JP2013253030A - フィルムコーティング組成物並びに経口固形製剤及びその製造方法 - Google Patents

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章太郎 川田
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Abstract

【課題】ポリビニルアルコールの高い防湿特性を維持したまま、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好で、かつ表面が滑らかな経口固形製剤及びその製造方法並びに該経口固形製剤の製造に用いるフィルムコーティング組成物を提供すること。
【解決手段】ポリビニルアルコールと水溶性セルロース誘導体とを少なくとも含むフィルムコーティング組成物であって、前記ポリビニルアルコールのけん化度が74.0〜89.0モル%であって、フィルムコーティング組成物における前記ポリビニルアルコールと水溶性セルロース誘導体の含有量の質量比が90:10〜60:40であることを特徴とするフィルムコーティング組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムコーティング組成物並びにこれを用いた経口固形製剤及びその製造方法に関する。
フィルムコーティングや糖衣は、経口固形製剤における、薬物の不快な味に対するマスキング、酸素の遮断、防湿又は製品としての美観の向上等の目的で広く行われている。
フィルムコーティングに用いられる基剤としては、防湿性、ガスバリア性に優れたポリビニルアルコールが注目されている。ポリビニルアルコールをコーティング基剤として用いる場合、曵糸性や粘着性が強いために、コーティング中にノズルが詰まる問題や、コーティングした錠剤表面が平滑にならず外観が劣る、コーティング中に固形製剤同士が付着してしまうといった問題がある。
そのため、フィルムコーティング基剤にポリビニルアルコールを用いている例として、遊離水酸基(けん化度)が90モル%以上であるポリビニルアルコールを用いたコーティング用組成物(特許文献1)、ポリビニルアルコールと抗粘着剤として大豆レシチンとを含有するフィルムコーティング組成物(特許文献2)、ポリビニルアルコールと粘着性改善のため水溶性ポリオキシエチレン類とを含有するフィルムコーティング組成物(特許文献3)、ポリビニルアルコールとポリビニルアルコールに対して100質量%以上のタルクとを含有することで粘着性を改善したフィルムコーティング組成物(特許文献4)等が知られている。
しかしながら、特許文献1では遊離水酸基が90モル%以上のポリビニルアルコールを用いることで、固形製剤同士の付着が殆どなくなることを提案しているが、けん化度が高いポリビニルアルコールは水への溶解性が悪く、コーティング溶液を調整することが困難であるといった問題や、生理体温下(37℃)でコーティング皮膜の溶解性が悪いといった問題がある。特許文献2では大豆レシチンが脂質であり、ポリビニルアルコールと相溶せず溶液中で分散状態であるため、コーティング溶液の調整が困難であるといった問題や均一性に劣るといった問題がある。また、特許文献3では水溶性ポリオキシエチレン類は錠剤に含まれる種々の有効成分と相互作用を起こすことが知られており、使用が制限される。一方で、特許文献4では無機物を多量に含有しているために皮膜が連続膜にならず、皮膜強度に劣る。また、これらの方法を用いると、粘着性はある程度低減されるものの完全ではなく、コーティングした錠剤表面は平滑にはならない。錠剤表面が平滑でないと、外観に劣るばかりか、コーティング皮膜の上に印刷を施す際に明瞭な印字ができない問題もある。
特開昭59−42325号公報 特開2002−515074号公報 特開平8−59512号公報 特開2006−188490号公報
本発明は、ポリビニルアルコールの高い防湿特性を維持したまま、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好で、かつ表面が滑らかな経口固形製剤及びその製造方法並びに該経口固形製剤の製造に用いるフィルムコーティング組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、意外にもけん化度が74.0〜89.0モル%のポリビニルアルコールに水溶性セルロース誘導体を特定の比率で配合することで上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1]ポリビニルアルコールと水溶性セルロース誘導体とを少なくとも含むフィルムコーティング組成物であって、前記ポリビニルアルコールのけん化度が74.0〜89.0モル%であって、フィルムコーティング組成物における前記ポリビニルアルコールと水溶性セルロース誘導体の含有量の質量比が90:10〜60:40であることを特徴とするフィルムコーティング組成物。
[2]前記水溶性セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも一種である前記[1]に記載のフィルムコーティング組成物。
[3]前記水溶性セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである前記[1]に記載のフィルムコーティング組成物。
[4]薬物を少なくとも含有する芯部と、該芯部を被覆する被覆部とを有し、該被覆部が前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物を少なくとも含む経口固形製剤。
[5]薬物を少なくとも含有する芯部に、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物を塗布する工程を少なくとも含む経口固形製剤の製造方法。
本発明のフィルムコーティング組成物は、ポリビニルアルコールの高い防湿機能を維持したまま、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好で、かつ表面が滑らかな経口固形製剤及びその製造方法並びに該経口固形製剤の製造に用いるフィルムコーティング組成物を提供できる。
本発明のフィルムコーティング用組成物は、ポリビニルアルコール(以下「PVA」とも記載する)及び水溶性セルロース誘導体を少なくとも含有する。
本発明に用いる特定のけん化度を有するPVAとしては、医薬品添加物規格で規定されたPVA(部分けん化物)であり、前記PVAのけん化度は、通常74.0〜89.0モル%であり、好ましくは78.0〜89.0モル%であり、更に好ましくは85.0〜89.0モル%である。けん化度が低すぎると防湿性に劣る。PVAのけん化度は、JIS K6726(1994)に記載のけん化度の測定方法で測定できる。
PVAの平均重合度は、特に制限されるものではないが、好ましくは200〜3500、更に好ましくは400〜1000である。重合度が低すぎると防湿性が劣るおそれがあり、高すぎると溶解性が劣るおそれがある。PVAの平均重合度は、JIS K6726(1994)に記載の平均重合度の測定方法で測定できる。
本発明に用いる水溶性セルロース誘導体は、セルロースの水酸基の一部をエーテル化した非イオン性高分子であり、例えば、メチルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(日本薬局方ではヒプロメロースとも称される。以下、「HPMC」とも記載する)等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース等が挙げられる。これらは1種単独でも使用でき、2種以上を組み合わせても使用することができる。これらの水溶性セルロース誘導体の中でも特にHPMCがPVAの粘着性を改善するのに好ましい。
水溶性セルロース誘導体の粘度は、特に制限されないが、通常、20℃における2質量%水溶液の粘度が、好ましくは2〜50mPa・s、更に好ましくは2〜25mPa・s、特に好ましくは2〜15mPa・sである。2mPa・s未満では、水溶性セルロース誘導体の重合度が極端に低下するためフィルムとしての強度を保持できないおそれがある。一方、50mPa・sを超えると、コーティング水溶液の濃度を低く抑えなければならず、コーティング性において実用的ではないおそれがある。なお、上記粘度は第16改正日本薬局方に記載の粘度測定方法の毛細管粘度計法により測定できる。
水溶性セルロース誘導体の置換度は、特に制限されず、日本薬局方で規定されるヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が使用させる。これらの水溶性セルロース誘導体がメトキシ基を有する場合、メトキシ基の置換度は、好ましくは16.5〜30.0質量%であり、更に好ましくは19.0〜30.0質量%であり、特に好ましくは28.0〜30.0質量%である。これらの水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロポキシ基を有する場合、ヒドロキシプロポキシ基の置換度は、好ましくは4.0〜32.0質量%であり、更に好ましくは4.0〜12.0質量%であり、特に好ましくは7.0〜12.0質量%である。なお、これらの置換度は、第16改正日本薬局方に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースの置換度の測定方法に準拠した方法で測定できる。
フィルムコーティング組成物中におけるPVAと水溶性セルロース誘導体の含有量の質量比としては、90:10〜60:40であり、好ましくは80:20〜70:30である。PVAの比率が多いと粘着性の改善が完全ではなく生産性が悪く、一方で、水溶性セルロース誘導体の比率が多いと防湿性に劣る。前記質量比の範囲内とすることによって、本発明のフィルムコーティング組成物を用いて得られる経口固形製剤の表面が滑らかになる。
コーティング組成物は、必要に応じて、通常製剤学的に認められる公知の添加剤を含んでいてもよい。このような公知の添加剤としては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸トリエチル等の可塑剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、ステアリン酸等の滑択剤、界面活性剤、着色剤、顔料、甘味料、コーティング剤、消泡剤等が挙げられる。これらを添加する場合の含有量は、本発明の効果を妨げない限り、特に限定されないが、PVAに対して、好ましくは200%以下、更に好ましくは100%以下である。この中でも、PVAの粘着性の改善には、タルクが好ましい。
次に、本発明の経口固形製剤について、説明する。
本発明の経口固形製剤は、薬物を少なくとも含有する芯部と、該芯部を被覆する被覆部を有し、該被覆部が前記フィルムコーティング組成物を少なくとも含む。前記薬物は、経口投与可能な薬効成分であれば特に限定されるものではない。
前記芯部には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑択剤(凝集防止剤)、流動化剤、着色剤、医薬化合物の溶解補助剤等、通常この分野で常用され得る種々の添加剤を配合してもよい。
賦形剤としては、特に限定されないが、例えば、白糖、乳糖、マンニトール、グルコース等の糖類、でんぷん、結晶セルロース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
結合剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、グルコース、白糖、乳糖、麦芽糖、デキストリン、ソルビトール、マンニトール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール類(例えば、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000等)、アラビアゴム、ゼラチン、寒天、でんぷん(コーンスターチ等)等が挙げられる。
崩壊剤としては、特に限定されないが、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース又はその塩、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポリビニルピロリドン、結晶セルロース及び結晶セルロース・カルメロースナトリウム等が挙げられる。
滑択剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、ステアリン酸、ワックス類、硬化油、ポリエチレングリコール類、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
流動化剤としては、特に限定されないが、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、酸化チタン等が挙げられる。
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号等が挙げられる。
更に、医薬化合物の溶解補助剤としては、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸等の有機酸等が挙げられる。これら添加剤の含有量は、薬剤の種類等に応じて適宜決定することができる。
前記被覆部は、前記フィルムコーティング組成物を少なくとも含むものであればよく、前記フィルムコーティング組成物のみを被覆部(被覆層)としてもよく、フィルムコーティング組成物からなる被覆層の下に、コーティング基剤を用いてアンダーコーティングを行っていてもよい。前記コーティング基剤としては、HPMC等の通常この分野で常用され得る種々のコーティング基剤を使用することができる。被覆部の形態は、限定されず、層状、フィルム状等であってもよい。
本発明のフィルムコーティング組成物によりコーティングされる経口固形製剤としては、特に限定されず、錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、トローチ剤、カプセル剤等が挙げられるが、その中でも特に錠剤が好ましい。錠剤としては、糖衣錠、ゼラチン被包錠、フィルムコーティング錠(多層フィルムコーティング錠を含む)、腸溶性コーティング錠、有核錠(圧縮被包錠)等の形態を有するものであってもよく、フィルムコーティング錠(多層フィルムコーティング錠を含む)、腸溶性コーティング錠が好ましい。
次に、経口固形製剤の製造方法について説明する。
本発明の経口固形製剤は、前記フィルムコーティング組成物を溶媒に溶解又は分散させたフィルムコーティング組成物溶液を調製し、該溶液を芯部に塗布することで製造できる。
前記溶媒としては、特に限定されず、例えば、水又はエタノール等の有機溶媒を用いることができ、これらは一種単独で使用してもよく、2種以上を混合して混合溶媒として使用することもできる。前記フィルムコーティング組成物を溶媒に溶解又は分散させる際の温度は、特に限定されないが、加熱していてもよく、5〜70℃程度であってもよい。
前記塗布方法としては、例えば、上記のように調製したフィルムコーティング組成物溶液を、薬物を含有する芯部に、従来公知のコーティング装置を用いて噴霧等により塗布する方法が挙げられる。
また、本発明の経口固形製剤が多層フィルムコーティング錠である場合、フィルムコーティング組成物からなるフィルム層の下に、前記塗布方法の塗布を行う前に、HPMC等の通常この分野で常用され得る種々のコーティング基剤を用いてアンダーコーティングを行う工程を加えて、複数のフィルムを形成させる方法も挙げられる。
前記コーティング装置としては、特に限定されず、従来公知の手段を用いることができる。コーティング方法として、一般的に行われているのはスプレーコーティングであるが、その場合は、パンコーティング装置、ドラムタイプコーティング装置、流動層コーティング装置、撹拌流動コーティング装置を用いて行えばよく、これらの装置に付帯するスプレー装置には、エアースプレー、エアレススプレー、3流体スプレー等のいずれをも用いることができる。
芯部(素錠)の表面にコーティングされるフィルムコーティング組成物の被覆量は、固形製剤の種類、形、大きさ、表面状態、更に固形製剤中に含まれる薬物及び添加剤の性質等によって異なるが、例えば、素錠に対して、好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜7質量%であり、特に好ましくは2〜6質量%である。被覆量が少なすぎると、完全な皮膜が得られず、他方多すぎるとコーティングに要する時間が必要となる場合がある。
本発明のフィルムコーティング組成物を用いてコーティングを行うと、PVAの粘着性が低減され、スプレー速度が改善される。すなわち、PVAを単独でコーティングを行うとその粘着性の強さから10g/min程度のスプレー速度でコーティングを行う必要があり、これは生産性の面から工業的に受け入れられないが、本発明のフィルムコーティング組成物を用いることによって、工業的に実施可能な20g/min以上のスプレー速度でのコーティングが可能となる。
また、本発明のフィルムコーティング組成物を用いて経口固形製剤を製造することで表面が滑らかな経口固形製剤を提供できる。表面が滑らかとは、表面粗さ(Ra)の値が2.0μm以下であることが好ましい。なお、表面粗さ(Ra)とはJIS B0601−1994に定義されている粗さパラメーターであり、レーザー顕微鏡(VK−9510、キーエンス社製)を用いて、50倍率の対物レンズを用いて測定できる。
また、本発明のフィルムコーティング組成物は水蒸気透過度が低いことを特長とする。水蒸気透過度が低いとはJIS K7129で規定される感湿センサー法で測定される水蒸気透過度が25℃、65%相対湿度差の条件下で厚さ100μmのフィルムを測定した際に、65g/m・day以下であることが好ましい。なお、上記水蒸気透過度はL80−5000型水蒸気透過度計(Systech Instruments社)を用いてJIS K7129の方法に準拠した方法で測定できる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
[実施例1]
PVA(重合度500、けん化度87〜89モル%)8.0質量部、HPMC(メトキシ基置換度29質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度10質量%、20℃における2質量%水溶液の粘度が6mPa・s)2.0質量部を精製水90.0質量部に添加し、60℃まで加温しながら撹拌してコーティング溶液を調製した。
上記コーティング溶液を用い下記条件にて、乳糖、コーンスターチを主体とした素錠100質量部に対して固形分質量で3質量部までコーティングを行い、目的のコーティング錠剤を得た。
使用したコーティング条件は以下の通りである。
装置:ハイコーター(HCT−48N、フロイント産業製)
仕込み量:5kg
給気温度:70−80℃
排気温度:44−52℃
給気空気量:3m/min
パン回転数:16rpm
[実施例2]
実施例1のコーティング溶液の調製で、PVAを7.0質量部、HPMCを3.0質量部に変えてコーティング溶液を調製し、実施例1と同様にしてコーティング錠剤を得た。
[実施例3]
実施例1のコーティング溶液の調製で、PVAを9.0質量部、HPMCを1.0質量部に変えてコーティング溶液を調製し、実施例1と同様にしてコーティング錠剤を得た。
[実施例4]
実施例1のコーティング溶液の調製で、PVAを6.0質量部、HPMCを4.0質量部に変えてコーティング溶液を調製し、実施例1と同様にしてコーティング錠剤を得た。
[実施例5]
実施例1のコーティング溶液の調製で、PVA8.0質量部、HPMC2.0質量部、タルク(クラウン社製)6.0質量部、精製水84.0質量部に変えて、コーティング溶液を調製し、実施例1と同様にしてコーティング錠剤を得た。
[比較例1]
実施例1のコーティング溶液の調製で、PVAを9.5質量部、HPMCを0.5質量部、精製水を90.0質量部に変えて、コーティング溶液を調製し、実施例1と同様にしてコーティング錠剤を得た。
[比較例2]
実施例1のコーティング溶液の調製で、PVAを5.5質量部、HPMCを4.5質量部、精製水を90.0質量部に変えて、コーティング溶液を調製し、実施例1と同様にしてコーティング錠剤を得た。
[比較例3]
実施例1のコーティング溶液の調製で、PVAを10.0質量部、タルクを10.0質量部、精製水80.0質量部に変えて、コーティング溶液を調製し、実施例1と同様にしてコーティング錠剤を得た。
[比較例4]
実施例1のコーティング溶液の調製で、PVAを10.0質量部、大豆レシチン(関東化学社製)を0.2質量部、精製水89.8質量部に変えて、コーティング溶液を調製し、実施例1と同様にしてコーティング錠剤を得た。
<スプレー速度の評価>
実施例1〜5及び比較例1〜4においてコーティング時に錠剤同士の粘着が発生せずにコーティング可能であったスプレー速度について表1に示す。
<表面粗さの評価>
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた錠剤の表面粗さ(Ra)を、レーザー顕微鏡(VK−9510、キーエンス社製)を用いて測定した結果を表1に示す。
<水蒸気透過度の評価>
実施例1〜5及び比較例1〜4の溶液処方において、固形分濃度が20%程度の溶液もしくは分散液を作製し、ガラス面にアプリケーターにてキャスティングし、乾燥して厚さ100μmのフィルムを得た。得られたフィルムの水蒸気透過度をL80−5000型水蒸気透過度計(Systech Instruments社)を用いてJIS K7129の方法に準拠した方法で25℃、65%相対湿度差の水蒸気透過度を測定した結果を表1に示す。
Figure 2013253030
表1から明らかなように、本発明のコーティング溶液処方でコーティングを行うと20g/min以上のスプレー速度において錠剤同士の粘着が発生せずに、コーティングが可能であり、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好であった。一方で、比較例1では、工業的に実用可能なスプレー速度に至らず、粘着性の改善が十分でなかった。
また、表1から明らかなように、本発明のコーティング錠剤は、表面粗さ(Ra)が全て2.0μm以下と低く、表面が滑らかな錠剤に仕上がった。一方で、比較例1及び3〜4のコーティング錠剤は表面粗さ(Ra)の値が高く、コーティング錠剤表面が荒れていた。
さらに、表1から明らかなように、本発明のフィルムコーティング組成物によって作製されたフィルムの水蒸気透過度は、全て65g/m・day以下と低い値を示した。一方で、比較例2では、高い防湿性は得られなかった。
以上のことから、本発明のフィルムコーティング組成物を用いてコーティングすることによって、防湿性の高い被膜を形成し、表面が滑らかであり、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好な錠剤の製造が可能である。
本発明のフィルムコーティング組成物は、本発明は、ポリビニルアルコールの高い防湿特性を維持したまま、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好で、かつ表面が滑らかな経口固形製剤の製造に有用である。

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコールと水溶性セルロース誘導体とを少なくとも含むフィルムコーティング組成物であって、前記ポリビニルアルコールのけん化度が74.0〜89.0モル%であって、フィルムコーティング組成物における前記ポリビニルアルコールと水溶性セルロース誘導体の含有量の質量比が90:10〜60:40であることを特徴とするフィルムコーティング組成物。
  2. 前記水溶性セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載のフィルムコーティング組成物。
  3. 前記水溶性セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項1に記載のフィルムコーティング組成物。
  4. 薬物を少なくとも含有する芯部と、該芯部を被覆する被覆部とを有し、該被覆部が請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物を少なくとも含む経口固形製剤。
  5. 薬物を少なくとも含有する芯部に、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムコーティング組成物を塗布する工程を少なくとも含む経口固形製剤の製造方法。
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