JP2013228031A - 遊星歯車機構 - Google Patents

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幸一 山本
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【課題】更なる寿命延長を図れる遊星歯車機構を提供する。
【解決手段】ニードルローラとピニオンシャフト5の焼入れ・焼戻してなる表面硬さの差がHv50〜200であり、ピニオンシャフト5においては、表面残留オーステナイトが20体積%以上50体積%以下であり、ニードルローラ6においては、合金成分のケイ素が0.2重量%以上1.2重量%以下含有する軸受鋼に浸炭窒化処理を施すことにより表層部に表面硬化層を有し、かつ表面残留オーステナイトが5体積%以上15体積%以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車用オートマチックトランスミッションの遊星歯車機構に関する。
車両等に搭載されているオートマチックトランスミッションには、一般的に遊星歯車機構が用いられており、この遊星歯車機構は、ピニオンギアの中心穴にニードルローラを介してピニオンシャフトが相対回転自在に挿通され、前記ピニオンシャフトの両端部がキャリアで支持された構造となっている。
このような遊星歯車機構においては、使用中に先に破損する最弱部はピニオンシャフトであることが多い。つまり、ピニオンシャフトがニードルローラに対して早期にはく離してしまう。
このため従来は、ピニオンシャフトの強化を図ることで遊星歯車機構の寿命延長を図っている。
ピニオンシャフトの強化を図る技術の一例として特許文献1および特許文献2に記載のものが知られている。
特許文献1に記載のピニオンシャフトは、0.4重量%以上1.5重量%以下のケイ素を含有する鋼で構成するとともに、残留オーステナイト量が15体積%以上50体積%以下で残留圧縮応力が400MPa以上1200MPa以下である表層部と、残留オーステナイト量が0体積%である芯部とを設け、表面硬さをHv700以上としたことを特徴としている。
また、特許文献2に記載のピニオンシャフトは、以下の4つの条件を満足することを特徴としている。
条件1:0.9重量%以上1.1重量%以下の炭素、0.9重量%以上1.2重量%以下のクロム、0.4重量%以上0.8重量%以下のケイ素、および0.9重量%以上1.2重量%以下のマンガンを含有する鋼で構成されている。
条件2:転走面となる部分には、2回以上の高周波焼入れ処理が施されていて、残留オーステナイト量が15体積%以上40体積%以下である表層部と、残留オーステナイト量が0体積%である芯部と、が形成されている。
条件3:前記高周波焼入れ処理が施された前記転走面となる部分の表面硬さは、Hv750以上であり、前記高周波焼入れ処理が施されていない軸方向端部の硬さはHv300以下である。
条件4:前記表層部の炭素濃度は0.9重量%以上1.1重量%以下であり、窒素濃度は0.05重量%以下である。
特開2006−274342号公報 特開2007−131890号公報
上述したように、従来はピニオンシャフトの強化を図ることで遊星歯車機構の寿命延長を図っているが、本発明者等は、ピニオンシャフトとニードルローラの組合せ技術によって遊星歯車機構の寿命延長を図るべく、鋭意研究を重ねた結果、ピニオンシャフトおよびニードルの強化を図るとともに、ピニオンシャフトとニードルローラの表面硬さを規定することによって、遊星歯車機構の更なる寿命延長を図れることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、更なる寿命延長を図れる遊星歯車機構を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、ピニオンギアの中心穴にニードルローラを介してピニオンシャフトが相対回転自在に挿通され、前記ピニオンシャフトの両端部がキャリアで支持された遊星歯車機構において、
前記ニードルローラと前記ピニオンシャフトの焼入れ・焼戻してなる表面硬さの差(前記ニードルローラの表面硬さから前記ピニオンシャフトの表面硬さを減じた値)がHV50〜200であり、
前記ピニオンシャフトにおいては、表面残留オーステナイトが20体積%以上50体積%以下であり、
前記ニードルローラにおいては、合金成分のケイ素が0.2重量%以上1.2重量%以下含有する軸受鋼に浸炭窒化処理を施すことにより表層部に表面硬化層を有し、かつ表面残留オーステナイトが5体積%以上15体積%以下であることを特徴とする。
また、本発明の上記構成において、前記ニードルローラの表面粗さを0.1Ra以下にすることが好ましい。
本発明によれば、ニードルローラの方に良好な耐圧痕性、耐摩耗性を示すとともに、ニードルローラに圧痕や摩耗を生じた場合でも寿命低下を抑えることができる一方で、ピニオンシャフト自体ははく離まで至らず、更にピニオンシャフトに形成された圧痕や表面起伏の応力ピークを軽減できるので、遊星歯車機構の更なる寿命延長を図れる。
本発明の遊星歯車機構の実施の形態を示す図であって、その分解斜視図である。 同、ピニオンシャフトにニードルローラを介してピニオンギアを摺動自在に嵌め込んだ状態を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示す遊星歯車機構は、自動車用オートマチックトランスミッション等の遊星歯車機構に好適に使用されるものであり、図示しない軸が挿通されたサンギア1と、該サンギア1と同心に配されたリングギア2と、サンギア1およびリングギア2に噛み合いサンギア1の周りを公転する1個以上(図1においては3個)のピニオンギア3と、サンギア1およびリングギア2と同心に配されピニオンギア3を回転自在に支持するキャリア4と、を備えている。
ピニオンギア3の中心穴には、かしめ等によりキャリア4に固定されたピニオンシャフト5が挿通されており、また、ピニオンシャフト5の外周面とピニオンギア3の内周面との間にはニードルローラ6(図2参照)が転動自在に配されていて、これによりピニオンギア3はピニオンシャフト5を軸として回転自在とされている。
ピニオンシャフト5は、図2に示すように、円柱状に形成されており、当該ピニオンシャフト5には、摺動部分(転動面)に潤滑油を供給するための給油路10が設けられている。給油路10は、ピニオンシャフト5の径方向中心部分を軸方向に延び軸方向両端面のうち一方のみに開口する中心孔11と、中心孔11から分岐して径方向中心部分から径方向外方に延びピニオンシャフト5の外周面に開口する2つの分岐孔12,13とから構成されている。
そして、分岐孔13の開口部から導入された潤滑油が、中心孔11内を通って分岐孔12に至り、外周面の軸方向略中央に位置する開口部から吐出されるようになっている。吐出された潤滑油は、摺動するピニオンシャフト5の外周面とニードルローラ6との間の潤滑に供される。すなわち、分岐孔13の開口部は、中心孔11内に潤滑油を導入する潤滑油導入口として機能し、分岐孔12の開口部は、中心孔11内の潤滑油を吐出する潤滑油吐出口として機能する。
前記ピニオンシャフト5は、炭素を0.1重量%以上0.5重量%以下、クロムを2重量%以上5重量%以下、モリブデンを0.1重量%以上1.5重量%以下、マンガンを0.1重量%以上1.5重量%以下、ケイ素を0.1重量%以上1.5重量%以下含有する合金鋼で構成されている。
ピニオンシャフト5には、浸炭窒化焼入れ、焼戻しが施されているので、その外周面には硬化された表層部が形成されていて、表面硬さHvが650以上900以下とされている。よって、外周面のうちニードルローラ6と摺動する部分(転動面)も、硬化された表層部が形成されている。
そして、ピニオンシャフト5の表層部の残留オーステナイト量は20体積%以上50体積%以下、平均残留オーステナイト量は10体積%以下となっている。また、浸炭窒化されたピニオンシャフト5の表面の炭素濃度と窒素濃度の和が重量%で0.8重量%〜2.0重量%となっている。
このようなピニオンシャフト5は、高温下、潤滑不良下、異物混入下またはスミアリングや白色組織の発生しやすい環境下で使用されたとしても、塑性変形が生じにくいので、耐久性に優れている。
また、材料成形性がよく、かつ、使用条件が過酷な環境下でも熱変形曲がりが小さく、さらに加工コストを抑えることができる。
前記ニードルローラ6は、合金成分のケイ素が0.2重量%以上1.2重量%以下含有する軸受鋼に浸炭窒化処理を施すことにより表層部に表面硬化層を有している。
また、ニードルローラ6の表面残留オーステナイトが5体積%以上15体積%以下となっている。
さらに、ニードルローラ6とピニオンシャフト5の焼入れ・焼戻してなる表面硬さの差(ニードルローラ6の表面硬さからピニオンシャフト5の表面硬さを減じた値)がHv50〜200となっている。
ニードルローラ6の表面硬さからピニオンシャフト5の表面硬さを減じた値、つまりニードルローラ6とピニオンシャフト5の表面硬さの差がHv50〜200で、かつニードルローラ6の合金成分のケイ素(Si)の含有量が0.2重量%〜1.2重量%であり、かつ浸炭窒化処理が施されることで、ニードルローラ6の表面層にSi・Mn系窒化物を形成し、ニードルローラ6の方に良好な耐圧痕性、耐摩耗性を示す。
そうすると、ピニオンシャフト5の方が優先的に圧痕や摩耗を生じ易くなり、ピニオンシャフト5の表面粗さが低下していくのに対し、ニードルローラ6の表面粗さは低下し難い。したがって、ニードルローラ6の表面がピニオンシャフト5に与える接線力(圧痕→はく離を駆動する力)を軽減でき、ピニオンシャフト5の粗さ(圧痕、摩耗など)が悪くなっても、ピニオンシャフト5自体ははく離まで至らない。更にピニオンシャフト5の表面残留オーステナイトを20体積%以上50体積%以下にすることで、ピニオンシャフト5に形成された圧痕や表面起伏の応力ピークを軽減でき、さらに、ピニオンシャフト5自体ははく離に至らない。
ニードルローラ6の表面残留オーステナイトが5体積%以上15体積%以下であることでニードルローラ6に圧痕や摩耗を生じた場合でも寿命が低下することはない。残留オーステナイトが5体積%未満であると、圧痕が形成された場合に残留オーステナイトによる圧痕に対する応力軽減効果が小さくなり寿命が低下する恐れがあり、15体積%を超えると耐圧痕性や耐摩耗性が低下する場合がある。
また、ニードルローラ6とピニオンシャフト5の表面硬さの差がHv200を超えると、ピニオンシャフト5の硬さが低くなりすぎたり、ニードルローラ6の硬さが硬くなりすぎたりして、かえって寿命が低下する場合がある。ケイ素(Si)の含有量が1.2重量%より大きくなると切削性など生産上の不都合が生じ易い。
ここで、ピニオンシャフト5やニードルローラ6に使用される合金鋼に含有される合金成分の含有量の臨界的意義について説明する。
〔炭素の含有量について〕
炭素(C)は、基地に固溶して焼入れ、焼戻し後の硬さを向上させて強度を向上させるとともに、鉄、クロム、モリブデン、バナジウム等の炭化物形成元素と結合して炭化物を形成し耐摩耗性を高める作用を有する元素である。
耐転動疲労性に必要な硬さを得るために行う浸炭窒化処理の時間が長くなるとコストアップを招くことから、処理時間の短縮のために、炭素の含有量は0.1重量%以上である必要がある。ただし、0.5重量%超過であると、製鋼時に粗大な共晶炭化物が生成されやすくなり、転動疲労寿命や強度が低下する場合がある。また、炭素量が0.5重量%超過であると鍛造性、冷間加工性、被削性が低下して、加工コストの上昇を招く場合がある。さらに、炭素量が0.5重量%超過であると、芯部の残留オーステナイトが多くなり、熱変形曲がりが大になって、転動疲労寿命が低下するとともに、棒材成型性が悪く、特に軸径φ15mm以下は塑性加工困難で成型時に割れやクラックが発生する。
〔クロムの含有量について〕
クロム(Cr)は、基地に固溶して焼入れ性、焼戻し軟化抵抗性、耐食性,および転動疲労寿命を高める作用を有する元素である。また、炭素,窒素等の侵入型固溶元素を実質的に動きにくくして基地の組織を安定化し、水素侵入時の寿命低下を大幅に抑制する作用も有している。さらに、合金鋼中に微細に分布する炭化物が、より高硬度の(Fe,Cr)3C、(Fe,Cr)73 、(Fe,Cr)236等の炭化物からなるために、耐摩耗性を高める作用も有している。さらに、残留オーステナイトが熱により分解しにくくなり、結果として塑性変形し難い。
合金鋼中のクロムの含有量が2重量%未満であると、前述の作用が十分に得られない場合があり、5重量%を超えると、冷間加工性、被削性、浸炭窒化性が低下してコストの上昇を招くおそれがある。さらに、製鋼時に粗大な共晶炭化物が生成されやすくなり、転動寿命や強度が低下する場合がある。
〔モリブデンの含有量について〕
モリブデン(Mo)は、クロムと同様に基地に固溶して焼入れ性,焼戻し軟化抵抗性,耐食性,および転動寿命を高める作用を有する元素である。また、クロムと同様に炭素,窒素等の侵入型固溶元素を実質的に動きにくくして基地の組織を安定化し、水素侵入時の寿命低下を大幅に抑制する作用も有している。さらに、合金鋼中に微細に分布する炭化物が、より高硬度のモリブデンの炭化物等からなるために、耐摩耗性を高める作用も有している。
合金鋼中のモリブデンの含有量が0.1重量%未満であると、前述の作用が十分に得られない場合があり、1.5重量%を超えると、冷間加工性、被削性が低下してコストの上昇を招くおそれがある。さらに、製鋼時に粗大な共晶炭化物が生成されやすくなり、転動寿命や強度が低下する場合がある。
〔マンガンの含有量について〕
マンガン(Mn)は、製鋼時に脱酸剤として作用する元素であり、0.1重量%以上添加する必要がある。また、クロムと同様に基地に固溶してMs点を降下させて、多量の残留オーステナイトを確保したり、焼入れ性を高める作用を有している。ただし、多量に添加すると、冷間加工性、被削性が低下するだけでなく、マルテンサイト変態開始温度が低下して、浸炭窒化後に多量の残留オーステナイトが残存し十分な硬さが得られない場合がある。このため、マンガン(Mn)の添加量は1.5重量%以下にする必要がある。
〔ケイ素の含有量について〕
ケイ素(Si)は、マンガンと同様に製鋼時に脱酸剤として作用する元素であり、0.2重量%以上添加する必要がある。また、クロム,マンガンと同様に焼入れ性を向上させるとともに、基地のマルテンサイト化や残留オーステナイトの安定化を促進し、軸受寿命の向上に有効な元素である。さらに、焼戻し軟化抵抗性を高める作用も有している。ただし、多量に添加すると、鍛造性、冷間加工性、被削性および浸炭処理性が低下する場合がある。このため、ケイ素(Si)の添加量は1.2重量%以下にする必要がある。
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。上記の実施形態におけるニードルローラ6とほぼ同様の構成のニードルローラおよび上記の実施形態におけるピニオンシャフト5とほぼ同様の構成のピニオンシャフトを製造し、転動疲労寿命試験を行った。
Figure 2013228031
Figure 2013228031
転動疲労寿命試験の結果を表3に示す。
Figure 2013228031
比較例8(日本精工株式会社製の従来量産仕様)のピニオンシャフトの材質はSUJ2、その他実施例1〜7並びに比較例1〜7は全て同一の合金組成のものを用いた。そのピニオンシャフトは、前記表2のaで示す合金鋼製であり、その合金成分は、C:0.4重量%、Cr:3.0重量%、Mo:1重量%、Mn:1.0重量%、Si:0.4重量%である。
ニードルローラの熱処理条件は、820〜900℃で2〜10時間浸炭窒化処理を施した後に、150〜200℃、1.5時間の条件で焼戻しを施した。この浸炭窒化処理は、RXガス,プロパンガス,アンモニアガスを含有する雰囲気下で行った。その後、焼入れ処理、焼戻し処理により、表面硬さHv750〜900、残留オーステナイト5体積%〜15体積%を確保する。
また、ピニオンシャフトの熱処理条件は、浸炭窒化処理後、焼入れ処理、焼戻し処理により、表面硬さHv650〜820、残留オーステナイト10体積%〜50体積%を確保する。
〔転動疲労寿命試験について〕
ピニオンシャフトを日本精工株式会社製のラジアルニードル試験機に装着した。すなわち、ピニオンギアの中心穴にピニオンシャフトを挿通し、ピニオンシャフトの外周面とピニオンギアの内周面との間に、複数のニードルローラを転動自在に介装した。これにより、ピニオンギアはピニオンシャフトを軸として回転自在とされる。このニードルローラの寸法は直径3mm、長さ27mmである。また、ニードルローラは、JIS鋼種SCM415製の保持器で保持されてケージアンドローラとされている。なお、保持器には浸炭窒化処理が施されている。
そして、下記のような条件で回転試験を行い、ピニオンシャフト、ニードルローラ、ピニオンギアのうち少なくとも一つが破損した時点で寿命に至ったとし、それまでの回転時間を転動疲労寿命とした。結果を表3に示す。なお、表3の転動疲労寿命は、比較例8の転動疲労寿命を1とした場合の相対値で示してある。また、ピニオンシャフト、ニードルローラ、ピニオンギアのうちどの部材が最も破損しやすいか予備試験を行い、ピニオンシャフトが最も破損しやすいことを確認した後に回転試験を行っている。
・寿命試験機:日本精工株式会社製のラジアルニードル試験機
・試験軸受:PCD 15mm、ニードルローラ φ3mm×27mm
・基本動定格荷重C:18200N
・基本静定格荷重C0:27900N
・ラジアル荷重 :6000N
・回転数:8000rpm
・計算寿命L10=85時間
・潤滑油の種類:オートマチックトランスミッションフルード
・潤滑油の温度:100℃
表3から分かるように、実施例1〜7は比較例1〜8と比べて転動疲労寿命が優れていた。
比較例1は、ニードルローラの表層部の残留オーステナイト量が多いため、耐摩耗性、耐転動疲労性、耐熱性が不十分となって、転動疲労寿命が短くなった。
比較例2は、ピニオンシャフトの表層部の残留オーステナイト量が少なく、表面疲労を緩和する応力集中軽減効果が不十分であるため、転動疲労寿命が短かった。
比較例3は、ニードルローラの表面粗さが高く、ニードルローラの表面がピニオンシャフトに与える接線力(圧痕→はく離を駆動する力)を軽減できないため、転動疲労寿命が短かった。
比較例4は、ニードルローラとピニオンシャフトの表面硬さの差が小さいので、ニードルローラの表面がピニオンシャフトに与える接線力(圧痕→はく離を駆動する力)を軽減できず、転動疲労寿命が短くなった。
比較例5は、ニードルローラのケイ素の含有量が少ないため、ニードルローラの表面層にSi・Mn系窒化物を十分に形成できず、ニードルローラの方に良好な耐圧痕性、耐摩耗性を得られないうえ、ニードルローラとピニオンシャフトの表面硬さの差が大きいので、ピニオンシャフトの硬さが低くなりすぎたり、ニードルローラの硬さが硬くなりすぎたりしたことから転動疲労寿命が短かった。
比較例6は、ピニオンシャフトの表層部の残留オーステナイト量が少なく、表面疲労を緩和する応力集中軽減効果が不十分であるうえ、ニードルローラの表層部の残留オーステナイト量が多いため、耐摩耗性、耐転動疲労性、耐熱性が不十分となって、転動疲労寿命が短くなった。
比較例7は、ニードルローラとピニオンシャフトの表面硬さの差が小さいので、ニードルローラの表面がピニオンシャフトに与える接線力(圧痕→はく離を駆動する力)を軽減できず、転動疲労寿命が短くなった。
比較例8は、ニードルローラの表層部の残留オーステナイト量が多いため、耐摩耗性、耐転動疲労性、耐熱性が不十分となり、さらに、ニードルローラとピニオンシャフトの表面硬さの差が小さいので、ニードルローラの表面がピニオンシャフトに与える接線力(圧痕→はく離を駆動する力)を軽減できず、転動疲労寿命が最も短くなった。
1 サンギア
2 リングギア
3 ピニオンギア
4 キャリア
5 ピニオンシャフト
6 ニードルローラ

Claims (2)

  1. ピニオンギアの中心穴にニードルローラを介してピニオンシャフトが相対回転自在に挿通され、前記ピニオンシャフトの両端部がキャリアで支持された遊星歯車機構において、
    前記ニードルローラと前記ピニオンシャフトの焼入れ・焼戻してなる表面硬さの差(前記ニードルローラの表面硬さから前記ピニオンシャフトの表面硬さを減じた値)がHv50〜200であり、
    前記ピニオンシャフトにおいては、表面残留オーステナイトが20体積%以上50体積%以下であり、
    前記ニードルローラにおいては、合金成分のケイ素が0.2重量%以上1.2重量%以下含有する軸受鋼に浸炭窒化処理を施すことにより表層部に表面硬化層を有し、かつ表面残留オーステナイトが5体積%以上15体積%以下であることを特徴とする遊星歯車機構。
  2. 前記ニードルローラの表面粗さが0.1Ra以下であることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構。
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