JP6249987B2 - 医療用具のための薬物放出コーティング - Google Patents

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関連出願の引照
[001] 本出願は、Application No. 12/121,986, 2008年5月16日出願の一部継続出願で
あり、これは下記の一部継続出願である:Application No. 11/942,452, 2007年11月19日
出願、これはU.S. Provisional Application No. 60/860,084, 2006年11月20日出願に基
づく優先権を主張、U.S. Provisional Application No. 60/880,742, 2007年1月17日出願
, U.S. Provisional Application No. 60/897,427, 2007年1月25日出願、U.S. Provision
al Application No. 60/903,529 , 2007年2月26日出願、U.S. Provisional Application
No. 60/904,473, 2007年3月2日出願、U.S. Provisional Application No. 60/926,850, 2
007年4月30日出願、U.S. Provisional Application No. 60/981,380, 2007年10月19日出
願、およびU.S. Provisional Application No. 60/981,384, 2007年10月19日出願;これ
らすべての開示内容を本明細書に援用する。
発明の分野
[002] 本発明の態様は、コーティング付き(coated)医療用具、特にコーティング付き
バルーンカテーテル、ならびに療法薬を特定の組織または体腔へ迅速に送達するための、
疾患を処置するための、特に狭窄および体腔の遅発性内腔喪失(late lumen loss)を軽減
するための、それらの使用に関する。本発明の態様はまた、これらの医療用具の作成方法
、これらの医療用具に付与されたコーティング、これらのコーティングを作成するための
溶液、およびこれらのコーティング付き医療用具を用いて特に動脈を含めた脈管系などの
体腔を処置するための方法に関する。
[003] 医療用具をヒトまたは動物患者の脈管系または他の体腔、たとえば食道、気管
、結腸、胆管もしくは尿管内へ導入することによって多様な病的状態を処置することが次
第に一般的になってきた。たとえば、脈管疾患の処置に用いる医療用具には、ステント、
カテーテル、バルーンカテーテル、ガイドワイヤー、カニューレなどが含まれる。これら
の医療用具は最初は有効に思われるが、その有益性はそのような処置の後の遅発性血栓症
などの合併症の発生または狭窄などの疾患の再発(再狭窄)によってしばしば損なわれる
[004] たとえば再狭窄は、血管形成術により起きる血管傷害に対する生理的応答を伴
う。経時的に、脱内皮形成(de-endotheliaziation)および平滑筋細胞に対する傷害の結果
として、血栓沈着、白血球およびマクロファージの浸潤、平滑筋細胞の増殖/移動、線維
形成および細胞外マトリックス沈着が生じる。炎症は、初期血管傷害を新生内膜増殖およ
び内腔損傷という最終結果に結び付ける中枢的役割を果たす。バルーンによる傷害を受け
た動脈では白血球動員は初期好中球浸潤に限られるが、ステント配置した動脈では初期好
中球動員に続いて持続的なマクロファージ蓄積が起きる。冠動脈ステントの広域使用は、
埋め込んだ異物からの慢性的刺激のためより強い持続的炎症状態が起きることによって、
また薬物溶出ステント(drug eluting stent)(DES)の場合はポリマーコーティングの
生体適合性が不十分であることから、傷害に対する血管応答を変化させた。
[005] この数年にわたって、バルーン血管形成術またはステント配置後の再狭窄を治
療および/または予防するための多数の局所薬物送達システムが開発された。例には、局
所用の薬物送達カテーテル、送達バルーンカテーテル、およびポリマー−薬物コーティン
グ付きステントが含まれる。多くの疾患が体内の特定の局所部位または臓器を冒すので、
優先的にその患部のみを処置することが有利である。これによって、有害な副作用を生じ
る可能性のある高い全身薬物レベルが避けられ、療法薬はそれらが必要とされる局所領域
に集中する。罹患組織だけを処置することによって、使用する薬物の総量を有意に減らす
ことができる。さらに、局所薬物送達によって、これまで全身に使用するには毒性が高す
ぎるかまたは非選択的であると考えられていたある種の有効な療法薬を使用することが可
能になる。
[006] 局所送達システムの一例は、薬物溶出ステント(DES)である。このステン
トは、薬物を含浸させたポリマーでコーティングされる。ステントを血管に挿入すると、
ポリマーは分解し、薬物が徐々に放出される。数週間ないし数カ月にわたって行なわれる
薬物の徐放は、DES使用の主な利点のひとつとして報告されている。しかし、ステント
などの異物を配置する場合には徐放が有利であるかもしれないが、それは慢性的な刺激お
よび炎症の原因であり、異物を埋め込まないのであれば急性傷害後の炎症および細胞増殖
を阻止するために処置時に薬物を血管組織へ迅速に送達する方が有利である。したがって
、DES、または薬物の持続放出用に設計された他のいずれかの埋め込み型医療用具の著
しい欠点は、薬物を迅速に血管内へ放出できないことである。
[007] さらに、薬物溶出ステントは再狭窄を軽減および阻止するのに有効な手法であ
ることが当初は示されたが、最近ではそれらの有効性および安全性に疑問がもたれている
。この手法の致命的合併症である遅発性血栓症が主要な懸念として浮上してきた。薬物溶
出ステントは、ベアメタルステント(bare metal stent)(BMS)と比較して、完全内皮
再形成の欠如およびフィブリンの存続を特徴とする実質的な動脈治癒障害を引き起こし、
これが遅発性DES血栓症の根源であると解釈されている。ステント上の抗増殖薬を包埋
したポリマーマトリックスは、用いたポリマーが十分に生体適合性ではないので炎症およ
び血栓症を増悪させる可能性があるという懸念も持ち上がっている。これらのポリマー系
は、数秒または数分にわたってではなく数日、数か月または数年にわたる長期持続的な薬
物送達を行なうように設計されている。医療用具のこれらのポリマー−薬物コーティング
はポリマーを放出せず、それは薬物が放出された後でも医療用具上に残留する。生分解性
ポリマーを用いたとしても、ポリマーと薬物が同時に放出されることはない。本発明の態
様が意図するこれらのポリマー系からの迅速な薬物放出は、不可能である。したがって、
療法薬とポリマーを医療用具のコーティング中に組み合わせることは、著しい欠点をもつ
可能性がある。
[008] DESの他の重大な制約は、水不溶性薬物がコーティングのポリマーマトリッ
クス中に均一に分布しないことである。さらに、薬物およびポリマーはステントの支柱(s
trut)上に濃縮されるが、支柱間の空隙には濃縮されない。この不均一な薬物分布は、組
織の脈管壁への不均一な薬物放出の原因となる。これは、過剰の薬物に曝された領域の組
織損傷および血栓症、ならびに処置不十分な領域の過形成および再狭窄を引き起こす可能
性がある。したがって、コーティング中のキャリヤー、たとえばポリマーマトリックスと
の薬物の相溶性を高めることにより医療用具のコーティング中での薬物の溶解性を向上さ
せ、これによりポリマーマトリックスまたは他のコーティング中の薬物結晶粒子を排除し
、またはそのサイズを縮小して、医療用具上の薬物コーティング中における均一な薬物分
布を形成することによって、標的組織への薬物送達の均一性を向上させる必要がある。
[009] DESのさらに他の重大な制約は、ステントの比較的小さな表面積には限られ
た量の有効薬剤を装填できるにすぎないことである。
[010] ステントによるものではない局所送達システム、たとえばバルーンカテーテル
も、再狭窄の治療および予防に有効であった。バルーンを有効薬剤でコーティングし、血
管を拡張させた際にバルーンが血管壁に向かって押しつけられて有効薬剤を送達する。し
たがって、バルーンカテーテルを用いる場合、コーティング中の薬物が迅速に送達されて
血管組織により吸収されることが有利である。迅速な放出を阻害するいずれかのコーティ
ング成分、たとえば脂質もしくはポリマー、または封入された粒子は、バルーンカテーテ
ルの意図する用途、すなわちごく短期間膨張させ、次いで身体から引き出すには、当然不
利である。
[011] 親水性薬物、たとえばヘパリンは、ポリマーヒドロゲルでコーティングしたバ
ルーンカテーテルにより送達できると報告されている。しかし、ポリマーヒドロゲルコー
ティングは水不溶性薬物(たとえば、パクリタキセル(paclitaxel)およびラパマイシン(r
apamycin))を効果的に送達できない;それらはヒドロゲルコーティングと混和できない
からである。さらに、薬物が放出されるのに伴って、架橋ポリマーヒドロゲルは薬物が放
出された後もバルーン上に残留する。ヨウ素造影剤イオプロミド(iopromide)はパクリタ
キセルと共にバルーンカテーテルをコーティングするのに用いられており、再狭窄の処置
にある程度成功している。造影剤はバルーン表面へのパクリタキセルの付着を向上させる
と報告された。しかし、ヨウ素化された造影剤は幾つか周知の欠点をもつ。診断操作に用
いた場合、それらは5〜30%の合併率をもつ可能性がある。これらの薬剤は、徐脈、心
室性不整脈、低血圧、心臓ブロック、洞停止、洞性頻脈、および細動のリスクを伴う。ヨ
ウ素造影剤は腎不全を誘発する可能性もあり、その結果、診断操作後に血管系からこれら
の造影剤を除去するために著しい努力がなされている。
[012] さらに、食品医薬品局(FDA)は2006年に、造影剤に対する腎原性全身
性線維症(Nephrogenic Systemic Fibrosis)または腎原性線維化性皮膚障害(Nephrogenic
Fibrosing Dermopathy)として知られる重篤な遅発性有害反応について、second public h
ealth advisoryを発行した。造影剤の血管内送達に関連する有害事象が広範であるため、
希望する療法薬を送達するために患者に造影剤の追加投与を本来行なわないコーティング
を備えた改良された医療用具が求められている。
[013] ヨウ素化されたX線造影剤は大きな親水性球形分子である。それらは細胞外分
布ならびに速やかな糸球体濾過および腎排出を特徴とする。それらは大きな極性親水性分
子であるので、膜脂質二重層を通過して脈管系の細胞に進入することができない。したが
って、それらはパクリタキセルのような疎水性薬物を細胞内へ運ぶ最適効力がなく、これ
らの用具を配置した後に脈管組織が取り込むと報告されたパクリタキセルのパーセントは
わずか5〜20%である。さらに、パクリタキセルとイオプロミドの相溶性または混和性
が良好ではなく、コーティングの統合性および均一性は乏しい。取扱い中にコーティング
から粒子が容易に剥がれ落ちて失われる。これらの欠点は、標的組織へ送達される薬物の
量および均一性に有害な影響を及ぼす。したがって、改良されたコーティング、すなわち
不必要な造影剤投与を避けるだけでなく、取扱い中の統合性も維持し、より効果的かつ均
一に薬物を送達し、組織によるそれの吸収を容易にするコーティングが求められている。
[014] あるいは、油もしくは脂質と混合した、またはリポソームなどの粒子もしくは
ポリマーに封入した疎水性療法薬で、バルーンカテーテルをコーティングすることが報告
された。これらの薬物送達配合物はすべて、著しい欠点をもつ。親水性造影剤と異なり、
油および脂質は水不溶性薬物、たとえばパクリタキセルまたはラパマイシンと良好に混和
するが、療法薬を可溶化するために用いる油の粒度は比較的不安定であり、直径数百ナノ
メートルから数ミクロンまでの幅広い粒度分布に及ぶ。
[015] 一般的なミセルの装填容量は低い。油性リポソーム配合物がもつ他の欠点は、
薬物吸収が脂肪分解の速度および程度に依存することである。油性トリグリセリドの脂肪
分解は困難であり、多くの要因に依存し、罹患組織により吸収されるためにはトリグリセ
リドが消化されて薬物を放出しなければならない。リポソームおよびミセルは疎水性薬物
を効率的には放出できず、このため薬物を組織が吸収できる前に運び去るので、これらの
作用剤により組織へ送達される疎水性薬物の量は低いであろう。したがって、油および脂
質はごく短い用具配置時間中に組織の薬物取込みを迅速かつ効率的に促進する効果がなく
、これらのタイプのコーティングが有効であることを示したレポートはない。薬物は粒子
、ミセルまたはリポソームに封入され、このため薬物より有意に高い脂質濃度が必要にな
るので、これらの配合物中の薬物と脂質の比率は一般に0.2〜0.3である。これらの
手法は、薬物/脂質粒子をまず形成し、次いでこれらの調製した粒子で医療用具をコーテ
ィングすることを伴う。これらの油/脂質配合物からの薬物放出が数日ないし数週間また
は数カ月の範囲で行なわれることを示す幾つかのレポートがある。この性質は、薬物放出
を数秒ないし数分の範囲で行なう状況には望ましくない。したがって、油/脂質配合物に
関する手法は、そのような状況に有用になるためには著しく改善される必要がある。
[016] ポリマー粒子に封入された薬物は、コーティングから拡散するのにいっそう長
くかかる場合があり(報告された範囲は数カ月ないし数年)、標的組織に迅速に透過する
のはさらに困難であろう。ポリマー材料、たとえばポリエステルで作成したマイクロスフ
ェアは、水不溶性薬物を封入するために用いる場合、ポリマー材料が分解するまでは薬物
を放出できない。したがって、これらのポリマーマイクロスフェアは薬物を長期間にわた
って持続放出するためには有用であるが、薬物を迅速に放出して組織取込みを促進するこ
とはできない。
[017] 薬物と医療用具を組み合わせるのは複雑な技術分野である。それは、経口また
は注射用の医薬など通常の配合挑戦と共に、医療用具が標的部位に到達するまで医療用具
への薬物の付着を維持し、その後に希望する放出および吸収動態で薬物を標的組織へ送達
するという挑戦をさらに伴う。医療用具の薬物コーティングは、医療用具、たとえばバル
ーンカテーテルまたはステントが膨張および収縮した際に破壊されないような特性も備え
ていなければならない。さらにコーティングは、バルーンの破裂圧およびコンプライアン
スまたは自己膨張式もしくはバルーン膨張式ステントの半径方向強度などの機能性能を損
なってはならない。厚いコーティングは医療用具の輪郭を増大させてトラッキング能およ
び送達能を低下させるので、コーティング厚さも最小限に維持しなければならない。これ
らのコーティングは、薬物を安定化するために一般的にしばしば用いられる液状の化学化
合物を一般にほとんど含有しない。したがって、丸剤または注射剤について有効な配合物
は、医療用具のコーティングについては全く機能しない可能性がある。薬物が医療用具か
ら容易に放出されすぎると、医療用具を標的部位に配置できる前に送達の途中で失われる
可能性があり、あるいは医療用具から膨張の初期に薬物が爆発的に放出され、体腔壁の標
的組織と圧迫接触する前に洗い去られる可能性がある。薬物が強く付着しすぎると、薬物
が放出されて標的組織の組織によって吸収される前に、医療用具が引き出される可能性が
ある。
[018] したがって、再狭窄などの血管疾患および血管以外の疾患を治療または予防す
るために、医療処置の途中または処置後に、療法薬、薬物または生理活性物質を迅速に限
局された組織領域内へ直接送達できる、高度に特殊化されたコーティングを開発すること
がなお求められている。医療用具は希望する標的位置で療法薬を迅速に有効かつ効率的に
放出し、そこで療法薬は標的組織を迅速に透過して疾患を治療し、たとえば狭窄を軽減し
、体腔の再狭窄および遅発性内腔喪失を予防すべきである。
[019] さらに、療法薬はそれぞれ異なる構造および特性をもち、したがって希望する
コーティング特性および最適な療法有益性を達成するためには異なる配合が必要である。
療法薬は異なる薬物キャリヤーと異なる反応を行ない、薬物と添加剤の反応によって療法
薬が不活性になり、または潜在的に有毒な分解生成物が生成する可能性がある。薬物コー
ティング付き医療用具の表面積が大きいことによって、また殺菌に際して熱、水分および
酸化条件に曝されることによって、これはさらに複雑になる。療法薬が水分に対して感受
性であるか、または加水分解もしくは酸化されやすい場合、これらは特に問題となる。パ
リクタキセルは加水分解される可能性があり、多くの化合物官能基と反応する。ラパマイ
シンおよびそれの誘導体は容易に加水分解および酸化される。したがって、本発明の特定
の態様の目的は、添加剤および療法薬を含む医療用具用コーティングであって、療法薬、
たとえばラパマイシンおよびそれの誘導体の分解に関与せず、または医療用具の殺菌およ
び使用前貯蔵に際して酸化および加水分解から療法薬を保護し、一方では標的組織内への
療法用量の薬物の送達および浸透がなお可能であるコーティングを提供することである。
本発明の態様は、ラパマイシンおよびそれの誘導体などの療法薬の酸化および/または加
水分解による分解を最小限に抑えるコーティング付き医療用具を作成および加工するため
の組成物および製造方法に関する。本発明の態様のコーティングは、療法薬および少なく
とも1種類の添加剤を含み、添加剤は療法薬それぞれの独自の特性に基づいて療法薬の分
解を最小限に抑えるようにコーティング層中の療法薬と組み合わせられ、安全かつ有効な
薬物コーティング付き医療用具を提供する。
[020] 本発明者らは、医療用具、特にバルーンカテーテルまたはステントの外面を、
たとえば療法薬、および親水性部分と薬物親和性部分の両方をもつ添加剤を含む層でコー
ティングすることが、前記に述べたコーティングに関連する問題を解決するのに有用であ
ることを見出した。薬物親和性部分は疎水性部分であり、ならびに/あるいは水素結合お
よび/またはファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性をもつ。意外なこ
とに、本発明者らは、本発明の態様による親和性部分と薬物親和性部分を含む少なくとも
1種類の添加剤は、療法薬との組み合わせで、油および脂質を用いずに医療用具上に有効
な薬物送達コーティングを形成し、これによって一般的な油性コーティング配合物の脂質
分解依存性その他の欠点が避けられることを見出した。さらに、本発明の態様による添加
剤は、迅速な薬物溶出および患部組織内への卓越した薬物透過を容易にする。したがって
、本発明の態様によるコーティングは、脈管系その他の体腔の罹患組織における疎水性療
法薬の吸収の速度および/または程度を向上させる。本発明の態様において、コーティン
グ付き医療用具は、2分未満のごく短い配置期間中に療法薬を組織へ送達し、体腔の狭窄
および遅発性内腔喪失を軽減する。
[021] 1態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具であって、
医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に関する。この医療用具には、バルーンカテーテ
ル、潅流バルーンカテーテル、および注入カテーテル、たとえば遠位有孔型の薬物注入チ
ューブ、有孔バルーン、離間ダブルバルーン(spaced double balloon)、多孔バルーン、
および掃引バルーン(weeping balloon)、カッティングバルーンカテーテル(cutting ball
oon catheter)、スコアリングバルーンカテーテル(scoring balloon catheter)、レーザ
ーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル(debulking catheter)、ステ
ント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のう
ちの1つが含まれる。さらに、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、
洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。
[022] 医療用具の1態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬お
よび添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、
薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、お
よびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少な
くとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、添加剤は界面活性剤および化学化合
物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は80から750までの分子量を
もつ。
[023] 医療用具の1態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬、
抗酸化剤および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み
、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有す
る部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分の
うちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活
性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は1以上のヒ
ドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。
1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミ
ドまたはエステル基をもつ化学化合物は、下記のものから選択される:アミノアルコール
類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル類、アミド類、エーテル類、酸無水物、ヒドロキ
シルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフ
ェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソル
ビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エ
ステル類、塩類、ビタミン類、可溶性ポビドン(Povidone)、分子量4000未満の可溶性
ポリビニルピロリドン、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF
、尿素、ビウレット、アセトアミド、乳酸アミド、アミノ酸アミド、アセトアミノフェン
、尿酸、ポリウレア、ウレタン、尿素誘導体、ナイアシンアミド、N−メチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルファセタミドナトリウム、ベルセタミド(verse
tamide)、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド
、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルステアルアミド)、コカミドMEA、コカミドD
EA、アルギニン、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ヘキシル、
フタル酸ジエチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、アジ
ピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、ク
エン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸ブ
チリルトリヘキシル、クエン酸トリメチル、酢酸および無水物、安息香酸および無水物、
ジエチレントリアミン五酢酸ジアンヒドリド、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、
マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸
、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、アスパラギン酸、ニコチン酸、
2−ピロリドン−5−カルボン酸、アロイリチン酸(aleuritic acid)、シェロリン酸(she
llolic acid)、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子。
[024] 医療用具の1態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬、
抗酸化剤および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み
、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有す
る部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分の
うちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活
性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から7
50までの分子量をもつ。他の態様において、医療用具の外面を覆う層は、本質的に療法
薬、抗酸化剤および添加剤からなる。
[025] 1態様において、抗酸化剤は下記のうちの少なくとも1つである:オリゴマー
またはポリマー状のプロアントシアニジン類、ポリフェノール類、ポリホスフェート類、
ポリアゾメチン、高スルフェート寒天オリゴマー類、キトオリゴ糖類、多官能性オリゴマ
ーチオエーテル類であって立体障害フェノール類(sterically hindered phenols)、ヒ
ンダードアミン類、p−フェニレンジアミン、トリメチルジヒドロキノロン類、およびア
ルキル化ジフェニルアミン類を含むもの、ヒンダードフェノール類(hindered phenols)
、t−ブチル、アリールアミン類、ホスファイト類、ヒドロキシルアミン類、ベンゾフラ
ノン類、p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N,N’ ジ置換p−フェニレン
ジアミン類、ブチル化ヒドロキシトルエン(“BHT”)、ブチル化ヒドロキシアニソー
ル(“BHA”)、L−アスコルベート(ビタミンC)、ビタミンE、薬草ローズマリー
、セージエキス、グルタチオン、レスベラトール、エトキシキン、ロスマノール(rosmano
l)、イソロスマノール(isorosmanol)、ロスマリジフェノール(rosmaridiphenol)、没食子
酸プロピル、没食子酸、コーヒー酸、p−クメル酸(p-coumeric acid)、p−ヒドロキシ
安息香酸、アスタキサンチン、フェルラ酸(ferulic acid)、デヒドロジンゲロン(dehydro
zingerone)、クロロゲン酸、エラグ酸(ellagic acid)、プロピルパラベン、シナピン酸、
ダイジン(daidzin)、グリシチン、ゲニスチン、ダイゼイン(daidzein)、グリシテイン、
ゲニステイン、イソフラボン類、tert−ブチルヒドロキノン、ジ(ステアリル)ペン
タエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホ
スファイト、チオジプロピオン酸ジラウリル、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、オクタデシル−3,5,ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシシンナメート、テトラキス−メチレン−3−(3’,5’−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート メタン 2,5−ジ−te
rt−ブチルヒドロキノン、イオノール、ピロガロール、レチノール、オクタデシル−3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、グルタ
チオン、リポ酸、メラトニン、トコフェロール類、トコトリエノール類、チオール類、ベ
ータ−カロテン、レチノイン酸、クリプトキサンチン、2,6−ジ−tert−ブチルフ
ェノール、没食子酸プロピル、カテキン、没食子酸カテキン、ケルセチン、およびその誘
導体。
[026] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬
、抗酸化剤および添加剤を含み、添加剤は下記のものから選択される:p−イソノニルフ
ェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、Tween 20、Tween 21、
Tween 40、Tween 60、Tween 61、Tween 80、Twee
n 81、Tween 85、PEGオレエート、PEGステアレート、PEG−15
12−ヒドロキシステアレート(Solutol HS 15)、Cremophor
ELおよびELP、Cremophor RH40、ポリエステル−PEGブロックコポ
リマー、PLLA−PEG、PEG−PLLA−PEG、PEG−PPG、PEG−PP
G−PEG、ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、Soluplus、ポリビニ
ルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、PE
Gグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート
、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート
、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6
オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート
、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセ
リル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモ
ノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、P
EGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、L
aneth−5、Laneth−10、Laneth−15、Laneth−20、La
neth−25、Laneth−40)、Laureth−5、laureth−10、
Laureth−15、laureth−20、Laureth−25、laureth
−40、Oleth−2、Oleth−5、Oleth−10、Oleth−12、Ol
eth−16、Oleth−20、およびOleth−25、Steareth−2、S
teareth−7、Steareth−8、Steareth−10、Stearet
h−16、Steareth−20、Steareth−25、Steareth−80
、Ceteth−5、Ceteth−10、Ceteth−15、Ceteth−20、
Ceteth−25、Ceteth−30、Ceteth−40、PEG−3 オレイル
エーテル(Volpo 3)およびPEG−4 ラウリルエーテル(Brij 30)、
ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、
セトステアリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウ
ム、硫酸化ひまし油、コレステリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ミリ
スチル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、中鎖−分岐または非分岐アルキルスル
フェート類、ドクセートナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルス
ルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン
酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デ
シル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシ
ル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N
−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D
−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチル
グルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド(n-noyl-β-D-glucopyranoside)、
オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オク
チル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン
、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、お
よびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カル
ボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マ
レイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチア
ミン(acetiamine)、ベンフォチアミン(benfotiamine)、パントテン酸;セトチアミン(cet
otiamine);シコチアミン(cycothiamine)、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニ
コチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン
、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナ
トリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6
、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リ
ゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビト
ロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼト
ニウム、ドセシル(docecyl)トリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム
類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウム
のジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸
およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミ
ン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸(glucomic acid)
、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラク
トン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラ
クトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸
、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチ
シン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸(sinapic acid)、バニリン酸、バニ
リン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキス
トリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブ
プロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、
チレタミン(tiletamine)、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸
および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガ
ラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチ
レングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴ
マー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレ
ングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール
)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマ
ー、可溶性ポビドン、分子量4000未満の可溶性ポリビニルピロリドン、Kollid
on 12 PF、Kollidon 17 PF、尿素、ビウレット、アセトアミド、
乳酸アミド、アミノ酸アミド、アセトアミノフェン、尿酸、ポリウレア、ウレタン、尿素
誘導体、ナイアシンアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
スルファセタミドナトリウム、ベルセタミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン
酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルステアルアミ
ド)、コカミドMEA、コカミドDEA、アルギニン、ならびにその誘導体および組合せ
[027] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および1種類
以上の添加剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その
際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分
、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの
少なくとも1つであり、その際、1種類以上の添加剤のうちの1つは液体添加剤である。
[028] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および少なく
とも1種類の添加剤を含み、その少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加
剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親
和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびフ
ァンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも
1つであり、その際、第1添加剤は第2添加剤より親和性である。
[029] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および少なく
とも1種類の添加剤を含み、その少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加
剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親
和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびフ
ァンデルワールス力相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくと
も1つであり、その際、第1添加剤のHLB値は第2添加剤のものより高い。
[030] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および少なく
とも1種類の添加剤を含み、その際、その少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および
第2添加剤を含み、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親
和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびフ
ァンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも
1つであり、その際、第1添加剤のLog Pは第2添加剤のものより低い。
[031] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および少なく
とも1種類の添加剤を含み、その際、その少なくとも1種類の添加剤は少なくとも1つの
エステル基をもつ少なくとも1種類の化学化合物を含む。有機酸とアルコール類の生成物
はエステル基をもつ化学化合物の例である。エステル基をもつ化学化合物は、ポリマー材
料の可塑剤としてしばしば用いられる。少なくとも1つのエステル基をもつ化学化合物に
は、セベート類、アジペート類、グルタレート類、およびフタレート類が含まれる。これ
らの化学化合物の例は、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ヘキシ
ル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、
アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、クエン酸トリエチル
、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン
酸ブチリルトリヘキシル、およびクエン酸トリメチルである。
[032] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および少なく
とも1種類の添加剤を含み、その少なくとも1種類の添加剤は少なくとも1つのアミド基
をもつ少なくとも1種類の化学化合物を含む。特定の態様において、少なくとも1つのア
ミド基をもつ化学化合物はコーティング配合物に重要である。尿素は少なくとも1つのア
ミド基をもつ化学化合物の例である。少なくとも1つのアミド基をもつ化学化合物の他の
例には、ビウレット、アセトアミド、乳酸アミド、アミノ酸アミド、アセトアミノフェン
、尿酸、ポリウレア、ウレタン、尿素誘導体、ナイアシンアミド、N−メチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルファセタミドナトリウム、ベルセタミド、ラウ
リン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチルステアルアミド)、コカミドMEA、コカミドDEA、アルギニ
ン、および他の有機酸アミド類、ならびにその誘導体が含まれる。少なくとも1つのアミ
ド基をもつある化学化合物は、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、酸またはエ
ステル部分をも含む。
[033] 少なくとも1つのアミド基をもつ化学化合物のひとつは、可溶性の低分子量ポ
ビドンである。ポビドンの若干例には、Kollidon 12 PF、Kollido
n 17 PF、Kollidon 17、Kollidon 25、およびKolli
don 30が含まれる。Kollidon製品には、可溶性および不溶性グレードの種
々の分子量および粒度のポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマ
ー、ならびにポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンのブレンドが含まれる。同族製品は
、ポビドン、クロスポビドン(Crospovidone)およびコポビドン(Copovidone)という名称を
もつ。低分子量の可溶性ポビドン類およびコポビドン類は本発明の態様において重要な添
加剤である:たとえば、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF
、およびKollidon 17。固体ポビドンは医療用具上のコーティングの統合性を
維持することができる。低分子量ポビドンは罹患組織内へ吸収または透過することができ
る。ポビドンの好ましい分子量範囲は、54,000未満、11,000未満、7,00
0、および4000未満である。ポビドン類は水不溶性療法薬を可溶化することができる
。ポビドン類およびコポビドン類は、それらの特性(固体、低分子量、および組織吸収/
透過性)のため、本発明の態様に特に有用である。ポビドン類は本発明の態様の他の添加
剤と組み合わせて使用できる。1態様において、ポビドンおよび非イオン性界面活性剤(
たとえば、PEG−15 12−ヒドロキシステアレート(Solutol HS 15
)、Tween 20、Tween 80、Cremophor RH40、Cremo
phor ELおよびELP)をパクリタキセルもしくはラパマイシンまたはそれらの類
似体と共に、医療用具、たとえばバルーンカテーテルのためのコーティングとして配合す
ることができる。
[034] 1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層は療法薬および添加剤
を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性
部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファン
デルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つ
であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、
その際、化学化合物は4つより多いヒドロキシル基をもつ。1態様において、4つより多
いヒドロキシル基をもつ化学化合物は120℃以下の融点をもち、その化学化合物はアル
コール類またはエステル類である。
[035] 1態様において、医療用具の外面を覆う層は本質的に療法薬および添加剤から
なる。1態様において、医療用具の外面を覆う層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しな
い。1態様において、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボ
キシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、化学化合物はアミノアル
コール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、酸無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロ
キシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキ
シド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロー
ル、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビ
タミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、およびそれらの置換された分子から選択
される。他の態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の
界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類
、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、
PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エス
テル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。
[036] 他の態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬および添加
剤を含み、添加剤は界面活性剤である。他の態様において、界面活性剤はイオン性、非イ
オン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂
肪酸エステル類、エーテル類、アミド類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エス
テル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソル
ビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導
体から選択される。
[037] 他の態様において、添加剤は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カ
ルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物である。1態様において、1
以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基
をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル類、アミ
ド類、エーテル類、酸無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシ
ルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、
アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフ
ェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコール
と有機酸の組合せ、およびそれらの置換された分子から選択される。
[038] 他の態様において、添加剤は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カ
ルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ、分子量5,000〜10,000未満
、好ましくは1000〜5,000未満、より好ましくは750〜1,000未満、また
は最も好ましくは750未満の親水性化学化合物である。添加剤の分子量は、送達される
薬物のものより低いことが好ましい。小分子は速やかに拡散でき、それらは送達バルーン
の表面から容易に遊離して、それらと共に薬物を運ぶ。それらは薬物が組織に結合すると
薬物から速やかに拡散分離する。ただし、添加剤の分子量は低すぎてはならない;80未
満の分子量をもつ添加剤は蒸発しやすく、安定なコーティング成分ではないので、望まし
くない。添加剤が低い分子量をもつけれども揮発性ではなく(たとえば、ペーストまたは
固体)、容易には蒸発または反応しないならば、添加剤の分子量は80未満、50未満、
および20未満であってもよい。他の態様において、添加剤は界面活性剤と1以上のヒド
ロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学
化合物との組合せである。他の態様において、添加剤はアミノアルコールと有機酸の組合
せである;この組合せは、他の場合には酸またはアミンとパクリタキセルのような薬物と
の反応性のため生じる可能性のある不安定さを防ぐので有利である。他の態様において、
添加剤はヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシル酸、ヒドロキシルエ
ステル、またはヒドロキシルアミドである。他の態様において、添加剤はグルコノラクト
ンまたはそのリボン酸ラクトンである。さらに他の態様において、添加剤はメグルミン/
乳酸、メグルミン/ゲンチシン酸、メグルミン/酢酸、ラクトビオン酸、Tween 2
0/ソルビトール、Tween 20/ラクトビオン酸、Tween 20/糖または糖
誘導体およびN−オクタノイル N−メチルグルカミンから選択される。他の態様におい
て、添加剤はビタミンまたはその誘導体である。他の態様において、添加剤はアミノ酸ま
たはその誘導体である。他の態様において、添加剤はタンパク質またはその誘導体である
。他の態様において、添加剤はアルブミンである。他の態様において、添加剤は水性溶剤
に可溶性であり、かつ有機溶剤に可溶性である。他の態様において、添加剤は有機酸また
はその無水物である。さらに他の態様において、添加剤はオレイン酸ソルビタンおよびソ
ルビタン脂肪酸エステルから選択される。
[039] 他の態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬および添加
剤を含み、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は20から750までの分子
量をもつ化学化合物である。
[040] 1態様において、医療用具の外面を覆う層は油、脂質、またはポリマーを含有
しない。他の態様において、医療用具の外面を覆う層は油を含有しない。他の態様におい
て、医療用具の外面を覆う層はポリマーを含有しない。他の態様において、医療用具の外
面を覆う層は純疎水性の添加剤を含有しない。1態様において、添加剤は療法薬ではない
。他の態様において、添加剤はサリチル酸またはその塩類ではない。
[041] 他の態様において、医療用具の表面を覆うコーティング層は療法薬および添加
剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和
性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファ
ンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1
つであり、その際、添加剤は下記のものから選択される:p−イソノニルフェノキシポリ
グリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリ
セリルラウレート、Tween 20、Tween 40、Tween 60、PEGグ
リセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリ
グリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポ
リグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6
ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレー
ト、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグ
リセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモ
ノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PE
Gオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、オクトキシノール、モノキシノール、
チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル
−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D
−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D
−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピ
ラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラ
ノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、
オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オク
チル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン
、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、お
よびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カル
ボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マ
レイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチア
ミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノ
ール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニ
コチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオ
ール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、
ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼ
イン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン
、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベン
ザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシ
ル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコ
ハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グル
コアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノール
アミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸
、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラク
トン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラ
クトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸
、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチ
シン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパ
ラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−
ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レ
チノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケ
タミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポ
リグリシドール、グリセロール類、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレ
ングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ
(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリ
コール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、ならびに
ペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ならびに
その誘導体および組合せ。
[042] 1態様において、療法薬はパクリタキセルおよびその類似体、ラパマイシンお
よびその類似体、ベータ−ラパコン(beta-lapachone)およびその類似体、生体ビタミンD
およびその類似体、ならびにこれらの療法薬の混合物のうちの1つである。他の態様にお
いて、療法薬は第2療法薬との組合せであり、その際、療法薬はパクリタキセル、ラパマ
イシン、およびその類似体のうちの1つであり、第2療法薬はベータ−ラパコン、生体ビ
タミンDおよびそれらの類似体のうちの1つである。
[043] 1態様において、医療用具の外面を覆う層を含む医療用具は、医療用具の外面
とこの層の間にさらに接着層を含む。他の態様において、医療用具は、体内を組織へ移動
する際の薬物の損失を少なくするために、さらに層の表面を覆う最上層を含む。他の態様
において、医療用具の外面を覆う層の表面を覆う最上層は、医療用具の外面を覆う層中の
添加剤より親水性の低い添加剤を含み、最上層の添加剤は下記のものから選択される:p
−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、Tween 20、Tw
een 40、Tween 60、PEGオレエート、PEGステアレート、PEGグリ
セリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリ
グリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリ
グリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレ
エート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリ
グリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−
10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウ
レート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソ
ルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、オクトキ
シノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリ
ン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラ
ノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノ
シド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−
ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘ
キシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−
β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−
D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン
、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパ
ラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸
、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミ
ン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸
、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シ
コチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5
−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミ
ン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタ
ミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミ
ン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類
、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲ
ン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルア
ンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウ
ムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン
酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グ
ルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラ
クトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マン
ノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベ
ンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、
リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニ
リン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、
シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノ
フェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子
酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸
および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガ
ラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチ
レングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴ
マー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレ
ングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール
)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマ
ー、ならびにその誘導体および組合せ。
[044] 他の態様において、医療用具はさらにジメチルスルホキシド溶剤層を含み、そ
の際、ジメチルスルホキシド溶剤層は前記層の表面を覆う。
[045] 医療用具の1態様において、医療用具は約0.1〜2分で療法薬および添加剤
を放出して療法薬を組織へ送達することができる。1態様において、層中の療法薬の濃度
は1から20μg/mmまでである。1態様において、層中の療法薬の濃度は2から1
0μg/mmまでである。1態様において、療法薬は水溶性ではない。
[046] 1態様において、添加剤は療法薬がバルーンから放出されるのを促進する。他
の態様において、添加剤は組織への療法薬の浸透および吸収を促進する。他の態様におい
て、添加剤は少なくとも1mg/mlの水およびエタノール溶解度をもち、療法薬は水溶
性ではない。
[047] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆う層は療法薬および少なく
とも2種類の添加剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み
、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有す
る部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分の
うちの少なくとも1つであり、その際、各添加剤は極性有機溶剤に可溶性であり、かつ水
に可溶性である。この態様の1観点において、極性有機溶剤はメタノール、エタノール、
イソプロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチ
ルケトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、酢酸エチル、およびクロロホルム、
ならびにこれらの極性有機溶剤と水の混合物から選択される。この態様の他の観点におい
て、医療用具は、体内を標的組織へ移動する際の損失を少なくするために、さらに医療用
具の外面を覆う層の表面を覆う最上層を含む。
[048] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆う層は療法薬および添加剤
を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性
部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファン
デルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つ
であり、その際、添加剤は療法薬の結晶サイズおよび粒子数を低下させ、その際、添加剤
は水溶性であり、療法薬は水溶性ではない。
[049] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆う層は療法薬および添加剤
を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性
部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファン
デルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つ
であり、その際、添加剤は酸、エステル、エーテルまたはアルコールの脂肪族鎖をもち、
その際、この脂肪族鎖は組織の脂質膜構造内へ直接挿入でき、その際、療法薬は水溶性で
はない。
[050] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆う層は療法薬および添加剤
を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、添加剤は組
織の脂質膜構造内へ透過してそれを再配列することができ、その際、療法薬は水溶性では
なく、ミセルに内包されておらず、またはポリマー粒子に封入されていない。
[051] 医療用具の他の態様において、医療用具の外面を覆う層は療法薬および添加剤
を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、添加剤は酸
、エステル、エーテルまたはアルコールの脂肪族鎖をもち、その際、この脂肪族鎖は組織
の脂質膜構造内へ直接挿入でき、その際、添加剤は水素結合および/またはファンデルワ
ールス相互作用により薬物に対する親和性を有する1以上の官能基をもち(官能基には、
ヒドロキシル、エステル、アミド、カルボン酸、第一級、第二級および第三級アミン、カ
ルボニル、酸無水物、オキシド、およびアミノアルコールが含まれる)、その際、療法薬
は水溶性ではなく、ミセルに内包されておらず、またはポリマー粒子に封入されておらず
、その際、層はポリマーを含有せず、層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。
[052] さらに他の態様において、本発明は、療法薬を組織へ送達するためのステント
コーティングであって、ステントの表面を覆う層を含むステントコーティングに関する。
この態様の1観点において、ステントの表面を覆う層は療法薬、添加剤、およびポリマー
マトリックスを含み、その際、療法薬は粒子としてポリマーマトリックス中に分散してい
るが、封入されてはおらず、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、
その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する
部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のう
ちの少なくとも1つである。この態様の1観点において、添加剤は療法薬とポリマーマト
リックスの相溶性を向上させ、添加剤は療法薬の粒度を低下させてポリマーマトリックス
中における分布の均一性を向上させ、添加剤はポリマーマトリックスからの薬物の迅速な
放出を促進する。
[053] さらに他の態様において、本発明は、薬物を組織へ送達するための、ある混合
物から作成した医療用具コーティングに関する。この態様の1観点において、コーティン
グは、内部に分散した薬物粒子を含有する有機相と水溶性添加剤を含有する水相を含む混
合物から作成される。この態様の1観点において、水溶性添加剤はポリエチレングリコー
ル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノン、ポリペプチド類、水溶性界面活性
剤、水溶性ビタミン類、およびタンパク質から選択される。この態様の他の観点において
、混合物の調製は高剪断条件下での、また場合によっては加圧下でのホモジナイゼーショ
ンを含む。
[054] 他の態様において、本発明は療法薬を血管へ送達するためのバルーンカテーテ
ルであって、バルーンの外面を覆うコーティング層を含むカテーテルに関する。バルーン
カテーテルの1態様において、コーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添
加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分
、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作
用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添
加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも
1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもつ。
[055] バルーンカテーテルの他の態様において、コーティング層は療法薬および添加
剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和
性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファ
ンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1
つであり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり
、その際、化学化合物は4つより多いヒドロキシル基をもつ。この態様の1観点において
、4つより多いヒドロキシル基をもつ化学化合物は120℃以下の融点をもち、化学化合
物はアルコール類またはエステル類である。
[056] バルーンカテーテルの1態様において、医療用具の外面を覆うコーティング層
は本質的に療法薬および添加剤からなる。他の態様において、医療用具の外面を覆う層は
ヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。
[057] 1態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の
界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類
、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、
PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エス
テル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。1態様において、化
学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまた
はエステル基をもつ。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カ
ルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒ
ドロキシルカルボン酸、エステル、および無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラ
クトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エ
チルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリ
アルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類
、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選択される
[058] バルーンカテーテルの1態様において、バルーンの外面を覆うコーティング層
は純疎水性の添加剤を含有しない。他の態様において、バルーンの表面を覆うコーティン
グ層はヨウ素化された造影剤を含有しない。他の態様において、添加剤は療法薬ではない
。他の態様において、添加剤はサリチル酸またはその塩類ではない。他の態様において、
バルーンの表面を覆うコーティング層は油、脂質、またはポリマーを含有しない。さらに
他の態様において、バルーンの表面を覆うコーティング層は油を含有しない。この態様の
他の観点において、コーティング層はポリマーを含有しない。
[059] バルーンカテーテルの1態様において、療法薬および添加剤を含むコーティン
グ層中の添加剤は、下記のものから選択される:p−イソノニルフェノキシポリグリシド
ール、PEGラウレート、Tween 20、Tween 40、Tween 60、P
EGオレエート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリル
オレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリ
ルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセ
リル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリス
テート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリ
グリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル
−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレ
ート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイ
ルエーテル、PEGラウライルエーテル、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサ
ポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メ
チルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルト
ピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルト
シド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド
、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、
ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノ
イル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β
−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロ
イシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチ
オニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、
ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸
および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベ
ンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナ
イアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンア
ミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重
亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミン
K6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、
ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブ
ロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニ
ウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナ
トリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナ
トリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコ
ルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、
メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロ
キシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グ
ルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、
ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロ
キシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、
ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、
プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキ
シプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン
酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、
プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシ
ドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコー
ル)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレン
グリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、
トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロ
ピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコー
ルとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ
[060] 1態様において、療法薬はパクリタキセルおよびその類似体、ラパマイシンお
よびその類似体、ベータ−ラパコンおよびその類似体、生体ビタミンDおよびその類似体
、ならびにこれらの療法薬の混合物のうちの1つである。他の態様において、療法薬は第
2療法薬との組合せであり、その際、療法薬はパクリタキセル、ラパマイシン、およびそ
の類似体のうちの1つであり、第2療法薬はベータ−ラパコン、生体ビタミンDおよびそ
れらの類似体のうちの1つである。1態様において、療法薬は水溶性ではない。
[061] 1態様において、添加剤は有機溶剤および水に可溶性である。他の態様におい
て、添加剤は血管の組織への療法薬の浸透および吸収を促進する。他の態様において、療
法薬は水溶性ではない。他の態様において、添加剤は少なくとも1mg/mlの水および
エタノール溶解度をもち、療法薬は水溶性ではない。
[062] バルーンカテーテルの1態様において、カテーテルはバルーンの外面とコーテ
ィング層の間にさらに接着層を含む。他の態様において、カテーテルはさらにコーティン
グ層の表面を覆う最上層を含み、この最上層は体内を血管へ移動する際の療法薬の損失を
少なくする。最上層は、本明細書に記載する発明の態様に従った添加剤から選択される添
加剤を含む。最上層は、療法介入のために体内を標的部位の体腔へ移動する際に徐々に溶
解するであろう。この最上層は、移動中の薬物損失を減らし、本発明の態様の医療用具を
内腔組織と圧迫接触させる際に組織が利用できる薬物を増加させるであろう。1態様にお
いて、最上層中の添加剤はコーティング層中の添加剤より親水性が低い。他の態様におい
て、カテーテルはさらにジメチルスルホキシド溶剤層を含み、その際、ジメチルスルホキ
シド溶剤層はコーティング層の表面を覆う。
[063] 1態様において、バルーンカテーテルは約0.1〜2分で療法薬および添加剤
を放出して療法薬を血管へ送達することができる。
[064] バルーンカテーテルの1態様において、コーティング層中の療法薬の濃度は1
から20μg/mmまでである。他の態様において、コーティング層中の療法薬の濃度
は2から10μg/mmまでである。
[065] さらに他の態様において、本発明は療法薬を血管へ送達するためのバルーンカ
テーテルに関する。この態様の1観点において、カテーテルは、内腔および遠位末端を備
えた細長い部材(elongate member)、この細長い部材の遠位末端に接続してその内腔と流
体連絡した膨張可能なバルーン、ならびにバルーンの外面を覆うコーティング層を含む。
この態様の1観点において、バルーンの表面を覆うコーティング層は療法薬および添加剤
を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性
部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファン
デルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つ
であり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物
のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をも
ち、その際、カテーテルは約2分未満で療法薬および添加剤を放出して療法薬を血管の組
織へ送達することができる。この態様の1観点において、層はヨウ素化された造影剤を含
有しない。
[066] 1態様において、バルーンカテーテルはさらにコーティング層を覆うジメチル
スルホキシド溶剤層を含み、その際、ジメチルスルホキシド溶剤層は療法薬が血管内へ浸
透する能力を増強する。他の態様において、バルーンカテーテルはバルーンの外面とコー
ティング層の間にさらに接着層を含む。さらに他の態様において、カテーテルはさらにコ
ーティング層を覆う最上層を含み、この最上層は療法介入のために血管内を標的部位へ移
動する際のコーティングの統合性を維持する。
[067] 1態様において、コーティング層中の療法薬の濃度は2.5から6μg/mm
までである。1態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族、および芳
香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エー
テル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステ
ル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪
酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。1態様におい
て、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミ
ドまたはエステル基をもつ。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニ
ル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、アミノアルコール
類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および酸無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロ
キシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキ
シド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロー
ル、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビ
タミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選
択される。1態様において、化学化合物は4つより多いヒドロキシル基をもち、120℃
以下の融点をもち、化学化合物はアルコール類またはエステル類である。
[068] バルーンカテーテルの1態様において、添加剤は下記のものから選択される:
p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、P
EGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEG
グリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリ
グリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレー
ト、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセ
リル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10
オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテー
ト PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビ
タンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEG
ラウライルエーテル、Tween 20、Tween 40、Tween 60、オクト
キシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウ
リン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピ
ラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラ
ノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n
−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−
ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル
−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β
−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシ
ン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アス
パラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン
酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジア
ミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール
酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;
シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール
5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チア
ミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビ
タミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブ
ミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン
類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノー
ゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチル
アンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニ
ウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビ
ン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、
グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノ
ラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マ
ンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、
ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル
、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バ
ニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール
、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミ
ノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食
子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機
酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、
ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エ
チレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリ
ゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピ
レングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコー
ル)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリ
マー、ならびにその誘導体および組合せ。
[069] さらに他の態様において、本発明は療法薬および添加剤を含む医薬組成物に関
するものであり、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬
物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およ
びファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なく
とも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化
学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分
子量をもつ。この態様の1観点において、医薬組成物はヨウ素共有結合した造影剤または
ポリマーを含有せず、その際、療法薬はミセルまたは粒子に封入されていない。
[070] 1態様において、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、
カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、1以上のヒドロキ
シル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合
物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および酸無水物、ヒド
ロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖ス
ルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、
ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸
、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれら
の置換された分子から選択される。1態様において、化学化合物は4つより多いヒドロキ
シル基をもち、120℃以下の融点をもち、化学化合物はアルコール類またはエステル類
である。1態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界
面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類、
およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、P
EGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステ
ル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。
[071] 医薬組成物の1態様において、添加剤は下記のものから選択される:p−イソ
ノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、PEGステ
アレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリ
ルステアレート、ポリグリセリルラウレート、Tween 20、Tween 40、T
ween 60、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセ
リルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート
、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセ
リル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10
ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート
、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタ
ンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、オクトキシノー
ル、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸ス
クロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド
、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、
n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチ
ル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル
−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D
−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グ
ルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリ
プトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン
酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−
ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢
酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水
グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチア
ミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン
酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉
酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB
12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免
疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−
2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、
リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニ
ウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロ
リド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およ
びそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノール
アミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘ
プトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン
、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸
ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジル
アルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジン
アセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸
、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロ
デキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン
、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテ
キン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および
有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチ
トール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレング
リコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、
ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリ
コール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリ
ゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、な
らびにその誘導体および組合せ。
[072] さらに他の態様において、本発明は、外科処置または介入処置後の罹患した体
腔または空洞を処置するための方法であって、医薬組成物を外科処置部位へカテーテルに
よる注入または噴霧によって送達することを含む方法に関するものであり、その際、組成
物は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含
み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有
する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分
のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの
少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもつ。1態
様において、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、
酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、添加剤は水溶性であり、組成物は
ヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。
[073] 1態様において、界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の
界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類
、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、
PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エス
テル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択される。1態様において、1
以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基
をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および
無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフ
ェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、
タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェー
ト類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、な
らびにそれらの置換された分子から選択される。
[074] さらに他の態様において、本発明は、卵巣、胸部、肺、食道、頭頸部、膀胱、
前立腺、脳、肝臓、結腸の癌を含めた癌およびリンパ腫を処置するための医薬組成物に関
するものであり、その際、組成物は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性
部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合に
より療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法
薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、療法薬はミセル
に内包されておらず、またはポリマー粒子に封入されておらず、その際、組成物はヨウ素
共有結合した造影剤を含有しない。この態様の1観点において、療法薬はパクリタキセル
およびその類似体ならびにラパマイシンおよびその類似体から選択される。
[075] さらに他の態様において、本発明は医療用具をコーティングするための溶液に
関する。この態様の1観点において、溶液は有機溶剤、療法薬および添加剤を含み、その
際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水
性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス
相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その
際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少な
くとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもつ。他の態様
において、医療用具をコーティングするための溶液はヨウ素共有結合した造影剤、油、脂
質、またはポリマーを含有しない。
[076] 1態様において、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、
カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、1以上のヒドロキ
シル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合
物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および無水物、ヒドロ
キシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スル
フェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソ
ルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、
エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの
置換された分子から選択される。1態様において、界面活性剤は、イオン性、非イオン性
、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸の
エステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビ
タン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エ
ステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から選択され
る。1態様において、療法薬はパクリタキセルもしくはラパマイシンまたはその類似体で
ある。
[077] 他の態様において、コーティング溶液中の添加剤は下記のものから選択される
:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、
PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、Tween 20、tween 6
0、Tween 80、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、
ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、
ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6
オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、
ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリ
ル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノ
ラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PE
Gソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、オク
トキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラ
ウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコ
ピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピ
ラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、
n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n
−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイ
ル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−
β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロ
シン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、ア
スパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビ
ン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジ
アミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコー
ル酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン
;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール
5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チ
アミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、
ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アル
ブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビ
ン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノ
ーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチ
ルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモ
ニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコル
ビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類
、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコ
ノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、
マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸
、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピ
ル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、
バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトー
ル、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトア
ミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没
食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有
機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類
、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(
エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オ
リゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロ
ピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコ
ール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポ
リマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[078] さらに他の態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具で
あって、医療用具の外面に付与される第1層、および第1層を覆う第2層を含む医療用具
に関する。この態様の1観点において、第1層は療法薬を含み、第2層は添加剤を含み、
その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、
疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワー
ルス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つである。
この態様の1観点において、第1層はさらに添加剤を含み、その際、添加剤は水溶性であ
り、この層はヨウ素化された造影剤を含有しない。この態様の他の観点において、第2層
はさらに療法薬を含む。この態様のさらに他の観点において、第1層はさらに添加剤を含
み、かつ第2層はさらに療法薬を含む。
[079] さらに他の態様において、本発明は、療法薬を含む第1層および添加剤を含む
最上層を含む、2層コーティングに関する。この態様の1観点において、最上層は第1層
を覆っていてもよい。この態様の1観点において、第1層と最上層の両方において、添加
剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、
水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用
により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加
剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1
つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもつ。この態様の1観点
において、第1層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。この態様の他の観点におい
て、最上層はさらに療法薬を含む。
[080] さらに他の態様において、本発明は医療用具の作成方法に関する。この態様の
1観点において、この方法は下記を含む:(a)有機溶剤、療法薬および添加剤を含むコ
ーティング溶液を調製し、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、そ
の際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部
分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうち
の少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤
および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は80から750
までの分子量をもち、(b)このコーティング溶液を医療用具に付与し、そして(c)コ
ーティング溶液を乾燥させてコーティング層を形成する。この態様の1観点において、コ
ーティング層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。この態様の1観点において、医
療用具の外面の一部をコーティング溶液に浸漬することによりコーティング溶液を付与す
る。この態様の他の観点において、医療用具の外面の一部にコーティング溶液を吹き付け
ることによりコーティング溶液を付与する。この態様の他の観点において、コーティング
層中の療法有効量の療法薬が医療用具の表面に沈着するまで工程(b)および(c)を繰
り返す。この態様の他の観点において、コーティング層の全厚は約0.1から200ミク
ロンまでである。この態様のさらに他の観点において、この方法はさらに、工程(c)で
得られた乾燥コーティング層にジメチルスルホキシド溶剤を付与することを含む。
[081] さらに他の態様において、本発明は薬物コーティング付きバルーンカテーテル
の作成方法に関する。この態様の1観点において、この方法は下記を含む:(a)有機溶
剤、療法薬および添加剤を含むコーティング溶液を調製し、その際、添加剤は親水性部分
および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により
療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に
対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は界面活性剤
および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750
までの分子量をもち、(b)このコーティング溶液を膨張させたバルーンカテーテルに付
与し、そして(c)バルーンカテーテルを収縮させて折りたたみ、コーティング溶液を乾
燥させて、薬物コーティングの均一性を高める。
[082] さらに他の態様において、本発明は血管を処置する方法に関する。この態様の
1観点において、この方法は、コーティング層を含む医療用具を血管に挿入することを含
み、その際、コーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分
および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により
療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に
対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であ
り、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その
際、化学化合物は20から750までの分子量をもち、そして2分以下で療法薬および添
加剤を放出させて療法薬を血管の組織内へ送達する。この態様の1観点において、コーテ
ィング層はヨウ素共有結合した造影剤を含有しない。
[083] さらに他の態様において、本発明は体内管(body passage)の完全閉塞または狭
窄を処置する方法に関する。この態様の1観点において、この方法は、体内管からプラー
クを取り除き、コーティング層を含む医療用具を体内管に挿入することを含み、その際、
コーティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親
和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対す
る親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性
を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化
合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は80から750までの分子量
をもち、そして2分以下で療法薬および添加剤を放出させて療法薬を血管の組織内へ送達
する。
[084] さらに他の態様において、本発明は身体組織を処置する方法に関するものであ
って、コーティング層を含む医療用具を身体組織と接触させることを含み、その際、コー
ティング層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性
部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親
和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有
する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加
剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は
20から750までの分子量をもち、そして2分以下で療法薬および添加剤を放出させて
療法薬を血管の組織内へ送達する。この態様の1観点において、コーティング層はヨウ素
共有結合した造影剤を含有しない。この態様の1観点において、組織には冠脈管系、末梢
脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のう
ちの1つが含まれる。
[085] さらに他の態様において、本発明はバルーンカテーテルの作成方法に関する。
この態様の1観点において、この方法は、有機溶剤、療法薬および添加剤を含む溶液を調
製し、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部
分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデ
ルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つで
あり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物の
うちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は20から750までの分子量をもち
、この溶液をバルーンカテーテルに付与し、そして溶剤を蒸発させることを含む。1態様
において、コーティング層はヨウ素化された造影剤を含有しない。
[086] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に
関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はPEG脂肪酸エス
テル、PEG脂肪酸エーテル、およびPEG脂肪アルコールのうちの1つである。この態
様の1観点において、添加剤はPEG−8ラウレート、PEG−8オレエート、PEG−
8ステアレート、PEG−9オレエート、PEG−10ラウレート、PEG−10オレエ
ート、PEG−12ラウレート、PEG−12オレエート、PEG−15オレエート、P
EG−20ラウレート、PEG−20オレエート、PEG−20ジラウレート、PEG−
20ジオレエート、PEG−20ジステアレート、PEG−32ジラウレートおよびPE
G−32ジオレエートから選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系
、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳
管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーン
カテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテ
ル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバル
キングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、
ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[087] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に
関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はグリセロールおよ
びポリグリセロール脂肪酸エステルおよびPEGグリセロール脂肪酸エステルのうちの1
つである。この態様の1観点において、添加剤はポリグリセリルオレエート、ポリグリセ
リル−2 ジオレエート、ポリグリセリル−10 トリオレエート、ポリグリセリルステ
アレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパ
ルミテート、ポリグリセリルリノレエート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグ
リセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 モノ、ジオレエート、ポリグリセ
リル−10 ステアレート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10
ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート、ポリグリセリル−10 リノレ
エート、ポリグリセリル−6ステアレート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリ
セリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、およびポリグリセリル
−6 リノレエート、ポリグリセリルポリリシノレエート、PEG−20 グリセリルラ
ウレート、PEG−30 グリセリルラウレート、PEG−40 グリセリルラウレート
、PEG−20 グリセリルオレエート、およびPEG−30 グリセリルオレエートか
ら選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系
、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれ
る。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルー
ンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルー
ンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステ
ント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のう
ちの1つが含まれる。
[088] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に
関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はソルビタン脂肪酸
エステルおよびPEGソルビタンエステルのうちの1つである。この態様の1観点におい
て、添加剤はソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノ
オレエート、ソルビタンモノステアレート、PEG−20 ソルビタンモノラウレート、
PEG−20 ソルビタンモノパルミテート、PEG−20 ソルビタンモノオレエート
、およびPEG−20 ソルビタンモノステアレートから選択される。この態様の他の観
点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、
胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点に
おいて、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、
カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテ
ル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラ
フト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[089] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に
関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はフェノール部分を
含む化学化合物である。この態様の1観点において、添加剤はp−イソノニルフェノキシ
ポリグリシドール、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、オクトキシノ
ール−9、およびモノキシノール−9から選択される。この態様の他の観点において、組
織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前
立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用
具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバ
ルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム
切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステ
ント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[090] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に
関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、添加剤はモノラウリン酸スクロース
、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デ
シル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデ
シル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−
D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D
−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコ
ピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラ
ノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、D−グルコアスコルビン酸およびそ
の塩、トロメタミン、グルカミン、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン
、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン
酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン
酸、およびグルコサミンから選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管
系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および
脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルー
ンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテー
テル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバ
ルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ
、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[091] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に
関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はイオン性界面活性
剤である。この態様の1観点において、添加剤は塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニ
ウム、塩化セチルピリジニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫
酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化エドロホニウム
(edrophosphonium chloride)、臭化ドミフェン、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキル
エステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、およびタウロコ
ール酸ナトリウムから選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末
梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管の
うちの1つが含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテ
ーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、
スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキン
グカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイ
ヤー、および弁のうちの1つが含まれる。
[092] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に
関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はビタミンまたはビ
タミン誘導体である。この態様の1観点において、添加剤はアセチアミン、ベンフォチア
ミン、パントテン酸、セトチアミン、シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンア
ミド、ニコチン酸およびその塩類、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチ
ンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール
、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタ
ミンK6、ビタミンK6、ビタミンU、エルゴステロール、1−アルファ−ヒドロキシコ
レカルシフェロール、ビタミンD2、ビタミンD3、アルファ−カロテン、ベータ−カロ
テン、ガンマ−カロテン、ビタミンA、フルスルチアミン、メチロールリボフラビン、オ
クトチアミン、プロスルチアミン、リボフラビン、ビンチアモール、ジヒドロビタミンK
1、二酢酸メナジオール、二酪酸メナジオール、二硫酸メナジオール、メナジオール、ビ
タミンK1、ビタミンK1オキシド、ビタミン K2、およびビタミンK−−S(II)
から選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管
系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含ま
れる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バル
ーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバル
ーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ス
テント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁の
うちの1つが含まれる。
[093] さらに他の態様において、本発明は医療用具の外面を覆う層を含む医療用具に
関するものであり、層は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤はアミノ酸、アミノ
酸塩、またはアミノ酸誘導体である。この態様の1観点において、添加剤はアラニン、ア
ルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グ
リシン、ヒスチジン、プロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニ
ルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、およびその誘導
体から選択される。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈
管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含
まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バ
ルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバ
ルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、
ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁
のうちの1つが含まれる。
[094] さらに他の態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具に
関するものであり、医療用具は医療用具の外面を覆う層を含み、層は療法薬および添加剤
を含み、その際、添加剤はペプチド、オリゴペプチド、またはタンパク質である。この態
様の1観点において、添加剤はアルブミン類、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロ
ビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチ
ン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、およびリパーゼ類から選択される。この
態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、
気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つが含まれる。この態様のさら
に他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入
カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レー
ザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、
ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つが含まれる
[095] さらに他の態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具に
関するものであり、医療用具は医療用具の外面を覆う層を含み、層は療法薬および添加剤
を含み、その際、添加剤は界面活性剤と化学化合物の両方の組合せまたは混合物を含み、
その際、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、
アミドまたはエステル基をもつ。この態様の1観点において、界面活性剤はイオン性、非
イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3
脂肪酸のエステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類
、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン
脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにその誘導体から
選択される。この態様の他の観点において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル
、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、20から750まで
の分子量をもつ。この態様の他の観点において、化学化合物はアミノアルコール類、ヒド
ロキシルカルボン酸、エステル、および無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラク
トン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチ
ルグリコール類、アミノ酸、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート
類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機
酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選択される。この態様の他の観点にお
いて、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエ
ステル基をもつ化学化合物は、下記のものから選択される:酢酸および無水物、安息香酸
および無水物、ジエチレントリアミン五酢酸ジアンヒドリド、エチレンジアミン四酢酸ジ
アンヒドリド、マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、ジグリコール酸および
無水物、グルタル酸および無水物、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸
アスパラギン酸、ニコチン酸、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコ
ルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、
メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロ
キシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グ
ルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、
ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロ
キシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、
ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖ホスフェート類、リン
酸グルコピラノース、糖スルフェート類、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパ
ラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2−エトキシエタノール、シクロデキストリ
ン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロ
フェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレ
タミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、上記のいずれかの有機酸およびアミ
ンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、
ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール
)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロ
ピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)
、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、
ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにそ
の誘導体および組合せ。この態様の他の観点において、組織には冠脈管系、末梢脈管系、
脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つ
が含まれる。この態様のさらに他の観点において、医療用具にはバルーンカテーテル、潅
流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリン
グバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテ
ル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、およ
び弁のうちの1つが含まれる。
[096] 他の態様において、本発明は、哺乳動物に投与するための、パクリタキセルも
しくはラパマイシンまたはその誘導体、および界面活性剤と化学化合物の両方の組合せを
含む医薬配合物に関するものであり、その際、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミ
ノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ。1態様において、
界面活性剤はイオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エ
ステル、PEGオメガ−3脂肪酸のエステル類、エーテル類、およびアルコール類、グリ
セロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エス
テル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類
、ならびにその誘導体から選択される。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ
、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、20か
ら750までの分子量をもつ。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボ
ニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、アミノアルコー
ル類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、および無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロ
キシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキ
シド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、グルコース、スク
ロース、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類
、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならび
にそれらの置換された分子から選択される。1態様において、1以上のヒドロキシル、ア
ミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、下
記のものから選択される:L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン
酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグル
ミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシル
ケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオ
クタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクト
ビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安
息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクト
ビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピ
ルパラベン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチ
シン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類
、酢酸、リボン酸ラクトン、メグルミン/乳酸、メグルミン/ゲンチシン酸、メグルミン
/酢酸、ソルビトール、キシリトール、2−エトキシエタノール、糖類、ガラクトース、
グルコース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、シクロデ
キストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、いずれかの有機酸およ
び有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラク
チトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレン
グリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー
、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレング
リコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オ
リゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、
ならびにその誘導体および組合せ。
[097] 他の態様において、本発明は、哺乳動物に投与するための、パクリタキセルも
しくはラパマイシンまたはその誘導体、および1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニ
ル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物を含む、医薬配合物に
関するものであり、その際、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル
、酸、アミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、20から750までの分子量をもつ
。1態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、ア
ミドまたはエステル基をもつ化学化合物は、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン
、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラ
クトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、糖ホスフェート、糖スルフェート、カ
テキン、没食子酸カテキン、およびアミノアルコールと有機酸の組合せから選択される。
この態様の1観点において、アミノアルコールはトロメタミン、トリエタノールアミン、
ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、グルコサミン、リジン、およびその誘導
体から選択され;有機酸はグルコヘプトン酸、グルコム酸、グルタミン酸、安息香酸、ヒ
ドロキシ安息香酸、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、バニリン酸、乳酸類、酢酸、および
その誘導体から選択される。
[098] さらに他の態様において、本発明は、哺乳動物に投与するための、パクリタキ
セルもしくはラパマイシンまたはその誘導体、およびアミノアルコールと有機酸の組合せ
を含む、医薬配合物に関するものであり、その際、アミノアルコールはトロメタミン、ト
リエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、グルコサミン、リ
ジン、およびその誘導体から選択され;有機酸はグルコヘプトン酸、グルコム酸、グルタ
ミン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、バニリン酸、
乳酸類、酢酸、およびその誘導体から選択される。
[099] さらに他の態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具に
関するものであり、医療用具は医療用具の外面を覆う層を含み、層は療法薬および添加剤
を含み、その際、添加剤はヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクト
ン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン
酸ラクトン、リボン酸ラクトンおよびラクトビオン酸から選択される。
[0100] さらに他の態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具に
関するものであり、医療用具は医療用具の外面を覆う層を含み、層は療法薬および添加剤
を含み、その際、療法薬はパクリタキセルおよびその類似体またはラパマイシンおよびそ
の類似体であり、添加剤はソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールオリゴマー、ポリプロピレング
リコールオリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコ
ポリマーオリゴマー、キシリトール、2−エトキシエタノール、糖類、ガラクトース、グ
ルコース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、Tween
20、Tween 40、Tween 60、およびそれらの誘導体から選択され、そ
の際、薬物と添加剤の重量比は0.5から3までであり、その際、療法薬と添加剤は同時
に放出される。
[0101] 本発明の多数の態様は、脈管疾患の処置、ならびに狭窄および遅発性内腔喪失
の軽減に特に有用であり、あるいはその目的のための用具の作成に有用である。
[0102] 以上の全般的記載および以下の詳細な記載は例示および説明にすぎず、特許請
求の範囲に記載する本発明を限定するものではないと解釈される。
[0103] 図1は、本発明によるバルーンカテーテルの例示態様の透視図である。 [0104] 図2A〜2Cは、図1のバルーンカテーテルの異なる態様の遠位部分を線A−Aに沿って得た断面図であり、コーティング層の例を示す。
[0105] 本発明の態様は、迅速放出コーティングをもつ、特にバルーンカテーテルおよ
びステントを含めた医療用具、およびそのようなコーティング付き用具を作成するための
方法に関する。本発明の態様による療法薬は遅延放出または長期放出を必要とするのでは
なく、好ましくは組織と接触した際にごく短期間で療法薬および添加剤を放出して療法効
果をもたらす。本発明の目的は、用具を一時的に標的部位に配置している間に薬物が迅速
かつ効果的に標的組織により取り込まれるのを容易にすることである。
[0106] 図1に示すように、1態様において、医療用具はバルーンカテーテルである。
バルーンカテーテルは、希望する用途に適切ないずれかのカテーテルであってよく、当業
者に既知の一般的バルーンカテーテルが含まれる。たとえば、バルーンカテーテル10は
、カテーテル10の遠位末端の可膨張(expandable、inflatable)バルーン12、カテーテ
ル10の近位末端のハンドルアセンブリー16、および近位末端と遠位末端の間に延びた
細長い可撓性部材14を含むことができる。ハンドルアセンブリー16は1以上の適切な
医療用具、たとえば膨張媒体(たとえば、空気、生理食塩水、または造影剤)の供給源に
接続し、および/またはそれを受容することができる。可撓性部材14は、適切な生体適
合性材料から作製された、内部に1以上の管腔をもつチューブであってもよい。少なくと
も1つの管腔は、膨張媒体を受容してその媒体をバルーン12の膨張のためにそこへ送る
ように構築される。バルーンカテーテルは迅速交換型またはオーバー・ザ・ワイヤー(ove
r-the-wire)型カテーテルであってもよく、いずれか適切な材料で作製される。
[0107] 1態様において、本発明は療法薬を組織へ送達するための医療用具を提供する
。この医療用具は、たとえばバルーンカテーテルまたはステントなどの医療用具の外面に
付与された層を含む。この層は療法薬および添加剤を含有する。たとえば、図2Aに記載
する態様に示すように、バルーン12は療法薬および添加剤を含有する層20でコーティ
ングされている。ある態様において、この層は本質的に療法薬および添加剤からなり、す
なわちこの層は本質的に療法薬および添加剤のみを含有し、有意の他のいずれの材料成分
も含まない。ある態様において、医療用具は接着層を含んでもよい。たとえば、図2Bに
記載する態様に示すように、バルーン12は接着層22でコーティングされている。療法
薬および添加剤を含有する層24がこの接着層を覆っている。薬物コーティング層の下に
ある別個の層である接着層は、医療用具の外面への薬物コーティング層の接着性を向上さ
せ、かつコーティング統合性を保護する。たとえば、医療用具に対する薬物と添加剤の付
着性が異なる場合、接着層は、療法介入のための標的部位へ移動する際の成分の損失差を
防いでコーティング中の薬物−対−添加剤の比率を維持することができる。さらに、接着
層は、標的部位の組織と接触した時点でコーティング層成分が医療用具の表面から離れて
迅速に放出されるのを容易にする機能を果たすことができる。他の態様において、医療用
具は最上層を含むことができる。最上層は、薬物層が標的組織と接触する前の、たとえば
バルーン12が療法介入部位へ移動する際の、またはバルーン12の最初の膨張の瞬間に
コーティング層20が標的組織に押し付けられて直接接触する前の、薬物層の損失を少な
くすることができる。
[0108] 1態様において、医療用具の表面に付与された少なくとも1種類の療法薬の濃
度密度は、約1から20μg/mmまで、またはより好ましくは約2から6μg/mm
までである。添加剤に対する療法薬の重量比は、約0.5から100まで、たとえば約
0.1から5まで、0.5から3まで、さらにたとえば約0.8から1.2までである。
添加剤に対する療法薬の比率(重量)が低すぎると薬物は早期に放出される可能性があり
、この比率が高すぎると薬物は標的部位に配置した際に十分に速やかには溶出しないかま
たは組織に吸収されない可能性がある。
[0109] 他の態様において、層は療法薬および添加剤を含み、その際、療法薬はパクリ
タキセルおよびその類似体またはラパマイシンおよびその類似体であり、添加剤はソルビ
トール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、
キシリトール、2−エトキシエタノール、糖類、ガラクトース、グルコース、マンノース
、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、Tween 20、Tween
40、Tween 60、およびそれらの誘導体から選択され、その際、添加剤に対する
療法薬の重量比は0.5から3までである。添加剤に対する療法薬の比率(重量)が0.
5未満であると薬物は早期に放出される可能性があり、この比率が3を超えると薬物は標
的部位に配置した際に十分に速やかには溶出しないかまたは組織に吸収されない可能性が
ある。他の態様において、層は療法薬および1種類より多い添加剤を含んでもよい。たと
えば、1種類の添加剤は、薬物放出または組織の薬物取込みの促進において優れた他の添
加剤(単数または複数)がバルーンに接着するのを向上させる作用をすることができる。
[0110] 現在の薬物含有ステントコーティングは、薬物およびポリマーキャリヤーを含
む。薬物はポリマーマトリックス中に、時には粒子として分散している。耐久性ポリマー
の場合、薬物は長時間にわたって放出される。耐久性ポリマーはステントと共に体内に永
続的に留まる。生分解性ポリマー、たとえばPLLAの場合、薬物は1〜3カ月で放出さ
れ、次いでポリマーがほぼ1年またはそれ以上で分解される。薬物は純粋な薬物として放
出される。純粋な薬物粒子は組織における毒性のリスクを高める。しかし、本発明の態様
の添加剤は、ポリマーキャリヤーと組み合わせてステントコーティングとして用いた場合
、このリスクを軽減するであろう。本発明の態様ではポリマー系のステントコーティング
中の薬物と添加剤は異なるが、一緒に組織へ同時に放出される。これは組織に対する薬物
の毒性のリスクを軽減するであろう。
[0111] 他の態様において、ステントまたはバルーンなどの医療用具のコーティングと
して、層は少なくとも1種類の療法薬、少なくとも1種類の添加剤、および少なくとも1
種類のポリマーキャリヤーを含んでもよい。ステントコーティング中にポリマーキャリヤ
ーと組み合わせて用いる添加剤は、本明細書中で考察する発明の態様に従った少なくとも
1種類の添加剤であってよい。層中の添加剤は、薬物とポリマーキャリヤーの相溶性を向
上させる。それはコーティングのポリマーマトリックス中における薬物結晶粒子のサイズ
を縮小し、または排除する。コーティング中の均一な薬物分布は、薬物をより均一に標的
組織へ送達することによって臨床結果を改善する。
[0112] 他の態様において、医療用具は、医療用具、特にたとえばバルーンカテーテル
の外面に付与された2層を含む。第1層は療法薬を含む。第1層は添加剤(単数または複
数)を含んでもよい。第2層は添加剤(単数または複数)を含む。第2層は少なくとも1
種類の療法薬を含んでもよい。第1層および第2層の両方が療法薬を含む場合、第2層中
の療法薬の含量は第1層中の療法薬の含量より低い。1態様において、第2層は第1層を
覆う。この様式では、第2層は医療用具を体内管中へ配置する際の、たとえばバルーンカ
テーテルが蛇行した解剖学的構造を通って脈管系内の組織部位へ移動するのに伴う、薬物
損失を阻止することができる。
[0113] 他の態様において、医療用具は、医療用具、特にたとえばバルーンカテーテル
の外面に付与された2層を含む。第1層は療法薬を含む。第1層は添加剤(単数または複
数)を含んでもよい。第2層は添加剤(単数または複数)を含む。第2層は少なくとも1
種類の療法薬を含んでもよい。第1層および第2層の両方が療法薬を含む場合、第1層中
の療法薬の含量は第2層中の療法薬の含量より低い。1態様において、第2層中は第1層
を覆う。この様式は、たとえばバルーン表面に緊密に付着しすぎて標的部位で膨張した際
にバルーンから迅速に溶出できない療法薬の場合に有用である。この様式では、第1層は
、医療用具が療法介入の標的部位で膨張している間に第2層中にある多量の薬物が医療用
具の表面から離れて迅速に放出されるのを容易にする機能を果たす。
[0114] 他の態様において、2以上の療法薬を組み合わせて薬物−添加剤層中に使用す
る。
[0115] さらに他の態様において、2層コーティングを含む医療用具は、接着層を含ん
でもよい。この接着層は療法薬を含まない。たとえば、図2Cに記載する態様に示すよう
に、バルーン12を接着層22でコーティングする。療法薬および場合によっては添加剤
(単数または複数)を含む第1層26が接着層22を覆っている。添加剤および場合によ
っては療法薬を含む添加剤第2層28が第1層26を覆っている。接着層は医療用具の外
面への第1層の付着性を向上させ、第1層の統合性を保護する。たとえば、医療用具に対
する第1層中の薬物と添加剤(単数または複数)の接着強度が異なる場合、接着層は、療
法介入のための標的部位へ移動する際の成分の損失差を阻止して薬物−対−添加剤の比率
および添加剤−対−添加剤の比率を維持することができる。さらに接着層は、標的部位で
組織に接触した時点で医療用具の表面からコーティング層が迅速に溶出するのを容易にす
る機能を果たすことができる。1態様において、第1層、第2層および接着層がそれぞれ
添加剤を含有する。
[0116] 場合によってはジメチルスルホキシド(DMSO)または他の溶剤による処理
が有利である;DMSOは組織内への薬物の浸透および吸収をさらに増強することができ
るからである。DMSOは、標的細胞の膜脂質二重層の脂質ヘッド基およびタンパク質ド
メインから水を排除し、間接的に脂質構造を緩めて薬物の吸収および浸透を促進する。
[0117] さらに他の態様において、本発明は、外科処置または介入処置(PTCA、P
TA、ステント配置、癌などの罹患組織の切除、および狭窄の軽減または治療)後の罹患
した体腔または空洞を処置するための医薬組成物に関するものであり、その際、医薬組成
物は療法薬および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含
み、その際、薬物親和性部分は疎水性部分であり、ならびに/あるいは水素結合および/
またはファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有し、その際、療法薬
はミセルに内包されていないか、またはポリマー粒子に封入されていない。
[0118] 他の態様、すなわち外科処置または介入処置、たとえばPTCA、PTA、ス
テント配置、狭窄部またはプラークの除去(病巣減量術、アテローム切除術またはレーザ
ー処置による)後の、合併症または疾患再発(たとえば、癌または再狭窄)を阻止する方
法において、介入部位またはその付近に、コーティング付き医療用具(たとえば、薬物コ
ーティング付きバルーン)により、または噴霧により、注射により、もしくは沈着により
、医薬組成物を局所送達する。たとえば、癌組織の外科的除去により形成された空洞内へ
、再発のリスクを軽減するために、医薬組成物を噴霧、注射、バルーンまたは他の沈着方
法により送達することができる。他の例として、医薬組成物を送達する方法は、血管介入
、たとえばPTCA、PTA、ステント配置の後に、再狭窄を阻止するために、医療用具
(たとえば、ガイドカテーテルまたは薬物注入カテーテル)を血中へ挿入して医薬組成物
を注入することを含み、その際、医薬組成物は療法薬および添加剤を含み、その際、添加
剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は疎水性部分であ
り、ならびに/あるいは水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により療法
薬に対する親和性を有し、その際、療法薬はミセルに内包されていないか、またはポリマ
ー粒子に封入されていない。
[0119] 本発明の多くの態様が、脈管疾患を処置し、狭窄および遅発性内腔喪失を軽減
するために特に有用であり、あるいはその目的のための用具の作成またはその疾患の処置
方法に有用である。
[0120] 添加剤
[0121] 本発明の態様の添加剤は2つの部分をもつ。1つの部分は疎水性部分であり、
他方の部分は薬物親和性部分である。薬物親和性部分は疎水性部分であり、ならびに/あ
るいは水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性
をもつ。添加剤の薬物親和性部分は親油性薬物、たとえばラパマイシンまたはパクリタキ
セルを結合することができる。親水性部分は拡散を促進し、組織への薬物の透過を高める
。それは、疎水性薬物分子の相互凝集もしくは医療用具への凝集を阻止することにより、
間質腔内での薬物の溶解度を高めることにより、および/または薬物が標的組織の細胞膜
の極性ヘッド基を通過して脂質二重層へ達するのを促進することにより、標的部位に配置
した際に医療用具から薬物が迅速に離れて移動するのを容易にすることができる。本発明
の態様の添加剤は一緒に機能する2つの部分をもち、配置した際に医療用具の表面から薬
物が迅速に離れて標的組織に取り込まれるのを容易にし(それに対して薬物が高い親和性
をもつ組織と薬物が接触するのを促進することにより)、一方では医療用具を標的部位に
配置する前に薬物が医療用具から早期に放出されるのを阻止する。
[0122] 本発明の態様において、療法薬は医療用具を組織と接触させた後に迅速に放出
され、直ちに吸収される。たとえば、本発明の医療用具の特定の態様には薬物コーティン
グ付きバルーンカテーテルが含まれ、それは親油性の抗増殖薬(たとえば、パクリタキセ
ルまたはラパマイシン)をバルーン血管形成術中に短期間の直接的な圧迫接触によって高
い薬物濃度で血管組織へ送達する。親油性薬物は送達部位で優先的に標的組織に保持され
、そこで過形成および再狭窄を阻止し、なおかつ内皮形成を可能にする。これらの態様に
おいて、本発明のコーティング配合物は、配置した際にバルーン表面から薬物が迅速に放
出されて薬物が標的組織内へ移行するのを容易にするだけでなく、蛇行した動脈構造を通
って移動する間に標的組織に到達する前に薬物が医療用具から拡散するのを阻止し、かつ
バルーン膨張の初期に薬物コーティングが血管壁の表面と直接に圧迫接触する前に薬物が
医療用具から爆発的に放出されるのを阻止する。
[0123] 特定の態様による添加剤は、薬物親和性部分および親水性部分をもつ。薬物親
和性部分は疎水性部分であり、ならびに/あるいは水素結合および/またはファンデルワ
ールス相互作用により療法薬に対する親和性をもつ。薬物親和性部分には、脂肪族および
芳香族の炭化水素系化合物、たとえば特にベンゼン、トルエン、およびアルカン類が含ま
れる。これらの部分は水溶性ではない。それらは、それらが構造類似性を共有する疎水性
薬物と細胞膜の脂質の両方を結合できる。それらは共有結合したヨウ素をもたない。薬物
親和性部分には、薬物およびそれ自身との水素結合を形成できる官能基を含めることがで
きる。親水性部分には、特にヒドロキシル基、アミン基、アミド基、カルボニル基、カル
ボン酸および無水物、エチルオキシド、エチルグリコール、ポリエチレングリコール、ア
スコルビン酸、アミノ酸、アミノアルコール、グルコース、スクロース、ソルビタン、グ
リセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機塩類、およびそれ
らの置換された分子を含めることができる。たとえば、1以上のヒドロキシル、カルボキ
シル、酸、アミドまたはアミン基が有利な可能性がある;それらは、細胞膜の極性ヘッド
基および表面タンパク質に水素結合している水分子を容易に排除することができ、疎水性
薬物と細胞膜脂質の間のこのバリヤーを除去する機能を果たすことができるからである。
これらの部分は水および極性溶剤に溶解することができる。これらの添加剤は油、脂質ま
たはポリマーではない。療法薬はミセルもしくはリポソームに内包されていないか、また
はポリマー粒子に封入されていない。本発明の態様の添加剤は、薬物を結合する構成要素
、および配置した際に医療用具から薬物が迅速に離れて標的組織内へ移動するのを容易に
する構成要素の両方をもつ。
[0124] 本発明の態様の添加剤は、界面活性剤、および1以上のヒドロキシル、アミノ
、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物である。
界面活性剤には、イオン性、非イオン性、脂肪族、および芳香族の界面活性剤が含まれる
。1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステ
ル部分をもつ化学化合物は、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸および無水物
、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、グル
コース、スクロース、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、ス
ルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、およびそれらの置換された分子
から選択される。
[0125] 当技術分野で周知のように、用語“親水性”および“疎水性”は相対的用語で
ある。本発明の例示態様において添加剤として機能するために、化合物は極性または親水
性の部分および非極性の疎水性(親油性)部分を含む。
[0126] 医薬化学において医薬化合物の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるため
に一般的に用いられる経験的パラメーターは、分配係数P、すなわち2種類の非混和性溶
剤(通常はオクタノールと水)の混合物の2相中におけるイオン化していない化合物の濃
度の比であり、したがって([溶質]オクタノール/[溶質]水)である。より高いlo
g Pをもつ化合物ほどより疎水性であり、一方、より低いlog Pをもつ化合物ほど
より親水性である。リピンスキー(Lipinski)の法則は、log P<5をもつ医薬化合物
は一般に、より膜透過性であることを示唆する。本発明の特定の態様の目的について、添
加剤は配合される薬物のlog Pより低いlog Pをもつことが好ましい(一例とし
て、パクリタキセルのlog Pは7.4である)。薬物と添加剤の間のlog P差が
より大きいほど、薬物の相分離が容易になる可能性がある。たとえば、添加剤のlog
Pが薬物のlog Pよりはるかに低ければ、添加剤は水性環境で、他の場合は薬物が緊
密に付着しているであろう器具の表面からの薬物の放出を促進することができ、これによ
って介入部位に短期間配置した際の組織への薬物送達が促進される。本発明の特定の態様
において、添加剤のlog Pは負である。他の態様において、添加剤のlog Pは薬
物のlog Pより低い。オクタノール−水 分配係数P、すなわちlog Pは、相対
的な親水性および疎水性の測定法として有用であるが、それは本発明の態様に使用するの
に適した添加剤を決定する際に有用なおおまかな指標にすぎない。
[0127] 本発明の態様のコーティングは、療法薬および少なくとも1種類の添加剤を含
み、添加剤は各療法薬の独自の特性に基づいてコーティング層中の療法薬と組み合わせら
れて、療法薬の分解を最小限に抑え、安全かつ有効な薬物コーティング付き医療用具を提
供する。本発明の態様の添加剤は、療法有効薬剤の官能基と化学反応しない。療法有効薬
剤はそれぞれ独自の化学構造および特性をもち、異なる薬物キャリヤー添加剤と異なる反
応をし、薬物と添加剤の反応は療法薬を不活性にするか、または潜在的に有毒な分解生成
物を生成する可能性がある。添加剤は、療法有効薬剤の官能基と化学反応する官能基をも
たないように選択される。さもなければ、薬物と添加剤の間のそのような反応は療法薬を
不活性にするか、または潜在的に有毒な分解生成物を生成するであろう。療法薬の分解を
最小限に抑えるために、また薬物コーティング付き医療用具が安全かつ有効であるために
、療法薬と選択した添加剤(単数または複数)を調和させることが重要である。パクリタ
キセルは多くの官能基、たとえば酸、水、酸素、およびアミンと反応する。ラパマイシン
およびそれの誘導体は容易に加水分解または酸化される可能性がある。コーティング付き
医療用具の表面積が大きいので、コーティング中の有効薬剤の安定性の最適化はよりいっ
そう重要になる。薬物コーティング付き医療用具は殺菌に際して高い熱、水分、および酸
化性条件に曝され、またそれらは使用前にしばしば長期間貯蔵される。本発明の態様の添
加剤は、苛酷な条件に曝される際および長期間貯蔵される際の療法薬の分解を最小限に抑
えるように、慎重に選択される。ある種の薬物、たとえばラパマイシンおよびそれの誘導
体は酸素および水分に対して感受性であり、酸化および加水分解されやすい。本発明者ら
は、抗酸化剤はラパマイシンなどの薬物を酸化および加水分解から保護する添加剤である
ことを見出した。本発明の態様は、添加剤および有効薬剤を含む医療用具用コーティング
であって、添加剤が有効薬剤の分解に関与しないか、または−抗酸化剤である添加剤のよ
うに−有効薬剤を分解から保護するコーティングを提供する。
[0128] 本発明の態様はまた、ラパマイシンおよびそれの誘導体など感受性療法薬の酸
化および/または加水分解による分解を最小限に抑える、コーティング付き医療用具を作
成するための方法(コーティング組成物の調製および加工のための方法を含む)に関する
。コーティング付き医療用具の加工、パッケージングおよび貯蔵は薬物安定性にとって特
に重要であり、本発明の態様において、パッケージングに際して酸素および水分を減らす
と長期貯蔵中の経時的な療法薬の酸化および加水分解がさらに抑えられる。特定の態様の
方法は、療法薬の分解を最小限に抑えるためのコーティング付き医療用具の加工およびパ
ッケージングを提供する。
[0129] 本発明の態様に使用できる適切な添加剤には、限定ではなく、有機および無機
の医薬賦形剤、天然物およびその誘導体(たとえば、糖類、ビタミン類、アミノ酸、ペプ
チド、タンパク質、および脂肪酸)、低分子量オリゴマー、界面活性剤(陰イオン性、陽
イオン性、非イオン性、およびイオン性)、ならびにその混合物が含まれる。本発明に有
用な下記の詳細なリストは例示の目的で提示され、包括的であることを意図したものでは
ない。他の多数の添加剤を本発明の目的に使用できる。
[0130] 界面活性剤
[0131] 界面活性剤は医薬組成物に使用するのに適したいかなる界面活性剤であっても
よい。そのような界面活性剤は陰イオン性、陽イオン性、両性イオン性または非イオン性
であってよい。界面活性剤の混合物も本発明の範囲に含まれ、界面活性剤と他の添加剤の
組合せも含まれる。界面活性剤はしばしば脂肪酸のように1以上の長い脂肪族鎖をもち、
それを細胞膜の脂質二重層内へ直接挿入して脂質構造の一部を形成することができ、一方
、界面活性剤の他の構成要素は脂質構造を緩め、薬物の浸透および吸収を増強する。造影
剤イオプメミドはこれらの特性をもたない。
[0132] 界面活性剤の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるために一般に用いられ
る経験的パラメーターは、親水性−親油性バランス(“HLB”値)である。より低いH
LB値をもつ界面活性剤ほどより疎水性であって油中でより大きい溶解度をもち、一方、
より高いHLB値をもつ界面活性剤ほどより親水性であって水溶液中でより大きい溶解度
をもつ。HLB値をおおまかな指標として用いると、親水性界面活性剤は一般に約10よ
り大きいHLB値をもつ化合物、および一般にHLB値を適用できない陰イオン性、陽イ
オン性、または両性イオン性化合物であると考えられる。同様に、疎水性界面活性剤は約
10未満のHLB値をもつ化合物である。本発明の特定の態様において、高い親水性は医
療用具の表面からの疎水性薬物の放出を容易にすることができるので、より高いHLB値
が好ましい。1態様において、界面活性剤のHLBは約10より高い。他の態様において
、添加剤のHLBは約14より高い。あるいは、医療用具を標的部位に配置する前の薬物
損失を阻止するために、たとえばきわめて親水性の添加剤を含む薬物層を覆うトップコー
ト中に使用する際には、より低いHLBをもつ界面活性剤が好ましい場合がある。特定の
態様における界面活性剤系添加剤のHLB値は、0.0〜40の範囲である。
[0133] 界面活性剤のHLB値は、たとえば工業用、医薬用および化粧品用のエマルジ
ョンの配合を可能にするために一般に用いられるおおまかな指標にすぎないことを理解す
べきである。幾つかのポリエトキシル化界面活性剤を含めた多くの重要な界面活性剤につ
いて、HLB値はHLB値を測定するために選択する経験的方法に応じて約8HLB単位
も異なる可能性があると報告されている(Schott, J. Pharm. Sciences, 79(1), 87-88 (1
990))。これらの固有の難点を考慮し、HLB値を指標として用いて、本明細書に記載す
るように本発明の態様に使用するのに適した親水性または疎水性をもつ界面活性剤を同定
することができる。
[0134] PEG−脂肪酸ならびにPEG−脂肪酸モノエステルおよびジエステル
[0135] ポリエチレングリコール(PEG)自体は界面活性剤として機能しないが、多
様なPEG−脂肪酸エステルが有用な界面活性剤特性をもつ。PEG−脂肪酸モノエステ
ルのうち、ラウリン酸、オレイン酸、およびステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミト
レイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、エルシン酸、リシノレイン
酸、およびドコサヘキサエン酸のエステルは本発明の態様に最も有用である。好ましい親
水性界面活性剤には、PEG−8ラウレート、PEG−8オレエート、PEG−8ステア
レート、PEG−9オレエート、PEG−10ラウレート、PEG−10オレエート、P
EG−12ラウレート、PEG−12オレエート、PEG−15オレエート、PEG−2
0ラウレートおよびPEG−20オレエートが含まれる。PEG−15 12−ヒドロキ
システアレート(Solutol HS 15)は、注射液に用いられる非イオン性界面
活性剤である。Solutol HS 15は本発明の特定の態様において好ましい添加
剤である;それは室温では白色ペーストであり、室温より高いけれども体温より低い約3
0℃で液体になるからである。HLB値は4〜20の範囲である。
[0136] この添加剤(たとえば、Solutol HS 15)は室温ではペースト、
固体または結晶状態であり、体温では液体になる。室温で液体である特定の添加剤は、均
一にコーティングされた医療用具の作成を困難にする場合がある。特定の液体添加剤は、
溶剤の蒸発を妨げる場合があり、あるいは室温で用具のコーティングプロセスに際して医
療用具の表面の適所に、たとえばバルーンカテーテルのバルーン部分に、留まらない場合
がある。本発明の特定の態様において、ペースト状および固体状の添加剤が好ましい;そ
れらは医療用具上に均一なコーティングとして局在して留まることができ、それを室温で
乾燥させることができるからである。ある態様において、人体内に配置された際に医療用
具上の固体コーティングがより高い約37℃の生理的温度に曝されると、それは液体にな
る。これらの態様において、液体コーティングはきわめて容易に医療用具の表面から放出
され、容易に罹患組織内へ移行する。生理的条件下で温度誘導状態の変化を伴う添加剤は
、本発明の特定の態様において、特に薬物コーティングされたバルーンカテーテルにおい
て、きわめて重要である。特定の態様において、固体添加剤と液体添加剤の両方を組み合
わせて本発明の薬物コーティング中に用いる。この組合せは、医療用具のコーティングの
統合性を向上させる。本発明の特定の態様において、少なくとも1種類の固体添加剤を薬
物コーティング中に用いる。
[0137] ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルも本発明の態様の組成物中に界面活
性剤として使用するのに適している。最も好ましい親水性界面活性剤には、PEG−20
ジラウレート、PEG−20 ジオレエート、PEG−20 ジステアレート、PEG
−32 ジラウレートおよびPEG−32 ジオレエートが含まれる。HLB値は5〜1
5の範囲である。
[0138] 一般に、界面活性剤の混合物も本発明の態様に有用であり、これには2種類以
上の市販の界面活性剤の混合物、および界面活性剤と他の添加剤(単数または複数)の混
合物が含まれる。幾つかのPEG−脂肪酸エステルがモノエステルおよびジエステルの混
合物として市販されている。
[0139] ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル
[0140] 好ましい親水性界面活性剤は、PEG−20 グリセリルラウレート、PEG
−30 グリセリルラウレート、PEG−40 グリセリルラウレート、PEG−20
グリセリルオレエート、およびPEG−30 グリセリルオレエートである。
[0141] アルコール−油 エステル交換生成物
[0142] アルコール類またはポリアルコールと多様な天然油および/または水素化油と
の反応によって、疎水性または親水性の程度が異なる多数の界面活性剤を製造することが
できる。最も一般的には、用いられる油はひまし油もしくは水素化ひまし油、または食用
植物油、たとえばトウモロコシ油、オリーブ油、ラッカセイ油、パーム核油、杏仁油もし
くは扁桃油(アーモンド油)である。好ましいアルコール類には、グリセロール、プロピ
レングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、および
ペンタエリトリトールが含まれる。これらのアルコール−油 エステル交換型界面活性剤
のうち好ましい親水性界面活性剤は、PEG−35 ひまし油、ポリエチレングリコール
−リシノール酸グリセロール(Incrocas−35、およびCremophor E
LおよびELP)、PEG−40 水素化ひまし油(Cremophor RH 40)
、PEG−15 水素化ひまし油(Solutol HS 15)、PEG−25 トリ
オレエート(TAGAT.RTM.TO)、PEG−60 トウモロコシグリセリド類(
Crovol M70)、PEG−60 扁桃油(Crovol A70)、PEG−4
0 パーム核油(Crovol PK70)、PEG−50 ひまし油(Emalex
C−50)、PEG−50 水素化ひまし油(Emalex HC−50)、PEG−8
カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Labrasol)、およびPEG−6 カプリ
ル酸/カプリン酸グリセリド(Softigen 767)である。このクラスの好まし
い疎水性界面活性剤には、PEG−5水素化ひまし油、PEG−7水素化ひまし油、PE
G−9水素化ひまし油、PEG−6トウモロコシ油(Labrafil.RTM. M
2125 CS)、PEG−6 扁桃油(Labrafil.RTM. M 1966
CS)、PEG−6 杏仁油(Labrafil.RTM. M 1944 CS)、P
EG−6 オリーブ油(Labrafil.RTM. M 1980 CS)、PEG−
6 ラッカセイ油(Labrafil.RTM. M 1969 CS)、PEG−6
水素化パーム核油(Labrafil.RTM. M 2130 BS)、PEG−6
パーム核油(Labrafil.RTM. M 2130 CS)、PEG−6 トリオ
レイン(Labrafil.RTM.b M 2735 CS)、PEG−8 トウモロ
コシ油(Labrafil.RTM. WL 2609 BS)、PEG−20 トウモ
ロコシグリセリド類(Crovol M40)、およびPEG−20 扁桃グリセリド類
(Crovol A40)が含まれる。
[0143] 脂肪酸ポリグリセリル
脂肪酸のポリグリセリルエステルも、本発明の態様に使用するのに適した界面活性剤で
ある。脂肪酸ポリグリセリルエステルのうち、好ましい疎水性界面活性剤には、ポリグリ
セリルオレエート(Plurol Oleique)、ポリグリセリル−2 ジオレエー
ト(Nikkol DGDO)、ポリグリセリル−10 トリオレエート、ポリグリセリ
ルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセ
リルパルミテート、およびポリグリセリルリノレエートが含まれる。好ましい親水性界面
活性剤には、ポリグリセリル−10 ラウレート(Nikkol Decaglyn 1
−L)、ポリグリセリル−10 オレエート(Nikkol Decaglyn 1−O
)、およびポリグリセリル−10 モノ、ジオレエート(Caprol.RTM. PE
G 860)、ポリグリセリル−10 ステアレート、ポリグリセリル−10 ラウレー
ト、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート、ポリ
グリセリル−10 リノレエート、ポリグリセリル−6 ステアレート、ポリグリセリル
−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテ
ート、およびポリグリセリル−6 リノレエートが含まれる。ポリグリセリルポリリシノ
レエート類(Polymuls)も好ましい界面活性剤である。
[0144] プロピレングリコール脂肪酸エステル
[0145] プロピレングリコールと脂肪酸のエステルは、本発明の態様に使用するのに適
した界面活性剤である。この界面活性剤クラスにおいて、好ましい疎水性界面活性剤には
、プロピレングリコールモノラウレート(Lauroglycol FCC)、プロピレ
ングリコールリシノレエート(Propymuls)、プロピレングリコールモノオレエ
ート(Myverol P−O6)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレー
ト(Captex.RTM. 200)、およびプロピレングリコールジオクタノエート
(Captex.RTM. 800)が含まれる。
[0146] ステロールおよびステロール誘導体
[0147] ステロール類およびステロール誘導体は、本発明の態様に使用するのに適した
界面活性剤である。好ましい誘導体には、ポリエチレングリコール誘導体が含まれる。こ
のクラスの好ましい界面活性剤はPEG−24 コレステロールエーテル(Solula
n C−24)である。
[0148] ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル
[0149] 多様なPEG−ソルビタン脂肪酸エステルが入手可能であり、本発明の態様に
おいて界面活性剤として使用するのに適している。PEG−ソルビタン脂肪酸エステルの
うち、好ましい界面活性剤には、PEG−20 ソルビタンモノラウレート(Tween
−20)、PEG−4 ソルビタンモノラウレート(Tween−21)、PEG−20
ソルビタンモノパルミテート(Tween−40)、PEG−20 ソルビタンモノス
テアレート(Tween−60)、PEG−4 ソルビタンモノステアレート(Twee
n−61)、PEG−20 ソルビタンモノオレエート(Tween−80)、PEG−
4 ソルビタンモノオレエート(Tween−81)、PEG−20 ソルビタントリオ
レエート(Tween−85)が含まれる。ラウリン酸エステルはオレイン酸エステルと
比較して短い脂質鎖をもち、薬物吸収を高めるので好ましい。
[0150] ポリエチレングリコールアルキルエーテル
[0151] ポリエチレングリコールとアルキルアルコール類のエーテルは本発明の態様に
使用するのに適した界面活性剤である。好ましいエーテルには、Laneth類(Lan
eth−5、Laneth−10、Laneth−15、Laneth−20、Lane
th−25、およびLaneth−40)、laureth類(Laureth−5、l
aureth−10、Laureth−15、laureth−20、Laureth−
25、およびlaureth−40)、Oleth類(Oleth−2、Oleth−5
、Oleth−10、Oleth−12、Oleth−16、Oleth−20、および
Oleth−25)、Steareth類(Steareth−2、Steareth−
7、Steareth−8、Steareth−10、Steareth−16、Ste
areth−20、Steareth−25、およびSteareth−80)、Cet
eth類(Ceteth−5、Ceteth−10、Ceteth−15、Ceteth
−20、Ceteth−25、Ceteth−30、およびCeteth−40),PE
G−3 オレイルエーテル(Volpo 3)およびPEG−4 ラウリルエーテル(B
rij 30)が含まれる。
[0152] 糖類およびそれの誘導体
[0153] 糖誘導体は、本発明の態様に使用するのに適した界面活性剤である。このクラ
スの好ましい界面活性剤には、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース
、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デ
シル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデ
シル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−
D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D
−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコ
ピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラ
ノシド、およびオクチル−β−D−チオグルコピラノシドが含まれる。
[0154] ポリエチレングリコールアルキルフェノール
[0155] 幾つかのPEG−アルキルフェノール系界面活性剤、たとえばPEG−10−
100 ノニルフェノールおよびPEG−15−100 オクチルフェノールエーテル、
Tyloxapol、オクトキシノール、ノノキシノールが入手可能であり、本発明の態
様において界面活性剤として使用するのに適している。
[0156] ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン(POE−POP)ブロックコポ
リマー
[0157] POE−POPブロックコポリマーは独自のクラスのポリマー系界面活性剤で
ある。親水性POE部分と疎水性POP部分を良好に規定された比率および位置で含むこ
れらの界面活性剤の独自の構造は、本発明の態様に使用するのに適した多種多様な界面活
性剤を提供する。これらの界面活性剤は種々の商品名で入手でき、これにはSynper
onic PEシリーズ(ICI);Pluronic.RTM.シリーズ(BASF)
、Emkalyx、Lutrol(BASF)、Supronic、Monolan、P
luracare、およびPlurodacが含まれる。これらのポリマーの一般名は“
ポロキサマー(poloxamer)”(CAS 9003−11−6)である。これらのポリマー
は次式をもつ:
[0158] HO(CO)(CO)(CO)H:式中の“a”お
よび“b”は、それぞれポリオキシエチレン単位およびポリオキシプロピレン単位の数を
表わす。
[0159] このクラスの好ましい親水性界面活性剤には、Poloxamer 108、
188、217、238、288、338、および407が含まれる。このクラスの好ま
しい疎水性界面活性剤には、Poloxamer 124、182、183、212、3
31、および335が含まれる。
[0160] ポリエステル−ポリエチレングリコールブロックコポリマー
[0161] ポリエチレングリコール−ポリエステルブロックコポリマーは、独自のクラス
のポリマー系界面活性剤である。親水性ポリエチレングリコール(PEG)部分と疎水性
ポリエステル部分を良好に規定された比率および位置で含むこれらの界面活性剤の独自の
構造は、本発明の態様に使用するのに適した多種多様な界面活性剤を提供する。これらの
ブロックポリマー中のポリエステルには、下記のものが含まれる:ポリ(L−ラクチド)
(PLLA)、ポリ(DL−ラクチド)(PDLLA)、ポリ(D−ラクチド)(PDL
A)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエステルアミド(PEA)、ポリヒドロキシ
アルカノエート類、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシブチレート−
co−ヒドロキシバレレート類(PHBV)、ポリヒドロキシブチレート−co−ヒドロ
キシヘキサノエート(PHBHx)、ポリアミノ酸、ポリグリコリドまたはポリグリコー
ル酸(PGA)、ポリグリコリドおよびそれのコポリマー(乳酸とのポリ(乳酸−co−
グリコール酸)、ε−カプロラクトンとのポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、
およびトリメチレンカーボネートとのポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネー
ト))、ならびにそれらのコポリエステル。例はPLA−b−PEG、PLLA−b−P
EG、PLA−co−PGA−b−PEG、PCL−co−PLLA−b−PEG、PC
L−co−PLLA−b−PEG、PEG−b−PLLA−b−PEG、PLLA−b−
PEG−b−PLLA、PEG−b−PCL−b−PEG、ならびに他のジ、トリ、およ
びマルチブロックコポリマーである。親水性ブロックは他の親水性または水溶性ポリマー
、たとえばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、および
ポリアクリル酸であってもよい。
[0162] ポリエチレングリコールグラフトコポリマー
[0163] グラフトコポリマーの一例は、Soluplus(BASF,ドイツ)である
。Soluplusは、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリ
コールグラフトコポリマーである。このコポリマーは両親媒性化学構造をもつ可溶化剤で
あり、貧溶解性薬物、たとえばパクリタキセル、ラパマイシンおよびそれらの誘導体を水
性媒体に可溶化することができる。このコポリマーの分子量は90,000〜14000
0g/molの範囲である。
[0164] 両親媒性化学構造をもつポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、および
グラフトコポリマーは、本発明において添加剤として用いられる。両親媒性化学構造をも
つポリマーは、ブロックまたはグラフトコポリマーである。異なる反復単位の多数セグメ
ント(少なくとも2つのセグメント)がこれらのコポリマー中にある。ある態様において
、セグメントのうちの1つはそれらのコポリマー中の他のセグメントより親水性である。
同様に、セグメントのうちの1つはそれらのコポリマー中の他のセグメントより疎水性で
ある。たとえば、Soluplus(BASF,ドイツ)において、ポリエチレングリコ
ールセグメントはポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニルセグメントより親水性であ
る。ポリエチレングリコール−ポリエステルブロックコポリマー中のポリエステルセグメ
ントはポリエチレングリコールセグメントより疎水性である。PEG−PLLAにおいて
、PEGはPLLAより親水性である。PEG−b−PCL−b−PEGにおいて、PC
LはPEGより疎水性である。親水性セグメントはポリエチレングリコールに限定されな
い。他の水溶性ポリマー、たとえば可溶性ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコ
ールは、両親媒性構造をもつポリマー中の親水性セグメントを形成することができる。こ
れらのコポリマーを、本発明において他の添加剤と組み合わせて使用できる。
[0165] ソルビタン脂肪酸エステル
[0166] 脂肪酸のソルビタンエステルは、本発明の態様に使用するのに適した界面活性
剤である。これらのエステルのうち、好ましい疎水性界面活性剤には、ソルビタンモノラ
ウレート(Arlacel 20)、ソルビタンモノパルミテート(Span−40)、
およびソルビタンモノオレエート(Span−80)、ソルビタンモノステアレートが含
まれる。
[0167] ビタミンCの両親媒性誘導体であるソルビタンモノパルミテート(それはビタ
ミンC活性をもつ)は、可溶化系において2つの重要な機能を果たすことができる。第1
に、それはミクロ環境を調節することができる有効な極性基を保有する。これらの極性基
は、入手できるうちで最も水溶性の有機固体化合物のひとつである有機ビタミンC自体(
アスコルビン酸)を形成するものと同じ基である:アスコルビン酸は水に約30wt/w
t%まで溶解する(たとえば、塩化ナトリウムの溶解度にきわめて近い)。第2に、pH
が上昇すると、パルミチン酸アスコルビルの一部がより可溶性の塩、たとえばアスコルビ
ルパルミチン酸ナトリウムに変換される。
[0168] イオン性界面活性剤
[0169] 陽イオン性、陰イオン性および両性イオン性界面活性剤を含めたイオン性界面
活性剤は、本発明の態様に使用するのに適した親水性界面活性剤である。
[0170] 陰イオン性界面活性剤は、負の電荷を親水性部分に保有するものである。本発
明の態様において添加剤として用いられる主要なクラスの陰イオン性界面活性剤は、カル
ボキシレート、スルフェートおよびスルホネートイオンを含むものである。本発明の態様
に用いられる好ましい陽イオンは、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよび亜鉛で
ある。その直鎖は一般に飽和または不飽和C8〜C18脂肪族基である。カルボキシレー
トイオンを含む陰イオン性界面活性剤には、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナ
トリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜塩、オ
レイン酸ナトリウム、亜塩およびカリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ラウロイル
サルコシン酸ナトリウム、およびミリストイルサルコシン酸ナトリウムが含まれる。スル
フェート基をもつ陰イオン性界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナ
トリウム、ラウリル硫酸モノ−、ジ、およびトリエタノールアミン、ラウリルエーテル硫
酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、テトラデシ
ル硫酸ナトリウム、硫酸化ひまし油、コレステリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナ
トリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、他の中鎖−分岐または
非分岐アルキルスルフェート類、ならびにラウリル硫酸アンモニウムが含まれる。スルホ
ネート基をもつ陰イオン性界面活性剤には、ドクセートナトリウム、ジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジイソブチルスルホコハク酸ナトリウム
、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)、およ
びビス(1−メチルアミル)スルホコハク酸ナトリウムが含まれる。
[0171] 本発明の態様に用いられる最も一般的な陽イオン性界面活性剤は、一般式R
,R,R,Rをもつ第四級アンモニウム化合物であり、式中のXは通常
は塩素または臭素イオンであり、RはC8〜18原子を含むアルキル基を表わす。これら
のタイプの界面活性剤は、それらの殺細菌特性のため医薬的に重要である。本発明におい
て医薬および医療用具の調製に用いられる主要な陽イオン性界面活性剤は、第四級アンモ
ニウム塩である。これらの界面活性剤には、セトリミド、臭化セトリモニウム、塩化ベン
ザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ヘキサデシルトリメチル
アンモニウムクロリド、塩化ステアラルコニウム、塩化ラウラルコニウム、テトラデシル
アンモニウムクロリド、ミリスチルピコリニウムクロリド、およびドデシルピコリニウム
クロリドが含まれる。これらの界面活性剤は、配合物またはコーティング中のある療法薬
と反応する可能性がある。これらの界面活性剤は、それらが療法薬と反応しなければ好ま
しい場合がある。
[0172] 双性または両性界面活性剤には、特にドデシルベタイン、コカミドプロピルベ
タイン、ココアンホクリシネート(cocoampho clycinate)が含まれる。
[0173] 好ましいイオン性界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナ
トリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セテアリ
ル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、硫酸化ひまし油、コレステリル硫酸ナ
トリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナト
リウム、他の中鎖−分岐または非分岐アルキルスルフェート類、ドクセートナトリウム、
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウ
ム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブ
ロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、
塩化エドロホニウム、臭化ドミフェン、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル
、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、およびタウロコール酸ナ
トリウムが含まれる。これらの第四級アンモニウム塩は好ましい添加剤である。それらは
有機溶剤(たとえば、エタノール、アセトン、およびトルエン)および水の両方に溶解で
きる。これは調製およびコーティングのプロセスを簡略化し、かつ良好な接着特性をもつ
ので、医療用具コーティングに特に有用である。水不溶性薬物は一般に有機溶剤に溶解さ
せる。これらの界面活性剤のHLB値は、一般に20〜40の範囲にあり、たとえばドデ
シル硫酸ナトリウム(SDS)は38〜40のHLB値をもつ。
[0174] 本明細書に記載するある界面活性剤は、加熱下できわめて安定である。それら
はエチレンオキシド殺菌プロセスで存続する。それらは殺菌プロセスでパクリタキセルま
たはラパマイシンなどの薬物と反応しない。ヒドロキシル、エステル、アミド基は薬物と
反応しないと考えられるので好ましく、一方、アミンおよび酸基は殺菌処理中にしばしば
パクリタキセルまたはラパマイシンと実際に反応する。さらに、界面活性剤系添加剤はコ
ーティング層の統合性および品質を向上させ、したがって粒子は取扱い中に脱落しない。
本明細書に記載する界面活性剤をパクリタキセルと共に配合すると、それは実験によれば
医療用具送達プロセスで薬物を早期放出から保護し、一方で標的部位における0.2〜2
分間のごく短期間の配置に際してパクリタキセルの迅速な放出および溶出を容易にする。
標的部位の組織による薬物吸収は、実験によれば予想外に高い。
[0175] 1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまた
はエステル部分をもつ化学化合物
[0176] 1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまた
はエステル部分をもつ化学化合物には、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、
エステル、および無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエ
ステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミ
ノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェー
ト類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有
機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子が含まれる。1以上のヒドロキシル、ア
ミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ親水性化学化合
物であって、5,000〜10,000未満の分子量をもつものが特定の態様に好ましい
。他の態様において、1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、
アミドまたはエステル部分をもつ添加剤の分子量は、好ましくは1000〜5,000未
満、またはより好ましくは750〜1,000未満、または最も好ましくは750未満で
ある。これらの態様において、添加剤の分子量は送達される薬物のものより小さいことが
好ましい。さらに、添加剤の分子量は、80より大きいことが好ましい;80未満の分子
量をもつ分子はきわめて蒸発しやすく、医療用具のコーティング中に留まらないからであ
る。添加剤が室温で揮発性または液状である場合、コーティングプロセスで溶剤を蒸発さ
せる際に添加剤が失われないためには、それの分子量が80を超えることが重要である。
しかし、添加剤が揮発性ではない特定の態様、たとえば固体添加剤であるアルコール類、
エステル類、アミド類、酸類、アミン類、およびそれらの誘導体においては、添加剤がコ
ーティングから容易に蒸発することはないので、添加剤の分子量は80未満、60未満、
および20未満であってもよい。固体添加剤は結晶質、半結晶質、および非晶質であって
よい。小分子は速やかに拡散することができる。それら自身が送達バルーンから容易に溶
出して薬物の放出を促進することができ、かつそれらは薬物が体腔の組織に結合すると薬
物から離脱拡散することができる。特定の態様において、たとえば高分子量添加剤の場合
は、4つより多いヒドロキシル基が好ましい。大分子は拡散するのが遅い。添加剤または
化学化合物の分子量が高い場合、たとえば分子量が800より大、1000より大、12
00より大、1500より大、または2000より大である場合、大分子は医療用具の表
面から溶出するのが遅すぎて薬物を2分未満で放出できない可能性がある。これらの大分
子が4つより多いヒドロキシル基を含むとそれらは親水性が増大し、これは比較的大きな
分子が薬物を速やかに放出するために必要である。親水性の増大はコーティングがバルー
ンから溶出するのを補助し、薬物の放出を促進し、薬物が水バリヤーおよび脂質二重層の
極性ヘッド基を通って移動して組織に浸透するのを向上させ、または容易にする。ヒドロ
キシル基は水不溶性薬物、たとえばパクリタキセルまたはラパマイシンと反応しないと考
えられるので、親水性部分として好ましい。ある態様において、4つより多いヒドロキシ
ル基を含む化学化合物は、120℃以下の融点をもつ。ある態様において、4つより多い
ヒドロキシル基を含む化学化合物は3個の隣接ヒドロキシル基をもち、それらはすべて立
体配置において分子の片側にある。たとえば、ソルビトールおよびキシリトールは、立体
配置においてすべて分子の片側にある3個の隣接ヒドロキシル基をもち、一方、ガラクチ
トールはそれらをもたない。この相異は異性体の物理的特性、たとえば融解温度に影響を
及ぼす。3個の隣接ヒドロキシル基のこの立体配置は薬物結合を増強することができる。
これによって水不溶性薬物と親水性添加剤の相溶性が向上し、組織による薬物の取込みお
よび吸収が向上するであろう。
[0177] アミド部分をもつ化学化合物は、本発明の特定の態様においてコーティング配
合物に重要である。尿素はアミド基をもつ化学化合物の一例である。他には、ビウレット
、アセトアミド、乳酸アミド、アミノ酸アミド、アセトアミノフェン、尿酸、ポリウレア
、ウレタン、尿素誘導体、ナイアシンアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、スルファセタミドナトリウム、ベルセタミド、ラウリン酸ジエタノール
アミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエ
チルステアルアミド)、コカミドMEA、コカミドDEA、アルギニン、および他の有機
酸アミド、ならびのそれらの誘導体が含まれる。アミド基をもつある化学化合物は、1以
上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、またはエステル部分をも有
する。
[0178] アミド基をもつ化学化合物のひとつは、可溶性の低分子量ポビドンである。ポ
ビドンには、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF、Koll
idon 17、Kollidon 25、およびKollidon 30が含まれる。
Kollidon製品は、種々の分子量および粒度をもつ可溶性および不溶性グレードの
ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ならびにポリ酢酸ビ
ニルとポリビニルピロリドンのブレンドからなる。ファミリー製品はポビドン、クロスポ
ビドンおよびコポビドンと表示される。低分子量の可溶性ポビドン類およびコポビドン類
は、本発明において特に重要な添加剤である。たとえば、Kollidon 12 PF
、Kollidon 17 PF、およびKollidon 17はきわめて重要である
。固体ポビドンは医療用具上のコーティングの統合性を維持することができる。低分子量
ポビドンは罹患組織内へ吸収または透過することができる。ポビドンの好ましい分子量範
囲は54000未満、11000未満、7000未満、4000未満である。それらは水
不溶性療法薬を可溶化することができる。これらの固体、低分子量および組織吸収/透過
の特性のため、ポビドンおよびコポビドンは本発明に特に有用である。ポビドンは、本発
明において他の添加剤と組み合わせて使用できる。1態様において、ポビドンおよび非イ
オン性界面活性剤(たとえば、PEG−15 12−ヒドロキシステアレート(Solu
tol HS 15)、Tween 20、Tween 80、Cremophor R
H40、Cremophor ELおよびELP)をパクリタキセルもしくはラパマイシ
ンまたはそれらの類似体と共に、バルーンカテーテルなどの医療用具のコーティングとし
て配合することができる。
[0179] エステル部分をもつ化学化合物は、特定の態様のコーティング配合物に特に重
要である。有機酸とアルコール類の生成物がエステル基をもつ化学化合物である。エステ
ル基をもつ化学化合物は、ポリマー材料の可塑剤としてしばしば用いられる。広範なエス
テル化学化合物には、セベート類、アジペート類、グルテレート類、およびフタレート類
が含まれる。これらの化学化合物の例は、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル
酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジ
ピン酸ジメチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、ク
エン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリ
ヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、およびクエン酸トリメチルである。
[0180] 本明細書に記載する1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシ
ル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物のうちあるものは、加熱下できわめ
て安定である。それらはエチレンオキシド殺菌プロセスで存続し、殺菌処理中に水不溶性
薬物パクリタキセルまたはラパマイシンと反応しない。これに対し、L−アスコルビン酸
およびそれの塩ならびにジエタノールアミンはそのような殺菌プロセスで必ずしも存続せ
ず、かつそれらはパクリタキセルと反応する。したがって、L−アスコルビン酸およびジ
エタノールアミンには別の殺菌法が好ましい。ヒドロキシル、エステル、およびアミド基
はパクリタキセルまたはラパマイシンなどの療法薬と反応しないと考えられるので好まし
い。アミンおよび酸基は時にはパクリタキセルと実際に反応する;たとえば、実験によれ
ば安息香酸、ゲンチシン酸、ジエタノールアミン、およびアスコルビン酸はエチレンオキ
シド殺菌、加熱、およびエージングのプロセス下で安定ではなく、パクリタキセルと反応
した。本明細書に記載する化学化合物をパクリタキセルと共に配合する場合、親水性の小
分子は時には薬物を容易に放出しすぎるので、医療用具の送達プロセスで標的部位に配置
する前の早期薬物損失を阻止するためにトップコート層が有利な可能性がある。本明細書
中の化学化合物は、標的部位に配置した際に薬物をバルーンから迅速に溶出させる。意外
にも、コーティングがこれらの添加剤を含有する場合は、医療用具を標的部位へ移動させ
る際に若干の薬物が失われるとしても、実験によれば組織による薬物吸収は、たとえばリ
ボン酸ラクトンおよびグルコノラクトンなどの添加剤ヒドロキシルラクトン類については
配置してわずか0.2〜2分後と予想外に高い。
[0181] 抗酸化剤
[0182] 抗酸化剤は、他の分子の酸化を遅らせるかまたは阻止することができる分子で
ある。酸化反応はフリーラジカルを発生する可能性があり、これが連鎖反応を開始させ、
感受性療法薬、たとえばラパマイシンおよびそれの誘導体の分解を引き起こす場合がある
。抗酸化剤はフリーラジカルを除去することによりこれらの連鎖反応を終結させ、それら
はさらにそれら自身が酸化されることにより有効薬剤の酸化を阻害する。抗酸化剤は特定
の態様において、医療用具のコーティング中の療法薬の酸化を阻止するかまたは遅らせる
ために添加剤として用いられる。抗酸化剤は一種のフリーラジカルスカベンジャーである
。抗酸化剤は単独でまたは他の添加剤と組み合わせて本発明の特定の態様に用いられ、殺
菌処理中または使用前の貯蔵中の有効療法薬の分解を阻止することができる。
[0183] 本発明方法に使用できる抗酸化剤の若干の代表例には、限定ではなく、オリゴ
マーまたはポリマー状のプロアントシアニジン類、ポリフェノール類、ポリホスフェート
類、ポリアゾメチン、高スルフェート寒天オリゴマー類、キトサンの部分加水分解により
得られるキトオリゴ糖類、多官能性オリゴマーチオエーテル類であって立体障害フェノー
ル類、ヒンダードアミン類、たとえば、限定ではなく、p−フェニレンジアミン、トリメ
チルジヒドロキノロン類、およびアルキル化ジフェニルアミン類を含むもの、tert−
ブチルなど1以上の嵩高い官能基を含む置換フェノール化合物(ヒンダードフェノール類
)、アリールアミン類、ホスファイト類、ヒドロキシルアミン類、およびベンゾフラノン
類が含まれる。芳香族アミン、たとえばp−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、お
よびN,N’ ジ置換p−フェニレンジアミンもフリーラジカルスカベンジャーとして使
用できる。他の例には、限定ではなく、ブチル化ヒドロキシトルエン(“BHT”)、ブ
チル化ヒドロキシアニソール(“BHA”)、L−アスコルベート(ビタミンC)、ビタ
ミンE、薬草ローズマリー、セージエキス、グルタチオン、レスベラトール、エトキシキ
ン、ロスマノール、イソロスマノール、ロスマリジフェノール、没食子酸プロピル、没食
子酸、コーヒー酸、p−クマル酸(p-coumeric acid)、p−ヒドロキシ安息香酸、アスタ
キサンチン、フェルラ酸、デヒドロジンゲロン、クロロゲン酸、エラグ酸、プロピルパラ
ベン、シナピン酸、ダイジン、グリシチン、ゲニスチン、ダイゼイン、グリシテイン、ゲ
ニステイン、イソフラボン類、およびtert−ブチルヒドロキノンが含まれる。若干の
ホスファイト類の例には、ジ(ステアリル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリ
ス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウ
リルおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホス
ファイトが含まれる。ヒンダードフェノール類の若干例には、限定ではなく、オクタデシ
ル−3,5,ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート、テトラキス−メチレ
ン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト メタン 2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、イオノール、ピロガロール、
レチノール、およびオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネートが含まれる。抗酸化剤には、グルタチオン、リポ酸、メラト
ニン、トコフェロール類、トコトリエノール類、チオール類、ベータ−カロテン、レチノ
イン酸、クリプトキサンチン、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、没食子酸プロ
ピル、カテキン、没食子酸カテキン、およびケルセチンを含めることができる。好ましい
抗酸化剤はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール
(BHA)である。
[0184] 脂溶性ビタミン類およびその塩類
[0185] ビタミンA、D、EおよびKはそれらの種々の形態およびプロビタミンの形態
のものが脂溶性ビタミン類とみなされ、これらのほかに多数の他のビタミン類およびビタ
ミン源または近縁のものも脂溶性であり、極性基および比較的高いオクタノール−水 分
配係数をもつ。明らかに、全般的クラスのそのような化合物は安全な使用歴および高い損
益比をもつので、それらは本発明の態様において添加剤として有用となる。
[0186] 下記の脂溶性ビタミン誘導体および/またはビタミン源の例も添加剤として有
用である:アルファ−トコフェロール、ベータ−トコフェロール、ガンマ−トコフェロー
ル、デルタ−トコフェロール、酢酸トコフェロール、エルゴステロール、1−アルファ−
ヒドロキシコレカルシフェロール、ビタミンD2、ビタミンD3、アルファ−カロテン、
ベータ−カロテン、ガンマ−カロテン、ビタミンA、フルスルチアミン、メチロールリボ
フラビン、オクトチアミン、プロスルチアミン、リボフラビン、ビンチアモール、ジヒド
ロビタミンK1、二酢酸メナジオール、二酪酸メナジオール、二硫酸メナジオール、メナ
ジオール、ビタミンK1、ビタミンK1オキシド、ビタミン K2、およびビタミンK−
−S(II)。葉酸もこのタイプのものであり、それは生理的pHでは水溶性であるが、
遊離酸の形態で配合できる。本発明の態様に有用な脂溶性ビタミンの他の誘導体は、親水
性分子との周知の化学反応によって容易に得ることができる。
[0187] 水溶性ビタミン類およびそれらの両親媒性誘導体
[0188] ビタミンB、C、U、パントテン酸、葉酸、および若干のメナジオン関連ビタ
ミン類/プロビタミン類は、それらの種々の形態のものが水溶性ビタミン類とみなされる
。これらを疎水性部分または多価イオンとコンジュゲートまたは複合体形成させて、比較
的高いオクタノール−水 分配係数および極性基をもつ両親媒性形態にすることもできる
。この場合も、そのような化合物は低い毒性および高い損益比をもつ可能性があるので、
それらは本発明の態様において添加剤として有用になる。これらの塩類も本発明の態様に
おいて添加剤として有用となることができる。水溶性ビタミンおよび誘導体の例には、限
定ではなく、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸,セトチアミン,シコチア
ミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン
酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉
酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB
12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンUが含まれる。同様
に前記に述べたように、葉酸は生理的pHを含めた広いpH範囲にわたって塩として水溶
性である。
[0189] アミノまたは他の塩基性基が存在する化合物は、疎水性基を含む酸、たとえば
脂肪酸(特に、ラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
または2−エチルヘキサン酸)、低溶解性アミノ酸、安息香酸、サリチル酸、または酸性
脂溶性ビタミン(たとえば、リボフラビン)との簡単な酸−塩基反応によって容易に修飾
できる。他の化合物は、そのような酸をビタミン上の他の基、たとえばヒドロキシル基と
反応させて、エステル結合などの結合を形成することにより得ることができる。酸基を含
む水溶性ビタミンの誘導体は、疎水性基を含む反応体、たとえばステアリルアミンまたは
リボフラビンとの反応で製造でき、本発明の態様に有用な化合物が形成される。ビタミン
Cへのパルミテート鎖の結合により、パルミチン酸アスコルビルが得られる。
[0190] アミノ酸およびそれらの塩類
[0191] アラニン、アルギニン、アスパラギン類、アスパラギン酸、システイン、シス
テイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、イソロイシン、
ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファ
ン、チロシン、バリン、およびその誘導体は、本発明の態様に有用な他の添加剤である。
[0192] 特定のアミノ酸は、それらの双性イオン形態のもの、および/または一価もし
くは多価イオンとの塩の形態のものが、極性基をもち、オクタノール−水 分配係数が比
較的高く、本発明の態様に有用である。本発明の開示に関して、“低溶解性アミノ酸”は
、緩衝化されていない水中で約4%(40mg/ml)未満の溶解度をもつアミノ酸を意
味するものとする。これらには、シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソ
ロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメ
チオニンが含まれる。
[0193] アミノ酸の二量体、糖コンジュゲート、および他の誘導体も有用である。当技
術分野で周知の簡単な反応により、親水性分子を疎水性アミノ酸に、または疎水性分子を
親水性アミノ酸に結合させて、本発明の態様に有用なさらに他の添加剤を製造できる。
[0194] カテコールアミン類、たとえばドーパミン、レボドパ、カルビドパ、およびD
OPAも、添加剤として有用である。
[0195] オリゴペプチド、ペプチドおよびタンパク質
[0196] オリゴペプチドおよびペプチドは疎水性および親水性アミノ酸が容易にカップ
リングされるので添加剤として有用であり、種々のアミノ酸配列を試験して薬物の組織透
過を最大限に促進させることができる。
[0197] タンパク質も本発明の態様において添加剤として有用である。たとえば血清ア
ルブミンは水溶性であり、かつ薬物を結合する有意の疎水性部分を含有するので、特に好
ましい添加剤である:パクリタキセルはヒトに静脈内注入した後に89%〜98%がタン
パク質結合し、ラパマイシンは92%がタンパク質、主に(97%)アルブミンに結合す
る。さらに、PBS中でのパクリタキセルの溶解度はBSAの添加によって20倍以上増
大する。アルブミンは自然界で血清中に高濃度で存在するので、ヒトの血管内に使用する
ものとしてきわめて安全である。
[0198] 他の有用なタンパク質には、限定ではなく、他のアルブミン類、免疫グロブリ
ン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクロ
グロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類
などが含まれる。
[0199] 有機酸ならびにそれらのエステル、アミドおよび無水物
[0200] 例は、酢酸および無水物、安息香酸および無水物、ジエチレントリアミン五酢
酸ジアンヒドリド、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、
コハク酸および無水物、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アスコルビン酸、クエン
酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸 アスパラギン酸、ニコチン酸、2−ピロリドン−5−カル
ボン酸、アロイリチン酸、シェロリン酸、および2−ピロリドンである。アロイリチン酸
およびシェロリン酸はシェラックと呼ばれる樹脂を形成することができる。パクリタキセ
ル、アロイリチン酸、およびシェロリン酸を合わせてバルーンカテーテル用の薬物放出コ
ーティングとして使用できる。
[0201] これらのエステルおよび酸無水物は、有機溶剤、たとえばエタノール、アセト
ン、メチルエチルケトン、酢酸エチルに可溶性である。水不溶性薬物をこれらのエステル
、アミドおよび酸無水物を含む有機溶剤に溶解し、次いで容易に医療用具上にコーティン
グし、次いで高pH条件下で加水分解することができる。加水分解された酸無水物または
エステルは酸またはアルコール類であり、それらは水溶性であって効果的に薬物を医療用
具から離して脈管壁内へ運ぶことができる。
[0202] 1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまた
はエステル部分をもつ他の化学化合物
[0203] 本発明の態様による添加剤には、環状および線状両方の脂肪族および芳香族の
アミノアルコール類、アルコール類、アミン類、酸類、アミド類およびヒドロキシル酸類
が含まれる。例は下記のものである:L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコア
スコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒ
ドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン
、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクト
ン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒ
ドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン
酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖ホスフェート類、
リン酸グルコピラノース、糖スルフェート類、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチ
ルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2−エトキシエタノール、糖類、ガラク
トース、グルコース、リボース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マ
ルトース、アラビノース、リキソース、フルクトース、シクロデキストリン、(2−ヒド
ロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノ
イン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミ
ン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、上記のいずれかの有機酸およびアミンの塩類、ポリ
グリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレング
リコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エ
チレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコー
ル)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ
(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレング
リコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および
組合せ。
[0204] 添加剤の組合せも本発明の目的に有用である。
[0205] 1態様は、2種類の添加剤の組合せまたは混合物を含み、たとえば第1添加剤
は界面活性剤を含み、第2添加剤は1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボ
キシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物を含む。
[0206] 界面活性剤と水溶性小分子(1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カ
ルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物)の組合せまたは混合物は
利点をもつ。2種類の添加剤と水不溶性薬物の混合物を含む配合物は、特定の場合はいず
れかの添加剤を単独で含む混合物より優れている。疎水性薬物は、極端に水溶性である小
分子を、界面活性剤を結合するより弱く結合する。それらはしばしば水溶性小分子から相
分離し、このためコーティング均一性および統合性が最適に達しない可能性がある。水不
溶性薬物は、界面活性剤のものおよび水溶性小分子のものの両方より高いLog Pをも
つ。しかし、界面活性剤のLog Pは一般に、1以上のヒドロキシル、アミン、カルボ
ニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物のLog Pより
は高い。界面活性剤は比較的高いLog P(通常は0より大)をもち、水溶性分子は低
いLog P(通常は0未満)をもつ。ある界面活性剤は、本発明の態様に添加剤として
用いる場合、水不溶性薬物および医療用具の表面に著しく強く付着するので、薬物を標的
部位で医療用具の表面から迅速には放出できない。これに対し、ある水溶性小分子(1以
上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分
をもつ化学化合物)は医療用具に著しく弱く結合するので、それが標的部位に到達する前
に、コーティング付きバルーンカテーテルが介入のために標的とする部位へ移動する際に
、たとえば血清中へ薬物を放出する。意外にも、配合物中の親水性小分子と界面活性剤の
濃度比を調整することにより、移動中のコーティング安定性、および膨張して療法介入の
標的部位の内腔壁の組織に押し付けられた際の迅速な薬物放出が、場合によっては、いず
れかの添加剤を単独で含む配合物より優れていることを、本発明者らは見出した。さらに
、水不溶性薬物と水溶性が高い分子との混和性および相溶性は、界面活性剤の存在によっ
て向上する。界面活性剤は、薬物および小分子へのそれの良好な付着によって、コーティ
ングの均一性および統合性も向上させる。界面活性剤の長鎖疎水性部分は薬物を緊密に結
合し、一方、界面活性剤の親水性部分は水溶性小分子を結合する。
[0207] 混合物または組合せ中の界面活性剤には、本発明の態様に使用するものとして
本明細書に記載したすべての界面活性剤が含まれる。混合物中の界面活性剤は、下記のも
のから選択できる:PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸エステルおよびアル
コール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセ
リル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PE
G糖エステル類、Tween 20、Tween 40、Tween 60、p−イソノ
ニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレエート、PEGステア
レート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリル
ステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリル
ミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグ
リセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6
パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート
、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート、PEG
ソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオ
レエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライル
エーテル、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80
、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、
モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−
グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グ
ルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカ
ミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシ
ド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n
−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オク
チル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、およびそ
れらの誘導体。
[0208] 混合物または組合せ中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボ
キシル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物には、本発明の態様に使用する
ものとして本明細書に記載した1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシ
ル、酸、アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物がすべて含まれる。混合物中の1以
上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分
をもつ化学化合物は、本発明の態様のうちの1つにおいて、少なくとも1つのヒドロキシ
ル基をもつ。特定の態様において、たとえば高分子量添加剤の場合は4つより多いヒドロ
キシル基が好ましい。ある態様において、4つより多いヒドロキシル基をもつ化学化合物
は120℃以下の融点をもつ。大分子は拡散するのが遅い。添加剤または化学化合物の分
子量が高い場合、たとえば分子量が800より大、1000より大、1200より大、1
500より大、または2000より大である場合、大分子は医療用具の表面から溶出する
のが遅すぎて薬物を2分未満で放出できない可能性がある。これらの大分子が4つより多
いヒドロキシル基を含むとそれらは親水性が増大し、これは比較的大きな分子が薬物を速
やかに放出するために必要である。親水性の増大はコーティングがバルーンから離れて溶
出するのを補助し、薬物の放出を促進し、薬物が水バリヤーおよび脂質二重層の極性ヘッ
ド基を通って移動して組織に浸透するのを向上させ、または容易にする。ヒドロキシル基
は水不溶性薬物、たとえばパクリタキセルまたはラパマイシンと反応しないと考えられる
ので、親水性部分として好ましい。
[0209] 混合物中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシル、酸、
アミドまたはエステル部分をもつ化学化合物は、下記のものから選択される:L−アスコ
ルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、ト
リエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール
類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グル
コノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン
、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン
酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロ
ピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトー
ル、グルシトール、糖ホスフェート類、リン酸グルコピラノース、糖スルフェート類、シ
ナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、
2−エトキシエタノール、糖類、ガラクトース、グルコース、リボース、マンノース、キ
シロース、スクロース、ラクトース、マルトース、アラビノース、リキソース、フルクト
ース、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセト
アミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、
没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸、上記のいず
れかの有機酸およびアミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロー
ル類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テト
ラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール
)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(
プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレング
リコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロック
コポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[0210] 界面活性剤と水溶性小分子の混合物または組合せは、両方の添加剤の利点をも
たらす。水不溶性薬物は水溶性の高い化学化合物との相溶性にしばしば乏しく、界面活性
剤は相溶性を向上させる。界面活性剤はコーティングの品質、均一性および統合性も向上
させ、取扱いに際して粒子がバルーンから脱落しない。界面活性剤は標的部位へ移動する
際の薬物損失を減らす。水溶性化学化合物は、バルーンからの薬物放出および組織への薬
物吸収を向上させる。実験によれば、この組合せは意外にも、移動に際して薬物放出を阻
止し、かつ0.2〜2分のごく短期間の配置後に組織中の高い薬物レベルを達成するのに
効果的であった。さらに、動物試験で、それは動脈狭窄および遅発性内腔喪失を効果的に
軽減した。
[0211] 界面活性剤と水溶性小分子のある混合物または組合せは、加熱下できわめて安
定である。それらはエチレンオキシド殺菌プロセスで存続し、殺菌処理中に水不溶性薬物
パクリタキセルまたはラパマイシンと反応しない。ヒドロキシル、エステル、アミド基は
パクリタキセルまたはラパマイシンなどの薬物と反応しないと考えられるので好ましい。
アミンおよび酸基は時にはエチレンオキシド殺菌、加熱およびエージング下でパクリタキ
セルと実際に反応し、安定ではない。本明細書に記載する混合物または組合せをパクリタ
キセルと共に配合する場合、薬物層を保護し、用具の間での早期薬物損失から保護するた
めに、トップコート層が有利な可能性がある。
[0212] 液体添加剤
[0213] 固体添加剤が薬物コーティング付き医療用具にしばしば用いられる。ヨウ素造
影剤であるイオプロミドはパクリタキセルと共にバルーンカテーテルをコーティングする
ために用いられている。これらのタイプのコーティングは液体化学化合物を含有しない。
そのコーティングはパクリタキセル固体とイオプロミド固体がバルーンカテーテルの表面
で凝集したものである。このコーティングは医療用具への付着性がなく、コーティング粒
子は取扱いおよび介入操作中に脱落する。水不溶性薬物、たとえばパクリタキセル、ラパ
マイシン、およびその類似体は、しばしば固体の化学化合物である。本発明の態様におい
て、液体添加剤を医療用具コーティング中に用いて、コーティングの統合性を向上させる
ことができる。固体薬物および/または他の固体添加剤の相溶性を向上させることができ
る液体添加剤の使用が好ましい。2以上の固体粒子の凝集体ではない固体のコーティング
溶液を形成できる液体添加剤の使用が好ましい。他の添加剤および薬物が固体である場合
、少なくとも1種類の液体添加剤の使用が好ましい。
[0214] 本発明の態様に用いられる液体添加剤は溶剤ではない。エタノール、メタノー
ル、ジメチルスルホキシド、およびアセトンなどの溶剤は、コーティングを乾燥させた後
に蒸発しているであろう。言い換えると、溶剤は、コーティングを乾燥させた後にコーテ
ィング中には残存しないであろう。これと対照的に、本発明の態様における液体添加剤は
、コーティングを乾燥させた後にコーティング中に残存するであろう。液体添加剤は室温
および1気圧で液体または半液体である。液体添加剤は室温でゲルを形成することができ
る。液体添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、
疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワー
ルス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つである。
液体添加剤は油ではない。
[0215] 非イオン性界面活性剤はしばしば液体添加剤である。液体添加剤の例には、前
記に述べたPEG−脂肪酸およびエステル、PEG−油エステル交換生成物、ポリグリセ
リル脂肪酸およびエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、PEGソルビタン脂
肪酸エステル、およびPEGアルキルエーテルが含まれる。液体添加剤の若干例は、Tw
een 80、Tween 81、Tween 20、Tween 40、Tween
60、Solutol HS 15、Cremophor RH40、およびCremo
phor ELおよびELPである。
[0216] 1種類より多い添加剤
[0217] 1態様において、医療用具の外面を覆う層またはコーティングは1種類より多
い添加剤、たとえば2、3または4種類の添加剤を含む。1態様において、コーティング
層は少なくとも1種類の添加剤を含み、この少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤およ
び第2添加剤を含み、第1添加剤は第2添加剤より親水性である。他の態様において、コ
ーティング層は少なくとも1種類の添加剤を含み、この少なくとも1種類の添加剤は第1
添加剤および第2添加剤を含み、第1添加剤は第2添加剤のものと異なる構造をもつ。他
の態様において、コーティング層は少なくとも1種類の添加剤を含み、この少なくとも1
種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、第1添加剤のHLB値は第2添加剤
のものより高い。さらに他の態様において、コーティング層は少なくとも1種類の添加剤
を含み、この少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、第1添加
剤のLog P値は第2添加剤のものより低い。たとえば、ソルビトール(Log P
−4.67)はTween 20(Log P 約3.0)より親水性である。PEG脂
肪酸エステルは脂肪酸より親水性である。ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)(L
og P 1.31)はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)(Log P 5.32
)より親水性である。
[0218] 他の態様において、医療用具の外面を覆う層またはコーティングは1種類より
多い界面活性剤、たとえば2、3または4種類の界面活性剤を含む。1態様において、コ
ーティング層は少なくとも1種類の界面活性剤を含み、この少なくとも1種類の界面活性
剤は第1界面活性剤および第2界面活性剤を含み、第1界面活性剤は第2界面活性剤より
親水性である。他の態様において、コーティング層は少なくとも1種類の界面活性剤を含
み、この少なくとも1種類の界面活性剤は第1界面活性剤および第2界面活性剤を含み、
第1界面活性剤のHLB値は第2界面活性剤のものより高い。たとえば、Tween 8
0(HLB 15)はTween 20(HLB 16.7)より親水性である。Twe
en 80(HLB 15)はTween 81(HLB 10)より親水性である。P
luronic F68(HLB 29)はSolutol HS 15(HLB 15
.2)より親水性である。ドデシル硫酸ナトリウム(HBL 40)はドクセートナトリ
ウム(HLB 10)より親水性である。Tween 80(HBL 15)はCrea
mophor EL(HBL 13)より親水性である。
[0219] 好ましい添加剤には下記のものが含まれる:p−イソノニルフェノキシポリグ
リシドール、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセ
リルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセ
リルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート
、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセ
リル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10
ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート、PEGソルビタンモノラウレート
、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタ
ンステアレート、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン
酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デ
シル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシ
ル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N
−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D
−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチル
グルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカ
ミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノ
シド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニ
ン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン(アミノ酸);セ
トチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸および
それの塩、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン
、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナ
トリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6
、およびビタミンU(ビタミン類);アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモ
グロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネ
クチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム
、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリ
ウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリ
ウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビ
ン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグ
ルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシ
ルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコ
オクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラク
トビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ
安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラク
トビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロ
ピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプ
ロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、
酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロ
ポフォール、乳酸類、酢酸、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドー
ル、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)
、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリ
コール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ
(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレ
ングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールと
ポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ(1
以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基
を有する化学化合物)。これらの添加剤のうちあるものは水溶性であり、かつ有機溶剤可
溶性である。それらは良好な接着特性をもち、ポリアミド医療用具、たとえばバルーンカ
テーテルの表面に付着する。したがって、それらは本発明の態様の接着層、最上層、およ
び/または薬物層中に使用できる。芳香族および脂肪族の基はコーティング溶液中におけ
る水不溶性薬物の溶解性を高め、アルコール類および酸の極性基は薬物の組織透過を促進
する。
[0220] 本発明の態様による他の好ましい添加剤には、アミノアルコールと有機酸の組
合せまたは混合物またはアミド反応生成物が含まれる。例は、リジン/グルタミン酸、酢
酸リジン、ラクトビオン酸/メグルミン、ラクトビオン酸/トロメタネミン(tromethanem
ine)、ラクトビオン酸/ジエタノールアミン、乳酸/メグルミン、乳酸/トロメタネミン
、乳酸/ジエタノールアミン、ゲンチシン酸/メグルミン、ゲンチシン酸/トロメタネミ
ン、ゲンシチン酸/ジエタノールアミン、バニリン酸/メグルミン、バニリン酸/トロメ
タネミン、バニリン酸/ジエタノールアミン、安息香酸/メグルミン、安息香酸/トロメ
タネミン、安息香酸/ジエタノールアミン、酢酸/メグルミン、酢酸/トロメタネミン、
および酢酸/ジエタノールアミンである。
[0221] 本発明の態様による他の好ましい添加剤には、ヒドロキシルケトン、ヒドロキ
シルラクトン、ヒドロキシル酸、ヒドロキシルエステル、およびヒドロキシルアミドが含
まれる。例は、グルコノラクトン、D−グルコヘプトノ−1,4−ラクトン、グルコオク
タン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、エリスロン酸ラクトン、リボ
ン酸ラクトン、グルクロン酸、グルコン酸、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、乳酸、アセ
トアミノフェン、バニリン酸、シナピン酸、ヒドロキシ安息香酸、メチルパラベン、プロ
ピルパラベン、およびその誘導体である。
[0222] 本発明の態様に使用できる他の好ましい添加剤には、リボフラビン、リン酸リ
ボフラビンナトリウム、ビタミンD3、葉酸(ビタミンB9)、ビタミン12、ジエチレ
ントリアミン五酢酸ジアンヒドリド、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン
酸および無水物、コハク酸および無水物、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、L−ア
スコルビン酸、チアミン、ニコチンアミド、ニコチン酸、2−ピロリドン−5−カルボン
酸、システイン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニ
ン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニンが含まれる。
[0223] 構造の観点から、これらの添加剤は構造類似性を共有し、水不溶性薬物(たと
えば、パクリタキセルおよびラパマイシン)と相溶性である。それらはしばしば二重結合
、たとえばC=C、C=N、C=Oを芳香族または脂肪族構造中に含む。これらの添加剤
は、アミン、アルコール、エステル、アミド、酸無水物、カルボン酸、および/またはヒ
ドロキシル基も含む。それらは薬物との水素結合および/またはファンデルワールス相互
作用を形成することができる。それらはコーティングの最上層中にも有用である。たとえ
ば、1以上のヒドロキシル、カルボキシル、またはアミン基を含む化合物は、医療用具表
面からの薬物放出を促進し、細胞膜の極性ヘッド基および表面タンパク質に接する水を容
易に排除し、これによって疎水性薬物の透過性に対するこのバリヤーを除去できるので、
添加剤として特に有用である。それらは、疎水性薬物がバルーンから離れて、薬物がきわ
めて高い親和性をもつ細胞膜および組織の脂質層へ移動するのを促進する。それらはまた
、薬物がバルーンから離れて、より水性の環境、たとえばバルーン血管形成術またはステ
ント膨張によって損傷を受けた血管組織の間質腔内などへ移動するのを運搬または促進す
ることができる。ポリグリセリル脂肪酸エステル、脂肪酸のアスコルビン酸エステル、脂
肪酸の糖エステル、アルコール類およびエーテル類などの添加剤は、標的組織の膜の脂質
構造内へ統合されて薬物を脂質構造へ運ぶことができる脂肪鎖をもつ。アミノ酸、ビタミ
ンおよび有機酸のうちあるものは、それらの構造に芳香族C=N基、ならびにアミノ、ヒ
ドロキシル、およびカルボン酸成分をもつ。それらはパクリタキセルまたはラパマイシン
などの疎水性薬物と結合または複合体形成しうる構造部分を備えており、それらは疎水性
薬物と細胞膜の脂質構造との間の疎水性バリヤーを除去することにより組織透過を容易に
する構造部分も備えている。
[0224] たとえば、イソノニルフェニルポリグリシドール(Olin−10 Gおよび
Surfactant−10G)、PEGグリセリルモノオレエート、ソルビタンモノラ
ウレート(Arlacel 20)、ソルビタンモノパルミテート(Span−40)、
ソルビタンモノオレエート(Span−80)、ソルビタンモノステアレート、ポリグリ
セリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10
パルミテート、およびポリグリセリル−10 ステアレートはすべて、それらの親水性
部分に4つより多いヒドロキシル基をもつ。これらのヒドロキシル基は血管壁に対してき
わめて良好な親和性をもち、水素結合した水分子を排除することができる。同時にそれら
は、疎水性薬物と複合体形成しかつ細胞膜の脂質構造内へ統合されて脂質構造の一部を形
成することができる長鎖の脂肪酸、アルコール類、エーテル類およびエステル類をもつ。
標的細胞の脂質膜のこの変形または緩みは、組織内への疎水性薬物の透過をさらに促進す
ることができる。
[0225] 他の例として、L−アスコルビン酸、チアミン、マレイン酸類、ナイアシンア
ミド、および2−ピロリドン−5−カルボン酸はすべて、きわめて高い水溶性およびエタ
ノール溶解性、ならびに低い分子量および小さなサイズをもつ。それらはまた、芳香族C
=N、アミノ、ヒドロキシル、およびカルボン酸基を含む構造成分をもつ。これらの構造
はパクリタキセルおよびラパマイシンときわめて良好な相溶性をもち、水中におけるこれ
らの水不溶性薬物の溶解性を高め、組織内へのそれらの吸収を増強することができる。し
かし、それらはしばしば医療用具の表面に対する付着性に乏しい。したがって、それらは
好ましくは他の添加剤と組み合わせて薬物層および最上層中に用いられ、薬物吸収の増強
に有用となる。ビタミンD2およびD3は、特にパクリタキセルと組み合わせて用いると
それら自体が再狭窄防止効果をもち、血栓症を軽減するので、特に有用である。
[0226] 本発明の態様において、添加剤は水性溶剤に可溶性であり、かつ有機溶剤に可
溶性である。十分な親水性部分がなく、水性溶剤に不溶性である疎水性化合物の例、たと
えばSudan Redは、これらの態様において添加剤として有用ではない。Suda
n redは遺伝毒性でもある。
[0227] 1態様において、医療用具の表面に付与する少なくとも1種類の療法薬の濃度
密度は、約1から20μg/mmまで、またはより好ましくは約2から6μg/mm
までである。1態様において、医療用具の表面に付与する少なくとも1種類の添加剤の濃
度は、約1から20μg/mmまでである。本発明の態様におけるコーティング層中の
添加剤と薬物の重量比は約20対0.05、好ましくは約10対0.5、またはより好ま
しくは約5対0.8である。
[0228] コーティング層中の療法薬と添加剤の相対量は、適用する可能性のある環境に
応じて変更できる。添加剤の最適量は、たとえば選択した個々の療法薬および添加剤、そ
れがミセルを形成する場合には表面改質剤の臨界ミセル濃度、界面活性剤の親水性−親油
性−バランス(HLB)、または添加剤のオクトノール−水分配係数(P)、添加剤の融
点、添加剤および/または療法薬の水溶性、表面改質剤の水溶液の表面張力などに依存す
る可能性がある。
[0229] 本発明の態様のコーティング組成物の例において、添加剤は、水溶液で希釈し
た際に疎水性療法薬を水溶液または有機溶液中に含有する透明な水性の分散液またはエマ
ルジョンまたは溶液をキャリヤーが形成するような量で存在する。界面活性剤の相対量が
大きすぎると、得られる分散液は目視できるほど“混濁”する。
[0230] 水性分散液の光学的澄明度は、濁度評価のための標準的な定量法を用いて測定
できる。濁度を測定するための簡便な1方法は、その溶液を透過した特定波長の光の量を
たとえばUV−可視分光光度計で測定するものである。この方法を用いると、より混濁し
た溶液ほどより多くの入射光線を散乱してより低い透過度測定値を生じるであろうから、
光学的澄明度は高い透過度に相当する。
[0231] 光学的澄明度および水性境界層を通るキャリヤー拡散度を測定するための他の
方法は、分散液を構成する粒子のサイズを定量測定するものである。これらの測定法は、
市販の粒度分析計で実施できる。
[0232] 他の考慮事項は、種々の添加剤の相対比の選択についてさらに情報を提供する
であろう。これらの考慮事項には、添加剤の生体許容度および供給すべき疎水性療法薬の
目的用量が含まれる。
[0233] 療法薬
[0234] 本発明の態様に使用できる薬物または生物活性物質は、いかなる療法薬または
物質であってもよい。薬物は多様な物理的状態、たとえば分子分布、結晶形態またはクラ
スター形態であってよい。本発明の態様に特に有用な薬物の例は、親油性である実質的に
水不溶性の薬物、たとえばパクリタキセル、ラパマイシン、ダウノルビシン(daunorubici
n)、ドキソルビシン(doxorubicin)、ラパコン(lapachone)、ビタミンD2およびD3、な
らびにその類似体および誘導体である。これらの薬物は、脈管の組織を処置するために用
いるバルーンカテーテル上のコーティング中に使用するのに特に適切である。
[0235] 本発明の態様に使用できる他の薬物には、限定ではなく、グルココルチコイド
類(たとえば、デキサメタゾン、ベタメタゾン)、ヒルジン、アンギオペプチン、アスピ
リン、増殖因子、アンチセンス薬、抗癌薬、抗増殖薬、オリゴヌクレオチド、ならびに、
より一般的には抗血小板薬、抗凝固薬、細胞分裂抑制薬、抗酸化薬、代謝拮抗薬、走化抑
制薬、および抗炎症薬が含まれる。
[0236] 同様に本発明の態様に有用なものは、たとえば炎症および/または平滑筋細胞
もしくは線維芽細胞の増殖を阻害するポリヌクレオチド、アンチセンス、RNAi、また
はsiRNAである。
[0237] 抗血小板薬には、アスピリンおよびジピリダモール(dipyridamole)などの薬物
を含めることができる。アスピリンは、鎮痛、解熱、抗炎症および抗血小板薬として分類
される。ジピリダモールは、抗血小板特性をもつという点でアスピリンに類似する薬物で
ある。ジピリダモールは冠血管拡張薬としても分類される。本発明の態様に用いる抗凝固
薬には、ヘパリン、プロタミン、ヒルジンおよびマダニ抗凝固タンパク質などの薬物を含
めることができる。抗酸化薬には、プロブコール(probucol)を含めることができる。抗増
殖薬には、アモルジピン(amlodipine)およびドキサゾシン(doxazosin)などの薬物を含め
ることができる。本発明の態様に使用できる細胞分裂抑制薬および代謝拮抗薬には、メト
トレキセート(methotrexate)、アザチオプリン(azathioprine)、ビンクリスチン(vincris
tine)、ビンブラスチン(vinblastine)、5−フルオロウラシル、アドリアマイシン(adria
mycin)およびミュータマイシン(mutamycin)などの薬物を含めることができる。本発明の
態様に使用するための抗生物質には、ペニシリン、セフォキシチン(cefoxitin)、オキサ
シリン(oxacillin)、トブラマイシン(tobramycin)およびゲンタマイシン(gentamicin)が
含まれる。本発明の態様に使用するのに適した抗酸化薬には、プロブコールが含まれる。
さらに、遺伝子もしくは核酸またはその一部を本発明の態様に療法薬として使用できる。
さらに、コラーゲン合成阻害薬、たとえばトラニラスト(tranilast)を本発明の態様に療
法薬として使用できる。
[0238] 種々のポルフィリン化合物、たとえばポルフィマー(porfimer)を含めた光力学
療法または放射線療法のための光増感剤も、本発明の態様における薬物として有用である
[0239] 本発明の態様に使用するための薬物には、下記のものも含まれる:エベロリム
ス(everolimus)、ソマトスタチン(somatostatin)、タクロリムス(tacrolimus)、ロキシス
ロマイシン(roxithromycin)、デュナイマイシン(dunaimycin)、アスコマイシン(ascomyci
n)、バフィロマイシン(bafilomycin)、エリスロマイシン(erythromycin)、ミデカマイシ
ン(midecamycin)、ジョサマイシン(josamycin)、コンカナマイシン(concanamycin)、クラ
リスロマイシン(clarithromycin)、トロレアンドマイシン(troleandomycin)、フォリマイ
シン(folimycin)、セリバスタチン(cerivastatin)、シンバスタチン(simvastatin)、ロバ
スタチン(lovastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)
、アトルバスタチン(atorvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、ピタバスタチン(pi
tavastatin)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビスクリスチン(vincristine)、ビンデシ
ン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teni
poside)、ニムスチン(nimustine)、カルムスチン(carmustine)、ロムスチン(lomustine)
、シクロホスファミド、4−ヒドロキシシクロホスファミド、エストラムスチン(estramu
stine)、メルファラン(melphalan)、イホスファミド(ifosfamide)、トロホスファミド(tr
ofosfamide)、クロラムブシル(chlorambucil)、ベンダムスチン(bendamustine)、デカル
バジン(dacarbazine)、ブスルファン(busulfan)、プロカルバジン(procarbazine)、トレ
オスルファン(treosulfan)、テモゾロミド(temozolomide)、チオテパ(thiotepa)、ダウノ
ルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、アクラルビシン(aclarubicin)
、エピルビシン(epirubicin)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、イダルビシン(idarubi
cin)、ブレオマイシン(bleomycin)、マイトマイシン(mitomycin)、ダクチノマイシン(dac
tinomycin)、メトトレキセート(methotrexate)、フルダラビン(fludarabine)、5’−リ
ン酸二水素フルダラビン、クラドリビン(cladribine)、メルカプトプリン(mercaptopurin
e)、チオグアニン(thioguanine)、シタラビン(cytarabine)、フルオロウラシル(fluorour
acil)、ゲムシタビン(gemcitabine)、カペシタビン(capecitabine)、ドセタキセル(docet
axel)、カルボプラチン(carboplatin)、シスプラチン(cisplatin)、オキサリプラチン(ox
aliplatin)、アムサクリン(amsacrine)、イリノテカン(irinotecan)、トポテカン(topote
can)、ヒドロキシカルバミド(hydroxycarbamide)、ミルテホシン(miltefosine)、ペント
スタチン(pentostatin)、アルデスロイキン(aldesleukin)、トレチノイン(tretinoin)、
アスパラギナーゼ、ペグアスパラギナーゼ(pegaspargase)、アナストロゾール(anastrozo
le)、エキセメスタン(exemestane)、レトロゾール(letrozole)、ホルメスタン(formestan
e)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アドリアマイシン(adriamycin)、アジス
ロマイシン(azithromycin)、スピラマイシン(spiramycin)、セファランチン(cepharantin
)、smc増殖阻害薬−2w、エポチロン(epothilone)AおよびB、ミトキサントロン(mi
toxantrone)、アザチオプリン(azathioprine)、マイコフェノールアトモフェチル(mycoph
enolatmofetil)、c−myc−アンチセンス、b−myc−アンチセンス、ベツリン酸(b
etulinic acid)、カンプトテシン(camptothecin)、ラパコール(lapachol)、ベータ-ラパ
コン(beta.-lapachone)、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、ベツリン(betulin)、
ポドフィル酸2−エチルヒドラジド(podophyllic acid 2-ethylhydrazide)、モルグラモ
スチム(molgramostim (rhuGM-CSF))、ペグインターフェロン(peginterferon)a−2b、
レノグラスチム(lenograstim (r-HuG-CSF))、フィルグラスチム(filgrastim)、マクロゴ
ール(macrogol)、デカルバジン(dacarbazine)、バシリキシマブ(basiliximab)、ダクリズ
マブ(daclizumab)、セレクチン(selectin (サイトカインアンタゴニスト))、CETP阻
害薬、カドヘリン類、サイトキニン阻害薬、COX−2阻害薬、NFkB、アンギオペプ
チン(angiopeptin)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、カンプトテシン(camptotheci
n)、フルオロブラスチン(fluroblastin)、筋細胞増殖を阻害するモノクローナル抗体、b
FGFアンタゴニスト類、プロブコール(probucol)、プロスタグランジン類、1,11−
ジメトキシカンチン−6−オン(1,11-dimethoxycanthin-6-on)、1−ヒドロキシ−11−
メトキシカンチン−6−オン、スコポレチン(scopoletin)、コルヒチン、NOドナー類、
たとえば四硝酸ペンタエリトリトールおよびシンドノエイミン(syndnoeimine)類、S−ニ
トロソ誘導体、タモキシフェン(tamoxifen)、スタウロスポリン(staurosporine)、ベータ
−エストラジオール、a−エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエ
ストラジオール、ホスフェストロール(fosfestrol)、メドロキシプロゲステロン(medroxy
progesterone)、エストラジオールシピオネート(estradiol cypionate)類、安息香酸エス
トラジオール類、トラニラスト(tranilast)、カメバカウリン(kamebakaurin)および癌療
法に適用される他のテニポシド類、ベラパミル(verapamil)、チロシンキナーゼ阻害薬(チ
ルホスチン(tyrphostine)類)、サイクロスポリンA、6−a−ヒドロキシ−パクリタキセ
ル、バッカチン(baccatin)、タキソテール(taxotere)および他のカーボンサブオキサイド
の多環式オリゴマー(macrocyclic oligomer of carbon suboxide)(MCS)およびその
誘導体、モフェブタゾン(mofebutazone)、アセメタシン(acemetacin)、ジクロフェナク(d
iclofenac)、ロナゾラック(lonazolac)、ダプソン(dapsone)、o−カルバモイルフェノキ
シ酢酸、リドカイン(lidocaine)、ケトプロフェン(ketoprofen)、メフェナム酸(mefenami
c acid)、ピロキシカム(piroxicam)、メロキシカム(meloxicam)、リン酸クロロキン(chlo
roquine phosphate)、ペニシラミン(penicillamine)、ヒドロキシクロロキン(hydroxychl
oroquine)、オーラノフィン(auranofin)、オーロチオマレートナトリウム(sodium auroth
iomalate)、オキサセプロール(oxaceprol)、セレコキシブ(celecoxib)、ベータ−シトス
テリン(beta.-sitosterin)、アデメチオニン(ademetionine)、ミルテカイン(myrtecaine)
、ポリドカノール(polidocanol)、ノニバミド(nonivamide)、レボメントール(levomentho
l)、ベンゾカイン(benzocaine)、エスシン(aescin)、エリプチシン(ellipticine)、D−
24851(Calbiochem)、コルセミド(colcemid)、サイトカラシン(cytochalasin)A〜E
、インダノシン(indanocine)、ノコダゾール(nocodazole)、S 100プロテイン、バシ
トラシン(bacitracin)、ビトロネクチン(vitronectin)受容体アンタゴニスト類、アゼラ
スチン(azelastine)、メタルプロテイナーゼ−1および−2のグアニジルシクラーゼ刺激
因子組織阻害薬、遊離核酸、ウイルス伝達物質に取り込ませた核酸、DNAおよびRNA
フラグメント、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター−1、プラスミノーゲンア
クチベーターインヒビター−2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGF阻害薬、I
GF−1、抗生物質グループの有効薬剤、たとえばセファドロキシル(cefadroxil)、セフ
ァゾリン(cefazolin)、セファクロル(cefaclor)、セフォタキシム(cefotaxim)、トブラマ
イシン(tobramycin)、ゲンタマイシン(gentamycin)、ペニシリン類、たとえばジクロキサ
シリン(dicloxacillin)、オキサシリン(oxacillin)、スルホンアミド類、メトロニダゾー
ル(metronidazol)、抗血栓症薬、たとえばアルガトロバン(argatroban)、アスピリン、ア
ブシキシマブ(abciximab)、合成アンチトロンビン、ビバリルジン(bivalirudin)、クマジ
ン(coumadin)、エノキサパリン(enoxaparin)、脱硫酸およびN−再アセチル化したヘパリ
ン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、GpIIb/IIIa血小板膜受容体、Xa
因子阻害抗体、ヘパリン、ヒルジン(hirudin)、r−ヒルジン、PPACK、プロタミン(
protamin)、プロウロキナーゼ(prourokinase)、ストレプトキナーゼ、ワルファリン(warf
arin)、ウロキナーゼ、血管拡張薬、たとえばジピラミドール(dipyramidole)、トラピジ
ル(trapidil)、ニトロプルシド類、PDGFアンタゴニスト類、たとえばトリアゾロピリ
ミジンおよびセラミン(seramin)、ACE阻害薬、たとえばカプトプリル(captopril)、シ
ラザプリル(cilazapril)、リシノプリル(lisinopril)、エナラプリル(enalapril)、ロサ
ルタン(losartan)、チオールプロテアーゼ阻害薬、プロスタサイクリン(prostacyclin)、
バピプロスト(vapiprost)、インターフェロンa、ベータおよびy、ヒスタミンアンタゴ
ニスト類、セロトニン遮断薬、アポトーシス阻害薬、アポトーシス調節薬、たとえばp6
5 NF−kBまたはBcl−xLアンチセンスオリゴヌクレオチド、ハロフギノン(hal
ofuginone)、ニフェジピン(nifedipine)、トラニラスト(tranilast)、モルシドミン(mols
idomine)、茶ポリフェノール類、没食子酸エピカテキン、没食子酸エピガロカテキン、ボ
スウェル酸(Boswellic acid)類およびその誘導体、レフルノミド(leflunomide)、アナキ
ンラ(anakinra)、エタネルセプト(etanercept)、スルファサラジン(sulfasalazine)、エ
トポシド(etoposide)、ジクロキサシリン(dicloxacillin)、テトラサイクリン、トリアム
シノロン(triamcinolone)、ミュータマイシン(mutamycin)、プロカインアミド(procainam
ide)、レチノイン酸、キニジン(quinidine)、ジソピラミド(disopyramide)、フレカイニ
ド(flecainide)、プロパフェロン(propafenone)、ソタロール(sotalol)、アミドロン(ami
dorone)、天然および合成ステロイド類、たとえばブリオフィリンA(bryophyllin A)、イ
ノトジオール(inotodiol)、マキロシドA(maquiroside A)、ガラキノシド(ghalakinoside
)、マンソニン(mansonine)、ストレブロシド(strebloside)、ヒドロコルチゾン(hydrocor
tisone)、ベタメタゾン(betamethasone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、非ステロイ
ド系物質(NSAID)、たとえばフェノプロフェン(fenoprofen)、イブプロフェン(ibu
profen)、インドメタシン(indomethacin)、ナプロキセン(naproxen)、フェニルブタゾン(
phenylbutazone)および他の抗ウイルス薬、たとえばアシクロビル(acyclovir)、ガンシク
ロビル(ganciclovir)およびジドブジン(zidovudine)、抗真菌薬、たとえばクロトリマゾ
ール(clotrimazole)、フルシトシン(flucytosine)、グリセオフルビン(griseofulvin)、
ケトコナゾール(ketoconazole)、ミコナゾール(miconazole)、ナイスタチン(nystatin)、
テルビナフィン(terbinafine)、抗原虫薬、たとえばクロロキン(chloroquine)、メフロキ
ン(mefloquine)、キニン(quinine)、他の天然テルペノイド類、たとえばヒッポケスクリ
ン(hippocaesculin)、バリングトゲノール−C21−アンゲレート(barringtogenol-C21-
angelate)、14−デヒドロアグロスチスタキン(14-dehydroagrostistachin)、アグロス
ケリン(agroskerin)、アグロスチスタキン(agrostistachin)、17−ヒドロキシアグロス
チスタキン、オバトジオリド(ovatodiolid)類、4,7−オキシシクロアニソメリン酸(4,
7-oxycycloanisomelic acid)、バッカリノイド(baccharinoid)B1、B2、B3およびB
7、ツベイモシド(tubeimoside)、ブルセアノール(bruceanol)A、BおよびC、ブルセア
ンチノシド(bruceantinoside)C、ヤダンジオシド(yadanzioside)NおよびP、イソデオ
キシエレファントピン(isodeoxyelephantopin)、トメンファントピン(tomenphantopin)A
およびB、コロナリン(coronarin)A、B、CおよびD、ウルソール酸(ursolic acid)、
ヒプタチン酸(hyptatic acid)A、ゼオリン(zeorin)、イソ−イリドゲルマナール(iso-ir
idogermanal)、メイテンホリオール(maytenfoliol)、エフサンチン(effusantin)A、エキ
サイサニン(excisanin)AおよびB、ロンギカウリン(longikaurin)B、スカルポネアチン
(sculponeatin)C、カメバウニン(kamebaunin)、ロイカメニン(leukamenin)AおよびB、
13,18−デヒドロ−6−a−セネシオイルオキシチャパリン(13,18-dehydro-6-a-sen
ecioyloxychaparrin)、タキサマイリン(taxamairin)AおよびB、レゲニロール(regenilo
l)、トリプトリド(triptolide)、さらに
他のシマリン(cymarin)、アポシマリン(apocymarin)、アリストロキン酸(aristolochic a
cid)、アノプテリン(anopterin)、ヒドロキシアノプテリン(hydroxyanopterin)、アネモ
ニン(anemonin)、プロトアネモニン(protoanemonin)、ベルベリン(berberine)、塩化ケリ
ブリン(cheliburin chloride)、シクトキシン(cictoxin)、シノコクリン(sinococuline)
、ボンブレスタチン(bombrestatin)AおよびB、クドライソフラボン(cudraisoflavone)
A、クルクミン(curcumin)、ジヒドロニチジン(dihydronitidine)、塩化ニチジン(nitidi
ne chloride)、12−ベータ−ヒドロキシプレグナジエン−3,20−ジオン、ビロボー
ル(bilobol)、ギンゴール(ginkgol)、ギンゴール酸(ginkgolic acid)、ヘレナリン(helen
alin)、インジシン(indicine)、インジシン−N−オキシド、ラシオカルピン(lasiocarpi
ne)、イノトジオール(inotodiol)、グリコシド1a、ポドフィロトキシン(podophyllotox
in)、ジャスチサイジン(justicidin)AおよびB、ラレアチン(larreatin)、マロテリン(m
alloterin)、マロトクロマノール(mallotochromanol)、イソブチリルマロトクロマノール
(isobutyrylmallotochromanol)、マキロシド(maquiroside)A、マルカンチン(marchantin
)A、メイタンシン(maytansine)、リコリジシン(lycoridicin)、マルゲチン(margetine)、
パンクラチスタチン(pancratistatin)、リリオデニン(liriodenine)、ビスパルテノリジ
ン(bisparthenolidine)、オキソウシンスニン(oxoushinsunine)、アリストラクタム−A
II(aristolactam-AII)、ビスパルテノリジン(bisparthenolidine)、ペリプロコシド(pe
riplocoside)A、ガラキノシド(ghalakinoside)、ウルソール酸(ursolic acid)、デオキ
シプソロスペルミン(deoxypsorospermin)、サイコルビン(psychorubin)、リシン(ricin)
A、サンギナリン(sanguinarine)、マンウホイートアシッド(manwu wheat acid)、メチル
ソルビホリン(methylsorbifolin)、スファテリアクロメン(sphatheliachromen)、スチゾ
フィリン(stizophyllin)、マンソニン(mansonine)、ストレブロシド(strebloside)、アカ
ゲリン(akagerine)、ジヒドロウサムバレンシン(dihydrousambarensine)、ヒドロキシウ
サムバリン(hydroxyusambarine)、ストリクノペンタミン(strychnopentamine)、ストリク
ノフィリン(strychnophylline)、ウサムバリン(usambarine)、ウサムバレンシン(usambar
ensine)、ベルベリン(berberine)、リリオデニン(liriodenine)、オキソウシンスニン(ox
oushinsunine)、ダフノレチン(daphnoretin)、ラリシレシノール(lariciresinol)、メト
キシラリシレシノール(methoxylariciresinol)、シリンガレシノール(syringaresinol)、
ウンベリフェロン(umbelliferon)、アフロモソン(afromoson)、アセチルビスミオン(acet
ylvismione)B、デスアセチルビスミオン(desacetylvismione)A、ならびにビスミオン(v
ismione)AおよびB。
[0240] 薬物の組合せも本発明の態様に使用できる。組合せのうちあるものは、異なる
機序をもつので相加効果をもつ;たとえば、パクリタキセルとラパマイシン、パクリタキ
セルと活性ビタミンD、パクリタキセルとラパコン、ラパマイシンと活性ビタミンD、ラ
パマイシンとラパコン。相加効果のため、薬物の用量も減らすことができる。これらの組
合せは高用量の薬物の使用による合併症を軽減できる。
[0241] 接着層
[0242] 薬物コーティング層の下にある任意選択的な層である接着層は、医療用具の外
面に対する薬物コーティング層の付着を向上させ、コーティングの統合性を保護する。医
療用具に対する薬物と添加剤の付着性が異なる場合、接着層は、薬物層中において、およ
び介入の標的部位における療法薬送達に際して、一定の薬物−対−添加剤比または薬物−
対−薬物比を維持するために、薬物層成分の損失(移動中の)または溶出(標的部位にお
ける)の差を防ぐことができる。さらに接着層は、さもなければ標的部位の組織と短期間
接触している間に溶出するには医療用具に強く付着しすぎる可能性のあるコーティング層
成分の放出を容易にする機能を果たすことができる。たとえば、特定の薬物が医療用具に
緊密に結合する場合、医療用具の表面に対するその薬物の親和性を低下させるために、よ
り親水性である成分を接着層に取り込ませる。
[0243] 前記に述べたように、接着層はポリマーもしくは添加剤または両者の混合物を
含む。接着層の形成に有用なポリマーは、生体適合性であって身体組織の刺激が避けられ
るものである。接着層の形成に有用なポリマーの若干例は、生体内安定であるポリマー、
たとえばポリウレタン類、シリコーン類、およびポリエステル類である。接着層の形成に
有用な他のポリマーには、医療用具上で溶解および重合することができるポリマーが含ま
れる。
[0244] 本発明の態様の接着層中に有用なポリマーの若干例には、下記のものが含まれ
る:ポリオレフィン類、ポリイソブチレン、エチレン−α−オレフィンコポリマー、アク
リル酸ポリマーおよびコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリフ
ッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン類
、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリロ
ニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、ナイロン12およびそれのブロックコポリ
マー、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン類、ポリエーテル類、エポキシ樹脂、ポ
リウレタン類、レーヨン−トリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロー
ス、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、カル
ボキシメチルセルロース、キチン類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリエチ
レンオキシドコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビ
ニルアルコール、ならびにその混合物およびブロックコポリマー。
[0245] 医療用具は機械的操作、すなわち膨張および収縮を受けるので、接着層中に有
用なポリマーの例には、弾性ポリマー、たとえばシリコーン類(たとえば、ポリシロキサ
ン類および置換ポリシロキサン類)、ポリウレタン類、熱可塑性エラストマー、エチレン
酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、およびEPDMゴムが含まれる。
これらのポリマーの弾性により、これらのポリマーを用いた場合は医療用具が力または応
力を受けた際にコーティングはより良好に医療用具の表面に付着している。
[0246] 接着層は、医療用具に対するコーティング層の統合性および接着性を維持し、
かつ移動中の薬物および添加剤の付着と療法介入部位に配置した際の迅速な溶出との両方
を促進するために、前記に述べた1種類以上の添加剤、または他の成分をも含むことがで
きる。
[0247] 最上層
[0248] 薬物層の統合性をさらに保護するために、場合によっては最上層を付与して、
蛇行した解剖学的構造を通って標的部位へ移動する際に、または医療用具の膨張の初期に
コーティングが標的組織と直接接触する前に、薬物が失なわれるを阻止することができる
。最上層は薬物層を保護しながら徐々に体腔に放出することができる。最上層はより疎水
性の高分子量添加剤から構成されれば、より緩徐に侵食されるであろう。界面活性剤、た
とえば、Tween 20およびポリグリセリルオレエート、は長い脂肪鎖をもつ、より
疎水性の構造の例である。高分子量添加剤には、ポリエチレンオキシド、ポリエチレング
リコール、およびポリビニルピロリドンが含まれる。疎水性薬物自体が最上層成分として
作用することができる。たとえば、パクリタキセルまたはラパマイシンは疎水性である。
それらを最上層中に使用できる。他方、最上層は浸食が遅すぎてはならず、あるいは標的
部位に配置している際に実際に薬物の放出を遅らせる可能性がある。最上層中に有用な他
の添加剤には、薬物またはコーティング層と強く相互作用する添加剤、たとえば下記の添
加剤が含まれる:p−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、Tw
een 20、Tween 40、Tween 60、PEGオレエート、PEGステア
レート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリル
ステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリル
ミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグ
リセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6
パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート
、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEG
ソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオ
レエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライル
エーテル、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スク
ロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−
β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β
−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチ
ルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオ
グルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカ
ミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、
n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;
シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、ア
スパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香
酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウ
ム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、
無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸
;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、
ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リ
ボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、
メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビ
タミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類
、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン
類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ド
セシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチル
ベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル
、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロ
メタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミ
ンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラ
クトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロ
ン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン
、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ
安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール
、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトー
ル、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキスト
リン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸
、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸
、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチ
グリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコー
ル)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレン
グリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)
、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プ
ロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコール
のブロックコポリマー、ならびにその誘導体および組合せ。
[0249] 溶剤
[0250] コーティング層を調製するための溶剤には、たとえば下記のうち1以上のいず
れかの組合せを含めることができる:(a)水、(b)アルカン類、たとえばヘキサン、
オクタン、シクロヘキサン、およびヘプタン、(c)芳香族溶剤、たとえばベンゼン、ト
ルエン、およびキシレン、(d)アルコール類、たとえばエタノール、プロパノール、お
よびイソプロパノール、ジエチルアミン、エチレングリコールモノエチルエーテル、Tr
ascutol、およびベンジルアルコール、(e)エーテル類、たとえばジオキサン、
ジメチルエーテルおよびテトラヒドロフラン、(f)エステル類/アセテート類、たとえ
ば酢酸エチルおよび酢酸イソブチル、(g)ケトン類、たとえばアセトン、アセトニトリ
ル、ジエチルケトン、およびメチルエチルケトン、ならびに(h)水と有機溶剤の混合物
、たとえば、水/エタノール、水/アセトン、水/メタノール、水/テトラヒドロフラン
。最上層中の好ましい溶剤はアセトンである。
[0251] 有機溶剤、たとえば短鎖アルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメ
チルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなどは、本発明の態様に特に
有用な好ましい溶剤である;これらの有機溶剤は一般にコロイド凝集物を崩壊させ、コー
ティング溶液中の全成分を共に可溶化するからである。
[0252] 療法薬および添加剤(単数または複数)を、分散、可溶化、または他の形で溶
剤中において混合することができる。溶剤中の薬物および添加剤の重量%は、0.1〜8
0重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲であってもよい。
[0253] 本発明の他の態様は、医療用具、特にたとえばバルーンカテーテルまたはステ
ントの作成方法に関する。まず、少なくとも1種類の溶剤、少なくとも1種類の療法薬、
および少なくとも1種類の添加剤を含むコーティング溶液または懸濁液を調製する。少な
くとも1つの態様において、コーティング溶液または懸濁液はこれら3成分のみを含有す
る。コーティング溶液中の療法薬の含量は、溶液の全重量を基準として0.5〜50重量
%であってもよい。コーティング溶液中の添加剤の含量は、溶液の全重量を基準として1
〜45重量%、1〜40重量%、または1〜15重量%であってもよい。溶剤の使用量は
、コーティングの方法および粘度に依存する。それは薬物−添加剤コーティングの均一性
に影響を及ぼすであろうが、蒸発するであろう。
[0254] 他の態様において、2種類以上の溶剤、2種類以上の療法薬、および/または
2種類以上の添加剤をコーティング溶液中に使用できる。
[0255] 他の態様において、療法薬、添加剤、およびポリマー材料を、コーティング溶
液、たとえばステントコーティング中に使用できる。このコーティングにおいて、療法薬
はポリマー粒子に封入されていない。
[0256] コーティング溶液を医療用具に付与するために、キャスティング、スピニング
、吹付け、浸漬(dipping (immersing))、インクジェットプリンティング、静電法、お
よびこれらの方法の組合せなど多様な手法を使用できる。付与方法の選択は、主に溶液の
粘度および表面張力に依存する。本発明の態様には浸漬および吹付けが好ましい;これに
よって、医療用具に付与するコーティング層の厚さの均一性および療法薬の濃度を制御す
るのがより容易になるからである。コーティングを吹付けもしくは浸漬もしくは他の方法
または組合せ方法のいずれで付与するかに関係なく、医療用具に付与する療法用物質およ
び添加剤の均一性および濃度を制御するために、通常は各層を医療用具に多数の付与工程
で沈着させる。
[0257] 付与する各層は約0.1ミクロンから15ミクロンまでの厚さである。医療用
具に付与する層の総数は約2から50までの範囲である。コーティングの総厚は約2から
200ミクロンまでである。
[0258] 前記に述べたように、本発明の態様に使用するためには吹付けおよび浸漬が特
に有用なコーティング法である。吹付け法では、本発明の態様のコーティング溶液または
懸濁液を調製し、次いでそのコーティング溶液または懸濁液をバルーンカテーテルに付与
するためのアプリケーション用具へ移す。
[0259] 使用できるアプリケーション器具は、エアブラシに接続したペイントジャー、
たとえばBadger Model 150であり、レギュレーターによる加圧空気の供
給源と共に提供されている(Norgren,0〜160psi)。そのようなアプリケ
ーション器具を用いる際、ブラシホースを圧縮空気の供給源にレギュレーターの下流で接
続すると、空気が供給される。圧力を約15〜25psiに調整し、トリガーを降ろして
ノズル状態をチェックする。
[0260] 吹付けの前に、弛緩したバルーンの両端を2つの弾性保持具、すなわちアリゲ
ータークリップで取付具に固定し、バルーンが収縮して折りたたまれた状態、または膨張
もしくは部分膨張した折りたたまれていない状態に保持されるように、クリップ間の距離
を調整する。次いでローターを作動させ、目的とする約40rpmのコーティング速度に
回転速度を調整する。
[0261] バルーンを実質的に水平面で回転させながら、ノズルからバルーンまでの距離
が約1〜4インチであるように吹付けノズルを調整する。まず、ブラシをバルーンに沿っ
てバルーンの遠位末端から近位末端へ、次いで近位末端から遠位末端へ向けて掃引運動で
、1吹付けサイクルが約3回のバルーン回転で行なわれる速度で、コーティング溶液を実
質的に水平に吹き付ける。バルーン上に有効量の薬物が沈着するまで、バルーンにコーテ
ィング溶液を反復して吹き付け、続いて乾燥させる。
[0262] 本発明の1態様において、バルーンを膨張または部分膨張させ、コーティング
溶液をこの膨張したバルーンにたとえば吹付けにより付与し、次いでバルーンを収縮させ
て折りたたんだ後に乾燥させる。乾燥は真空下で実施できる。
[0263] このアプリケーション器具、取付具、および吹付け法の記載は例示にすぎない
ことを理解すべきである。他のいずれか適切な吹付け法または他の手法を、医療用具のコ
ーティング、特にバルーンカテーテルのバルーン、またはステント送達システムまたはス
テントのコーティングのために使用できる。
[0264] 医療用具にコーティング溶液を吹き付けた後、コーティングしたバルーンを乾
燥させ、その際、コーティング溶液中の溶剤は蒸発する。これにより、療法薬を含有する
コーティングマトリックスがバルーン上に得られる。乾燥法の一例は、コーティングした
バルーンを約20℃以上のオーブンに約24時間入れるものである。コーティング溶液を
乾燥させる他のいずれか適切な方法を使用できる。時間および温度は個々の添加剤および
療法薬に応じて変更できる。
[0265] 最適な後処理
[0266] 薬物−添加剤含有層を本発明の特定の態様の医療用具に沈着させた後、コーテ
ィングの最終表面にジメチルスルホキシド(DMSO)または他の溶剤を浸漬または吹付
けその他の方法により付与してもよい。DMSOは直ちに薬物を溶解し、容易に膜に浸透
し、組織吸収を増強することができる。
[0267] 本発明の態様の医療用具は、特に下記を含めたいずれかの体内管の閉塞または
遮断を処置するために適用できるものである:冠、末梢および脳脈管系を含む脈管系、食
道、胃、小腸および結腸を含む消化管、気管、気管支、細気管支を含む肺気道、洞、胆管
、尿管、前立腺管および脳管。それらは、たとえばバルーンカテーテルまたはステントで
脈管系の組織を処置するのに特に適している。
[0268] 本発明のさらに他の態様は、血管の処置方法に関する。本方法には、コーティ
ングを含む医療用具を血管に挿入することが含まれる。コーティング層は、療法薬および
添加剤を含む。この態様において、医療用具は少なくとも1つの膨張可能部分をもつよう
に構築できる。そのような用具の若干例には、バルーンカテーテル、潅流バルーンカテー
テル、注入カテーテル、たとえば遠位有孔型薬物注入カテーテル、有孔バルーン、離間ダ
ブルバルーン、多孔バルーン、および掃引バルーン、カッティングバルーンカテーテル、
スコアリングバルーンカテーテル、自己膨張式およびバルーン膨張式ステント、ガイドカ
テーテル、ガイドワイヤー、塞栓保護用具、ならびに各種のイメージングデバイスが含ま
れる。
[0269] 前記に述べたように、本発明に特に有用な医療用具の一例は、コーティング付
きバルーンカテーテルである。バルーンカテーテルは一般に、小さな収縮したバルーンを
備えた長くて細い中空チューブをもつ。本発明の態様において、バルーンは薬物溶液でコ
ーティングされている。次いでバルーンを、心血管系内を通って療法薬を必要とする遮断
、閉塞、その他の部位に達するように操作する。適所に達すると、バルーンを膨張させて
血管壁および/または遮断部もしくは閉塞部に接触させる。本発明の目的は、標的組織に
迅速に薬物を送達し、かつ組織による吸収を容易にすることである。医療用具を標的部位
に配置している間に可能な限り短い期間で薬物を効果的に組織へ送達することが有利であ
る。たとえば約0.1〜30分、または好ましくは約0.1〜10分、またはより好まし
くは約0.2〜2分、または最も好ましくは約0.1〜1分のバルーン膨張時間で薬物コ
ーティングを罹患した脈管組織と圧迫接触させて、療法薬をそれらの組織、たとえば脈管
壁内へ放出させる。
[0270] 療法有効量の薬物を本発明の態様により、たとえば動脈壁内へ送達できれば、
場合によってはステントの必要性が除かれ、それに伴う破損および血栓症の合併を防止す
ることができる。
[0271] ステントの配置をなお望む場合、本発明の態様に特に好ましい使用は、ステン
ト、たとえばベアメタルステント(BMS)を、たとえば本明細書の態様に記載する薬物
コーティング付きバルーン上に留めつけることである。バルーンが膨張して罹患した脈管
部位にステントを配置すると、有効量の薬物が動脈壁内へ送達されて、再狭窄その他の合
併症が阻止され、またはその重症度が軽減する。あるいは、ステントおよびバルーンを一
緒にコーティングしてもよく、またはステントをコーティングし、次いでバルーンに留め
つけてもよい。
[0272] さらに、バルーンカテーテルを単独でまたは脈管系を処置するための他の方法
、たとえば光力学療法もしくはアテローム切除術と組み合わせて用いて、脈管組織/疾患
を処置することができる。アテローム切除術は動脈からプラークを除去するための措置で
ある。具体的には、アテローム切除術は末梢動脈および冠動脈からプラークを除去する。
末梢および冠アテローム切除術に用いる医療用具は、レーザーカテーテルまたはロータブ
レーター(rotablator)、またはカテーテル末端にある直接アテローム切除具であってもよ
い。カテーテルを体内へ挿入し、動脈内を狭窄部まで前進させる。アテローム切除によっ
てプラークの一部が除去された後、本発明の態様のコーティング付きバルーンを用いるバ
ルーン血管形成術を実施できる。さらに、その後、または前記のコーティング付きバルー
ンの膨張と同時に、ステント配置を実施できる。光力学療法は、光または放射エネルギー
を利用して患者内の標的細胞を殺す方法である。光活性化された光増感薬を、本発明の態
様によって特定の組織領域へ送達することができる。標的を定めた光源または放射線源が
選択的に薬物を活性化して細胞傷害性応答を発生させ、抗増殖療法効果を媒介する。
[0273] 本発明による薬物を含有するコーティングおよび層のある態様において、コー
ティングまたは層はポリマー、油、または脂質を含有しない。さらにまた、療法薬はポリ
マー粒子、ミセル、またはリポソームに封入されていない。前記に述べたように、そのよ
うな配合物は著しい欠点をもち、特に脈管系の罹患組織の環境では意図する効果的で迅速
な薬物放出および組織浸透を阻害する可能性がある。
[0274] 種々の態様を本明細書に具体的に説明および記載したが、本発明の精神および
意図する範囲から逸脱しない本発明の改変および変更が前記の教示に含まれ、特許請求の
範囲の権限に含まれることは認識されるであろう。
[0275] 操作例を除いて、または他の形で指示しない場合は、本明細書および特許請求
の範囲で用いる層中の成分の量、反応条件などを表わすすべての数値は、すべての場合に
用語“約”で修飾されるものと解釈すべきである。したがって、他の形でそうではないと
指示しない限り、本明細書および特許請求の範囲に述べた数値パラメーターは概数であっ
て、本発明の開示により求める目的特性に応じて異なる可能性がある。
[0276] 調製
[0277] 本発明の態様の医療用具およびコーティング層は、種々の方法で作成できる。
たとえば、コーティング溶液は、すべての成分、たとえば療法薬、添加剤および溶剤を同
時に一緒に、分散、溶解、拡散その他の方法で混合することにより調製できる。コーティ
ング溶液は、各成分を溶解度または他の何らかのパラメーターに基づいて順に添加するこ
とによっても調製できる。たとえば、コーティング溶液は、まず療法薬を溶剤に添加し、
次いで添加剤を添加することにより調製できる。あるいは、添加剤をまず溶剤に添加し、
次いで療法薬を後で添加してもよい。添加剤は溶剤の薬物溶解度を高めるであろうから、
使用する溶剤が薬物を十分に溶解しない場合は、まず添加剤を溶剤に添加し、次いで薬物
を添加することが好ましい。
[0278] 実施例
[0279] 以下の実施例は、本発明の範囲に含まれる医療用具およびコーティング層の態
様を含む。以下の実施例は本発明の例示とみなされるが、それらの実施例を本発明に対す
る限定と解釈すべきではない。
[0280] 実施例A
[0281] コーティング溶液の調製(必要ならば、すべての溶質を溶解するのに十分な1
0容量%を超えない少量の水を添加する):
[0282] 配合物1.1: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに
対する重量%)のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、15〜90mgのTween
80、30〜90mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0283] 配合物1.2: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに
対する重量%)のブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、15〜90mgのTwee
n 80、30〜90mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウ
ム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0284] 配合物1.3: 30〜90mgのラパマイシン、BHTまたはBHA無添加
、15〜90mgのTween 80、30〜90mgのドクセートナトリウム(ジオク
チルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0285] 配合物1.4: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに
対する重量%)のBHAまたはBHT、15〜90mgのSolutol HS 15、
5〜30mgのドデシル硫酸ナトリウム、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0286] 配合物1.5: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに
対する重量%)のBHAまたはBHT、15〜90mgのOleth 20、15〜90
mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3m
lのエタノールを混合した。
[0287] 配合物1.6: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに
対する重量%)のBHAまたはBHT、15〜90mgのポリエチレングリコール−b−
ポリ(ラクチド)(PEG−b−PLA)、30〜120mgのドクセートナトリウム(
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0288] 配合物1.7: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに
対する重量%)のBHAまたはBHT、15〜90mgのTween 81、30〜90
mgのOleth 20、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0289] 配合物1.8: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに
対する重量%)のBHAまたはBHA、45〜225mgのポリエチレングリコール−b
−ポリ(ラクチド)(PEG−b−PLA)、および1〜3mlのエタノールを混合した
[0290] 配合物1.9: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシンに
対する重量%)のBHAまたはBHA、30〜180mgのドクセートナトリウム(ジオ
クチルスルホコハク酸ナトリウム)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0291] 配合物1.10: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHA、15〜45mgのOleth 10、15〜4
5mgのOleth 20、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0292] 配合物1.11: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、15〜90mgのSolutol HS 15
、15〜90mgのドクセートナトリウム(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、お
よび1〜3mlのエタノールを混合した。
[0293] 配合物1.12: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBTAまたはBHT、15〜90mgのSolutol HS 15
、15〜90mgのポリエチレングリコール−b−ポリ(ラクチド)(PEG−b−PL
A)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0294] 配合物1.13: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHA、3〜135mgのSolutol HS 15
、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0295] 配合物1.14: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜135mgのSolutol HS 15
、3〜90mgのTween 81、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0296] 配合物1.15: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜135mgのSolutol HS 15
、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(ポビドンまたはKollidon 12
PF)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0297] 配合物1.16: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(
ポビドンまたはKollidon 12PF)、および1〜3mlのエタノールを混合し
た。
[0298] 配合物1.17: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgのCremophor EL(P
EG−35 ひまし油またはポリエチレングリコール−リシノール酸グリセロール)、お
よび1〜3mlのエタノールを混合した。
[0299] 配合物1.18: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜135mgのCremophor EL(
PEG−35 ひまし油またはポリエチレングリコール−リシノール酸グリセロール)、
3〜90mgのTween 81、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0300] 配合物1.19: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgのSoluplus(ポリビニル
カプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコール グラフトコポリマー)、お
よび1〜3mlのエタノールを混合した。
[0301] 配合物1.20: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgのSolutol HS 15、
3〜90mgのソルビトール、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0302] 配合物1.21: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(
ポビドンまたはKollidon 12 PF)、3〜90mgのTween 20(ポ
リソルベート 20)、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0303] 配合物1.22: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgのTween 20(ポリソルベ
ート 20)、3〜90mgのTween 81(ポリソルベート 81)、および1〜
3mlのエタノールを混合した。
[0304] 配合物1.23: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(
ポビドンまたはKollidon 12 PF)、3〜90mgのTween 20(ポ
リソルベート 20)、3〜90mgのTween 81(ポリソルベート 81)、お
よび1〜3mlのエタノールを混合した。
[0305] 配合物1.24: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(
ポビドンまたはKollidon 12 PF)、3〜90mgのSolutol HS
15、3〜90mgのTween 81(ポリソルベート 81)、および1〜3ml
のエタノールを混合した。
[0306] 配合物1.25: 30〜90mgのラパマイシン、1〜2%(ラパマイシン
に対する重量%)のBHAまたはBHT、3〜90mgの可溶性ポリビニルピロリドン(
ポビドンまたはKollidon 12 PF)、3〜90mgのCremophor
EL(PEG−35 ひまし油またはポリエチレングリコール−リシノール酸グリセロー
ル)、3〜90mgのレシチン、および1〜3mlのエタノールを混合した。
[0307] 実施例B
[0308] 5つのPTCAバルーンカテーテル(3mmの直径および20mmの長さ)を
U.S. Patent Application Publication No. 2010-0055294-A1(それの全体を本明細書に
援用する)に記載の方法を用いてコーティングした。これらのPTCAバルーンカテーテ
ルを1〜3気圧で膨張させた。膨張したバルーンに実施例Aの配合物(1.1〜1.3)
を装填し、吹き付け、またはそれに浸漬した。バルーンを次いで乾燥させ、バルーン上に
十分な量の薬物(3μg/mm)が得られるまで再び装填、吹付けまたは浸漬した。コ
ーティングしたバルーンを折りたたみ、次いで再包装し、分析試験のために殺菌した。回
収ラパマイシン含量は以下のとおりであった:配合物1.1 BHT添加については79
%、配合物1.2 BHA添加については100%、配合物1.3 BHTまたはBHA
無添加については14%〜50%。抗酸化剤(BHTまたはBHA)はラパマイシンを酸
化または分解から保護する。
[0309] 実施例C
[0310] 6つのPTCAバルーンカテーテル(3.5および3.0mmの直径ならびに
20mmの長さ)を1〜3気圧で膨張させた。膨張したバルーンに実施例Aの配合物1.
1〜1.25を装填した。バルーン上に十分な量の薬物(3〜4μg/mm)が得られ
た。膨張したバルーンを折りたたみ、次いで乾燥させた。コーティングして折りたたんだ
バルーンを次いで再包装し、動物試験用に殺菌し、場合によっては真空乾燥させた。
[0311] 操作法:コーティング付きPTCAバルーンカテーテルを、25〜45ポンド
のブタの冠血管系の標的部位(LAD、LCXおよびRCA)に挿入した。バルーンを約
12気圧まで膨張させた。過拡張比(血管の直径に対するバルーンの直径の比)は約1.
15〜1.40であった。30〜60秒の膨張期間中に薬物は標的組織内へ送達された。
次いでバルーンカテーテルを収縮させ、動物の身体から引き出した。この操作の0.25
〜24時間後に標的血管を採集した。標的組織中の薬物含量およびバルーン上に残存する
残留薬物を組織抽出およびHPLCにより分析した。
[0312] これらの動物試験のうちあるものにおいて、配置する前に薬物コーティング付
きバルーンカテーテルにステントを留めつけた。長期動物試験で、すべての介入の前と後
、および操作(前記)後28〜35日目に、血管造影を実施した。内腔直径を測定し、遅
発性内腔喪失を計算した。遅発性内腔喪失は、追跡期間後(通常は、この例では血管形成
術およびステント配置などの介入の数週ないし数カ月後)に測定した最小内腔直径と介入
直後に測定した最小内腔直径の差である。再狭窄は直径狭窄により定量でき、これは追跡
後と操作直後の平均内腔直径の差を操作直後の平均内腔直径で割ったものである。配合物
1.1〜1.25についての動物試験結果を以下に報告する。すべてのデータが5または
6の実験データ点の平均である。
[0313] 18mmのステントをコーティングしていないバルーンにより配置した。次い
でコーティング付きバルーンカテーテルを、25〜45ポンドのブタの冠血管系の標的部
位(LAD、LCXおよびRCA)に挿入した。3.5mmコーティング付きバルーンカ
テーテル上の配合物1.1の薬物含量は約3〜4μg/mmであった。前記の操作を実
施した後、バルーン上の残留薬物は21μg、すなわちバルーンに装填した全薬物の4%
であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は40.2μg、すなわちバ
ルーンに最初に装填した全薬物の7.6%であった。操作中の拡張比は1.2〜1.4で
ある。28〜35日後の遅発性内腔喪失は0.76(sd 0.22)mmであった。
[0314] 18mmのステントをコーティングしていないバルーンより配置した。次いで
コーティング付きバルーンカテーテルを、25〜45ポンドのブタの冠血管系の標的部位
(LAD、LCXおよびRCA)に挿入した。3.5mmコーティング付きバルーンカテ
ーテル上の配合物1.4の薬物含量は約3.0〜4.0μg/mmであった。前記の操
作を実施した後、バルーン上の残留薬物は5.0μg、すなわち装填した全薬物の1%で
あった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は6.3μg、すなわち装填し
た全薬物の1〜3.0%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.76(sd
0.28)mmであった。
[0315] 3.5mmバルーンカテーテル上のコーティングしていないバルーンの薬物含
量(対照アーム)は0.0μg/mmであった。18mmのステントをコーティングし
ていないバルーンにより配置した。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は0
.0μg、すなわち装填した全薬物の0%であった。操作の15〜30分後に採集した組
織の薬物含量は0.0μg、すなわち装填した全薬物の0.0%であった。28〜35日
後、遅発性内腔喪失は1.14(sd 0.28)mmであった。
[0316] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.5の薬物含量は2.88μg/
mmであった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は6.29μg、すな
わち装填した全薬物の1.0%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含
量は16μg、すなわち装填した全薬物の8.9%であった。操作の28日後に採集した
組織の薬物含量は7.7ng/mg組織であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0
.9(sd 0.18)mmであった。
[0317] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.6の薬物含量は3.31μg/
mmであった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は37.0μg、すな
わち装填した全薬物の6.0%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含
量は51.8μg、すなわち装填した全薬物の9.0%であった。操作の28日後に採集
した組織の薬物含量は6.15ng/mg組織であった。28〜35日後、遅発性内腔喪
失は0.90(sd 0.07)mmであった。
[0318] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.7の薬物含量は3.03μg/
mmであった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は4.41μg、すな
わち装填した全薬物の0.8%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含
量は11.3μg、すなわち装填した全薬物の1.9%であった。
[0319] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.8の薬物含量は3〜4μg/m
であった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は95.0μg、すなわ
ち装填した全薬物の13.0%であった。操作の28日後に採集した組織の薬物含量は0
.7ng/mg組織であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は1.11(sd 0.
24)mmであった。
[0320] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.9の薬物含量は3〜4μg/m
であった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は57.0μg、すなわ
ち装填した全薬物の6.4%であった。操作の28日後に採集した組織の薬物含量は35
.2ng/mg組織であった。
[0321] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物1.10の薬物含量は3〜4μg/
mmであった。前記の操作を実施した後、バルーン上の残留薬物は13.0μg、すな
わち装填した全薬物の2.5%であった。操作の28日後に採集した組織の薬物含量は1
0.75ng/mg組織であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.73(sd
0.09)mmであった。
[0322] 実施例1
[0323] コーティング溶液の調製
[0324] 配合物1: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタ
キセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、25〜100mgのパルミチン酸
アスコルビル、25〜100mgのL−アスコルビン酸、および0.5mlのエタノール
を混合した。
[0325] 配合物2: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイ
シン、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、50〜200mgのポリグリセリル
−10 オレエート、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0326] 配合物3: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタ
キセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、50〜200mgのオクトキシノ
ール−9、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0327] 配合物4: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイ
シン、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、50〜200mgのp−イソノニル
フェノキシポリグリシドール、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0328] 配合物5: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタ
キセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、50〜200mgのTyloxa
pol、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0329] 配合物6: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイ
シン(2〜6mlのアセトン(またはエタノール)中)、および50〜150mgのL−
アスコルビン酸(1mlの水もしくはエタノール、または両方の中)を混合した。
[0330] 配合物7: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタ
キセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、50〜150mgのナイアシンア
ミド(1mlの水またはエタノール中)を混合した。
[0331] 配合物8: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマイ
シン、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、および50〜200mgのニコチン
酸(1mlの水またはエタノール中)を混合した。
[0332] 配合物9: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリタ
キセル、2〜6mlのエタノール(またはアセトン)、150mgの塩酸チアミン(1m
lの水中)、および0.5mlを混合した。
[0333] 配合物10: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマ
イシン、2〜6mlのアセトンまたはエタノール、および150mgの2−ピロリドン−
5−カルボン酸(1mlの水またはエタノール中)を混合した。
[0334] 配合物11: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリ
タキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、75mgのp−イソノニルフェ
ノキシポリグリシドール、75mgのナイアシンアミド(1mlの水またはエタノール中
)、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0335] 配合物12: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマ
イシン、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、75mgのオクトキシノール−9
、75mgの塩酸チアミン(1mlの水またはエタノール中)、および0.5mlのエタ
ノールを混合した。
[0336] 配合物13: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリ
タキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、75mgのp−イソノニルフェ
ノキシポリグリシドール、75mgの2−ピロリドン−5−カルボン酸(1mlの水また
はエタノール中)、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0337] 配合物14: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリ
タキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、75mgのp−イソノニルフェ
ノキシポリグリシドール、75mgのニコチン酸(1mlの水またはエタノール中)、お
よび0.5mlのエタノールを混合した。
[0338] 配合物15: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリ
タキセル、2〜6mlのアセトン(またはエタノール)、75mgのp−イソノニルフェ
ノキシポリグリシドール、75mgのL−アスコルビン酸(1mlの水またはエタノール
中)、および0.5mlのエタノールを混合した。
[0339] 配合物16: 50〜150mg(0.06〜0.18mmole)のパクリ
タキセルを5〜10mlの塩化メチレンに溶解した。この溶液を30mlのヒト血清アル
ブミン溶液(5% w/v)に添加した。次いでこの溶液を低速で5分間ホモジナイズし
てエマルジョンを形成した。次いでこのエマルジョンを40kHz、50〜90%のパワ
ー、0〜5℃で1〜5分間、音波処理した。
[0340] 配合物17: 50〜150mg(0.05〜0.16mmole)のラパマ
イシンを、5〜10mlの塩化メチレンおよび10〜30mgのp−イソノニルフェノキ
シポリグリシドールに溶解した。この溶液を30mlのヒト血清アルブミン溶液(5%
w/v)に添加した。次いでこの溶液を低速で5分間ホモジナイズしてエマルジョンを形
成した。次いでこのエマルジョンを40kHz、50〜90%のパワー、0〜5℃で1〜
5分間、音波処理した。
[0341] 配合物18: 50〜100mg(0.06〜0.12mmmole)のパク
リタキセル、1〜1.6mlのアセトン、1〜1.6mlのエタノール、0.4〜1.0
mlの水、および50〜200mgのグルコノラクトンを混合した。
[0342] 配合物19: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパ
クリタキセル、0.5〜1.0mlのアセトン、0.5〜1.0mlのエタノール、35
〜70mgのTween 20、および35〜70mgのN−オクタノイル N−メチル
グルカミンを混合した。
[0343] 配合物20: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパ
クリタキセル、0.4〜1.0mlのアセトン、0.4〜1.0mlのエタノール、0.
2〜0.4mlの水、35〜70mgのTween 20、および35〜70mgのソル
ビトールを混合した。
[0344] 配合物21: 40〜80mg(0.048〜0.096mmmole)のパ
クリタキセル、0.5〜1.0mlのアセトン、0.5〜1.0mlのエタノール、40
〜80mgのメグルミン、および32〜64mgのゲンシチン酸(メグルミンと等モル比
)を混合した。
[0345] 配合物22: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパ
クリタキセル、0.4〜0.8mlのアセトン、0.4〜0.8mlのエタノール、0.
25〜0.50mlの水、35〜70mgのラクトビオン酸、および10〜20mgのジ
エタノールアミン(ラクトビオン酸と等モル比)を混合した。
[0346] 配合物23: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパ
クリタキセル、0.5〜1.0mlのアセトン、0.5〜1.0mlのエタノール、およ
び70〜140mgのN−オクタノイル N−メチルグルカミンを混合した。
[0347] 配合物24: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパ
クリタキセル、0.4〜0.8mlのアセトン、0.4〜0.8mlのエタノール、0.
2〜0.4mlの水、35〜70mgのメグルミン、および18〜36mgの乳酸(メグ
ルミンと等モル比)を混合した。
[0348] 配合物25: 50〜100mg(0.06〜0.12mmole)のパクリ
タキセル、0.8〜1.6mlのアセトン、0.8〜1.6mlのエタノール、0.4〜
1.0mlの水、50〜100mgのゲンシチン酸、および30〜60mgのジエタノー
ルアミン(ゲンシチン酸と等モル比)を混合した。
[0349] 配合物26: 比較溶液−50mg(0.06mmole)のパクリタキセル
、1mlのエタノール、0.2mlのアセトン、および0.042mlのUltravi
st 370を混合した。
[0350] 配合物27: 比較溶液−40mg(0.048mmole)のパクリタキセ
ル、0.5mlのエタノール、および0.5mlのアセトンを混合した。
[0351] 配合物28: 35〜70mg(0.042〜0.084mmmole)のパ
クリタキセル、0.5〜1.0mlのアセトン、0.5〜1.0mlのエタノール、35
〜70mgのTriton X−100、および35〜70mgのN−ヘプタノイル N
−メチルグルカミンを混合した。
[0352] 実施例2
[0353] 5つのPTCAバルーンカテーテル(3mmの直径および20mmの長さ)を
真空下に3翼(three wings)で折りたたんだ。真空下で折りたたんだバルーンに実施例1
の配合物(1−17)を吹き付け、またはそれに浸漬した。折りたたんだバルーンを次い
で乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm)が得られるまで再び吹付け
または浸漬し、乾燥させ、再び吹付けまたは浸漬した。コーティングして折りたたんだバ
ルーンを次いで再包装し、動物試験のために殺菌した。
[0354] 実施例3
[0355] 5つのPTCAバルーンカテーテル(3mmの直径および20mmの長さ)を
真空下に3翼で折りたたんだ。真空下で折りたたんだバルーンに実施例1の配合物(1−
5)を吹き付け、またはそれに浸漬した。折りたたんだバルーンを次いで乾燥させ、配合
物(6−10)を再び吹き付け、またはそれに浸漬し、乾燥させ、バルーン上に十分な量
の薬物(3μg/mm)が得られるまで再び吹付けまたは浸漬した。コーティングして
折りたたんだバルーンを次いで再包装し、動物試験のために殺菌した。
[0356] 実施例4
[0357] ベアメタル製の冠動脈ステントを留めつけた5つのPTCAバルーンカテーテ
ル(3mmの直径および20mmの長さ)に実施例1の配合物(1−5)を吹き付け、ま
たはそれに浸漬した。これらのステント送達システムを次いで乾燥させ、配合物(6−1
0)を再び吹き付け、またはそれに浸漬し、乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3
μg/mm)が得られるまで再び吹付けまたは浸漬した。コーティングして折りたたん
だステント送達システムを次いで動物試験のために殺菌した。
[0358] 実施例5
[0359] 薬物コーティング付きバルーンカテーテルおよびコーティングしていないバル
ーンカテーテル(対照として)を、ブタの冠動脈に挿入した。バルーンを過拡張させ(1
:1.2)、膨張したバルーンを血管内に60秒間保持して薬物および添加剤を放出させ
、次いで収縮させてブタから引き出した。3日後、31日後、3カ月後、6カ月後、9カ
月後および12カ月後に動物を血管造影した。60分後、3日後、31日後、3カ月後、
6カ月後、9カ月後および12カ月後に、と殺した動物の動脈組織中の薬物量を測定した
[0360] 実施例6
[0361] 5つの冠動脈ステント(3mmの直径および18mmの長さ)に実施例1の配
合物(1−17)を吹付けまたは浸漬コーティングした。これらのステントを次いで乾燥
させ、ステント上に十分な量の薬物(3μg/mm)が得られるまで再び吹付けまたは
浸漬し、再び乾燥させた。コーティングしたステントを次いでPTCAバルーンカテーテ
ル(3mmの直径および20mmの長さ)に留めつけた。バルーンカテーテルを備えたこ
れらのコーティング付きステントを次いで動物試験のために殺菌した。
[0362] 実施例7
[0363] 薬物コーティング付きステントおよびコーティングしていないステント(対照
として)を、ブタの冠動脈に挿入し、次いでバルーンを過拡張させた(1:1.2)。ス
テントを埋め込み、薬物および添加剤を放出させ、バルーンを収縮させてブタから引き出
した。次いで5、30、60分後、3日後、31日後、3カ月後、6カ月後、9カ月後お
よび12カ月後に動物を血管造影した。60分後、1日後、3日後、31日後、3カ月後
、6カ月後、9カ月後および12カ月後に、と殺した動物の動脈組織中の薬物量を測定し
た。
[0364] 実施例8
[0365] 5つのPTCAバルーンカテーテルに実施例1の配合物(1−17)を吹き付
け、またはそれに浸漬し、乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm)が
得られるまで再び吹付けまたは浸漬し、再び乾燥させた。ベアメタル製の冠動脈ステント
(3mmの直径および20mmの長さ)を、コーティングした各バルーンに留めつけた。
ベアメタル製の冠動脈ステントを留めつけたこれらのコーティング付きバルーンを包装し
、動物試験のために殺菌した。
[0366] 実施例9
[0367] 5つのPTCAバルーンカテーテルに実施例1の配合物(1−5)を吹き付け
、またはそれに浸漬し、乾燥させ、配合物(6−10)を再び吹き付け、またはそれに浸
漬した。次いでバルーンを乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm)が
得られるまで再び吹付けまたは浸漬した。ベアメタル製の冠動脈ステント(3mmの直径
および20mmの長さ)を、コーティングした各バルーンに留めつけた。ベアメタル製の
冠動脈ステントを留めつけたこれらのコーティング付きバルーンを包装し、動物試験のた
めに殺菌した。
[0368] 実施例10
[0369] 実施例8および9の薬物コーティング付きバルーン膨張式のベアメタルステン
トならびにプレーンなバルーン膨張式のベアメタルステント(対照として)を、ブタの冠
動脈に挿入し、バルーンを過拡張させた(1:1.2)。ステントを埋め込み、バルーン
を膨張状態に60秒間保持して、薬物および添加剤を放出させ、次いでバルーンを収縮さ
せてブタから引き出した。次いで5、30、60分後、3日後、31日後、3カ月後、6
カ月後、9カ月後および12カ月後に動物を血管造影した。60分後、1日後、3日後、
31日後、3カ月後、6カ月後、9カ月後および12カ月後に、と殺した動物の動脈組織
中の薬物量を測定する。
[0370] 実施例11
[0371] 150mg(0.18mmole)のパクリタキセル、5mlのアセトン(ま
たは酢酸エチルもしくはメチルエチルケトン)、150mgの無水酢酸または無水マレイ
ン酸または無水ジグリコール酸、および0.5mlのエタノールを混合し、次いで溶液が
得られるまで撹拌した。5つのPTCAバルーンカテーテルにこの溶液を吹き付け、また
はそれに浸漬し、乾燥させ、バルーン上に十分な量の薬物(3μg/mm)が得られる
まで再び吹付けまたは浸漬した。コーティングしたバルーンを次いで高pH(pH8〜1
1.5の範囲)条件下で処理して、酸無水物を加水分解した。これはIR法により確認で
きる。この時点でコーティングの親水性が増大していた。コーティングしたバルーンを次
いで動物試験のために殺菌した。
[0372] 実施例12
[0373] 薬物コーティング付きバルーンカテーテルおよびコーティングしていないバル
ーンカテーテル(対照として)を、ブタの肺気道内へ気管支鏡により挿入した。バルーン
を拡張させ、膨張したバルーンを膨張状態で60秒間、内腔に保持して、薬物および添加
剤を放出させた。バルーンを収縮させてブタから引き出した。次いで3日後、31日後、
3カ月後、6カ月後、9カ月後および12カ月後に、動物を気管支鏡により検査し、病態
生理学的検査および薬物取込みの定量のために組織試料を採取した。
[0374] 実施例13
[0375] コーティングしていないステント送達カテーテルをブタの血管腔に挿入した。
バルーンを拡張させ、ステントを配置し、収縮させたバルーンを引き出した。実施例1の
医薬配合物1〜15(10〜100ml)をステント埋込み部位に注入した(ブタ当たり
約5〜15mgの薬物)。次いで薬物は傷害組織に吸収された。次いで動物を検査し、病
態生理学的検査のために組織試料を採取した。
[0376] 実施例14
[0377] 罹患組織(乳癌または前立腺またはアテロームまたは狭窄)を人体から外科的
に摘出した。実施例1の医薬配合物1〜15(10〜100ml)を、この外科的介入に
より形成した外科的空洞の内部または上に注入した(約5〜20mgの薬物)。局所薬物
送達には、長い針、ガイドカテーテル、誘導鞘、薬物注入チューブ、および他の薬物送達
カテーテルによる注入が含まれていた。次いで薬物は標的部位の組織に吸収された。
[0378] 実施例15
[0379] 6つのPTCAバルーンカテーテル(3.5および3.0mmの直径ならびに
20mmの長さ)を1〜3気圧で膨張させた。膨張したバルーンに実施例1の配合物18
〜28を装填した。バルーン上に十分量の薬物(3μg/mm)が得られた。膨張させ
たバルーンを折りたたみ、次いで乾燥させた。コーティングして折りたたんだバルーンを
次いで再包装し、動物試験のために殺菌した。
[0380] コーティングしたPTCAバルーンカテーテルを、25〜45ポンドのブタの
冠血管系の標的部位(LAD、LCXおよびRCA)に挿入した。バルーンを約12気圧
まで膨張させた。過拡張比(血管の直径に対するバルーンの直径の比)は約1.15〜1
.40であった。30〜60秒の膨張期間に薬物は標的組織内へ送達された。次いでバル
ーンカテーテルを収縮させ、動物の身体から引き出した。この操作の0.25〜24時間
後に標的血管を採集した。標的組織中の薬物含量およびバルーン上に残存する残留薬物を
組織抽出およびHPLCにより分析した。
[0381] これらの動物試験のうちあるものにおいて、ステントを配置する前に薬物コー
ティング付きバルーンカテーテルに留めつけた。長期動物試験で、すべての介入の前と後
、および操作後28〜35日目に、血管造影を実施した。内腔直径を測定し、遅発性内腔
喪失を計算した。遅発性内腔喪失は、追跡期間後(通常は、この例では血管形成術および
ステント配置などの介入の数週後ないし数カ月後)に測定した最小内腔直径と介入直後に
測定した最小内腔直径の差である。再狭窄は直径狭窄により定量でき、これは追跡後と操
作直後の平均内腔直径の差を操作直後の平均内腔直径で割ったものである。配合物18〜
28についての動物試験結果を以下に報告する。すべてのデータが5または6の実験デー
タ点の平均である。
[0382] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物18の薬物含量は3.26μg/m
であった。操作後、バルーン上の残留薬物は15.92μg、すなわちバルーンに装
填した全薬物の2.3%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は6
4.79μg、すなわち最初にバルーンに装填した全薬物の9.2%であった。18mm
のステントをコーティング付きバルーンにより配置した場合、バルーン上の残留薬物は3
1.96μg、すなわち装填した薬物の4.5%であり、操作の15〜30分後に採集し
た組織の薬物含量は96.49μg、すなわち装填した薬物の13.7%であった。操作
における拡張比は1.3である。28〜35日後の遅発性内腔喪失は0.10(sd 0
.2)mmであった。直径狭窄は3.3%である。
[0383] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物19の薬物含量は3.08μg/m
であった。操作後、バルーン上の残留薬物は80.58μg、すなわち装填した全薬
物の11.4%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は42.23
μg、すなわち装填した全薬物の6.0%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は
0.30(sd 0.23)mmであった。直径狭窄は5.4%であった。
[0384] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物20の薬物含量は3.61μg/m
であった。操作後、バルーン上の残留薬物は174.24μg、すなわち装填した全
薬物の24.7%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は83.8
3μg、すなわち装填した全薬物の11.9%であった。予め留めつけた18mmステン
トを配置した場合、バルーン上の残留薬物は114.53μg、すなわち装填した全薬物
の16.1%であり、操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は147.95μ
g、すなわち装填した全薬物の18.1%であった。操作における拡張比は1.3であっ
た。28〜35日後の遅発性内腔喪失は0.10(sd 0.1)mmであった。直径狭
窄は3.4%であった。
[0385] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物21の薬物含量は4.71μg/m
であった。操作後、バルーン上の残留薬物は44.39μg、すなわち装填した全薬
物の6.3%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は77.87μ
g、すなわち装填した全薬物の11.0%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は
0.23(sd 0.44)mmであった。直径狭窄は7.3%であった。
[0386] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物22の薬物含量は3.85μg/m
であった。操作後、バルーン上の残留薬物は24.59μg、すなわち装填した全薬
物の3.5%であった。操作の15〜30分後に採集した組織の薬物含量は37.97μ
g、すなわち装填した全薬物の5.4%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0
.33(sd 0.14)mmであった。直径狭窄は6.7%であった。
[0387] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物23の薬物含量は3.75μg/m
であった。操作後、バルーン上の残留薬物は0.82μg、すなわち装填した全薬物
の0.1%であった。操作の60分後に採集した組織の薬物含量は45.23μg、すな
わち装填した全薬物の5.5%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.49(
sd 0.26)mmであった。直径狭窄は11.3%であった。
[0388] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物24の薬物含量は3.35μg/m
であった。操作後、バルーン上の残留薬物は62.07μg、すなわち装填した全薬
物の7.5%であった。操作の60分後に採集した組織の薬物含量は40.55μg、す
なわち装填した全薬物の4.9%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.47
(sd 0.33)mmであった。直径狭窄は9.9%であった。
[0389] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物25の薬物含量は3.41μg/m
であった。操作後、バルーン上の残留薬物は50.0μg、すなわち装填した全薬物
の6.0%であった。操作の60分後に採集した組織の薬物含量は26.72μg、すな
わち装填した全薬物の3.2%であった。28〜35日後、遅発性内腔喪失は0.36(
sd 0.41)mmであった。直径狭窄は9.3%であった。
[0390] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物28の薬物含量は3.10μg/m
であった。操作後、バルーン上の残留薬物は装填した全薬物の1.9%であった。操
作の2時間後に採集した組織の薬物含量は34.17μg、すなわち装填した全薬物の5
.0%であった。操作の24時間後に採集した組織において、組織の薬物含量は28.9
2μg、すなわち装填した全薬物の4.2%であった。
[0391] 3.5mmバルーンカテーテル上の対照配合物(コーティングしていないバル
ーン)の薬物含量は0.0μg/mmであった。操作後、バルーン上の残留薬物は装填
した全薬物の0%であった。操作の15分後に採集した組織の薬物含量は0μgであった
。操作の24時間後に採集した組織において、組織の薬物含量は0μgであった。28〜
35日後、遅発性内腔喪失は0.67(sd 0.27)mmであった。直径狭窄は20
.8%である。2回目の反復実験で、拡張比は1.3であった。遅発性内腔喪失は1.1
(sd 0.1)mmであった。直径狭窄は37.5%であった。
[0392] 3.5mmバルーンカテーテル上の比較配合物26の薬物含量は3.21μg
/mmであった。操作後、バルーン上の残留薬物は13.52μg、すなわち装填した
全薬物の1.9%であった。組織の薬物含量は28.32μg、すなわち装填した全薬物
の4.0%であった。予め留めつけた18mmステントを備えたバルーンを配置した場合
、バルーン上の残留薬物は26.45μg、すなわち装填した全薬物の3.7%であった
。組織の薬物含量は113.79μg、すなわち装填した薬物の16.1%であった。2
8〜35日後、遅発性内腔喪失は0.27(sd 0.15)mmであった。直径狭窄は
7.1%であった。
[0393] 3.5mmバルーンカテーテル上の配合物27(添加剤なし)の薬物含量は4
.22μg/mmであった。操作後、バルーン上の残留薬物は321.97μg、すな
わち装填した全薬物の45.6%であった。組織の薬物含量は12.83μg、すなわち
装填した全薬物の1.8%であった。
[0394] 意外にも、本発明の態様による配合物18〜25および28でコーティングし
たバルーンを配置した後、ブタ冠動脈組織により吸収された薬物の濃度は、比較配合物2
6でコーティングしたバルーンにより送達されたものより高く、かつ薬物のみの配合物2
7でコーティングしたものより高かった。28〜35日間の追跡後の遅発性内腔喪失は、
対照(コーティングしていないバルーン)より少なかった。
[0395] 実施例16
[0396] 6つのPTCAバルーンカテーテル(3.5および3.0mmの直径ならびに
20mmの長さ)を1〜3気圧で膨張させた。膨張したバルーンに実施例1の配合物18
〜25および28を装填した。バルーン表面に十分量の薬物(3μg/mm)が得られ
た。膨張させたバルーンを乾燥させた。この薬物コーティングしたバルーンに次いでトッ
プコートを付与した。アセトンまたはエタノール中のトップコーティング配合物を、ゲン
チシン酸、メチルパラベン、酢酸、Tween 20、バニリンおよびアスピリンから選
択した。コーティングして折りたたんだバルーンを乾燥させ、次いで再包装し、動物試験
のために殺菌した。
[0397] バルーンカテーテルを挿入して標的部位へ移動させる間に膨張前に失われる薬
物の量を調べるために、浮遊実験を設計した。対照バルーンカテーテルを配合物18でコ
ーティングした。プロピルパラベンのトップコーティングを備えたトップコーティング付
きカテーテルも作成した。トップコーティング付きカテーテルについては、バルーンカテ
ーテルを配合物18でコーティングし、次いで乾燥させ、アセトン中25〜50mgのプ
ロピルパラベン(パクリタキセルの約50重量%)を配合物18のコーティング上にコー
ティングした。対照およびトップコーティング付きバルーンカテーテルをブタの動脈に挿
入した。ブタの動脈内での浮遊時間は1分であった。薬物、添加剤およびトップコーティ
ングが放出された。次いでカテーテルを引き出した。バルーンカテーテル上の残留薬物を
HPLCにより分析した。対照バルーンカテーテルの残留薬物含量は、装填した全薬物の
53%であった。トップコーティング付きバルーンカテーテルの残留薬物含量は88%で
あった。トップコートは、療法介入部位への用具の移動を模倣した条件で、血管内におけ
る薬物損失を減少させた。配合物18をまずバルーン上にコーティングし、この第1コー
ティング層を覆うトップコーティングとしてプロピルパラベンをコーティングして、実施
例15の場合と同じ動物試験を実施した。3.5mmバルーンカテーテルの薬物含量は3
.39μg/mmであった。操作後、バルーン上の残留薬物含量は64.5μg、すな
わち装填した全薬物の8.6%であった。組織内の薬物含量は28.42μg、すなわち
装填した全薬物の4%であった。
[0398] 実施例17
[0399] 6つのPTCAバルーン構成部品(3.5および3.0mmの直径ならびに2
0mmの長さ)に実施例1で得られた配合物18を装填した。バルーン表面に十分量の薬
物(3μg/mm)が得られた。バルーンを乾燥させた。
[0400] 次いでトップコーティング層のための配合物を調製した。トップコーティング
層の配合物は、パクリタキセル、ならびにアセトン中のTween 20、Tween
80、ポリプロピレングリコール−425(PPG−425)およびポリプロピルグリコ
ール−1000(PPG−1000)から選択される1種類の添加剤であった。対照カテ
ーテルのバルーン表面には配合物18のみを装填した。他のバルーン表面の配合物18コ
ーティング層上には、アセトン中25〜50mgのトップコーティング配合物(パクリタ
キセルの約50重量%)をコーティングした。コーティングしたバルーンをインビトロで
の薬物放出試験のために乾燥させた。
[0401] バルーン膨張に際して失われる薬物の量を調べるために、放出実験を設計した
。コーティング付きバルーンそれぞれを1% BSA溶液中、37℃で2分間、12気圧
まで膨張させた。薬物、添加剤およびトップコーティングが放出された。バルーンカテー
テル上の残留薬物をHPLCにより分析した。対照バルーンカテーテルの残留薬物含量は
、装填した全薬物の34%であった。Tween 20、Tween 80、ポリプロピ
レングリコール−425(PPG−425)またはポリプロピルグリコール−1000(
PPG−1000)を含むトップコーティング層を含むバルーンカテーテルの残留薬物含
量は、それぞれ47%、56%、71%および81%であった。したがって、トップコー
ティング層はインビトロ試験でバルーン構成部品の膨張に際しての薬物損失を減少させた
1.療法薬を組織へ送達するための医療用具であって、医療用具の外面を覆う層を含み、当該層は療法薬、抗酸化剤および添加剤を含み、その際、添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、添加剤は水溶性であり、その際、添加剤は界面活性剤および化学化合物のうちの少なくとも1つであり、その際、化学化合物は1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基を有する、医療用具。
2.療法薬を組織へ送達するための医療用具であって、医療用具の外面を覆う層を含み、当該層は療法薬および1種類以上の添加剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、1種類以上の添加剤のうちの1つは液体添加剤である、医療用具。
3.療法薬を組織へ送達するための医療用具であって、医療用具の外面を覆う層を含み、当該層は療法薬および少なくとも1種類の添加剤を含み、その際、当該少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、第1添加剤は第2添加剤より親和性である、医療用具。
4.療法薬を組織へ送達するための医療用具であって、医療用具の外面を覆う層を含み、当該層は療法薬および少なくとも1種類の添加剤を含み、その際、当該少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス力相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、第1添加剤のHLB値は第2添加剤のものより高い、医療用具。
5.療法薬を組織へ送達するための医療用具であって、医療用具の外面を覆う層を含み、当該層は療法薬および少なくとも1種類の添加剤を含み、当該少なくとも1種類の添加剤は第1添加剤および第2添加剤を含み、その際、各添加剤は親水性部分および薬物親和性部分を含み、その際、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により療法薬に対する親和性を有する部分、およびファンデルワールス相互作用により療法薬に対する親和性を有する部分のうちの少なくとも1つであり、その際、第1添加剤のLog P値は第2添加剤のものより低い、医療用具。
6.抗酸化剤が、オリゴマーまたはポリマー状のプロアントシアニジン類、ポリフェノール類、ポリホスフェート類、ポリアゾメチン、高スルフェート寒天オリゴマー類、キトオリゴ糖類、多官能性オリゴマーチオエーテル類であって立体障害フェノール類、ヒンダードアミン類、p−フェニレンジアミン、トリメチルジヒドロキノロン類、およびアルキル化ジフェニルアミン類を含むもの、ヒンダードフェノール類、t−ブチル、アリールアミン類、ホスファイト類、ヒドロキシルアミン類、ベンゾフラノン類、p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N,N’ ジ置換p−フェニレンジアミン類、ブチル化ヒドロキシトルエン(“BHT”)、ブチル化ヒドロキシアニソール(“BHA”)、L−アスコルベート(ビタミンC)、ビタミンE、薬草ローズマリー、セージエキス、グルタチオン、レスベラトール、エトキシキン、ロスマノール、イソロスマノール、ロスマリジフェノール、没食子酸プロピル、没食子酸、コーヒー酸、p−クメル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、アスタキサンチン、フェルラ酸、デヒドロジンゲロン、クロロゲン酸、エラグ酸、プロピルパラベン、シナピン酸、ダイジン、グリシチン、ゲニスチン、ダイゼイン、グリシテイン、ゲニステイン、イソフラボン類、tert−ブチルヒドロキノン、ジ(ステアリル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリル、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、オクタデシル−3,5,ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート、テトラキス−メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート メタン 2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、イオノール、ピロガロール、レチノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、グルタチオン、リポ酸、メラトニン、トコフェロール類、トコトリエノール類、チオール類、ベータ−カロテン、レチノイン酸、クリプトキサンチン、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、没食子酸プロピル、カテキン、没食子酸カテキン、ケルセチン、およびその誘導体のうちの少なくとも1種類である、1に記載の医療用具。
7.化学化合物が、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル類、アミド類、エーテル類、酸無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、アミノアルコールと有機酸の組合せ、およびそれらの置換された分子から選択される、1に記載の医療用具。
8.界面活性剤が、イオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族の界面活性剤、PEG脂肪酸エステル、PEGオメガ−3脂肪酸エステル類、エーテル類、アミド類、およびアルコール類、グリセロール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、PEGグリセリル脂肪酸エステル類、PEGソルビタン脂肪酸エステル類、糖脂肪酸エステル類、PEG糖エステル類、ならびにそれらの誘導体から選択される、1に記載の医療用具。
9.化学化合物が20から750までの分子量を有する、1に記載の医療用具。
10.1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル基を有する化学化合物が、アミノアルコール類、ヒドロキシルカルボン酸、エステル類、アミド類、エーテル類、酸無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖ホスフェート、糖スルフェート、エチルオキシド、エチルグリコール類、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート類、スルフェート類、有機酸、エステル類、塩類、ビタミン類、可溶性ポビドン、分子量4000未満の可溶性ポリビニルピロリドン、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF、尿素、ビウレット、アセトアミド、乳酸アミド、アミノ酸アミド、アセトアミノフェン、尿酸、ポリウレア、ウレタン、尿素誘導体、ナイアシンアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルファセタミドナトリウム、ベルセタミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルステアルアミド)、コカミドMEA、コカミドDEA、アルギニン、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、クエン酸トリメチル、酢酸および無水物、安息香酸および無水物、ジエチレントリアミン五酢酸ジアンヒドリド、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸 アスパラギン酸、ニコチン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、アロイリチン酸、シェロリン酸、アミノアルコールと有機酸の組合せ、ならびにそれらの置換された分子から選択される、1に記載の医療用具。
11.療法薬を組織へ送達するための医療用具であって、医療用具の外面を覆う層を含み、当該層は療法薬、抗酸化剤および添加剤を含み、その際、添加剤がp−イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、Tween 20、Tween 21、Tween 40、Tween 60、Tween 61、Tween 80、Tween 81、Tween 85、PEGオレエート、PEGステアレート、PEG−15 12−ヒドロキシステアレート(Solutol HS 15)、Cremophor ELおよびELP、Cremophor RH40、ポリエステル−PEGブロックコポリマー、PLLA−PEG、PEG−PLLA−PEG、PEG−PPG、PEG−PPG−PEG、ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、Soluplus、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレエート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルオレエート、ポリグリセリルミリステート、ポリグリセリルパルミテート、ポリグリセリル−6 ラウレート、ポリグリセリル−6 オレエート、ポリグリセリル−6 ミリステート、ポリグリセリル−6 パルミテート、ポリグリセリル−10 ラウレート、ポリグリセリル−10 オレエート、ポリグリセリル−10 ミリステート、ポリグリセリル−10 パルミテート PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレエート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウライルエーテル、Laneth−5、Laneth−10、Laneth−15、Laneth−20、Laneth−25、Laneth−40)、Laureth−5、laureth−10、Laureth−15、laureth−20、Laureth−25、laureth−40、Oleth−2、Oleth−5、Oleth−10、Oleth−12、Oleth−16、Oleth−20、およびOleth−25、Steareth−2、Steareth−7、Steareth−8、Steareth−10、Steareth−16、Steareth−20、Steareth−25、Steareth−80、Ceteth−5、Ceteth−10、Ceteth−15、Ceteth−20、Ceteth−25、Ceteth−30、Ceteth−40、PEG−3 オレイルエーテル(Volpo 3)およびPEG−4 ラウリルエーテル(Brij 30)、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、硫酸化ひまし油、コレステリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、中鎖−分岐または非分岐アルキルスルフェート類、ドクセートナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクトキシノール、モノキシノール、チロキサポール、モノパルミチン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド;シスチン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメチオニン;無水酢酸、無水安息香酸、アスコルビン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸;セトチアミン;シコチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール 5−リン酸、アスコルビン酸ニコチンアミド、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、重亜硫酸メナジオンナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6、およびビタミンU;アルブミン、免疫グロブリン類、カゼイン類、ヘモグロビン類、リゾチーム類、イムノグロビン類、a−2−マクログロブリン、フィブロネクチン類、ビトロネクチン類、フィブリノーゲン類、リパーゼ類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ドセシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドセシル硫酸ナトリウム類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびスルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、L−アスコルビン酸およびそれの塩、D−グルコアスコルビン酸およびそれの塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール類、グルコヘプトン酸、グルコム酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボン酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、リジンアセテート塩、ゲンチシン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リジン、ゲンチシン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸類、酢酸および無水物、安息香酸および無水物、ジエチレントリアミン五酢酸ジアンヒドリド、エチレンジアミン四酢酸ジアンヒドリド、マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、無水ジグリコール酸、無水グルタル酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸 アスパラギン酸、ニコチン酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、アロイリチン酸、シェロリン酸、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、クエン酸トリメチル、いずれかの有機酸および有機アミンの塩類、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール類、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコール)、およびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、可溶性ポビドン、分子量4000未満の可溶性ポリビニルピロリドン、Kollidon 12 PF、Kollidon 17 PF、尿素、ビウレット、アセトアミド、乳酸アミド、アミノ酸アミド、アセトアミノフェン、尿酸、ポリウレア、ウレタン、尿素誘導体、ナイアシンアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルファセタミドナトリウム、ベルセタミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルステアルアミド)、コカミドMEA、コカミドDEA、アルギニン、ならびにその誘導体および組合せから選択される、医療用具。
12.組織が、冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管および脳管のうちの1つを含む、1に記載の医療用具。
13.医療用具が、バルーンカテーテル、潅流バルーンカテーテル、注入カテーテル、カッティングバルーンカテーテル、スコアリングバルーンカテーテル、レーザーカテーテル、アテローム切除具、デバルキングカテーテル、ステント、フィルター、ステントグラフト、被覆ステント、パッチ、ワイヤー、および弁のうちの1つを含む、1に記載の医療用具。
14.療法薬が、パクリタキセルおよびその類似体、ラパマイシンおよびその類似体、ベータ−ラパコンおよびその類似体、生体ビタミンDおよびその類似体、ならびにこれらの療法薬の混合物のうちの1つである、1に記載の医療用具。
15.医療用具がさらに、身体を通って標的組織へ移動する際の薬物の損失を少なくするために、医療用具の外面を覆う層の表面を覆う最上層を含む、1に記載の医療用具。
16.医療用具が、約0.1〜2分で療法薬および添加剤を放出して療法薬を組織へ送達することができる、1に記載の医療用具。
17.層が、本質的に療法薬、抗酸化剤および添加剤からなる、1に記載の医療用具。
18.層内の療法薬の濃度が1から20μg/mmまでである、1に記載の医療用具。
10 カテーテル
12 バルーン
14 可撓性部材
16 ハンドルアセンブリー
20 コーティング層
22 接着層
24 療法薬および添加剤を含有する層
26 第1層
28 第2層

Claims (7)

  1. 療法薬を組織へ送達するための医療用具であって、該医療用具がバルーンカテーテルであり、その外面を覆うコーティング層を含み、該コーティング層は、療法薬および少なくとも1の添加剤を含み、該療法薬が、パクリタキセル、ラパマイシンおよびそれらの組合せから選択される非水溶性薬剤であり、該少なくとも1の添加剤が、少なくとも1のアミド基を有する少なくとも1の化合物であって、アセトアミドおよびN−メチルアセトアミドから選択される化合物を含み、該コーティング層がポリマーを含有しない医療用具。
  2. 請求項1記載の医療用具であって、該少なくとも1の添加剤が更に尿素を含む医療用具。
  3. 請求項1記載の医療用具であって、該療法薬がパクリタキセルである医療用具。
  4. 請求項1記載の医療用具であって、該コーティング層中における該療法薬の濃度が1〜20μg/mmである医療用具。
  5. 請求項1記載の医療用具であって、該組織が、冠脈管系、末梢脈管系、脳脈管系、食道、気道、洞、気管、結腸、胆管、尿管、前立腺管または脳管のうちの1つの組織を含む医療用具。
  6. 請求項1記載の医療用具であって、身体を通って組織へ移動する際の療法薬の損失を少なくするために、該医療用具の外面を覆う該コーティング層の表面を覆う最上層をさらに含む医療用具。
  7. 請求項記載の医療用具であって、該最上層が、ゲンチシン酸、メチルパラベン、酢酸、PEG−20ソルビタンモノオレエート、バニリンおよびアスピリンから選択される医療用具。
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