以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
第1実施形態による部品実装装置100は、図1および図2に示すように、基台1と、基台1上に配置されX方向に基板110を搬送する基板搬送機構部2と、部品供給部3および4と、部品実装用のヘッドユニット5とを備えている。
基板搬送機構部2は、基板110の搬送方向(X方向)に延びる一対のコンベア2aを有している。一対のコンベア2aは、X1方向側から基板110を受け入れて所定の実装作業位置に搬送するとともに、実装作業後に、作業済みの基板110をX2方向側に搬出するように構成されている。
部品供給部3は、基板搬送機構部2の後方側(Y1方向側)に配置されているとともに、部品供給部4は、基板搬送機構部2の前方側(Y2方向側)に配置されている。部品供給部3には、基板搬送機構部2に沿ってX方向に並ぶ複数のテープフィーダ3aが配置されている。これらのテープフィーダ3aには、IC、トランジスタおよびコンデンサ等の小片状のチップ部品が収納されている。そして、部品供給部3は、間欠的にテープを繰り出しながらチップ部品を基板搬送機構部2近傍の所定の部品供給位置に供給するように構成されている。
部品供給部4には、X方向に所定の間隔を隔てて2つのトレイ4aおよび4bが配置されている。各トレイ4aおよび4bには、ヘッドユニット5による取り出しが可能となるように、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)等のパッケージ型の部品が整列して載置される。
ヘッドユニット5は、後述するノズル20を介して部品供給部3および4から供給される部品120(図3および図4参照)を吸着して基板110に実装する機能を有している。なお、ヘッドユニット5は、本発明の「ヘッド部」の一例である。ヘッドユニット5は、基板110の搬送方向(X方向)および前後方向(Y方向)に移動可能に構成されている。具体的には、ヘッドユニット5は、X方向に延びるユニット支持部材6によりX方向に移動可能に支持されている。また、ヘッドユニット5は、X軸サーボモータ7aによりボールねじ軸7bが回動されることによってX方向に移動される。ユニット支持部材6は、Y方向に延びる一対の固定レール1bを介して、一対の高架フレーム1aによりY方向に移動可能に支持されている。ユニット支持部材6は、Y軸サーボモータ8aによりボールねじ軸8bが回動されることによってY方向に移動される。
また、ヘッドユニット5は、部品吸着用の複数のノズル20が取り付けられる複数の実装ヘッド51を備えている。複数の実装ヘッド51は、昇降(Z方向の移動)可能であるとともに、ノズル20の中心を通る鉛直軸線を回動中心としてR方向に回動可能に構成されている。実装ヘッド51は、6個設けられており、3個ずつ前後の2列で配列されている。また、ノズル20は、各実装ヘッド51に1つずつ取り付けられており、実装ヘッド51と同様に、3個ずつ前後の2列で配列されている。すなわち、6個のノズル20は、図3および図4に示すように、3個ずつY方向にずれた状態で配置されている。また、前列の3個のノズル20aは、X方向に沿って配置されているとともに、後列の3個のノズル20bは、前側のノズル20に対して中心間距離で離間距離Dを隔てた状態でX方向に沿って配置されている。また、前後のノズル20は、千鳥状に配列されている。
ここで、部品実装装置100には、図1に示すように、ヘッドユニット5により吸着された部品120(図3および図4参照)を撮像する部品撮像ユニット9が設けられている。なお、部品撮像ユニット9は、本発明の「撮像部」の一例である。部品撮像ユニット9は、ヘッドユニット5により部品供給部3および4から取り出された部品120の保持状態を認識するために設けられている。また、部品撮像ユニット9は、基台1上に設けられており、平面視でトレイ4aおよび4bの間に配置されている。部品撮像ユニット9は、図3に示すように、ヘッドユニット5により吸着された部品120をその下方から撮像するように構成されている。詳細には、部品撮像ユニット9は、ヘッドユニット5が部品撮像ユニット9の上方をX方向に移動する間に部品120を撮像する。すなわち、ヘッドユニット5を部品撮像ユニット9に対して相対的に移動させながらヘッドユニット5に保持された部品120を部品撮像ユニット9により撮像する。
また、部品撮像ユニット9は、リニアセンサ、スリットおよびレンズ等を含むリニアカメラ91を用いており、このリニアカメラ91を収納するケース本体92と、ケース本体92に設けられた照明部93とを備えている。照明部93は、平面視で、ケース本体92に設けられたX方向に短くY方向に長いスリット状の導光窓92aのX方向両側にそれぞれLEDをY方向に複数列並べた平坦照明部93a、および導光窓92aの上方の外周傾斜部にLEDを全周に渡り並べた傾斜照明部93bを含む。照明部93から撮像用の照明光が部品に照射され、部品120からの反射光が導光窓92aを通過し、不図示のレンズ、および直線状のスリット91aを通過して撮像素子上に結像する。
部品実装装置100は、図5に示すように、その動作を統括的に制御する制御装置10をさらに備えている。制御装置10は、CPUからなる主制御部11と、記憶部12と、カメラ制御部13と、画像処理部14と、駆動制御部15とを含んでいる。なお、主制御部11は、本発明の「制御部」の一例である。
主制御部11は、記憶部12に記憶されている実装プログラムに従い、駆動制御部15を介して部品実装装置100の各駆動機構を総合的に制御する機能を有している。また、記憶部12には、実装部品の種類やサイズなどの情報を含む部品情報が格納されている。主制御部11は、記憶部12に格納された部品情報に基づいて実装部品に応じた制御を行う。画像処理部14は、リニアカメラ91からの画像データに所定の画像処理を施すものであり、主制御部11は、この処理画像に基づいて、ノズル20を介してヘッドユニット5により吸着された部品120の保持状態を認識する。
次に、図1、図3、図4、図6および図7を参照して、第1実施形態において、主制御部11の制御に基づいて実行される部品120の実装動作について説明する。まず、ヘッドユニット5が部品供給部3および4上に移動し、各ノズル20の下端に部品120が吸着される。部品吸着後、図3および図4に示すように、ヘッドユニット5が部品撮像ユニット9上をX1方向に通過する(スキャン動作する)ことによって、前後各列のノズル20の下端に吸着されている部品120が部品撮像ユニット9により撮像される。この際、撮像対象の部品120が部品撮像ユニット9上方に到達する直前のタイミングで部品撮像ユニット9の照明部93が点灯を開始し、部品120が部品撮像ユニット9の上方を通過するまで点灯を継続して、リニアカメラ91により撮像対象の部品120が撮像される。
また、部品実装装置100は、図6に示すように、Y方向において、部品撮像ユニット9の撮像中心(レンズ中心とスリットのY方向中央を結ぶ直線を言う)とX方向に並ぶ複数のノズル20の中心とを略一致させた状態で、ヘッドユニット5(図1参照)をX1方向にスキャン動作させながら部品120を撮像するカメラ中心撮像が可能である。カメラ中心撮像で前後2列の部品120を撮像するためには、前列のノズル20aに対応する部品120に対して前列ノズル中心(前列の各ノズル20a中心を結んだX方向の直線となる)を部品撮像ユニット9の撮像中心に、Y方向において略一致させた状態でのX1あるいはX2方向へのスキャン動作と、後列のノズル20bに対応する部品120に対して後列ノズル中心(後列の各ノズル20b中心を結んだX方向の直線となる)を部品撮像ユニット9の撮像中心に、Y方向において略一致させた状態でのX1あるいはX2方向へのスキャン動作との互いに別個の2回のスキャン動作(互いに異なるヘッドユニット5位置)による撮像が必要である。その一方、カメラ中心撮像の撮像結果を用いれば、後述のオフセット撮像に比べて、部品120をより精度よく認識することが可能である。
また、傾斜照明部93bからの照明光は、導光窓92aの中心(部品撮像ユニット9の撮像中心と一致するように導光窓92aが形成されている)の上方に向かうとともに、導光窓92aのX方向両側の平坦照明部93aからの照明光も導光窓92aのY方向における中央の上方に向かって照射される。これにより、導光窓92aの中央の上方で明るさが増すので、カメラ中心撮像において、導光窓92aの中心上方をX方向に通過する部品は、下方および下方斜めから全域にわたって略まんべんなく照明光を受けて、ノズル20中心を基準として部品120の正確な画像が得られる。
また、部品実装装置100は、図7に示すように、Y方向において、部品撮像ユニット9の撮像中心とノズル20の中心とを所定距離オフセットさせた状態で前後2列の部品120を共通の1回のスキャン動作中に撮像するオフセット撮像も可能である。また、第1実施形態では、オフセット撮像の際に、Y方向において、部品撮像ユニット9の撮像中心が前後のノズル20の中間位置(各列からD/2離間した位置)を通過するようにして前後2列の部品120が撮像される。
なお、Y方向において、部品撮像ユニット9の撮像中心と前列のノズル20aの中心とを所定距離オフセットさせた状態で前列の部品120をスキャン動作させながら(スキャン動作中に)撮像し、その後、部品撮像ユニット9の撮像中心と後列のノズル20bの中心とを所定距離オフセットさせた状態で後列の部品120をスキャン動作させながら(スキャン動作中に)撮像することも可能ではあるが、効率的ではない。この第1実施形態において、オフセット撮像とは、Y方向において、部品撮像ユニット9の撮像中心を前列ノズル中心と後列ノズル中心の中間に位置させることで、前列のノズル20aの中心を部品撮像ユニット9の撮像中心から所定距離オフセットさせるとともに、後列のノズル20bの中心を部品撮像ユニット9の撮像中心から所定距離オフセットさせて、共通の1回のスキャン動作中に撮像するものを言う。
ここで、第1実施形態では、主制御部11は、撮像対象の部品120に応じて、カメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える。詳細には、主制御部11は、記憶部12に格納された部品情報に含まれる実装部品の種類情報に基づいて、カメラ中心撮像およびオフセット撮像のいずれで撮像するかを判断する。この際、主制御部11は、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量(カメラ中心撮像により得られる部品120位置(XY方向位置および回転方向位置)に対して、オフセット撮像により得られる部品120位置(XY方向位置および回転方向位置)のずれ量を言う。)が大きくなる傾向が強い部品種(たとえば、メルフチップやボール状の部品など、外形形状が曲線状の部品)については、カメラ中心撮像を選択するとともに、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量が比較的小さい部品種(たとえば、エッジが立った部品)については、オフセット撮像を選択する。具体的には、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量が大きくなる傾向が強い部品種を、作業者が予め部品情報に登録することによって、部品撮像時に、主制御部11により、撮像対象の部品120に応じて、カメラ中心撮像とオフセット撮像とが自動的に切り替えられる。
なお、オフセット撮像においては、たとえば、導光窓91aの中心よりY2方向にオフセットした位置の上方をX方向に通過する前列の部品120は、オフセットした方向であるY2方向からは強い照明光で照らされ、反対側となるY1方向からは弱い照明光で照らされることになる。これによっても、部品認識ずれが生じ易くなっている。これは後列の部品120についても同様、オフセットした方向であるY1方向からは強い照明光で照らされ、反対側となるY2方向からは弱い照明光で照らされることになり、部品認識ずれが生じ易くなっている。
部品撮像ユニット9による部品120の撮像が終了すると、部品撮像ユニット9により撮像された各部品の撮像結果に基づいて部品120の吸着状態(実装ヘッド51に対する部品120のX方向、Y方向およびR方向の位置ずれや傾きの状態)や部品120の欠陥等が認識される。そして、撮像された部品120の中に不良部品や補正不可能な吸着状態のものがある場合には、当該部品が廃棄対象として登録された上で、廃棄対象以外の部品120が順次基板110上に実装される。この際、部品120の認識結果に基づいて、部品120が適切な位置に実装されるようにヘッドユニット5の位置および実装ヘッド51の回動角度等が補正される制御が実施される。このようにして実装動作の1回のサイクルが終了し、必要に応じてこの動作が繰り返される。
第1実施形態では、上記のように、カメラ中心撮像とオフセット撮像とを、撮像対象の部品120に応じて切り替える制御を行う主制御部11を設けることによって、撮像対象の部品120に応じて、カメラ中心撮像とオフセット撮像とを使い分けることができる。すなわち、ヘッドユニット5を部品供給部3または4の上方に位置させて前後列6つのノズル20にそれぞれ部品120を吸着させ、途中で部品撮像を経てヘッドユニット5を基板110の上方に移動する。そして、部品撮像によって得られる部品認識結果であるヘッドユニット5の各ノズル20に対する部品120の吸着位置ずれ量(ノズル20中心に対する部品120中心のXY方向位置ずれ量、および回転方向位置ずれ量)に基づき、ヘッドユニット5の位置や実装ヘッド51の回転方向位置を補正しつつ順次実装する。その後、部品供給部3または4の上方に戻る実装ターン(あるいは実装サイクルと言う)を、基板110に全ての部品120を実装するまで繰り返す。この実装ターン毎に、オフセット撮像では認識精度が大きく低下する部品120が含まれている場合にはカメラ中心撮像を行うとともに、前後列6つのノズル20にそれぞれ吸着される部品120の全てがオフセット撮像でも認識精度があまり低下しない部品120である場合には、その実装ターンにおいては、オフセット撮像を行う。
これにより、オフセット撮像でも認識精度があまり低下しない部品120だけを実装する実装ターンについては、オフセット撮像により短時間で部品120の撮像を行うことができるとともに、オフセット撮像では認識精度が大きく低下する部品120を含んで実装する実装ターンについては、カメラ中心撮像により部品120を撮像することができる。したがって、この部品実装装置100では、部品120の撮像時間(撮像動作のタクトタイム)の短縮を図りながら、部品120の認識精度が低下するのを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、図6〜図8を参照して、本発明の第2実施形態による部品実装装置100について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、部品120の撮像時に、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量に基づいて、カメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える制御を行う構成について説明する。
第2実施形態では、主制御部11は、撮像対象の部品120について、カメラ中心撮像の撮像結果およびオフセット撮像の撮像結果に基づいて、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量を算出するように構成されている。また、主制御部11は、算出した部品認識ずれ量に基づいて、撮像対象の部品120に応じてカメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える制御を行う。
次に、図6〜図8を参照して、本発明の第2実施形態による部品実装装置100の主制御部11により実行される部品認識時の処理について説明する。
まず、ステップS1において、主制御部11は、記憶部12からその実装ターンにおける部品情報を取得し、ステップS2において、部品情報に基づいて、オフセット撮像判定が未定か否かを判断する。オフセット撮像判定とは、オフセット撮像可能な部品120であるか否かについての判定であり、撮像対象の部品120が初めて使用される部品120の場合には、オフセット撮像判定は未定の状態である。
オフセット撮像判定が未定の部品(初めて使用される部品120)がその実装ターンの複数の部品の中に含まれる場合には、主制御部11は、ステップS3において、図6に示すように、カメラ中心撮像により2回スキャン動作を行って、前列のノズル20aに対応する部品120および後列のノズル20bに対応する部品120をそれぞれ撮像する制御を行う。なお、前列の部品120と後列の部品120とが共通の場合には、1回のスキャン動作で前列または後列のいずれか一方の部品120だけをカメラ中心撮像する。次に、主制御部11は、ステップS4において、図7に示すように、オフセット撮像により、部品撮像ユニット9の撮像中心が前後のノズル20の中間位置(各列からD/2離間した位置)を通過するようにして前後2列の部品120を1回のスキャン動作で撮像する制御を行う。
そして、主制御部11は、ステップS5において、部品120ごとに、カメラ中心撮像とオフセット撮像との差分からオフセット撮像の可否を判定する。具体的には、主制御部11は、部品120ごとに、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量(差分)を算出し、部品認識ずれ量と対象部品の許容部品認識ずれ量とを比較してオフセット撮像の可否を判断する。カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量が許容部品認識ずれ量以下の場合には、オフセット撮像が可能である(許可)と判定され、部品認識ずれ量が許容部品認識ずれ量よりも大きい場合には、オフセット撮像は不可であると判定される。
なお、許容部品認識ずれ量は、部品120の種類やサイズおよび実装位置などに基づいて、作業者により部品120ごとに予め設定されている許容実装位置ずれ量(実装位置ずれが許容される量)により、以下の通り求めることができる。
ノズル20に対して部品120が吸着された時に吸着位置ずれが発生する場合、この吸着位置ずれ量をE(XY方向のベクトル値‖e‖と、回転方向の値α(反時計方向を正とする)からなる量)、この部品120の認識におけるカメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量(撮像方法の違いによる検出吸着位置ずれ量の差)をG(同様XY方向のベクトル値‖g‖と、回転方向の値γ(反時計方向を正とする)からなる量)とする時、カメラ中心撮像により検出される検出吸着位置ずれ量はほぼ実際の吸着位置ずれ量Eと等しくなる。このため、オフセット撮像により検出される検出吸着位置ずれ量F(同様XY方向のベクトル値‖f‖と、回転方向の値β(反時計方向を正とする)からなる量)は、実際の吸着位置ずれ量Eに部品認識ずれ量Gを加えたものとなる。実装時の実装ヘッド51の位置補正は、オフセット撮像による検出吸着位置ずれ量Fを解消するように実施される。この位置補正量は−Fであり、−E−Gと等しくなる。位置補正は、実際の吸着位置ずれ量Eに対してこれを解消するように、−Eだけ実施すれば目標実装位置に正しく部品120を実装できるが、その位置に対して−Gだけ、実装位置ずれが発生してしまう。部品120が実装される実装位置毎に、許容実装位置ずれ量Hが決められており、|−G|=<Hであれば、実装上問題がないことになる。すなわち、許容部品認識ずれ量は、許容実装位置ずれ量Hと等しいとすることができる。
たとえば、オフセット撮像による検出吸着位置ずれ量Fが、Y1方向に0.02mm、X1方向に0、01mm、時計回り方向に10分である場合、実装ヘッド51の位置は、実装データにおける目標位置に対してY2方向に0.02mm、X2方向に0、01mm、反時計回り方向に10分だけ位置補正が行われる。この場合、部品認識ずれ量Gが、Y1方向に0.01mm、X1方向に0、01mm、時計回り方向に5分である場合、実際の吸着位置ずれ量Aは、Y1方向に0.01mm、X方向に0、時計回り方向に5分となるので、位置補正後の部品120は目標実装位置より、Y2方向に0.01mm、X2方向に0、01mm、反時計回り方向に5分だけ実装位置ずれが発生する。しかし、許容実装位置ずれ量Hが半径方向に0.0141mm、回転方向に+−5分であれば、実装不良とはならない。
主制御部11は、ステップS6において、オフセット撮像についての判定結果(該当部品について、カメラ中心撮像をしなければならないか、オフセット撮像でもOKかの判定結果)を記憶部12に記憶させるとともに、ステップS10において、ステップS3およびS4での撮像結果に基づく部品120の吸着状態に関する認識結果(カメラ中心撮像により検出される検出吸着位置ずれ量(ほぼE)と、オフセット撮像により検出される検出吸着位置ずれ量F)を記憶部12に記憶させる。
一方、オフセット撮像判定が未定ではない場合(以前に使用された部品120の場合)には、主制御部11は、ステップS7において、撮像対象の6個の部品120のうち、カメラ中心撮像で撮像すべき部品120が存在するか否かを判断する。この際、ステップS6で記憶されたオフセット撮像の判定結果に基づいて、オフセット撮像が不可であると判定された部品120が存在する場合に、カメラ中心撮像で撮像すべき部品120が存在すると判断される。
そして、カメラ中心撮像で撮像すべき部品120が存在する場合には、主制御部11は、ステップS8において、図6に示すように、カメラ中心撮像により、前後2列の部品120をそれぞれ別個のスキャン動作(合計2回のスキャン動作)で撮像する制御を行う。また、カメラ中心撮像で撮像すべき部品120が存在しない場合(オフセット撮像が可能な部品120のみの場合)には、主制御部11は、ステップS9において、図7に示すように、部品撮像ユニット9の撮像中心を前後のノズル20の中間位置(各列からD/2離間した位置)に配置した状態で、オフセット撮像により、1回のスキャン動作で前後2列の部品120を撮像する制御を行う。その後、ステップS10において、ステップS8またはS9での撮像結果に基づく部品120の吸着状態に関する認識結果(カメラ中心撮像により検出される検出吸着位置ずれ量(ほぼE)と、オフセット撮像により検出される検出吸着位置ずれ量F)を記憶部12に記憶させる。
各実装ターンにおいて、部品認識後においては、記憶部12に記憶させた認識結果(検出吸着位置ずれ量)に基づき、実装時に実装位置(X方向Y方向位置、あるいは/および回転方向位置)が補正されるか、または、部品120の吸着状態が不良、すなわち、ノズル20に部品120が吸着されていないか、ノズル20に対し部品120が傾いて吸着されている場合には、その部品120は実装されず、再利用ボックスか廃棄用ボックスに投下される。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、上記のように、撮像対象の部品120について、カメラ中心撮像の撮像結果およびオフセット撮像の撮像結果に基づいて、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量を算出するとともに、算出された部品認識ずれ量に基づいて、撮像対象の部品120に応じてカメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える制御を行うように主制御部11を構成する。これにより、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量に基づいて、カメラ中心撮像およびオフセット撮像のいずれで撮像するかを容易に決定することができる。また、第2実施形態の構成でも、上記第1実施形態と同様に、撮像対象の部品120に応じて、カメラ中心撮像とオフセット撮像とを使い分けることができるので、部品120の撮像時間の短縮を図りながら、部品120の認識精度が低下するのを抑制することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第3実施形態による部品実装装置100について説明する。この第3実施形態では、上記第2実施形態と異なり、オフセット撮像の撮像結果を補正する構成について説明する。
第3実施形態では、主制御部11は、上記第2実施形態の部品認識時の処理でのステップS5(図8参照)において、部品120ごとに、カメラ中心撮像とオフセット撮像との差分からオフセット撮像の可否を判定することに加えて、オフセット撮像の補正係数を算出する。具体的には、撮像対象の部品120ごとに、ステップS4でのカメラ中心撮像と、ステップS4でのオフセット量を変化させた複数回のオフセット撮像とを行い、オフセット量ごとにオフセット撮像により検出される検出吸着位置ずれ量からカメラ中心撮像により検出される検出吸着位置ずれ量を差し引いた値である、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量を求めることで、図9に示すオフセット量と部品認識ずれ量との関係を示す関係グラフを求めることができる。この関係グラフは一次近似式(1)となる。たとえば、前列の部品120について、図9に示すように、ステップS3でのカメラ中心撮像の撮像結果(オフセット量が0(mm)の状態における撮像結果)と、ステップS4でのオフセット撮像の撮像結果(オフセット量がD/2(mm)の状態における撮像結果)とに基づいて、これら2点を通る直線を規定する一次近似式が算出される。
Y=A×X・・・・・(1)
ここで、Yは、部品認識ずれ量(mm)、Xは、オフセット量(mm)、Aは、一次近似式の傾きをそれぞれ表す。
上記式(1)のA(傾き)は、部品120ごとに異なる値であり、主制御部11は、上記式(1)のA(傾き)をその部品120の補正係数として取得する。そして、ステップS4のオフセット撮像におけるオフセット量と異なる所望のオフセット量でオフセット撮像した場合の部品認識ずれ量を、実際にオフセット撮像することなく、一次近似式から算出することができる。この算出された部品認識ずれ量を対象部品の許容部品認識ずれ量と比較して、その所望のオフセット量によるオフセット撮像の可否を判断する。カメラ中心撮像に対するその異なるオフセット量によるオフセット撮像の部品認識ずれ量が許容部品認識ずれ量以下の場合には、その所望のオフセット量によるオフセット撮像が可能である(許可)と判定され、部品認識ずれ量が許容部品認識ずれ量よりも大きい場合には、オフセット撮像は不可であると判定される。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
第3実施形態では、上記のように、撮像対象の部品120について、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量に基づいて、オフセット撮像時の部品認識ずれ補正値を算出するとともに、算出した部品認識ずれ補正値に基づいて、オフセット撮像の撮像結果を補正する制御を行うように主制御部11を構成する。これにより、オフセット撮像を行った場合でも、撮像結果を補正して認識精度が低下するのを抑制することができる。
また、第3実施形態の構成でも、上記第2実施形態と同様に、撮像対象の部品120に応じて、カメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替えることによって、部品120の撮像時間の短縮を図りながら、部品120の認識精度が低下するのを抑制することができる。
第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第4実施形態)
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第4実施形態による部品実装装置100について説明する。この第4実施形態では、上記第2実施形態と異なり、部品120ごとに算出される許容オフセット量に基づいて、撮像対象の部品120に応じてカメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える構成について説明する。
第4実施形態では、主制御部11は、撮像対象の部品120について、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量に基づいて、部品撮像ユニット9の撮像中心と対応するノズル20の中心とのY方向における許容オフセット量を算出するように構成されている。また、主制御部11は、算出した許容オフセット量に基づいて、撮像対象の部品120に応じてカメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える制御を行う。
次に、図10および図11を参照して、本発明の第4実施形態による部品実装装置100の主制御部11により実行される部品認識時の処理について説明する。なお、図8に示した上記第2実施形態の部品認識時の処理と同様の動作については、同じ符号を付してその説明を省略する。
主制御部11は、ステップS1で部品情報を取得した後、ステップS11において、部品情報に基づいて、許容オフセット量が算出されているか否かを判断する。許容オフセット量は、後述するように、撮像対象の部品120ごとに算出され、オフセット撮像する際に、その部品120に対応するノズル20の中心と撮像中心とのY方向における離間距離の許容値である。なお、許容オフセット量の情報は、部品情報に含まれている。
許容オフセット量が算出されていない場合(初めて使用される部品120の場合)には、主制御部11は、ステップS3およびS4において、それぞれ、カメラ中心撮像およびオフセット撮像を行った後、ステップS12において、部品120ごとに、カメラ中心撮像とオフセット撮像との差分(オフセット撮像により検出される検出吸着位置ずれ量からカメラ中心撮像により検出される検出吸着位置ずれ量を差し引いて求められる、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量)から許容オフセット量を算出する。上記したように、許容部品認識ずれ量は、部品120の種類やサイズおよび実装位置などに基づいて、作業者により部品120ごとに予め設定されている許容実装位置ずれ量と等しいとすることができる。この許容実装位置ずれ量に基づき、この初めて使用される部品120の許容部品認識ずれ量が決められ、一次近似式(1)から許容部品認識ずれ量に対応する許容オフセット量を算出する。たとえば、図9に示すように、原点を通る直線を規定する一次近似式(1)において、許容部品認識ずれ量(たとえば、0.025(mm))に対応する許容オフセット量(たとえば、10(mm))が算出される。そして、主制御部11は、ステップS13において、算出した許容オフセット量の情報を記憶部12に記憶させる。
一方、許容オフセット量が既に算出されている場合(以前に使用された部品120の場合)には、主制御部11は、ステップS14において、部品120ごとに算出された許容オフセット量に基づいて、オフセット撮像が可能か否かを判断する。具体的には、主制御部11は、前列のノズル20aに対応する3個の部品120の最小の許容オフセット量Aと、後列のノズル20bに対応する3個の部品120の最小の許容オフセット量Bとの和が前後の列の離間距離D(図7参照)よりも小さいか否かを判断する。許容オフセット量Aと許容オフセット量Bとの和が離間距離Dよりも小さい場合(A+B<D)には、主制御部11は、オフセット撮像は不可であると判断して、ステップS8において、図6に示すように、カメラ中心撮像により、前後2列の部品120をそれぞれ別個のスキャン動作(合計2回のスキャン動作)で撮像する制御を行う。なお、前列の3個のノズル20aは、本発明の「第1列ノズル群」の一例であり、後列の3個のノズル20bは、本発明の「第2列ノズル群」の一例である。また、許容オフセット量Aは、本発明の「第1許容オフセット量」の一例であり、許容オフセット量Bは、本発明の「第2許容オフセット量」の一例である。
許容オフセット量Aと許容オフセット量Bとの和が離間距離D以上の場合(A+B≧D)には、主制御部11は、オフセット撮像が可能であると判断して、ステップS15において、対応するオフセット位置でオフセット撮像する制御を行う。この際、主制御部11は、許容オフセット量Aおよび許容オフセット量Bのうちのオフセット量が小さい方の列のノズル20に対して、Y方向において部品撮像ユニット9の撮像中心を相対的に近づけた状態でオフセット撮像を行う。すなわち、上記第1〜第3実施形態とは異なり、オフセット撮像時に、前後の部品120の許容オフセット量に応じて、部品撮像ユニット9の撮像中心を前後のノズル20の中間位置(各列からD/2離間した位置)から許容オフセット量が小さい方の列側に近づける。
ここで、具体的な一例として、図11に示すように、前後の列の離間距離Dが30mm、前列の最小の許容オフセット量Aが20mm、後列の最小の許容オフセット量Bが12mmの場合について説明する。なお、図11では、各部品120の許容オフセット量をその部品120に対応させて図示している。部品撮像ユニット9の撮像中心のオフセット位置について、前後のノズル20の中間位置(各列から15mm離間した位置)を基準位置として、後列側(Y1方向側)を正、前列側(Y2方向側)を負とした場合、前列の部品120については、オフセット位置が、−35mm(−15mm−20mm)以上5mm(−15mm+20mm)以下の範囲でオフセット撮像が可能である。また、後列の部品120については、オフセット位置が、3mm(15mm−12mm)以上27mm(15mm+12mm)以下の範囲でオフセット撮像が可能である。この場合、前後の列の部品120についてオフセット撮像が可能な重複範囲は、3mm以上5mm以下となり、主制御部11は、この重複範囲の中間位置である4mmを、オフセット撮像する際のオフセット位置として決定する。すなわち、図11に示す例では、主制御部11は、部品撮像ユニット9の撮像中心を、基準位置(各列から15mm離間した位置)から後列側に4mm近づけた(ずらした)状態でオフセット撮像を行う。
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
第4実施形態では、上記のように、撮像対象の部品120について、カメラ中心撮像に対するオフセット撮像の部品認識ずれ量に基づいて、部品撮像ユニット9の撮像中心とノズル20の中心とのY方向における許容オフセット量を算出するとともに、算出した許容オフセット量に基づいて、撮像対象の部品120に応じてカメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える制御を行うように主制御部11を構成する。これにより、許容オフセット量に基づいて、オフセット撮像が可能なオフセット位置を容易に判断することができるので、カメラ中心撮像およびオフセット撮像のいずれで撮像するかをより容易に決定することができる。
また、第4実施形態では、上記のように、前列の3個のノズル20aに対応する部品120の最小の許容オフセット量Aと、後列の3個のノズル20bに対応する部品120の最小の許容オフセット量Bとの和が前後の列の離間距離Dよりも小さい場合には、前後の列の部品120について、それぞれカメラ中心撮像により撮像する制御を行うように主制御部11を構成する。これにより、前後の列の部品120が、許容オフセット量を超えるオフセット位置で撮像されてしまうのを抑制することができるので、部品120の認識精度が大きく低下するのを抑制することができる。
また、第4実施形態では、上記のように、許容オフセット量Aと許容オフセット量Bとの和が離間距離D以上の場合には、許容オフセット量Aおよび許容オフセット量Bのうちのオフセット量が小さい方の列の部品120に対して、部品撮像ユニット9の撮像中心をY方向に相対的に近づけた状態でオフセット撮像する制御を行うように主制御部11を構成する。これにより、前列と後列との中間位置に撮像中心を配置させた状態ではオフセット撮像ができない許容オフセット量の部品120であっても、許容オフセット量が小さい側に撮像中心を近づけて許容オフセット量Aおよび許容オフセット量Bの両方を満たすオフセット位置でオフセット撮像を行うことができる。
また、第4実施形態の構成でも、上記第2実施形態と同様に、撮像対象の部品120に応じて、カメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替えることによって、部品120の撮像時間の短縮を図りながら、部品120の認識精度が低下するのを抑制することができる。
第4実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第5実施形態)
次に、図12および図13を参照して、本発明の第5実施形態による部品実装装置100について説明する。この第5実施形態では、上記第4実施形態と異なり、ノズル20が3列で配列された構成について説明する。
第5実施形態では、図12に示すように、ヘッドユニット5(図1および図2参照)に9個のノズル20が取り付けられ、9個のノズル20は、前列、中列および後列の3列に3個ずつ配列されている。すなわち、9個のノズル20は、3個ずつY方向にずれた状態で配置されている。また、前列の3個のノズル20a、中列の3個のノズル20c、および、後列の3個のノズル20bは、互いにY方向に所定の離間距離(たとえば、15mm)を隔てて配置されている。また、前列、中列および後列のノズル20は、千鳥状に配列されている。
また、第5実施形態では、主制御部11は、上記第4実施形態と同様に、算出した許容オフセット量に基づいて、撮像対象の部品120に応じてカメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える制御を行うように構成されている。具体的には、主制御部11は、許容オフセット量に基づいて、9個の部品120全てを撮像するために必要な最小のスキャン動作回数を決定し、最小のスキャン動作回数になるようにカメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える。
次に、図12および図13を参照して、本発明の第5実施形態による部品実装装置100の主制御部11により実行される部品認識時の処理について説明する。なお、図10に示した上記第4実施形態の部品認識時の処理と同様の動作については、同じ符号を付してその説明を省略する。
主制御部11は、許容オフセット量が算出されていない場合(初めて使用される部品120の場合)には、ステップS21において、カメラ中心撮像およびオフセット撮像を行う。具体的には、主制御部11は、3列それぞれをカメラ中心撮像するとともに、自列以外の他の2列のカメラ中心撮像時の撮像結果をオフセット撮像の撮像結果として取得する。たとえば、前列のノズル20aに対応する部品120について、中列のカメラ中心撮像時の撮像結果をオフセット撮像の撮像結果として取得する。なお、後列のカメラ中心撮像時、前列のノズル20aは、一部がカメラ撮像領域からはみ出てしまう場合があり、後列のカメラ中心撮像時の撮像結果を、前列のノズル20aに対応する部品120についてのオフセット撮像の撮像結果とはしない。同様に、後列のノズル20bに対応する部品120について、中列のカメラ中心撮像時の撮像結果をオフセット撮像の撮像結果として取得し、中列のノズル20cに対応する部品120については、前列のカメラ中心撮像時の撮像結果と、後列のカメラ中心撮像時の撮像結果とを、それぞれオフセット撮像の撮像結果として取得する。その後、主制御部11は、ステップS12およびS13において、部品120ごとに、許容オフセット量を算出して、算出した許容オフセット量の情報を記憶部12に記憶させる。
一方、許容オフセット量が既に算出されている場合(以前に使用された部品120の場合)には、主制御部11は、ステップS22において、9個の部品120全てを1回のスキャン動作で撮像可能か否かを判断する。具体的には、主制御部11は、前列のノズル20aに対応する3個の部品120の最小の許容オフセット量Aと、後列のノズル20bに対応する3個の部品120の最小の許容オフセット量Bと、中列のノズル20cに対応する3個の部品120の最小の許容オフセット量Cとに基づいて、1回のスキャン動作で撮像可能か否かを判断する。主制御部11は、各列について、オフセット撮像が可能なオフセット位置の範囲を算出し、それぞれの範囲が互いに重複する場合(3つの列の重複範囲が存在する場合)には、1回のスキャン動作で撮像可能であると判断する。
ここで、具体的な一例として、図12に示すように、隣接する列間の離間距離が15mm、前列の最小の許容オフセット量Aが20mm、後列の最小の許容オフセット量Bが5mm、中列の最小の許容オフセット量Cが10mmの場合について説明する。なお、図12では、各部品120の許容オフセット量をその部品120に対応させて図示している。
部品撮像ユニット9の撮像中心のオフセット位置について、中列のノズル20cの中心を基準位置として、後列側(Y1方向側)を正、前列側(Y2方向側)を負とした場合、前列の部品120については、オフセット位置が、−35mm(−15mm−20mm)以上5mm(−15mm+20mm)以下の範囲でオフセット撮像が可能である。また、後列の部品120については、オフセット位置が、10mm(15mm−5mm)以上20mm(15mm+5mm)以下の範囲でオフセット撮像が可能であり、中列の部品120については、オフセット位置が、−10mm(0mm−10mm)以上10mm(0mm+10mm)以下の範囲でオフセット撮像が可能である。そして、主制御部11は、前列、後列および中列の3つの範囲が重複する範囲が存在しないため、1回のスキャン動作では撮像できない(不可)と判断する。
また、図12の例では、前列の許容オフセット量A(20mm)と、後列の許容オフセット量B(5mm)との和が、両列の離間距離(30mm)よりも小さい。この場合、後述するように、前列および後列のうちの少なくとも一方の部品120については、カメラ中心撮像により撮像される。なお、前列の3個のノズル20aは、本発明の「第1列ノズル群」の一例であり、後列の3個のノズル20bは、本発明の「第2列ノズル群」の一例である。また、許容オフセット量Aは、本発明の「第1許容オフセット量」の一例であり、許容オフセット量Bは、本発明の「第2許容オフセット量」の一例である。
一方、前列、後列および中列の3つの範囲が重複する場合には、主制御部11は、1回のスキャン動作で撮像可能であると判断して、ステップS23において、対応するオフセット位置において、1回のスキャン動作でオフセット撮像を行う。この際、主制御部11は、上記第4実施形態のステップS15の動作と同様に、3つの範囲が重複する重複範囲の中間位置をオフセット撮像する際のオフセット位置として決定する。
また、1回のスキャン動作では撮像できない場合には、主制御部11は、ステップS24において、2回のスキャン動作で撮像可能か否かを判断する。具体的には、主制御部11は、許容オフセット量A、許容オフセット量Bおよび許容オフセット量Cのうち、最も小さいものに対応する列以外の2列について、上記範囲が重複している場合には、2回のスキャン動作で撮像可能であると判断する。図12に示した例では、後列の許容オフセット量Bが5mmであり、最も小さいため、後列以外の前列および中列の範囲が重複しているか否かを判断する。この場合、前列および中列の範囲が−10mm以上5mm以下の範囲で重複しているため、主制御部11は、2回のスキャン動作で撮像可能であると判断する。
2回のスキャン動作で撮像可能な場合には、主制御部11は、ステップS25において、許容オフセット量が最も小さいものに対応する列の部品120について、部品撮像ユニット9の撮像中心と対応するノズル20の中心とを略一致させた状態でカメラ中心撮像を行う。図12の例では、後列の部品120について、部品撮像ユニット9の撮像中心と後列のノズル20bの中心とを略一致させてカメラ中心撮像を行う。
次に、主制御部11は、ステップS26において、残り2列の部品120について、対応するオフセット位置でオフセット撮像する制御を行う。図12の例では、主制御部11は、前列および中列の重複範囲(−10mm以上5mm以下)の中間位置である−2.5mmを、オフセット撮像する際のオフセット位置として決定する。そして、主制御部11は、部品撮像ユニット9の撮像中心を、基準位置(中列のノズル20cの中心)から前列側に2.5mmオフセットした(ずらした)状態でオフセット撮像を行う。すなわち、1回のスキャン動作でオフセット撮像される前列および中列のうち、最小の許容オフセット量が小さい中列に対して、撮像中心が相対的に近づけられた状態でオフセット撮像が行われる。
また、2回のスキャン動作でも撮像できない(不可)と判断した場合には、主制御部11は、ステップS27において、カメラ中心撮像により、前列、後列および中列の3列の部品120をそれぞれ別個のスキャン動作(合計3回のスキャン動作)で撮像する制御を行う。
なお、第5実施形態のその他の構成は、上記第4実施形態と同様である。
また、第5実施形態の構成でも、上記第4実施形態と同様に、撮像対象の部品120に応じて、カメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替えることによって、部品120の撮像時間の短縮を図りながら、部品120の認識精度が低下するのを抑制することができる。
第5実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
(第6実施形態)
次に、図14および図15を参照して、本発明の第6実施形態による部品実装装置100について説明する。この第6実施形態では、上記第5実施形態と異なり、複数のノズル20が円形状に配列されるロータリヘッド52a〜52cを備える構成について説明する。
第6実施形態では、図14に示すように、3つのロータリヘッド52a、52bおよび52cに、それぞれ、円形状に等間隔で8個のノズル20が取り付けられており、8個のノズル20は、Y方向にずれた状態で配置されている。また、3つのロータリヘッド52a〜52cは、互いに独立して、鉛直軸線を回動中心としてR方向に回動可能に構成されている。
また、第6実施形態では、主制御部11は、上記第5実施形態と同様に、算出した許容オフセット量に基づいて、撮像対象の部品120に応じてカメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える制御を行うように構成されている。具体的には、主制御部11は、許容オフセット量に基づいて、3つのロータリヘッド52a〜52cの合計24個の部品120全てを撮像するために必要な最小のスキャン動作回数を決定し、最小のスキャン動作回数になるようにカメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替える。この際、主制御部11は、最小のスキャン動作回数となるように、スキャン動作ごとに、3つのロータリヘッド52a〜52cそれぞれのR方向の回動角度を決定する。
次に、図14および図15を参照して、本発明の第6実施形態による部品実装装置100の主制御部11により実行される部品認識時の処理について説明する。なお、図13に示した上記第5実施形態の部品認識時の処理と同様の動作については、同じ符号を付してその説明を省略する。
主制御部11は、許容オフセット量が算出されていない場合(初めて使用される部品120の場合)には、ステップS31において、カメラ中心撮像およびオフセット撮像を行う。具体的には、主制御部11は、図14に示すように、3つのロータリヘッド52a〜52cの6個のノズル20に対応する6個の部品120をX方向に1列に配置させた状態で、1回のスキャン動作で上記6個の部品120についてカメラ中心撮像を行う。その後、各ロータリヘッドを45度回動させて、上記同様に、3つのロータリヘッド52a〜52cの6個のノズル20に対応する部品120についてカメラ中心撮像を行う。これを4回繰り返して、3つのロータリヘッド52a〜52cの24個全ての部品120について、カメラ中心撮像の撮像結果を取得する。また、主制御部11は、各部品120について、他の部品120のカメラ中心撮像時の撮像結果をオフセット撮像の撮像結果として取得する。その後、主制御部11は、ステップS12およびS13において、部品120ごとに、許容オフセット量を算出して、算出した許容オフセット量の情報を記憶部12に記憶させる。
一方、許容オフセット量が既に算出されている場合(以前に使用された部品120の場合)には、主制御部11は、ステップS32において、24個全ての部品120を撮像するのに必要な最小のスキャン動作回数Nを算出する。また、主制御部11は、最小のスキャン動作回数Nになるように、スキャン動作ごとに、部品撮像ユニット9の撮像中心のオフセット位置と、3つのロータリヘッド52a〜52cそれぞれのR方向の回動角度とを算出する。これらが算出されると、主制御部11は、ステップS33において、回数Xを1回目と設定し、ステップS34において、算出された最小のスキャン動作回数Nを回数Xが超えた(X>N)か否かを判断する。
回数Xが最小のスキャン動作回数N以下(X≦N)の場合には、主制御部11は、ステップS35において、部品撮像ユニット9の撮像中心を算出されたオフセット位置に配置させ、かつ、3つのロータリヘッド52a〜52cをそれぞれの算出された回動角度で回動させた状態で、撮像対象の部品120を撮像する制御を行う。そして、ステップS36において、回数Xをインクリメントして、算出された最小のスキャン動作回数Nを回数Xが超えるまでステップS34〜S36の動作を繰り返す。すなわち、スキャン動作ごとに、オフセット位置と各ロータリヘッドの回動角度とを調整しながら、撮像対象の部品120を撮像する。この際、ステップS32での算出結果によって、最小のスキャン動作回数になるように、撮像対象の部品120に応じてカメラ中心撮像とオフセット撮像とが切り替えられる。
なお、第6実施形態のその他の構成は、上記第5実施形態と同様である。
また、第6実施形態の構成でも、上記第5実施形態と同様に、撮像対象の部品120に応じて、カメラ中心撮像とオフセット撮像とを切り替えることによって、部品120の撮像時間の短縮を図りながら、部品120の認識精度が低下するのを抑制することができる。
第6実施形態のその他の効果は、上記第5実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、本発明のヘッド部に取り付けられるノズルの個数は、上記第1〜第6実施形態に示した個数に限られない。本発明では、互いに第1の方向(Y方向)にずれた状態で取り付けられる複数のノズルであれば、上記実施形態に示した個数以外の個数のノズルをヘッド部に取り付ける構成であってもよい。
また、上記第1〜第6実施形態では、部品撮像ユニット(撮像部)により部品を撮像する際に、部品撮像ユニットに対してヘッドユニット(ヘッド部)をX方向に移動させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、撮像部により部品を撮像する際に、ヘッド部に対して撮像部をX方向に移動させる構成であってもよい。
また、上記第3および第4実施形態では、カメラ中心撮像の撮像結果(オフセット量が0(mm)の状態における撮像結果)と、オフセット撮像の撮像結果(オフセット量がD/2(mm)の状態における撮像結果)とに基づいて一次近似式を算出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、オフセット量が0(mm)およびD/2(mm)以外の場合における撮像結果に基づいて、一次近似式を算出してもよいし、3つ以上の異なるオフセット量における撮像結果に基づいて一次近似式を算出してもよい。一次近似式算出用の撮像結果が多ければ、より精度よく一次近似式を算出することが可能である。また、一次近似式に限らず、多次元の近似式から補正値または許容オフセット量を算出してもよい。
また、上記第2〜第6実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
なお、上記第1〜第6実施形態では、部品撮像ユニット9は、リニアセンサおよびレンズ等を含むリニアカメラ91を用いており、ヘッドユニット5の移動速度を落とすことなく複数の部品120の撮像が可能であるので、複数の部品120を認識するための時間を短縮することができる。
なお、部品撮像ユニット9は、CCDエリアセンサおよびレンズ等を含む電子シャッター機能を備えたエリアカメラを用いてもよい。シャッター速度の設定により、各ノズル20に吸着された各部品120がX方向において部品撮像ユニット9の上方位置となる各撮像タイミングにおいても、ヘッドユニット5の移動速度を落とすことなく撮像が可能となるので、複数の部品120を認識するための時間を短縮することができる。
また、カメラ中心撮像において、部品120を吸着するノズル20に対する部品120の認識位置(=カメラ中心撮像により検出される検出吸着位置ずれ量E)は、ほぼ実際の吸着位置(=実際の吸着位置ずれ量E)と等しくなるので、この部品120をオフセット撮像して得られるノズル20に対する部品120の認識位置(=オフセット撮像により検出される検出吸着位置ずれ量F)とは本来一致しなければならない。しかし、オフセット撮像では部品認識ずれが発生し易い。このため、上記第2〜第6実施形態において、ステップS4、S21、あるいはS31でオフセット撮像して得られるこの部品120の検出吸着位置ずれ量Fから、ステップS3、S21、あるいはS31でカメラ中心撮像により検出される同一部品120の検出吸着位置ずれ量Eを差し引いて、オフセット撮像に起因して発生する部品120に対応した部品認識ずれ量Gを算出する。そして、上記第2〜第6実施形態において、この部品認識ずれ量GをステップS10で記憶部12に記憶しておき、以後、同一種の部品120についてステップS9、S15、S23、あるいはS26のオフセット撮像して得られる検出吸着位置ずれ量Fからこの部品認識ずれ量Gを差し引いて、ノズル20に対する部品120の吸着位置(=実際の吸着位置ずれ量E)を求めるようにしても良い。実装時には、この実際の吸着位置ずれ量Eに基づき、この吸着位置ずれ量E分だけ、実装データの目標実装位置(X方向位置、Y方向位置あるいは/および回転方向位置)から逆方向に実装ヘッド51を位置させる実装位置補正を行うことで、オフセット撮像による部品認識によっても、正しい実装位置への部品120の実装が可能となる。