JP2013258107A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電領域に滞留水が発生することがなく、しかも電解質膜の劣化を有効に抑制することを可能にする。
【解決手段】燃料電池10は、第1金属セパレータ14、第1電解質膜・電極構造体16a、第2金属セパレータ18、第2電解質膜・電極構造体16b及び第3金属セパレータ20を設ける。燃料電池10では、第2金属セパレータ18と第1電解質膜・電極構造体16aと構成する第1樹脂枠部材74との間に、第1バイパス流路42が設けられる。第1バイパス流路42は、第1燃料ガス流路34の重力方向下方に且つ発電領域外に位置し、燃料ガス入口連通孔24aから燃料ガス出口連通孔24bを連結する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解質膜の両側に一対の電極が設けられる電解質膜・電極構造体とセパレータとが水平方向に沿って積層されるとともに、電極面が重力方向に沿った鉛直姿勢を有し、反応ガスを前記電極面に沿って流通させる反応ガス流路が設けられる燃料電池に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜の両側に、それぞれアノード電極及びカソード電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、セパレータによって挟持した発電セル(単位セル)を備えている。燃料電池では、通常、数十〜数百の発電セルが積層されて、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
燃料電池では、積層されている各発電セルのアノード電極及びカソード電極に、それぞれ反応ガスである燃料ガス及び酸化剤ガスを供給するため、所謂、内部マニホールドを構成する場合が多い。
内部マニホールドは、発電セルの積層方向に貫通して設けられる反応ガス入口連通孔(燃料ガス入口連通孔、酸化剤ガス入口連通孔)及び反応ガス出口連通孔(燃料ガス出口連通孔、酸化剤ガス出口連通孔)を備えている。反応ガス入口連通孔は、電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路(燃料ガス流路、酸化剤ガス流路)の入口側に連通する一方、反応ガス出口連通孔は、前記反応ガス流路の出口側に連通している。
例えば、特許文献1に開示されている燃料電池セパレータは、図9に示すように、対角位置に入口マニホールド1a及び出口マニホールド1bが設けられるとともに、セパレータ面内には、ガス流路2が形成されている。
ガス流路2は、入口マニホールド1a及び出口マニホールド1bの通路幅より幅広に形成された流路幅を有し且つ流路を複数に分割するリブ3aを設ける主流路部3と、前記入口マニホールド1a及び前記出口マニホールド1bと前記主流路部3との間に配置される配流部(バッファ部)4及び合流部(バッファ部)5とを備えている。
配流部4は、流路を複数に分割するリブ4aを設けるとともに、前記リブ4aの端部と主流路部3のリブ3aとの間には、隙間4bが形成されている。合流部5は、流路を複数に分割するリブ5aを設けるとともに、前記リブ5aの端部と主流路部3のリブ3aとの間には、隙間5bが形成されている。
特開2006−172924号公報
上記の特許文献1では、発電部に設けられている主流路部3は、反応ガスを発電面全面に良好に流通させる機能を有する一方、配流部4及び合流部5は、前記反応ガスの流配制御や排水制御を行う機能を有している。
しかしながら、燃料電池セパレータが水平方向に積層されている場合、合流部5に生成水が滞留し易くなる。しかも、合流部5では、外部放熱により結露し易くなる。このため、合流部5に接続される主流路部3にも滞留水が発生してしまう。従って、水滞留部では、セパレータからのイオン溶出や電極からの貴金属溶出が惹起され、電解質膜の劣化や電極性能の低下が懸念される。
本発明は、この種の問題を解決するものであり、発電領域に滞留水が発生することがなく、しかも電解質膜の劣化を有効に抑制することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、電解質膜の両側に一対の電極が設けられる電解質膜・電極構造体とセパレータとが水平方向に沿って積層されるとともに、電極面が重力方向に沿った鉛直姿勢を有し、前記セパレータには、電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、前記反応ガスを前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータとの積層方向に流通させる反応ガス入口連通孔及び反応ガス出口連通孔とが設けられる一方、前記電解質膜・電極構造体は、外周部に樹脂枠部材が一体に設けられる燃料電池に関するものである。
この燃料電池では、樹脂枠部材とセパレータとの間には、反応ガス流路の重力方向下方に且つ発電領域外に位置し、反応ガス入口連通孔から反応ガス出口連通孔を連結するバイパス流路が設けられている。
また、この燃料電池では、電解質膜・電極構造体の一方の側と第1のセパレータとの間に第1の反応ガス流路が形成され、前記電解質膜・電極構造体の他方の側と第2のセパレータとの間に第2の反応ガス流路が形成されるとともに、バイパス流路は、積層方向に沿って、樹脂枠部材と前記第1のセパレータ又は前記第2のセパレータのいずれか一方のみとの間に形成されることが好ましい。
さらに、この燃料電池では、反応ガス入口連通孔と反応ガス流路との間には、入口バッファ部が設けられるとともに、バイパス流路は、前記入口バッファ部を介して前記反応ガス入口連通孔に接続されることが好ましい。
さらにまた、この燃料電池では、バイパス流路は、連結流路を介して反応ガス出口連通孔に接続されるとともに、前記連結流路は、前記バイパス流路の出口よりも下方に配置され、且つ、前記反応ガス出口連通孔の底部は、前記連結流路よりも下方に配置されることが好ましい。
本発明によれば、バイパス流路は、樹脂枠部材とセパレータとの間に形成されている。このため、電解質膜は、バイパス流路から独立しており、前記バイパス流路に滞留水が発生しても、前記電解質膜が前記滞留水により劣化することを確実に阻止することができる。
しかも、バイパス流路は、発電領域外に設けられている。従って、発電領域に供給される反応ガスの供給不良を惹起することがなく、良好な発電が確実に遂行される。これにより、簡単な構成で、発電領域に滞留水が発生することがなく、しかも電解質膜の劣化を有効に抑制することが可能になる。
本発明の実施形態に係る燃料電池を構成する発電ユニットの要部分解斜視説明図である。 前記発電ユニットの、図1中、II−II線断面説明図である。 前記発電ユニットを構成する第1金属セパレータの正面説明図である。 前記発電ユニットを構成する第2金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記第2金属セパレータの他方の面の説明図である。 前記発電ユニットを構成する第3金属セパレータの正面説明図である。 前記発電ユニットを構成する第1電解質膜・電極構造体の正面説明図である。 前記発電ユニットを構成する第2電解質膜・電極構造体の正面説明図である。 特許文献1に開示されている燃料電池セパレータの説明図である。
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池10は、発電ユニット12を備え、複数の前記発電ユニット12が水平方向(矢印A方向)に沿って互いに積層される。発電ユニット12は、それぞれ立位姿勢で配置される第1金属セパレータ14、第1電解質膜・電極構造体16a、第2金属セパレータ18、第2電解質膜・電極構造体16b及び第3金属セパレータ20を設ける。
第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20は、水平方向に沿って積層されるとともに、電極面が重力方向に沿った鉛直姿勢で且つ水平方向に長尺な横長形状を有する。
第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した横長形状の金属板により構成される。第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20は、平面が矩形状を有するとともに、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状に成形される。なお、第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20に代えて、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
図1に示すように、発電ユニット12の長辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、具体的には、第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20の長辺方向の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔(反応ガス入口連通孔)22a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔(反応ガス出口連通孔)24bが設けられる。
発電ユニット12の長辺方向(矢印B方向)の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔(反応ガス入口連通孔)24a、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔(反応ガス出口連通孔)22bが設けられる。
発電ユニット12の短辺方向(矢印C方向)の両端縁部には、酸化剤ガス入口連通孔22a側の一方に、矢印A方向に互いに連通して冷却媒体を供給するための一対の冷却媒体入口連通孔25aが設けられる。発電ユニット12の短辺方向の両端縁部には、燃料ガス入口連通孔24a側の他方に、冷却媒体を排出するための一対の冷却媒体出口連通孔25bが設けられる。
図3に示すように、第1金属セパレータ14の第1電解質膜・電極構造体16aに向かう面14aには、酸化剤ガス入口連通孔22aと酸化剤ガス出口連通孔22bとに連通する第1酸化剤ガス流路26が形成される。
第1酸化剤ガス流路26は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部26aを有するとともに、前記第1酸化剤ガス流路26の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ複数のエンボス部28aを有する入口バッファ部28及び複数のエンボス部29aを有する出口バッファ部29が設けられる。なお、波状流路溝部26aに代えて、直線状流路溝を採用してもよい。
入口バッファ部28と酸化剤ガス入口連通孔22aとの間には、ブリッジ部を構成する複数本の入口連結溝30aが形成される一方、出口バッファ部29と酸化剤ガス出口連通孔22bとの間には、ブリッジ部を構成する複数本の出口連結溝30bが形成される。
図1に示すように、第1金属セパレータ14の面14bには、冷却媒体入口連通孔25aと冷却媒体出口連通孔25bとを連通する冷却媒体流路32が形成される。冷却媒体流路32は、第1酸化剤ガス流路26の裏面形状と後述する第2燃料ガス流路50の裏面形状とが重なり合って形成される。
図4に示すように、第2金属セパレータ18の第1電解質膜・電極構造体16aに向かう面18aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとを連通する第1燃料ガス流路34が形成される。第1燃料ガス流路34は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部34aを有する。なお、波状流路溝部34aに代えて、直線状流路溝を採用してもよい。
燃料ガス入口連通孔24aと第1燃料ガス流路34とを連結する入口連結流路36aが設けられるとともに、燃料ガス出口連通孔24bと前記第1燃料ガス流路34とを連結する出口連結流路36bが設けられる。入口連結流路36aは、燃料ガス入口連通孔24aの近傍に設けられる複数の供給孔部38aを有する一方、出口連結流路36bは、燃料ガス出口連通孔24bの近傍に設けられる複数の排出孔部38bを有する。
第1燃料ガス流路34の重力方向下方に且つ発電領域40外(発電領域40の下方)に位置し、燃料ガス入口連通孔24aから燃料ガス出口連通孔24bを連結する第1バイパス流路42が設けられる。図2に示すように、第1バイパス流路42は、後述する第1樹脂枠部材74と第2金属セパレータ18との間に形成されており、固体高分子電解質膜68から独立して(離間して)設けられる。
出口連結流路36bの下端位置36buは、第1バイパス流路42の出口下端位置42uよりも下方に配置され、且つ、燃料ガス出口連通孔24bの底部24buは、前記出口連結流路36bの下端位置36buよりも下方に配置される。
図5に示すように、第2金属セパレータ18の第2電解質膜・電極構造体16bに向かう面18bには、酸化剤ガス入口連通孔22aと酸化剤ガス出口連通孔22bとを連通する第2酸化剤ガス流路44が形成される。第2酸化剤ガス流路44は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部44aを有する。なお、波状流路溝部44aに代えて、直線状流路溝を採用してもよい。
酸化剤ガス入口連通孔22aの近傍には、複数本の入口連結溝46aが形成される一方、酸化剤ガス出口連通孔22bの近傍には、複数本の出口連結溝46bが形成される。
燃料ガス入口連通孔24aの近傍には、入口連結流路36aを構成し、供給孔部38aと前記燃料ガス入口連通孔24aとを連結する入口連結溝48aが形成される。燃料ガス出口連通孔24bの近傍には、出口連結流路36bを構成し、排出孔部38bと前記燃料ガス出口連通孔24bとを連結する出口連結溝48bが形成される。
図2に示すように、第2金属セパレータ18は、第1バイパス流路42の裏面側を第2電解質膜・電極構造体16bを構成する第2樹脂枠部材(後述する)76に当接させ、第2酸化剤ガス流路44側に流路を設ける間隙を設けていない。第1バイパス流路42の積層方向の寸法を大きく確保するためである。
図6に示すように、第3金属セパレータ20の第2電解質膜・電極構造体16bに向かう面20aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bに連通する第2燃料ガス流路50が形成される。第2燃料ガス流路50は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部50aを有する。なお、波状流路溝部50aに代えて、直線状流路溝を採用してもよい。
燃料ガス入口連通孔24aと第2燃料ガス流路50とを連結する入口連結流路52aが設けられるとともに、燃料ガス出口連通孔24bと前記第2燃料ガス流路50とを連結する出口連結流路52bが設けられる。入口連結流路52aは、燃料ガス入口連通孔24aの近傍に設けられる複数の供給孔部54aを有する一方、出口連結流路52bは、燃料ガス出口連通孔24bの近傍に設けられる複数の排出孔部54bを有する。
図1に示すように、供給孔部54aは、第2金属セパレータ18の供給孔部38aよりも内側(燃料ガス流路側)に配置される一方、排出孔部54bは、前記第2金属セパレータ18の排出孔部38bよりも内側(燃料ガス流路側)に配置される。
図6に示すように、第2燃料ガス流路50の重力方向下方に且つ発電領域56外(発電領域56の下方)に位置し、燃料ガス入口連通孔24aから燃料ガス出口連通孔24bを連結する第2バイパス流路58が設けられる。出口連結流路52bの下端位置52buは、第2バイパス流路58の出口下端位置58uよりも下方に配置され、且つ、燃料ガス出口連通孔24bの底部24buは、前記出口連結流路52bの下端位置52buよりも下方に配置される。
第3金属セパレータ20の面20bには、第2燃料ガス流路50の裏面形状である冷却媒体流路32の一部が形成される。第3金属セパレータ20の面20bには、入口連結流路52aを構成し、供給孔部54aと燃料ガス入口連通孔24aとを連結する入口連結溝60aが形成される。面20bには、出口連結流路52bを構成し、排出孔部54bと燃料ガス出口連通孔24bとを連結する出口連結溝60bが形成される。
図1に示すように、第1金属セパレータ14の面14a、14bには、この第1金属セパレータ14の外周端縁部を周回して第1シール部材62が一体成形される。第2金属セパレータ18の面18a、18bには、この第2金属セパレータ18の外周端縁部を周回して第2シール部材64が一体成形されるとともに、第3金属セパレータ20の面20a、20bには、この第3金属セパレータ20の外周端縁部を周回して第3シール部材66が一体成形される。
第1シール部材62、第2シール部材64及び第3シール部材66としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール材が用いられる。
図3に示すように、第1シール部材62は、第1金属セパレータ14の面14aにおいて、酸化剤ガス入口連通孔22a及び酸化剤ガス出口連通孔22bと、第1酸化剤ガス流路26との外周を連通する第1凸状シール部62aを有する。第1シール部材62は、図1に示すように、第1金属セパレータ14の面14bにおいて、冷却媒体入口連通孔25a及び冷却媒体出口連通孔25bと冷却媒体流路32とを連通する第2凸状シール部62bを有する。
図4に示すように、第2シール部材64は、第2金属セパレータ18の面18aにおいて、供給孔部38a及び排出孔部38bと、第1燃料ガス流路34とを囲繞してこれらを連通させる第1凸状シール部64aを有する。
図5に示すように、第2シール部材64は、面18bにおいて、酸化剤ガス入口連通孔22a及び酸化剤ガス出口連通孔22bと、第2酸化剤ガス流路44との外周を連通する第2凸状シール部64bを有する。
図6に示すように、第3シール部材66は、第3金属セパレータ20の面20aにおいて、供給孔部54a及び排出孔部54bと、第2燃料ガス流路50とを囲繞してこれらを連通する第1凸状シール部66aを有する。
第3シール部材66は、第3金属セパレータ20の面20bにおいて、冷却媒体入口連通孔25a及び冷却媒体出口連通孔25bと冷却媒体流路38とを連通する第2凸状シール部66bを有する。
図2に示すように、第1電解質膜・電極構造体16a及び第2電解質膜・電極構造体16bは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜68と、前記固体高分子電解質膜68を挟持するカソード電極70及びアノード電極72とを備える。カソード電極70は、アノード電極72及び固体高分子電解質膜68の平面寸法(表面寸法)よりも小さな平面寸法(表面寸法)を有する段差型MEAを構成している。
なお、カソード電極70、アノード電極72及び固体高分子電解質膜68は、同一の平面寸法(表面寸法)に設定してもよく、また、前記アノード電極72は、前記カソード電極70及び固体高分子電解質膜68の平面寸法(表面寸法)よりも小さな平面寸法(表面寸法)を有していてもよい。
カソード電極70及びアノード電極72は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜68の両面に形成される。
第1電解質膜・電極構造体16aは、カソード電極70の終端部外方に位置して固体高分子電解質膜68の外周縁部に第1樹脂枠部材74が、例えば、射出成形等により一体成形される。第2電解質膜・電極構造体16bは、カソード電極70の終端部外方に位置して固体高分子電解質膜68の外周縁部に第2樹脂枠部材76が、例えば、射出成形等により一体成形される。第1樹脂枠部材74及び第2樹脂枠部材76を構成する樹脂材としては、例えば、汎用プラスチックの他、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチック等が採用される。
図1に示すように、第1樹脂枠部材74のカソード電極70側の面には、酸化剤ガス入口連通孔22aと第1酸化剤ガス流路26の入口側との間に位置して入口バッファ部78aが設けられるとともに、酸化剤ガス出口連通孔22bと前記第1酸化剤ガス流路26の出口側との間に位置して、出口バッファ部78bが設けられる。
入口バッファ部78aは、複数本の直線状入口ガイド流路80aと複数のエンボス部82aとを有する。出口バッファ部78bは、複数本の直線状出口ガイド流路80bと複数のエンボス部82bとを有する。
図7に示すように、第1樹脂枠部材74のアノード電極72側の面には、燃料ガス入口連通孔24aと第1燃料ガス流路34との間に位置して入口バッファ部84aが設けられるとともに、燃料ガス出口連通孔24bと前記第1燃料ガス流路34との間に位置して、出口バッファ部84bが設けられる。
入口バッファ部84aは、複数本の直線状入口ガイド流路86aと複数のエンボス部88aとを有する。出口バッファ部84bは、複数本の直線状出口ガイド流路86bと複数のエンボス部88bとを有する。図4及び図7に示すように、第1バイパス流路42は、入口バッファ部84aを介して燃料ガス入口連通孔24aに接続される。
図1に示すように、第2樹脂枠部材76のカソード電極70側の面には、酸化剤ガス入口連通孔22aと第2酸化剤ガス流路44との間に位置して入口バッファ部90aが設けられるとともに、酸化剤ガス出口連通孔22bと前記第2酸化剤ガス流路44との間に位置して出口バッファ部90bが設けられる。
入口バッファ部90aは、複数本の直線状入口ガイド流路92aと複数のエンボス部94aとを有する。出口バッファ部90bは、複数本の直線状出口ガイド流路92bと複数のエンボス部94bとを有する。
図8に示すように、第2樹脂枠部材76のアノード電極72側の面には、燃料ガス入口連通孔24aと第2燃料ガス流路50との間に位置して入口バッファ部96aが設けられるとともに、燃料ガス出口連通孔24bと前記第2燃料ガス流路50との間に位置して、出口バッファ部96bが設けられる。
入口バッファ部96aは、複数本の直線状入口ガイド流路98aと複数のエンボス部100aとを有する。出口バッファ部96bは、複数本の直線状出口ガイド流路98bと複数のエンボス部100bとを有する。図6及び図8に示すように、第2バイパス流路58は、入口バッファ部96aを介して燃料ガス入口連通孔24aに接続される。
発電ユニット12同士が互いに積層されることにより、一方の発電ユニット12を構成する第1金属セパレータ14と、他方の発電ユニット12を構成する第3金属セパレータ20との間には、冷却媒体流路32が形成される。
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔22aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔24aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔25aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、酸化剤ガスは、図1及び図3に示すように、酸化剤ガス入口連通孔22aから入口バッファ部78aを通って第1金属セパレータ14の第1酸化剤ガス流路26に供給される。酸化剤ガスは、図1及び図5に示すように、酸化剤ガス入口連通孔22aから入口バッファ部90aを通って第2金属セパレータ18の第2酸化剤ガス流路44に導入される。
酸化剤ガスは、図1、図3及び図5に示すように、第1酸化剤ガス流路26に沿って矢印B方向(水平方向)に移動し、第1電解質膜・電極構造体16aのカソード電極70に供給されるとともに、第2酸化剤ガス流路44に沿って矢印B方向に移動し、第2電解質膜・電極構造体16bのカソード電極70に供給される。
一方、燃料ガスは、図1、図4及び図7に示すように、燃料ガス入口連通孔24aから供給孔部38aを通って入口バッファ部84aに供給される。燃料ガスは、入口バッファ部84aを通って第2金属セパレータ18の第1燃料ガス流路34に供給される。燃料ガスは、図1、図6及び図8に示すように、燃料ガス入口連通孔24aから供給孔部54aを通って入口バッファ部96aに供給される。燃料ガスは、入口バッファ部96aを通って第3金属セパレータ20の第2燃料ガス流路50に供給される。
燃料ガスは、図1、図4及び図6に示すように、第1燃料ガス流路34に沿って矢印B方向に移動し、第1電解質膜・電極構造体16aのアノード電極72に供給されるとともに、第2燃料ガス流路50に沿って矢印B方向に移動し、第2電解質膜・電極構造体16bのアノード電極72に供給される。
従って、第1電解質膜・電極構造体16a及び第2電解質膜・電極構造体16bでは、各カソード電極70に供給される酸化剤ガスと、各アノード電極72に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、第1電解質膜・電極構造体16a及び第2電解質膜・電極構造体16bの各カソード電極70に供給されて消費された酸化剤ガスは、出口バッファ部78b、90bから酸化剤ガス出口連通孔22bに排出される(図1参照)。
第1電解質膜・電極構造体16a及び第2電解質膜・電極構造体16bのアノード電極72に供給されて消費された燃料ガスは、出口バッファ部84b、96bから排出孔部38b、54bを通って燃料ガス出口連通孔24bに排出される。
一方、左右一対の冷却媒体入口連通孔25aに供給された冷却媒体は、図1に示すように、各冷却媒体入口連通孔25aから冷却媒体流路32に供給される。冷却媒体は、一旦矢印C方向内方に沿って流動した後、矢印B方向に移動して第1電解質膜・電極構造体16a及び第2電解質膜・電極構造体16bを冷却する。この冷却媒体は、矢印C方向外方に移動した後、一対の冷却媒体出口連通孔25bに排出される。
この場合、本実施形態では、図2及び図4に示すように、第1燃料ガス流路34の重力方向下方に且つ発電領域40外に位置し、燃料ガス入口連通孔24aから燃料ガス出口連通孔24bを連結する第1バイパス流路42が設けられている。このため、第1燃料ガス流路34に生成された水や燃料ガス入口連通孔24aから飛び込んだ水は、第1バイパス流路42に沿って流通し、出口連結流路36bを通って燃料ガス出口連通孔24bに排出される。
その際、第1バイパス流路42は、第1樹脂枠部材74と第2金属セパレータ18との間に形成されており、固体高分子電解質膜68から独立して(離間して)設けられている。従って、第1バイパス流路42に滞留水が発生しても、固体高分子電解質膜68が前記滞留水に接触することがない。これにより、固体高分子電解質膜68が劣化することを、確実に阻止することができる。
しかも、第1バイパス流路42は、発電領域40外に設けられている。このため、発電領域40に供給される燃料ガスの供給不良を惹起することがなく、良好な発電が確実に遂行される。これにより、簡単な構成で、発電領域40に滞留水が発生することがなく、しかも固体高分子電解質膜68の劣化を有効に抑制することが可能になるという効果が得られる。
さらにまた、図4に示すように、出口連結流路36bの下端位置36buは、第1バイパス流路42の出口下端位置42uよりも下方に配置され、且つ、燃料ガス出口連通孔24bの底部24buは、前記出口連結流路36bの下端位置36buよりも下方に配置されている。従って、第1バイパス流路42に沿って流通する水は、重力の作用下に、前記第1バイパス流路42から出口連結流路36bを通って燃料ガス出口連通孔24bに円滑且つ確実に排出される。
なお、第2バイパス流路58では、上記の第1バイパス流路42と同様の効果を得ることができる。また、第1酸化剤ガス流路26及び第2酸化剤ガス流路44でも、上記の第1バイパス流路42及び第2バイパス流路58と同様に構成されるバイパス流路を採用することが可能である。
10…燃料電池 12…発電ユニット
14、18、20…金属セパレータ 16a、16b…電解質膜・電極構造体
22a…酸化剤ガス入口連通孔 22b…酸化剤ガス出口連通孔
24a…燃料ガス入口連通孔 24b…燃料ガス出口連通孔
25a…冷却媒体入口連通孔 25b…冷却媒体出口連通孔
26、44…酸化剤ガス流路 32…冷却媒体流路
34、50…燃料ガス流路 36a、52a…入口連結流路
36b、52b…出口連結流路 38a、54a…供給孔部
38b、54b…排出孔部 40、56…発電領域
42、58…バイパス流路 62、64、66…シール部材
68…固体高分子電解質膜 70…カソード電極
72…アノード電極 74、76…樹脂枠部材
78a、84a、90a、96a…入口バッファ部
78b、84b、90b、96b…出口バッファ部

Claims (4)

  1. 電解質膜の両側に一対の電極が設けられる電解質膜・電極構造体とセパレータとが水平方向に沿って積層されるとともに、電極面が重力方向に沿った鉛直姿勢を有し、前記セパレータには、電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路と、前記反応ガスを前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータとの積層方向に流通させる反応ガス入口連通孔及び反応ガス出口連通孔とが設けられる一方、前記電解質膜・電極構造体は、外周部に樹脂枠部材が一体に設けられる燃料電池であって、
    前記樹脂枠部材と前記セパレータとの間には、前記反応ガス流路の重力方向下方に且つ発電領域外に位置し、前記反応ガス入口連通孔から前記反応ガス出口連通孔を連結するバイパス流路が設けられることを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、前記電解質膜・電極構造体の一方の側と第1のセパレータとの間に第1の反応ガス流路が形成され、前記電解質膜・電極構造体の他方の側と第2のセパレータとの間に第2の反応ガス流路が形成されるとともに、
    前記バイパス流路は、前記積層方向に沿って、前記樹脂枠部材と前記第1のセパレータ又は前記第2のセパレータのいずれか一方のみとの間に形成されることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池において、前記反応ガス入口連通孔と前記反応ガス流路との間には、入口バッファ部が設けられるとともに、
    前記バイパス流路は、前記入口バッファ部を介して前記反応ガス入口連通孔に接続されることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記バイパス流路は、連結流路を介して前記反応ガス出口連通孔に接続されるとともに、
    前記連結流路は、前記バイパス流路の出口よりも下方に配置され、且つ、前記反応ガス出口連通孔の底部は、前記連結流路よりも下方に配置されることを特徴とする燃料電池。
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