JP2019099952A - 耐油紙および耐油紙の製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態の耐油紙は、紙基材の少なくとも片面に、フッ素樹脂系耐油剤を含まない特定の成分を有した塗工層を有している。この塗工層が耐油層として働くことによって、油分の抜けや油分のしみの発生を防止することが可能となり、薄葉の耐油紙であっても高いレベルの耐油性を発現することが可能となった。
デンプン類を塗工層に含有させることにより、耐油性を付与することができる。
デンプン類は、特に限定されず、各種公知のものの中から適宜選択して使用することができる。デンプンとしては、例えばデンプンの原料からみると、トウモロコシ、馬鈴薯、小麦、米、タピオカ、甘藷等を原料とするデンプンを使用することができる。また、これらのデンプンを2種類以上組み合わせて使用することもできる。塗工層がデンプン類を含有していると、製袋時等に機械等で耐油紙表面をこすられたときでも、塊状の塗膜粕が発生しにくい。
脂肪酸サイズ剤は、塗工層中のデンプン類の有する耐油性をさらに向上させるために添加される成分であり、デンプン類との相溶性に優れている。脂肪酸サイズ剤は、従来から紙用の表面サイズ剤として使用されてきたものである。脂肪酸としては、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸のいずれであってもよいし、植物性脂肪酸であっても動物性脂肪酸であってもよい。
本実施形態では、エピクロロヒドリン変性脂肪酸を脂肪酸サイズ剤として使用する。エピクロロヒドリン変性脂肪酸としては、高級脂肪酸に、ポリアミンを反応させてポリアミド縮合物を生成し、さらにエピクロロヒドリン化合物でエポキシ化されているものが好ましい。
脂肪酸サイズ剤の安定剤として、酢酸ナトリウムを添加することが好ましい。酢酸ナトリウムの含有量は、エピクロロヒドリン変性脂肪酸に対して50質量%以下であることが好ましい。また、1〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
脂肪酸サイズ剤の皮膜性等を向上させるため、分散剤の添加が必要である。本実施形態では分散剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルを使用する。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、塗工液のゲル化を生じさせずに後述するDCP無害化処理を行える点で、脂肪酸サイズ剤の分散剤として好適である。分散剤の含有量は、エピクロロヒドリン変性脂肪酸に対して1〜5質量%であることが好ましい。
塗工液からDCPを無害化するため、デンプン類、脂肪酸、およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルの混合液に塩基性物質を添加し、加熱しつつ撹拌することが必要である。塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物や塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物や塩等の無機塩基性物質、あるいは、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン等の第1、2、3級有機アミン類、あるいは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシドなどのアンモニウムヒドロキシド類などが使用できる。これらの中では、工業的には無機塩基性物質、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
塩基性物質の含有量は、エピクロロヒドリン変性脂肪酸100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましい。
よって、本実施形態の製造方法では、加熱時のDCP発生量を低減させ、かつ、薄葉でも優れた耐油性を実現する耐油紙を、低コストで製造することが可能となる。
デンプン類とエピクロロヒドリン変性脂肪酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルとの混合溶液を塩基性物質で処理して作成した塗工液の粘度は、150〜630mPa・sが好ましい。塗工液の粘度をこのような範囲にすれば、塗工液のポンプ送液が容易になる、塗工液を均一に塗工することが容易になる、といった効果がある。
ここで塗工液の粘度は、濃度19〜22%、液温30〜40℃の条件でB型粘時計を用いて測定する。
本実施形態の耐油紙の塗工層は、デンプン類と、脂肪酸サイズ剤とを含有している。塗工層を構成する成分としては、紙基材上に皮膜を形成し、油分のしみと拡がりを抑制する観点から、デンプン類が必須成分であり、かつ主成分であることが好ましい。ここで、主成分とは、塗工層の全固形分の50質量%以上であることを意味している。塗工層の全固形分中のデンプン類の含有割合は、50〜90質量%であることが好ましく、65〜85質量%であることがより好ましい。また、デンプン類の塗膜は、製袋時等に機械等で表面をこすられたときに、粉状物の発生が少なく、好ましい。
本実施形態の耐油紙に用いる紙基材としては、特に限定されず、各種の紙、板紙を使用することができ、用途に応じて適宜選択することができる。具体的には、晒または未晒クラフト紙、上質紙、中質紙、微塗工紙、塗工紙、板紙、白板紙、ライナー、セミグラシン紙、グラシン紙、片艶紙、パーチメント紙等を紙基材とすることができる。
耐油紙の製造方法、特に塗工液製造工程と塗工工程について以下に記載する。
<紙基材の製造方法>
紙基材は、常法により各種抄紙機により抄紙し、湿紙を形成し、乾燥させた後、表面サイズプレス処理マシンカレンダー等による平滑化処理等、常法による処理工程を経て製造される。
塗工液は、前記の各種成分の他に、バインダー、顔料、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、着色剤等の各種助剤を適宜添加して、調製される。DCP無害化のために塩基性物質を添加した後に行う撹拌の際、溶液の温度は60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。溶液を前記温度に保つ時間は30分以上であることが好ましい。
塗工液の溶剤としては、通常、水が使用される。塗工液の濃度は、固形分の濃度で、1〜30%が好ましく、3〜25%がより好ましい。塗工液の濃度を1〜30%とすることにより、ゲル化せずポンプ送液することができる。
紙基材の少なくとも片面に、塗工液を塗工し、引き続き乾燥機を通して、塗工液を乾燥させる。
本実施形態では、ポンドサイズプレスコーターで塗工することが好ましい。これにより、2本のロールの間に塗工液溜りを形成し、その液溜りを紙基材が通過し、さらに2本のロールで絞られることで、紙基材内部に塗工液を浸透させることができる。
このように製造した耐油紙を、ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析法(HS−GC/MS)で測定した。耐油紙から発生したDCPの質量は、耐油紙の質量に対して、0.6ppm以下であった。
塗工液に塩基性物質を添加して加温することで、塗工液中のDCPが塩基性物質により脱塩素化反応を起こし、グリセリン等に変換されることにより、このような低DCP濃度の耐油紙が実現できたものと推測される。
酸化デンプン(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)水溶液85部、および、分散剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する脂肪酸(商品名:PT8107、星光PMC株式会社製)15部を混合し、水酸化ナトリウムを脂肪酸に対して3.5%添加した後、溶液の温度を80℃に保って加熱撹拌し、塗工液を調製した。酸化デンプン水溶液の濃度は18%である。
この紙基材を用いて、ロッドメタリングサイズプレスコーター(ロッドメタリングサイザー)にて、一方の面に塗工液を形成量が4g/m2となるように塗工し、乾燥させた。以上の工程を経ることによって、片面に塗工層を有する耐油紙を得た。この耐油紙の坪量は50g/m2であった。また、紙基材のステキヒトサイズ度は0秒以下であった。
実施例1の塗工液の調製において、加熱撹拌を70℃で行った以外は、実施例1と同様にして耐油紙を得た。
実施例1の塗工液の調製において、水酸化ナトリウムを脂肪酸に対して5.2%添加した以外は、実施例1と同様にして耐油紙を得た。
実施例1の塗工液の調製において、水酸化ナトリウムを脂肪酸に対して7.0%添加した以外は、実施例1と同様にして耐油紙を得た。
実施例1の塗工液の調製において、水酸化ナトリウムを脂肪酸に対して0.86%添加した以外は、実施例1と同様にして耐油紙を得た。
実施例1の塗工液の調製において、加熱撹拌処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして耐油紙を得た。
実施例1の塗工液の調製において、加熱撹拌を60℃で行った以外は、実施例1と同様にして耐油紙を得た。
実施例1の塗工液の調製において、水酸化ナトリウムを添加せず、加熱撹拌を行わなかった以外は、実施例1と同様にして耐油紙を得た。
実施例1の塗工液の調製において、分散剤としてグリセリン脂肪酸エステル系分散剤を含有する脂肪酸(商品名:サイズパインDL−FA20、荒川化学工業株式会社製)を使用した。結果、塗工液がゲル化し、塗工層を形成することが不可能になり、耐油紙を製造することができなかった。
ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析法(HS−GC/MS)により、耐油紙の加熱時に発生するDCP濃度を測定した。まず、耐油紙10×10cm2を半分にカットして蛇腹折りにし、カットした紙片の両方を容量20mmのHSバイアルに詰めて密栓した。このHSバイアルを100℃10分間加熱したときの揮発成分を測定し、耐油紙の質量に対して発生したDCPの質量を得た。
TAPPI UM−557法(キット法)により耐油紙の表面側の塗工面の耐油度を測定した。なお、本発明において耐油度は6級以上が好ましい。
Claims (6)
- 紙基材の少なくとも片面に塗工層を有する耐油紙であって、
前記塗工層が、デンプンおよびその誘導体から選ばれる少なくとも1種と、
エピクロロヒドリン変性脂肪酸およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する脂肪酸サイズ剤とを含有し、
100℃で10分間加熱した際に発生するガス中の1,3−ジクロロ−2−プロパノール濃度が0.6ppm以下であること
を特徴とする耐油紙。 - 前記脂肪酸サイズ剤が酢酸ナトリウムを含有することを特徴とする請求項1に記載の耐油紙。
- 紙基材の少なくとも片面に塗工層を有する耐油紙の製造方法であって、
前記製造方法は、
塗工液を製造する塗工液製造工程と、
前記塗工液を前記紙基材に塗工して前記塗工層を形成する塗工工程とを含み、
前記塗工液製造工程は、
デンプンおよびその誘導体から選ばれる少なくとも1種と、
エピクロロヒドリン変性脂肪酸およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する脂肪酸サイズ剤と、
塩基性物質とを混合すること
を特徴とする耐油紙の製造方法。 - 前記塗工液製造工程を、溶液の温度を60℃以上に保って行うことを特徴とする請求項3に記載の耐油紙の製造方法。
- 前記塩基性物質が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれか1項に記載の耐油紙の製造方法。
- 前記塩基性物質の含有量がエピクロロヒドリン変性脂肪酸100質量部に対して0.5〜10質量部であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の耐油紙の製造方法。
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