JP2013237941A - 耐油紙および耐油紙の製造方法 - Google Patents

耐油紙および耐油紙の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非フッ素系材料を用い、生産性の高い製造方法にて、高い耐油性と高い通気性を両立させた耐油紙を提供する。
【解決手段】紙支持体の少なくとも片面に少なくとも1層の耐油剤層を形成した耐油紙であって、前記耐油剤層が疎水基を含有する澱粉とワックスを含有したものであり、前記耐油紙のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した王研式透気度が2000秒以下である耐油紙である。また、前記耐油剤層が、前記疎水基を含有する澱粉100質量部に対して前記ワックスを5〜120質量部含有する耐油紙である。
【選択図】なし

Description

本発明は、動植物油等の油分の浸透を抑制する耐油紙およびその製造方法に関するものである。
従来より耐油紙は、洗剤、菓子、乾燥食品等の包装容器用素材として広く使用されていた。その用途としては様々なものがあるが、耐油性を付与した板紙については菓子等の食品用の箱、とりわけ油脂分を大量に含むチョコレート菓子等の箱としてや、薄葉紙に耐油性を付与したものについてはファーストフードなどの揚げ物を包装する容器やデパート、コンビニエンスストアなどでのテイクアウト食材の包装容器等に多く使用されている。
紙に耐油性を付与する手段としては、優れた耐油性を有するフッ素樹脂系の耐油剤が従来使用されており、例えば、紙、板紙の表面にフッ素樹脂系耐油剤を塗工して耐油層を設けたクッキングシートまたは紙層間にフッ素樹脂系耐油剤層を設けた菓子箱用の耐油板紙等が存在した。しかし、フッ素樹脂系耐油剤を使用した紙は、100〜180℃の食品調理温度で加熱した場合、炭素数8〜10のフッ素系アルコール化合物等、長期に残留し易い成分が発生することが確認されている。また、これらフッ素樹脂系耐油剤を使用した紙を使用後焼却した際には、パーフルオロオクタン酸やパーフルオロスルホン酸等のフッ素化合物が生成し、健康または環境に悪影響を及ぼすことが懸念されるため、フッ素樹脂系耐油剤を使用しない耐油紙が求められている。
前記した熱分解するフッ素系薬品代替の耐油紙としては紙基材に澱粉系耐油剤やアクリル樹脂系耐油剤を塗布したもの、ポリエチレンフィルム貼合紙、ポリエチレン樹脂を塗布したもの、シリコーン系、ワックス系耐油剤を使用したもの、熱を加えても不活性ガスを発生させないように製法が改良されたフッ素系樹脂を使用したもの等々の耐油紙ならびに該耐油紙の製造技術が開示されているが、それぞれ長所・短所があるため一部実用化されてはいるものの依然として、使用者からの改善要望は根強い。
ところで、薬品の撥油性によって外部への油脂成分の滲出を防止するフッ素系樹脂を用いた耐油紙では必要耐油剤量が少量であるため、内部に添加、もしくはサイズプレスで該樹脂を表面に塗布させることが可能であった。
一方、澱粉系樹脂の塗工により製造した耐油紙は、耐油層をピンホールなく成膜させて外部への油脂成分の滲出を防止することにより耐油性を発現させているため、フッ素系樹脂と比較すると、同等の耐油性を発現させるために必要な耐油剤量が多くなってしまうという問題がある。例えば、特許文献1には疎水性の澱粉を使用した耐油紙が提案されているが、所望の耐油性を発現させようとすると、疎水性澱粉の塗工量を多くする必要があり、塗工量の増加による透気度の上昇という問題も生じている。
また、特許文献2には澱粉とアルキルケテンダイマーおよび/またはアルケニル無水コハク酸を含む塗工層を設けた耐油紙が提案されているが、澱粉とアルキルケテンダイマーおよび/またはアルケニル無水コハク酸との反応が安定的に進行せず、所望の耐油性が発現し難いという問題がある。
すなわち、澱粉系樹脂を用いて工業的生産効率を確保して製造した耐油紙は所望の耐油性を発現させるのが困難であるというのが現状である。
一方、アクリル系樹脂エマルションの塗工により製造した耐油紙も、耐油層をピンホールなく成膜させて外部への油脂成分の滲出を防止することにより耐油性を発現させているため、フッ素系樹脂と比較すると、同等の耐油性を発現させるために必要な耐油剤量が多くなってしまうという問題がある。例えば、特許文献3〜5にはアクリル系樹脂をオフコーターもしくは印刷機を用いて基紙上に幾層にもわたり塗布する技術が開示されているが、いずれも幾層にもわたり塗布することにより耐油性は確保できるもののその手間の多さからコストが極端に高くなる。
また、特許文献6には耐油剤をエアーナイフコーターで単層のみ塗布する技術が開示されているが、エアーナイフコーターでの塗工の場合は、塗料濃度を比較的低く抑えなければならないため、乾燥負荷が増大し、生産効率が低下するため好ましくない。
さらに、特許文献7及び特許文献8には、塗工層に、澱粉もしくはポリビニルアルコールに脂肪酸を含ませ、塗工により製造されている透気抵抗度の低い耐油紙について開示されているが、透気抵抗度は10000秒以下と比較的高い構成になっており、フィルムやアルミ箔の貼合用途向けなどの通気性を必要とする用途には好ましくない。
特開2002−069889号公報 特開2006−307363号公報 特公平8−006278号公報 特開2006−028697号公報 特開2006−316367号公報 特開2001−303475号公報 特許第4702056号公報 特許第4864331号公報
本発明は、耐油剤として疎水化処理された澱粉系樹脂とワックスを用いて、紙支持体に耐油剤層を形成することにより、フッ素系化合物を用いない環境面での問題が少なく、高い通気性と高い耐油性の発現を両立させる食品用耐油紙を得ることを目的とする。
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)紙支持体の少なくとも片面に耐油剤層を形成した耐油紙であって、前記耐油剤層が疎水基を含有する澱粉とワックスを含有したものであり、かつJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した王研式透気度が2000秒以下である耐油紙。
(2)前記耐油剤層が、前記疎水基を含有する澱粉100質量部に対して前記ワックスを5〜120質量部含有する(1)に記載の耐油紙。
(3)前記疎水基を含有する澱粉が澱粉と炭素数8〜24のアルキル(メタ)アクリレート基を有するスチレン−アクリル系樹脂の混合物澱粉である(1)または(2)に記載の耐油紙。
(4)前記疎水基を含有する澱粉が、アルケニル無水コハク酸エステル澱粉またはヒドロキシアルキルエーテル澱粉である(1)または(2)に記載の耐油紙。
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の耐油剤層を、サイズプレスコーティングまたはバーコーティングで形成する耐油紙の製造方法。
本発明は、紙支持体の少なくとも片面に疎水基を含有する澱粉とワックスを含有させた耐油剤層を形成することによって、安全性を確保しつつ、高耐油性と高通気性を両立した耐油紙を提供することができる。
本発明の耐油紙は、紙支持体の少なくとも片面に耐油剤層を形成することによる耐油処理を行うものである。紙支持体としては植物由来のパルプを主成分とするものであれば特に制限はないが、広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、または他の化学パルプやGP、RGP、TMP等の機械パルプ、DIP、マーセル化処理を施したパルプ、カールドファイバー処理された嵩高パルプ等を主原料として用い、各種抄紙機で抄紙された各種の紙、板紙が使用できる。すなわち、本発明に用いる紙支持体としては特に限定されず、具体的には、晒または未晒クラフト紙(酸性紙または中性紙)、上質紙、中質紙、微塗工紙、塗工紙、板紙、白板紙、ライナー、セミグラシン紙、グラシン紙、片艶紙、パーチメント紙等が挙げられる。
パルプの叩解度はJIS P 8121−1995に規定されるカナダ標準濾水度試験方法で200〜500mlであり、好ましくは250〜500mlである。叩解度を大きくすると、すなわち、濾水度を250mlより小さくすると紙支持体の透気度が高くなるため、耐油紙としての透気度が高くなるため、好ましくない。逆に叩解度を小さくすると、すなわち、濾水度を500mlより大きくすると、繊維同士の絡み合いが弱くなり、強度が低下し易い。
また、上記パルプに内添されるサイズ剤は特に限定されないが、優れた強度が得られることから中性サイズ剤が好ましい。中性サイズ剤とは、耐油紙のpHが6以上でサイズ効果が発現するサイズ剤のことであり、例えばアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、アルケニルコハク酸、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ワックス等の中から適宜選択使用することができる。具体的には、荒川化学社製「サイズパインK−287」、日本PMC社製「AS−211」を代表的な材料として挙げることができる。
紙支持体のステキヒトサイズ度(JIS P 8122−1976)としては良好な塗工性が得られ、また、紙支持体としての強度を確保する上で、3秒以上、特に10〜200秒であることが好ましい。紙支持体には通常使用されるサイズ剤と定着剤である硫酸バンドを添加してもよい。また、その他必要に応じて染料、紙力剤、湿潤紙力増強剤、耐水化剤、架橋剤、電位調整剤等の公知の内添薬品を添加することができる。
紙支持体を得るための抄紙機としては、長網抄紙機、短網抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機、オントップフォーマー、コンビネーション型フォーマー、セパレート型フォーマー、ギャップフォーマー等の抄紙機が使用でき、多層を抄き合せて紙支持体を抄造してもよい。
紙支持体の坪量には特に制限はなく、包装用としては20g/m〜150g/m、箱等の成型容器用としては150g/m〜500g/mが好適である。
本発明においては、耐油剤層に疎水基を含有する澱粉およびワックスを含有させる必要がある。ここで、澱粉に疎水基を含有させる処理としては、澱粉をアルミン酸アルカリまたは水酸化アルカリの存在下でオルガノシラン水溶液と密に接触させる方法、シリコーンやアルケニル無水コハク酸化合物で誘導体とする方法等、水性系においてオクテニルコハク酸無水物やドデセニルコハク酸無水物などの有機酸無水物と澱粉を反応させ、アルケニル無水コハク酸エステル澱粉とする方法や、ヒドロキシアルキル基でエーテル化する方法、澱粉にアクリロニトリル等の疎水性モノマーや疎水性不飽和酸モノマーを共重合させる方法、コハク酸澱粉アルキルとする方法、特開2006−37316号公報に開示されている澱粉とC8−24−アルキルメタクリレート基を有するスチレン−アクリル系ポリマーを含有する混合物を用いる方法等を挙げることができる。粘度が比較的低く、高濃度の塗工液での塗布が行えること、および水に分散させやすいことから、疎水化処理された澱粉の中でも、C8−24−アルキルメタクリレート基を有するスチレン−アクリル系ポリマーを含有する混合物からなる澱粉、もしくはアルケニル無水コハク酸エステル澱粉、もしくはヒドロキシアルキルエーテル澱粉を使用することが好ましい。
本発明において使用される澱粉の原料としては、例えばトウモロコシ澱粉(コーンスターチ)、ワキシーコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、米澱粉等を挙げることができる。また、これらの澱粉を2種類以上組み合わせて使用することもできる。
本発明において、使用される澱粉は、疎水化処理の他、その他の変性を行ってもよい。例えば、カチオン化、リン酸架橋化、アジピン酸架橋化、デキストリン化、マルトデキストリン化、酸化、酸変性、その他酵素変性等を挙げることができる。また、これらの変性を2種類以上組み合わせて加工することもできる。
本発明において用いられるワックスとしては特に限定されないが、パラフィンワックス、カルボキシル基含有パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレン−プロピレン共重合体ワックス等のポリオレフィン系ワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ステアリン酸等の脂肪酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ビスアミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩等が挙げられる。
上記ワックスのなかでも、耐油剤層に含有させて耐油紙を製造した場合に高通気性が得られるためパラフィンワックス、カルボキシル基含有パラフィンワックスが好ましい。
また、これらのワックスを化工・変性させてもよく、さらに、上記ワックスを2種類以上組み合わせて使用することもできる。
ワックスは、極性をほとんど持たず表面張力が低く、他の物質に接着しにくい性質、いわゆる離型性を有するとともに、撥油性を有する。ワックスを含有する耐油剤塗工液を塗工・乾燥する工程においては、塗工後表面の水分が蒸発するにつれ、疎水性であるワックスは澱粉と相溶せず、微細なクラックを生じさせることによって、ワックスの撥油性で耐油性を付与しつつ、高通気性を付与することができる。
本発明において疎水基を含有する澱粉とワックスの配合割合は、澱粉100質量部に対してワックスが5〜120質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜100質量部であり、極めて好ましくは20〜90質量部である。
ワックスの配合量が5質量部未満であると、通気性を向上させる効果が低く、好ましくない。配合量が120質量部を超えると、溶融したワックス成分がコーターのドライヤー内を汚染する原因となり好ましくない。また、生じさせたクラックの大きさが大きくなり過ぎ、耐油性が低下する原因となる。
本発明においては、分散剤を用いて上記ワックスを分散質とする水性エマルションとして用いるのが好ましい。前記水性エマルションを製造する際、用いる分散剤には特に制限はなく、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が使用可能である。アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等のポリオキシエチレン構造を有する化合物や、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アシルアミノエチルジエチルアンモニウム塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、アルキルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルピリジニウム硫酸塩、ステアラミドメチルピリジニウム塩、アルキルキノリニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、脂肪酸ポリエチレンポリアミド、アシルアミノエチルピリジニウム塩、アシルコラミノホルミルメチルピリジニウム塩等の第4級アンモニウム塩、ステアロオキシメチルピリジニウム塩、脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸トリエタノールアミンギ酸塩、トリオキシエチレン脂肪酸トリエタノールアミン、セチルオキシメチルピリジニウム塩、p−イソオクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩等のエステル結合アミンやエーテル結合第4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−アセチルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、2−アルキル−4−メチル−4−ヒドロキシメチルオキサゾリン等の複素環アミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N−アルキルプロピレンジアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミンジメチル硫酸塩、アルキルビグアニド、長鎖アミンオキシドなどのアミン誘導体等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
また、分散剤として保護コロイド作用を有する化合物、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子も使用可能である。該化合物としては、例えばポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性澱粉、ポリビニル2−ピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等の不飽和カルボン酸単位の含有量が26質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物等が挙げられる。
次に、本発明において使用するワックスエマルションの製造方法について説明する。本発明において使用するワックスエマルションを得るための製造方法は特に限定されないが、例えば、可溶化式による乳化分散、機械力式による乳化分散などを挙げることができる。可溶化式による乳化分散では、溶融したワックスと界面活性剤とを混合して加温水を少しずつ注加していく。このとき、油系のW/O乳化状態から可溶化状態を経て水系のO/W乳化状態へと移り、ワックスの微細粒子を析出する。可溶化式による乳化分散は水の注加以外に、ノニオン性界面活性剤を用いて温度を上下することによっても行うことができる。機械力式による乳化分散では、ワックス、界面活性剤および水を全量容器に入れて温度80〜90℃に加熱しながらホモミキサーで撹拌し、十分均一になった後ホモジナイザーで分散させる。
本発明において使用するワックスエマルションの粒子径としては、10nm〜1mm程度が好ましく、より好ましくは50nm〜500μmであり、極めて好ましくは100μm〜200μmである。10nm以下の粒子径では、粒子径を小さくするために多くの界面活性剤が必要となることや、塗工液が乾燥する際、水相部分の移動に伴ってワックス粒子も原紙層や下塗り塗工層に移動してしまい、塗工層表面にワックスが移行しづらくなるため、好ましくない。1mm以上の粒子径では、塗工液に配合したワックス粒子が大き過ぎるために塗工時に掻き取られてしまうおそれがある。
本発明において使用するワックスエマルションの融点は40℃〜120℃であることが好ましく、より好ましくは45℃〜100℃であり、極めて好ましくは50℃〜90℃である。
融点が40℃よりも低いと、使用上、室温で溶融するおそれがあり、実用的に好ましくない。融点が120℃よりも高いと、澱粉との相溶性が悪化し、塗工時に均一な皮膜を作ることが困難となるため好ましくない。
本発明の耐油剤層の塗工量としては、特に限定するものではないが、例えば2.0〜10.0g/m程度の範囲で調整される。塗工量が2.0g/mを下回ると紙支持体表面のカバーリングが低下するため、耐油剤の含有比率を上げても満足な耐油性は得られ難い。また、塗工量が10.0g/mを超える場合は、処理後の乾燥負荷が高くなるばかりか、経済的にも不利となり、好ましくない。
本発明の耐油剤には前記疎水基を含有する澱粉、ワックスの他に、さらにバインダー、顔料などを含んでもよい。また、必要に応じて、分散剤、保水剤、消泡剤、着色剤等の通常用いられている各種助剤が適宜使用できる。
本発明に使用できるバインダーとしては、カゼイン、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子、またはポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、カルボキシメチルセルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の水溶液あるいは水分散液が使用できる。
本発明において使用できる顔料としてはカオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、合成マイカ、二酸化チタン、酸化亜鉛などの無機顔料、さらにはポリイソプレン、ポリネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン等のポリアルケン類、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系モノマーの重合体や共重合体類、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等の各種の密実型、中空型あるいは貫通孔型粒子等の有機顔料が挙げられ、前記顔料の1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の耐油紙は、前記紙支持体の少なくとも片面に耐油剤層を形成するものであるが、紙支持体に耐油剤層を形成する方法としては、含浸処理、スプレー処理などや、一般に公知の塗工装置、例えばサイズプレスコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、ブラシコーター、スライドビードコーター、ツーロールあるいはメータリングブレード方式のサイズプレスコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーター、ゲートロールコーター、キャレンダーによるニップコーター等が適宜用いられるが、本発明においてはトランスファーロールコーターを用いることが好ましい。ここでいうトランスファーロールコーター方式とは、前計量方式で、紙支持体に耐油剤層塗料を塗工する方式であり、2本以上のロールとアプリケータロールからなるゲートロールコーターや、アプリケータロール上の塗料を巻線バーやロッドにより計量するシムサイザー、ブレードでの計量のブレードメタリングサイズプレスコーター等が挙げられる。中でも、サイズプレスコーターでの塗工は、紙支持体表面をカバーリングせず、紙支持体の繊維間空隙を残しつつ、パルプ繊維自体のコーティングがなされることから、同じ耐油剤の量で塗工しても、高い通気性を持たせることができるため好ましい。前記耐油剤層を形成する方法については、オンマシン塗工あるいはオフマシン塗工の何れかで行われるが、オンマシン塗工が生産効率の点で好ましい。本発明の耐油剤層を形成する場合、1回の耐油剤層塗液の塗工でもよいし、異なる耐油剤層塗液の塗工を行ってもよい。
本発明の耐油紙の通気性としては、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した王研式透気度が2000秒以下であることが必要である。王研式透気度が2000秒を超えると、通気性が悪いことで、蒸気を逃しにくくなり、作りたての食感を重視する、例えばフライドポテトやコロッケ、天ぷらなどの食品の食感が悪化するなどの問題が生じる。
また、フィルムやアルミ箔などの貼合用途では通気性が低下した紙では乾燥時にブリスターが生じるため、使用できない。王研式透気度のより好ましい範囲としては1500秒以下であり、極めて好ましくは1000秒以下である。
本発明の耐油紙は耐油剤層を形成した後、本発明の効果を損なわない限りにおいて必要に応じて平滑化処理を行うことができる。平滑化処理は通常のスーパーキャレンダー、グロスキャレンダー、ソフトキャレンダー等の平滑化処理装置を用いて、オンマシンまたはオフマシンで行われる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例および比較例中の%および部数はそれぞれ質量%、質量部を示す。また、紙支持体上の塗工量は絶乾質量を示す。
(耐油剤塗工用原紙1の製造)
カナダ標準濾水度(CSF)が300mlである広葉樹晒化学パルプ(LBKP)スラリーに絶乾パルプ量100部当たり、抄紙用薬品としてロジンサイズ剤0.3部及び硫酸バンド1.0部、湿潤紙力剤0.35部となるように添加して紙料を調製した。その紙料を、長網抄紙機を用いて目標坪量が風乾で40g/mとなるよう抄造し、塗工用原紙1を得た。
(耐油剤塗工用原紙2の製造)
カナダ標準濾水度(CSF)が400mlである広葉樹晒化学パルプ(LBKP)スラリーに絶乾パルプ量100部当たり、抄紙用薬品として澱粉0.8部、アルキルケテンダイマー0.03部及び硫酸バンド1.5部、脂肪酸アミド系嵩高剤0.6部となるように添加して紙料を調製した。その紙料を、長網抄紙機を用いて目標坪量が風乾で71g/mとなるよう抄造し、塗工用原紙2を得た。
(実施例1)
スチレン−アクリル系ポリマーを配合された酸化トウモロコシ澱粉(商品名:「GRS−T110」、王子コーンスターチ社製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「ダイジットS−8」、互応化学工業社製、固形分濃度28%)を10部添加し、濃度10%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が5.2g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(実施例2)
スチレン−アクリル系ポリマーを配合された酸化トウモロコシ澱粉(商品名:「GRS−T110」、王子コーンスターチ社製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を50部添加し、濃度10%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が4.5g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(実施例3)
スチレン−アクリル系ポリマーを配合された酸化トウモロコシ澱粉(商品名:「GRS−T110」、王子コーンスターチ社製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を100部添加し、濃度10%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が5.1g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(実施例4)
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「ダイジットS−8」、互応化学工業社製、固形分濃度28%)を20部添加し、濃度15%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が5.2g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(実施例5)
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を120部添加し、濃度10%に調整することで、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が5.2g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(実施例6)
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を50部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が5.1g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(実施例7)
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、SBRラテックス(商品名:「X300B」、JSR社製、固形分濃度48%)を100部及びパラフィンワックス(商品名:「ダイジットS−8」、互応化学工業社製、固形分濃度28%)を80部添加し、濃度22%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が5.2g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(実施例8)
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、SBRラテックス(商品名:「X300B」、JSR社製、固形分濃度48%)を100部及びパラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を150部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が7.0g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(実施例9)
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、SBRラテックス(商品名:「X300B」、JSR社製、固形分濃度48%)を100部及びパラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を80部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が5.1g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(実施例10)
オクテニルコハク酸エステル化されたコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE370」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を100部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が5.1g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(実施例11)
ヒドロキシプロピルエーテル化されたワキシーコーンスターチ(商品名:「PENONPKW」、日澱化学社製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を50部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が5.1g/mになるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
(比較例1)
実施例1の耐油剤層用塗液をスチレン−アクリル系ポリマーを配合された酸化コーンスターチ(商品名:「GRS−T110」、王子コーンスターチ社製)を濃度10%に調製し、固形分の塗工量が2.6g/mになるようにした以外は、実施例1と同様の方法で耐油紙を得た。
(比較例2)
実施例1の耐油剤層用塗液をオクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)を濃度10%に調製し、固形分の塗工量が3.6g/mになるようにした以外は、実施例1と同様の方法で耐油紙を得た。
(比較例3)
実施例1の耐油剤層用塗液をリン酸エステル化変性コーンスターチ(商品名:「PN700S」、三和澱粉社製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を50部添加し、濃度20%に調製したものとし、固形分の塗工量が5.2g/mになるようにした以外は、実施例1と同様の方法で耐油紙を得た。
(比較例4)
実施例3の耐油剤層用塗液をオクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ澱粉(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)を濃度20%に調製したものとし、固形分の塗工量が5.1g/mになるようにした以外は、実施例3と同様の方法で耐油紙を得た。
(比較例5)
実施例3の耐油剤層用塗液をオクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ澱粉(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、SBRラテックス(商品名:「X300B」、JSR社製、固形分濃度48%)を100部添加し、濃度20%に調製したものとし、固形分の塗工量が5.1g/mになるようにした以外は、実施例3と同様の方法で耐油紙を得た。
(比較例6)
実施例1の耐油剤層用塗液をスチレン−アクリル系ポリマーを配合された酸化コーンスターチ(商品名:「GRS−T110」、王子コーンスターチ社製)100部に対し、アクリルエマルション(商品名:「PDX7326」、BASF社製、固形分濃度39%)を100部添加し、濃度12%に調製したものとし、固形分の塗工量が5.1g/mになるようにした以外は、実施例1と同様の方法で耐油紙を得た。
(比較例7)
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「ダイジットS−8」、互応化学工業社製、固形分濃度28%)を150部添加し、濃度22%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が10.4g/mになるように塗布、乾燥して耐油紙を得た。
(比較例8)
実施例1の耐油剤層用塗液をSBRラテックス(商品名:「X300B」、JSR社製)固形分濃度48%を100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「ダイジットS−8」、互応化学工業社製、固形分濃度48%)を80部添加し、濃度15%に調製したものとし、固形分の塗工量が2.3g/mになるようにした以外は、実施例1と同様の方法で耐油紙を得た。
(比較例9)
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、脂肪酸サイズ剤(商品名:「NS−815」、東邦化学社製、固形分濃度30%)を20部、ポリアミドアミン系の湿潤紙力増強剤(商品名:「WS4024」、星光PMC社製、固形分濃度25%)を5部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にバーコーターにて固形分の塗工量が3.0g/mになるように塗布、乾燥して耐油紙を得た。
(比較例10)
比較例9の耐油処理液の脂肪酸サイズ剤を添加せず、固形分の塗工量が3.3g/mになるように塗工した以外は、比較例9と同様の方法で耐油紙を得た。
(耐油紙の評価方法)
・耐油度の評価基準:TAPPI UM−557法(キット法)によって塗工面を測定した。耐油紙として使用可能なキット耐油度は4級以上であることが好ましい。
・高通気性の評価基準:JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に基づく王研式透気度を測定した。高通気性の耐油紙としては、2000秒以下であることが好ましい。
上記実施例、比較例で得られた21種類の耐油紙について、評価結果を表1にまとめた。
Figure 2013237941
上記実施例の結果が示すように、本発明の耐油紙は高通気性と高い耐油性を両立させたものである。
本発明による耐油紙は、ファーストフードなどの揚げ物を包装する容器やデパート、コンビニエンスストアなどでのテイクアウト食材の包装容器等に使用可能であり、実用上極めて有用である。

Claims (5)

  1. 紙支持体の少なくとも片面に耐油剤層を形成した耐油紙であって、前記耐油剤層が疎水基を含有する澱粉とワックスを含有したものであり、かつ前記耐油紙のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した王研式透気度が2000秒以下であることを特徴とする耐油紙。
  2. 前記耐油剤層が、前記疎水基を含有する澱粉100質量部に対して前記ワックスを5〜120質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の耐油紙。
  3. 前記疎水基を含有する澱粉が、澱粉と炭素数8〜24のアルキル(メタ)アクリレート基を有するスチレン−アクリル系樹脂の混合物澱粉であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐油紙。
  4. 前記疎水基を含有する澱粉が、アルケニル無水コハク酸エステル澱粉またはヒドロキシアルキルエーテル澱粉であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐油紙。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐油剤層を、サイズプレスコーティングまたはバーコーティングで形成することを特徴とする耐油紙の製造方法。
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