照的に、本発明の態様における液体添加剤は、コーティングを乾燥させた後にコーティング中に残存するであろう。液体添加剤は室温および1気圧で液体または半液体である。液体添加剤は室温でゲルを形成することができる。液体添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つである。液体添加剤は油ではない。
[0215] 非イオン性界面活性剤はしばしば液体添加剤である。液体添加剤の例には、前記に述べたPEG−脂肪酸およびエステル、PEG−油エステル交換生成物、ポリグリセリル脂肪酸およびエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、PEGソルビタン脂肪酸エステル、およびPEGアルキルエーテルが含まれる。液体添加剤の若干例は、Tween 80、Tween 81、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Solutol HS 15、Cremophor RH40、およびCremophor ELおよびELPである。
[0216] 1種類より多い添加剤
[0217] 1態様において、医療用具の外面を覆う層またはコーティングは1種類より多い添加剤、たとえば2、3または4種類の添加剤を含む。1態様において、コーティング層は少なくとも1種類の添加剤を含み、この少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、第1添加剤は第2添加剤より親水性である。他の態様において、コーティング層は少なくとも1種類の添加剤を含み、この少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、第1添加剤は第2添加剤のものと異なる構造をもつ。他の態様において、コーティング層は少なくとも1種類の添加剤を含み、この少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、第1添加剤のHLB値は第2添加剤のものより高い。さらに他の態様において、コーティング層は少なくとも1種類の添加剤を含み、この少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、第1添加剤のLog P値は第2添加剤のものより低い。たとえば、ソルビトール(Log P −4.67)はTween 20(Log P 約3.0)より親水性である。PEG脂肪酸エステルは脂肪酸より親水性である。ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)(Log P 1.31)はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)(Log P 5.32)より親水性である。
[0218] 他の態様において、医療用具の外面を覆う層またはコーティングは1種類より多い界面活性剤、たとえば2、3または4種類の界面活性剤を含む。1態様において、コーティング層は少なくとも1種類の界面活性剤を含み、この少なくとも1種類の界面活性剤は第1界面活性剤および第2界面活性剤を含み、第1界面活性剤は第2界面活性剤より親水性である。他の態様において、コーティング層は少なくとも1種類の界面活性剤を含み、この少なくとも1種類の界面活性剤は第1界面活性剤および第2界面活性剤を含み、第1界面活性剤のHLB値は第2界面活性剤のものより高い。たとえば、Tween 80(HLB 15)はTween 20(HLB 16.7)より親水性である。Tween 80(HLB 15)はTween 81(HLB 10)より親水性である。Pluronic F68(HLB 29)はSolutol HS 15(HLB 15.2)より親水性である。ドデシル硫酸ナトリウム(HBL 40)はドクセートナトリウム(HLB 10)より親水性である。Tween 80(HBL 15)はCreamophor EL(HBL 13)より親水性である。
[0219] 好ましい添加剤には下記のものが含まれる:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン(アミノ酸);セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸およびそれの塩、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU(ビタミン類);アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ(1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基を有する化学化合物)。これらの添加剤のうちあるものは水溶性であり、かつ有機溶剤可溶性である。それらは良好な接着特性をもち、ポリアミド医療用具、たとえばバルーンカテーテルの表面に付着する。したがって、それらは本発明の態様の接着層、最上層、および/または薬物層中に使用できる。芳香族および脂肪族の基はコーティング溶液中における水不溶性薬物の溶解性を高め、アルコール類および酸の極性基は薬物の組織透過を促進する。
[0220] 本発明の態様による他の好ましい添加剤には、アミノアルコールと有機酸の組合せまたは混合物またはアミド反応生成物が含まれる。例は、リジン/グルタミン酸、酢酸リジン、ラクトビオン酸/メグルミン、ラクトビオン酸/トロメタネミン(tromethanemine)、ラクトビオン酸/ジエタノールアミン、乳酸/メグルミン、乳酸/トロメタネミン、乳酸/ジエタノールアミン、ゲンチシン酸/メグルミン、ゲンチシン酸/トロメタネミン、ゲンシチン酸/ジエタノールアミン、バニリン酸/メグルミン、バニリン酸/トロメタネミン、バニリン酸/ジエタノールアミン、安息香酸/メグルミン、安息香酸/トロメタネミン、安息香酸/ジエタノールアミン、酢酸/メグルミン、酢酸/トロメタネミン、および酢酸/ジエタノールアミンである。
[0221] 本発明の態様による他の好ましい添加剤には、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシル酸、ヒドロキシルエステル、およびヒドロキシルアミドが含まれる。例は、グルコノラクトン、D−グルコヘプトノ−1,4−ラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、エリスロン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、グルクロン酸、グルコン酸、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、乳酸、アセトアミノフェン、バニリン酸、シナピン酸、ヒドロキシ安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびその誘導体である。
[0222] 本発明の態様に使用できる他の好ましい添加剤には、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、ビタミンD3、葉酸(ビタミンB9)、ビタミン12、ジエチレントリアミン五酢酸ジアンヒドリド、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、L−アスコルビン酸、チアミン、ニコチンアミド、ニコチン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、システイン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニンが含まれる。
[0223] 構造の観点から、これらの添加剤は構造類似性を共有し、水不溶性薬物(たとえば、パクリタキセルおよびラパマイシン)と相溶性である。それらはしばしば二重結合、たとえばC=C、C=N、C=Oを芳香族または脂肪族構造中に含む。これらの添加剤は、アミン、アルコール、エステル、アミド、酸無水物、カルボン酸、および/またはヒドロキシル基も含む。それらは薬物との水素結合および/またはファンデルワールス相互作用を形成することができる。それらはコーティングの最上層中にも有用である。たとえば、1以上のヒドロキシル、カルボキシル、またはアミン基を含む化合物は、医療用具表面からの薬物放出を促進し、細胞膜の極性ヘッド基および表面タンパク質に接する水を容易に排除し、これによって疎水性薬物の透過性に対するこのバリヤーを除去できるので、添加剤として特に有用である。それらは、疎水性薬物がバルーンから離れて、薬物がきわめて高い親和性をもつ細胞膜および組織の脂質層へ移動するのを促進する。それらはまた、薬物がバルーンから離れて、より水性の環境、たとえばバルーン血管形成術またはステント膨張によって損傷を受けた血管組織の間質腔内などへ移動するのを運搬または促進することができる。ポリグリセリル脂肪酸エステル、脂肪酸のアスコルビン酸エステル、脂肪酸の糖エステル、アルコール類およびエーテル類などの添加剤は、標的組織の膜の脂質構造内へ統合されて薬物を脂質構造へ運ぶことができる脂肪鎖をもつ。アミノ酸、ビタミンおよび有機酸のうちあるものは、それらの構造に芳香族C=N基、ならびにアミノ、ヒドロキシル、およびカルボン酸成分をもつ。それらはパクリタキセルまたはラパマイシンなどの疎水性薬物と結合または複合体形成しうる構造部分を備えており、それらは疎水性薬物と細胞膜の脂質構造との間の疎水性バリヤーを除去することにより組織透過を容易にする構造部分も備えている。
[0224] たとえば、イソノニルフェニルポリグリシドール(Olin−10 GおよびSurfactant−10G)、PEGグリセリルモノオレエート、ソルビタンモノラウレート(Arlacel 20)、ソルビタンモノパルミテート(Span−40)、ソルビタンモノオレエート(Span−80)、ソルビタンモノステアレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 パルミテート、およびポリグリセリル−10 ステアレートはすべて、それらの親水性部分に4つより多いヒドロキシル基をもつ。これらのヒドロキシル基は血管壁に対してきわめて良好な親和性をもち、水素結合した水分子を排除することができる。同時にそれらは、疎水性薬物と複合体形成しかつ細胞膜の脂質構造内へ統合されて脂質構造の一部を形成することができる長鎖の脂肪酸、アルコール類、エーテル類およびエステル類をもつ。標的細胞の脂質膜のこの変形または緩みは、組織内への疎水性薬物の透過をさらに促進することができる。
[0225] 他の例として、L−アスコルビン酸、チアミン、マレイン酸類、ナイアシンアミド、および2−ピロリドン−5−カルボン酸はすべて、きわめて高い水溶性およびエタノール溶解性、ならびに低い分子量および小さなサイズをもつ。それらはまた、芳香族C=N、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボン酸基を含む構造成分をもつ。これらの構造はパクリタキセルおよびラパマイシンときわめて良好な相溶性をもち、水中におけるこれらの水不溶性薬物の溶解性を高め、組織内へのそれらの吸収を増強することができる。しかし、それらはしばしば医療用具の表面に対する付着性に乏しい。したがって、それらは好ましくは他の添加剤と組み合わせて薬物層および最上層中に用いられ、薬物吸収の増強に有用となる。ビタミンD2およびD3は、特にパクリタキセルと組み合わせて用いるとそれら自体が再狭窄防止効果をもち、血栓症を軽減するので、特に有用である。
[0226] 本発明の態様において、添加剤は水性溶剤に可溶性であり、かつ有機溶剤に可溶性である。十分な親水性部分がなく、水性溶剤に不溶性である疎水性化合物の例、たとえばSudan Redは、これらの態様において添加剤として有用ではない。Sudan redは遺伝毒性でもある。
[0227] 1態様において、医療用具の表面に付与する少なくとも1種類の療法薬の濃度密度は、約1から20μg/mm2まで、またはより好ましくは約2から6μg/mm2までである。1態様において、医療用具の表面に付与する少なくとも1種類の添加剤の濃度は、約1から20μg/mm2までである。本発明の態様におけるコーティング層中の添加剤と薬物の重量比は約20対0.05、好ましくは約10対0.5、またはより好ましくは約5対0.8である。
[0228] コーティング層中の療法薬と添加剤の相対量は、適用する可能性のある環境に応じて変更できる。添加剤の最適量は、たとえば選択した個々の療法薬および添加剤、それがミセルを形成する場合には表面改質剤の臨界ミセル濃度、界面活性剤の親水性−親油性−バランス(HLB)、または添加剤のオクトノール−水分配係数(P)、添加剤の融点、添加剤および/または療法薬の水溶性、表面改質剤の水溶液の表面張力などに依存する可能性がある。
[0229] 本発明の態様のコーティング組成物の例において、添加剤は、水溶液で希釈した際に疎水性療法薬を水溶液または有機溶液中に含有する透明な水性の分散液またはエマルジョンまたは溶液をキャリヤーが形成するような量で存在する。界面活性剤の相対量が大きすぎると、得られる分散液は目視できるほど“混濁”する。
[0230] 水性分散液の光学的澄明度は、濁度評価のための標準的な定量法を用いて測定できる。濁度を測定するための簡便な1方法は、その溶液を透過した特定波長の光の量をたとえばUV−可視分光光度計で測定するものである。この方法を用いると、より混濁した溶液ほどより多くの入射光線を散乱してより低い透過度測定値を生じるであろうから、光学的澄明度は高い透過度に相当する。
[0231] 光学的澄明度および水性境界層を通るキャリヤー拡散度を測定するための他の方法は、分散液を構成する粒子のサイズを定量測定するものである。これらの測定法は、市販の粒度分析計で実施できる。
[0232] 他の考慮事項は、種々の添加剤の相対比の選択についてさらに情報を提供するであろう。これらの考慮事項には、添加剤の生体許容度および供給すべき疎水性療法薬の目的用量が含まれる。
[0233] 療法薬
[0234] 本発明の態様に使用できる薬物または生物活性物質は、いかなる療法薬または物質であってもよい。薬物は多様な物理的状態、たとえば分子分布、結晶形態またはクラスター形態であってよい。本発明の態様に特に有用な薬物の例は、親油性である実質的に水不溶性の薬物、たとえばパクリタキセル、ラパマイシン、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、ラパコン(lapachone)、ビタミンD2およびD3、ならびにその類似体および誘導体である。これらの薬物は、脈管の組織を処置するために用いるバルーンカテーテル上のコーティング中に使用するのに特に適切である。
[0235] 本発明の態様に使用できる他の薬物には、限定ではなく、グルココルチコイド類(たとえば、デキサメタゾン、ベタメタゾン)、ヒルジン、アンギオペプチン、アスピリン、増殖因子、アンチセンス薬、抗癌薬、抗増殖薬、オリゴヌクレオチド、ならびに、より一般的には抗血小板薬、抗凝固薬、細胞分裂抑制薬、抗酸化薬、代謝拮抗薬、走化抑制薬、および抗炎症薬が含まれる。
[0236] 同様に本発明の態様に有用なものは、たとえば炎症および/または平滑筋細胞もしくは線維芽細胞の増殖を阻害するポリヌクレオチド、アンチセンス、RNAi、またはsiRNAである。
[0237] 抗血小板薬には、アスピリンおよびジピリダモール(dipyridamole)などの薬物を含めることができる。アスピリンは、鎮痛、解熱、抗炎症および抗血小板薬として分類される。ジピリダモールは、抗血小板特性をもつという点でアスピリンに類似する薬物である。ジピリダモールは冠血管拡張薬としても分類される。本発明の態様に用いる抗凝固薬には、ヘパリン、プロタミン、ヒルジンおよびマダニ抗凝固タンパク質などの薬物を含めることができる。抗酸化薬には、プロブコール(probucol)を含めることができる。抗増殖薬には、アモルジピン(amlodipine)およびドキサゾシン(doxazosin)などの薬物を含めることができる。本発明の態様に使用できる細胞分裂抑制薬および代謝拮抗薬には、メトトレキセート(methotrexate)、アザチオプリン(azathioprine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンブラスチン(vinblastine)、5−フルオロウラシル、アドリアマイシン(adriamycin)およびミュータマイシン(mutamycin)などの薬物を含めることができる。本発明の態様に使用するための抗生物質には、ペニシリン、セフォキシチン(cefoxitin)、オキサシリン(oxacillin)、トブラマイシン(tobramycin)およびゲンタマイシン(gentamicin)が含まれる。本発明の態様に使用するのに適した抗酸化薬には、プロブコールが含まれる。さらに、遺伝子もしくは核酸またはその一部を本発明の態様に療法薬として使用できる。さらに、コラーゲン合成阻害薬、たとえばトラニラスト(tranilast)を本発明の態様に療法薬として使用できる。
[0238] 種々のポルフィリン化合物、たとえばポルフィマー(porfimer)を含めた光力学療法または放射線療法のための光増感剤も、本発明の態様における薬物として有用である。
[0239] 本発明の態様に使用するための薬物には、下記のものも含まれる:エベロリムス(everolimus)、ソマトスタチン(somatostatin)、タクロリムス(tacrolimus)、ロキシスロマイシン(roxithromycin)、デュナイマイシン(dunaimycin)、アスコマイシン(ascomycin)、バフィロマイシン(bafilomycin)、エリスロマイシン(erythromycin)、ミデカマイシン(midecamycin)、ジョサマイシン(josamycin)、コンカナマイシン(concanamycin)、クラリスロマイシン(clarithromycin)、トロレアンドマイシン(troleandomycin)、フォリマイシン(folimycin)、セリバスタチン(cerivastatin)、シンバスタチン(simvastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビスクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ニムスチン(nimustine)、カルムスチン(carmustine)、ロムスチン(lomustine)、シクロホスファミド、4−ヒドロキシシクロホスファミド、エストラムスチン(estramustine)、メルファラン(melphalan)、イホスファミド(ifosfamide)、トロホスファミド(trofosfamide)、クロラムブシル(chlorambucil)、ベンダムスチン(bendamustine)、デカルバジン(dacarbazine)、ブスルファン(busulfan)、プロカルバジン(procarbazine)、トレオスルファン(treosulfan)、テモゾロミド(temozolomide)、チオテパ(thiotepa)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、アクラルビシン(aclarubicin)、エピルビシン(epirubicin)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、イダルビシン(idarubicin)、ブレオマイシン(bleomycin)、マイトマイシン(mitomycin)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、メトトレキセート(methotrexate)、フルダラビン(fludarabine)、5’−リン酸二水素フルダラビン、クラドリビン(cladribine)、メルカプトプリン(mercaptopurine)、チオグアニン(thioguanine)、シタラビン(cytarabine)、フルオロウラシル(fluorouracil)、ゲムシタビン(gemcitabine)、カペシタビン(capecitabine)、ドセタキセル(docetaxel)、カルボプラチン(carboplatin)、シスプラチン(cisplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、アムサクリン(amsacrine)、イリノテカン(irinotecan)、トポテカン(topotecan)、ヒドロキシカルバミド(hydroxycarbamide)、ミルテホシン(miltefosine)、ペントスタチン(pentostatin)、アルデスロイキン(aldesleukin)、トレチノイン(tretinoin)、アスパラギナーゼ、ペグアスパラギナーゼ(pegaspargase)、アナストロゾール(anastrozole)、エキセメスタン(exemestane)、レトロゾール(letrozole)、ホルメスタン(formestane)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アドリアマイシン(adriamycin)、アジスロマイシン(azithromycin)、スピラマイシン(spiramycin)、セファランチン(cepharantin)、smc増殖阻害薬−2w、エポチロン(epothilone)AおよびB、ミトキサントロン(mitoxantrone)、アザチオプリン(azathioprine)、マイコフェノールアトモフェチル(mycophenolatmofetil)、c−myc−アンチセンス、b−myc−アンチセンス、ベツリン酸(betulinic acid)、カンプトテシン(camptothecin)、ラパコール(lapachol)、ベータ-ラパコン(beta.-lapachone)、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、ベツリン(betulin)、ポドフィル酸2−エチルヒドラジド(podophyllic acid 2-ethylhydrazide)、モルグラモスチム(molgramostim (rhuGM-CSF))、ペグインターフェロン(peginterferon)a−2b、レノグラスチム(lenograstim (r-HuG-CSF))、フィルグラスチム(filgrastim)、マクロゴール(macrogol)、デカルバジン(dacarbazine)、バシリキシマブ(basiliximab)、ダクリズマブ(daclizumab)、セレクチン(selectin (サイトカインアンタゴニスト))、CETP阻害薬、カドヘリン類、サイトキニン阻害薬、COX−2阻害薬、NFkB、アンギオペプチン(angiopeptin)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、カンプトテシン(camptothecin)、フルオロブラスチン(fluroblastin)、筋細胞増殖を阻害するモノクローナル抗体、bFGFアンタゴニスト類、プロブコール(probucol)、プロスタグランジン類、1,11−ジメトキシカンチン−6−オン(1,11-dimethoxycanthin-6-on)、1−ヒドロキシ−11−メトキシカンチン−6−オン、スコポレチン(scopoletin)、コルヒチン、NOドナー類、たとえば四硝酸ペンタエリトリトールおよびシンドノエイミン(syndnoeimine)類、S−ニトロソ誘導体、タモキシフェン(tamoxifen)、スタウロスポリン(staurosporine)、ベータ−エストラジオール、a−エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール(fosfestrol)、メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone)、エストラジオールシピオネート(estradiol cypionate)類、安息香酸エストラジオール類、トラニラスト(tranilast)、カメバカウリン(kamebakaurin)および癌療法に適用される他のテニポシド類、ベラパミル(verapamil)、チロシンキナーゼ阻害薬(チルホスチン(tyrphostine)類)、サイクロスポリンA、6−a−ヒドロキシ−パクリタキセル、バッカチン(baccatin)、タキソテール(taxotere)および他のカーボンサブオキサイドの多環式オリゴマー(macrocyclic oligomer of carbon suboxide)(MCS)およびその誘導体、モフェブタゾン(mofebutazone)、アセメタシン(acemetacin)、ジクロフェナク(diclofenac)、ロナゾラック(lonazolac)、ダプソン(dapsone)、o−カルバモイルフェノキシ酢酸、リドカイン(lidocaine)、ケトプロフェン(ketoprofen)、メフェナム酸(mefenamic acid)、ピロキシカム(piroxicam)、メロキシカム(meloxicam)、リン酸クロロキン(chloroquine phosphate)、ペニシラミン(penicillamine)、ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)、オーラノフィン(auranofin)、オーロチオマレートナトリウム(sodium aurothiomalate)、オキサセプロール(oxaceprol)、セレコキシブ(celecoxib)、ベータ−シトステリン(beta.-sitosterin)、アデメチオニン(ademetionine)、ミルテカイン(myrtecaine)、ポリドカノール(polidocanol)、ノニバミド(nonivamide)、レボメントール(levomenthol)、ベンゾカイン(benzocaine)、エスシン(aescin)、エリプチシン(ellipticine)、D−24851(Calbiochem)、コルセミド(colcemid)、サイトカラシン(cytochalasin)A〜E、インダノシン(indanocine)、ノコダゾール(nocodazole)、S 100プロテイン、バシトラシン(bacitracin)、ビトロネクチン(vitronectin)受容体アンタゴニスト類、アゼラスチン(azelastine)、メタルプロテイナーゼ−1および−2のグアニジルシクラーゼ刺激因子組織阻害薬、遊離核酸、ウイルス伝達物質に取り込ませた核酸、DNAおよびRNAフラグメント、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター−1、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター−2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGF阻害薬、IGF−1、抗生物質グループの有効薬剤、たとえばセファドロキシル(cefadroxil)、セファゾリン(cefazolin)、セファクロル(cefaclor)、セフォタキシム(cefotaxim)、トブラマイシン(tobramycin)、ゲンタマイシン(gentamycin)、ペニシリン類、たとえばジクロキサシリン(dicloxacillin)、オキサシリン(oxacillin)、スルホンアミド類、メトロニダゾール(metronidazol)、抗血栓症薬、たとえばアルガトロバン(argatroban)、アスピリン、アブシキシマブ(abciximab)、合成アンチトロンビン、ビバリルジン(bivalirudin)、クマジン(coumadin)、エノキサパリン(enoxaparin)、脱硫酸およびN−再アセチル化したヘパリン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、GpIIb/IIIa血小板膜受容体、Xa因子阻害抗体、ヘパリン、ヒルジン(hirudin)、r−ヒルジン、PPACK、プロタミン(protamin)、プロウロキナーゼ(prourokinase)、ストレプトキナーゼ、ワルファリン(warfarin)、ウロキナーゼ、血管拡張薬、たとえばジピラミドール(dipyramidole)、トラピジル(trapidil)、ニトロプルシド類、PDGFアンタゴニスト類、たとえばトリアゾロピリミジンおよびセラミン(seramin)、ACE阻害薬、たとえばカプトプリル(captopril)、シラザプリル(cilazapril)、リシノプリル(lisinopril)、エナラプリル(enalapril)、ロサルタン(losartan)、チオールプロテアーゼ阻害薬、プロスタサイクリン(prostacyclin)、バピプロスト(vapiprost)、インターフェロンa、ベータおよびy、ヒスタミンアンタゴニスト類、セロトニン遮断薬、アポトーシス阻害薬、アポトーシス調節薬、たとえばp65 NF−kBまたはBcl−xLアンチセンスオリゴヌクレオチド、ハロフギノン(halofuginone)、ニフェジピン(nifedipine)、トラニラスト(tranilast)、モルシドミン(molsidomine)、茶ポリフェノール類、没食子酸エピカテキン、没食子酸エピガロカテキン、ボスウェル酸(Boswellic acid)類およびその誘導体、レフルノミド(leflunomide)、アナキンラ(anakinra)、エタネルセプト(etanercept)、スルファサラジン(sulfasalazine)、エトポシド(etoposide)、ジクロキサシリン(dicloxacillin)、テトラサイクリン、トリアムシノロン(triamcinolone)、ミュータマイシン(mutamycin)、プロカインアミド(procainamide)、レチノイン酸、キニジン(quinidine)、ジソピラミド(disopyramide)、フレカイニド(flecainide)、プロパフェロン(propafenone)、ソタロール(sotalol)、アミドロン(amidorone)、天然および合成ステロイド類、たとえばブリオフィリンA(bryophyllin A)、イノトジオール(inotodiol)、マキロシドA(maquiroside A)、ガラキノシド(ghalakinoside)、マンソニン(mansonine)、ストレブロシド(strebloside)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、ベタメタゾン(betamethasone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、非ステロイド系物質(NSAID)、たとえばフェノプロフェン(fenoprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、インドメタシン(indomethacin)、ナプロキセン(naproxen)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)および他の抗ウイルス薬、たとえばアシクロビル(acyclovir)、ガンシクロビル(ganciclovir)およびジドブジン(zidovudine)、抗真菌薬、たとえばクロトリマゾール(clotrimazole)、フルシトシン(flucytosine)、グリセオフルビン(griseofulvin)、ケトコナゾール(ketoconazole)、ミコナゾール(miconazole)、ナイスタチン(nystatin)、テルビナフィン(terbinafine)、抗原虫薬、たとえばクロロキン(chloroquine)、メフロキン(mefloquine)、キニン(quinine)、他の天然テルペノイド類、たとえばヒッポケスクリン(hippocaesculin)、バリングトゲノール−C21−アンゲレート(barringtogenol-C21-angelate)、14−デヒドロアグロスチスタキン(14-dehydroagrostistachin)、アグロスケリン(agroskerin)、アグロスチスタキン(agrostistachin)、17−ヒドロキシアグロスチスタキン、オバトジオリド(ovatodiolid)類、4,7−オキシシクロアニソメリン酸(4,7-oxycycloanisomelic acid)、バッカリノイド(baccharinoid)B1、B2、B3およびB7、ツベイモシド(tubeimoside)、ブルセアノール(bruceanol)A、BおよびC、ブルセアンチノシド(bruceantinoside)C、ヤダンジオシド(yadanzioside)NおよびP、イソデオキシエレファントピン(isodeoxyelephantopin)、トメンファントピン(tomenphantopin)AおよびB、コロナリン(coronarin)A、B、CおよびD、ウルソール酸(ursolic acid)、ヒプタチン酸(hyptatic acid)A、ゼオリン(zeorin)、イソ−イリドゲルマナール(iso-iridogermanal)、メイテンホリオール(maytenfoliol)、エフサンチン(effusantin)A、エキサイサニン(excisanin)AおよびB、ロンギカウリン(longikaurin)B、スカルポネアチン(sculponeatin)C、カメバウニン(kamebaunin)、ロイカメニン(leukamenin)AおよびB、13,18−デヒドロ−6−a−セネシオイルオキシチャパリン(13,18-dehydro-6-a-senecioyloxychaparrin)、タキサマイリン(taxamairin)AおよびB、レゲニロール(regenilol)、トリプトリド(triptolide)、さらに
他のシマリン(cymarin)、アポシマリン(apocymarin)、アリストロキン酸(aristolochic acid)、アノプテリン(anopterin)、ヒドロキシアノプテリン(hydroxyanopterin)、アネモニン(anemonin)、プロトアネモニン(protoanemonin)、ベルベリン(berberine)、塩化ケリブリン(cheliburin chloride)、シクトキシン(cictoxin)、シノコクリン(sinococuline)、ボンブレスタチン(bombrestatin)AおよびB、クドライソフラボン(cudraisoflavone)A、クルクミン(curcumin)、ジヒドロニチジン(dihydronitidine)、塩化ニチジン(nitidine chloride)、12−ベータ−ヒドロキシプレグナジエン−3,20−ジオン、ビロボール(bilobol)、ギンゴール(ginkgol)、ギンゴール酸(ginkgolic acid)、ヘレナリン(helenalin)、インジシン(indicine)、インジシン−N−オキシド、ラシオカルピン(lasiocarpine)、イノトジオール(inotodiol)、グリコシド1a、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、ジャスチサイジン(justicidin)AおよびB、ラレアチン(larreatin)、マロテリン(malloterin)、マロトクロマノール(mallotochromanol)、イソブチリルマロトクロマノール(isobutyrylmallotochromanol)、マキロシド(maquiroside)A、マルカンチン(marchantin)A、メイタンシン(maytansine)、リコリジシン(lycoridicin)、マルゲチン(margetine)、パンクラチスタチン(pancratistatin)、リリオデニン(liriodenine)、ビスパルテノリジン(bisparthenolidine)、オキソウシンスニン(oxoushinsunine)、アリストラクタム−AII(aristolactam-AII)、ビスパルテノリジン(bisparthenolidine)、ペリプロコシド(periplocoside)A、ガラキノシド(ghalakinoside)、ウルソール酸(ursolic acid)、デオキシプソロスペルミン(deoxypsorospermin)、サイコルビン(psychorubin)、リシン(ricin)A、サンギナリン(sanguinarine)、マンウホイートアシッド(manwu wheat acid)、メチルソルビホリン(methylsorbifolin)、スファテリアクロメン(sphatheliachromen)、スチゾフィリン(stizophyllin)、マンソニン(mansonine)、ストレブロシド(strebloside)、アカゲリン(akagerine)、ジヒドロウサムバレンシン(dihydrousambarensine)、ヒドロキシウサムバリン(hydroxyusambarine)、ストリクノペンタミン(strychnopentamine)、ストリクノフィリン(strychnophylline)、ウサムバリン(usambarine)、ウサムバレンシン(usambarensine)、ベルベリン(berberine)、リリオデニン(liriodenine)、オキソウシンスニン(oxoushinsunine)、ダフノレチン(daphnoretin)、ラリシレシノール(lariciresinol)、メトキシラリシレシノール(methoxylariciresinol)、シリンガレシノール(syringaresinol)、ウンベリフェロン(umbelliferon)、アフロモソン(afromoson)、アセチルビスミオン(acetylvismione)B、デスアセチルビスミオン(desacetylvismione)A、ならびにビスミオン(vismione)AおよびB。
[0240] 薬物の組合せも本発明の態様に使用できる。組合せのうちあるものは、異なる機序をもつので相加効果をもつ;たとえば、パクリタキセルとラパマイシン、パクリタキセルと活性ビタミンD、パクリタキセルとラパコン、ラパマイシンと活性ビタミンD、ラパマイシンとラパコン。相加効果のため、薬物の用量も減らすことができる。これらの組合せは高用量の薬物の使用による合併症を軽減できる。
[0241] 接着層
[0242] 薬物コーティング層の下にある任意選択的な層である接着層は、医療用具の外面に対する薬物コーティング層の付着を向上させ、コーティングの統合性を保護する。医療用具に対する薬物と添加剤の付着性が異なる場合、接着層は、薬物層中において、および介入の標的部位における療法薬送達に際して、一定の薬物−対−添加剤比または薬物−対−薬物比を維持するために、薬物層成分の損失(移動中の)または溶出(標的部位における)の差を防ぐことができる。さらに接着層は、さもなければ標的部位の組織と短期間接触している間に溶出するには医療用具に強く付着しすぎる可能性のあるコーティング層成分の放出を容易にする機能を果たすことができる。たとえば、特定の薬物が医療用具に緊密に結合する場合、医療用具の表面に対するその薬物の親和性を低下させるために、より親水性である成分を接着層に取り込ませる。
[0243] 前記に述べたように、接着層はポリマーもしくは添加剤または両者の混合物を含む。接着層の形成に有用なポリマーは、生体適合性であって身体組織の刺激が避けられるものである。接着層の形成に有用なポリマーの若干例は、生体内安定であるポリマー、たとえばポリウレタン類、シリコーン類、およびポリエステル類である。接着層の形成に有用な他のポリマーには、医療用具上で溶解および重合することができるポリマーが含まれる。
[0244] 本発明の態様の接着層中に有用なポリマーの若干例には、下記のものが含まれる:ポリオレフィン類、ポリイソブチレン、エチレン−α−オレフィンコポリマー、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン類、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、ナイロン12およびそれのブロックコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン類、ポリエーテル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン類、レーヨン−トリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、キチン類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ならびにその混合物およびブロックコポリマー。
[0245] 医療用具は機械的操作、すなわち膨張および収縮を受けるので、接着層中に有用なポリマーの例には、弾性ポリマー、たとえばシリコーン類(たとえば、ポリシロキサン類および置換ポリシロキサン類)、ポリウレタン類、熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、およびEPDMゴムが含まれる。これらのポリマーの弾性により、これらのポリマーを用いた場合は医療用具が力または応力を受けた際にコーティングはより良好に医療用具の表面に付着している。
[0246] 接着層は、医療用具に対するコーティング層の統合性および接着性を維持し、かつ移動中の薬物および添加剤の付着と療法介入部位に配置した際の迅速な溶出との両方を促進するために、前記に述べた1種類以上の添加剤、または他の成分をも含むことができる。
[0247] 最上層
[0248] 薬物層の統合性をさらに保護するために、場合によっては最上層を付与して、蛇行した解剖学的構造を通って標的部位へ移動する際に、または医療用具の膨張の初期にコーティングが標的組織と直接接触する前に、薬物が失なわれるを阻止することができる。最上層は薬物層を保護しながら徐々に体腔に放出することができる。最上層はより疎水性の高分子量添加剤から構成されれば、より緩徐に侵食されるであろう。界面活性剤、たとえば、Tween 20およびポリグリセリルオレエート、は長い脂肪鎖をもつ、より疎水性の構造の例である。高分子量添加剤には、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、およびポリビニルピロリドンが含まれる。疎水性薬物自体が最上層成分として作用することができる。たとえば、パクリタキセルまたはラパマイシンは疎水性である。それらを最上層中に使用できる。他方、最上層は浸食が遅すぎてはならず、あるいは標的部位に配置している際に実際に薬物の放出を遅らせる可能性がある。最上層中に有用な他の添加剤には、薬物またはコーティング層と強く相互作用する添加剤、たとえば下記の添加剤が含まれる:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、Tween 20、Tween 40、Tween 60、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[0249] 溶剤
[0250] コーティング層を調製するための溶剤には、たとえば下記のうち1以上のいずれかの組合せを含めることができる:(a)水、(b)アルカン類、たとえばヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、およびヘプタン、(c)芳香族溶剤、たとえばベンゼン、トルエン、およびキシレン、(d)アルコール類、たとえばエタノール、プロパノール、およびイソプロパノール、ジエチルアミン、エチレングリコールモノエチルエーテル、Trascutol、およびベンジルアルコール、(e)エーテル類、たとえばジオキサン、ジメチルエーテルおよびテトラヒドロフラン、(f)エステル類/アセテート類、たとえば酢酸エチルおよび酢酸イソブチル、(g)ケトン類、たとえばアセトン、アセトニトリル、ジエチルケトン、およびメチルエチルケトン、ならびに(h)水と有機溶剤の混合物、たとえば、水/エタノール、水/アセトン、水/メタノール、水/テトラヒドロフラン。最上層中の好ましい溶剤はアセトンである。
[0251] 有機溶剤、たとえば短鎖アルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなどは、本発明の態様に特に有用な好ましい溶剤である;これらの有機溶剤は一般にコロイド凝集物を崩壊させ、コーティング溶液中の全成分を共に可溶化するからである。
[0252] 療法薬および添加剤(単数または複数)を、分散、可溶化、または他の形で溶剤中において混合することができる。溶剤中の薬物および添加剤の重量%は、0.1〜80重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲であってもよい。
[0253] 本発明の他の態様は、医療用具、特にたとえばバルーンカテーテルまたはステントの作成方法に関する。まず、少なくとも1種類の溶剤、少なくとも1種類の療法薬、および少なくとも1種類の添加剤を含むコーティング溶液または懸濁液を調製する。少なくとも1つの態様において、コーティング溶液または懸濁液はこれら3成分のみを含有する。コーティング溶液中の療法薬の含量は、溶液の全重量を基準として0.5〜50重量%であってもよい。コーティング溶液中の添加剤の含量は、溶液の全重量を基準として1〜45重量%、1〜40重量%、または1〜15重量%であってもよい。溶剤の使用量は、コーティングの方法および粘度に依存する。それは薬物−添加剤コーティングの均一性に影響を及ぼすであろうが、蒸発するであろう。
[0254] 他の態様において、2種類以上の溶剤、2種類以上の療法薬、および/または2種類以上の添加剤をコーティング溶液中に使用できる。
[0255] 他の態様において、療法薬、添加剤、およびポリマー材料を、コーティング溶液、たとえばステントコーティング中に使用できる。このコーティングにおいて、療法薬はポリマー粒子に封入されていない。
[0256] コーティング溶液を医療用具に付与するために、キャスティング、スピニング、吹付け、浸漬(dipping (immersing))、インクジェットプリンティング、静電法、およびこれらの方法の組合せなど多様な手法を使用できる。付与方法の選択は、主に溶液の粘度および表面張力に依存する。本発明の態様には浸漬および吹付けが好ましい;これによって、医療用具に付与するコーティング層の厚さの均一性および療法薬の濃度を制御するのがより容易になるからである。コーティングを吹付けもしくは浸漬もしくは他の方法または組合せ方法のいずれで付与するかに関係なく、医療用具に付与する療法用物質および添加剤の均一性および濃度を制御するために、通常は各層を医療用具に多数の付与工程で沈着させる。
[0257] 付与する各層は約0.1ミクロンから15ミクロンまでの厚さである。医療用具に付与する層の総数は約2から50までの範囲である。コーティングの総厚は約2から200ミクロンまでである。
[0258] 前記に述べたように、本発明の態様に使用するためには吹付けおよび浸漬が特に有用なコーティング法である。吹付け法では、本発明の態様のコーティング溶液または懸濁液を調製し、次いでそのコーティング溶液または懸濁液をバルーンカテーテルに付与するためのアプリケーション用具へ移す。
[0259] 使用できるアプリケーション器具は、エアブラシに接続したペイントジャー、たとえばBadger Model 150であり、レギュレーターによる加圧空気の供給源と共に提供されている(Norgren,0〜160psi)。そのようなアプリケーション器具を用いる際、ブラシホースを圧縮空気の供給源にレギュレーターの下流で接続すると、空気が供給される。圧力を約15〜25psiに調整し、トリガーを降ろしてノズル状態をチェックする。
[0260] 吹付けの前に、弛緩したバルーンの両端を2つの弾性保持具、すなわちアリゲータークリップで取付具に固定し、バルーンが収縮して折りたたまれた状態、または膨張もしくは部分膨張した折りたたまれていない状態に保持されるように、クリップ間の距離を調整する。次いでローターを作動させ、目的とする約40rpmのコーティング速度に回転速度を調整する。
[0261] バルーンを実質的に水平面で回転させながら、ノズルからバルーンまでの距離が約1〜4インチであるように吹付けノズルを調整する。まず、ブラシをバルーンに沿ってバルーンの遠位末端から近位末端へ、次いで近位末端から遠位末端へ向けて掃引運動で、1吹付けサイクルが約3回のバルーン回転で行なわれる速度で、コーティング溶液を実質的に水平に吹き付ける。バルーン上に有効量の薬物が沈着するまで、バルーンにコーティング溶液を反復して吹き付け、続いて乾燥させる。
[0262] 本発明の1態様において、バルーンを膨張または部分膨張させ、コーティング溶液をこの膨張したバルーンにたとえば吹付けにより付与し、次いでバルーンを収縮させて折りたたんだ後に乾燥させる。乾燥は真空下で実施できる。
[0263] このアプリケーション器具、取付具、および吹付け法の記載は例示にすぎないことを理解すべきである。他のいずれか適切な吹付け法または他の手法を、医療用具のコーティング、特にバルーンカテーテルのバルーン、またはステント送達システムまたはステントのコーティングのために使用できる。
[0264] 医療用具にコーティング溶液を吹き付けた後、コーティングしたバルーンを乾燥させ、その際、コーティング溶液中の溶剤は蒸発する。これにより、療法薬を含有するコーティングマトリックスがバルーン上に得られる。乾燥法の一例は、コーティングしたバルーンを約20℃以上のオーブンに約24時間入れるものである。コーティング溶液を乾燥させる他のいずれか適切な方法を使用できる。時間および温度は個々の添加剤および療法薬に応じて変更できる。
[0265] 最適な後処理
[0266] 薬物−添加剤含有層を本発明の特定の態様の医療用具に沈着させた後、コーティングの最終表面にジメチルスルホキシド(DMSO)または他の溶剤を浸漬または吹付けその他の方法により付与してもよい。DMSOは直ちに薬物を溶解し、容易に膜に浸透し、組織吸収を増強することができる。
[0267] 本発明の態様の医療用具は、特に下記を含めたいずれかの体内管の閉塞または遮断を処置するために適用できるものである:冠、末梢および脳脈管系を含む脈管系、食道、胃、小腸および結腸を含む消化管、気管、気管支、細気管支を含む肺気道、洞、胆管、尿管、前立腺管および脳管。それらは、たとえばバルーンカテーテルまたはステントで脈管系の組織を処置するのに特に適している。
[0268] 本発明のさらに他の態様は、血管の処置方法に関する。本方法には、コーティングを含む医療用具を血管に挿入することが含まれる。コーティング層は、療法薬および添加剤を含む。この態様において、医療用具は少なくとも1つの膨張可能部分をもつように構築できる。そのような用具の若干例には、バルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、たとえば遠位有孔型薬物注入カテーテル、有孔バルーン、離間ダブルバルーン、多孔バルーン、および掃引バルーン、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、自己膨張式およびバルーン膨張式ステント、ガイドカテーテル、ガイドワイヤー、塞栓保護用具、ならびに各種のイメージングデバイスが含まれる。
[0269] 前記に述べたように、本発明に特に有用な医療用具の一例は、コーティング付きバルーンカテーテルである。バルーンカテーテルは一般に、小さな収縮したバルーンを備えた長くて細い中空チューブをもつ。本発明の態様において、バルーンは薬物溶液でコーティングされている。次いでバルーンを、心血管系内を通って療法薬を必要とする遮断、閉塞、その他の部位に達するように操作する。適所に達すると、バルーンを膨張させて血管壁および/または遮断部もしくは閉塞部に接触させる。本発明の目的は、標的組織に迅速に薬物を送達し、かつ組織による吸収を容易にすることである。医療用具を標的部位に配置している間に可能な限り短い期間で薬物を効果的に組織へ送達することが有利である。たとえば約0.1〜30分、または好ましくは約0.1〜10分、またはより好ましくは約0.2〜2分、または最も好ましくは約0.1〜1分のバルーン膨張時間で薬物コーティングを罹患した脈管組織と圧迫接触させて、療法薬をそれらの組織、たとえば脈管壁内へ放出させる。
[0270] 療法有効量の薬物を本発明の態様により、たとえば動脈壁内へ送達できれば、場合によってはステントの必要性が除かれ、それに伴う破損および血栓症の合併を防止することができる。
[0271] ステントの配置をなお望む場合、本発明の態様に特に好ましい使用は、ステント、たとえばベアメタルステント(BMS)を、たとえば本明細書の態様に記載する薬物コーティング付きバルーン上に留めつけることである。バルーンが膨張して罹患した脈管部位にステントを配置すると、有効量の薬物が動脈壁内へ送達されて、再狭窄その他の合併症が阻止され、またはその重症度が軽減する。あるいは、ステントおよびバルーンを一緒にコーティングしてもよく、またはステントをコーティングし、次いでバルーンに留めつけてもよい。
[0272] さらに、バルーンカテーテルを単独でまたは脈管系を処置するための他の方法、たとえば光力学療法もしくはアテローム切除術と組み合わせて用いて、脈管組織/疾患を処置することができる。アテローム切除術は動脈からプラークを除去するための措置である。具体的には、アテローム切除術は末梢動脈および冠動脈からプラークを除去する。末梢および冠アテローム切除術に用いる医療用具は、レーザーカテーテルまたはロータブレーター(rotablator)、またはカテーテル末端にある直接アテローム切除具であってもよい。カテーテルを体内へ挿入し、動脈内を狭窄部まで前進させる。アテローム切除によってプラークの一部が除去された後、本発明の態様のコーティング付きバルーンを用いるバルーン血管形成術を実施できる。さらに、その後、または前記のコーティング付きバルーンの膨張と同時に、ステント配置を実施できる。光力学療法は、光または放射エネルギーを利用して患者内の標的細胞を殺す方法である。光活性化された光増感薬を、本発明の態様によって特定の組織領域へ送達することができる。標的を定めた光源または放射線源が選択的に薬物を活性化して細胞傷害性応答を発生させ、抗増殖療法効果を媒介する。
[0273] 本発明による薬物を含有するコーティングおよび層のある態様において、コーティングまたは層はポリマー、油、または脂質を含有しない。さらにまた、療法薬はポリマー粒子、ミセル、またはリポソームに封入されていない。前記に述べたように、そのような配合物は著しい欠点をもち、特に脈管系の罹患組織の環境では意図する効果的で迅速な薬物放出および組織浸透を阻害する可能性がある。
[0274] 種々の態様を本明細書に具体的に説明および記載したが、本発明の精神および意図する範囲から逸脱しない本発明の改変および変更が前記の教示に含まれ、特許請求の範囲の権限に含まれることは認識されるであろう。
[0275] 操作例を除いて、または他の形で指示しない場合は、本明細書および特許請求の範囲で用いる層中の成分の量、反応条件などを表わすすべての数値は、すべての場合に用語“約”で修飾されるものと解釈すべきである。したがって、他の形でそうではないと指示しない限り、本明細書および特許請求の範囲に述べた数値パラメーターは概数であって、本発明の開示により求める目的特性に応じて異なる可能性がある。
[0276] 調製
[0277] 本発明の態様の医療用具およびコーティング層は、種々の方法で作成できる。たとえば、コーティング溶液は、すべての成分、たとえば療法薬、添加剤および溶剤を同時に一緒に、分散、溶解、拡散その他の方法で混合することにより調製できる。コーティング溶液は、各成分を溶解度または他の何らかのパラメーターに基づいて順に添加することによっても調製できる。たとえば、コーティング溶液は、まず療法薬を溶剤に添加し、次いで添加剤を添加することにより調製できる。あるいは、添加剤をまず溶剤に添加し、次いで療法薬を後で添加してもよい。添加剤は溶剤の薬物溶解度を高めるであろうから、使用する溶剤が薬物を十分に溶解しない場合は、まず添加剤を溶剤に添加し、次いで薬物を添加することが好ましい。
[0278] 実施例
[0279] 以下の実施例は、本発明の範囲に含まれる医療用具およびコーティング層の態様を含む。以下の実施例は本発明の例示とみなされるが、それらの実施例を本発明に対する限定と解釈すべきではない。
[0280] 実施例A
[0281] コーティング溶液の調製(必要ならば、すべての溶質を溶解するのに十分な10容量%を超えない少量の水を添加する):
[0282] 配合物1.1: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、15〜90mgのTween 80、30〜90mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0283] 配合物1.2: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、15〜90mgのTween 80、30〜90mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0284] 配合物1.3: 30〜90mgのラパマイシン、BHTまたはBHA無添加、15〜90mgのTween 80、30〜90mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0285] 配合物1.4: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、15〜90mgのSolutol HS 15、5〜30mgのドデシル硫酸ナトリウム、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0286] 配合物1.5: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、15〜90mgのOleth 20、15〜90mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0287] 配合物1.6: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、15〜90mgのポリエチレングリコール−b−ポリ(ラクチド)(PEG−b−PLA)、30〜120mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0288] 配合物1.7: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、15〜90mgのTween 81、30〜90mgのOleth 20、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0289] 配合物1.8: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHA、45〜225mgのポリエチレングリコール−b−ポリ(ラクチド)(PEG−b−PLA)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0290] 配合物1.9: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHA、30〜180mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0291] 配合物1.10: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHA、15〜45mgのOleth 10、15〜45mgのOleth 20、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0292] 配合物1.11: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、15〜90mgのSolutol HS 15、15〜90mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0293] 配合物1.12: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBTAまたはBHT、15〜90mgのSolutol HS 15、15〜90mgのポリエチレングリコール−b−ポリ(ラクチド)(PEG−b−PLA)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0294] 配合物1.13: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHA、3〜135mgのSolutol HS 15、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0295] 配合物1.14: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜135mgのSolutol HS 15、3〜90mgのTween 81、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0296] 配合物1.15: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜135mgのSolutol HS 15、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(ポビドンまたはKollidon 12PF)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0297] 配合物1.16: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(ポビドンまたはKollidon 12PF)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0298] 配合物1.17: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgのCremophor EL(PEG−35 ひまし油またはポリエチレングリコール−リシノール酸グリセロール)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0299] 配合物1.18: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜135mgのCremophor EL(PEG−35 ひまし油またはポリエチレングリコール−リシノール酸グリセロール)、3〜90mgのTween 81、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0300] 配合物1.19: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgのSoluplus(ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコール グラフトコポリマー)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0301] 配合物1.20: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgのSolutol HS 15、3〜90mgのソルビトール、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0302] 配合物1.21: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(ポビドンまたはKollidon 12 PF)、3〜90mgのTween 20(ポリソルベート 20)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0303] 配合物1.22: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgのTween 20(ポリソルベート 20)、3〜90mgのTween 81(ポリソルベート 81)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0304] 配合物1.23: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(ポビドンまたはKollidon 12 PF)、3〜90mgのTween 20(ポリソルベート 20)、3〜90mgのTween 81(ポリソルベート 81)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0305] 配合物1.24: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(ポビドンまたはKollidon 12 PF)、3〜90mgのSolutol HS 15、3〜90mgのTween 81(ポリソルベート 81)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0306] 配合物1.25: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(ポビドンまたはKollidon 12 PF)、3〜90mgのCremophor EL(PEG−35 ひまし油またはポリエチレングリコール−リシノール酸グリセロール)、3〜90mgのレシチン、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0307] 実施例B
[0308] 5つのPTCAバルーンカテーテル(3mmの直径および20mmの長さ)をU.S. Patent Application Publication No. 2010-0055294-A1(それの全体を本明細書に援用する)に記載の方法を用いてコーティングした。これらのPTCAバルーンカテーテルを1〜3気圧で膨張させた。膨張したバルーンに実施例Aの配合物(1.1〜1.3)を装填し、吹き付け、またはそれに浸漬した。バルーンを次いで乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm2)が得られるまで再び装填、吹付けまたは浸漬した。コーティングしたバルーンを折りたたみ、次いで再包装し、分析試験のために殺菌した。回収ラパマイシン含量は以下のとおりであった:配合物1.1 BHT添加については79%、配合物1.2 BHA添加については100%、配合物1.3 BHTまたはBHA無添加については14%〜50%。抗酸化剤(BHTまたはBHA)はラパマイシンを酸化または分解から保護する。
[0309] 実施例C
[0310] 6つのPTCAバルーンカテーテル(3.5および3.0mmの直径ならびに20mmの長さ)を1〜3気圧で膨張させた。膨張したバルーンに実施例Aの配合物1.1〜1.25を装填した。バルーン上に十分な量の薬物(3〜4μg/mm2)が得られた。膨張したバルーンを折りたたみ、次いで乾燥させた。コーティングして折りたたんだバルーンを次いで再包装し、動物試験用に殺菌し、場合によっては真空乾燥させた。
[0311] 操作法:コーティング付きPTCAバルーンカテーテルを、25〜45ポンドのブタの冠血管系の標的部位(LAD、LCXおよびRCA)に挿入した。バルーンを約12気圧まで膨張させた。過拡張比(血管の直径に対するバルーンの直径の比)は約1.15〜1.40であった。30〜60秒の膨張期間中に薬物は標的組織内へ送達された。
次いでバルーンカテーテルを収縮させ、動物の身体から引き出した。この操作の0.25〜24時間後に標的血管を採集した。標的組織中の薬物含量およびバルーン上に残存する残留薬物を組織抽出およびHPLCにより分析した。
[0312] これらの動物試験のうちあるものにおいて、配置する前に薬物コーティング付きバルーンカテーテルにステントを留めつけた。長期動物試験で、すべての介入の前と後、および操作(前記)後28〜35日目に、血管造影を実施した。内腔直径を測定し、遅発性内腔喪失を計算した。遅発性内腔喪失は、追跡期間後(通常は、この例では血管形成術およびステント配置などの介入の数週ないし数カ月後)に測定した最小内腔直径と介入直後に測定した最小内腔直径の差である。再狭窄は直径狭窄により定量でき、これは追跡後と操作直後の平均内腔直径の差を操作直後の平均内腔直径で割ったものである。配合物1.1〜1.25についての動物試験結果を以下に報告する。すべてのデータが5または6の実験データ点の平均である。
[0313] 18mmのステントをコーティングしていないバルーンにより配置した。次いでコーティング付きバルーンカテーテルを、25〜45ポンドのブタの冠血管系の標的部位(LAD、LCXおよびRCA)に挿入した。3.5mmコーティング付きバルーンカテーテル上の配合物1.1の薬物含量は約3〜4μg/mm2であった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は21μg、すなわちバルーンに装填した全薬物の4%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は40.2μg、すなわちバルーンに最初に装填した全薬物の7.6%であった。操作中の拡張比は1.2〜1.4である。28〜35日後の遅発性内腔喪失は0.76(sd 0.22)mmであった。
[0314] 18mmのステントをコーティングしていないバルーンより配置した。次いでコーティング付きバルーンカテーテルを、25〜45ポンドのブタの冠血管系の標的部位(LAD、LCXおよびRCA)に挿入した。3.5mmコーティング付きバルーンカテーテル上の配合物1.4の薬物含量は約3.0〜4.0μg/mm2であった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は5.0μg、すなわち装填した全薬物の1%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は6.3μg、すなわち装填した全薬物の1〜3.0%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.76(sd 0.28)mmであった。
[0315] 3.5mmバルーンカテーテル上のコーティングしていないバルーンの薬物含量(対照アーム)は0.0μg/mm2であった。18mmのステントをコーティングしていないバルーンにより配置した。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は0.0μg、すなわち装填した全薬物の0%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は0.0μg、すなわち装填した全薬物の0.0%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は1.14(sd 0.28)mmであった。
[0316] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.5の薬物含量は2.88μg/mm2であった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は6.29μg、すなわち装填した全薬物の1.0%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は16μg、すなわち装填した全薬物の8.9%であった。操作の28日後に採集した組織の薬物含量は7.7ng/mg組織であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.9(sd 0.18)mmであった。
[0317] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.6の薬物含量は3.31μg/mm2であった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は37.0μg、すなわち装填した全薬物の6.0%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は51.8μg、すなわち装填した全薬物の9.0%であった。操作の28日後に採集した組織の薬物含量は6.15ng/mg組織であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.90(sd 0.07)mmであった。
[0318] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.7の薬物含量は3.03μg/mm2であった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は4.41μg、すなわち装填した全薬物の0.8%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は11.3μg、すなわち装填した全薬物の1.9%であった。
[0319] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.8の薬物含量は3〜4μg/mm2であった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は95.0μg、すなわち装填した全薬物の13.0%であった。操作の28日後に採集した組織の薬物含量は0.7ng/mg組織であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は1.11(sd 0.24)mmであった。
[0320] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.9の薬物含量は3〜4μg/mm2であった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は57.0μg、すなわち装填した全薬物の6.4%であった。操作の28日後に採集した組織の薬物含量は35.2ng/mg組織であった。
[0321] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.10の薬物含量は3〜4μg/mm2であった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は13.0μg、すなわち装填した全薬物の2.5%であった。操作の28日後に採集した組織の薬物含量は10.75ng/mg組織であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.73(sd 0.09)mmであった。
[0322] 実施例1
[0323] コーティング溶液の調製
[0324] 配合物1: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、25〜100mgのパルミチン酸アスコルビル、25〜100mgのL−アスコルビン酸、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0325] 配合物2: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイシン、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、50〜200mgのポリグリセリル−10 オレエート、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0326] 配合物3: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、50〜200mgのオクトキシノール−9、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0327] 配合物4: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイシン、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、50〜200mgのp−イソノニルフェノキシポリグリシドール、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0328] 配合物5: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、50〜200mgのTyloxapol、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0329] 配合物6: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイシン(2〜6mlのアセトン(またはエタノール)中)、および50〜150mgのL−アスコルビン酸(1mlの水もしくはエタノール、または両方の中)を混合した。
[0330] 配合物7: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、50〜150mgのナイアシンアミド(1mlの水またはエタノール中)を混合した。
[0331] 配合物8: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイシン、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、および50〜200mgのニコチン酸(1mlの水またはエタノール中)を混合した。
[0332] 配合物9: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタキセル、2〜6mlのエタノール(またはアセトン)、150mgの塩酸チアミン(1mlの水中)、および0.5mlを混合した。
[0333] 配合物10: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイシン、2〜6mlのアセトンまたはエタノール、および150mgの2−ピロリドン−5−カルボン酸(1mlの水またはエタノール中)を混合した。
[0334] 配合物11: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、75mgのp−イソノニルフェノキシポリグリシドール、75mgのナイアシンアミド(1mlの水またはエタノール中)、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0335] 配合物12: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイシン、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、75mgのオクトキシノール−9、75mgの塩酸チアミン(1mlの水またはエタノール中)、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0336] 配合物13: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、75mgのp−イソノニルフェノキシポリグリシドール、75mgの2−ピロリドン−5−カルボン酸(1mlの水またはエタノール中)、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0337] 配合物14: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、75mgのp−イソノニルフェノキシポリグリシドール、75mgのニコチン酸(1mlの水またはエタノール中)、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0338] 配合物15: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、75mgのp−イソノニルフェノキシポリグリシドール、75mgのL−アスコルビン酸(1mlの水またはエタノール中)、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0339] 配合物16: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタキセルを5〜10mlの塩化メチレンに溶解した。この溶液を30mlのヒト血清アルブミン溶液(5% w/v)に添加した。次いでこの溶液を低速で5分間ホモジナイズしてエマルジョンを形成した。次いでこのエマルジョンを40kHz、50〜90%のパワー、0〜5℃で1〜5分間、音波処理した。
[0340] 配合物17: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイシンを、5〜10mlの塩化メチレンおよび10〜30mgのp−イソノニルフェノキシポリグリシドールに溶解した。この溶液を30mlのヒト血清アルブミン溶液(5% w/v)に添加した。次いでこの溶液を低速で5分間ホモジナイズしてエマルジョンを形成した。次いでこのエマルジョンを40kHz、50〜90%のパワー、0〜5℃で1〜5分間、音波処理した。
[0341] 配合物18: 50〜100mg(0.06〜0.12mmmole)のパクリタキセル、1〜1.6mlのアセトン、1〜1.6mlのエタノール、0.4〜1.0mlの水、および50〜200mgのグルコノラクトンを混合した。
[0342] 配合物19: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパクリタキセル、0.5〜1.0mlのアセトン、0.5〜1.0mlのエタノール、35〜70mgのTween 20、および35〜70mgのN−オクタノイル N−メチルグルカミンを混合した。
[0343] 配合物20: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパクリタキセル、0.4〜1.0mlのアセトン、0.4〜1.0mlのエタノール、0.2〜0.4mlの水、35〜70mgのTween 20、および35〜70mgのソルビトールを混合した。
[0344] 配合物21: 40〜80mg(0.048〜0.096mmmole)のパクリタキセル、0.5〜1.0mlのアセトン、0.5〜1.0mlのエタノール、40〜80mgのメグルミン、および32〜64mgのゲンシチン酸(メグルミンと等モル比)を混合した。
[0345] 配合物22: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパクリタキセル、0.4〜0.8mlのアセトン、0.4〜0.8mlのエタノール、0.25〜0.50mlの水、35〜70mgのラクトビオン酸、および10〜20mgのジエタノールアミン(ラクトビオン酸と等モル比)を混合した。
[0346] 配合物23: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパクリタキセル、0.5〜1.0mlのアセトン、0.5〜1.0mlのエタノール、および70〜140mgのN−オクタノイル N−メチルグルカミンを混合した。
[0347] 配合物24: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパクリタキセル、0.4〜0.8mlのアセトン、0.4〜0.8mlのエタノール、0.2〜0.4mlの水、35〜70mgのメグルミン、および18〜36mgの乳酸(メグルミンと等モル比)を混合した。
[0348] 配合物25: 50〜100mg(0.06〜0.12mmole)のパクリタキセル、0.8〜1.6mlのアセトン、0.8〜1.6mlのエタノール、0.4〜1.0mlの水、50〜100mgのゲンシチン酸、および30〜60mgのジエタノールアミン(ゲンシチン酸と等モル比)を混合した。
[0349] 配合物26: 比較溶液−50mg(0.06mmole)のパクリタキセル、1mlのエタノール、0.2mlのアセトン、および0.042mlのUltravist 370を混合した。
[0350] 配合物27: 比較溶液−40mg(0.048mmole)のパクリタキセル、0.5mlのエタノール、および0.5mlのアセトンを混合した。
[0351] 配合物28: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパクリタキセル、0.5〜1.0mlのアセトン、0.5〜1.0mlのエタノール、35〜70mgのTriton X−100、および35〜70mgのN−ヘプタノイル N−メチルグルカミンを混合した。
[0352] 実施例2
[0353] 5つのPTCAバルーンカテーテル(3mmの直径および20mmの長さ)を真空下に3翼(three wings)で折りたたんだ。真空下で折りたたんだバルーンに実施例1の配合物(1−17)を吹き付け、またはそれに浸漬した。折りたたんだバルーンを次いで乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm2)が得られるまで再び吹付けまたは浸漬し、乾燥させ、再び吹付けまたは浸漬した。コーティングして折りたたんだバルーンを次いで再包装し、動物試験のために殺菌した。
[0354] 実施例3
[0355] 5つのPTCAバルーンカテーテル(3mmの直径および20mmの長さ)を真空下に3翼で折りたたんだ。真空下で折りたたんだバルーンに実施例1の配合物(1−5)を吹き付け、またはそれに浸漬した。折りたたんだバルーンを次いで乾燥させ、配合物(6−10)を再び吹き付け、またはそれに浸漬し、乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm2)が得られるまで再び吹付けまたは浸漬した。コーティングして折りたたんだバルーンを次いで再包装し、動物試験のために殺菌した。
[0356] 実施例4
[0357] ベアメタル製の冠動脈ステントを留めつけた5つのPTCAバルーンカテーテル(3mmの直径および20mmの長さ)に実施例1の配合物(1−5)を吹き付け、またはそれに浸漬した。これらのステント送達システムを次いで乾燥させ、配合物(6−10)を再び吹き付け、またはそれに浸漬し、乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm2)が得られるまで再び吹付けまたは浸漬した。コーティングして折りたたんだステント送達システムを次いで動物試験のために殺菌した。
[0358] 実施例5
[0359] 薬物コーティング付きバルーンカテーテルおよびコーティングしていないバルーンカテーテル(対照として)を、ブタの冠動脈に挿入した。バルーンを過拡張させ(1:1.2)、膨張したバルーンを血管内に60秒間保持して薬物および添加剤を放出させ、次いで収縮させてブタから引き出した。3日後、31日後、3カ月後、6カ月後、9カ月後および12カ月後に動物を血管造影した。60分後、3日後、31日後、3カ月後、6カ月後、9カ月後および12カ月後に、と殺した動物の動脈組織中の薬物量を測定した。
[0360] 実施例6
[0361] 5つの冠動脈ステント(3mmの直径および18mmの長さ)に実施例1の配合物(1−17)を吹付けまたは浸漬コーティングした。これらのステントを次いで乾燥させ、ステント上に十分な量の薬物(3μg/mm2)が得られるまで再び吹付けまたは浸漬し、再び乾燥させた。コーティングしたステントを次いでPTCAバルーンカテーテル(3mmの直径および20mmの長さ)に留めつけた。バルーンカテーテルを備えたこれらのコーティング付きステントを次いで動物試験のために殺菌した。
[0362] 実施例7
[0363] 薬物コーティング付きステントおよびコーティングしていないステント(対照として)を、ブタの冠動脈に挿入し、次いでバルーンを過拡張させた(1:1.2)。ステントを埋め込み、薬物および添加剤を放出させ、バルーンを収縮させてブタから引き出した。次いで5、30、60分後、3日後、31日後、3カ月後、6カ月後、9カ月後および12カ月後に動物を血管造影した。60分後、1日後、3日後、31日後、3カ月後、6カ月後、9カ月後および12カ月後に、と殺した動物の動脈組織中の薬物量を測定した。
[0364] 実施例8
[0365] 5つのPTCAバルーンカテーテルに実施例1の配合物(1−17)を吹き付け、またはそれに浸漬し、乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm2)が得られるまで再び吹付けまたは浸漬し、再び乾燥させた。ベアメタル製の冠動脈ステント(3mmの直径および20mmの長さ)を、コーティングした各バルーンに留めつけた。ベアメタル製の冠動脈ステントを留めつけたこれらのコーティング付きバルーンを包装し、動物試験のために殺菌した。
[0366] 実施例9
[0367] 5つのPTCAバルーンカテーテルに実施例1の配合物(1−5)を吹き付け、またはそれに浸漬し、乾燥させ、配合物(6−10)を再び吹き付け、またはそれに浸漬した。次いでバルーンを乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm2)が得られるまで再び吹付けまたは浸漬した。ベアメタル製の冠動脈ステント(3mmの直径および20mmの長さ)を、コーティングした各バルーンに留めつけた。ベアメタル製の冠動脈ステントを留めつけたこれらのコーティング付きバルーンを包装し、動物試験のために殺菌した。
[0368] 実施例10
[0369] 実施例8および9の薬物コーティング付きバルーン膨張式のベアメタルステントならびにプレーンなバルーン膨張式のベアメタルステント(対照として)を、ブタの冠動脈に挿入し、バルーンを過拡張させた(1:1.2)。ステントを埋め込み、バルーンを膨張状態に60秒間保持して、薬物および添加剤を放出させ、次いでバルーンを収縮させてブタから引き出した。次いで5、30、60分後、3日後、31日後、3カ月後、6カ月後、9カ月後および12カ月後に動物を血管造影した。60分後、1日後、3日後、31日後、3カ月後、6カ月後、9カ月後および12カ月後に、と殺した動物の動脈組織中の薬物量を測定する。
[0370] 実施例11
[0371] 150mg(0.18mmole)のパクリタキセル、5mlのアセトン(または酢酸エチルもしくはメチルエチルケトン)、150mgの無水酢酸または無水マレイン酸または無水ジグリコール酸、および0.5mlのエタノールを混合し、次いで溶液が得られるまで撹拌した。5つのPTCAバルーンカテーテルにこの溶液を吹き付け、またはそれに浸漬し、乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm2)が得られるまで再び吹付けまたは浸漬した。コーティングしたバルーンを次いで高pH(pH8〜11.5の範囲)条件下で処理して、酸無水物を加水分解した。これはIR法により確認できる。この時点でコーティングの親水性が増大していた。コーティングしたバルーンを次いで動物試験のために殺菌した。
[0372] 実施例12
[0373] 薬物コーティング付きバルーンカテーテルおよびコーティングしていないバルーンカテーテル(対照として)を、ブタの肺気道内へ気管支鏡により挿入した。バルーンを拡張させ、膨張したバルーンを膨張状態で60秒間、内腔に保持して、薬物および添加剤を放出させた。バルーンを収縮させてブタから引き出した。次いで3日後、31日後、3カ月後、6カ月後、9カ月後および12カ月後に、動物を気管支鏡により検査し、病態生理学的検査および薬物取込みの定量のために組織試料を採取した。
[0374] 実施例13
[0375] コーティングしていないステント送達カテーテルをブタの血管腔に挿入した。バルーンを拡張させ、ステントを配置し、収縮させたバルーンを引き出した。実施例1の医薬配合物1〜15(10〜100ml)をステント埋込み部位に注入した(ブタ当たり約5〜15mgの薬物)。次いで薬物は傷害組織に吸収された。次いで動物を検査し、病態生理学的検査のために組織試料を採取した。
[0376] 実施例14
[0377] 罹患組織(乳癌または前立腺またはアテロームまたは狭窄)を人体から外科的に摘出した。実施例1の医薬配合物1〜15(10〜100ml)を、この外科的介入により形成した外科的空洞の内部または上に注入した(約5〜20mgの薬物)。局所薬物送達には、長い針、ガイドカテーテル、誘導鞘、薬物注入チューブ、および他の薬物送達カテーテルによる注入が含まれていた。次いで薬物は標的部位の組織に吸収された。
[0378] 実施例15
[0379] 6つのPTCAバルーンカテーテル(3.5および3.0mmの直径ならびに20mmの長さ)を1〜3気圧で膨張させた。膨張したバルーンに実施例1の配合物18〜28を装填した。バルーン上に十分量の薬物(3μg/mm2)が得られた。膨張させたバルーンを折りたたみ、次いで乾燥させた。コーティングして折りたたんだバルーンを次いで再包装し、動物試験のために殺菌した。
[0380] コーティングしたPTCAバルーンカテーテルを、25〜45ポンドのブタの冠血管系の標的部位(LAD、LCXおよびRCA)に挿入した。バルーンを約12気圧まで膨張させた。過拡張比(血管の直径に対するバルーンの直径の比)は約1.15〜1.40であった。30〜60秒の膨張期間に薬物は標的組織内へ送達された。次いでバルーンカテーテルを収縮させ、動物の身体から引き出した。この操作の0.25〜24時間後に標的血管を採集した。標的組織中の薬物含量およびバルーン上に残存する残留薬物を組織抽出およびHPLCにより分析した。
[0381] これらの動物試験のうちあるものにおいて、ステントを配置する前に薬物コーティング付きバルーンカテーテルに留めつけた。長期動物試験で、すべての介入の前と後、および操作後28〜35日目に、血管造影を実施した。内腔直径を測定し、遅発性内腔喪失を計算した。遅発性内腔喪失は、追跡期間後(通常は、この例では血管形成術およびステント配置などの介入の数週後ないし数カ月後)に測定した最小内腔直径と介入直後に測定した最小内腔直径の差である。再狭窄は直径狭窄により定量でき、これは追跡後と操作直後の平均内腔直径の差を操作直後の平均内腔直径で割ったものである。配合物18〜28についての動物試験結果を以下に報告する。すべてのデータが5または6の実験データ点の平均である。
[0382] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物18の薬物含量は3.26μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は15.92μg、すなわちバルーンに装填した全薬物の2.3%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は64.79μg、すなわち最初にバルーンに装填した全薬物の9.2%であった。18mmのステントをコーティング付きバルーンにより配置した場合、バルーン上の残留薬物は31.96μg、すなわち装填した薬物の4.5%であり、操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は96.49μg、すなわち装填した薬物の13.7%であった。操作における拡張比は1.3である。28〜35日後の遅発性内腔喪失は0.10(sd 0.2)mmであった。直径狭窄は3.3%である。
[0383] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物19の薬物含量は3.08μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は80.58μg、すなわち装填した全薬物の11.4%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は42.23μg、すなわち装填した全薬物の6.0%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.30(sd 0.23)mmであった。直径狭窄は5.4%であった。
[0384] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物20の薬物含量は3.61μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は174.24μg、すなわち装填した全薬物の24.7%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は83.83μg、すなわち装填した全薬物の11.9%であった。予め留めつけた18mmステントを配置した場合、バルーン上の残留薬物は114.53μg、すなわち装填した全薬物の16.1%であり、操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は147.95μg、すなわち装填した全薬物の18.1%であった。操作における拡張比は1.3であった。28〜35日後の遅発性内腔喪失は0.10(sd 0.1)mmであった。直径狭窄は3.4%であった。
[0385] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物21の薬物含量は4.71μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は44.39μg、すなわち装填した全薬物の6.3%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は77.87μg、すなわち装填した全薬物の11.0%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.23(sd 0.44)mmであった。直径狭窄は7.3%であった。
[0386] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物22の薬物含量は3.85μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は24.59μg、すなわち装填した全薬物の3.5%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は37.97μg、すなわち装填した全薬物の5.4%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.33(sd 0.14)mmであった。直径狭窄は6.7%であった。
[0387] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物23の薬物含量は3.75μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は0.82μg、すなわち装填した全薬物の0.1%であった。操作の60分後に採集した組織の薬物含量は45.23μg、すなわち装填した全薬物の5.5%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.49(sd 0.26)mmであった。直径狭窄は11.3%であった。
[0388] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物24の薬物含量は3.35μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は62.07μg、すなわち装填した全薬物の7.5%であった。操作の60分後に採集した組織の薬物含量は40.55μg、すなわち装填した全薬物の4.9%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.47(sd 0.33)mmであった。直径狭窄は9.9%であった。
[0389] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物25の薬物含量は3.41μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は50.0μg、すなわち装填した全薬物の6.0%であった。操作の60分後に採集した組織の薬物含量は26.72μg、すなわち装填した全薬物の3.2%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.36(sd 0.41)mmであった。直径狭窄は9.3%であった。
[0390] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物28の薬物含量は3.10μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は装填した全薬物の1.9%であった。操作の2時間後に採集した組織の薬物含量は34.17μg、すなわち装填した全薬物の5.0%であった。操作の24時間後に採集した組織において、組織の薬物含量は28.92μg、すなわち装填した全薬物の4.2%であった。
[0391] 3.5mmバルーンカテーテル上の対照配合物(コーティングしていないバルーン)の薬物含量は0.0μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は装填した全薬物の0%であった。操作の15分後に採集した組織の薬物含量は0μgであった。操作の24時間後に採集した組織において、組織の薬物含量は0μgであった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.67(sd 0.27)mmであった。直径狭窄は20.8%である。2回目の反復実験で、拡張比は1.3であった。遅発性内腔喪失は1.1(sd 0.1)mmであった。直径狭窄は37.5%であった。
[0392] 3.5mmバルーンカテーテル上の比較配合物26の薬物含量は3.21μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は13.52μg、すなわち装填した全薬物の1.9%であった。組織の薬物含量は28.32μg、すなわち装填した全薬物の4.0%であった。予め留めつけた18mmステントを備えたバルーンを配置した場合、バルーン上の残留薬物は26.45μg、すなわち装填した全薬物の3.7%であった。組織の薬物含量は113.79μg、すなわち装填した薬物の16.1%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.27(sd 0.15)mmであった。直径狭窄は7.1%であった。
[0393] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物27(添加剤なし)の薬物含量は4.22μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物は321.97μg、すなわち装填した全薬物の45.6%であった。組織の薬物含量は12.83μg、すなわち装填した全薬物の1.8%であった。
[0394] 意外にも、本発明の態様による配合物18〜25および28でコーティングしたバルーンを配置した後、ブタ冠動脈組織により吸収された薬物の濃度は、比較配合物26でコーティングしたバルーンにより送達されたものより高く、かつ薬物のみの配合物27でコーティングしたものより高かった。28〜35日間の追跡後の遅発性内腔喪失は、対照(コーティングしていないバルーン)より少なかった。
[0395] 実施例16
[0396] 6つのPTCAバルーンカテーテル(3.5および3.0mmの直径ならびに20mmの長さ)を1〜3気圧で膨張させた。膨張したバルーンに実施例1の配合物18〜25および28を装填した。バルーン表面に十分量の薬物(3μg/mm2)が得られた。膨張させたバルーンを乾燥させた。この薬物コーティングしたバルーンに次いでトップコートを付与した。アセトンまたはエタノール中のトップコーティング配合物を、ゲンチシン酸、メチルパラベン、酢酸、Tween 20、バニリンおよびアスピリンから選択した。コーティングして折りたたんだバルーンを乾燥させ、次いで再包装し、動物試験のために殺菌した。
[0397] バルーンカテーテルを挿入して標的部位へ移動させる間に膨張前に失われる薬物の量を調べるために、浮遊実験を設計した。対照バルーンカテーテルを配合物18でコーティングした。プロピルパラベンのトップコーティングを備えたトップコーティング付きカテーテルも作成した。トップコーティング付きカテーテルについては、バルーンカテーテルを配合物18でコーティングし、次いで乾燥させ、アセトン中25〜50mgのプロピルパラベン(パクリタキセルの約50重量%)を配合物18のコーティング上にコーティングした。対照およびトップコーティング付きバルーンカテーテルをブタの動脈に挿入した。ブタの動脈内での浮遊時間は1分であった。薬物、添加剤およびトップコーティングが放出された。次いでカテーテルを引き出した。バルーンカテーテル上の残留薬物をHPLCにより分析した。対照バルーンカテーテルの残留薬物含量は、装填した全薬物の53%であった。トップコーティング付きバルーンカテーテルの残留薬物含量は88%であった。トップコートは、療法介入部位への用具の移動を模倣した条件で、血管内における薬物損失を減少させた。配合物18をまずバルーン上にコーティングし、この第1コーティング層を覆うトップコーティングとしてプロピルパラベンをコーティングして、実施例15の場合と同じ動物試験を実施した。3.5mmバルーンカテーテルの薬物含量は3.39μg/mm2であった。操作後、バルーン上の残留薬物含量は64.5μg、すなわち装填した全薬物の8.6%であった。組織内の薬物含量は28.42μg、すなわち装填した全薬物の4%であった。
[0398] 実施例17
[0399] 6つのPTCAバルーン構成部品(3.5および3.0mmの直径ならびに20mmの長さ)に実施例1で得られた配合物18を装填した。バルーン表面に十分量の薬物(3μg/mm2)が得られた。バルーンを乾燥させた。
[0400] 次いでトップコーティング層のための配合物を調製した。トップコーティング層の配合物は、パクリタキセル、ならびにアセトン中のTween 20、Tween 80、ポリプロピレングリコール−425(PPG−425)およびポリプロピルグリコール−1000(PPG−1000)から選択される1種類の添加剤であった。対照カテーテルのバルーン表面には配合物18のみを装填した。他のバルーン表面の配合物18コーティング層上には、アセトン中25〜50mgのトップコーティング配合物(パクリタキセルの約50重量%)をコーティングした。コーティングしたバルーンをインビトロでの薬物放出試験のために乾燥させた。
[0401] バルーン膨張に際して失われる薬物の量を調べるために、放出実験を設計した。コーティング付きバルーンそれぞれを1% BSA溶液中、37℃で2分間、12気圧まで膨張させた。薬物、添加剤およびトップコーティングが放出された。バルーンカテーテル上の残留薬物をHPLCにより分析した。対照バルーンカテーテルの残留薬物含量は、装填した全薬物の34%であった。Tween 20、Tween 80、ポリプロピレングリコール−425(PPG−425)またはポリプロピルグリコール−1000(PPG−1000)を含むトップコーティング層を含むバルーンカテーテルの残留薬物含量は、それぞれ47%、56%、71%および81%であった。したがって、トップコーティング層はインビトロ試験でバルーン構成部品の膨張に際しての薬物損失を減少させた。