JP4357893B2 - 紙用表面処理剤 - Google Patents

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Description

本発明は、製紙工程及び紙加工工程等において使用される表面処理剤に関する。さらに詳しくは、個々の紙に耐油性及び適度な耐水性を付与することのできる、澱粉誘導体を使用した表面処理剤に関する。特に、洋紙、板紙等にサイズプレスを行う工程で好適に使用できるものである。
従来、食品分野、特にファーストフード関係の分野において、製品包装材として紙ベースのものが多く使用されている。当該分野においては油を含んだ食品が多いことから、耐油性を有しない紙を使用すると、経時的に食品に含まれる油分が紙に浸透し、包装の外側に染み出してくるという問題が発生する。そのため、耐油剤と称される表面処理剤を紙表面に0.1〜0.5g/m2で塗布し、油の浸透を防止することが行われてきた。
耐油性付与を目的とした紙用表面処理剤としては、ふっ素系のエマルジョン型塗工剤が一般的に使用されている。しかし、近年の地球環境への影響の観点からふっ素系薬品は直接、あるいは間接的に、大気中のオゾン層破壊を引き起こす原因となりかねない懸念がある。また、ふっ素系薬品を製造する工程において発ガン性の問題も指摘されており、環境及び人体により優しい表面処理剤が必要とされつつある。
そして、ふっ素系薬品を使用しないで耐油性を紙表面に付与する塗工剤(表面処理剤)として、例えば、特許文献1〜3が存在する。
特許文献1には、ジカルボン酸澱粉エステルをベースとして使用する紙のサイズ剤が、特許文献2には、原紙にクレーコート層を作り、その上に耐油層を形成した耐油紙が、特許文献3には、疎水性に化工された澱粉(アルキルジカルボン酸澱粉エステル=オクテニルコハク酸澱粉エステル等)を原紙に塗布した耐油紙が、それぞれ記載されている。
特開昭55−107598号公報 特開2002−38398公報 特開2002−69889公報
本発明は、上記にかんがみて、ふっ素系薬品を使用せずに耐油性・耐水性を紙表面に付与できる新規な紙用表面処理剤を提供することを課題(目的)とする。すなわち、環境に対して悪影響がなく、また、製造過程においても発ガン性などの問題を生じない紙用表面処理剤を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を下記構成により解決するものである。
下記要件を満たす片エステル化及び適宜ヒドロキシアルキル化された化工澱粉(以下「特定化工澱粉」という。)をベース(基材)とすることを特徴とする紙用表面処理剤。
(1)固形分濃度8%、50℃の糊液において、粘度約0.01〜4Pa・sである。
(2)片エステル化が、脂肪族ジカルボン酸炭素数2〜26で行なわれ、水酸基置換度(DS)約0.001〜0.1である。
(3)ヒドロキシアルキル化が、炭素数2〜3のアルキレンオキシド、炭素数1〜8の一価アルキルアルコールのグリシジルエーテル、又は炭素数2〜8の二価アルキルアルコールのモノ・ジグリシジルエーテルのいずれかで行なわれ、分子置換度(MS)0.1以下である。
上記要件を満たす特定化工澱粉を含む本発明の紙用表面処理剤は、後述の実施例で示す如く、紙基材に塗布したとき、優れた耐油性及び適度な耐水性を示すものである。
すなわち、本発明の紙用表面処理剤に使用する特定化工澱粉は、ベースとする澱粉誘導体(エーテル・エステル化澱粉)は、無水ジカルボン酸の片エステル基を導入し、さらには、ヒドロキシアルキル基をエーテル結合を介して導入させたものである。この様な反応をベース澱粉に対して行うことにより、従来では考えられなかった低温度(20〜30℃)において、化工澱粉粘液(澱粉糊)に耐老化増粘性を付与することができるようになった。ひいては澱粉糊の紙表面でのフィルム形成能を飛躍的に向上させうることが確認された。さらに、紙表面でのフィルム形成能が飛躍的に向上することにより、その塗膜が油に対する撥油効果と適度な耐水性を付与することが確認された
これらの理由は、ベース澱粉自身が持つ水酸基が耐油性を、無水ジカルボン酸の片エステルが適度な耐水性を、さらには、ヒドロキシアルキル基が高いフィルム形成能を発現させるためであると推定される。さらに、それらの変性を同一澱粉分子上に行うことで相乗効果を奏し、予想を越えた耐水・耐油性を紙に付与させうる化工澱粉になったと推定される。
上記構成において、更に、吸湿性鉱酸塩を被コート紙に対する糊液浸透性改善剤として添加することが望ましい。その吸湿性鉱酸塩の添加量は、望ましくは、特定化工澱粉100質量部に対して約0.01〜10質量部とする。
上記構成において、更に、地下澱粉を原料とする酢酸澱粉、ヒドロキシエチル・ヒドロキシプロピル澱粉及びリン酸澱粉の群から選択される1種又は2種以上の群から選択される1種又は2種以上の化工澱粉をレベリング剤として添加することが望ましい。その化工澱粉の添加量は特定化工澱粉100質量部に対して約100質量部以下とする。
上記各構成において、更に、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルジョン及びポリビニルアルコール(PVAL)の群から選択される樹脂成分を粘度調節剤とすることが望ましい。その樹脂成分の添加量は、特定化工澱粉100質量部に対して約35質量部以下とする。
上記各構成において、更に、平均粒径5μm以下の無機充填剤を印刷セット性改善剤として添加することが望ましい。その無機充填剤の添加量は、特定化工澱粉100質量部に対して約150質量部以下とする。
そして、本発明の耐油紙は、上記各構成の紙用表面処理剤の乾燥塗布量15g/m2以下の塗膜を被コート紙(基材)上に形成したものとなる。
そして、本発明の紙用表面処理剤に使用する化工澱粉の構成は、下記の如くになる。
下記要件を満たす片エステル化及びヒドロキシアルキル化されていることを特徴とする化工澱粉。
(1)固形分濃度8%、50℃の糊液において、粘度10〜4000cPs(1×10-2〜4Pa・s)である。
(2)片エステル化が、炭素数2〜26の脂肪族ジカルボン酸で行なわれ、水酸基置換度(DS)0.001〜0.1である。
(3)ヒドロキシアルキル化が、炭素数2〜3のアルキレンオキシド、炭素数1〜8の一価アルキルアルコールのグリシジルエーテル、又は炭素数2〜8の二価アルキルアルコールのモノ・ジグリシジルエーテルのいずれかで行なわれ、分子置換度(MS)0.1以下である。
そして、上記構成の化工澱粉の製造方法は、下記の如くに行うことが望ましい。
片エステル化及びヒドロキシアルキル化されていることを特徴とする化工澱粉を製造する方法であって、
澱粉を酸化処理又は酸処理して粘度0.01〜4Pa・sになるように低粘度化させた後、適宜、ヒドロキシアルキル基をエーテル結合で付加させ、更に、脂肪族ジカルボン酸無水物とエステル化反応させて製造することを特徴とする。
以下、本発明に係る紙用表面処理剤の実施の形態について説明する。なお、本明細書において、配合を表す「部」、「%」等は、特に断らない限り、質量単位であり、固形分基準とするものである。
本発明が適用可能な被コート紙は、紙、板紙を問わず、食品用及び工業用を問わない。
本発明の紙用表面処理剤の製造は、たとえば、澱粉を、(1)低粘度化工程、(2)ヒドロキシルアルキル化工程及び(3)片エステル化工程、を経て製造する。上記(2)ヒドロキシルアルキル化工程と(3)片エステル化工程とは逆にしてもよい。
以下、各工程について説明する。
(1)低粘度化工程:
澱粉を酸化剤又は酸により分解(酸化・酸処理)して低粘度化する工程である。表面処理剤のベースとする片エステル化/ヒドロキシアルキル澱粉(特定化工澱粉)の糊化を高濃度で行うためである。
原料澱粉としては、地下澱粉・地上澱粉に限定されるものではない。例えば、馬鈴薯、タピオカ、甘藷などの地下澱粉や、小麦、米、コーン、サゴなどの地上澱粉を好適に使用できる。これらのうちで、馬鈴薯、タピオカが、価格及びフィルム形成能の見地から、特に好ましい。
上記酸化剤としては、過マンガン酸カリウム、過酸化水素、次亜塩素酸ソーダなどを使用できるが、汎用の次亜塩素酸ソーダは好適に使用可能である。また、上記酸としては、硫酸、酢酸、塩酸、りん酸などの有機酸又は無機酸が使用可能である。
また、低粘度化される程度としては、特定化工澱粉の糊液粘度(固形分濃度8%、50℃)が、粘度:約0.01〜4Pa・s(約10〜4000cPs)(望ましくは、0.1〜1.0Pa・s)を示すものとする。糊液粘度が低すぎると、耐油性を被コート紙(基材)に付与できる塗膜を形成し難く、糊液粘度が高過ぎると、塗膜のレベリング性を確保し難くなる。
(2)ヒドロキシアルキル化工程:
ヒドロキシアルキル基をエーテル基(ポリエーテルを含む。)を介して低粘度化澱粉に導入するものである。
使用されるエーテル化剤としては、下記の例示のものを好適に使用できる。
・アルキレンオキシド(炭素数2〜3):即ち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、
・一価アルキルアルコール(炭素数1〜8、望ましくは1〜6)のグリシジルエーテル、
・二価アルキルアルコール(炭素数2〜8)のモノ又はジグリシジルエーテル:エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等。
このエーテル化のレベルは、分子置換度(MS)で約0.1、望ましくは約0.08以下、さらに望ましくは約0.05以下とする。紙の緊度(密度)が非常に高い場合は、このエーテル化は不要である。しかし、被コート紙の緊度が汎用の場合、必要であり、エーテル化の下限は、フィルム形成能(塗膜形成能)の見地から、約0.01以上とする。
分子置換度(MS)が高すぎると、短鎖置換基の比率が高い場合においては冷水に対して可溶化する傾向が強くなり、化工澱粉の水スラリー中からの回収が困難になって排水の負荷が大きくなる。また、長鎖置換基の比率が高い場合においては、澱粉の水スラリーを攪拌しながら加熱するクッキング操作において十分な糊化が行われないことから、表面処理剤の塗膜形成能(フィルム形成能)が十分でなく塗膜がマダラになるおそれがある。
(3)片エステル化工程:
ジカルボン酸無水物を使用した片エステル化によりカルボキシル基を低粘度化澱粉に導入することにより、耐水性及び耐油性を被コート紙(基材)に付与するものである。
上記ジカルボン酸無水物としては、コハク酸、マレイン酸若しくはこれらのα又はβ炭素の水素を炭素数1〜26のアルキル及び/又はアルケニルで置換した変性体の無水物を好適に使用することができる。
また、片エステル化のレベルは、水酸基置換度(DS)で約0.001〜0.5、望ましくは約0.005〜0.3とする。
ここで、DSが低すぎると、望ましい耐水性を付与することができず、逆に高過ぎると、ヒドロキシアルキル化の場合と同様、糊化が困難となる。
実際の製法に関しては後述の実施例にも記載したが、例えば、まず、固形分濃度が約35〜40質量%の原料澱粉スラリー中で、酸化剤、酸等で低粘度化を行う。その後、スラリーpHをアルカリサイドにしヒドロキシアルキル化を行う。最後に、ジカルボン酸無水物をエステル結合で澱粉に付加させて片エステル化を行う。反応して出来たエーテル・エステル化工澱粉の構造式としては、下記<化1〜4>のものの混合物と考えられるが、<化1>のものが主であるものが望ましい。
Figure 0004357893
Figure 0004357893
Figure 0004357893
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上記各構造式の澱粉糊液内での存在比率は、反応薬品の量及び反応方法によって異なる。
ここで、各構造式において、R1:Cn2n(n=2〜3)、R2:水素(H)又は炭素数1〜8の脂肪族モノアルコキシド、R3:C24又はC22、R4:水素(H)又は炭素数1〜26のアルキル又はアルケニル基である。また、Stは、澱粉残基であって、Xは、水素又はアルカリ金属である。
そして本発明の特定化工澱粉100部に対して、地下澱粉を原料とする酢酸澱粉、りん酸澱粉、ヒドロキシエチル澱粉及びヒドロキシプロピル澱粉から選択される1種又は2種以上の化工澱粉を約50部以下、望ましくは約30部を添加してもよい。表面処理剤の増粘を行うことができるため、表面処理される紙の緊度(目の粗さ)が低い薄紙の場合に、紙表面に澱粉の均一皮膜をより好適に形成することが可能となる。なお、当該化工澱粉の添加効果を発揮できる下限添加量は、約2部、望ましくは約5部とする。
上記地下澱粉としては、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉のうち、1種又は2種以上を好適に使用可能である。
さらに、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、PVAのうちから選択される1種又は2種以上の樹脂成分を、上記特定化工澱粉100部に対して固形分として約35部以下、望ましくは約30部以下添加してもよい。適度な粘度調整、耐水性付与等が可能となる。上記同様、表面処理剤の増粘を行うことができるため、表面処理される紙の緊度(目の粗さ)が低い薄紙の場合に、紙表面に澱粉の均一皮膜をより好適に形成することが可能となるからである。また、耐油性とともに必要とされる耐水性をより向上させることが可能となる。なお、当該樹脂成分の添加効果を発揮できる下限添加量は、約0.01部、望ましくは約0.1部とする。
また、吸湿性鉱酸塩を、特定化工澱粉100部に対して約0.01〜10部、望ましくは約0.05〜5部添加させてもよい。
吸湿性鉱酸塩の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等を好適に使用可能である。
特に板紙のように比較的厚い紙に対して表面処理を行う場合は、折り曲げ加工などの操作が行われることから、紙表面だけのフィルム形成では十分な耐油性は期待できない。吸湿性鉱酸塩を含有させることで、紙層内部への表面処理剤の浸透と、紙層内部での表面処理剤のフィルム形成能を向上させることができる。
なお、吸湿性鉱酸塩の含有は、表面処理される紙の緊度が非常に高い場合に、より効果的となる。
さらに、平均粒子径が約5μm以下、望ましくは約3μm以下の極性樹脂用の無機充填剤を、特定化工澱粉100重量部に対して約20〜150部、望ましくは約30〜100部添加してもよい。
上記無機充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、カオリン、酸化チタンなどの無機化合物又は金属酸化物を好適に使用できる。特に、インクなどのセット性を向上させる面とコストの面から、炭酸カルシウム・カオリン・タルクが好適に用いられる。
上記無機充填剤を添加しない場合、塗工紙(表面処理剤塗布紙)に印刷を施す上で、印刷インク(オフセット・グラビア・フレキソインキなど)のセット性が、澱粉の塗布量を増加させるにつれて劣る可能性がある。なお、無機物の平均粒子径が大きすぎると、塗膜レベリング性(平滑性)が低下するおそれがある。
そして、上記構成の紙用表面処理剤は、通常、乾燥塗布量、約0.1〜15g/m2、望ましくは約1〜10g/m2となるように被コート紙(基材)に塗布することで、適度な耐油性と耐水性を有する耐油紙を得ることがでる。
ここで、塗布方法としては、サイズプレス、エアーナイフコータ、ゲートロールコータ、コンマコータ等をあげることができる。
本発明の紙用表面処理剤を塗布する紙に関しては、耐油性を必要とする条件で使用されるものであればよく、材質、厚み、大きさ等は特に制限されない。なお、紙の製造工程に於いて、ポリアクリルアマイド・各種ワックス類を予め内添したり外添したりして、ベースの紙の湿潤物性(湿潤強度・吸水性など)を最終用途に向けて必要なレベルまで上げておくことも可能である。
本発明の表面処理剤を塗布(塗工)することにより表面処理(耐油処理)を施した紙の用途としては、食品包装に使用される紙、袋、箱、カップ、ペットフードの袋など、湿潤状態或いは乾燥状態に関わらず、油を含む食品の容器包装に好適に使用可能である。さらには、非食品接触用途で製品化の際に油を使用する用途に使用される紙など、あらゆる分野での使用が可能である。
以下に、本発明の効果を確認するために行った実施例・比較例及びそれらの応用例について説明をする。なお、各実施例における薬剤の添加量は、何れも対特定澱粉100部に対するものである。
<実施例1>
35%のコーンスターチスラリーを温度40℃に加温し、炭酸ソーダ(Na2CO3)を加えてpH8.0〜9.0に保つ。ここに、次亜塩素酸ソーダ水溶液(酸化剤)を、有効塩素が対澱粉5%になるように添加し酸化反応を行う。その後、pH10にて16時間エチレンオキシド(エーテル化剤)を対澱粉2%添加してヒドロキシアルキル化を行う。引き続いて、pH8.5〜9.0に調節して、オクテニルコハク酸無水物(ジカルボン酸無水物)を対澱粉2.5%の比率で片エステル化反応させる。反応完了後、硫酸にて中和し、脱水乾燥させて、ヒドロキシエチルエーテル化オクテニルコハク酸変性コーンスターチを調製した。
この特定化工澱粉糊液を固形分濃度8%となるように温水で希釈して50℃の表面処理剤(糊液)を調製した。その糊液粘度は5.6×10-2Pa・sであった。
<実施例2>
ベース澱粉として、コーンスターチの代わりにタピオカ澱粉を使用した以外は実施例1に準じた操作を行い、ヒドロキシエチルエーテル化オクテニルコハク酸変性タピオカスターチを調製した。
この特定化工澱粉を実施例1と同様にして表面処理剤(糊液)とした。その糊液粘度は、0.15Pa・sであった。
<実施例3>
エーテル化剤として、エチレンオキシドの代わりにプロピレンオキシドを使用した以外は実施例1に準じた操作を行い、ヒドロキシプロピルエーテル化オクテニルコハク酸変性コーンスターチを調製した。
この特定化工澱粉を実施例1と同様にして表面処理剤(糊液)とした。その糊液粘度は、0.94Pa・sであった。
<実施例4>
エステル化剤として、無水オクテニルコハク酸の代わりに無水ドデセニルコハク酸を使用した以外は実施例1に準じた操作を行い、ヒドロキシエチルエーテル化ドデセニルコハク酸変性コーンスターチを調製した。
この特定化工澱粉を実施例1と同様にして表面処理剤(糊液)とした。この糊液粘度は、2.8Pa・sであった。
<実施例5>
エーテル化剤として、エチレンオキシドの代わりにn−プロピルモノグリシジルエーテルを使用する以外は実施例1に準じた操作を行い、エーテル・エステル化工澱粉を調製した。
この特定化工澱粉を実施例1と同様にして表面処理剤(糊液)とした。この糊液粘度は、3.5Pa・sであった。
<実施例6>
実施例1で調製した特定化工澱粉の糊液に、更にSBRラテックス(「SN−900」日本エーアンドエル社製)15部添加したものを表面処理剤とした。
<実施例7>
同じく、更にPVAL(「N−300」日本合成株式会社製)5部添加して、表面処理剤とした。
<実施例8>
同じく、更に炭酸カルシウム20部添加して、表面処理剤とした。
<実施例9>
実施例1で調製したヒドロキシエチルエーテル化オクテニルコハク酸変性コーンスターチ100部にヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を10部混合して実施例1と同様にして表面処理剤(糊液)とした。その糊液粘度は0.2Pa.sであった。
<実施例10−1・2・3・4>同じく、更に硫酸ナトリウム(吸湿性鉱酸塩)をそれぞれ0.1部、1部、5部、10部添加して、表面処理剤をそれぞれ調製した。
<比較例1>
コーンスターチ(アミロース含量35%)を水スラリー中で硫酸により低粘度化させ、これに無水オクテニルコハク酸(エステル化剤)を対澱粉3%添加反応させて、オクテニルコハク酸澱粉エステルを調製した(特開2002−69889公報に準拠)。
この化工澱粉を実施例1と同様にして表面処理剤(糊液)とした。その糊液粘度は、0.9Pa・sであった。

<物性評価1>
市販の上質紙、日本製紙株式会社「金王」米坪60gに、6g/m2(無水)になるように、実施例1〜9と比較例1の表面処理剤を塗布し、60℃で風乾後、105℃で1分間キュアリングしてサンプル耐油紙を調製した。
なお、塗布方法は、コーティングロッドNO.6(TAPPI)を使用してA4サイズの紙に塗布した(以下、同じ)。
測定項目は、平面耐油度、湿潤耐油度とした。
平面耐油度は、キット耐油度TAPPI・RC−338(3Mキット(JIS))法に準じて行った。
湿潤耐油度は、ガーレコブサイズテスターを用い、水との接触時間10秒間経過後乾燥した吸取紙にのせ、吸水していない水を除去後、直ちにキット耐油度を測定した(吸水度Cobb法(JIS)を採用した。)。
<物性評価2>
白ボール(350g/m2)の各裏面に、10g/m2(無水)となるように、実施例1〜9と比較例1の表面処理剤を塗布し、60℃で風乾後、105℃で1分間キュアリングしてサンプル耐油紙を調製した。
測定項目は、平面耐油度、罫線耐油度とした。
平面耐油度は、前述のキット耐油度TAPPI・RC−338に準じて行った。
罫線耐油度は、ピザカッターを用いて表面処理後の白ボール紙に罫線を入れ、罫線部分のKIT値を測定した。
それらの結果を示す表1・2より、本発明の実施例1〜9の表面処理剤は、比較例1の従来技術に対して明らかに優位なものであり、さらに、既存のフッ素系耐油剤(生産中止に向かっている)に比較しても同等の効果を示している。なお、参考までに、板紙の耐油性の目安は、キット耐油度で6級以上、また洗剤、包装用としては9級以上である。
Figure 0004357893
Figure 0004357893
<物性評価3>
物性評価1と同様にして、実施例10−1・2・3・4の表面処理剤を塗布し、サンプル耐油紙を調整した。
平面耐油度について、前述のキット耐油度TAPPI・RC−338に準じて測定した。
Figure 0004357893
結果を示す表3から、硫酸ナトリウム(吸湿性鉱酸塩)の添加が、耐油度向上に寄与することが分かる。

Claims (12)

  1. 下記要件を満たす片エステル化及びヒドロキシアルキル化された化工澱粉(以下「特定化工澱粉」という。)をベース(基材)とすることを特徴とする紙用表面処理剤。
    (1)固形分濃度8%、50℃の糊液において、粘度0.01〜4Pa・sである。
    (2)前記片エステル化が、炭素数2〜26の脂肪族ジカルボン酸で行なわれ、水酸基置換度(DS)0.001〜0.1である。
    (3)前記ヒドロキシアルキル化が、炭素数2〜3のアルキレンオキシド、炭素数1〜8の一価アルキルアルコールのグリシジルエーテル、又は炭素数2〜8の二価アルキルアルコールのモノ・ジグリシジルエーテルのいずれかで行なわれ、分子置換度(MS)0.1以下である。
  2. さらに、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムの群から選択される吸湿性鉱酸塩が被コート紙に対する浸透性改善剤として添加されていることを特徴とする請求項1記載の紙用表面処理剤。
  3. さらに、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムの群から選択される吸湿性鉱酸塩が特定化工澱粉100質量部に対して0.01〜10質量部添加されていることを特徴とする請求項1記載の紙用表面処理剤。
  4. さらに、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉及び甘藷澱粉の群から選択される地下澱粉を原料とする酢酸澱粉、ヒドロキシエチル・ヒドロキシプロピル澱粉及びリン酸澱粉の群から選択される1種又は2種以上の化工澱粉がレベリング剤として添加されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の紙用表面処理剤。
  5. さらに、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉及び甘藷澱粉の群から選択される地下澱粉を原料とする酢酸澱粉、ヒドロキシエチル・ヒドロキシプロピル澱粉及びリン酸澱粉の群から選択される1種又は2種以上の化工澱粉が前記特定化工澱粉100質量部に対して100質量部以下添加されていることを特徴とする請求項1又は3記載の紙用表面処理剤。
  6. さらに、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルション及びポリビニルアルコール(PVAL)の群から選択される樹脂成分が粘度調節剤として添加されていることを特徴とする請求項1、2又は4記載の紙用表面処理剤。
  7. さらに、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルション及びポリビニルアルコール(PVAL)の群から選択される樹脂成分が前記特定化工澱粉100質量部に対して35質量部以下添加されていることを特徴とする請求項1、3又は5記載の紙用表面処理剤。
  8. さらに、平均粒径5μm以下の、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、カオリン及び酸化チタンの群から選択される無機充填剤が印刷セット性改善剤として添加されていることを特徴とする請求項1、2、4又は6記載の紙用表面処理剤。
  9. さらに、平均粒径5μm以下の、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、カオリン及び酸化チタンの群から選択される無機充填剤が前記特定化工澱粉100質量部に対して150質量部以下添加されていることを特徴とする請求項1、3、5又は7記載の紙用表面処理剤。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の紙用表面処理剤の塗膜が乾燥塗布量15g/m2以下で形成されていることを特徴とする耐油紙。
  11. 下記要件を満たす片エステル化及びヒドロキシアルキル化されていることを特徴とする化工澱粉。
    (1)固形分濃度8%、50℃の糊液において、粘度0.01〜4Pa・sである。
    (2)前記片エステル化が、炭素数2〜26の脂肪族ジカルボン酸で行なわれ、水酸基置換度(DS)0.001〜0.1である。
    (3)前記ヒドロキシアルキル化が、炭素数2〜3のアルキレンオキシド、炭素数1〜8の一価アルキルアルコールのグリシジルエーテル、又は炭素数2〜8の二価アルキルアルコールのモノ・ジグリシジルエーテルのいずれかで行なわれ、分子置換度(MS)0.1以下である。
  12. 請求項11記載の片エステル化及びヒドロキシアルキル化されていることを特徴とする化工澱粉を製造する方法であって、
    澱粉を酸化処理又は酸処理して、粘度0.01〜4Pa・sになるように低粘度化させた後、ヒドロキシアルキル基をエーテル結合を介して導入し、さらに、脂肪族ジカルボン酸無水物と片エステル化反応させて製造することを特徴とする化工澱粉の製造方法。
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