JP4898732B2 - 対面通行トンネルのジェットファンによるトンネル換気制御システム - Google Patents

対面通行トンネルのジェットファンによるトンネル換気制御システム Download PDF

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Description

本発明は、対面通行の道路トンネルの換気設備装置、特にインバータ駆動ジェットファンを用いた縦流式の換気制御方式により換気をする道路トンネルの換気技術に関する。
道路トンネルにおいては、人体に対して有害な自動車のエンジンからの排出物質や塵埃などが浮遊しており、そのままではトンネル内の汚染物質濃度が高まってゆく。そこで、トンネル内の良好な環境を確保するためトンネル内の汚染物質を排気する必要がある。トンネル内の汚染物質を排気するには自然換気力や交通換気力による換気では不十分であり、トンネル内に設置された換気機を用いた強制換気が行われている。
トンネルの換気にはさまざまな方式がある。わが国に非常に多い3000m以下の中小の対面通行の道路トンネルの換気方式として「縦流換気方式」と呼ばれる換気方式が標準採用される場合が多い。
「縦流換気方式」とは、トンネル断面全体を換気ダクトとして利用する方式の換気方式であり、用いる換気装置としては、道路トンネル内の空気をトンネル外に押し出すジェットファン、道路トンネル内の空気を浄化する電気集塵機などがあり、適宜これらを組み合わせてトンネルの入口から出口に向かう空気流を形成して排気する。道路トンネルの中央付近に立抗を設けて道路トンネル内の空気を道路トンネル外の空気と交換する集中排気方式を組み合わせることもある。
従来の「縦流換気方式」でのジェットファン駆動モータは起動電流が定格電流の数倍となる誘導モータで駆動されている。
従来の一般的なジェットファンを用いた縦流換気方式の対面通行道路トンネルを図10に示す。このトンネル1は、交通方向が両方向の対面通行トンネルと呼ばれるタイプである。このような対面通行道路トンネル1では、内部に縦流方向の換気を行なうジェットファンが複数台配設されている。図10の例ではジェットファン10a、10b、10c、10dの4台が描かれている。対面通行道路トンネル内1には図左から図右にかけて縦流の空気流Aが発生し、左から右にかけてトンネル内の汚染空気が排気される。換気制御装置によりジェットファン10の運転を制御する。
図10の例ではトンネル1内の入口近く、中央部近く、出口近くの各場所に風向風速計(AV計)がそれぞれ設置されており、排気抗の入口近くには、汚染濃度計である煙霧透過率計(VI計)、一酸化炭素濃度計(CO計)が設置されている(図示せず)。ここで、煙霧透過率計(VI計)は物質中を透過する光の割合から汚染濃度を計測する装置であり、また、一酸化炭素濃度計(CO計)は一酸化炭素の濃度を測定する装置である。交通量計測装置は対面通行道路トンネル1内を通過する車の交通量を計測する装置である。
従来のジェットファンを用いた縦流換気方式では、対面通行道路トンネル1内部の風向風速計、煙霧透過率計、一酸化炭素濃度計、交通量計測装置から得られた各種環境成分値に基づいて、換気制御装置(図示せず)により対面通行道路トンネル1内部に設置されたジェットファン10a〜10dの運転台数を調整することが行われている。すなわち、対面通行道路トンネル1内部には、例えば、煤煙、一酸化炭素、交通量、または風向風速等の環境成分値を測定する環境成分測定器が設置され、これらの環境成分測定器の計測値に基づいて、必要な換気量を確保するのに必要な台数だけジェットファン10a〜10dを運転し、これによって汚染物質濃度を予め設定されている許容値以下にして、トンネル利用者の安全性、快適性を確保している。従来の対面通行トンネルでは費用対効果から汚染濃度(VI、CO)のフィードバックによる台数運転が採用されてきたが、運転速度の制御を行うものも知られている。
例えば、換気制御装置は、交通量計測装置から現在の交通量を読み込み、次に、この交通量に、自動車の排ガス量係数と道路トンネルの構造係数とを乗算して煤煙発生量を算出し、この煤煙発生量と煤煙濃度の制御目標値とから必要換気量Qを算出する。並行して、換気制御装置は煤煙透過率計から現在の道路トンネル内の空気の汚染濃度をフィードバック値として読み込み、上記のようにして算出した必要換気量Qとフィードバック値との偏差値を求め、この偏差値からPID制御(比例・積分・微分制御)を演算し、このPID制御の演算結果よりジェットファン10を制御、操作している。
特開2004−19250号公報
従来の縦流換気方式には以下の問題があった。
従来の第1の問題は、汚染濃度(VI、CO)に注目したフィードバック制御技術を用いた縦流換気方式では電力量が大きくなってしまうという問題である。従来の対面通行トンネルでは汚染濃度(VI、CO)に注目したフィードバックによる台数運転が採用されてきたが、ジェットファンは直接的にはトンネル内に強制換気力による風速を生じさせるものであるため、汚染濃度に注目したフィードバック制御を行うと、後追い制御となるために過剰換気、換気不足となるケースが多いのが実情である。従来では換気力としてジェットファンによる機械換気力しか考えないことが通例であった。交通換気力については、従来は、対面通行トンネルの場合は走行車両による換気力を期待せず、逆に換気上の抵抗として考える場合が多かった。また、VI、COのフィードバックが主流ということで交通量計なども設置されず交通換気力を把握できない場合が多かった。自然風は換気機器の換気方向に対して順風であったり、逆風であったりするため、換気動力費に大きな影響を与えることは知られていたが、トンネル周辺の気象状況によって風向や風速が常に変化しているため、自然換気力の積極的な利用は困難であり、あくまで機械換気が主で自然風は従と考えられてきた。こうして補助的に利用する場合も、自然風の把握には、トンネル両坑口に微気圧計を設置する必要があり、初期費用ならびに保守費用が増大するという問題があった。
従来の第2の問題は、的確な予測を用いたフィードフォワード制御が難しいという問題があった。自然換気力の大きさや交通換気力の大きさの変動に応じて刻々と変化するが、それら変化を的確に織り込んだジェットファン制御を行うことができなかった。自然換気力や交通換気力の大きさや方向の変化を的確に織り込んだフィードフォワード制御を行うことができれば消費電力量を低減することが可能となる。
従来の第3の問題は、オンオフ切り替えのジェットファンの運転切り替えには大きなスパンが必要とされ、即応性に問題があり細かく運転制御できないという問題があった。対面通行トンネルは一方通行のトンネルに比べ交通換気力が互いに反対方向に働くため、車道内風速が不安定な運転になりやすいといわれている。一般的には平常時及び非常時(火災時)とも、ジェットファンの運転台数を切り換える事で実現されてきたため精度の高い制御は困難であった。しかるにジェットファン駆動モータは起動電流が定格電流の数倍となる誘導モータであるため、停止後30分程度は起動できない問題があった。また、その回転数は電源周波数により定まる固定回転数となるため、縦流換気力も固定値(最大値)しかとれない。そのために従来のジェットファン運転では即応性に問題があり細かく運転制御できないという問題があった。
上記問題点に鑑み、本発明は、フィードバック制御、フィードフォワード制御を工夫して省電力化を可能とした縦流換気システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかるトンネル換気制御システムは、
トンネル内に配設された複数の換気機器と、
前記トンネル内の煙霧透過率データと、汚染ガス濃度データと、断面風速データと、トンネル内の車両交通量データとを含むトンネル内データを計測・収集するセンサ部と、
前記トンネル内を流れる風をモデル化した風速モデルと、前記トンネル内の車両交通をモデル化した交通モデルと、前記トンネル内を通過する車両により発生する汚染物質の濃度をモデル化した汚染濃度モデルを保持記憶するモデル記憶部と、
前記センサ部から取得した前記トンネル内データを入力とし、前記トンネル内データの変化に合わせ、前記モデル記憶部の前記風速モデルと前記交通モデルと前記汚染濃度モデルのパラメータを推定して更新するモデルパラメータ推定部と、
煙霧透過率目標値と汚染ガス濃度目標値と、前記センサ部により実測した前記トンネル内データと、前記風速モデルと前記交通モデルと前記汚染濃度モデルを用いた自然風予測と交通風予測と汚染発生量予測を行う予測部と、
前記予測部の各予測に基づき、断面風速目標値と換気機器制御目標値を決定するフィードフォワード制御部と、
前記換気機器の並列運転台数と回転数との関係と、前記換気機器の正逆逆転時における自然風の自然換気方向と対面交通による交通換気方向との関係とを考慮した省エネ最適選定計画を決める最適選定計画決定部と、
前記断面風速目標値と前記換気機器制御目標値に対するフィードバック補正と、前記省エネ最適選定計画とを組み合わせた適応制御を行うハイブリッド適応制御部とを備え、、前記ハイブリッド適応制御部のフィードバック補正が、前記断面風速目標値と前記センサ部が実測した前記断面風速データから前記換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第1のフィードバック制御と、前記汚染ガス濃度データおよび前記汚染ガス濃度目標値と、前記センサ部が実測した前記煙霧透過率データおよび前記煙霧透過率目標値から前記換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第2のフィードバック制御を備え、前記第1のフィードバックループを包含するように前記第2のフィードバックループを形成せしめたカスケード制御としたことを特徴とする。
なお、上記構成において、各々の構成は下記のものとすることが好ましい。
まず、前記換気機器の運転がインバータ駆動運転であり、前記換気機器を定格電力以下で前記ハイブリッド適応制御部が決定した最適制御量による連続運転を可能とすることが好ましい。
次に、前記風速モデルとして[数12]の方程式を前記トンネル内風向風速Urに関する2次多項式とみて2つの定常解をUr1*、Ur2*とし、Urについて解いた[数13]による解析解に基づく離散時間風速モデルとして高速化を図ったものであることが好ましい。
Figure 0004898732
Figure 0004898732
ここで、前記トンネル内風向風速Ur、前記トンネル断面積Ar、前記トンネル長L、空気密度ρ、前記トンネル内壁面摩擦力Pr、交通換気力Pt、自然換気力Pn、機械換気力Pjとし、a、b、c、α、βは係数とする。
次に、前記汚染濃度モデルとして、[数14]の移流拡散方程式をC(t,x)について解いた[数15]による解析解に基づく離散時間汚染濃度モデルとして高速化を図ったものであることが好ましい。
Figure 0004898732
Figure 0004898732
ここで、汚染濃度C、前記トンネル内風向風速Ur、時間t、前記トンネル入口から流下方向への距離x、汚染発生量Mとする。Arはトンネル断面積、Dは拡散係数、Miはi番目の車両による汚染発生量、tiはi番目の車両による汚染発生時刻、xiはi番目の車両のトンネル入口からの距離である。
次に、前記ハイブリッド適応制御部による前記換気機器運転の結果として、前記センサ部が収集した実測データと、前記予測部が予測した予測データとのずれの修正において、前記モデルパラメータ推定部が、[数16]と[数17]から得た[数18]を、大型車両等価抵抗面積P1、小型車両等価抵抗面積P2、自然風風速P3をパラメータとして整理した[数19]においてP1,P2,P3に関して[数20]の線形性が成立していると扱うことにより離散時間確率システムのカルマンフィルタ問題としてパラメータP1,P2,P3の推定を行うことが好ましい。
Figure 0004898732
Figure 0004898732
ここで、Arはトンネル断面積、Lはトンネル長、ρは空気密度、Dは拡散係数、Prはトンネル内壁面摩擦力、Ptは交通換気力、Pnは自然換気力、Pjは機械換気力とし、α、βは係数、ζeは入口損失係数、λは壁面摩擦抵抗係数、Amは車両等価抵抗面積、Vtは平均車両速度、nは車両数、添字の(H)は大型車、(L)は小型車φはジェットファンの吹き出し面積Ajとトンネル断面積Arの断面積比(Aj/Ar)、Ψはトンネル内風速Urとジェットファンの吹き出し風速Ujとの風速比(Ur/Uj)
Figure 0004898732
Figure 0004898732
Figure 0004898732
次に、前記ハイブリッド適応制御部による前記換気機器運転の結果として、前記センサ部が収集した実測データと、前記予測部が予測した予測データとのずれの修正において、前記モデルパラメータ推定部が、大型車両煤煙発生量P4、小型車両煤煙発生量P5をパラメータとして[数14]を整理した[数21]においてP4,P5に関して線形性が成立していることに着目することにより[数22]および離散時間確率システムのカルマンフィルタ問題としてパラメータP4,P5の推定を行うことが好ましい。
Figure 0004898732
Figure 0004898732
上記構成により、ジェットファンをインバータ運転することにより、ジェットファン駆動の正逆逆転運転や回転数の変更など定格電流により速やかに制御を行うことができ、省電力化の効果が得られる。従来の誘導モータによるジェットファン運転では、運転保護インターバル時間があり、一旦停止したジェットファンは10分間運転不可であったが、上記のようにインバータ制御運転を前提とすれば、即応性を得ることができ、細かい運転制御が可能となる。
また、上記構成により、フィードバック制御に関しては、トンネル内の風向風速のフィードバック制御と、トンネル内の汚染濃度のフィードバック制御をカスケード制御することにより、細かく変化しやすい風向風速に対してジェットファンの運転を細かくフィードバック制御することができ、また、風向風速に比べて変化が遅くあらわれる汚染濃度に対してもカスケード制御によりジェットファンの運転をフィードバック制御できるので、全体として過剰換気、換気不足となるケースを少なく低減でき、省エネ運転を実現できる。
また、フィードフォワード制御に関しては、解析解に基づく離散時間の風速モデルと汚染濃度モデルとを適用し、前記換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数の最適制御量を算出し、解析精度を高めることが可能となる。また、上記のようにパラメータ推定が線形性を利用してカルマンフィルタの問題に帰着し、未知数である自然換気力(Ur)、大型車両交通換気パラメータ(AmHeavy)、小型車両交通換気パラメータ(AmLight)、大型車両汚染発生パラメータ(CoHeavy)、小型車両汚染発生パラメータ(CoLight)としてセンサ部で得た実測値を代入するのみで高速に求めることができる。
本発明のトンネル換気制御システムによれば、自然風予測と交通風予測と汚染発生量予測の少なくとも3つの予測に基づくフィードフォワード制御、風向風速と汚染濃度の2つのフィードバック補正を組み合わせたカスケード制御、省エネ最適選定計画に基づくジェットファンの並列運転台数と正逆方向とその回転数の最適に制御などを組み合わせたハイブリッド型の適応制御により交通換気力、自然風換気力を適切に織り込んだ省エネルギー運転を行うことができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明のインバータ駆動ジェットファンによるトンネル換気制御システムの実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
実施例1にかかる本発明のトンネル換気制御システムの例を示す。
図1は本発明のトンネル換気制御システム100の機能面に注目した制御ブロック図である。
図2はトンネル内の様子を模式的に示した図である。
図3は本発明のトンネル換気制御システム100の構成要素を示した構成図である。
本発明のトンネル換気制御システム100は、ジェットファンのみによる機械換気力のみならず、自然風による自然換気力、通行車両が持つ抵抗により生じる交通風による交通換気力などを組み合わせたフィードフォワード制御、カスケード制御を組み込んだフィードバック制御、モデルのパラメータ推定処理などにより、適切にトンネル内風向風速Ur、汚染濃度をコントロールし、ジェットファンのインバータ運転による省エネルギー運転を実現するものである。
本発明のトンネル換気制御システム100を適用するトンネルは、図2に示すように、トンネル1内は対面交通となっている。トンネル1内には外界から吹き込む自然風Unによる自然換気力と、通行車両が持つ抵抗により生じる各車両の通行方向に生じる風圧が合成されて生じる交通風Utによる交通換気力、ジェットファン10による機械風Ujによる機械換気力が加わる。これら3つの換気力とトンネル1を流れる空気の壁面摩擦力の合成の結果、トンネル1内にトンネル内風向風速Urが生じる。
なお、換気機器10は、トンネル1内の空気を換気する機器であり、ここでは、インバータ駆動により運転されるジェットファンであり、複数台あり、それらの並列運転が可能なものとなっている。換気機器10は定格電力以下で後述するように最適制御量による連続運転が可能となっている。
図1の制御ブロック図を参照しつつ詳しく説明する。
まず、本発明のトンネル換気制御システム100は、トンネル内風速予測ブロックS1と汚染発生量予測ブロックS2とを備えている。
トンネル内風速予測ブロックS1は、トンネル内風速Ur予測について、以下の高速予測処理方法を採用する。
まず、ニュートンの法則から次の[数23]式が成立する。
Figure 0004898732
ここで、Arはトンネル断面積、Lはトンネル長、ρは空気密度、Prは壁面摩擦力、Ptは交通換気力、Pnは自然換気力、Pjはジェットファン換気力である。
この[数23]式をトンネル内風速Urに関して解くと[数24]式のようになる。
Figure 0004898732
ここで、Ur1*、Ur2*は、[数23]の右辺を0とする2つの定常解である。
この[数24]を用いれば、トンネル内風速予測演算ブロックS1は、任意のt秒後のトンネル内風速Ur(t)を高速に求めることができる。
次に、汚染発生量予測ブロックS2は、汚染発生量C(t,x)予測について、以下の高速予測処理方法を採用する。まず、移流拡散方程式は[数25]式のように書ける。
Figure 0004898732
ここで、Urはトンネル内風速、Cは汚染濃度、Dは拡散係数、tは時間、xは流下方向への距離である。
移流拡散方程式[数25]式を汚染濃度 C(t,x)について解けば[数26]式となる。
Figure 0004898732
ここで、xはトンネル入口からの距離、Arはトンネルの断面積、Dは拡散係数、Urはトンネル内風速、Miはi番目の車両による汚染発生量、tiはi番目の車両による汚染発生時刻、xiはi番目の車両のトンネル入口からの距離である。
この[数26]を用いれば、汚染発生量予測ブロックS2は、任意のt秒後、トンネルの入口からの距離xで発生する汚染発生量C(t,x)を高速に求めることができる。
以上が本発明のトンネル換気制御システム100の任意のt秒後、トンネルの入口からの距離xで発生する汚染発生量C(t,x)の高速の予測処理方法である。
本発明のトンネル換気制御システム100では、トンネル内風速予測ブロックS1、汚染発生量予測ブロックS2での予測精度を上げるため、モデルのパラメータを推定して更新してゆく。各種センサから取得したトンネル内データを入力とし、トンネル1内データの変化に合わせ、モデル記憶部120の風速モデルと交通モデルと汚染濃度モデルのパラメータを推定して更新する。
パラメータ推定では、後述するように換気機器運転の結果、センサにて得た実測データと、トンネル内風速予測ブロックS1で予測した予測データとのずれの修正において、トンネル内風速モデルを大型車両等価抵抗面積P1、小型車両等価抵抗面積P2、自然風風速P3をパラメータとし、各パラメータに関する線形性を利用してパラメータ推定を行うことができる。線形性を利用すればパラメータの更新を高速に行うことができ、計算コストを低減させることができる。
この高速のパラメータ推定処理について詳しく説明する。
上記した[数23]式の右辺の各項は[数27]式に示すように書ける。
Figure 0004898732
ζeは入口損失係数、λは壁面摩擦抵抗係数、Amは車両等価抵抗面積、Vtは平均車両速度である。添字の(H)は大型車、(L)は小型車である。
この[数27]式を用いて[数23]式をAm(H)、Am(L)、自然風Unに関してまとめると[数28]のようになる。
Figure 0004898732
大型車両等価抵抗面積Am(H)をP1、小型車両等価抵抗面積Am(L)をP2、自然風風速|Ur|UrをP3とすると、[数28]式はパラメータP1、P2、P3によって[数29]式のようになる。
Figure 0004898732
[数29]式はパラメータP1、P2、P3に関して[数30]式のように表わすことができる。
Figure 0004898732
なお、εdは観測雑音である。
ここで、パラメータP1、P2、P3は短時間では大きく変化しないと考えられるので、[数31]の線形性が成立していると扱うことができる。
Figure 0004898732
なお、ε1、ε2、ε3は状態雑音である。
ここで、[数30]式を観測方程式、[数31]を状態方程式と見ることにより、離散時間確率システムのカルマンフィルタ問題に帰着することができるので、パラメータP1,P2,P3の推定を高速に行うことができることが分かる。[数30]式、[数31]式をもとに離散時間確率システムのカルマンフィルタとしてパラメータP1,P2,P3の推定を行うことにより高速にパラメータ推定を実行することができる。
次に、汚染発生量予測ブロックS2での予測精度を上げるため、センサが収集した実測データと、汚染発生量予測ブロックS2が予測した予測データとのずれの修正において、大型車両煤煙発生量P4、小型車両煤煙発生量P5をパラメータとして整理した[数32]においてP4,P5に関して[数33]の線形性が成立していることに着目することにより離散時間確率システムのカルマンフィルタ問題としてパラメータP4,P5の推定を行うことができる。線形性を利用すればパラメータの更新を高速に行うことができ、計算コストを低減させることができる。
この高速のパラメータ推定処理について詳しく説明する。
上記した[数25]を大型車両煤煙発生量P4、小型車両煤煙発生量P5について整理すると[数32]が得られる。
Figure 0004898732
なお、εeは観測雑音である。
ここで、パラメータP4、P5は短時間では大きく変化しないと考えられるので[数33]が成立していると扱うことができる。
Figure 0004898732
なお、ε4,ε5は状態雑音である。
ここで、[数32]式を観測方程式、[数33]を状態方程式と見ることにより、線形の離散時間確率システムのカルマンフィルタ問題に帰着することができるので、パラメータP4,P5の推定を高速に行うことができることが分かる。[数32]式、[数33]式をもとに離散時間確率システムのカルマンフィルタとしてパラメータP4,P5の推定を行うことにより高速にパラメータ推定を実行することができる。
次に、図1に戻り、他のブロックの説明を続ける。
フィードフォワード演算ブロックC0は、基準値である煙霧透過率目標値(VI*)と汚染ガス濃度目標値(CO*)に対して、換気機器10による強制換気量と車両交通量による交通換気量とトンネル内に流れ込む自然風による自然風換気量を勘案し、トンネル内の断面風速目標値(Ur*)および換気機器制御目標値(JF*)とを決定する部分である。つまり、トラフィックカウンタからの交通量の変化をもとにVI目標値およびCO目標値を実現するための風向風量の目標値Ur*と、ジェットファン10の制御量目標値JF*をフィードフォワード演算する部分である。つまり、トラフィックカウンタから得られる車種別の交通量と車種別の発生汚染物質からトンネル内に発生が予想される汚染物質量とトンネルの長さや断面積などの諸元データから予想される煙霧透過率(VI)と一酸化炭素濃度(CO)を計算し、それらの値を目標値であるVI目標値(VI*)およびCO目標値(CO*)内に収めるために必要とされる風向風量を計算し、その値をUr目標値(Ur*)として得る。さらにそのUr目標値(Ur*)を発生させるために必要とされるジェットファン10による機械換気風Ujを計算し、その機械換気風Ujを発生させるためのジェットファン10の制御量を計算し、その値をJF目標値(JF*)として得る。
次に、本発明のトンネル換気制御システム100における2つのフィードバック制御に関するカスケード制御について説明する。
風速制御演算器C1は、目標値となるVI目標値(VI*)およびCO目標値(CO*)と、実際にトンネル内で計測される計測値VIおよび計測値COとの差分を受けて、換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する部分であり、風向風量の調整値(ΔUr)を演算する。図1の点線で示すように、トンネル1内の汚染量に関する第1のフィードバックループを形成している。
換気量制御演算器C2は、風速制御演算器C1から与えられるUR目標値(Ur*)と、実際にトンネル1内においてAV計114により計測される計測値Urとの差分を受けて、換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する部分であり、ジェットファン運転の調整値(ΔJF)を演算する。図1の点線で示すように、トンネル1内の風量に関する第2のフィードバックループを形成している。
なお、換気機器操作量制御ブロックAは、フィードフォワード演算器C0が決定した換気機器制御目標値(JF*)と、換気量制御演算器C2が決定したジェットファン運転の調整値(ΔJF)を受けて、実際にジェットファン10の運転制御を行う。
トンネル内の風量プロセス201は、実際のトンネル1が持つトンネル風に関する系をブロックとして表したものであり、入力として換気機器であるジェットファンの駆動の強制換気力により発生する機械風と外乱にまとめられており、外乱には、トンネル1に対して吹き込む自然風とトンネル内を通行する車両により発生する交通風等がある。出力はトンネル内に実際に発生する風の風向風速Urである。
トンネル内の汚染プロセス202は、実際のトンネル1が持つトンネル内汚染に関する系をブロックとして表したものであり、入力として風向風速URにより排気される汚染排気と外乱にまとめられており、外乱にはトンネル1に対して吹き込む自然風による排気とトンネル内を通行する車両により発生する交通風による排気等がある。出力はトンネル内に実際に発生する汚染物質の発生を示す煙霧透過率(VI)と一酸化炭素濃度(CO)である。
トンネル内のジェットファン10は、トンネル1内の空気を換気する機器であり、ここでは、インバータ駆動により運転されるジェットファンであり、複数台あり、それらの並列運転が可能なものとなっている。
本発明のトンネル換気制御システム100は、図1に見るように、第2のフィードバックループを包含するように第1のフィードバックループを形成せしめたカスケード制御となっている。
トンネル内の物理現象として風量と汚染量を考えてみると、風量の変化は速くかつ細かく変動するが、一方、汚染量は風量の変化に伴って換気が不足したり換気が進んだりすることによりトンネル全体としてゆっくりと大きく変動するものであり、風量に比べてトンネル内汚染量は時間定数が大きな物理量となっている。つまり、風量はジェットファンの運転制御により直接的に細かく操作しやすいが、汚染量はジェットファンの運転制御では直接的ではなく間接的に操作することとなる。ただし、真に守るべき基準は煙霧透過率目標値(VI*)と一酸化炭素濃度目標値(CO*)として与えられるので、汚染量に注目して制御する必要がある。
そこで、本発明のトンネル換気制御システム100では、トンネル内の風向風速のフィードバック制御と、トンネル内の汚染量のフィードバック制御とをカスケード制御することにより、細かく変化しやすい風向風速に対してジェットファンの運転を細かくフィードバック制御することができ、また、風向風速の変化に伴って変化があらわれる汚染量に関してカスケード制御とすることによりフィードバック制御できるので、ジェットファンの運転制御を通じて、トンネル内の汚染量を正しく制御することができ、全体として過剰換気、換気不足となるケースを少なく低減でき、省エネ運転を実現できる。
本発明のトンネル換気制御システム100では、細かく風向風量を調節することで全体として過剰換気、換気不足となるケースを少なく低減できることを通じて省エネ運転を実現するが、その際、ジェットファン10の運転をインバータ駆動運転とすることにより高い相乗効果が得られる。つまり、インバータ駆動運転とすれば、ジェットファン駆動の正逆逆転運転や回転数の変更など定格電流により速やかに制御を行うことができ、省電力化の効果が得られる。一方、従来の誘導モータによるジェットファン運転では、運転保護インターバル時間があり、一旦停止したジェットファンは10分間運転不可であったが、上記のようにインバータ制御運転を前提とすれば、回転数は0から最大周波数まで自由にとれるため、換気力も0から最大値まで任意に設定でき、理想的な風向風量制御をきめ細かい精度で制御できるというメリットが得られる。
以上が、本発明のトンネル換気制御システム100の制御ブロックの構成である。
次に、本発明のトンネル換気制御システム100の構成例を示す。
図3の構成例では、トンネル換気制御システム100は、センサ部110と、モデル記憶部120と、予測部130と、フィードフォワード制御部140と、モデルパラメータ推定部150と、最適選定計画決定部160と、フィードバック補正部170と、ハイブリッド適応制御部180とを備えた構成となっている。
まず、トンネル換気制御システム100の各構成要素を説明する。
センサ部110は、実測データを収集する各種センサや計測器を備えており、トンネル1内の煙霧透過率データと、汚染ガス濃度データと、断面風速データと、トンネル内の車両交通量データとを含むトンネル内データを計測・収集する部分である。この構成例では、トラフィックカウンタ(TC)111、煙霧透過率データ計測器(VI計測器)112、一酸化炭素濃度データ計測器(CO計測器113)、トンネル内風向風速計(AV計)114を備えている。各センサはトンネル1内に適宜配置されているものとする。
トラフィックカウンタ(TC)111は、トンネル1を通過する車両の台数や速度を計測するセンサであり、トンネル1の入口近くまたは出口近くに設置される。トラフィックカウンタ111によりトンネル1を通過する車両に関して必要なデータを得ることができる。本発明では交通車両の大型車/小型車の車種別の数を検知することができるものとする。
煙霧透過率データ計測器(VI計測器)112は、レーザー照射部とレーザー受光部を備え、レーザー照射部とレーザー受光部間の空気中を透過するレーザー光の割合から塵などによる汚染濃度を計測する装置である。
一酸化炭素濃度データ計測器(CO計測器113)113は、トンネル1内の一酸化炭素の濃度を測定する装置である。
トンネル内風向風速計(AV計)114は、縦流換気の流れを計測するために適した位置、例えば、トンネル1の中央部近く及び出口近くに設置されている。
モデル記憶部120は、トンネル1の諸元データに基づいたトンネル1内を流れる風をモデル化した「風速モデル」と、トンネル1内の車両交通をモデル化した「交通モデル」と、トンネル1内を通過する車両により発生する汚染物質の濃度をモデル化した「汚染濃度モデル」を保持記憶している部分であり、各モデルは予測部130による予測処理に用いられる。これら各種モデルが適したものであれば、後述する各種の予測精度が高くなる。
予測部130は、センサ部110から取得したトンネル内データより、風速モデルと交通モデルと汚染濃度モデルを用いて、自然風Un予測、交通風Ut予測、トンネル内風速Ur予測、汚染発生量予測とを行う予測機能を備えた部分であり、自然風予測手段131と交通風予測手段132とトンネル内風速予測手段133と汚染発生量予測手段134とを備えている。
自然風予測手段131は、トンネル外界の自然風の日量変化、週変化、月変化、年変化などの諸データに基づく自然風の予測と当該自然風によりトンネル内に生じる風向風速の予測機能と、トンネル内に吹く風の風向風速からトンネル1内における自然換気力を予測する機能を備えており、トンネル1内の風向風速の実測データと自然風により生じる風向風速の予測データとから所定時間経過後のトンネル内の自然風Unを予測する部分である。
交通風予測手段132は、交通量の日量変化、週変化、月変化、年変化などの諸データに基づく交通量の予測機能と、交通量と車種別等価抵抗面積に基づいてトンネル1内で発生する交通風を予測する機能を備え、トラフィックカウンタ111による交通量の実測データと交通量の予測機能から得られた交通量予測データから、所定時間経過後の交通風Utを予測する部分である。
トンネル内風速予測手段133は、トンネル内の自然風Un予測、の交通風Ut予測、ジェットファン10の運転による機械換気力Pjやトンネル諸元にもとづいて、トンネル1内に生じる風速Urを予測する部分である。高速の予測処理アルゴリズムに関しては既に示したとおりである。
汚染発生量予測手段134は、トラフィックカウンタ111による交通量の実測データと交通量の予測機能から得られた交通量予測データと、車種別の汚染発生量予測データから所定時間経過後の汚染発生量C(t,x)を予測する部分である。なお汚染発生量についてはトンネル内での経過時間t、トンネル内での入口からの距離xに依存するので、それらの関数として予測される。高速の予測処理アルゴリズムに関しては既に示したとおりである。
フィードフォワード制御部140は、予測部130の各種予測に基づき、断面風速目標値と換気機器制御目標値を決定する。
モデルパラメータ推定部150は、センサ部110から取得したトンネル内データを入力とし、トンネル1内データの変化に合わせ、モデル記憶部120の風速モデルと交通モデルと汚染濃度モデルのパラメータを推定して更新する部分である。
モデルパラメータ推定部150におけるパラメータ推定では、後述するように換気機器運転の結果、センサ部110にて得た実測データと、予測部130が予測した予測データとのずれの修正において、トンネル内風速モデルとトンネル内汚染濃度モデルを大型車両等価抵抗面積P1、小型車両等価抵抗面積P2、自然風風速P3をパラメータとし、各パラメータに関する線形性を利用してパラメータ推定を行うことができる。線形性を利用すればパラメータの更新を高速に行うことができ、計算コストを低減させることができる。
この高速のパラメータ推定処理アルゴリズムについては上記したとおりであるのでここでは省略する。
最適選定計画決定部160は、予測部130によるトンネル内風速Ur予測と汚染発生量C(t,x)の予測を利用し、汚染濃度基準を遵守するためのジェットファン10の並列運転台数と正逆方向とその回転数を含む省エネ最適選定計画を決める部分である。
フィードバック補正部170は、センサ部110でトンネル1内から得た各種検出データに基づいて汚染濃度基準を遵守するためのジェットファン10の並列運転台数と正逆方向とその回転数のフィードバック制御を行う部分である。
ここでは、フィードバック補正部170のフィードバック補正が、断面風速目標値とセンサ部110が実測した断面風速データから換気機器10の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第1のフィードバック制御と、汚染ガス濃度データおよび汚染ガス濃度目標値と、センサ部110が実測した煙霧透過率データおよび煙霧透過率目標値から換気機器10の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第2のフィードバック制御を備え、第2のフィードバックループを包含するように第1のフィードバックループを形成せしめたカスケード制御となっている。
ハイブリッド適応制御部180は、フィードバック補正部170によるフィードバック補正と、最適選定計画決定部160により決定された省エネ最適選定計画とを組み合わせたハイブリッド型の適応制御を行う部分であり、ジェットファン10の最適制御量を決定する。ジェットファン10の並列運転台数と正逆方向とその回転数の算出は、適切なアルゴリズムを用いて計算することにより算出すれば良い。
このように、本発明のトンネル換気制御システム100は、各種予測に基づくフィードバック補正と省エネ最適選定計画とを組み合わせたハイブリッド型の最適制御量にてジェットファン1を運転制御する。
以上が、本発明のトンネル換気制御システム100の構成例における各構成要素の動作である。
以上の構成において、ジェットファンのインバータ運転制御および最適選定計画決定部160における省エネ最適選定計画について説明を補足しておく。
まず、ジェットファンのインバータ運転制御による省エネルギー化のメリットについて説明しておく。
図4は、本発明のジェットファンのインバータ運転による制御の様子と、従来のオンオフ型の誘導モータ運転による制御の様子を分かりやすく図示したものである。
図4(b)に示すように、目標値に向けてオンオフ型で制御すると制御によるVI値変化の振れ幅が大きくなりオーバーヘッド量が大きいため、精度良く目標値に安定させた制御が難しいことが分かる。
しかし、本実施例1のトンネル換気制御システム100では、ジェットファン10はインバータ運転制御を行うものであり、ジェットファン10を省エネルギー運転で有利な低速回転C(Low)にて運転することも可能であるため、10台すべてのジェットファン10を低速回転C(Low)で運転してUjを得るように選定する。このように最適選定計画決定部160は省エネルギーを実現するジェットファンの正逆台数最適選定計画を立てることができる。
図4(a)は本発明のインバータ制御運転による制御の様子を分かりやすく図示したものである。図4(a)に示すように、目標値に向けてインバータ制御運転すると制御によるVI値変化の振れ幅が小さくて済み、オーバーヘッドが少なく、精度良く目標値に安定させた制御が可能となることが分かる。
次に、最適選定計画決定部160における省エネ最適選定計画の例について説明する。
図5は本発明のトンネル換気制御システム100の最適選定計画の例を示した図である。
図6は本発明のトンネル換気制御システム100の最適選定計画に従ったジェットファンの運転方向の正転・逆転の切り替えを含む運転パターン表を示した図である。
図7は図6の運転パターン表に基づく切り替え期間中における汚染煤煙蓄積の関係について説明する図である。
まず、図5の本発明のトンネル換気制御システム100の最適選定計画の例を説明する。
今、トンネルは、トンネル断面積63.5平方メートルで、順方向において、勾配区間1(距離1500m、勾配2%)、勾配区間2(距離500m、勾配−1%)の2区間が連なったトンネルとする。交通量は1550台/h、大型車両混入率20%、車速63km/hとする。
図5の縦軸はジェットファンの運転台数(台)と風速(m/S)の目盛を兼ねたもの、横軸は重方向交通比(%)の目盛をあらわしている。ここで、「重方向」とは、換気量を決める際に最も厳しい条件となる車両の走行方向である。この例では勾配区間1→勾配区間2の順方向が重方向であるものとする。
図5には(1)(2)(3)の3つの曲線が描かれているが、(1)の曲線はトンネル内風速Urが0である場合の運転計画曲線であり、(2)の曲線はトンネル内風速Urが順方向に2.5m/Sである場合の運転計画曲線であり、(3)の曲線はトンネル内風速Urが順方向に−2.5m/Sである場合の運転計画曲線である。また、図中には交通風によりトンネル内に発生する風速線が描かれている。重方向交通比(重方向交通量/総交通量)0%の場合、つまり、車両がすべて重方向とは逆方向に向かう車両である場合、トンネル内には−6m/Sの風速が生じ、重方向交通比が50%であればちょうど相殺し合って0であるが、重方向交通比100%の場合、つまり、車両がすべて重方向に向かう車両である場合、トンネル内には6m/Sの風速が生じることが分かる。また、図中にはトンネル内の車両により発生した煤煙をトンネル内から排気するために順方向に押し出す場合に必要とされる風速の線と、逆方向に押し出す場合に必要とされる風速の線が描かれている。
まず、(1)のトンネル内風速Urが0である場合の運転計画曲線を例にジェットファンの運転計画を説明する。
(1)重方向交通比が30%以下または80%以上の場合
重方向交通比30%あたりにおいて、逆方向に押し出す場合に必要とされる風速の線と交通風によりトンネル内に発生する風速線が交わっており、重方向交通比が30%以下であれば交通風が−2m/S超であり、交通風のみで充分な換気能力があることが分かる。この場合、ジェットファンを稼動させることなく必要な換気が行えることが分かる。重方向交通比が80%以上の場合も同様であり、交通風が2m/S超であり、交通風のみで充分な換気能力があることが分かる。この場合、ジェットファンを稼動させることなく必要な換気が行えることが分かる。
(2)重方向交通比が30%から50%までの場合
重方向交通比が30%を超えると交通風のみでは必要な風速は得られないので逆方向に運転するジェットファン稼動が必要となる。50%に近づくにつれ交通風はゼロに近くなるので逆方向運転するジェットファン台数を増やす必要がある。
(3)重方向交通比が50%から80%までの場合
重方向交通比が50%より大きくなると、交通風の流れる方向は50%以下の場合とは逆転し、交通風は順方向に吹き始める。ジェットファンの運転を逆方向運転のまま必要な風速を得ようとすると交通風に逆らう方向にジェットファンを稼動することとなり非効率である。そこで、50%を超える範囲ではジェットファンを逆転させて正転運転に切り替えて運転する。重方向交通比が80%に満たない場合はまだ交通風のみでは必要な風速は得られないのでジェットファン稼動が必要となる。重方向交通比が50%近くであれば、正転運転するジェットファンが6.5台程度必要であるが、重方向交通比が50%から増えるにつれ交通風は大きくなるのでジェットファン台数を減らすことが可能となり、80%に達すればジェットファンの稼動がなくても交通風のみで換気に必要な風速を得ることができる。
上記が、(1)のトンネル内風速Urが0である場合の運転計画曲線によるジェットファンの運転計画であるが、自然風が吹いている場合、トンネル内風速に影響を与える。順方向に2.5m/Sの自然風がトンネル内に生じている場合、運転計画曲線が(2)の運転計画曲線となる。順方向に−2.5m/Sの自然風がトンネル内に生じている場合、運転計画曲線が(3)の運転計画曲線となる。運転計画曲線の読み方は上記の(1)の運転計画曲線の場合と同様で良い。
上記のように本発明のトンネル換気制御システム100では、トンネル内交通における重方向交通比の変化や自然風の変化が生じた期間において、省エネルギー化を目的としてジェットファンの運転方向の正転逆転という運転の切り替えが発生しうる。つまり、省エネルギー化の観点から運転方向を切り替える訳であるが、切り替え期間中においては、本来はそのまま排気されるトンネル内空気の流れが逆転して戻ってくるのでトンネル内空気に汚染煤煙がさらに蓄積することとなる。ここで、切り替え期間中における汚染煤煙蓄積について考察しておく。
図6は本発明のトンネル換気制御システム100の最適選定計画に従ったジェットファンの運転方向の切り替えを含む運転パターン表の一例を示した図である。図6の例では簡単に10分ごとの3つの期間(第1期間、第2期間、第3期間)において、ジェットファンの運転方向を整理したものである。隣接する期間において、正転と逆転、逆転と正転というように運転方向が変わっている箇所ではジェットファンの運転方向が切り替わることを示している。図6に見るように、3つの期間の運転パターンとしては8パターン存在する。ここで、図6に示した第3のパターンと第6のパターンは、3つの期間のすべてにおいて運転方向が前の期間とは異なり運転切り替えが2回発生するパターンであることが分かる。
上記のように、ジェットファンの運転方向が切り替わるとトンネル端から排気されるはずの空気の流れが排気される前に流れる方向が逆転し、トンネル内を戻って行き、さらに、通行車両から発生する汚染煤煙が蓄積されてゆくこととなる。
図7は、切り替え期間中における汚染煤煙蓄積の関係について説明する図である。左側はトンネルの内部を模式的に示しており、右側は空気塊の移動に伴って出会う車両から発生する煤煙が蓄積されてゆくことを模式的に示している。
今、トンネル内の空気の流れに乗って移動する板状の空気塊を想定する。図7左側では中ほどに示されており、第1期間では南(下)から北(上)へトンネル内の空気が流れているものとする。空気塊が流れて行くにつれ、図7右側に示すように時間の経過とともに空気塊が移動して行く。
空気塊が移動してゆくにつれ、トンネル内を通行する車両とすれ違ったり追い抜かれたりして空気塊と車両が交わってゆく。空気塊と車両が交わると車両から発生する煤煙が空気塊に蓄積してゆくこととなる。このように空気塊と車両が交わる回数が増えるにつれ、空気の汚染濃度が高くなってゆく。本発明のトンネル換気制御システム100の運転において、空気塊がトンネルを抜け出る直前のもっとも汚い汚染濃度であっても目標とする汚染濃度基準以下となるようにトンネル内風速が制御されている。
今、省エネルギーの観点を重視してジェットファン運転方向を逆転させた場合、空気塊がトンネルを抜け出る前に流れる方向が逆転し、再度トンネルの中に戻ってゆく。図7右側において第2期間ではジェットファンの運転方向を逆転させたために、空気塊の移動方位が反転する様子が示されている。このように空気塊は第2期間において北(上)から南(下)へ移動しながら車両が交わると車両から発生する煤煙が空気塊に蓄積してゆくこととなる。
図6に示すように、3つの期間におけるジェットファンの運転方向の切り替えを考慮すると第3パターンと第6パターンの2つの場合は、3つの期間にわたり汚染が蓄積する可能性があるため、最適選定計画決定部160は、この第3パターンと第6パターンの場合であっても遵守すべき汚染濃度以下となるように運転計画に反映させる。
最適選定計画決定部160は上記の最適選定計画に従ったジェットファンの運転方向の切り替えを含む運転パターンを考慮して最適選定計画を立てる。
以上が最適選定計画決定部160における処理の一例である。
次に、本発明のトンネル換気制御システム100の動作や特徴を、従来型のオンオフ制御の誘導モータ駆動によるトンネル換気制御システム1と比較しつつ説明する。
ここでは、トンネル1内にはジェットファンが10台備えられた例とする。
図8は本発明のトンネル換気制御システム100の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ある時刻T1において、センサ部110の各センサであるトラフィックカウンタ111、VI計測器112、CO計測器113、AV計114により、トンネル1内からデータを取得する(図8ステップ1)。トラフィックカウンタ111によりトンネル内を通行中の車両の数、大型車か小型車かという車種の違い、スピード等の種々の車両交通に関するトラフィックデータを取得する。VI計測器112によりトンネル内の煙霧透過率データ、CO計測器113によりトンネル300内の一酸化炭素濃度データ、AV計により風向風速データを得てトンネル300内の汚染レベルの諸データを取得する。
センサ部110で得られたトラフィックデータ、煙霧透過率データ、一酸化炭素濃度データは、モデルパラメータ推定部150、予測部130、フィードバック補正部170にそれぞれ入力される。
予測部130は、センサ部110で得たトラフィックデータ、煙霧透過率データ、一酸化炭素濃度データを基にモデル記憶部120のモデルを用いて、少なくとも、自然風Un予測、交通風Ut予測、汚染発生量C(t,x)予測の各々の予測データを計算する(図8ステップ2)。例えば、各々10分後の予測データを計算する。
自然風予測は自然風予測手段131により行う。例えば、自然風予測手段131は現在の時刻より10分後のトンネル外界から吹く自然風を予測し、AV計114より得たトンネル1内の風向風速の現在の実測データと10分後の自然風予測データとから10分後の自然風Unを予測する。
交通風予測は交通風予測手段132により行う。例えば、交通風予測手段132は過去の交通量の諸データに基づいて現在の時刻より10分後の交通量を予測し、モデル記憶部120の交通モデルを用いてトンネル1内で発生する交通風Utを予測し、トラフィックカウンタ111による交通量の実測データと交通量予測データから10分後の交通風Utを予測する。
トンネル内風速Ur予測は、トンネル内風速予測手段133により行う。上記したトンネル内風速の高速予測手法を用いる。
汚染発生量予測は汚染発生量予測手段134により行う。交通風予測で得た交通量予測データと汚染濃度モデルを用いて汚染発生量予測データを予測し、トラフィックカウンタ111による交通量の実測データと汚染発生量予測データから10分後の汚染発生量を予測する。上記した汚染発生量の高速予測手法を用いる。
次に、最適選定計画決定部160は、予測部130によるトンネル内風速Ur予測と汚染発生量C(t,x)予測を利用し、汚染濃度基準を遵守するためのジェットファン10の並列運転台数Nと正逆方向Dとその回転数Cを含む省エネ最適選定計画を決める(図8ステップ3)。
例えば、汚染発生量予測により必要なトンネル内の風向風速Uraが決まる。その風向風速に対して予想される自然風予測Unと交通風予測Utの差し引きにより、ジェットファン10により供給しなければならない風向風速Ujが求まる。最適選定計画決定部160はUjをもたらすジェットファン10の並列運転台数Nと正逆方向Dとそれぞれの回転数Cの運転計画を決定する。ここで、Ujをもたらすジェットファン10の並列運転台数Nと正逆方向Dとそれぞれの回転数Cにはいろいろな組み合わせが可能である。ここで、最適選定計画決定部160はもっとも省エネルギー運転となるようにジェットファン10の並列運転台数Nと正逆方向Dとそれぞれの回転数Cを選定する。
例えば、従来のオンオフ型の誘導モータ運転を前提とすれば、稼動するジェットファン10は全力回転C(Top)にて使用することが前提となるため、全力回転するジェットファン10が何台あればUjとなるかを割り出す。例えば5台のジェットファン10を全力回転C(Top)にて運転すればUjを満たしたとする。
次に、フィードバック補正部170は、センサ部110でトンネル1内から得た各種検出データに基づいて汚染濃度基準を遵守するためのジェットファン10の並列運転台数Nと正逆方向Dとその回転数Cのフィードバック制御量の計算を行う(図8ステップ4)。
次に、ハイブリッド適応制御部180は、フィードバック補正部170によるフィードバック補正と、最適選定計画決定部160により決定された省エネ最適選定計画とを組み合わせて必要な台数Nのジェットファン10に対して正逆方向Dと回転数Cとなるよう最適制御量の運転制御信号を与え、ジェットファン10の省エネルギー運転を行う(図8ステップ5)。
なお、モデルパラメータ推定部150は、モデル記憶部120に記憶されている風速モデル、交通モデル、汚染濃度モデルのパラメータが最適となるようにパラメータを推定し、各モデルのパラメータを当該推定値に更新しておく(図8ステップ6)。パラメータ推定は上記した高速パラメータ推定処理を用いて、自然換気力(Ur)、大型車両交通換気力(AmHeavy)、小型車両交通換気力(AmLight)のセンサ部で得た実測値を代入するのみで高速に求める。
以上、本発明のトンネル換気制御システム100は、各種予測に基づくフィードバック補正と省エネ最適選定計画とを組み合わせたハイブリッド型の最適制御量にてジェットファン1を運転制御することができる。
[実験例]
次に、本発明のトンネル換気制御システム100を用いて、実際のトンネルにおいて適用した実験例を示しておく。
今、実験したトンネルの実験日において、図9(a)に示すように、上り方向(順方向)の大型車種の交通量(1)、上り方向(順方向)の小型車種の交通量(2)、下り方向(逆方向)の大型車種の交通量(3)、下り方向(逆方向)の小型車種(4)の交通量があった。
トンネル内の風速は図9(b)に示すように制御された。なお、自然風は0であった。
図9(c)は、図9(b)に示すトンネル内風速を得るために、本発明のトンネル換気制御システム100を用いてジェットファンをインバータ駆動により運転した結果を示す図である。インバータ制御によりジェットファンが細かく制御されている。概ね、順方向に2台から逆方向に2台の範囲で作動している。
一方、図9(d)は、比較として、インバータ運転ではなく、従来型のオンオフ制御によりジェットファンを台数制御した場合の例を示している。図9(c)に示すように細かく制御されていないが、ジェットファンは順方向のみの台数制御を行っている。台数は2台から8台までと多くの台数が運転されている。
このように、図9(d)の従来型のオンオフ制御による運転に比べ、図9(c)の本発明のインバータ制御の運転の方が省エネルギー化を図ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、トンネル換気制御システムに向けて広く適用することができる。
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
本発明のトンネル換気制御システム100の機能面に注目した制御ブロック図 トンネル内の様子を模式的に示した図 本発明のトンネル換気制御システム100の構成要素を示した構成図 本発明のジェットファンのインバータ運転による制御の様子と、従来のオンオフ型の誘導モータ運転による制御の様子を示した図 本発明のトンネル換気制御システム100の最適選定計画の例を示した図 本発明のトンネル換気制御システム100の最適選定計画に従ったジェットファンの運転方向の正転・逆転の切り替えを含む運転パターン表を示した図 運転パターン表に基づく切り替え期間中における汚染煤煙蓄積の関係について説明する図 本発明のトンネル換気制御システム100の処理を示すフローチャート 実験結果を示す図 従来の一般的なジェットファンを用いた縦流換気方式の対面通行道路トンネルを示す図
符号の説明
100 トンネル換気制御システム
110 センサ部
120 モデル記憶部
130 予測部
150 モデルパラメータ推定部
160 最適選定計画決定部
170 フィードバック補正部
180 ハイブリッド適応制御部

Claims (6)

  1. トンネル内に配設された複数の換気機器と、
    前記トンネル内の煙霧透過率データと、汚染ガス濃度データと、断面風速データと、トンネル内の車両交通量データとを含むトンネル内データを計測・収集するセンサ部と、
    前記トンネル内を流れる風をモデル化した風速モデルと、前記トンネル内の車両交通をモデル化した交通モデルと、前記トンネル内を通過する車両により発生する汚染物質の濃度をモデル化した汚染濃度モデルを保持記憶するモデル記憶部と、
    前記センサ部から取得した前記トンネル内データを入力とし、前記トンネル内データの変化に合わせ、前記モデル記憶部の前記風速モデルと前記交通モデルと前記汚染濃度モデルのパラメータを推定して更新するモデルパラメータ推定部と、
    煙霧透過率目標値と汚染ガス濃度目標値と、前記センサ部により実測した前記トンネル内データと、前記風速モデルと前記交通モデルと前記汚染濃度モデルを用いた自然風予測と交通風予測と汚染発生量予測を行う予測部と、
    前記予測部の各予測に基づき、断面風速目標値と換気機器制御目標値を決定するフィードフォワード制御部と、
    前記換気機器の並列運転台数と回転数との関係と、前記換気機器の正逆逆転時における自然風の自然換気方向と対面交通による交通換気方向との関係とを考慮した省エネ最適選定計画を決める最適選定計画決定部と、
    前記断面風速目標値と前記換気機器制御目標値に対するフィードバック補正と、前記省エネ最適選定計画とを組み合わせた適応制御を行うハイブリッド適応制御部とを備え、
    前記ハイブリッド適応制御部のフィードバック補正が、前記断面風速目標値と前記センサ部が実測した前記断面風速データから前記換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第1のフィードバック制御と、前記汚染ガス濃度データおよび前記汚染ガス濃度目標値と、前記センサ部が実測した前記煙霧透過率データおよび前記煙霧透過率目標値から前記換気機器の並列運転台数と正逆方向とその回転数を制御する第2のフィードバック制御を備え、前記第1のフィードバックループを包含するように前記第2のフィードバックループを形成せしめたカスケード制御としたことを特徴とするトンネル換気制御システム。
  2. 前記換気機器の運転がインバータ駆動運転であり、前記換気機器を定格電力以下で前記ハイブリッド適応制御部が決定した最適制御量による連続運転を可能とした請求項1に記載のトンネル換気制御システム。
  3. 前記風速モデルとして、[数1]の方程式を前記トンネル内風向風速Urに関する2次多項式とみて2つの定常解をUr1*、Ur2*とし、Urについて解いた[数2]による解析解に基づく離散時間風速モデルを用いて、前記予測部における予測処理の高速化を図ることを特徴とする請求項1または2に記載のトンネル換気制御システム。
    Figure 0004898732
    Figure 0004898732
    ここで、前記トンネル内風向風速Ur、前記トンネル断面積Ar、前記トンネル長L、空気密度ρ、前記トンネル内壁面摩擦力Pr、交通換気力Pt、自然換気力Pn、機械換気力Pjとし、α、βは係数とする。
  4. 前記汚染濃度モデルとして、[数3]の移流拡散方程式をC(t,x)について解いた[数4]による解析解に基づく離散時間汚染濃度モデルを用いて、前記予測部における予測処理の高速化を図ることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトンネル換気制御システム。
    Figure 0004898732
    Figure 0004898732
    ここで、汚染濃度C、前記トンネル内風向風速Ur、時間t、前記トンネル入口から流下方向への距離x、汚染発生量Mとする。Arはトンネル断面積、Dは拡散係数、Miはi番目の車両による汚染発生量、tiはi番目の車両による汚染発生時刻、xiはi番目の車両のトンネル入口からの距離である。
  5. 前記ハイブリッド適応制御部による前記換気機器運転の結果として前記センサ部が収集した実測データと、前記予測部が予測した予測データとのずれの修正において、前記モデルパラメータ推定部が、[数5]と[数6]から得た[数7]を、大型車両等価抵抗面積P1、小型車両等価抵抗面積P2、自然風風速P3をパラメータとして整理した[数8]においてP1,P2,P3に関して[数9]の線形性が成立していると扱うことにより離散時間確率システムのカルマンフィルタ問題としてパラメータP1,P2,P3の推定を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトンネル換気制御システム。
    Figure 0004898732
    Figure 0004898732
    ここで、Arはトンネル断面積、Lはトンネル長、ρは空気密度、Dは拡散係数、Prはトンネル内壁面摩擦力、Ptは交通換気力、Pnは自然換気力、Pjは機械換気力とし、α、βは係数、ζeは入口損失係数、λは壁面摩擦抵抗係数、Amは車両等価抵抗面積、Vtは平均車両速度、nは車両数、添字の(H)は大型車、(L)は小型車、φはジェットファンの吹き出し面積Ajとトンネル断面積Arの断面積比(Aj/Ar)、Ψはトンネル内風速Urとジェットファンの吹き出し風速Ujとの風速比(Ur/Uj)
    Figure 0004898732
    Figure 0004898732
    Figure 0004898732
  6. 前記ハイブリッド適応制御部による前記換気機器運転の結果として前記センサ部が収集した実測データと、前記予測部が予測した予測データとのずれの修正において、前記モデルパラメータ推定部が、大型車両煤煙発生量P4、小型車両煤煙発生量P5をパラメータとして[数3]を整理した[数10]においてP4,P5に関して線形性が成立していることに着目することにより[数11]および離散時間確率システムのカルマンフィルタ問題としてパラメータP4,P5の推定を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトンネル換気制御システム。
    Figure 0004898732
    Figure 0004898732
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