JP5835093B2 - 耐油紙および耐油紙の製造方法 - Google Patents
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すなわち、澱粉系樹脂を用いて工業的生産効率を確保して製造した耐油紙は所望の耐油性を発現させるのが困難であるというのが現状である。
また、特許文献6には耐油剤をエアーナイフコーターで単層のみ塗布する技術が開示されているが、エアーナイフコーターでの塗工の場合は、塗料濃度を比較的低く抑えなければならないため、乾燥負荷が増大し、生産効率が低下するため好ましくない。
(1)紙支持体の少なくとも片面に耐油剤層を形成した耐油紙であって、前記耐油剤層が疎水基を含有する澱粉とワックスを含有したものであり、かつJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した王研式透気度が2000秒以下である耐油紙。
本発明において、使用される澱粉は、疎水化処理の他、その他の変性を行ってもよい。例えば、カチオン化、リン酸架橋化、アジピン酸架橋化、デキストリン化、マルトデキストリン化、酸化、酸変性、その他酵素変性等を挙げることができる。また、これらの変性を2種類以上組み合わせて加工することもできる。
上記ワックスのなかでも、耐油剤層に含有させて耐油紙を製造した場合に高通気性が得られるためパラフィンワックス、カルボキシル基含有パラフィンワックスが好ましい。
また、これらのワックスを化工・変性させてもよく、さらに、上記ワックスを2種類以上組み合わせて使用することもできる。
ワックスの配合量が5質量部未満であると、通気性を向上させる効果が低く、好ましくない。配合量が120質量部を超えると、溶融したワックス成分がコーターのドライヤー内を汚染する原因となり好ましくない。また、生じさせたクラックの大きさが大きくなり過ぎ、耐油性が低下する原因となる。
融点が40℃よりも低いと、使用上、室温で溶融するおそれがあり、実用的に好ましくない。融点が120℃よりも高いと、澱粉との相溶性が悪化し、塗工時に均一な皮膜を作ることが困難となるため好ましくない。
また、フィルムやアルミ箔などの貼合用途では通気性が低下した紙では乾燥時にブリスターが生じるため、使用できない。王研式透気度のより好ましい範囲としては1500秒以下であり、極めて好ましくは1000秒以下である。
カナダ標準濾水度(CSF)が300mlである広葉樹晒化学パルプ(LBKP)スラリーに絶乾パルプ量100部当たり、抄紙用薬品としてロジンサイズ剤0.3部及び硫酸バンド1.0部、湿潤紙力剤0.35部となるように添加して紙料を調製した。その紙料を、長網抄紙機を用いて目標坪量が風乾で40g/m2となるよう抄造し、塗工用原紙1を得た。
カナダ標準濾水度(CSF)が400mlである広葉樹晒化学パルプ(LBKP)スラリーに絶乾パルプ量100部当たり、抄紙用薬品として澱粉0.8部、アルキルケテンダイマー0.03部及び硫酸バンド1.5部、脂肪酸アミド系嵩高剤0.6部となるように添加して紙料を調製した。その紙料を、長網抄紙機を用いて目標坪量が風乾で71g/m2となるよう抄造し、塗工用原紙2を得た。
スチレン−アクリル系ポリマーを配合された酸化トウモロコシ澱粉(商品名:「GRS−T110」、王子コーンスターチ社製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「ダイジットS−8」、互応化学工業社製、固形分濃度28%)を10部添加し、濃度10%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が5.2g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
スチレン−アクリル系ポリマーを配合された酸化トウモロコシ澱粉(商品名:「GRS−T110」、王子コーンスターチ社製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を50部添加し、濃度10%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が4.5g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
スチレン−アクリル系ポリマーを配合された酸化トウモロコシ澱粉(商品名:「GRS−T110」、王子コーンスターチ社製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を100部添加し、濃度10%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が5.1g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「ダイジットS−8」、互応化学工業社製、固形分濃度28%)を20部添加し、濃度15%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が5.2g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を120部添加し、濃度10%に調整することで、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が5.2g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を50部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が5.1g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、SBRラテックス(商品名:「X300B」、JSR社製、固形分濃度48%)を100部及びパラフィンワックス(商品名:「ダイジットS−8」、互応化学工業社製、固形分濃度28%)を80部添加し、濃度22%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が5.2g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、SBRラテックス(商品名:「X300B」、JSR社製、固形分濃度48%)を100部及びパラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を150部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が7.0g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、SBRラテックス(商品名:「X300B」、JSR社製、固形分濃度48%)を100部及びパラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を80部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が5.1g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
オクテニルコハク酸エステル化されたコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE370」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を100部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が5.1g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
ヒドロキシプロピルエーテル化されたワキシーコーンスターチ(商品名:「PENONPKW」、日澱化学社製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を50部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にツーロール方式のサイズプレスコーターにて固形分の塗工量が5.1g/m2になるように塗布、乾燥して本発明の耐油紙を得た。
実施例1の耐油剤層用塗液をスチレン−アクリル系ポリマーを配合された酸化コーンスターチ(商品名:「GRS−T110」、王子コーンスターチ社製)を濃度10%に調製し、固形分の塗工量が2.6g/m2になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で耐油紙を得た。
実施例1の耐油剤層用塗液をオクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)を濃度10%に調製し、固形分の塗工量が3.6g/m2になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で耐油紙を得た。
実施例1の耐油剤層用塗液をリン酸エステル化変性コーンスターチ(商品名:「PN700S」、三和澱粉社製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「サイズパイン W116H」、荒川化学工業社製、固形分濃度30%)を50部添加し、濃度20%に調製したものとし、固形分の塗工量が5.2g/m2になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で耐油紙を得た。
実施例3の耐油剤層用塗液をオクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ澱粉(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)を濃度20%に調製したものとし、固形分の塗工量が5.1g/m2になるようにした以外は、実施例3と同様の方法で耐油紙を得た。
実施例3の耐油剤層用塗液をオクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ澱粉(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、SBRラテックス(商品名:「X300B」、JSR社製、固形分濃度48%)を100部添加し、濃度20%に調製したものとし、固形分の塗工量が5.1g/m2になるようにした以外は、実施例3と同様の方法で耐油紙を得た。
実施例1の耐油剤層用塗液をスチレン−アクリル系ポリマーを配合された酸化コーンスターチ(商品名:「GRS−T110」、王子コーンスターチ社製)100部に対し、アクリルエマルション(商品名:「PDX7326」、BASF社製、固形分濃度39%)を100部添加し、濃度12%に調製したものとし、固形分の塗工量が5.1g/m2になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で耐油紙を得た。
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「ダイジットS−8」、互応化学工業社製、固形分濃度28%)を150部添加し、濃度22%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙2にバーコーターにて固形分の塗工量が10.4g/m2になるように塗布、乾燥して耐油紙を得た。
実施例1の耐油剤層用塗液をSBRラテックス(商品名:「X300B」、JSR社製)固形分濃度48%を100部に対し、パラフィンワックス(商品名:「ダイジットS−8」、互応化学工業社製、固形分濃度48%)を80部添加し、濃度15%に調製したものとし、固形分の塗工量が2.3g/m2になるようにした以外は、実施例1と同様の方法で耐油紙を得た。
オクテニルコハク酸エステル化変性された酸化ワキシーコーンスターチ(商品名:「FILMKOTE85」、National Starch and Chemical Co.製)100部に対し、脂肪酸サイズ剤(商品名:「NS−815」、東邦化学社製、固形分濃度30%)を20部、ポリアミドアミン系の湿潤紙力増強剤(商品名:「WS4024」、星光PMC社製、固形分濃度25%)を5部添加し、濃度20%に調製し、耐油剤層用塗液を得た。この耐油剤層用塗液を塗工用原紙1にバーコーターにて固形分の塗工量が3.0g/m2になるように塗布、乾燥して耐油紙を得た。
比較例9の耐油処理液の脂肪酸サイズ剤を添加せず、固形分の塗工量が3.3g/m2になるように塗工した以外は、比較例9と同様の方法で耐油紙を得た。
・耐油度の評価基準:TAPPI UM−557法(キット法)によって塗工面を測定した。耐油紙として使用可能なキット耐油度は4級以上であることが好ましい。
・高通気性の評価基準:JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に基づく王研式透気度を測定した。高通気性の耐油紙としては、2000秒以下であることが好ましい。
Claims (5)
- 紙支持体の少なくとも片面に耐油剤層を形成した耐油紙であって、前記耐油剤層が澱粉と、炭素数8〜24のアルキル(メタ)アクリレート基を有するスチレン−アクリル系樹脂と、ワックスとを含有したものであり、かつ前記耐油紙のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した王研式透気度が2000秒以下であり、
前記耐油剤層の固形分量が2.0〜10.0g/m 2 であることを特徴とする耐油紙。 - 紙支持体の少なくとも片面に耐油剤層を形成した耐油紙であって、前記耐油剤層がアルケニル無水コハク酸エステル澱粉またはヒドロキシアルキルエーテル澱粉と、ワックスとを含有したものであり、かつ前記耐油紙のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した王研式透気度が2000秒以下であり、
前記耐油剤層の固形分量が2.0〜10.0g/m 2 であることを特徴とする耐油紙。 - 前記紙支持体の坪量が、20〜150g/m 2 である請求項1または2に記載の耐油紙。
- 前記紙支持体を構成するパルプの叩解度が、JIS P 8121−1995に規定されるカナダ標準濾水度試験方法で200〜500mlである請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐油紙。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐油紙の製造方法であって、耐油剤層を、サイズプレスコーティングまたはバーコーティングで形成することを特徴とする耐油紙の製造方法。
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