JP5819800B2 - 高粘度ヒプロメロースを分散したコーティング液及び固形製剤の製造方法 - Google Patents

高粘度ヒプロメロースを分散したコーティング液及び固形製剤の製造方法 Download PDF

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本発明は、薬物の放出を時限放出化させるコーティング液並びにこれによりコーティングされた固形製剤及びその製造方法に関する。
近年、薬物の体内動態や薬理効果に時間依存性があることが明らかになり、薬剤を疾患部位に正確に作用させるために様々な薬物送達方法(ドラッグデリバリーシステム)が提唱され、徐放性製剤等として知られている。
このような製剤としては、薬物とヒドロゲル形成性のある水溶性高分子を主体とする徐放性製剤に、水溶性高分子をコーティングするもの(特許文献1)、熱水不溶性のセルロースエーテルを熱水に分散させることにより、粘度の上昇を伴うことなく高粘度タイプのセルロースエーテルのコーティング液を調製し、固形製剤へ被覆するもの(特許文献2)がある。
特開平02−083316号公報 特開昭63−005030号公報
しかし、特許文献1では、水溶性高分子を過量に被覆することによりヒドロゲルを形成させることを目的としているが、薬物の放出開始を遅らせるには至っていない。また、特許文献2では、被覆した皮膜は細孔性であるため、薬物の放出開始を遅らせることはできていない。
そこで、本発明は、固形製剤の服用開始から薬物が放出を開始するまでの未放出時間(以下、「ラグタイム」という)を経過後に、消化管内で薬物放出が開始される時限放出製剤のためのコーティング液並びにこれによりコーティングされた固形製剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、簡単な方法で、溶解に時間を要する被膜を形成可能なコーティング液が得られ、ラグタイムの経過後に消化管内で薬物の放出を開始することができる時限放出製剤を開発することを目的として鋭意研究を重ねた結果、20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s未満であるヒドロキシプロピルセルロース又は20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s未満である低粘度ヒプロメロースを溶解した溶液に、20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s以上である高粘度ヒプロメロースを分散させたコーティング液を被覆することで、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s未満であるヒドロキシプロピルセルロース又は20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s未満である低粘度ヒプロメロースを溶媒に溶解した溶液に、20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s以上である高粘度ヒプロメロースを分散させてなり、前記高粘度ヒプロメロースを含まない溶液中の前記ヒドロキシプロピルセルロース又は低粘度ヒプロメロースの含有量が3〜15質量%である固形製剤用コーティング液を提供する。また、薬物を含有する芯部に、このコーティング液を塗布する工程と、塗布された芯部から前記コーティング液中の溶媒を除去する工程とを少なくとも含む固形製剤の製造方法を提供する。
本発明によれば、ラグタイムを経て薬物を放出することができ、ラグタイムの経過後に消化管内で薬物を溶出できる。また、コーティング液の組成及びコーティング量を変えることにより、容易にラグタイムを調整することもできる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の時限放出製剤は、芯部と、該芯部の外表面を覆うセルロースエーテル層とから構成される2層構造を採用し、芯部が薬物を含み、セルロースエーテル層が20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s未満であるヒドロキシプロピルセルロース又は20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s未満である低粘度ヒプロメロースと、20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s以上である高粘度ヒプロメロースとを含む。
ヒプロメロース(低粘度及び高粘度ヒプロメロースを含む)は、第十四改正日本薬局方においてヒドロキシプロピルメチルセルロースと記載されており、第十五改正日本薬局方においてヒプロメロースに変更されたものである。具体的には、メトキシ基が16.5〜30質量%及びヒドロキシプロポキシ基が4〜32質量%のヒプロメロースが挙げられる。また、ヒドロキシプロピルセルロースとしては、ヒドロキシプロポキシ基が53.4〜77.5質量%のものが挙げられる。
なお、これらの置換度は、第十六改正日本薬局方で規定されているヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロースの置換度の測定方法に準拠した方法でも測定できる。
また、溶液として用いるヒドロキシプロピルセルロース又は低粘度ヒプロメロースの20℃における2質量%の水溶液の粘度は、50mPa・s未満、好ましくは1.0以上50mPa・s未満、更に好ましくは2.0以上17.5mPa・s以下であることが、コーティング液の濃度を上げる観点から好ましい。溶液に分散させる高粘度ヒプロメロースの20℃における2質量%の水溶液の粘度は、50mPa・s以上、好ましくは50以上100,000mPa・s以下から目的に応じて選択できる。ここで、ヒプロメロース2質量%水溶液の粘度は、第十六改正日本薬局方に記載の方法に準じ、粘度が600mPa・s未満のものでは第1法を適用し、液温20℃の条件でウベローデ型粘度計を用いて測定する。一方、粘度が600mPa・s以上のものでは第2法を適用し、液温20℃の条件でB型回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計LVモデル)を用いて、規定された円筒番号及び回転数/分の条件で測定した粘度を意味する。本発明において、「2質量%の水溶液におけるヒプロメロースの粘度」とは、全て上記条件で測定した粘度を意味するものとし、50mPa・s未満の低粘度ヒプロメロースは第1法により、50mPa・s以上の高粘度ヒプロメロースは、600mPa・s未満のものでは第1法により、600mPa・s以上では第2法により測定した粘度を意味する。
なお、低粘度ヒプロメロースと高粘度ヒプロメロースの違いは、上述のように置換度の範囲が同じであるため、主に重量平均分子量の違いに起因する。低粘度ヒプロメロースの好ましい重量平均分子量は、50,000未満であり、高粘度ヒプロメロースの好ましい重量平均分子量は50,000以上である。分子量は、ゲルクロマトグラフィー(サイズ排除クロマトグラフィー)によって測定した値である。
溶液中に含まれるヒドロキシプロピルセルロース又は低粘度ヒプロメロースの含有量は、好ましくは3〜15質量%、より好ましくは6〜12質量%である。ヒドロキシプロピルセルロース又は低粘度ヒプロメロースの含有量が少ないと、十分な粘着性が得られず、コーティング液中の固形分の付着が達成できない場合があり、多い場合には溶液の粘度が高くなりすぎて、適切なコーティングが実施できない場合がある。
コーティング液中に含まれる高粘度ヒプロメロースの含有量は、好ましくは3〜20質量%、より好ましくは4〜15質量%である。高粘度ヒプロメロースの含有量が少ないと、コーティングに長い時間がかかり生産性が低下し望ましくない場合があり、多い場合にはコーティング液の固形分が増加することで、送液が困難となり操作上望ましくない場合がある。
高粘度ヒプロメロースは、ヒドロキシプロピルセルロース又は低粘度ヒプロメロース100質量部に対して、好ましくは9質量部以上250質量部以下、更に好ましくは50質量部以上200以下質量部の範囲で用いることができる。9質量部未満では、コーティング工程に時間がかかり生産性の面で好ましくない。250質量を超えると、コーティング液中の固形分が多く、送液が困難となったり、均一なコーティングが困難となる場合がある。
コーティング液は、必要に応じて可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール類、クエン酸トリエチル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、トリアセチン及びジブチルフタレート等が挙げられ、特に、ポリエチレングリコール類が好ましい。上記可塑剤は、2種以上の複数を配合しても良い。
可塑剤の含有量は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースを用いた場合には、ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して1.0〜50質量部とすることができ、低粘度ヒプロメロースを用いた場合には、低粘度ヒプロメロースの100質量部に対して5.0〜30質量部程度とすることができる。
その他、組成物の分散性を良くする界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)、着色剤、顔料又は甘味料等を、通常使用されている量で加えても良い。
コーティング液に含まれる溶媒は、ヒドロキシプロピルセルロース又は低粘度ヒプロメロースを溶解するが、高粘度ヒプロメロースを溶解しないものであれば良い。
溶媒は、好ましくは、エタノール、水とエタノールの混合溶液(水とエタノールの好ましい質量比は0:100〜15:85)等が挙げられる。
また、更に溶媒中に水溶性及び水不溶性の色素等を分散させても差し支えない。
高粘度ヒプロメロースを溶解しないで分散させる溶媒を選択する理由は、高粘度ヒプロメロースが溶解した溶液は高粘度溶液となり、コーティング液の取り扱いが困難となるだけでなく、コーティングスプレーミストが粗れ、適切なコーティングが達成できないためである。
ヒドロキシプロピルセルロース又は低粘度ヒプロメロースと、高粘度ヒプロメロースとを少なくとも含むコーティング液を、薬物を含有する芯部に塗布し、コーティング液中の溶媒を除去することにより固形製剤が得られる。固形製剤としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤及びカプセル剤等が挙げられる。
芯部に含まれる薬物は、経口投与可能な薬物であれば特に限定されるものではない。かかる薬物としては、例えば、中枢神経系薬物、循環器系薬物、呼吸器系薬物、消化器系薬物、抗生物質、鎮咳去たん剤、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛消炎剤、利尿剤、交感神経興奮剤、抗マラリア剤、止潟剤、向精神剤、ビタミン類及びその誘導体等が挙げられる。
中枢神経系薬物としては、ジアゼパム、イデベノン、アスピリン、イブプロフェン、パ
ラセタモール、ナプロキセン、ピロキシカム、ジクロフェナック、インドメタシン、スリ
ンダック、ロラゼパム、ニトラゼパム、フェニトイン、アセトアミノフェン、エテンザミ
ド、ケトプロフェン及びクロルジアゼポキシド等が挙げられる。
循環器系薬物としては、モルシドミン、ビンポセチン、プロプラノロール、メチルドパ
、ジピリダモール、フロセミド、トリアムテレン、ニフェジビン、アテノロール、スピロ
ノラクトン、メトプロロール、ビンドロール、カプトプリル、硝酸イゾソルビト、塩酸デラプリル、塩酸メクロフェノキサート、塩酸ジルチアゼム、塩酸エチレフリン、ジギトキシン、塩酸プロプラノロール及び塩酸アルプレノロール等が挙げられる。
呼吸器系薬物としては、アムレキサノクス、デキストロメトルファン、テオフィリン、
プソイドエフェドリン、サルブタモール及びグアイフェネシン等が挙げられる。
消化器系薬物としては、2一[〔3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキ
シ)−2−ピリジル〕メチルスルフィニル]ペンヅイミダゾール及び5−メトキシ−2−
〔(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチルスルフィニル〕ベンツイミ
ダゾール等の抗潰瘍作用を有するベンヅイミダゾール系薬物、シメチジン、ラニチジン、塩酸ピレンゼピン、パンクレアチン、ビサコジル並びに5−アミノサリチル酸等が挙げられる。
抗生物質としては、塩酸タランピシリン、塩酸バカンピシリン、セファクロル及びエリスロマイシン等が挙げられる。
鎮咳去たん剤としては、塩酸ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、臭化水素酸デキストロメトルファン、クエン酸イソアミニル及びリン酸ジメモルファン等が挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン及び塩酸プロメタジン等が挙げられる。
解熱鎮痛消炎剤としては、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、スルピリン、アスピリン及びケトプロフェン等が挙げられる。
利尿剤としては、カフェイン等が挙げられる。
交感神経興奮剤としては、リン酸ジヒドロコデイン及びdl−塩酸メチルエフェドリン等が挙げられる。
抗マラリア剤としては、塩酸キニーネ等が挙げられる。
止潟剤としては、塩酸ロペラミド等が挙げられる。
向精神剤としては、クロルプロマジン等が挙げられる。
ビタミン類及びその誘導体としては、ビタミンA、ビタミンB1、フルスルチアミン、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸カルシウム及びトラネキサム酸等が挙げられる。
薬物を含有する芯部には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑択剤、凝集防止剤及び薬物の溶解補助剤等、通常この分野で常用され得る種々の添加剤を配合してもよい。
賦形剤としては、例えば、白糖、乳糖、マンニトール及びグルコース等の糖類、でんぷん、結晶セルロース、リン酸カルシウム並びに硫酸カルシウム等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、グルコース、白糖、乳糖、麦芽糖、デキストリン、ソルビトール、マンニトール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール類、アラビアゴム、ゼラチン、寒天及びでんぷん等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース又はその塩、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポリビニルピロリドン、結晶セルロース及び結晶セルロース・カルメロースナトリウム等が挙げられる。
また、滑択剤及び凝集防止剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、ステアリン酸、ワックス類、硬化油、ポリエチレングリコール類及び安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
更に、薬物の溶解補助剤としては、例えば、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸及びアジピン酸等の有機酸等が挙げられる。
これら添加剤の含有量は、薬物の種類等に応じて適宜決定することができる。
薬物含有芯部にコーティング液を塗布してコーティング液中の溶媒を除去することにより、薬物含有芯部を被覆する、ヒドロキシプロピルセルロース又は低粘度ヒプロメロースと、高粘度ヒプロメロースとを少なくとも含んでなるセルロースエーテル層が形成される。この場合、ヒドロキシプロピルセルロース又は低粘度ヒプロメロース100質量部と高粘度ヒプロメロースを9質量部以上250質量部以下とを少なくとも含んでなるセルロースエーテル層が形成されることが好ましい。
薬物含有芯部の表面に形成されるセルロースエーテル層の量は、固形性製剤の種類、形、大きさ、表面状態、更に固形製剤中に含まれる薬剤及び添加剤の性質等によって異なる。セルロースエーテル層のコーティング質量として、固形製剤が錠剤であれば、薬物含有芯部の質量に対して、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは6〜20質量%、顆粒剤や散剤であれば、薬物含有芯部の質量に対して、好ましくは10〜300質量%、より好ましくは20〜200質量%である。セルロースエーテル層の量が少ない場合は、充分なラグタイムが得られない場合があり、セルロースエーテル層の量が過量になると腸内でも皮膜が溶解しきらず、薬物を放出しないままに、製剤が排泄される可能性があり好ましくない。
セルロースエーテル層の好ましい量を薬物含有芯部に対する質量比で特定すると上述の通りであるが、セルロースエーテル層の好ましい量を厚さで特定すると、好ましくは5以上50μm以下である。
薬物含有芯部とセルロースエーテル層を少なくとも含む固形製剤は、セルロースエーテル層の存在により、充分なラグタイムを得ることができる時限放出型製剤である。時限放出型製剤は、薬物を一定のラグタイムの経過後に消化管内で放出する製剤のことを意味する。ここで、一定のラグタイムとしては、服用開始から芯部に含まれる薬物の5質量%が放出するまでの時間が、好ましくは3〜300分間、より好ましくは30〜180分間である。
次に、固形製剤の製造方法について説明する。
固形製剤の製造方法は、薬物を含有する芯部に、前記コーティング液を塗布する工程と、前記コーティング液中の溶媒を除去する工程とを少なくとも含む。
薬物含有芯部にコーティング液を塗布する工程において用いられるコーティングの装置は、従来公知の手段を用いることができる。一般的に行われているのはスプレーコーティングであるが、その場合は、パンコーティング装置、ドラムタイプコーティング装置、流動層コーティング装置、撹拌流動コーティング装置又は遠心転動コーティング装置等を用いて行えばよく、これらの装置に付帯するスプレー装置にはエアースプレー、エアレススプレー又は3流体スプレー等を用いることができる。
コーティング液の塗布は、例えば、上述したコーティング装置を用い、薬物を含有する芯部に、コーティング液を噴霧すること等により行われる。
コーティング液の塗布後、コーティング液中の溶媒を加熱等により除去する。同コーティング装置内で、又は同コーティング装置から取り出して、加熱等により溶媒を除去し、固形製剤を製造することができる。溶媒に水が含まれる場合は、通常用いられる乾燥方法を用いてもよい。
このようにして製造された固形製剤は、第十六改正日本薬局方に記載の溶出試験において第1液、第2液及び精製水中で薬物を放出し始めるまでの時間が、好ましくは試験開始から3分以上300分未満、更に好ましくは30分以上180分未満のラグタイムを示す。 コーティング液の組成及びコーティング量を変えることにより、適宜所望のラグタイムを得ることができる。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。
<実施例1>
リボフラビン(東京田辺製薬社製)2質量部、乳糖(フロイント産業社製ダイラクトースS)90質量部、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製、ヒドロキシプロポキシ基置換度11質量%)8質量部、ステアリン酸マグネシウム0.5質量部を粉体混合し、ロータリー打錠機(菊水製作所製Vergo)にて、直径8mm、打錠圧1t、打錠予圧0.3t、回転数20rpm、一錠あたりの重量が200mgとなるように打錠し、リボフラビンを薬物に含有した素錠を作成した。
ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達社製、ヒドロキシプロポキシ基置換度62質量%、20℃における2質量%の水溶液の粘度が8.0mPa・s)を用い、6質量%となるようにエタノールに溶解して溶液を調製した。
上記溶液を撹拌しながら、高粘度ヒプロメロースとして、ヒプロメロース置換度タイプ2208(信越化学工業社製、メトキシ基置換度23.0質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度9.5質量%、2質量%の水溶液の粘度が3,990mPa・s)を6質量%となるように添加し、コーティング液を調製した。
得られたコーティング液を用い下記条件にて、素錠100質量部に対してヒプロメロースが20質量部になるまでコーティングを行った。
コーティングされた錠剤は、第十六改正日本薬局方に記載の溶出試験法(純水)で評価を行い、薬物の溶出が開始した時間をラグタイムとして求めたところ、ラグタイムは90分間であった。
<コーティング条件>
装置:通気式パンコーター(内径30cm)
仕込み量:1kg
吸気温度:50〜60℃
排気温度:25〜30℃
吸気エアー量:1m/min
パン回転数:18rpm
スプレー速度:12〜15g/min
スプレーエアー圧:150kPa
<実施例2>
高粘度ヒプロメロースを、置換度タイプ2208(信越化学工業社製、メトキシ基置換度23.3質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度9.5質量%、20℃における2質量%の水溶液の粘度が93,200mPa・s)に変えた以外は、実施例1と同様の方法によりコーティングを行った。コーティングされた錠剤からの純水での溶出試験により、薬物の溶出が開始した時間をラグタイムとして求めたところ、ラグタイムは170分間であった。
<実施例3>
高粘度ヒプロメロースを、置換度タイプ2910(信越化学工業社製、メトキシ基置換度29.4質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度9.0質量%、20℃における2質量%の水溶液の粘度が3660mPa・s)に変えた以外は、実施例1と同様の方法によりコーティングを行った。コーティング錠剤からの純水での溶出試験により、薬物の溶出が開始した時間をラグタイムとして求めたところ、ラグタイムは90分間であった。
<実施例4>
高粘度ヒプロメロースを、置換度タイプ2906(信越化学工業社製、メトキシ基置換度27.9質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度6.1質量%、20℃における2質量%の水溶液の粘度が3920mPa・s)に変えた以外は、実施例1と同様の方法によりコーティングを行った。コーティング錠剤からの純水での溶出試験により、薬物の溶出が開始した時間をラグタイムとして求めたところ、ラグタイムは90分であった。
<実施例5>
高粘度ヒプロメロースを、置換度タイプ2910(信越化学工業社製、メトキシ基置換度29.4質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度9.0質量%、20℃における2質量%の水溶液の粘度が51.0mPa・s)に変えた以外は、実施例1と同様の方法によりコーティングを行った。コーティング錠剤からの純水での溶出試験により、薬物の溶出が開始した時間をラグタイムとして求めたところ、ラグタイムは30分間であった。
<実施例6>
実施例1のヒドロキシプロピルセルロースの代わりに、低粘度ヒプロメロースとしてヒプロメロース置換度タイプ2910(信越化学工業社製、メトキシ基置換度29.1質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度9.1質量%、20℃における2質量%の水溶液の粘度が3.0mPa・s)を用い、6質量%となるようにエタノールと水の混合溶液に溶解して溶液を調製した以外は、実施例1と同様の方法によりコーティングを行った。コーティング錠剤からの純水での溶出試験により、薬物の溶出が開始した時間をラグタイムとして求めたところ、ラグタイムは90分間であった。
<実施例7>
実施例6の低粘度ヒプロメロースを、粘度15.1mPa・s(信越化学工業社製、メトキシ基置換度29.0質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度8.8質量%、20℃における20℃における2質量%の水溶液の粘度が15.1mPa・s)のヒプロメロースに変えた以外は、実施例6と同様の方法によりコーティングを行った。コーティング錠剤からの純水での溶出試験により、薬物の溶出が開始した時間をラグタイムとして求めたところ、ラグタイムは90分間であった。
<比較例1>
実施例1のヒドロキシプロピルセルロースの代わりに、高粘度ヒプロメロースとしてヒプロメロース置換度タイプ2910(信越化学工業社製、メトキシ基置換度29.7質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度9.0質量%、20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s)を用い、6質量%となるようにエタノールと水の混合溶液に溶解して溶液を調製した以外は、実施例1と同様の方法によりコーティング液を調製したが、コーティング液の粘度が高くなりすぎて、送液することができなかった。
<比較例2>
高粘度ヒプロメロースを、置換度タイプ2910(信越化学工業社製、メトキシ基置換度28.0質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度9.0質量%、20℃における2質量%の水溶液の粘度が6.0mPa・s)に変えた以外は、実施例1と同様の方法によりコーティングを行った。コーティングされた錠剤からの純水での溶出試験により、薬物の溶出が開始した時間をラグタイムとして求めたところ、ラグタイムは認められなかった。

Claims (4)

  1. 20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s未満であるヒドロキシプロピルセルロース又は20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s未満である低粘度ヒプロメロースを溶媒に溶解した溶液に、20℃における2質量%の水溶液の粘度が50mPa・s以上である高粘度ヒプロメロースを分散させてなり、前記高粘度ヒプロメロースを含まない溶液中の前記ヒドロキシプロピルセルロース又は低粘度ヒプロメロースの含有量が3〜15質量%である固形製剤用コーティング液。
  2. 上記ヒドロキシプロピルセルロース又は上記低粘度ヒプロメロースを100質量部とすると、上記高粘度ヒプロメロースが9質量部以上250質量部以下である請求項1に記載の固形製剤用コーティング液。
  3. 上記低粘度ヒプロメロースの重量平均分子量が50,000未満であり、上記高粘度ヒプロメロース重量平均分子量が50,000以上である請求項1又は請求項2に記載の固形製剤用コーティング液
  4. 薬物を含有する芯部に、請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング液を塗布する工程と、塗布された芯部から前記コーティング液中の溶媒を除去する工程とを少なくとも含む固形製剤の製造方法。
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