JP5809093B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電解質膜の両側に一対の電極が設けられる電解質膜・電極構造体と金属セパレータとが積層されるとともに、互いに隣接する前記金属セパレータ間には、該金属セパレータを波形に成形して電極面に沿って冷却媒体を流通させる冷却媒体流路が設けられる燃料電池に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード電極及びカソード電極を設けた電解質膜・電極構造体(MEA)を、一対のセパレータによって挟持している。燃料電池は、通常、複数積層されて燃料電池スタックを構成するとともに、定置用の他、車載用として燃料電池車両に組み込まれることにより、車載用燃料電池システムとして使用されている。
燃料電池では、セパレータの面内に、アノード電極に燃料ガスを流すための燃料ガス流路と、カソード電極に酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路とが設けられている。さらに、各発電セル毎又は複数の発電セル毎に、隣接するセパレータ間には、冷却媒体を流すための冷却媒体流路が電極面方向に沿って設けられている。
ここで、セパレータとして金属セパレータが使用される場合がある。この金属セパレータは、金属薄板を波形状に成形することにより、セパレータ面の表裏には、それぞれ前記波形状の凹部(溝部)に沿って反応ガス流路と冷却媒体流路の一部とが設けられている。冷却媒体流路は、互いに隣接する金属セパレータに成形された溝部同士が重なり合って構成されている。
さらに、金属セパレータには、反応ガス流路や冷却媒体流路等をシールするために、シール部材が一体成形されている。その際、冷却媒体流路の最外周には、隣接する金属セパレータの溝部同士が重なり合っており、シール部材との間に隙間が発生し易い。従って、冷却媒体は、冷却媒体流路を迂回して前記冷却媒体流路の外方とシール部材との間を流通する、所謂、ショートカットが発生するという問題がある。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池が知られている。この特許文献1は、電解質の両側に一対の電極が設けられる電解質・電極構造体と長方形状の金属セパレータとが積層され、前記金属セパレータ間には、電極範囲を周回して長辺方向に冷却媒体を流通させる冷却媒体流路が形成されるとともに、前記金属セパレータには、長辺方向一端側に前記冷却媒体流路を挟んで一対の冷却媒体供給連通孔が設けられ、且つ長辺方向他端側に前記冷却媒体流路を挟んで一対の冷却媒体排出連通孔が設けられる燃料電池に関するものである。
そして、冷却媒体流路は、波形状を有する複数の波状凸部間に形成される一方、金属セパレータの外側から、前記冷却媒体流路の最外周を構成する前記波状凸部の側部に当接するとともに、側部波形状の一部に倣う少なくとも凸形状を有する閉塞シール部が設けられている。
これにより、簡単な構成で、冷却媒体流路全域にわたって冷却媒体を良好に流通させることができ、前記冷却媒体のショートカットを可及的に阻止することが可能になる、としている。
特開2011−171222号公報
本発明は、この種の技術に関してなされたものであり、簡単且つ経済的な構成で、冷却媒体のショートカットを可及的に阻止することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、電解質膜の両側に一対の電極が設けられる電解質膜・電極構造体と金属セパレータとが積層されるとともに、互いに隣接する前記金属セパレータ間には、該金属セパレータが波形に成形して冷却媒体を流通させる冷却媒体流路が設けられる燃料電池に関するものである。
この燃料電池では、冷却媒体流路の幅方向最外周よりも外方に位置する外周部には、冷却媒体が前記冷却媒体流路を迂回することを阻止するための迂回規制部が設けられるとともに、前記迂回規制部は、少なくとも一方の金属セパレータに一体に成形され、他方の金属セパレータに当接する凸部を備えている。
また、この燃料電池では、金属セパレータは、長方形状を有し、前記金属セパレータの長辺方向一方側には、冷却媒体流路を挟んで一対の冷却媒体入口連通孔が設けられ、且つ、前記金属セパレータの長辺方向他方側には、前記冷却媒体流路を挟んで一対の冷却媒体出口連通孔が設けられ、凸部は、各冷却媒体入口連通孔各冷却媒体出口連通孔との間に、それぞれ少なくとも1つ、成形されることが好ましい。
さらに、この燃料電池では、冷却媒体流路は、波形状を有する複数の波状突起部間に形成されるとともに、凸部は、最外周の前記波状突起部の外方に、前記冷却媒体流路の流れ方向に交差する方向の長さが異なる2種の凸状部位を交互に設けて構成されることが好ましい。
本発明によれば、冷却媒体流路の外周部に設けられた迂回規制部は、少なくとも一方の金属セパレータに一体に成形される凸部を備えるとともに、前記凸部は、他方の金属セパレータに直接当接している。このため、冷却媒体流路の周囲に形成される迂回路は、凸部を介して確実に閉塞することができる。これにより、簡単且つ経済的な構成で、冷却媒体のショートカットを可及的に阻止することが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池を構成する発電ユニットの要部分解斜視説明図である。 前記発電ユニットの、図1中、II−II線断面説明図である。 前記発電ユニットの、図1中、III−III線断面説明図である。 前記発電ユニットの、図1中、IV−IV線断面説明図である。 前記発電ユニットを構成する第1金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記第1金属セパレータの他方の面の説明図である。 前記発電ユニットを構成する第2金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記第2金属セパレータの他方の面の説明図である。 前記発電ユニットを構成する第3金属セパレータの一方の面の説明図である。 前記第3金属セパレータの他方の面の説明図である。 前記発電ユニットを構成する第1電解質膜・電極構造体の一方の面の説明図である。 前記第1電解質膜・電極構造体の他方の面の説明図である。 前記発電ユニットを構成する第2電解質膜・電極構造体の一方の面の説明図である。 前記第2電解質膜・電極構造体の他方の面の説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池を構成する発電ユニットの要部分解斜視説明図である。 前記発電ユニットの、図15中、XVI−XVI線断面図である。
図1〜図4に示すように、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10は、発電ユニット12を備え、複数の前記発電ユニット12が水平方向(矢印A方向)又は鉛直方向(矢印C方向)に沿って互いに積層される。発電ユニット12は、第1金属セパレータ14、第1電解質膜・電極構造体16a、第2金属セパレータ18、第2電解質膜・電極構造体16b及び第3金属セパレータ20を設ける。第1金属セパレータ14、第1電解質膜・電極構造体16a、第2金属セパレータ18、第2電解質膜・電極構造体16b及び第3金属セパレータ20は、水平方向に沿って積層されるとともに、電極面が重力方向に沿った鉛直姿勢で且つ水平方向に長尺な横長形状を有する。
第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した横長形状の金属板により構成される。第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20は、平面が矩形状を有するとともに、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状に成形される。
図1に示すように、発電ユニット12の長辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、具体的には、第1金属セパレータ14、第2金属セパレータ18及び第3金属セパレータ20の長辺方向の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔22a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔24bが設けられる。
発電ユニット12の長辺方向(矢印B方向)の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔24a、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔22bが設けられる。
発電ユニット12の短辺方向(矢印C方向)の両端縁部には、酸化剤ガス入口連通孔22a側の一方に、矢印A方向に互いに連通して冷却媒体を供給するための一対の冷却媒体入口連通孔25aが設けられる。発電ユニット12の短辺方向の両端縁部には、燃料ガス入口連通孔24a側の他方に、冷却媒体を排出するための一対の冷却媒体出口連通孔25bが設けられる。
図5に示すように、第1金属セパレータ14の第1電解質膜・電極構造体16aに向かう面14aには、酸化剤ガス入口連通孔22aと酸化剤ガス出口連通孔22bとに連通する第1酸化剤ガス流路26が形成される。
第1酸化剤ガス流路26は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部(直線状流路溝部でもよい)26aを有するとともに、前記第1酸化剤ガス流路26の入口近傍及び出口近傍には、それぞれ複数のエンボスを有する入口エンボス部28a及び出口エンボス部28bが設けられる。
入口エンボス部28aと酸化剤ガス入口連通孔22aとの間には、ブリッジ部を構成する複数本の入口連結溝30aが形成される一方、出口エンボス部28bと酸化剤ガス出口連通孔22bとの間には、ブリッジ部を構成する複数本の出口連結溝30bが形成される。
第1酸化剤ガス流路26の重力方向下端には、前記第1酸化剤ガス流路26から生成水を重力方向下方に排出するための第1カソード排水通路32が設けられる。第1カソード排水通路32は、第1金属セパレータ14の面14a及び該面14aとは反対の面14bに交互に形成される凹凸形状部34a、34bにより構成される。凹凸形状部34a、34bは、重力方向最下端の波状流路溝部26aの外側形状に沿って第1金属セパレータ14にプレス成形される。
凹凸形状部34aは、面14a側に膨出する突起形状(裏面からは窪み形状)を有する一方、凹凸形状部34bは、面14b側に膨出する突起形状(裏面からは窪み形状)を有する。図1、図2、図5及び図6に示すように、第1金属セパレータ14の下部側及び上部側には、冷却媒体が冷却媒体流路38を迂回して前記冷却媒体流路38の外周部を流通することを阻止するための迂回規制部35a、35bが設けられる。
迂回規制部35aは、図6に示すように、下部側の冷却媒体入口連通孔25aと冷却媒体出口連通孔25bとの間に配置されている凹凸形状部(凸部)34bsを備える。凹凸形状部34bsは、他の凹凸形状部34bよりも冷却媒体流路38側に大きく突出し、隣接する第3金属セパレータ20の後述する凹凸形状部64asに近接(当接を含む、以下同様である)する(図2参照)。近接する両側の凹凸形状部34bsと凹凸形状部64asとは、矢印C方向の長さが互いに異なっている。
凹凸形状部34bsは、冷却媒体流路38の流れ方向に交差する方向(矢印C方向)の長さが異なる2種の凸状部位(波状流路溝部26aの山部及び谷部に対応する)を交互に設けて構成される。
なお、凹凸形状部34bsは、冷却媒体入口連通孔25aの冷却媒体出口連通孔25b側の端部の近傍に少なくとも1つ、及び前記冷却媒体出口連通孔25bの前記冷却媒体入口連通孔25a側の端部の近傍に少なくとも1つ、成形してもよい。以下の各凹凸形状部でも、同様である。
迂回規制部35bは、図1及び図5に示すように、上部側の冷却媒体入口連通孔25aと冷却媒体出口連通孔25bとの間に配置されている凹凸形状部(凸部)34btを備える。凹凸形状部34btは、重力方向最上端の波状流路溝部26aの山部及び谷部に対応して成形されるとともに、冷却媒体流路38側に大きく突出し、隣接する第3金属セパレータ20の後述する凹凸形状部64atに近接する。
図2に示すように、凹凸形状部34aは、後述する第1樹脂枠部材80に近接して第1カソード排水通路32を部分的に閉塞する。図5に示すように、第1カソード排水通路32の下方には、矢印B方向に延在する排水用流路36が設けられる。排水用流路36は、酸化剤ガス出口連通孔22bに連通する。
図1に示すように、第1金属セパレータ14の面14bには、冷却媒体入口連通孔25aと冷却媒体出口連通孔25bとを連通する冷却媒体流路38が形成される。冷却媒体流路38は、第1酸化剤ガス流路26の裏面形状と後述する第2燃料ガス流路58の裏面形状とが重なり合って形成される。第1酸化剤ガス流路26の裏面形状と第2燃料ガス流路58の裏面形状とは、位相が反転することにより冷却媒体流路38が形成されているが、前記位相が同一であってもよい。
図7に示すように、第2金属セパレータ18の第1電解質膜・電極構造体16aに向かう面18aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとを連通する第1燃料ガス流路40が形成される。第1燃料ガス流路40は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部(直線状流路溝部でもよい)40aを有する。燃料ガス入口連通孔24aの近傍には、複数の供給孔部42aが形成されるとともに、燃料ガス出口連通孔24bの近傍には、複数の排出孔部42bが形成される。
第1燃料ガス流路40の重力方向下端には、前記第1燃料ガス流路40から生成水(逆拡散水)を重力方向下方に排出するための第1アノード排水通路44が設けられる。第1アノード排水通路44は、第2金属セパレータ18の面18a及び該面18aとは反対の面18bに交互に形成される凹凸形状部46a、46bにより構成される。
凹凸形状部46aは、面18a側に膨出する突起形状(裏面からは窪み形状)を有する一方、凹凸形状部46bは、面18b側に膨出する突起形状(裏面からは窪み形状)を有する。凹凸形状部46aは、図2に示すように、後述する第1電解質膜・電極構造体16aのアノード電極78に当接して第1アノード排水通路44を部分的に閉塞する。図7に示すように、第1アノード排水通路44の下方には、矢印B方向に延在する排水用流路48が設けられる。排水用流路48は、排出孔部42bに連通する。
図8に示すように、第2金属セパレータ18の第2電解質膜・電極構造体16bに向かう面18bには、酸化剤ガス入口連通孔22aと酸化剤ガス出口連通孔22bとを連通する第2酸化剤ガス流路50が形成される。第2酸化剤ガス流路50は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部(直線状流路溝部でもよい)50aを有する。酸化剤ガス入口連通孔22aの近傍には、複数本の入口連結溝52aが形成される一方、酸化剤ガス出口連通孔22bの近傍には、複数本の出口連結溝52bが形成される。
第2酸化剤ガス流路50の重力方向下端には、前記第2酸化剤ガス流路50から生成水を重力方向下方に排出するための第2カソード排水通路54が設けられる。第2カソード排水通路54は、第1アノード排水通路44の裏面形状である凹凸形状部46a、46bにより構成される。
図2に示すように、凹凸形状部46bは、後述する第2樹脂枠部材82に当接して第2カソード排水通路54を部分的に閉塞する。図8に示すように、第2カソード排水通路54の下方には、矢印B方向に延在する排水用流路56が設けられる。排水用流路56は、酸化剤ガス出口連通孔22bに連通する。
図9に示すように、第3金属セパレータ20の第2電解質膜・電極構造体16bに向かう面20aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bに連通する第2燃料ガス流路58が形成される。第2燃料ガス流路58は、矢印B方向に延在する複数の波状流路溝部(直線状流路溝部でもよい)58aを有する。
燃料ガス入口連通孔24aの近傍には、複数の供給孔部60aが形成されるとともに、燃料ガス出口連通孔24bの近傍には、複数の排出孔部60bが形成される。図1及び図3に示すように、供給孔部60aは、第2金属セパレータ18の供給孔部42aよりも内側(燃料ガス流路側)に配置される一方、排出孔部60bは、前記第2金属セパレータ18の排出孔部42bよりも内側(燃料ガス流路側)に配置される。
図9に示すように、第2燃料ガス流路58の重力方向下端には、前記第2燃料ガス流路58から生成水(逆拡散水)を重力方向下方に排出するための第2アノード排水通路62が設けられる。第2アノード排水通路62は、第2金属セパレータ18の面18a及び該面18aとは反対の面18bに交互に形成される凹凸形状部64a、64bにより構成される。
凹凸形状部64aは、面20a側に膨出する突起形状(裏面からは窪み形状)を有する一方、凹凸形状部64bは、面20b側に膨出する突起形状(裏面からは窪み形状)を有する。下部側の冷却媒体入口連通孔25aと冷却媒体出口連通孔25bとの間には、凹凸形状部34bsに当接する凹凸形状部64asが設けられる。上部側の冷却媒体入口連通孔25aと冷却媒体出口連通孔25bとの間には、凹凸形状部34btに当接する凹凸形状部64atが設けられる。
なお、上部側の凹凸形状部64atは、必要に応じて設ければよく、例えば、平坦面に形成されていてもよい。凹凸形状部34btが、平坦面に当接して迂回規制部35bを構成することができればよいからである。
図2に示すように、凹凸形状部64aは、後述する第2電解質膜・電極構造体16bのアノード電極78に当接して第2アノード排水通路62を部分的に閉塞する。図9に示すように、第2アノード排水通路62の下方には、矢印B方向に延在する排水用流路66が設けられる。排水用流路66は、排出孔部60bに連通する。
図10に示すように、第3金属セパレータ20の面20bには、第2燃料ガス流路58の裏面形状である冷却媒体流路38の一部が形成される。第3金属セパレータ20の面20bには、前記第3金属セパレータ20に隣接する第1金属セパレータ14の面14bが積層されることにより、冷却媒体流路38が一体に設けられる。冷却媒体流路38の重力方向下端には、第2アノード排水通路62の裏面形状である凹凸形状部64a、64bが設けられる。
図1に示すように、第1金属セパレータ14の面14a、14bには、この第1金属セパレータ14の外周端縁部を周回して第1シール部材68が一体成形される。第2金属セパレータ18の面18a、18bには、この第2金属セパレータ18の外周端縁部を周回して第2シール部材70が一体成形されるとともに、第3金属セパレータ20の面20a、20bには、この第3金属セパレータ20の外周端縁部を周回して第3シール部材72が一体成形される。
第1シール部材68、第2シール部材70及び第3シール部材72としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール材が用いられる。
図5に示すように、第1シール部材68は、第1金属セパレータ14の面14aにおいて、酸化剤ガス入口連通孔22a及び酸化剤ガス出口連通孔22bと、第1酸化剤ガス流路26とを連通する第1凸状シール部68aを有する。第1シール部材68は、図6に示すように、第1金属セパレータ14の面14bにおいて、冷却媒体入口連通孔25a及び冷却媒体出口連通孔25bと冷却媒体流路38との外周を連通する第2凸状シール部68bを有する。
図7に示すように、第2シール部材70は、第2金属セパレータ18の面18aにおいて、供給孔部42a及び排出孔部42bと、第1燃料ガス流路40とを囲繞してこれらを連通させる第1凸状シール部70aを有する。
図8に示すように、第2シール部材70は、面18bにおいて、酸化剤ガス入口連通孔22a及び酸化剤ガス出口連通孔22bと、第2酸化剤ガス流路50との外周を連通する第2凸状シール部70bを有する。
図9に示すように、第3シール部材72は、第3金属セパレータ20の面20aにおいて、供給孔部60a及び排出孔部60bと、第2燃料ガス流路58とを囲繞してこれらを連通する第1凸状シール部72aを有する。
図10に示すように、第3シール部材72は、第3金属セパレータ20の面20bにおいて、冷却媒体入口連通孔25a及び冷却媒体出口連通孔25bと冷却媒体流路38との外周を連通する第2凸状シール部72bを有する。
図2に示すように、第1電解質膜・電極構造体16a及び第2電解質膜・電極構造体16bは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜74と、前記固体高分子電解質膜74を挟持するカソード電極76及びアノード電極78とを備える。カソード電極76は、アノード電極78及び固体高分子電解質膜74の表面積(平面寸法)よりも小さな表面積(平面寸法)を有する段差型MEAを構成している。なお、カソード電極76、アノード電極78及び固体高分子電解質膜74は、同一の表面積に設定してもよく、また、前記アノード電極78は、前記カソード電極76及び前記固体高分子電解質膜74の表面積よりも小さな表面積を有していてもよい。
カソード電極76及びアノード電極78は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜74の両面に形成される。
第1電解質膜・電極構造体16aは、カソード電極76の終端部外方に位置して固体高分子電解質膜74の外周縁部に第1樹脂枠部材80が、例えば、射出成形等により一体成形される。第2電解質膜・電極構造体16bは、カソード電極76の終端部外方に位置して固体高分子電解質膜74の外周縁部に第2樹脂枠部材82が、例えば、射出成形等により一体成形される。第1樹脂枠部材80及び第2樹脂枠部材82を構成する樹脂材としては、例えば、汎用プラスチックの他、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチック等が採用される。
図11及び図12に示すように、第1樹脂枠部材80は、長手方向(矢印B方向)両端部に、酸化剤ガス入口連通孔22a及び酸化剤ガス出口連通孔22bに向かって膨出する突出部80a、80bと、燃料ガス入口連通孔24a及び燃料ガス出口連通孔24bに向かって膨出する突出部80c、80dとを有する。
第1樹脂枠部材80のカソード電極76側の面には、図11に示すように、酸化剤ガス入口連通孔22aと第1酸化剤ガス流路26の入口側との間に位置して入口バッファ部84aが設けられるとともに、酸化剤ガス出口連通孔22bと前記第1酸化剤ガス流路26の出口側との間に位置して、出口バッファ部84bが設けられる。入口バッファ部84a及び出口バッファ部84bは、ライン状凸部とエンボスにより構成され、又は、前記ライン状凸部のみや前記エンボスのみにより構成してもよい。以下の他のバッファ部も同様である。
図12に示すように、第1樹脂枠部材80のアノード電極78側の面には、燃料ガス入口連通孔24aと第1燃料ガス流路40との間に位置して入口バッファ部86aが設けられるとともに、燃料ガス出口連通孔24bと前記第1燃料ガス流路40との間に位置して、出口バッファ部86bが設けられる。
図13及び図14に示すように、第2電解質膜・電極構造体16bに設けられる第2樹脂枠部材82は、酸化剤ガス入口連通孔22a、酸化剤ガス出口連通孔22b、燃料ガス入口連通孔24a及び燃料ガス出口連通孔24bに向かってそれぞれ膨出する突出部82a、82b、82c及び82dを有する。
第2樹脂枠部材82のカソード電極76側の面には、図13に示すように、酸化剤ガス入口連通孔22aと第2酸化剤ガス流路50との間に位置して入口バッファ部88aが設けられるとともに、酸化剤ガス出口連通孔22bと前記第2酸化剤ガス流路50との間に位置して出口バッファ部88bが形成される。
第2樹脂枠部材82のアノード電極78側の面には、図14に示すように、燃料ガス入口連通孔24aと第2燃料ガス流路58との間に位置して入口バッファ部90aが設けられるとともに、燃料ガス出口連通孔24bと前記第2燃料ガス流路58との間に位置して出口バッファ部90bが設けられる。
発電ユニット12同士が互いに積層されることにより、一方の発電ユニット12を構成する第1金属セパレータ14と、他方の発電ユニット12を構成する第3金属セパレータ20との間には、冷却媒体流路38が形成される。
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔22aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔24aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔25aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、酸化剤ガスは、図4に示すように、酸化剤ガス入口連通孔22aから入口バッファ部84aを通って第1金属セパレータ14の第1酸化剤ガス流路26に供給される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔22aから入口バッファ部88aを通って第2金属セパレータ18の第2酸化剤ガス流路50に導入される。
酸化剤ガスは、図1、図5及び図8に示すように、第1酸化剤ガス流路26に沿って矢印B方向(水平方向)に移動し、第1電解質膜・電極構造体16aのカソード電極76に供給されるとともに、第2酸化剤ガス流路50に沿って矢印B方向に移動し、第2電解質膜・電極構造体16bのカソード電極76に供給される。
一方、燃料ガスは、図3に示すように、燃料ガス入口連通孔24aから供給孔部42aを通って入口バッファ部86aに供給される。燃料ガスは、入口バッファ部86aを通って第2金属セパレータ18の第1燃料ガス流路40に供給される。燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔24aから供給孔部60aを通って入口バッファ部90aに供給される。燃料ガスは、入口バッファ部90aを通って第3金属セパレータ20の第2燃料ガス流路58に供給される。
燃料ガスは、図1、図7及び図9に示すように、第1燃料ガス流路40に沿って矢印B方向に移動し、第1電解質膜・電極構造体16aのアノード電極78に供給されるとともに、第2燃料ガス流路58に沿って矢印B方向に移動し、第2電解質膜・電極構造体16bのアノード電極78に供給される。
従って、第1電解質膜・電極構造体16a及び第2電解質膜・電極構造体16bでは、各カソード電極76に供給される酸化剤ガスと、各アノード電極78に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、第1電解質膜・電極構造体16a及び第2電解質膜・電極構造体16bの各カソード電極76に供給されて消費された酸化剤ガスは、出口バッファ部84b、88bから酸化剤ガス出口連通孔22bに排出される(図1参照)。
第1電解質膜・電極構造体16a及び第2電解質膜・電極構造体16bのアノード電極78に供給されて消費された燃料ガスは、出口バッファ部86b、90bから排出孔部42b、60bを通って燃料ガス出口連通孔24bに排出される。
一方、左右一対の冷却媒体入口連通孔25aに供給された冷却媒体は、図1に示すように、各冷却媒体入口連通孔25aから冷却媒体流路38に供給される。冷却媒体は、一旦矢印C方向内方に沿って流動した後、矢印B方向に移動して第1電解質膜・電極構造体16a及び第2電解質膜・電極構造体16bを冷却する。
この冷却媒体は、矢印C方向外方に移動した後、一対の冷却媒体出口連通孔25bに排出される。その際、冷却媒体は、冷却媒体流路38を迂回して前記冷却媒体流路38の外周部を流通し易い。
この場合、第1の実施形態では、図1、図2、図5及び図6に示すように、第1金属セパレータ14の下部側及び上部側には、冷却媒体が冷却媒体流路38を迂回して前記冷却媒体流路38の外周部を流通することを阻止するための迂回規制部35a、35bが設けられている。
迂回規制部35aは、第1金属セパレータ14に冷却媒体入口連通孔25aと冷却媒体出口連通孔25bとの間に設けられる1以上の凹凸形状部34bsと、前記第1金属セパレータ14に隣接する第3金属セパレータ20に設けられ、前記凹凸形状部34bsが当接する1以上の凹凸形状部64asとを有している(図2参照)。
同様に、迂回規制部35bは、第1金属セパレータ14に設けられる1以上の凹凸形状部34btと、前記第1金属セパレータ14に隣接する第3金属セパレータ20に設けられ、前記凹凸形状部34btが当接する1以上の凹凸形状部64atとを有している(図1、図5、図6、図9及び図10参照)。
このため、冷却媒体入口連通孔25aから冷却媒体流路38に供給される冷却媒体は、前記冷却媒体流路38を迂回することがなく、前記冷却媒体流路38を確実に流通した後、冷却媒体出口連通孔25bに排出されている。
その際、迂回規制部35a、35bは、第1金属セパレータ14及び第3金属セパレータ20自体をプレス加工して凸部を一体に成形するだけでよい。従って、凸部により冷却媒体流路38の周囲に形成される迂回路を良好に閉塞することができるとともに、簡単且つ経済的な構成で、冷却媒体のショートカットを可及的に阻止することが可能になるという効果が得られる。
図15及び図16に示すように、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池120は、複数の発電ユニット122を積層して構成される。
発電ユニット122は、第1金属セパレータ14と第2金属セパレータ124との間に、電解質膜・電極構造体16を挟持して構成される。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
第2金属セパレータ124は、電解質膜・電極構造体16側の面124aに、燃料ガス流路40が設けられるとともに、前記第2金属セパレータ124の表裏に突出して凹凸形状部34bsに当接する凹凸形状部64asと、凹凸形状部34btに当接する凹凸形状部64atとが設けられる。
凹凸形状部64asが凹凸形状部34bsに当接して迂回規制部35aが構成されるとともに、凹凸形状部64atが凹凸形状部34btに当接して迂回規制部35bが構成される。
電解質膜・電極構造体16は、第1の実施形態の第1電解質膜・電極構造体16a又は第2電解質膜・電極構造体16bと同様に構成されている。
このように構成される第2の実施形態では、第1金属セパレータ14と第2金属セパレータ124とが重なり合って、迂回規制部35a、35bが形成されている。このため、簡単且つ経済的な構成で、冷却媒体のショートカットを可及的に阻止することが可能になる等、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
10、120…燃料電池 12、122…発電ユニット
14、18、20、124…金属セパレータ
16a、16b…電解質膜・電極構造体
22a…酸化剤ガス入口連通孔 22b…酸化剤ガス出口連通孔
24a…燃料ガス入口連通孔 24b…燃料ガス出口連通孔
25a…冷却媒体入口連通孔 25b…冷却媒体出口連通孔
26、50…酸化剤ガス流路 32、54…カソード排水通路
34a、34b、46a、46b、64a、64b、34bs、34bt、64as、64at…凹凸形状部
35a、35b…迂回規制部 36、48、56、66…排水用流路
38…冷却媒体流路 40…燃料ガス流路
44、62…アノード排水通路 58…燃料ガス流路
68、70、72…シール部材 74…固体高分子電解質膜
76…カソード電極 78…アノード電極
80、82…樹脂枠部材

Claims (3)

  1. 電解質膜の両側に一対の電極が設けられる電解質膜・電極構造体と金属セパレータとが積層されるとともに、互いに隣接する前記金属セパレータ間には、該金属セパレータを波形に成形して冷却媒体を流通させる冷却媒体流路が設けられる燃料電池であって、
    前記冷却媒体流路の幅方向最外周よりも外方に位置する外周部には、前記冷却媒体が該冷却媒体流路を迂回することを阻止するための迂回規制部が設けられるとともに、
    前記迂回規制部は、少なくとも一方の金属セパレータに一体に成形され、他方の前記金属セパレータに当接する凸部を備えることを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、前記金属セパレータは、長方形状を有し、前記金属セパレータの長辺方向一方側には、前記冷却媒体流路を挟んで一対の冷却媒体入口連通孔が設けられ、且つ、前記金属セパレータの長辺方向他方側には、前記冷却媒体流路を挟んで一対の冷却媒体出口連通孔が設けられ、
    前記凸部は、各冷却媒体入口連通孔各冷却媒体出口連通孔との間に、それぞれ少なくとも1つ、成形されることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池において、前記冷却媒体流路は、波形状を有する複数の波状突起部間に形成されるとともに、
    前記凸部は、最外周の前記波状突起部の外方に、前記冷却媒体流路の流れ方向に交差する方向の長さが異なる2種の凸状部位を交互に設けて構成されることを特徴とする燃料電池。
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