JP4371906B2 - 撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法 - Google Patents

撥水剤層用下塗り塗工液、その塗工層を有する撥水紙及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、撥水剤の塗工に先立って紙に塗工される下塗り塗工液、その下塗り塗工層と撥水剤塗工層を併有する撥水紙、さらにはこの撥水紙の製造方法に関する。
冷凍食品用段ボール、野菜用段ボール等に使用される外装用ライナー(以下ライナーと略すことがある)には、クラフトパルプやクラフトパルプ系古紙を原料として製造される板紙に、ワックス系エマルジョンからなる撥水剤を塗工したものが従来使用されてきた。しかし、昨今では木材資源をできる限り保護する観点から、板紙原料として古紙の使用割合が増大する傾向にある。
板紙の表面特性は、填料や微細繊維の含有量が多い古紙の配合率が高くなるに従って変化し、この種の板紙に撥水剤を塗工しても、それだけでは十分な撥水効果が得られなくなって来ている。ちなみに、段ボールの製造において、撥水剤を塗工した板紙(ライナー)に中芯原紙を貼合する際、コルゲーターの熱により撥水剤が溶融し、これがパルプ繊維間の空隙に浸透する事により撥水度が低下する現象を一般的に「撥水剤の沈み」と呼ぶが、古紙の配合量の多い板紙では撥水剤の沈みが起こりやすく、これが起こると十分な撥水効果が得られないのが通例である。
この撥水剤の沈みは、現在汎用されているアニオン系内添サイズ゛剤やアニオン系紙力剤、さらにはポリビニルアルコール等の使用量を増加させても抑制することができない。
紙の両面に撥水剤を塗工し、さらに、ポリビニルアルコール、デンプンなどで例示される水溶性ポリマーを塗工する技術が剥離紙用原紙の製造方法として提案されている(特許文献1参照)。また、スチレン系モノマーと3級アミノ基を有するアクリル系モノマーの2成分、又はこれに共重合可能な他のモノマーを加えた3成分の共重合体に、ハロゲン化アルキルを作用させて得た第四アンモニウム塩型共重合体を紙に塗工して滑り防止効果を付与する技術も知られている(特許文献2参照)。
さらに、塗工紙に耐水性を付与し、インキ受理性を向上させる上で有効な塗工液の製造方法として、ポリアルキレンポリアミン及び/又はポリアルキレンポリ尿素と二塩基性カルボン酸とを脱水素縮合させて第1反応生成物を得、この第1反応生成物と尿素との間で脱アンモニア反応を生起させて第2反応生成物を得、次いで第2反応生成物を例えばエピハロヒドリンと反応させて第3反応生成物を得た後、第3反応生成物を例えばホルムアルデヒドと反応させる処方が提案されている(特許文献3参照)。
また、紙の湿潤紙力増強剤として有用なポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂水溶液の製造法として、炭素数3〜12の脂肪族二塩基性カルボン酸及び/又はその誘導体と、ポリアルキレンポリアミンとを特定な反応比で加熱縮合させてポリアミドポリアミンを得、このポリアミドポリアミンとエピハロヒドリンとを特定の条件で反応させる方法が知られている。(特許文献4参照)
特開昭59−144693号公報 特開昭57−56598号公報 特開昭58−2331号公報 特開2002−121280号公報
本発明の目的は、撥水剤の塗工が予定される原紙に、撥水剤の塗工に先立って塗工することで、爾後塗工される撥水剤が熱の影響で紙層に沈むのを防止できる下塗り塗工液を提供し、さらに紙の上に形成された前記下塗り塗工液の塗工層と、その上に形成された撥水剤層を併有する撥水紙及びその撥水紙の製造方法を提供することにある。
本発明の下塗り塗工液は撥水剤の塗工に先立って塗工されるもので、下記の2成分を含有する。
(A)スチレン系モノマーと3級アミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン性共重合体の4級化物、
(B)ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂、
上記の(A)成分及び(B)成分は、後述するとおり、水分散液又は有機溶媒分散液の状態で取得されるのが通例である。従って、この両成分を混合して本発明の撥水剤用下塗り塗工液を得る場合には、両成分の固形分比率を(A):(B)=4:96〜99:1の範囲とすることが好ましい。
本発明の撥水紙は、原紙に上記の下塗り塗工液の塗工層が設けられ、その塗工層上に撥水剤層を設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る撥水紙の製造方法は、原紙の少なくとも片面に上記下塗り塗工液を、固形分換算で0.01〜0.5g/m2の範囲の塗工量で塗工して乾燥し、然る後にその下塗り塗工層の表面に撥水剤を塗工して乾燥する工程を含むことを特徴とする。
本発明による効果発現機構は定かではないが、上記した下塗り塗工液を塗工することによって紙表面が適度なカチオン性を帯びるため、下塗り塗工層の上に塗工される撥水剤の定着が助長され、その結果、紙に熱がかかった場合でも紙層中への撥水剤の浸透が抑制され、撥水剤の沈みが防止されるものと思われる。
本発明に係る下塗り塗工液の(A)成分は、カチオン性サイズ剤の1種として公知であり、例えば、BLS−720なる商品名(星光PMC株式会社製)で市販されているので、市場からこれを容易に入手することができるが、その典型的な合成例を次に示す。
すなわち、所望のモノマー比にあるスチレン系モノマーと3級アミノ基を有するビニルモノマーとを、所望によりこれらと共重合可能な他のビニルモノマーをこれに加えてラジカル重合触媒の存在下に、水中又は有機溶媒中60〜120℃で1〜10時間重合させてカチオン性共重合体を形成させる。次にカチオン性重合体を含有する反応混合物から所望により有機溶媒を留去させた後、これにエピハロヒドリンのような4級化剤を添加して40℃〜80℃で1〜5時間反応させることによって、水又は有機溶媒に分散した(A)成分を得ることができる。
使用可能な有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール系有機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の油性有機溶媒が例示可能で低級アルコール系有機溶媒と水との混合溶媒も、上記した反応の反応溶媒として使用可能である。
ラジカル重合触媒としては、水溶性ラジカル開始剤が使用でき、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、過酸化水素等の過酸化物、これらの過硫酸塩及び過酸化物と還元剤の組合せによるレドックス系重合触媒、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等の水溶性アゾ系触媒、並びにターシャリブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物系を挙げることができる。さらに2,2’−アゾビスブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)等の油溶性アゾ系触媒、ベンジルパーオキシド等の油溶性有機過酸化物を使用できる。また、必要に応じてアルキルメルカプタン等の公知の連鎖移動剤を適宜併用しても差し支えない。
上記したスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びジビニルベンゼン等が挙げられ、これらのモノマーは1種又は2種以上が(A)成分の調製に使用できる。スチレン系モノマーの中では入手しやすく、安価である点でスチレンの使用が好ましい。
上記した3級アミノ基を有するビニル系モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(ジアルキル)アミノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等を挙げることができ、これらのビニル系モノマーは、1種又は2種以上が(A)成分の調製に使用することができる。上に例示したビニル系モノマーの中で(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリレートや(ジアルキル)アミノアルキル(メタ)アクリルアミドは入手がし易く安価である点で好ましい。
(A)成分を調製する際に、所望により使用できる共重合可能なモノマーとしては、上記したスチレン系モノマー以外の疎水性モノマー、上記した3級アミノ基を有するビニルモノマー以外のカチオン性モノマー、ノニオン性モノマー並びにアニオン性モノマーを挙げることができる。
スチレン系モノマー以外の疎水性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート、マレイン酸、及びフマル酸のジアルキルジエステル類、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、N−アルキル(メタ)アクリルアミド類、並びにメチルビニルエーテル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が任意モノマー成分として使用可能である。
3級アミノ基を有するビニルモノマー以外のカチオン性モノマーとしては、例えば、アリルアミン、メタリルアミン、ジアリルアミン、ジメタリルアミン等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上が任意モノマー成分として使用可能である。
ノニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、アリルアルコール、メタリルアルコール等の(メタ)アリルアルコール;アリルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、メタリルメチルエーテル、メタリルエチルエーテル等の、炭素数1〜18個のアルキル基をエーテル結合した(メタ)アリルエーテル;、アリルホルメート、アリルアセテート、アリルプロピオネート、メタリルホルメート、メタリルアセテート等の1〜18個の炭素原子を有する飽和カルボン酸の(メタ)アリルエステルなどを挙げることができ、これらの1種又は2種以上が任意モノマー成分として使用できる。
アニオン性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、けい皮酸、ビニルエステル酸、2−(メタ)アクリルアミドグリコリック酸、α,β−不飽和トリカルボン酸及びα,β−不飽和テトラカルボン酸並びにこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩等の不飽和カルボン酸モノマー、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びアクリル酸−3−スルホプロピルエステル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチル、アクリル酸ヒドロキシエチルの硫酸エステル塩、アクリル酸ポリオキシアルキレンオキサイドの硫酸エステル並びにこれらの酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩等などのスルホン酸基を有するモノマーを挙げることができ、これらの1種又は2種以上が任意モノマー成分として使用できる。
(A)成分を調製するに際して、共重合反応に供するスチレン系モノマーと3級アミノ基を有するビニルモノマーとのモノマー比は、スチレン系モノマー/3級アミノ基を有するビニルモノマーの質量比で60〜90/40〜10の範囲に、好ましくは70〜85/30〜15の範囲にある。そして、この共重合反応の場に上記した任意のモノマー成分を共存させる場合は、反応に供するスチレン系モノマー量の30質量%以下の量で、上記した任意のモノマー成分を使用することができるが、その量を20質量%以下とすることが好ましい。
(A)成分を調製する際の共重合反応は、任意モノマー成分を使用した場合を含めて、反応の場に仕込んだモノマーは実質的に100%反応してカチオン性共重合体を形成している。
カチオン性共重合体の4級化は、カチオン性共重合体を含有する反応混合物に適当な4級化剤を加えて常法通り行うことができる。
前記4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、塩化ベンジル、エピクロロヒドリン、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド及び3−クロル−2−ヒドロキシアンモニウムクロライド等の有機ハロゲン化物、並びにジメチル硫酸、及びジエチル硫酸等のジアルキル硫酸が何れも使用可能である。
上に説明した合成例によって得られる本発明の(A)成分は、カチオン性共重合体の4級化物が水又は有機溶媒に分散した分散液の形態で取得される。
本発明に係る下塗り塗工液の(B)成分は、ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂であって、このものは紙の表面処理剤あるいは添加剤の1種として市販されているので、市場から容易に入手することができる。(B)成分に使用するポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂は、エームス試験の判定が陰性であり、しかも低分子有機ハロゲン化合物の含有量が少ないものであることが好ましい。
ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の典型的な合成例を例示すると、次のとおりである。
所望のモル比にある脂肪族二塩基性カルボン酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミンとを、110〜250℃で1〜10時間反応(脱水反応及び/又は脱アルコール反応)させた後、反応系に水を加えて反応を停止してポリアミドポリアミンを含有する水溶液を得る。次いで、このポリアミドポリアミンに含まれる2級アミノ基の0.5〜1.6当量に相当するエピハロヒドリンを、前記のポリアミドポリアミン水溶液に滴下しながら、5〜50℃の温度で反応させた後、得られた反応混合物を希釈することなく、または希釈してからさらに温度を上げて30〜80℃で反応を継続し、反応混合物が所定の粘度に到達した時点で、反応混合物に水を添加して反応を停止させると共に反応混合物の固形分濃度を15〜40質量%に調整する。然る後、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸又はギ酸、酢酸等の有機酸を加えて反応混合物もpHを2〜5に調整することによって、ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の水溶液を得ることができる。
反応に供する脂肪族二塩基性カルボン酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミンのモル比は前者1モルに対し、後者0.8〜1.05モルの範囲で選ばれる。
脂肪族二塩基性カルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、ドデカン二酸等が何れも使用可能であるが、入手がしやすく、安価である点で、炭素数5〜10の脂肪族二塩基性カルボン酸が好ましい。脂肪族二塩基性カルボン酸誘導体としては上記各酸の酸無水物や低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜5)が使用できるが実際上はグルタル酸メチルエステル又はアジピン酸メチルエステルの使用が好ましい。
ポリアルキレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン等何れも使用可能であるが、入手がしやすく、安価である点でジエチレントリアミンの使用が好ましい。
また、エピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンがいずれも使用可能であるが実際上はエピクロロヒドリンの使用が好ましい。
本発明の下塗り塗工液は、一般的には前記した(A)成分と(B)成分を所定の割合で混合することによって調製され、この塗工液を撥水剤の塗工に先立って原紙に塗工する。前記塗工液中の(A):(B)の固形分比率は、4:96〜99:1の範囲で選ぶことが好ましい。より好ましくは20:80〜80:20である。塗工を繰り返す煩わしさをいとわなければ(A)成分と(B)成分を別々に塗工することもできる。この場合、(A)成分と(B)成分との塗工順序はどちらを先行させても差し支えがない。
念のため付言すると(A)成分及び/又は(B)成分を撥水剤に配合すると凝集を起こすことが有るので(A)成分及び/又は(B)成分と撥水剤との混合は避けることが好ましい。また、後述するCobb吸水度に悪影響を及ぼさない限り、本発明の下塗り塗工液には、その液性を改変する目的で上記2成分以外の成分を添加することができる。
本発明に係る下塗り塗工液は、オンマシン又はオフマシンで原紙に塗工することができ、塗工機としては、サイズプレス、フィルムプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、ブレードコーター、キャレンダー、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター等を用いることができる。また、エアーとの2流体によるスプレー塗工も可能である。
下塗り塗工液の塗工量は、固形分換算で0.01〜0.5g/m2の範囲で選ばれる。塗工量が0.01g/m2未満である場合は本発明が企図している下塗り効果を十分発現させることができないことがある。下塗り塗工層の乾燥にはオンマシン、オフマシンを問わず、ドラムドライヤー、温風乾燥機、赤外線乾燥機等が使用できる。
下塗り塗工液を塗工した後の紙の2分Cobb吸水は、20〜60g/mの範囲になるように調節することが好ましい。2分Cobb吸水度が20g/m未満の場合は、撥水剤を塗工する際に撥水剤を弾いてしまうために、撥水剤を均一に塗工できない場合がある。また、2分Cobb吸水度が60g/m以上の場合は、撥水剤が紙のZ軸方向に深く浸透してしまうためにバリヤー効果が得られず、撥水効果が十分に発現しない場合がある。
本発明において乾燥した下塗り層上に塗工する撥水剤は、ワックス系成分を分散質とする水性エマルションが好ましい。このエマルジョンにおいて、分散質となるワックス系成分は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスなどの単一成分であっても、これらのワックス成分のブレンドであっても差し支えない。また分散質はマレイン化石油樹脂などの変性ワックス成分であっても、ロジンあるいは不飽和高級アルコール等であっても差し支えない。分散質の乳化に寄与する分散剤には特に制限は無く、ノニオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子、マレイン化石油樹脂などの自己乳化性を有する高分子乳化剤などが何れも使用可能である。上記した水性エマルジョンでの分散質の表面電荷はアニオン性を示すものが好ましい。
撥水剤の塗工及びその塗工層の乾燥は常法通りこれを行うことができ、下塗り塗工液の塗工及び乾燥で説明した塗工機及び乾燥機が撥水剤の塗工乾燥にも使用できる。
ちなみに、ワックス系撥水剤の塗工量は、通常、固形分換算で0.1〜2g/m2の範囲で選択する。
本発明の下塗り塗工液及び撥水剤には、それぞれ必要に応じて酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉等の澱粉類、炭酸ジルコニウム、硫酸バンド等の金属化合物、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアンモニウムクロリド及びジシアンジアミドホルマリン樹脂などのカチオン性高分子、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子を配合することができる。この場合下塗り塗工液にはカチオン性のものを配合することが好ましく、撥水剤には、アニオン性のものを配合することが好ましい。更にまた、表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、染料、顔料等の添加物を下塗り塗工液及び撥水剤に配合させることも含有しても構わない。
本発明の撥水紙の原紙としては各種の紙及び板紙が使用可能である。特に古紙パルプの含有量が50質量%を超えて配合された紙については効果が大きい。
本発明の効果により、古紙パルプ配合量の増加によって表面性が変化して起こる撥水剤の沈みが殆どない。本発明の撥水紙は、クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙、マニラボール、白ボール、チップボール等の紙器用板紙、ライナー等の板紙が挙げられるが、特に古紙の含有量の50質量%以上、とりわけ80質量%以上を含有しているライナーを対象にした場合に効果が大きい。
以下に、実施例、比較例をあげて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの各例に限定されるものではない。なお、各例中、部および%は、特記しない限り、全て質量基準である。
[原紙(a)の製造方法]
濃度3.0%パルプスラリー(段ボール古紙 100% CSF;380、500℃灰分11.5%)に硫酸アルミニウムを絶乾パルプに対して固形分換算で1.5%、ロジンエマルジョンサイズ剤(商品名:コロパールEV−310、星光PMC(株)製)を絶乾パルプに対して固形分換算で0.3%添加し、白水にて1.0%スラリーに薄め、次いで濾水剤(商品名:デハイドラ―CQ−41B、星光PMC(株)製)を絶乾パルプに対して固形分換算で50ppm添加して、常法に従いTAPPIスタンダードシートマシンにより抄紙した。この時、パルプスラリーのpHは6.8であった。湿紙は3.5kg/cmの圧力下で5分間脱水後、ドラムドライヤーにて所定の乾燥を行った。その後、温度23℃、湿度55%において24時間調湿後、坪量80g/m、2分Cobb吸水度76g/mの紙を得た。
[原紙(b)の製造方法]
濃度3.0%パルプスラリー(NUKP 100% CSF;380、500℃灰分2.0%)に硫酸アルミニウムを絶乾パルプに対して固形分換算で1.5%、ロジンエマルジョンサイズ剤(商品名:コロパールEV−310、星光PMC(株)製)を絶乾パルプに対して固形分換算で0.15%添加し、白水にて1.0%スラリーに薄め、次いで濾水剤(商品名:デハイドラ―CQ−41B、星光PMC(株)製)を絶乾パルプに対して固形分換算で50ppm添加して、常法に従いTAPPIスタンダードシートマシンにより抄紙した。この時、パルプスラリーのpHは6.8であった。湿紙は3.5kg/cmの圧力下で5分間脱水後、ドラムドライヤーにて所定の乾燥を行った。その後、温度23℃、湿度55%において24時間調湿後、坪量80g/m、2分Cobb吸水度28g/mの紙を得た。
[下塗り塗工液の製造方法]
(A)成分:スチレン系モノマーと3級アミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン性共重合体の4級化物に該当するカチオンサイズ剤(商品名BLS−720、星光PMC(株)製)
(B)成分:ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂に該当する撥水加工適性向上剤(商品名OC、星光PMC(株)製)
上記の(A)成分と(B)成分を混合して混合比が異なる3種の下塗り塗工液を製造した。
下塗り塗工液 混合比(固形分)
A (A)/(B)=80/20
B (A)/(B)=50/50
C (A)/(B)=20/80
下塗り塗工液D:上記の(A)成分100部
下塗り塗工液E:上記の(B)成分100部
下塗り塗工液F:アニオン化ポリビニルアルコール100部
(商品名:ゴーセサイズP−7300、日本合成化学工業(株)製)
下塗り塗工液G:アニオン性表面サイズ剤100部
(商品名:コロパールM−150−38、星光PMC(株)製)
撥水紙の製造
原紙(a)に下塗り塗工液A〜Gそれぞれを、No.3バーコーターにて表1に記載の塗工量で塗工した後、ドラムドライヤーにて70℃、20秒間乾燥を行った。得られた塗工紙を温度23℃、湿度55%において24時間調湿後、JISP8140;コブ吸水法により吸水度を測定した。測定結果を表1に記載した。
次に、原紙(a)上の各下塗り塗工層の上に、撥水剤(商品名:パラテックスNS−6,星光PMC(株)製)を塗工量が0.15g/m2及び0.3g/m2になるようにNo.3バーコーターで塗工し、しかる後、ドラムドライヤーにて70℃、20秒間乾燥を行って撥水紙を得た。また、同じ撥水剤を、下塗り塗工を全く施していない原紙(b)に、上と同じ条件で塗工して乾燥し、撥水紙を得た(比較例6参照)。
得られた各撥水紙を温度23℃、湿度55%において24時間調湿後、それぞれの撥水度を測定した。また、撥水加工適性を試験するため、140℃に設定した電気乾燥機に各撥水紙を入れて3分間及び6分間加熱処理をした後取り出し、しかる後、温度23℃、湿度55%において24時間調湿後、撥水度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004371906
表1に示す結果からわかるように、古紙パルプを80質量%以上含む原紙であっても、これにまずカチオン性スチレン−アクリル酸エステル系共重合体の4級化物とポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂を含有する下塗り塗工液を塗工し、次いで、その塗工層に撥水剤を塗工することにより、撥水剤の沈みを抑制でき、しかも古紙を含まずクラフトパルプのみからなる原紙に撥水剤を塗工して場合(比較例6参照)と同等以上の撥水性を有する紙が得られる。

Claims (6)

  1. 下記の2成分を含有する撥水紙における撥水剤層用下塗り塗工液。
    (A)スチレン系モノマーと3級アミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン性共重合体の4級化物
    (B)ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂
  2. (A)成分及び(B)成分を(A):(B)=4:96〜99:1の固形分比率で含有する請求項1記載の撥水剤用下塗り塗工液
  3. 原紙に下記の2成分を含有する下塗り塗工層と撥水剤層からなる撥水紙。
    (A)スチレン系モノマーと3級アミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン性共重合体の4級化物
    (B)ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂
  4. 下塗り塗工液の塗布量が固形分換算で0.01〜0.5g/m2の範囲である請求項3記載の撥水紙。
  5. 原紙が古紙パルプを80質量%以上含有する請求項3記載の撥水紙。
  6. 下記の2成分を含有する撥水剤用下塗り塗工液を原紙に塗工、乾燥した後、下塗り塗工層上に撥水剤を塗工、乾燥する工程を含む下塗り塗工層と撥水剤層を併有する撥水紙の製造方法。
    (A)スチレン系モノマーと3級アミノ基を有するビニル系モノマーを必須モノマー成分として合成されるカチオン性共重合体の4級化物
    (B)ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂
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