JP2013233118A - 被覆資材の巻取展開装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の巻取展開装置1は、被覆資材Sを巻き取るための巻取軸34と、被覆対象T上から被覆資材Sを剥がすとともに、剥がした被覆資材Sを巻取軸34に向けて案内する複数のガイド体35とを支持する巻取繰出機枠31を具えて成るものであり、またガイド体35のうち巻取進行方向の先端側に設けられる先端ガイド体35Fは、少なくとも巻取作業時においては、被覆対象T上に展開している被覆資材Sをすくい上げ状態に受けるように設けられることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この種の被覆栽培に用いられる被覆資材は、通常、畝の形成状況(仕立状態)にならって細長状に形成されるものであり、具体的なサイズとしては、展開状態で幅約2m、長さ約50mほどの一定幅を有した長尺シート状である。また、茶畝に被せる前の被覆資材の荷姿としてはロール状に巻回された状態となっている(この状態の被覆資材を特に「巻取ロール」と称する)。
上記特許文献1〜4での巻取作業では、いずれも被覆資材を上から押さえるようにして巻き取っており(言わば上面押さえ)、このためか装置の横(つまり畝間上)に補助員がついて、被覆資材の巻き取りをアシストするものが多かった。すなわち従来の手法では、被覆資材の巻き取りを監視し、巻取作業を連続且つ円滑して行わせるための専用のアシスト要員を配置するのが一般的となっていた。
また、このような補助員を、装置を操縦する作業者に加えて、別途、配置しなければならないことは、特に就農人口が減少しつつある農家(茶農家)にとっては、相当の人的負担・労力負担となり、またその分、経費も嵩むため、このような点が大きな問題となっていた。
茶畝等の被覆対象に添って移動しながら、被覆対象を展開状態で覆っていた被覆資材を巻き取る一方、被覆資材の巻取状態からこれを被覆対象上に繰り出して展開する作業を行う装置において、
この装置は、
被覆資材を巻き取るための巻取軸と、
被覆対象上から被覆資材を剥がすとともに、剥がした被覆資材を巻取軸に向けて案内する複数のガイド体とを支持する巻取繰出機枠を具えて成るものであり、
また前記ガイド体のうち巻取進行方向の先端側に設けられる先端ガイド体は、少なくとも巻取作業時においては、被覆対象上に展開している被覆資材をすくい上げ状態に受けるように設けられることを特徴として成るものである。
前記先端ガイド体は、茶畝等の被覆対象上に展開された被覆資材の畝幅中央部に最も早く接触するように形成されることを特徴として成るものである。
前記先端ガイド体は、杆状部材で形成され、且つこの杆状部材を畝幅中央部において巻取進行方向に向かって突出するように湾曲させたアーチ状に形成するものであり、
これにより前記先端ガイド体を、展開状態の被覆資材の畝幅中央部と最も早く接触させるようにしたことを特徴として成るものである。
前記先端ガイド体と、そのすぐ後段に続いて配設される中間ガイド体とは、
被覆資材を先端ガイド体から該中間ガイド体に移送する間、被覆資材の上昇移送高さが小さく抑えられ、被覆資材をほぼフラット状に送るように、双方のガイド体が配設されることを特徴として成るものである。
前記巻取繰出機枠は、乗用式の茶畝跨走型茶園管理機の走行機体に対し、アタッチメントとして構成されることを特徴として成るものである。
前記巻取軸の駆動は、茶畝跨走型茶園管理機における駆動源を利用した油圧モータによって行われることを特徴として成るものである。
まず請求項1記載の発明によれば、茶畝等の被覆対象上に展開(展張)された被覆資材を巻き取るにあたり、巻取直前の被覆資材を先端ガイド体によってすくい上げ状態に受けるため(支持するため)、被覆資材を被覆対象から確実に分離する(剥ぎ取る)ことができ、円滑な巻き取りを促進させる。すなわち、畝上(被覆対象上)に被せられた被覆資材は、畝の上面を覆うように載置されることはもちろん、周縁部、特に畝裾部に当たる両サイドが、茶畝の側部に垂れ下がった状態となる(この垂れ下がり部を利用して茶樹に固定される)。このため被覆対象は、展開状態で特に畝裾部において茶樹に強く引っ掛かることがあり、畝からの剥ぎ取り、ひいては巻取作業がスムーズに行えないことがあった。しかし、本発明では、被覆資材の巻取作業に先立ち、被覆資材を先端ガイド体によって確実に畝(被覆対象)から分離するため、被覆資材をスムーズに且つ綺麗に巻き取ることができる。
またこのようなことから、被覆資材をスムーズに巻き取るための専用の補助員(アシスト要員)をつけることなく、つまり巻取展開装置を操縦する作業者一人でも、被覆資材をスムーズに巻き取ることができる。なお、このような補助員が不要になることは、経費削減にもつながり、就農人口が減少しつつある農家にとっては多大な効果となる。
また、先端ガイド体は、巻取進行方向に向かって突出するアーチ状であるため、被覆資材との接触部(先端ガイド体によるすくい上げ作用)を、畝幅中央部から徐々に畝裾部に移行させて行くことができ、被覆資材の畝からの剥ぎ取り作業、ひいては巻取作業がより一層スムーズに行える。
すなわち展開状態では被覆資材は全体的に畝上面に沿って載置された状態を呈しながらも、畝幅方向の断面で考えた場合、裾部からはみ出た両サイド部は垂れ下がり状態となる(つまり両サイドが折れた状態となっている)。一方、巻き取りを円滑に行うには、この垂れ下がり部も含めて被覆資材を全体的にほぼ平らな状態(畝幅方向の断面で考えた場合には直線状)に矯正しなければならず、被覆資材を先端ガイド体からその後の中間ガイド体に対しほぼフラット状に移送する本発明では、このような姿勢変換が行い易く、また変換後の平らな姿勢を維持し易いものであり、これが被覆資材の円滑且つ綺麗な巻き取りに大きく貢献するものである。
更にまた、以上述べたように被覆対象Tとして種々想定されることから(作物対象が必ずしも茶に限定されないことから)、被覆資材Sとしても茶園で一般的に用いられる寒冷紗に限定されるものではなく、化学繊維シートや不織布シートあるいはマルチングシート(マルチング栽培で一般に使用されるシート)などでも良く、更には藁や竹などを長尺シート状に編み込んだものでも適用可能である。
以下、巻取展開装置1を構成する走行機体2と巻取展開機体3とについて説明する。
また、脚部フレーム21Aの下端には一例としてクローラを適用した走行体22を設けるものである。もちろん、この走行体22は、このようなクローラに限らず、畝地を過剰に押し付けないような空気タイヤ、あるいは双方を適用した形態(例えば前側に空気タイヤ、後側にクローラを適用した形態)等が適宜採り得る。
そして、上述したように、このような走行機体2に対して、巻取展開機体3を茶畝Tの上方に位置するように取り付けるものである。
巻取展開機体3は、走行機体2に対し昇降動自在に設けられるものであり、この動作を可能とするための部材が、一例として図1〜3に示すように、走行機体2の先端部分(進行方向前方側)に立設された昇降用支柱30Aと、この昇降用支柱30Aに対し昇降自在に取り付けられた昇降ブラケット30Bである。そして、前記巻取展開機体3は、この昇降ブラケット30Bに固定されることにより、走行機体2に対して昇降動できるように構成されている。
このように巻取展開機体3は、上記摘採機体等とは異なり、走行機体2の前方部分に取り付けられるが、これは走行機体2を前進させながら、言い換えれば操縦者が普通に前を向いた姿勢で、被覆資材S(既に茶畝T上に展開された状態)の巻取作業が行えるようにしたためである。このため、被覆資材Sを茶畝T上に展開して行く作業(繰り出して行く作業)では、操縦者が後方を振り返りつつ、走行機体2を後退させながら行うことになる。
以下、巻取展開機体3について更に詳細に説明する。
以下、もう一方の機枠ベースフレーム31Hについて説明する。
ただし、このような形態、つまり巻取軸34と一体で巻取ロールSRを軸受33に着脱する形態を採った場合には、一本の巻取ロールSRに対し常に一本の巻取軸34が必要になり、多数の茶畝Tを並列状に設けた大規模な茶園で巻取展開作業を行う場合には、多数の巻取軸34が必要になることが考えられる。このため、巻取後の被覆資材S(巻取ロールSR)から巻取軸34と端縁板34Gとを外せるようにしておけば、巻取軸34と端縁板34G(左右で1セット)とは、巻取ロールSRの数(セット数)よりも少なくて済むものである。また、このようなことからすれば展開作業を行う際には、巻取軸34を要しないことも考えられ、例えば巻取軸34が芯に通っていない巻取ロールSRの中心部を両端からガイドすることにより、被覆資材Sの繰出作業(展開作業)を支障なく行うことが考えられる。
ここで上記「巻取先端部」とは、巻取作業を行う際に巻取展開装置1が進んで行く方向(巻取進行方向)の先端側を示しており、本実施例では上述したように茶園管理機(走行機体2)の前進方向と一致する。なお、特許請求の範囲に記載した「巻取進行方向」も、この意味である。
以下、先端ガイド体35Fと中間ガイド体35Mとについて説明する。
また、先端ガイド体35Fは、先端部(巻取先端部)が前方(巻取進行方向)に最も突出するように形成される。より詳細には、上面が弧状を成す茶畝Tの最上部付近(畝幅中央部)で先端ガイド体35Fの前方突出量が最も大きくなるように形成され、これは茶畝Tに被せられた被覆資材Sの畝幅中央部を、最も早く先端ガイド体35Fに接触させるためである。
ここで先端ガイド体35Fを構成する杆状部材は、正面(巻取展開装置1の正面)から視てほぼ水平となるようなフラット状に形成され、このフラット平面内(平面上)でアーチ状を描くように形成される(図1参照)。このため、本実施例では先端ガイド体35Fのすくい上げ作用が畝幅中央部(最先部)から両裾部に移行して行くことに伴い、先端ガイド体35Fと茶畝T(上面)との間隔も徐々に大きくなって行くものである。
なお、同一平面内でアーチ状を描くように形成された先端ガイド体35Fは、幾らか傾斜状態に設置することも可能であり、例えば巻取先端部をアーチ状の根元部分(後述する第一中間ガイド体35MA側)よりも高く設置する態様が採り得るものである。
因みに、先端ガイド体35Fが、まず最先部において被覆資材Sをすくい上げるものであることを考慮すると、例えば図2中に矢印で示すように、巻取作業中、先端ガイド体35Fの先端部を上下に揺動(回動)させ、このような先端ガイド体35Fの働き、つまり接触解消作用を促進させることも効果的な一手法と考えられる。
このように第一中間ガイド体35MAは、先端ガイド体35F上を通過し第一中間ガイド体35MAに至るまでの被覆資材Sの上昇高さが抑えられるような配置となっており、当該構成により被覆資材Sは、この区間においてほぼフラット状に移送されるものである。
また被覆資材Sの巻き取りにあたっては、既に茶畝T上に被覆資材Sが展開されていること(被せられていること)が前提となり、その意味では本来の順序としては巻き取りよりも展開が先となるが、本願の主たる作業が巻き取りであるため、巻取態様から説明する。
(1) 被覆資材の固定解除(畝での準備)
茶畝T等の被覆対象T上に被せられている被覆資材Sは、周縁つまり畝の裾部や端部(前端部及び後端部)が、畝から垂れ下がった状態となっており、この垂れ下がり部分が、クリップや紐等の固定手段(留め具)により茶樹に固定されているため、まずこの固定を解除する。
このような茶畝(被覆対象)Tでの準備に伴い(前後して)、巻取展開装置1では、被覆資材Sを巻き取るための巻取軸34が軸受33にセットされるものであり、当然、この巻取軸34には、被覆資材Sが巻回されていないものである。
また、巻取展開装置1では、茶畝Tの高さに合わせて、機枠ベースフレーム31Hの高さ設定が行われ、これにより先端ガイド体35Fが巻取作業に適した高さ位置に調整される。
このようなセッティング後、畝上に展開されている被覆資材Sの巻取開始端を作業者がめくり上げ、巻取展開装置1の巻取軸34に数周巻き付ける等して容易に外れない程度に仮留めするか、または適宜の固定手段によって該巻取開始端を巻取軸34にしっかりと固定するものである。もちろん、この作業(畝上からめくり上げた被覆資材Sの巻取開始端を巻取軸34に留め付ける作業)を行うにあたっては、図2・3に示すように、被覆資材Sの巻取開始端が、先端ガイド体35Fの上方を通過(最先端部で接触状態に通過)するようにしたセットした後、続く第一中間ガイド体35MA及び第二中間ガイド体35MBをジグザグ状に折り返して、巻取軸34に至るように巻取開始端を留め付けるものである(取り回すものである)。
このような準備作業を全て終了した後、作業者が走行機体2に乗り込み(操縦席23に座り)、走行機体2の走行に併せて巻取軸34を駆動させることにより、被覆資材Sの巻き取りが行われる。
なお、巻取作業が進むにつれて巻取ロールSRの巻回径(見かけ直径)も次第に大きくなって行くため、巻取軸34の回転数を一定に設定していると、被覆資材Sの巻取速度(シート状の被覆資材Sが円筒状に巻き取られる部分の周速度)としては徐々に大きくなってしまう。このため巻取作業中は、走行機体2の走行速度と、被覆資材Sの巻取速度(周速度)とをほぼ一致させるように、巻取軸34の回転数を調整することが好ましい。
ただ、本実施例では、先端ガイド体35Fと巻取軸34との間に、中間ガイド体35Mとして二本のフリーローラを設けており、これらの間をジグザグ状にガイド(案内)して被覆資材Sを移送しているため、走行機体2の走行速度と被覆資材Sの巻取速度とが多少ずれても、例えば即座に先端ガイド体35Fと巻取軸34との間に弛みが発生するものではなく、言わば中間ガイド体35Mが、走行機体2の走行速度と被覆資材Sの巻取速度との差を吸収する作用、ひいては巻取ロールSRの見かけ直径の変化を緩衝する作用を担っていると言える。
(5) 展開時の被覆資材の状況(姿勢)
茶畝Tに被せられた被覆資材Sは、上述したように畝上面を覆うように展開(展張)されることはもちろん、周縁(畝の裾部や端部)が、茶畝Tの側部に垂れ下がった状態となる(この垂れ下がり部分が茶樹に固定される)。このように畝上に展開された被覆資材Sは、単に畝に載せられているのではなく、周縁、特に両サイドが裾部に垂れ下がった状態(回り込んだ状態)になっている。このため、被覆資材Sを単に上方にめくり上げて行く剥ぎ取り方(従来手法)では、たとえ畝上に載置されている被覆資材Sの茶樹との引っ掛かりは解除できたとしても、裾部(側部)にまで回り込んだ部分(垂れ下がり部分)は、茶樹との引っ掛かりが解消しにくいと考えられる。
もちろん、通常の被覆資材Sは、通気性確保のため編み目や通気孔を有していることが多いため(例えば寒冷紗)、この編み目や通気孔に茶樹が引っ掛かって、畝上に載置された部位(畝幅中央部)であってもスムーズに剥ぎ取り難いことは(畝から分離し難いことは)考えられる。当然、被覆資材Sを畝からスムーズに剥がせなければ、巻き取りもスムーズには行えず、被覆資材Sの巻取時に縒れや皺が発生したりして、乱雑な巻き取りになるものである。
この点、本発明にあっては、被覆資材Sを巻取るにあたり、一例として図4(a)・(b)に示すように、まず先端ガイド体35Fが、茶畝T上面と被覆資材Sとの間に入り込み、被覆資材Sをすくい上げるように受けるため(支持するため)、被覆資材Sを茶畝Tから確実に分離することができ(剥がし取ることができ)、被覆資材Sと畝(茶樹)との引っ掛かりを効果的に解消することができる。
特に、本実施例では、同図4(b)に示すように、先端ガイド体35Fが、畝幅中央部(畝を覆っていた被覆資材Sの畝幅中央部)に、最も早くすくい上げ作用を及ぼすように形成され、なお且つこのすくい上げ作用が畝幅中央部から畝裾部(両サイド)に向かって徐々に波及して行くように、先端ガイド体35Fが形成されている。このため、引っ掛かり(絡み付き)が比較的弱い畝幅中央部から、被覆資材Sの畝からの分離が始まり、またこの分離が畝幅中央部から次第に畝裾部に及んで行くものであり、これにより被覆資材Sを畝から効果的に剥がし取ることができ、ひいては巻取作業が円滑に行えるものである。
先端ガイド体35Fによって、すくい上げ状態に保持された(畝から分離された)被覆資材Sは、その後、上昇移送高さを抑えるように配置された第一中間ガイド体35MAに移送される(ここを折り返し状に通過する)。
このため、被覆資材Sは、この区間で先端ガイド体35Fとほぼ同じ高さのフラット状に移送されるものであり、これにより当該区間つまり先端ガイド体35Fの通過中は、被覆資材Sの姿勢変換もスムーズに行われるものである。すなわち、先端ガイド体35F上を通過している間に、被覆資材Sは、両サイドが垂れ下がった展開姿勢から、巻き取りに適した平らな姿勢にスムーズに変換され、また変換後の姿勢も当該区間のフラット状移送によって維持されるものである。
第一中間ガイド体35MAを通過した被覆資材Sは、その後、第二中間ガイド体35MBを経由して(折り返して)巻取軸34に至り、ここで円滑に且つ綺麗に巻き取られるものである。もちろん、被覆資材Sが巻取軸34に綺麗に巻き取られるのは、端縁板34Gの作用(端部揃え作用)も寄与していると考えられるが、綺麗な巻き取りの主な要因は、上述した先端ガイト体35Fと中間ガイド体35M(特に第一中間ガイド体35MA)によるものと考えられる。その経緯・理由は、必ずしも明確でないものの、上述したように先端ガイト体35Fのすくい上げ作用が、畝を覆う被覆資材Sの畝幅中央部から始まること、またこのすくい上げ作用が畝幅中央部から畝裾部へと徐々に波及して行くこと、更には、その後の先端ガイト体35F〜第一中間ガイド体35MAの移送中(先端ガイト体35F上での移送中)、被覆資材Sをほぼフラットな状態で送ること等により、被覆資材Sを畝から効果的に分離することができ(引っ掛かりを効果的に解除することができ)、また両サイド部分が垂れ下がった被覆資材Sの展開姿勢を、巻き取りに適したほぼ平らな姿勢にスムーズに変換できるために、補助員なしでも被覆資材Sを巻取軸34に円滑に且つ綺麗に巻き取ることができると考えられる。
実際、被覆資材Sは、先端ガイト体35Fに接触した時点では、両サイド部が垂れ下がっていても、また多少の重なりがあっても、先端ガイト体35Fの上を通過している間に(先端ガイト体35F〜第一中間ガイド体35MAの移送中に)、ほぼ平らな姿勢に移行して行き(矯正されて行き)、順次、巻取軸34に円滑に且つ綺麗に巻回されて行くことが本出願人によって確認されている。
このような巻取作業は、冒頭で述べたように茶畝Tの一端から開始されるものであり、走行機体2(巻取展開装置1)が反対側の畝端部まで到達したら終了するものであり、終了時点で走行機体2や巻取軸34の回転等を停止させる。
その後、巻取軸34に巻き取られた被覆資材S(巻取ロールSR)を、この巻回状態のまま巻取軸34とともに巻取展開機体3(軸受33)から外し、別途、保管する。
なお、このような被覆資材Sの巻回体(巻取ロールSR)から、軸芯である巻取軸34と端縁板34Gとを取り外すことも可能であり、その場合には取り外した巻取軸34と端縁板34Gとを、その後に継続して行う巻取作業において、繰り返し使用することができる(巻取作業が一畝で終了することはほとんどない)。また、その場合には、巻取展開機体3(軸受33)から取り外した巻取ロールSRの保管は、巻取軸34及び端縁板34Gがない巻回体の状態で保管されるものである。
〔B〕展開態様(展開作業)
(1) 巻取ロールのセット(装置の準備)
展開作業を行うにあたっては、まず、巻取ロールSR(巻取軸34に巻き取った被覆資材S)を軸受33にセットする。
なお、展開作業は走行機体2(巻取展開装置1)をバックさせながらの作業となるため、被覆対象Tとなる畝にバックで進入し、巻取展開装置1が茶畝Tの展開開始端を通過した後、一旦装置を停止させるものである。もちろん茶園の環境によって、巻取展開装置1がバック進入しづらい場合には、前進で対象となる茶畝Tの端部(展開開始端部)付近まで進み、一旦停止させることも可能である。
このようにして巻取展開装置1を畝端部(展開開始端部)に待機させたら、作業者(操縦者)が一旦、走行機体2から降り、被覆資材Sの被覆開始端を巻取ロールSRから引き出し、茶畝Tの展開開始端部に被せる(掛ける)ものである。この際、茶畝Tの展開開始端部では、被覆資材Sの被覆開始端を、例えばクリップのような留め具で茶樹に固定することが好ましく、これは展開作業開始直後に被覆資材Sがずれてしまうこと(畝上を擦り動いてしまうこと)を防止するためである。
なお、被覆資材Sを展開する際には、巻取軸34を積極的に繰出し方向に駆動させる必要はなく、いわゆるフリー回転状態で保持することが可能である。また、先端ガイド体35Fについても、被覆資材Sを円滑に繰り出せる場合には、必ずしもこれを適用せず、巻取展開装置1(走行機体2)から外しておくことも可能である。
このような準備作業を終えた後、作業者(操縦者)が走行機体2に再乗車し、巻取展開装置1をバック走行させながら被覆資材Sを繰り出して行く。この際、巻取ロールSRから繰り出される被覆資材Sが、茶畝Tをほぼ均等に覆うように、つまり茶畝Tのセンターと被覆資材Sのセンターとがほぼ合致するように、被覆資材Sを巻取ロールSRから繰り出して行くことが好ましく、これは畝上に繰り出した被覆資材Sの両サイド垂れ下がり寸法が左右(両サイド)で均等になるようにするためである。また、展開作業時には、被覆資材S同士が極力重ならないように、畝上に展開(展張)して行くことが好ましい。
このようにして巻取展開装置1(走行機体2)が、茶畝Tの端部(展開開始端部と反対側の端部)まで到達したら、走行機体2を止めるものである。
その後、茶畝Tの両サイドに垂れ下がった部分(被覆資材S)をクリップなどの固定手段で茶樹に固定して行くものである。
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず上述した基本の実施例では、主に茶園が水平平坦地で営まれていることを主に想定し、巻取展開装置1も水平平坦地で利用する形態を前提に説明したが、茶園は、必ずしも水平平坦地だけでなく、山間地などでも営まれることがあり、傾斜地にも存在する。このような傾斜地では、巻取繰出機枠31や先端ガイド体35Fのみを、この傾斜に合わせて、ずらしたり、傾けたりして、適宜、移動させることが可能であり、以下これについて説明。
例えば、茶園の傾斜地の高低差が茶畝幅方向に形成されている横傾斜の場合には、一例として図5(a)に示すように、先端ガイド体35Fを含む巻取繰出機枠31全体をユニットごと、走行機体2の左右方向に移動させること(ずらすこと)が可能である。なお、本図では巻取繰出機枠31を走行機体2に対し傾斜地の高い方に全体的にずらすようにしている。もちろん、このような場合には、例えば図5(b)に示すように、先端ガイド体35Fのみを傾斜地の高い方にずらすことも可能である。また、この場合、当然ながら、巻取繰出機枠31の幅方向中心(センター位置)と、走行機体2(茶畝T)の幅方向中心(センター位置)とは、合致した状態となるので、巻取展開装置1の正面視状態は図5(a)とは相違するものである(図5(b)ではこの正面視の図を省略している)。
なお、本図5では、茶園の傾斜地の高低差が茶畝幅方向に形成されている横傾斜の場合について説明したが、茶園の傾斜地の高低差が茶畝Tの長さ方向に形成されている縦傾斜の場合においても、巻取繰出機枠31や先端ガイド体35Fのみを傾斜に合わせて、ずらしたり、傾けたりして、適宜、移動させることが可能である。また、横傾斜・縦傾斜を問わず、先端ガイド体35Fの先端を揺動(上下方向に回動)させても構わないものである。
本実施例では、図8中に二点鎖線で示すように、下方のアーチ39Dによって被覆資材Sを、上記図2の先端ガイド体35Fと同様に案内することができる他、例えば被覆資材Sと茶樹との絡み具合等によっては、図8中に一点鎖線で示すように、上方のアーチ39Uによって被覆資材S(特に畝幅中央部)をより高い位置ですくい上げるように案内することも可能である。また、図8中に破線で示すように、上下両方のアーチ39U・39Dを使用して(作用させて)、被覆資材Sを巻き取ることもできる。すなわち、本図8に示す二股状の先端ガイド体39の形態は、種々の状況に応じて被覆資材Sの案内態様を選択したい場合に適するものと言える。
従って、このような場合には、一例として図9に示すように、正面(巻取展開装置1の正面)から視て、茶畝上面にほぼ沿うように、先端ガイド体35Fを形成することが可能である。このように先端ガイド体35Fの細部の形状や構成は、茶畝Tの形成状況(曲面状況)や、被覆資材Sと茶樹と引っ掛かり具合等によって適宜決定することができるものである。
このような形態の巻取展開装置1としては、例えば図10に示すものが挙げられ、該装置は、一人の作業者が巻取展開装置1(巻取展開機体3)の横に付いて、畝間上を歩きながら(移動しながら)、被覆資材Sを巻き取って行くタイプである。また、本図10に示す巻取展開装置1は、作業者が巻取展開機体3を手で押しながら移動して行くタイプ(手押し式)を想定している。もちろん、当該装置では、巻取展開機体3(巻取繰出機枠31)を走行機体2に連結するための部材、例えば基本の実施例で述べた昇降用支柱30A、昇降ブラケット30B、ベース昇降フレーム31V等は存在しないものである。
また、茶畝Tの高さ寸法は、茶園によって変わることが多く、必ずしも一定でないため、巻取軸34の高さ設定が適宜行えるように、台車ユニット41は、リフターや油圧シリンダ等の昇降手段を具え、機枠ベースフレーム31Hを昇降動自在に構成することが好ましい。
また巻取軸34の駆動(巻取駆動)は、別途ハンドル等を設け(図示略)、作業者の手動操作によって行うことが可能であるが、これ以外にも例えば可搬式の刈払機に用いられる小型エンジンやモータ等を搭載して、駆動させることも可能である。因みに、巻取軸34の駆動(巻取駆動)をエンジンやモータ等で行う場合には、車輪(台車ユニット41)の走行駆動もここから取り出すことが可能である。
2 走行機体
3 巻取展開機体
2 走行機体
21 フレーム
21A 脚部フレーム
21B 連結フレーム
21C 昇降ブラケット
22 走行体
23 操縦席(操縦者用シート)
24 操縦桿
25 コントロールボックス
26 原動機
3 巻取展開機体
30A 昇降用支柱
30B 昇降ブラケット
31 巻取繰出機枠
31H 機枠ベースフレーム
31V ベース昇降フレーム
31H 機枠ベースフレーム
32 基部
33 軸受
34 巻取軸
34G 端縁板
35 ガイド体
35F 先端ガイド体
35M 中間ガイド体
35MA 第一中間ガイド体
35MB 第二中間ガイド体
36 支持体
37 先端ガイド体
37B 回転体(細長樽状)
37J 回転軸
38 先端ガイド体
38R フリーローラ(複数)
38J 回転軸
39 先端ガイド体
39U アーチ(上方)
39D アーチ(下方)
41 台車ユニット
S 被覆資材
SR 巻取ロール
T 被覆対象(茶畝)
Claims (6)
- 茶畝等の被覆対象に添って移動しながら、被覆対象を展開状態で覆っていた被覆資材を巻き取る一方、被覆資材の巻取状態からこれを被覆対象上に繰り出して展開する作業を行う装置において、
この装置は、
被覆資材を巻き取るための巻取軸と、
被覆対象上から被覆資材を剥がすとともに、剥がした被覆資材を巻取軸に向けて案内する複数のガイド体とを支持する巻取繰出機枠を具えて成るものであり、
また前記ガイド体のうち巻取進行方向の先端側に設けられる先端ガイド体は、少なくとも巻取作業時においては、被覆対象上に展開している被覆資材をすくい上げ状態に受けるように設けられることを特徴とする、被覆資材の巻取展開装置。
- 前記先端ガイド体は、茶畝等の被覆対象上に展開された被覆資材の畝幅中央部に最も早く接触するように形成されることを特徴とする請求項1記載の、被覆資材の巻取展開装置。
- 前記先端ガイド体は、杆状部材で形成され、且つこの杆状部材を畝幅中央部において巻取進行方向に向かって突出するように湾曲させたアーチ状に形成するものであり、
これにより前記先端ガイド体を、展開状態の被覆資材の畝幅中央部と最も早く接触させるようにしたことを特徴とする前記請求項2記載の、被覆資材の巻取展開装置。
- 前記先端ガイド体と、そのすぐ後段に続いて配設される中間ガイド体とは、
被覆資材を先端ガイド体から該中間ガイド体に移送する間、被覆資材の上昇移送高さが小さく抑えられ、被覆資材をほぼフラット状に送るように、双方のガイド体が配設されることを特徴とする前記請求項1、2または3記載の、被覆資材の巻取展開装置。
- 前記巻取繰出機枠は、乗用式の茶畝跨走型茶園管理機の走行機体に対し、アタッチメントとして構成されることを特徴とする前記請求項1、2、3または4記載の、被覆資材の巻取展開装置。
- 前記巻取軸の駆動は、茶畝跨走型茶園管理機における駆動源を利用した油圧モータによって行われることを特徴とする前記請求項5記載の、被覆資材の巻取展開装置。
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