JP2018076499A - ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶媒に溶解させた際に溶液の粘度が制御されたHPMCAS及びその製造方法を提供する。【解決手段】ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル10質量部を、塩化メチレンとメタノールの質量比1:1の混合溶媒100質量部に溶解させた溶液の20℃における粘度が、135mPa・s以下であるヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを提供する。また、ヒプロメロースの氷酢酸溶液に、酢酸ナトリウム存在下、無水酢酸及び無水コハク酸を添加して反応液を得るエステル化工程であって、前記無水コハク酸が2回以上にわたって添加されるエステル化工程と、前記反応液と水を混合してヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを析出させる析出工程を少なくとも含むこのヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル及びその製造方法に関する。
腸溶性ポリマーとして、セルロース骨格にメチル基(−CH)とヒドロキシプロピル基(−COH)の2つの置換基を導入してエーテル構造とするほか、アセチル基(−COCH)とスクシニル基(−COCCOOH)の2つの置換基を導入してエステル構造として、計4種類の置換基を導入した高分子であるヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルが広く知られている。
腸溶性ポリマーであるヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(以下、「HPMCAS」ともいう。)は、水難溶性薬物の溶出改善を行う固体分散体及び腸溶性コーティングとして広く使用されている。
腸溶性コーティング製剤は、酸に対して不安定な薬物を投与する場合や、胃粘膜の保護等を目的として広く用いられる重要な製剤の一つである。従来、腸溶性コーティング製剤を製造するには、腸溶性ポリマーを有機溶媒に溶解し、これをスプレーして、腸溶性フィルムを薬物表面に形成する方法が一般的であった。しかし、有機溶媒を用いた場合の環境保全や安全性を考慮して、腸溶性ポリマーを微粉砕して水分散液として用いる、いわゆる水系腸溶性コーティング法が開発されている(特許文献1)。例えば、腸溶性ポリマーであるHPMCASをその分子中のカルボキシル基の約80モル%以上を中和するのに必要な量のアンモニアとHPMCASを混合してなる水系腸溶性コーティング液を用いたアンモニア中和コーティング法が開示された(特許文献2)。
特開平7−109219号公報 特開平8−245423号公報
一般に、腸溶性コーティング製剤を製造するには、腸溶性ポリマーを溶媒に溶解し、これをスプレーして、腸溶性フィルムを薬物表面に形成するが、溶液の粘度が高くなるとスプレーした際に団粒になりやすく、コーティング被膜の均一性が不足して、目的の耐酸性が得られない。また、溶液の粘度を低くするために有機溶剤を多く使用することは、環境保全や安全性を考慮すると好ましくない。
このように、従来のHPMCASについて、安定した製剤を提供するために、溶媒に溶解させた溶液粘度の適正化、制御性向上が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、溶媒に溶解させた際の溶液の粘度が制御されたHPMCAS及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、前記の目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、HPMCASを製造する反応工程において、無水コハク酸の添加方法に着目し、無水コハク酸を2回以上にわたって添加することにより、溶媒に溶解させた溶液粘度を制御できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の一つの態様では、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル10質量部を、塩化メチレンとメタノールの質量比1:1の混合溶媒100質量部に溶解させた溶液の20℃における粘度が、135mPa・s以下であるヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルが提供される。
本発明の別な態様では、このヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル及び溶媒を少なくとも含むコーティング用組成物が提供される。
本発明の他の態様では、このヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、薬物及び溶媒を少なくとも含む固体分散体用組成物が提供される。
本発明の他の態様では、ヒプロメロースの氷酢酸溶液に、酢酸ナトリウム存在下、無水酢酸及び無水コハク酸を添加して反応液を得るエステル化工程であって、前記無水コハク酸が2回以上にわたって添加されるエステル化工程と、前記反応液と水を混合してヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを析出させる析出工程を少なくとも含むこのヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法が提供される。
本発明によれば、HPMCASを溶媒に溶解させた場合の溶液粘度を低減させることができる。これにより、コーティング用組成物又は固体分散体用組成物の粘度が低減でき、高濃度の溶液を調製できる。更に、溶媒を少なくすることができることから、薬物へスプレーしてコーティング被膜を形成する工程時間の短縮が可能となる。
以下、HPMCASについて説明する。
HPMCASのメチル基の置換度(DS)は、好ましくは0.73〜2.83、より好ましくは1.25〜2.37、ヒドロキシプロピル基の置換モル数(MS)は、好ましくは0.10〜1.90、より好ましくは0.12〜0.95、アセチル基の置換度(DS)は、好ましくは0.09〜2.30、より好ましくは0.18〜1.07、スクシニル基の置換度(DS)は、好ましくは0.07〜1.78、より好ましくは0.08〜0.62である。なお、メチル基の置換度及びヒドロキシプロピル基の置換モル数は、例えば、第17改正日本薬局方のヒプロメロースに関する分析方法よって、アセチル基及びスクシニル基の置換度は、例えば、第17改正日本薬局方のヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルに関する分析方法よって得られた値から換算することができる。
このように、HPMCASのメチル基の置換度、ヒドロキシプロピル基の置換モル数、アセチル基の置換度及びスクシニル基の置換度は、従来のHPMCASの範囲と同じである。しかし、本発明によれば、各置換基が結合した部位の環境が従来のHPMCASと異なり、HPMCASを溶媒に溶解させた場合の溶液粘度を低減させることができる。
HPMCAS10質量部を、塩化メチレンとメタノールの質量比1:1の混合溶媒100質量部に溶解させた溶液の20℃における粘度は、135mPa・s以下、好ましくは128mPa・s以下、より好ましくは110mPa・s以下、更に好ましくは100mPa・s以下である。粘度が135mPa・sを超えると、薬物にスプレーした際に団粒になりやすく、コーティング被膜の均一性が不足して、耐酸性が得られない。また、粘度が高いとコーティングする際に、ポンプで送液が困難となる場合がある。なお、混合溶媒に溶解させた場合の粘度の下限は、低ければ低い程良いが、50mPa・sが好ましい。塩化メチレン及びメタノールの混合溶媒中のHPMCASの粘度の測定は、第17改正日本薬局方に記載の粘度測定方法によって測定できる。
なお、塩化メチレンとメタノールの混合溶媒に溶解させた場合のHPMCASの溶液粘度は、アセトン、又はアンモニア水溶液を溶媒とするHPMCASの粘度と相関関係があるため、コーティング用組成物や固体分散体用組成物における溶媒であるアセトン、又はアンモニア水溶液に溶解させた場合のHPMCASの溶液粘度の指標となり得る。
次に、HPMCASの製造方法について説明する。
原料となるヒプロメロース(別名ヒドロキシプロピルメチルセルロース、以下、「HPMC」ともいう。)は、公知の方法、例えばシート状、チップ状又は粉末状のパルプに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の溶液を接触させてアルカリセルロースとした後に、塩化メチル、酸化プロピレン等のエーテル化剤を加えて反応することにより得られる。
使用されるアルカリ金属水酸化物溶液は、アルカリセルロースが得られれば特に限定されないが、経済的観点から水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液が好ましい。また、その濃度は、アルカリセルロースの組成を安定させ、セルロースエーテルの透明性を確保する観点から、好ましくは23〜60質量%、より好ましくは35〜55質量%である。
アルカリセルロースの製造後は、通常の方法で塩化メチル、酸化プロピレン等のエーテル化剤を加えてエーテル化反応させHPMCを得る。
得られたHPMCのメチル基の置換度(DS)は、好ましくは0.73〜2.83、より好ましくは1.25〜2.37である。ヒドロキシプロピル基の置換モル数(MS)は、好ましくは0.10〜1.90、より好ましくは0.12〜0.95である。メチル基の置換度及びヒドロキシプロピル基の置換モル数は、例えば、第17改正日本薬局方のヒプロメロースに関する分析方法よって得られた値から換算することができる。
また、20℃におけるHPMC2質量%の水溶液の粘度は、第17改正日本薬局方の毛細管粘度計法に準じて測定され、好ましくは2.2〜7.2mPa・s、より好ましくは3.0〜3.5mPa・sである。
このようにして得られたHPMCの氷酢酸溶液に、触媒である酢酸ナトリウム存在下、エステル化剤である無水酢酸及び無水コハク酸を添加して反応液を得るエステル化工程と、前記反応液と水を混合してヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを析出させる析出工程とを少なくとも含む製造方法よりヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを得ることができる。析出工程で析出されたヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルは、必要に応じて洗浄工程及び乾燥工程を経て、HPMCAS粉末を製造することができる。
HPMCの氷酢酸溶液において、氷酢酸の含有量は、エステル化の反応速度の観点から、当該HPMCの質量に対する質量比で、好ましくは1.0〜3.0倍、より好ましくは1.2〜2.5倍、更に好ましくは1.5〜2.0倍、特に好ましくは1.5〜1.8倍とするとよい。
エステル化工程では、前記HPMCの氷酢酸溶液に、酢酸ナトリウム存在下、無水酢酸及び無水コハク酸を添加して反応液を得る。無水酢酸の添加方法は特に制限されず、無水酢酸を一括又は分割して添加することができる。一方、無水コハク酸の添加時期は、無水酢酸の添加時期に依存しないが、好ましくは無水酢酸の添加後であり、無水コハク酸は、2回以上にわたって添加される。なお、無水コハク酸の添加回数の数え方は、先の添加終了時から次の添加開始時までの間隔が4分以上空いた場合は先の回とは別の回とする。
無水コハク酸の全量添加時間は、添加開始から好ましくは60分以内、より好ましくは30分以内、更に好ましくは15分以内である。無水コハク酸の添加回数は、得られたHPMCASを溶媒へ溶解させた場合の溶液粘度の観点から、好ましくは2〜14回、より好ましくは2〜12回である。また、各回における無水コハク酸の添加は、好ましくは連続的(滴下を含む。)である。具体的には、無水コハク酸を添加する際の(例えば各回における)無水コハク酸の平均添加速度が、得られたHPMCASを溶媒へ溶解させた時の粘度の観点から、好ましくは0.0020〜0.2000mol/min、より好ましくは0.010〜0.1000mol/min、更に好ましくは0.020〜0.0500mol/minである。無水コハク酸は、ヒプロメロースと反応することにより、スクシニル基となり、ヒプロメロースの側鎖となったスクシニル基が更にヒプロメロースと反応することによりで分子が架橋する。無水コハク酸の平均添加速度を特定の範囲とすることにより、HPMCASを溶媒に溶解させた溶液粘度が制御されたヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを製造できる。
無水酢酸の添加量は、得られるHPMCASの置換度及び収率の観点から、原料HPMCの1モルに対して、好ましくは0.2〜1.5モル、より好ましくは0.4〜1.3モル、更に好ましくは1.1〜1.3モルである。また、無水コハク酸の添加量は、得られるHPMCASの置換度及び収率の観点から、原料HPMCの1モルに対して、好ましくは0.1〜1.0モル、より好ましくは0.1〜0.8モル、更に好ましくは0.3〜0.5モルである。
エステル化工程の触媒である酢酸ナトリウムは、置換度及び収率の観点から、原料HPMCの1モルに対して、好ましくは0.8〜1.5モル、より好ましくは0.9〜1.1モル用いる。
エステル化反応にあたっては、高粘性の流体で均一な混合物を形成して混練を行うのに適した双軸撹拌機を用いることができる。具体的には、ニーダー、インターナルミキサー等の名称で市販されている装置を用いることができる。
エステル化工程の反応温度は、反応速度又は粘度の好適化の観点から、好ましくは60〜100℃、より好ましくは80℃〜90℃である。また、エステル化工程の反応時間は、好ましくは2〜8時間、より好ましくは3〜6時間である。
エステル化反応後、未反応の無水酢酸及び無水コハク酸を処理する目的及び反応液の粘度を制御する目的で、必要に応じて反応液に水を加えることができる。水の添加量は、原料HPMCの質量に対して質量比で、好ましくは0.8〜1.5倍、より好ましくは1.0倍〜1.3倍である。
析出工程では、得られた反応液と水を混合してヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを得る。混合する水の量は、析出度合及び処理時間の観点から反応液の質量に対して質量比で、好ましくは3.3〜8.5倍、より好ましくは3.8〜6.5倍である。なお、上述したようにエステル化反応後に水を添加した場合には、析出工程において混合する水の量は、反応液の質量に対して質量比で、好ましくは2.5〜7.0倍、より好ましくは3.0〜5.0倍である。
析出工程で混合する水の温度は、好ましくは5〜40℃である。
析出工程における水と混合する直前の反応液の温度は、好ましくは10〜30℃、より好ましくは10〜20℃、更に好ましくは15〜20℃である。水との接触直前の反応液温度を上記範囲とするために、反応容器のジャケットによる冷却を行ってもよい。
析出されたHPMCASは、必要に応じて洗浄し、乾燥することができる。前記洗浄工程及び乾燥工程では、遊離酢酸、遊離コハク酸を除去するため、水で十分洗浄して、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜80℃で、好ましくは1〜5時間、より好ましくは2〜3時間乾燥を行う。これにより高純度のHPMCASを得ることができる。
次にコーティング用組成物について説明する。
コーティング用組成物は、上記HPMCAS及び溶媒を少なくとも含む。溶媒は、好ましくは、水と、メタノール、エタノール又はイソプロパノール等のアルコールとの混合溶媒、又はアンモニア水溶液である。水とアルコールとの混合溶媒は、好ましくは水とアルコールの割合が2:8〜4:6(質量比)の混合溶媒である。アンモニア水溶液は、好ましくは0.01〜1.0質量%のアンモニア水溶液である。
コーティング用組成物中におけるHPMCASの濃度は、溶液粘度や生産性の観点から、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは7〜15質量%である。
コーティング用組成物の製造方法は、好ましくは、水とアルコールの混合溶媒及びアンモニア水溶液から選ばれる溶媒にHPMCASを溶解する工程を少なくとも含む。
溶媒としてアンモニア水溶液を用いる場合には、例えば、常温の水にHPMCASを分散させた後、HPMCAS中のカルボキシル基を中和するのに必要な量のアンモニア水(例えばアンモニア濃度:5〜30質量%)を加えて撹拌溶解する。この時のアンモニアの添加量は、HPMCASの溶解性及びコーティング用組成物が被覆された固形製剤の耐酸性の観点から、好ましくはカルボキシル基とおよそ等モル量、より好ましくは等モル量の80%以上、更に好ましくは95〜105%の量を添加する。なお、HPMCASは水に溶けないので、コーティング組成物にするには、アルカリを加えて中和させて水に溶解させる必要がある。この際に、HPMCAS中のカルボキシ基に対して当量のアルカリを加えれば、中和して溶解するはずであるが、当量入れても溶けきらない場合には、105%添加することができる。
コーティング用組成物は、必要に応じて滑沢剤、他のコーティング基剤、可塑剤、界面活性剤、着色剤、顔料、甘味料、消泡剤等を配合しても良い。
滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、ステアリン酸等が挙げられる。特にタルクがコーティング時の粒子同士の粘着を防止するのに好ましい。滑沢剤を添加する場合の滑沢剤の含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、HPMCAS100質量部に対して好ましくは200質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。
他のコーティング基剤としては、腸溶性基剤であるHPMCAS以外のコーティング基剤であり、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の水溶性ビニル誘導体、エチルセルロース等の水不溶性セルロースエーテル類、メタクリル酸コポリマーLD、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマー分散液等のアクリル酸系共重合体等が挙げられる。他のコーティング基剤を添加する場合の他のコーティング基剤の含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、HPMCAS100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
可塑剤としては、クエン酸トリエチル及びアセチル化クエン酸トリエチル等のクエン酸エステル類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン及びモノアセチルグリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類、ジブチルフタレート等が挙げられる。可塑剤を添加する場合の可塑剤の含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、HPMCAS100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、硬化油、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP101)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール等が挙げられる。界面活性剤を添加する場合の界面活性剤の含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、HPMCAS100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
着色剤としては、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号等が挙げられる。着色剤を添加する場合の着色剤の含有量は、通常この分野で常用される量が好ましい。
顔料としては、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、鉛白、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、三酸化アンチモン等が挙げられる。顔料を添加する場合の顔料の含有量は、通常この分野で常用される量が好ましい。
甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アマチャ、果糖、キシリトール、グリチルリチン酸又はその塩、サッカリン、スクラロース、ステビアエキス、白糖、D−ソルビトール、ブドウ糖、マルチトール、D−マンニトール等が挙げられる。甘味料を添加する場合の甘味料の含有量は、通常この分野で常用される量が好ましい。
消泡剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素等が挙げられる。消泡剤を添加する場合の消泡剤の含有量は、通常この分野で常用される量が好ましい。
次に固体分散体用組成物について説明する。
固体分散体用組成物は、上記HPMCAS、薬物及び溶媒を少なくとも含む。
固体分散体用組成物の溶媒は、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、メチルアセテート、エチルアセテートのアルキルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン及びそれらの混合物が挙げられるが、特に溶解性の観点からアセトンが好ましい。
固体分散体用組成物の薬物としては、水に対する溶解度が非常に低く、通常経口投与では吸収性の悪い難溶性薬物が挙げられる。例えば、日本薬局方第17改正に定められている「ほとんど溶けない」又は「極めて溶けにくい」とされる薬物をいう。溶解性は、第17改正日本薬局方の通則に記載するように、薬物が固形の場合は粉末とした後、溶媒中に入れ、20±5℃で5分ごとに強く30秒間振り混ぜるとき、30分以内に溶ける度合をいう。ここで、「ほとんど溶けない」とは、薬物1g又は1mlを溶かすのに要する溶媒量(ここでは水)が10,000ml以上、「極めて溶けにくい」とは、薬物1g又は1mlを溶かすのに要する溶媒量が1,000ml以上、10,000ml未満の性状をいう。
難溶性薬物としては、イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール等のアゾール系化合物、ニフェジピン、ニトレンジピン、アムロジピン、ニカルジピン、ニルバジピン、フェロジピン、エフォニジピン等のジヒドロピリジン系化合物、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン等のプロピオン酸系化合物、インドメタシン、アセメタシン等のインドール酢酸系化合物のほかに、グリセオフルビン、フェニトイン、カルバマゼピン、ジピリダモール等が挙げられる。
固体分散体用組成物の製造方法は、HPMCAS、薬物及び溶媒、必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、又は凝集防止剤等のその他の成分を通常この分野で常用される量含む溶液を調製して、この溶液から溶媒を除去させることにより得られる。固体分散体用組成物の態様は、懸濁液又は均一溶液又は溶解及び懸濁した物質の組み合わせとすることができるが、HPMCASと薬物がより均一に溶解した均一溶液が好ましい。
賦形剤としては、糖類(ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、還元乳糖、蔗糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン等)、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン(別名:ポリビニルピロリドン)、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分α化デンプン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチン等が挙げられる。
崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ、コーンスターチ等が挙げられる。
滑沢剤としては、上記コーティング用組成物の添加剤として例示された滑沢剤が挙げられる。
溶媒を除去する方法としては、蒸留乾固法、スプレードライ法等が挙げられる。スプレードライ法は、水難溶性薬物を含む溶液混合物を小さな液滴に分解(噴霧)し、液滴からの溶媒を蒸発により急速に除去する方法を広く指す。好ましい態様としては、液滴を高温乾燥ガスと混合する、又は溶媒除去装置内での圧力を不完全真空に維持する等の方法が挙げられる。
以下に、合成例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの合成例及び実施例に限定されるものではない。
実施例1
双軸撹拌機を有する5Lニーダー型反応機に、氷酢酸1376g、20℃における2質量%水溶液粘度が3.38mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース(DS:1.89、MS:0.24)860gを溶解させた。次いで、酢酸ナトリウム415.7gを溶解した後、85℃で5時間、エステル化剤である無水酢酸、無水コハク酸を反応させた。エステル化剤の添加方法は、無水酢酸を全量487.3g添加後、無水コハク酸14.51gを5分の間隔で、12回に分けて添加した。なお、1回当たりの無水コハク酸の添加時間は1分間で、無水コハク酸の平均添加速度は、0.034mol/minであった。その後、反応液に水を加えて反応を停止した後、更に反応液の4倍質量の25℃の水を反応液に徐々に加えて、反応生成物であるHPMCASを析出させた。
そして、析出物を十分に水洗して乾燥した後、乾燥品を2860μm(♯7.5)の目開きの篩にて篩過し、メチル基の置換度(DS)が1.894、ヒドロキシプロピル基の置換モル数(MS)が0.251、アセチル基の置換度(DS)が0.611、スクシニル基の置換度(DS)が0.288のHPMCASを得た。得られたHPMCASについて、塩化メチレン及びメタノールの混合溶媒、アセトン、アンモニア水溶液の各溶媒における粘度を、以下の方法により調製した測定用溶液を用い、第17改正日本薬局方に記載の粘度測定方法に従ってB型粘度計を用いて測定した。その結果を表1に示す。
(a)溶媒として塩化メチレン及びメタノールの混合溶媒を用いた粘度測定用溶液の調製
塩化メチレン45.0gとメタノール45.0gを八オンス瓶に測り、撹拌羽根を用いて200rpmの速度で5分間撹拌した。そこに、HPMCAS10gを添加し、更に同じ速度で60分間撹拌した後に撹拌羽根を停止し、得られた溶液を測定用溶液とした。
(b)溶媒としてアセトンを用いた粘度測定用溶液の調製
アセトン198.0gを八オンス瓶に測り、撹拌羽根を用いて200rpmの速度で5分間撹拌した。そこに、HPMCAS22gを添加し、更に同じ速度で60分間撹拌した後に撹拌羽根を停止し、得られた溶液を測定用溶液とした。
(c)溶媒としてアンモニア水溶液を用いた粘度測定用溶液の調製
HPMCAS26.6gを精製水238gに添加して、300rpmの速度で5分間撹拌して分散させた。そこに、HPMCAS中のカルボキシル基を中和するのに必要な10質量%アンモニア水溶液3.16gを添加し、更に同じ速度で120分間撹拌した後に撹拌羽根を停止し、得られた溶液を測定用溶液とした。
実施例2
エステル化剤の添加方法が、無水酢酸を全量487.3g添加後、無水コハク酸58.07gを30分の間隔で、3回に分けて添加し、1回当たりの無水コハク酸の添加時間は5分間とした以外は、実施例1と同様にして、反応生成物(HPMCAS)を析出させた。無水コハク酸の平均添加速度は、0.027mol/minであった。その後、析出物を十分に水洗して乾燥した後、乾燥品を2860μm(♯7.5)の目開きの篩にて篩過し、メチル基の置換度(DS)が1.845、ヒドロキシプロピル基の置換モル数(MS)が0.215、アセチル基の置換度(DS)0.588、スクシニル基の置換度(DS)0.285のHPMCASを得た。得られたHPMCASの各溶媒における粘度は、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。
実施例3
エステル化剤の添加方法は、無水酢酸を全量487.3g添加後、無水コハク酸87.11gを60分の間隔で、2回に分けて添加し、1回当たりの無水コハク酸の添加時間は10分間とした以外は、実施例1と同様にして、反応生成物(HPMCAS)を析出させた。無水コハク酸の平均添加速度は、0.021mol/minであった。その後、析出物を十分に水洗して乾燥した後、乾燥品を2860μm(♯7.5)の目開きの篩にて篩過し、メチル基の置換度(DS)が1.859、ヒドロキシプロピル基の置換モル数(MS)が0.229、アセチル基の置換度(DS)0.596、スクシニル基の置換度(DS)0.293のHPMCASを得た。得られたHPMCASの各溶媒における粘度は、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。
比較例1
エステル化剤の添加方法が、無水酢酸を全量487.3g添加後、無水コハク酸全量174.21gを1回で添加したした以外は、実施例1と同様にして、反応生成物(HPMCAS)を析出させた。無水コハク酸の平均添加速度は、0.410mol/minであった。その後、析出物を十分に水洗して乾燥した後、乾燥品を2860μm(♯7.5)の目開きの篩にて篩過し、メチル基の置換度(DS)が1.848、ヒドロキシプロピル基の置換モル数(MS)が0.221、アセチル基の置換度(DS)0.541、スクシニル基の置換度(DS)0.359のHPMCAS粉末を得た。得られたHPMCASの各溶媒における粘度は、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、無水コハク酸の添加方法を変えることにより、それぞれの溶媒において、粘度を低減させることができた。
実施例4
エタノール/精製水=8:2(質量比)733gに実施例1において製造したHPMCAS100gをプロペラ型撹拌機にて、60分間撹拌溶解し、コーティング用組成物中のHPMCASの濃度が12質量%であるコーティング用組成物を調製した。コーティング用組成物の25℃における粘度を測定したところ、150mPa・sであった。また、このコーティング用組成物はチューブポンプ(EYELA社製SMP−21S)にて送液可能であった。
リボフラビン(東京田辺製薬社製)2質量部、乳糖(フロイント産業社製、ダイラクトースS)90質量部、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(ヒドロキシプロピル基置換度11質量%(MS:0.26)8質量部、ステアリン酸マグネシウム0.5質量部を混合し、ロータリー打錠機(菊水製作所製Virgo)にて、直径8mm、打錠圧1t、打錠予圧0.3t、回転数20rpm、一錠あたりの質量が200mgとなるように打錠し、素錠を作成した。
調製されたコーティング用組成物を用いて下記条件にて、素錠100質量部に対して固形分質量で7質量部までコーティングを行った。コーティング時間は38分間であった。
装置: 通気式パンコーター(内径33cm)
仕込み量:1kg
吸気温度:60℃
排気温度:35℃
吸気エアー量:1m/分
パン回転数:24rpm
スプレー速度:15g/分
スプレーエアー圧:150kPa
得られたコーティング錠剤20錠について、第17改正日本薬局方記載の崩壊試験用第1液(pH1.2)900mLを用いて同局方に基づき崩壊試験を行った。結果、皮膜の破れ、錠剤の膨らみ等の錠剤欠損はみられなかった。
続いて、第17改正日本薬局方記載の崩壊試験用第2液(pH6.8)900mLを用いて同局方に基づき崩壊試験を行った。結果、速やかに溶出することを確認した。
比較例2
エタノール/精製水=8:2(質量比)733gに比較例1において製造したHPMCAS100gをプロペラ型撹拌機にて、60分間撹拌溶解し、コーティング用組成物中のHPMCASの濃度が12質量%であるコーティング用組成物を調製した。コーティング用組成物の25℃における粘度を測定したところ、7200mPa・sであった。粘度が高すぎるため、このコーティング用組成物をチューブポンプ(EYELA社製SMP−21S)にて送液することができなかった。
比較例3
比較例2において、コーティング液粘度が高すぎ送液できなかったため、実施例4と同程度の粘度とするために、コーティング用組成物中のHPMCASの濃度を下げてコーティングを実施することにした。
エタノール/精製水=8:2(質量比)の混合溶媒2400gに比較例1にて製造したHPMCAS100gをプロペラ型撹拌機にて、60分間撹拌溶解し、コーティング用組成物中のHPMCASの濃度が4質量%であるコーティング用組成物を調製した。コーティング用組成物の25℃における粘度を測定したところ、120mPa・sであり、チューブポンプ(EYELA社製SMP−21S)にて送液可能であった。
実施例4で作製した素錠に、上述にて調製されたコーティング用組成物を用いて下記条件にて、素錠100質量部に対して固形分質量で7質量部までコーティングを行った。コーティング時間は117分間であった。
装置: 通気式パンコーター(内径33cm)
仕込み量:1kg
吸気温度:60℃
排気温度:35℃
吸気エアー量:1m/分
パン回転数:24rpm
スプレー速度:15g/分
スプレーエアー圧:150kPa
実施例4及び比較例2〜3の結果から明らかなように、実施例1のHPMCASは、比較例1のHPMCASと比較してコーティング用組成物とした場合の粘度が低いため、高濃度でのコーティングが可能であり、コーティング時間を短縮できた。

Claims (7)

  1. ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル10質量部を、塩化メチレンとメタノールの質量比1:1の混合溶媒100質量部に溶解させた溶液の20℃における粘度が、135mPa・s以下であるヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル。
  2. 請求項1に記載のヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル及び溶媒を少なくとも含むコーティング用組成物。
  3. 前記溶媒が、水とアルコールの混合溶媒、又はアンモニア水溶液から選ばれる請求項2に記載のコーティング用組成物。
  4. 請求項1に記載のヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、薬物及び溶媒を少なくとも含む固体分散体用組成物。
  5. 前記溶媒が、アセトン、メタノール及びエタノールから選ばれる請求項4に記載の固体分散体用組成物。
  6. ヒプロメロースの氷酢酸溶液に、酢酸ナトリウム存在下、無水酢酸及び無水コハク酸を添加して反応液を得るエステル化工程であって、前記無水コハク酸が2回以上にわたって添加されるエステル化工程と、
    前記反応液と水を混合してヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを析出させる析出工程を少なくとも含む請求項1に記載のヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
  7. 前記無水コハク酸を添加する際の前記無水コハク酸の平均添加速度が、0.0020〜0.2000mol/minである請求項6に記載のヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
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