JP2013224550A - 対面通行トンネルのジェットファンによるトンネル換気制御システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ジェットファン制御装置160はトンネルに外部から進入する車両や自然風などのトンネル外部入力データを計測・収集するトンネル外部入力計測装置110の計測データと、トンネル1内の状態データを計測・収集するトンネル内部状態計測装置120の実測値に基づくトンネル換気推定モデル130を用いた予測部150が予測したトンネル内の状態量の予測値に比べる。もし、トンネル内部状態計測装置120により実測された計測値が所定範囲を超えている場合、トンネル内部状態計測装置120の測定環境に異変があったとしてトンネル内部状態計測装置の計測値に基づく制御を一時停止して直近の制御を継続する。
【選択図】 図2
Description
トンネルの換気にはさまざまな方式がある。わが国に非常に多い3000m以下の中小の対面通行の道路トンネルの換気方式として「縦流換気方式」と呼ばれる換気方式が標準採用される場合が多い。
従来の一般的なジェットファンを用いた縦流換気方式の対面通行道路トンネルを図8に示す。このトンネルは、交通方向が両方向の対面通行トンネルと呼ばれるタイプである。このような対面通行道路トンネルでは、内部に縦流方向の換気を行なうジェットファンが8台配設されている。図8の例ではジェットファン10a、10b、10c、10dの8台が描かれている。対面通行道路トンネル内には図右から図左にかけて縦流の空気流が発生し、左から右にかけてトンネル内の汚染空気が排気される。換気制御装置によりジェットファン10の運転を制御する。
煙霧透過率計(VI計)は物質中を透過する光の割合から汚染濃度を計測する装置であり、また、一酸化炭素濃度計(CO計)は一酸化炭素の濃度を測定する装置である。
ここでは、これらトンネル内の状態を計測・収集する各種計測装置を「トンネル内部状態計測装置」と呼ぶ。
例えば、換気制御装置は、交通量計測装置から現在の交通量を読み込み、次に、この交通量に、自動車の排ガス量係数と道路トンネルの構造係数とを乗算して煤煙発生量を算出し、この煤煙発生量と煤煙濃度の制御目標値とから必要換気量Qを算出する。並行して、換気制御装置は煤煙透過率計から現在の道路トンネル内の空気の汚染濃度をフィードバック値として読み込み、上記のようにして算出した必要換気量Qとフィードバック値との偏差値を求め、この偏差値からPID制御(比例・積分・微分制御)を演算し、このPID制御の演算結果よりジェットファン10を制御、操作している。
従来の第1の問題は、トンネル内部状態計測装置の測定環境の変化に伴うジェットファン制御の誤作動である。
上記したように、従来の対面通行トンネルでは、汚染濃度(VI、CO)に注目したフィードバックによる台数運転が採用され、VI、COのフィードバックが主流ということで交通量計なども設置されない場合が多かった。ジェットファンは直接的にはトンネル内に強制換気力による風速を生じさせるものであるため、汚染濃度に注目したフィードバック制御を行うと、後追い制御となるために過剰換気、換気不足となるケースが多いのが実情である。そこに、さらに、トンネル内部状態計測装置の測定環境の変化に伴うジェットファン制御の誤作動という問題が加わるおそれがある。
例えば、トンネル内の清掃のために散水車が通過した場合に、多量の水しぶきがトンネル内に飛散するが、その水しぶきがトンネル内部状態計測装置のセンサ部分に掛かり、一時的にトンネル内部状態計測装置が異常値を示してしまうことがある。
また、例えば、トンネル内では自動車がライト点灯して走行するが、前方にある車両の凹凸の角度や特殊な塗装などの影響により、異常な光反射がトンネル内で発生し、一時的にトンネル内部状態計測装置が異常値を示してしまうことがある。
また、例えば、トンネル内を走行中の整備不良の車両が特に多量な煤煙を包含する排気ガスをまき散らしつつ走行したり、積載貨物の中に小麦粉やセメント粉などの粉体を含み、その粉体が荷台から偶然漏れつつ走行したりするなどの事情があり、トンネル内部状態計測装置の近辺で煤煙や粉体の浮遊量が増加した場合には、一時的にトンネル内部状態計測装置が異常値を示してしまうことがある。
必要な機械換気力は、自然換気力の大きさや交通換気力の大きさの変動に応じて刻々と変化するが、的確な予測を用いたフィードフォワード制御とフィードバック制御を組み合わせたハイブリッド適応制御や、複数のフィードバックループを連結したカスカード制御などの高度な制御を行うことができれば一層的確な換気制御が可能となる。しかし、上記のように、トンネル内部状態計測装置の測定環境が一時的に変化し、本来の正しいトンネル内状態を示すデータが得られない場合には、それら誤ったデータに基づいてフィードフォワード制御やカスケード制御を行うこととならざるを得ず、トンネル内部状態計測装置の測定環境の一時的な変化による不具合を織り込んだ適切なジェットファン制御を行うことができなかった。
例えば、前記トンネル外部入力計測装置が、少なくとも、車両交通量を計測・収集する交通量計測装置(トラフィックカウンタ)を含むものであり、前記トンネル内部状態計測装置が、少なくとも、煙霧透過率計と、一酸化炭素濃度計と、断面風速計を含む構成がある。
また、トンネル内部状態計測装置として、煙霧透過率計と、一酸化炭素濃度計と、断面風速計に加え、窒素酸化物濃度値を計測する窒素酸化物濃度計を含むものであっても良い。近年、いわゆるNOx規制の重要性も増している。
微気圧計を設けない場合であっても交通量計と風速計データを風速モデルにより自然風を推定することは可能である。
そこで、前記ジェットファン制御装置が、前記計測値に基づく制御の一時停止開始時刻からの経過時間を計測する構成が好ましい。
もし、経過時間が所定時間を超過した場合、ジェットファン制御装置は、前記トンネル内部状態計測装置自体の恒常的な故障が発生している判断することができる。
もし、トンネル内の煙霧透過率データのみが前記所定範囲を超え続けている場合、ジェットファン制御装置は、前記経過時間が所定時間を超過した原因が前記霧に起因したものであると推定し、霧発生時の制御に移行することができる。
例えば、上記のジェットファン制御装置において、前記トンネル内を流れる風をモデル化した風速モデルと、前記トンネル内の車両交通をモデル化した交通モデルと、前記トンネル内を通過する車両により発生する汚染物質の濃度をモデル化した汚染濃度モデルを保持記憶するモデル記憶部と、前記計測装置から取得した前記トンネル内データを入力とし、前記トンネル内データの変化に合わせ、前記モデル記憶部の前記風速モデルと前記交通モデルと前記汚染濃度モデルのパラメータを推定して更新するモデルパラメータ推定部と、煙霧透過率目標値と汚染ガス濃度目標値と、前記計測装置により実測した前記トンネル内データと、前記風速モデルと前記交通モデルと前記汚染濃度モデルを用いた自然風予測と交通風予測と汚染発生量予測を行う予測部と、前記予測部の各予測に基づき、断面風速目標値と換気機器制御目標値を決定するフィードフォワード制御部と、前記換気機器の並列運転台数と回転数との関係と、前記換気機器の正逆逆転時における自然風の自然換気方向と対面交通による交通換気方向との関係とを考慮した省エネ最適選定計画を決める最適選定計画決定部と、前記断面風速目標値と前記換気機器制御目標値に対するフィードバック補正と、前記省エネ最適選定計画とを組み合わせた適応制御を行うハイブリッド適応制御部とを備えたことを特徴とする。
ここで、前記ジェットファンの運転がインバータ駆動運転であり、前記ジェットファンを定格電力以下で前記ハイブリッド適応制御部が決定した最適制御量による連続運転を可能とすることができる。
そこで、ジェットファン制御装置において、前記ハイブリッド適応制御部のフィードバック補正が、前記断面風速目標値と前記計測装置が実測した前記断面風速データから前記換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第1のフィードバック制御と、前記汚染ガス濃度データおよび前記汚染ガス濃度目標値と、前記計測装置が実測した前記煙霧透過率データおよび前記煙霧透過率目標値から前記換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第2のフィードバック制御を備え、前記第1のフィードバックループを包含するように前記第2のフィードバックループを形成せしめたカスケード制御とすることが好ましい。
その上で、トンネル内部状態計測装置の測定環境の一時的な変化による不具合を織り込んだ的確なフィードバック制御や、予測を用いたフィードフォワード制御とフィードバック制御を組み合わせたハイブリッド適応制御や、フィードバックループを連結したカスカード制御などの高度なジェットファン制御による省電力化を可能とした縦流換気システムとなっている。
実施例1にかかる本発明のトンネル換気制御システムの例を簡単に説明する。
図1はトンネル内の様子を模式的に示した図である。
図2は本発明のトンネル換気制御システム100の構成要素を示した構成図である。
図1に示すように、本発明のトンネル換気制御システム100を適用するトンネルは、トンネル内は対面交通となっている。トンネル1内には外界から吹き込む自然風Unによる自然換気力と、通行車両が持つ抵抗により生じる各車両の通行方向に生じる風圧が合成されて生じる交通風Utによる交通換気力、ジェットファン10による機械風Ujによる機械換気力が加わる。これら3つの換気力とトンネル1を流れる空気の壁面摩擦力の合成の結果、トンネル1内にトンネル内風向風速Urが生じる。
図1の構成例では、交通量計測装置(トラフィックカウンタ:TC)111、微差圧計112を備えた構成となっている。
また、トンネル外部入力計測装置110は、システムが正常状態に稼働している期間では、後述する“[3]トンネル内部状態の推定値の取得”で述べるように、モデルパラメータ推定部130が定期的にモデルパラメータを更新する際、実測した交通量データや気圧差データを用いるべく、トンネル外部入力計測装置110は、実測した交通量データや気圧差データを定期的にモデルパラメータ推定部130に対して出力する構成となっている。
この構成例では、煙霧透過率計測器(VI計測器)121、一酸化炭素濃度計測器(CO計測器)122、トンネル内風向風速計(AV計)123、窒素酸化物濃度計測器(NOx計測器)124を備えた構成例となっており、トンネル1内の煙霧透過率データと、汚染ガス濃度データと、断面風速データと、窒素酸化物濃度データを含むトンネル内状態データを計測・収集する。各計測器のセンサはトンネル1内に適宜配置されているものとする。
なお、図示していないが、放射線量計測器も搭載する構成でも良い。近年の福島原発の事故をきっかけにしてトンネル内に浮遊する粉塵の中に存在する放射線量も問題になる可能性があり、トンネル内の放射線量が高くなるとトンネルの換気量を多くするなどの制御も要求されることが有り得るからである。
一酸化炭素濃度データ計測器(CO計測器)122は、トンネル1内の一酸化炭素の濃度を測定する装置である。
トンネル内風向風速計(AV計)123は、縦流換気の流れを計測するために適した位置、例えば、トンネル1の中央部近く及び出口近くに設置されている。
窒素酸化物濃度計(NOx計測器)124は、トンネル1内の窒素酸化物の濃度を測定する装置である。
ジェットファン制御装置160の詳しい制御処理は、“[4]ジェットファン制御装置160における各種制御処理”において詳しく述べるが、そのうちの一つが、『トンネル内部状態計測装置の測定環境の異常発生判定処理』である。トンネル外部入力計測装置110の計測データと予測部150におけるトンネル換気推定モデルにより予測できるトンネル内の状態量の推定値に比べ、トンネル内部状態計測装置120により実測された計測値が所定範囲を超えているかいないかを判定する。トンネル内の状態量の推定値に比べ、トンネル内部状態計測装置120の実測値の所定範囲を超えている場合、トンネル内部状態計測装置の測定環境に異変があったとしてトンネル内部状態計測装置120の計測値に基づく制御を一時停止して直近の制御を継続する判断を行う。つまり、交通量や自然風などトンネルへの外部入力条件の変化が緩やかであるのに、トンネル内部状態計測装置120の測定環境の異変、例えば、一時的な誤動作が発生している場合、その実測値に基づいてジェットファン10の制御量を変化させてしまうと、本来、変化させなくても良いジェットファン10の制御量を変化させてしまうこととなるからである。そこで、トンネル内部状態計測装置120の値が正常値の範囲に戻ってからトンネル内部状態計測装置120の計測値に基づく制御を再開する処理とするのである。
以上が本発明のトンネル換気制御システム100の構成である。
本発明では、ジェットファン10を駆動させる制御量は、平常時は、トンネル内部状態計測装置120が計測した実測の煙霧透過率データや一酸化炭素濃度データや窒素酸化物濃度データやトンネル内風向風速データを主としてジェットファン制御装置160によりフィードバック補正部170に対して与えられる。
予測部150における予測について、図3に示す制御ブロック図を参照しつつ詳しく説明する。
トンネル内風速予測ブロックS1は、トンネル内風速Ur予測について、以下の高速予測処理方法を採用する。
本式を解けばトンネル内の風速を求めることができる。
以上が本発明のトンネル換気制御システム100の任意のt秒後、トンネルの入口からの距離xで発生する汚染発生量C(t,x)の予測処理方法である。
上記した[数1]式の右辺の各項は[数3]式に示すように書ける。
フィードフォワード演算ブロックC0は、基準値である煙霧透過率目標値(VI*)と汚染ガス濃度目標値(CO*)に対して、換気機器10による強制換気量と車両交通量による交通換気量とトンネル内に流れ込む自然風による自然風換気量を勘案し、トンネル内の断面風速目標値(Ur*)および換気機器制御目標値(JF*)とを決定する部分である。つまり、トラフィックカウンタからの交通量の変化をもとにVI目標値およびCO目標値を実現するための風向風量の目標値Ur*と、ジェットファン10の制御量目標値JF*をフィードフォワード演算する部分である。つまり、トラフィックカウンタから得られる車種別の交通量と車種別の発生汚染物質からトンネル内に発生が予想される汚染物質量とトンネルの長さや断面積などの諸元データから予想される煙霧透過率(VI)と一酸化炭素濃度(CO)を計算し、それらの値を目標値であるVI目標値(VI*)およびCO目標値(CO*)内に収めるために必要とされる風向風量を計算し、その値をUr目標値(Ur*)として得る。さらにそのUr目標値(Ur*)を発生させるために必要とされるジェットファン10による機械換気風Ujを計算し、その機械換気風Ujを発生させるためのジェットファン10の制御量を計算し、その値をJF目標値(JF*)として得る。
以上が、本発明のトンネル換気制御システム100における予測処理の例である。
トンネル内部状態計測装置120の各々の煙霧透過率データ計測器(VI計測器)121、一酸化炭素濃度データ計測器(CO計測器)122、トンネル内風向風速計(AV計)123、窒素酸化物濃度データ(NOx計測器)124のいずれかまたは複数において測定環境に異常が生じ、その測定データが正常値から離れてしまう不具合が発生した場合を想定する。
ジェットファン制御装置160におけるトンネル内部状態計測装置120の測定環境に一時的な異常が生じたかの判定処理について説明する。図4は測定環境の異常発生判定処理の流れを簡単に示すフローチャートである。
なお、放射線量についても制御を行う場合、トンネル内部状態計測装置120から放射線量の実測値を取得し、予測部150から放射線量予測を取得する。
ここで、実測値と予測値の差異についてどの程度までが正常の範囲内と扱うかについては、システムの運用により自由に設定できるが、例えば、予測値に対して上限閾値、下限閾値を設けておき、実測値がその上限閾値と下限閾値の間に収まっているか否かで判断できる。
図6において、時刻t1までは、差異が所定の範囲に収まっているが、時刻t1において、風速(Av)、煙霧透過率(VI)とも急激に変化し、上限値または下限値の閾値を超えてしまっている。この時刻t1まではステップS2では“Y”となっているが、時刻t1の時点でステップS2が“N”となる。
次に、実測値と予測値の差異が異常を示し始めてからの経過時間をチェックし(ステップS5)、所定の経過時間範囲内であれば(ステップS5:Y)ステップS6に進み、所定の経過時間範囲内を超えている場合であれば(ステップS5:N)ステップS7に進む。
この所定経過時間をチェックする理由は、トンネル内部状態計測装置120のいずれかの計測器において発生した急激な計測値の変化が、トンネル内で火災が発生した事情やトンネル外の気候が劇的に変化したなどの事情やトンネル内部状態計測装置120の計測器自体が故障したなどの継続的(恒常的)な事情であるか、または、清掃用の散水車が通過するなどトンネル内部状態計測装置120の計測器のいずれかまたは複数の測定環境が変化した一時的な事情であるかを見極めるためである。継続的(恒常的)な事情であれば、実測値と予測値の差異が異常を示し始めてからの経過時間は長く続くが、一時的な事情であれば、実測値と予測値の差異が異常を示し始めてから適度な時間で実測値が本来の値に戻るためにその差異が解消するからである。
測定環境の一時的な要因による異常発生の理由としては、例えば、トンネル内の清掃のために散水車が通過した場合に、多量の水しぶきがトンネル内に飛散し、その水しぶきがトンネル内部状態計測装置のセンサ部分に掛かり、一時的にトンネル内部状態計測装置が異常値を示してしまう場合がある。また、例えば、トンネル内では自動車がライト点灯して走行し、前方にある車両の凹凸の角度や特殊な塗装などの影響により、異常な光反射がトンネル内で発生し、一時的にトンネル内部状態計測装置が異常値を示してしまう場合がある。また、例えば、トンネル内を走行中の特定の車両が特に多量な煤煙を包含する排気ガスをまき散らしつつ走行したり、積載貨物の中に小麦粉やセメント粉などの粉体を含み、その粉体が荷台から偶然漏れつつ走行したりするなどの事情があり、トンネル内部状態計測装置の近辺で煤煙や粉体の浮遊量が増加した結果、一時的にトンネル内部状態計測装置が異常値を示してしまう場合などがある。
経過時間が所定時間内であれば(図4ステップS5:Y)、継続的(恒常的)な事情による急激な計測値の変化であっても、一時的な測定環境の異常による急激な計測値の変化あっても、トンネル内部状態計測装置120の計測値に基づくフィードバック制御を一時停止し、ジェットファンの制御量を、異常が発生する前の直近の制御量を維持継続する扱いとする(図4ステップS6)。
このように、散水車の通過や対向車の光反射など、本来はジェットファン駆動の運転を切り替える必要のない事情にて一時的にトンネル内部状態計測装置の計測値が急激に変化した場合でも、そのままフィードバック制御がかかるのではなく、計測値に見られる急激な変化が一時的な測定環境の変化に起因するものか否かを見極めるまで正常運転を続けることができる。
前述したように、経過時間が所定時間を経過すれば(図4ステップS5:N)、継続的(恒常的)な事情による急激な計測値の変化の可能性があると判断するが、継続的(恒常的)な事情によって、計測値の変化の仕方にも特徴がある。
トンネル外部入力計測装置110からフィードバック補正部170までは実施例1の構成と同じであるので、ここでの説明は省略する。
フィードフォワード制御部180は、予測部150の各種予測に基づき、断面風速目標値と換気機器制御目標値を決定する部分である。
ハイブリッド適応制御部190は、断面風速目標値と前記計測装置が実測した前記断面風速データから前記換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第1のフィードバック制御と、汚染ガス濃度データおよび汚染ガス濃度目標値と、計測装置が実測した煙霧透過率データおよび煙霧透過率目標値から換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第2のフィードバック制御を備えた構成とし、第1のフィードバックループを包含するように第2のフィードバックループを形成せしめたカスケード制御とする。
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
110 トンネル外部入力計測装置
111 トラフィックカウンタ
112 微気圧計
120 トンネル内部状態計測装置
121 煙霧透過率計測器(VI計測器)
122 一酸化炭素濃度計測器(CO計測器)
123 トンネル内風向風速計(AV計)
124 窒素酸化物濃度計測器(NOx計測器)
130 モデルパラメータ推定部
140 モデル記憶部
150 予測部
160 ジェットファン制御装置
170 フィードバック補正部
180 フィードフォワード制御部
185 最適選定計画決定部
190 ハイブリッド適応制御部
Claims (11)
- トンネル外近辺またはトンネル内に設置され、前記トンネルに外部から進入する車両や自然風などのトンネル外部入力データを計測・収集するトンネル外部入力計測装置と、
前記トンネル内に設置され、トンネル内の状態データを計測・収集するトンネル内部状態計測装置と、
前記トンネル外部入力計測装置と前記トンネル内部状態計測装置の計測値をもとに前記トンネル内を換気するジェットファンの駆動を制御するジェットファン制御装置を備え、
前記ジェットファン制御装置が、前記トンネル外部入力計測装置の計測データとトンネル換気推定モデルにより予測できる前記トンネル内の状態量の予測値に比べて前記トンネル内部状態計測装置により実測された計測値が所定範囲を超えている場合、前記トンネル内部状態計測装置の測定環境に異変があったとして前記トンネル内部状態計測装置の前記計測値に基づく制御を一時停止して直近の制御を継続し、前記所定範囲に戻ってから前記トンネル内部状態計測装置の前記計測値に基づく制御を再開することを特徴とするトンネル換気制御システム。 - 前記トンネル外部入力計測装置が、少なくとも、トンネル内に進入する車両交通量を計測・収集する交通量計測装置を含むものであり、
前記トンネル内部状態計測装置が、少なくとも、煙霧透過率計と、一酸化炭素濃度計と、断面風速計を含むものである請求項1に記載のトンネル換気制御システム。 - 前記トンネル内部状態計測装置が、窒素酸化物濃度値を計測する窒素酸化物濃度計を含むものである請求項2に記載のトンネル換気制御システム。
- 前記トンネル外部入力計測装置が、前記トンネルの出入り口に設けられ、気圧差によりトンネル内に吹き込む自然風を推定する微気圧計を含むものである、請求項2に記載のトンネル換気制御システム。
- 前記ジェットファン制御装置が、前記計測値に基づく制御の一時停止開始時刻からの経過時間を計測し、所定時間内に前記計測値が前記所定範囲内に戻った場合、前記トンネル内部状態計測装置における測定環境の一時的な変化に起因したものであったと判断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトンネル換気制御システム。
- 前記ジェットファン制御装置が、前記計測値に基づく制御の一時停止開始時刻からの経過時間を計測し、前記経過時間が所定時間を超過した場合、前記トンネル内部状態計測装置自体の恒常的な故障が発生していると判断することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトンネル換気制御システム。
- 前記ジェットファン制御装置は、前記トンネル内の煙霧透過率データのみが前記所定範囲を超え続けている場合、前記経過時間が所定時間を超過した原因が前記霧に起因したものであると推定し、霧発生時の制御に移行することを特徴とする請求項6に記載のトンネル換気制御システム。
- 前記ジェットファン制御装置は、前記トンネル内の煙霧透過率データ、前記汚染ガス濃度データ、風速データのいずれもが前記所定範囲を超え続けている場合、前記経過時間が所定時間を超過した原因が前記トンネル外部入力計測装置の恒常的な故障が発生していると判断することを特徴とする請求項7に記載のトンネル換気制御システム。
- 前記ジェットファン制御装置が、前記トンネル換気推定モデルに関し、
前記トンネル内を流れる風をモデル化した風速モデルと、前記トンネル内の車両交通をモデル化した交通モデルと、前記トンネル内を通過する車両により発生する汚染物質の濃度をモデル化した汚染濃度モデルを保持記憶するモデル記憶部と、
前記計測装置から取得した前記トンネル内データを入力とし、前記トンネル内データの変化に合わせ、前記モデル記憶部の前記風速モデルと前記交通モデルと前記汚染濃度モデルのパラメータを推定して更新するモデルパラメータ推定部と、
煙霧透過率目標値と汚染ガス濃度目標値と、前記計測装置により実測した前記トンネル内データと、前記風速モデルと前記交通モデルと前記汚染濃度モデルを用いた自然風予測と交通風予測と汚染発生量予測を行う予測部と、
前記予測部の各予測に基づき、断面風速目標値と換気機器制御目標値を決定するフィードフォワード制御部と、
前記換気機器の並列運転台数と回転数との関係と、自然風の自然換気方向と対面交通による交通換気方向との関係とを考慮した省エネ最適選定計画を決める最適選定計画決定部と、
前記断面風速目標値と前記換気機器制御目標値に対するフィードバック補正と、前記省エネ最適選定計画とを組み合わせた適応制御を行うハイブリッド適応制御部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のトンネル換気制御システム。 - 前記ジェットファンの運転がインバータ駆動運転であり、前記ジェットファンを定格電力以下で前記ハイブリッド適応制御部が決定した最適制御量による連続運転を可能とした請求項9に記載のトンネル換気制御システム。
- 前記ハイブリッド適応制御部のフィードバック補正が、前記断面風速目標値と前記計測装置が実測した前記断面風速データから前記換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第1のフィードバック制御と、前記煙霧透過率データおよび前記汚染ガス濃度目標値と、前記計測装置が実測した前記煙霧透過率データおよび前記汚染ガス濃度目標値から前記換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第2のフィードバック制御を備え、前記第1のフィードバックループを包含するように前記第2のフィードバックループを形成せしめたカスケード制御としたことを特徴とする請求項10に記載のトンネル換気制御システム。
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