JP2013216696A - 触媒性水素転移反応を使用する新規なオピエート還元 - Google Patents

触媒性水素転移反応を使用する新規なオピエート還元 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒性水素転移反応を使用する新規なオピエート還元の提供。
【解決手段】改善されたオピエート合成スキームが提供される。オリパビンおよびオリパビン誘導体の酸化に対する改善は、上記オリパビンおよびオリパビン誘導体を酸化して、中間体を形成するために必要とされるペルオキシ酸のインサイチュ形成を包含する。オキシコドンおよびオキシコドン誘導体を形成するための上記中間体の還元に対する改善は、水素転移試薬の利用を低下させることを包含する。これら改善は、中間体を単離することなく、オキシコドンおよびオキシコドン誘導体の生成を可能にし、このことは、1ポット合成法を提供する。

【選択図】なし

Description

(発明の背景)
オキシモルホンおよびその誘導体は、従来は、従来のO−脱メチル化試薬(例えば、BBrおよびHBr)での、オキシコドンのO−脱メチル化によって生成されている。これら反応の収率は、代表的には、30%〜80%程度まで変動する。不運なことには、オキシコドンは、高価な出発物質である。
あるいは、オキシモルホンは、スキーム1に例示されるように、オリパビンの酸化、続いて、中間体の還元によって生成され得る:
上記スキーム1の方法は、テバインからオキシコドンを作製するための方法(この方法は、業界で広く実施されている)に類似である。テバインからのオキシコドンの従来の合成は、テバインを酸化して、14−ヒドロキシコデイノンを形成し、続いて、14−ヒドロキシコデイノンを触媒的に水素化して、オキシコドンを形成する工程を包含する。従来の酸化剤は、過酸化水素もしくは別の一般的酸化剤と組み合わせた酸である。
オリパビンの使用は、テバインと比較した場合、その競合力のある価格付け(pricing)およびオキシモルホンに対する構造的類似性から、望ましい。不運なことに、オリパビンの使用は困難である。なぜなら、オリパビンは、結合した官能基に起因して、複数の反応性部位を有するからである。上記反応スキーム1反応は、容易に単離も除去もできない、かなりの副生成物を生じ、このことは、低下した反応収率を生じる。オリパビンからオキシモルホンへのこれら低収率は、この合成経路を商業スケールに関して非実用的にする。オキシモルホンの形成のための出発物質としてオリパビンを利用する実用的合成に対する公知の文献における言及はない。
オピエート合成反応(例えば、テバインの酸化)において利用される従来の酸化プロセスは、代表的には、ペルオキシ酸、もしくはより具体的には、過酢酸を利用する。なぜなら、ペルオキシ酸は、十分に適しておりかつこの反応に対して有効であるからである。不運なことに、ペルオキシ酸の使用は危険であり、このことは、産業条件下で高濃度の過酢酸を調製し、輸送しかつ取り扱うために高価で時間を浪費する保護手段を要する。
テバインもしくはオリパビンの酸化によって形成された14−ヒドロキシ−6−ケト−オピエート化合物の還元は、代表的には、触媒的水素化によって行われる。α,β−不飽和ケトンを対応する飽和ケトンに還元するための触媒的水素化は周知でありかつ一般に実施されているが、高価な圧力反応器は、潜在的に爆発性の水素雰囲気を含むことが必要とされる。従って、より単純で安全な合成経路を提供することが必要である。
(発明の要旨)
本発明の一例示的局面において、式Iに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を、式IIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩に変換するための方法が提供される。上記方法は、式Iに従う化合物を溶媒中に実質的に溶解して、反応混合物を形成する工程;少なくとも1種のペルオキシ酸を上記反応混合物中で形成する工程;および上記少なくとも1種のペルオキシ酸によって上記式Iに従う化合物を酸化させて、上記式IIに従う化合物を形成する工程を包含し、
ここでR、RおよびRは、H;ベンジル;1〜8個の炭素のアルカンスルホニル;p−トシル;1〜20個の炭素のアルキル基;置換されたアルキル基であって、ここで上記アルキル基は、フェニル、置換されたフェニル、1〜8個の炭素のアルコキシル基もしくはフェノキシル基で置換されている、置換されたアルキル基;およびRCOであって、ここでRは、1〜20個の炭素のアルキル基もしくはアリール基であるRCO、から独立して選択される。
本発明の別の局面において、式IIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を、式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩に変換するための方法が提供される。上記方法は、上記式IIに従う化合物を、水素転移試薬で還元して、上記式IIIに従う化合物を形成する工程を包含する。
ここでRおよびRは、H;ベンジル;1〜8個の炭素のアルカンスルホニル;p−トシル;1〜20個の炭素のアルキル基;置換されたアルキル基であって、ここで上記アルキル基は、フェニル、置換されたフェニル、1〜8個の炭素のアルコキシル基もしくはフェノキシル基で置換されている、置換されたアルキル基;およびRCOであって、ここでRは、1〜20個の炭素のアルキル基もしくはアリール基であるRCO、から独立して選択される。
本発明のなお別の局面において、オピエートである式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を調製するための方法が提供される。上記方法は、式Iに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を少なくとも1種の溶媒中に実質的に溶解して、反応混合物を形成する工程;少なくとも1種の酸化剤および少なくとも1種の酸を、上記反応混合物に添加する工程であって、ここで上記少なくとも1種の酸化剤および上記少なくとも1種の酸が反応して、少なくとも1種のペルオキシ酸を形成する、工程;上記ペルオキシ酸によって上記式Iに従う化合物を酸化させて、式IIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を形成する工程;上記式IIに従う化合物であるオピエートを、少なくとも1種の水素転移試薬で還元して、式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を形成する工程を包含し、
ここでR、RおよびRは、H;ベンジル;1〜8個の炭素のアルカンスルホニル;p−トシル;1〜20個の炭素のアルキル基;置換されたアルキル基であって、ここで上記アルキル基は、フェニル、置換されたフェニル、1〜8個の炭素のアルコキシル基もしくはフェノキシル基で置換されている、置換されたアルキル基;およびRCOであって、ここでRは、1〜20個の炭素のアルキル基もしくはアリール基であるRCO、から独立して選択される。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を、式IIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩に変換するための方法であって、該方法は、
式Iに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を溶媒中に実質的に溶解して、反応混合物を形成する工程;
少なくとも1種のペルオキシ酸を該反応混合物中で形成する工程;および
該少なくとも1種のペルオキシ酸によって、該式Iに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を酸化させて、式IIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を形成する工程:

を包含し、
ここでR 、R およびR は、H;ベンジル;1〜8個の炭素のアルカンスルホニル;p−トシル;1〜20個の炭素のアルキル基;置換されたアルキル基であって、ここで該アルキル基は、フェニル、置換されたフェニル、1〜8個の炭素のアルコキシル基もしくはフェノキシル基で置換されている、置換されたアルキル基;およびRCOであって、ここでRは、1〜20個の炭素のアルキル基もしくはアリール基であるRCO、から独立して選択される、方法。
(項目2)
前記ペルオキシ酸は、酸化剤と酸とを反応させることによって前記反応混合物中で形成される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ペルオキシ酸は、HCO H、CH CO H、m−ClC CO H、C CO H、R CO Hであって、ここでR は、Hおよび1〜20個の炭素のアルキルから選択されるR CO H、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記酸は、R CO Hであって、ここでR は、H、1〜20個の炭素のアルキル基もしくはアリール基からなる群より選択されるR CO Hであり、前記酸化剤は、H 、K 、Na 、Li 、Cs 、K SO 、Na SO およびこれらの混合物からなる群より選択される、項目2に記載の方法。
(項目5)
温度は、約5℃〜約80℃の間に実質的に維持される、項目1に記載の方法。
(項目6)
SO 、H PO 、MeSO H、HCl、p−トルエンスルホン酸およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の強酸を添加する工程をさらに包含する。項目1に記載の方法。
(項目7)
式IIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を、式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩に変換するための方法であって、該方法は、
該式IIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を、水素転移試薬で還元して、該式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を形成する工程:

を包含し、ここでR およびR は、H;ベンジル;1〜8個の炭素のアルカンスルホニル;p−トシル;1〜20個の炭素のアルキル基;置換されたアルキル基であって、ここで該アルキル基は、フェニル、置換されたフェニル、1〜8個の炭素のアルコキシル基もしくはフェノキシル基で置換された、置換されたアルキル基;およびRCOであって、ここでRは、1〜20個の炭素のアルキル基もしくはアリール基であるRCO、から独立して選択される、方法。
(項目8)
前記式IIの化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を、酸素の存在下で還元して、式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を形成する工程をさらに包含する、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記式IIの化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を、実質的に大気圧下で還元して、式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を形成する工程をさらに包含する、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記水素転移試薬は、HCO H、HCO H/HCO NH 、HCO H/HCO Na、HCO H/NEt 、HCHO、HCHO/NR であって、ここでR基は、H、アルキル、アリールから独立して選択されるHCHO/NR 、およびこれらの混合物からなる群より選択される、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記水素転移試薬(hydrogen transport agent)は、炭素担持遷移金属、後期遷移金属酸化物、ホスフィン配位子金属錯体(phosphine ligand metal complex)、およびこれらの混合物からなる群より選択される金属触媒の存在下で存在する、項目7に記載の方法。
(項目12)
温度は、約−5℃〜約110℃において実質的に維持される、項目7に記載の方法。
(項目13)
温度は、約60℃〜約110℃において実質的に維持される、項目7に記載の方法。
(項目14)
オピエートである、式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を調製するための方法であって、該方法は、
式Iに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を少なくとも1種の溶媒中に実質的に溶解して、反応混合物を形成する工程;
少なくとも1種の酸化剤および少なくとも1種の酸を該反応混合物に添加する工程であって、ここで該少なくとも1種の酸化剤および該少なくとも1種の酸は反応して、少なくとも1種のペルオキシ酸を形成する、工程;
該ペルオキシ酸によって、該式Iに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を酸化させて、式IIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を形成する工程;
該式IIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩であるオピエートを、少なくとも1種の水素転移試薬で還元して、式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を形成する工程:

を包含し、
ここでR 、R およびR は、H;ベンジル;1〜8個の炭素のアルカンスルホニル;p−トシル;1〜20個の炭素のアルキル基;置換されたアルキル基であって、ここで該アルキル基は、フェニル、置換されたフェニル、1〜8個の炭素のアルコキシルもしくはフェノキシル基で置換されている、置換されたアルキル基;およびRCOであって、ここでRは、1〜20個の炭素のアルキル基もしくはアリール基であるRCO、からなる群より独立して選択される、方法。
(項目15)
前記反応混合物を、ケトン官能基もしくはフェノキシル官能基の酸化を防止するに十分高い温度で維持する工程をさらに包含する、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記反応混合物を60℃〜110℃の温度で維持する工程をさらに包含する、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記ペルオキシ酸は、酸化剤と酸とを反応させることによって前記反応混合物中で形成される、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記ペルオキシ酸は、HCO H、CH CO H、m−ClC CO H、C CO H、R CO Hであって、ここでR は、Hおよび1〜20個の炭素のアルキルから選択されるR CO H、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、項目14に記載の方法。
(項目19)
前記酸は、R CO Hであって、ここでR は、H、1〜20個の炭素のアルキル基もしくはアリール基からなる群より選択されるR CO Hであり、そして前記酸化剤は、H 、K 、Na 、Li 、Cs 、K SO 、Na SO
およびこれらの混合物からなる群より選択される、項目17に記載の方法。
(項目20)
温度は、約−5℃〜約80℃の間において実質的に維持される、項目14に記載の方法。
(項目21)
SO 、H PO 、MeSO H、HCl、p−トルエンスルホン酸およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の強酸を添加する工程をさらに包含する、項目14に記載の方法。
(項目22)
前記式IIの化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を、酸素の存在下で還元して、式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を形成する工程をさらに包含する、項目14に記載の方法。
(項目23)
前記式IIの化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を、実質的に大気圧下で還元して、式IIIに従う化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を形成する工程をさらに包含する、項目14に記載の方法。
(項目24)
前記水素転移試薬(hydrogen transport reagent)は、HCO H、HCO H/HCO NH 、HCO H/HCO Na、HCO H/NEt 、HCHO、HCHO/NR であって、ここでR基は、H、アルキル、アリールから独立して選択されるHCHO/NR 、およびこれらの混合物からなる群より選択される、項目14に記載の方法。
(項目25)
前記水素転移試薬(hydrogen transport reagent)は、炭素担持遷移金属、後期遷移金属酸化物、ホスフィン配位子金属錯体、およびこれらの混合物からなる群より選択される金属触媒の存在下で存在する、項目14に記載の方法。
(項目26)
温度は、約−5℃〜約110℃において実質的に維持される、項目14に記載の方法。
(項目27)
温度は、約60℃〜約110℃において実質的に維持される、項目14に記載の方法。
(詳細な説明)
従来の反応スキーム1は、スキーム2に例示されるように、より一般には、オリパビンの誘導体に適用する。式Iに従う誘導体もしくはその薬学的に受容可能な塩(本明細書中以降、式Iの化合物)は、式IIに従う誘導体もしくはその薬学的に受容可能な塩(本明細書中以降、式IIの化合物)を形成するために酸化され得、式IIの化合物は、次いで、式IIIに従う誘導体もしくはその薬学的に受容可能な塩(本明細書中以降、式IIIの化合物)に還元される。
ここでR、RおよびRは、H;ベンジル;1〜8個の炭素のアルカンスルホニル;p−トシル;1〜20個の炭素のアルキル基;置換されたアルキル基であって、ここで上記アルキル基は、フェニル、置換されたフェニル、1〜8個の炭素のアルコキシルもしくはフェノキシル基で置換されている、置換されたアルキル基;およびRCOであって、ここでRは、1〜20個の炭素のアルキル基もしくはアリール基であるRCO、から独立して選択される。適切なアリール基としては、フェニルおよび置換されたフェニルが挙げられる。
上記式Iの化合物を上記式IIIの化合物に変換するための、改善された合成経路が提供される。本明細書に記載される改善された合成経路は、上記酸化工程(上記式Iの化合物を上記式IIの化合物へ変換する)に対する1つの改善、および上記還元工程(上記式IIの化合物を上記式IIIの化合物へ変換する)に対する別の改善を含む。これら改善は、望ましい場合、いっしょにまたは別個に実行され得る。
上記酸化工程の改善は、少なくとも1種のペルオキシ酸のインサイチュ形成を含む。従来の、上記式Iの化合物を酸化して、上記式IIの化合物を形成することは、ペルオキシ酸;例えば、過酢酸を包含する。過酢酸は、一般に、過酸化水素と、硫酸の存在下の氷酢酸との反応によって、調製される。過酢酸、および一般にペルオキシ酸は、不安定で、危険で、かつ貯蔵および輸送するのが高価である。ペルオキシ酸が、中間体ケトン官能基もしくはフェノキシル官能基(ここでR=H)の予測される酸化なしで、式Iの化合物の式の化合物の存在下で、インサイチュで成功裏に生成され得ることが、予測外に決定された。
例示において、過酢酸もしくは過ギ酸は、式Iの化合物の一般式を有する化合物の存在下で形成される。一旦上記過酢酸もしくは過ギ酸が生成されると、これらは式Iの化合物と反応して、式IIの化合物を形成することによって、連続して消費される。従って、上記ペルオキシ酸は、危険な状態にもたらされるに十分高い濃度には達しない。安全性の改善に加えて、ペルオキシ酸のインサイチュ形成に付随する輸送の課題も、貯蔵の課題もない。
上記インサイチュ形成は、式RCOH(ここでRは、Hもしくは1〜20個の炭素のアルキルである)に従う酸および酸化剤の反応を介して達成される。適切なペルオキシ酸としては、HCOH、CHCOH、m−ClCCOH、CCOH、RCOH(ここでRは、Hおよび1〜20個の炭素のアルキルから選択される)、およびこれらの混合物が挙げられる。適切な酸化剤は、当該分野で周知であり、そして過酸化水素、K、Na、Li、Cs、KSO、NaSOおよびこれらの混合物が挙げられる。
上記インサイチュペルオキシ酸形成反応の温度は、重要ではない。しかし、代表的には、−5℃〜80℃の間で維持されるが、上記溶媒が凍結しないように十分温かい任意の温度であり得る。より高い温度が利用され得るが、代表的には、増大した不純物形成を生じる。
上記酸化反応の速度は、強酸の酸化によって促進され得る。上記強酸は、オキシ酸と過酸化水素との反応を触媒して、上記ペルオキシ酸を形成する。さらなる強酸の非存在下で、上記反応は進行するが、代表的には、当該分野で公知であるように、非常にゆっくりである。ペルオキシ酸は、代表的には、オキシ酸と、上記強酸の存在下での過酸化水素との反応によって形成される。適切な速度を促進する酸としては、HSO、HPO、MeSOH、HCl、p−トルエンスルホン酸およびこれらの混合物が挙げられる。大部分の強酸は、当該分野で周知であるように、強酸触媒として機能するのに適している。
本発明の第2の改善は、式IIの化合物を式IIIの化合物に変換する還元工程に関する。従来のオピエート合成において、上記還元反応は、触媒的水素化反応である。触媒的水素化において、水素分子Hは、触媒(例えば、炭素担持Pd)の存在下で、上記式IIの化合物の二重結合と反応する。この反応は、高圧水素雰囲気を要する;従って、上記反応のために高圧反応器を要する。
本発明において、触媒的水素転移還元反応は、上記式IIの化合物の二重結合を十分に勝つ選択的に水素化し得ることが、予測外にも発見された。例示において、HCOHは、式IIの化合物と反応して、その二重結合を還元し、飽和ケトンを形成する。上記水素転移還元反応は、金属触媒の存在下で起こる。適切な金属触媒は、当該分野で周知であり、炭素担持遷移金属(transition metals on carbon)(例えば、Pd/C、Pt/C、Ru/C、Rh/C、後期遷移金属(late transition metal)酸化物(例えば、PdO、PtOおよびこれら金属とホスフィン配位子との錯体)、およびこれらの混合物が挙げられる。
上記水素転移反応は、従来の触媒的水素化反応を超えるいくつかの利点を有する。上記水素転移還元反応の間に、HCOHは、二重結合還元のために2Hおよび副生成物としての1つのCO分子へと分解する。適切なHCOHは、室温で液体であり、上記反応は、上記反応のための高圧反応器の使用を要しない。従って、改善された方法は、高価な高圧反応器に対する投資を低減することができるので、経済的である。さらに、上記反応は、予測外に、酸素の存在下で起こり得る。代表的には、酸素の存在は、上記ケトン官能基もしくはフェノキシル官能基の過剰酸化(over−oxidation)を含む副生成物をもたらすが、本発明の改善において、上記反応は、予測外にも、所望であるように進行する。
適切な水素転移試薬としては、HCOH、HCOH/HCONH、HCOH/HCONa、HCOH/NEt、HCHO、HCHO/NR (ここでR基は、H、アルキル、アリールから独立して選択される)およびこれらの混合物が挙げられ、これらはすべて、当該分野で周知の一般的な水素転移試薬である。
上記水素転移反応の温度は、重要であるとはみなされないが、上記温度は、代表的には、約−5℃〜約110℃の間に維持される。上記式IIIの化合物の増大した収率は、約60℃〜約110℃の温度において観察された。
有利には、本発明は、改善された酸化および改善された還元の両方が、同じ溶媒中で行われ得るので、望ましい場合、中間体である式IIの化合物を単離することなく、「1ポット」合成として利用され得る。従来の反応は、不純物を除去し、そして溶媒の交換を可能にすることの両方のために、中間体の単離を要する。
具体的には、本発明の改善された酸化および改善された還元は、水性溶媒中、もしくは水と有機溶媒との混合物中で、行われ得る。約5〜約95% 水中に実質的に溶解する任意の溶媒が、利用され得る。適切な有機溶媒としては、ROH(Rは、1〜8個の炭素のアルキル基である)、THF、酢酸エチル、エーテルおよびこれらの混合物が挙げられる。
本発明の非限定的実施形態において、強酸は、オキシ酸をペルオキシ酸に変換する速度を増大させ、従って、上記式Iの化合物を上記式IIの化合物に酸化するのを加速するために添加され得る。一旦酸化が完了すると、塩基が添加されて、上記酸を中和し、そのpHが還元に適したレベルへと上昇させられる。約2〜約4のpHが1未満のpHよりも弱い還元を生じることが決定された。適切な塩基としては、NaOH、KOH、NaCO、KCO、NaHCO、KHCO、HCONa、CHCONa、NEtおよびこれらの混合物が挙げられる。
本発明の例示的な非限定的例において、本明細書で開示される上記2つの反応の改善を利用することは、1ポット合成(one−pot synthesis)において利用される。上記式Iの化合物は、HCOH/HO中で溶解される。Hは、酸化剤として添加され、HSOは、触媒として選択される。強酸(例えば、HSO)の存在下で、Hは、HCOHと反応して過酢酸HCOHを形成する。このインサイチュで形成されるHCOHは、上記式Iの化合物と反応して、上記中間体である式IIの化合物およびHCOHを形成する。Pd/Cを触媒として添加すると、上記触媒およびHCOHは、水素転移還元を開始して、上記式IIの化合物を上記式IIIの化合物へ変換する。
上記還元工程の代替の実施形態において、上記式Iの化合物を上記式IIの化合物へ酸化することが完了すると、NEtが添加されて過剰なHSOおよびHCOHの一部を中和し、HCOHおよびHCOH/NEtの混合物を生じる。これら試薬は、適切な水素転移試薬である。上記触媒Pd/Cを添加すると、上記水素転移還元が開始され、式IIの化合物は、式IIIの化合物に変換される。
別の代替の実施形態において、上記式Iの化合物を上記式IIの化合物へ酸化することが完了すると、HCONaが添加されて、すべての過剰なHSOを中和し、HCOHの形成を生じる。この試薬は、適切な水素転移試薬である。触媒(例えば、Pd/C)を添加すると、上記水素転移還元が開始され、式IIの化合物が式IIIの化合物に変換される。
さらに別の例示的な、非限定的例において、上記ペルオキシ酸は、本明細書に記載される改善された酸化工程に従ってインサイチュで形成される一方で、上記還元工程は、従来の還元法を介して達成される。
さらに別の例示的な非限定的例において、上記酸化工程は、本明細書に記載される改善された還元工程と組み合わせて、従来の酸化法を介して達成される。
(実施例1)
乾燥テバイン(3.2g,95%wt/wt%)を、HCOH/HO(6mL/9mL)中に溶解して、反応溶液を形成した。H(50% wt/wt,0.9mL)およびHSO(0.30g)を、上記反応溶液に添加した。これを、HPLCデータによって、上記テバインが14−ヒドロキシコデイノンに完全に変換することが示されるまで、約3〜6時間、20℃で攪拌した。次いで、0.3gの5% Pd/Cを添加し、上記得られた混合物を、45℃で2時間加熱し、次いで、60℃でさらに2時間加熱した。その後、HPLCは、14−ヒドロキシコデイノンからの95%より高い変換を示した。上記反応混合物を60℃で濾過し、そして得られた濾液を、室温にまで冷却した。c−NHOHを、上記混合物のpHが沈殿物を生じるに十分上昇するまでに、ゆっくりと添加した。上記得られた混合物を、室温で1時間攪拌し、濾過した。上記回収された固体を水(3×15mL)で洗浄し、ハウスバキューム下で75℃において18時間乾燥させて、1.8gの生成物を得た。
(実施例2)
乾燥オリパビン(3.0g,95%wt/wt%)を、HCOH/HO(6.0mL/9.0mL)中で溶解して、反応溶液を形成した。H(50% wt/wt,0.70mL)およびHSO(0.45mL)を、上記反応溶液に添加し、これを、HPLCデータによって、上記オリパビンが14−ヒドロキシコデイノンに完全に変換したことが示されるまで、20℃で約20〜30時間攪拌した。次いで、0.3gの5% Pd/Cを添加し、得られた混合物を、室温で30分間攪拌した。HCONa(0.6g)およびNEt(7.5mL)を添加した。上記混合物を、45℃で2時間加熱し、次いで、HPLCが14−ヒドロキシモルヒノンが完全に消失したことを示した後に、80℃でさらに4〜8時間加熱した。上記反応混合物は、60℃に冷却し、濾過した。上記得られた濾液を、室温に冷却した。c−NHOHを、上記混合物のpHが9.2〜10.0に調節されて、沈殿物を形成することを示すまで、ゆっくりと添加した。上記得られた混合物を、室温で1時間攪拌し、濾過した。上記回収した固体を水(3×15mL)で洗浄し、ハウスバキューム下で、75℃で18時間乾燥させて、1.6gの生成物を得た。
(実施例3)
乾燥オリパビン(3.0g,95%wt/wt%)を、HCOH/HO(6.0mL/9.0mL)中に溶解して、反応溶液を形成した。H(50% wt/wt,0.70mL)およびHSO(0.45mL)を上記反応溶液に添加し、これを、HPLCデータによって上記オリパビンが14−ヒドロキシコデイノンに完全に変換したことが示されるまで、20℃で約20〜30時間攪拌した。次いで、0.3gの5% Pd/Cを添加し、上記得られた混合物を、室温で30分間攪拌した。NEt(8.8mL)を添加した。上記混合物を、45℃で2時間加熱し、次いで、80℃でさらに4〜8時間加熱し、その後、HPLCによって、14−ヒドロキシモルヒノンの完全な消失が示された。上記反応混合物を60℃に冷却し、濾過した。その得られた濾液を室温に冷却した。上記混合物のpHを、9.2〜10.0に調節して沈殿物を生じるまで、c−NHOHをゆっくりと添加した。上記得られた混合物を室温で1時間攪拌し、濾過した。上記回収した固体を水(3×15mL)で洗浄し、ハウスバキューム下で、75℃で18時間乾燥させて、1.8gの生成物を得た。
オピエート化合物の調製のための新規なプロセスが記載されてきた。本発明の方法は、特定の化合物および実施例に言及しながら記載されてきたが、明確に述べられない限り、このような言及によって本発明の範囲を限定する意図はない。種々の改変は、プロセス工程の物質および順番およびプロセス組み合わせにおいて行われ得、これらは、本発明から逸脱することなく、種々のプロセス工程を満足させるために適合され、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。前述の説明は、理解を明確にするためにのみ与えられ、不要な限定は、改変は当業者に明らかであるので、前述の説明から理解されるべきではない。
具体的には、当該分野で周知であるように、本発明の反応および化合物は、上記化合物の薬学的に受容可能な塩の使用に等しく適用可能であることが注意される。上記化合物の塩は、出発物質として利用され得るか、または上記反応プロセス、例えば、硫酸が上記反応混合物に存在する場合に、スルフェート化合物およびビスルフェート化合物の形成の間に形成され得る。これら塩の使用および形成は、製薬産業において周知である。

Claims (1)

  1. 本願明細書に記載された発明。
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