JP2013208754A - カール矯正機構を備えた液体吐出装置及びカール矯正方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インクジェット記録装置1は、用紙にインクを吐出する液体吐出ヘッド4と、印刷済みの用紙が積載される排出トレイ11と、該印刷ジョブから用紙のページ番号を読み取るパラメータ判別手段81と、印刷済みの用紙に対する待機時間を設定するカール矯正因子設定手段82と、該カール矯正因子設定手段82に接続されて、印刷済みの用紙を排出トレイ11に排出される前に、カール矯正因子設定手段82によって設定された待機時間だけ待機させて、該用紙のカールを矯正するカール矯正機構2とを備えている。カール矯正因子設定手段82は、パラメータ判別手段81によって用紙のページ番号が印刷ジョブ内で後方に位置すると判別されると、その用紙については待機時間をページ番号が印刷ジョブ内で前方に位置する用紙に比して長くする。
【選択図】 図6
Description
本発明の目的は、複数枚の記録媒体に連続的に画像を形成して排出する場合において、カール量を抑えつつ、スループットを短くすることにある。
前記複数の記録媒体のうち、前記液体吐出ヘッドにより後に画像が形成される記録媒体よりも先に画像が形成される記録媒体のカール矯正度合を小さくさせるように前記カール矯正機構を制御する。
図1は、インクジェット記録装置の全体構成を示す図である。インクジェット記録装置1は直方体状の筐体10を有し、該筐体10の上部には、排出トレイ11が設けられている。該排出トレイ11は、筐体10に設けられた排出口14の下方に位置して、後記の如く、排出トレイ11には、該排出口14から排出された印刷済みの用紙Pが積み重なって収納される。筐体10内には、上方から下方に向かって、液体吐出ヘッド4、搬送ユニット5、給紙ユニット6、タンク群7が配置されている。液体吐出ヘッド4は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各インクの液滴を用紙Pに吐出する。搬送ユニット5は、用紙Pを水平に搬送した後に排出トレイ11に送る。給紙ユニット6は、搬送ユニット5に用紙Pを供給する。タンク群7は、各色のインクを貯蔵した複数のタンク70を水平に並べて構成される。搬送ユニット5の下流側であって、液体吐出ヘッド4の上流側には、インクの吐出に先立ち、処理液を用紙Pに吐出する処理液ヘッド4aが設けられている。ここで、処理液とは、インクが用紙Pに吐出される前に、用紙Pに塗布されて、インクの成分を凝集又は析出させるものであり、これにより高い印刷品質を維持し又は画質を向上させる。前記タンク群7には、処理液を貯蔵した処理液タンク70aも含まれる。
筐体10の上面には、コントローラ8に電気的に接続された操作パネル12が設けられている。使用者は該操作パネル12を操作して、用紙Pの曲げ強度に関するデータを入力することができる。具体的には、厚手の用紙Pと薄手の用紙Pとでは、用紙Pのコシとも呼ばれる曲げ強度が異なり、印刷済みの用紙Pのカール量は該曲げ強度に依存する。また、用紙Pの材質によっても、曲げ強度は異なる。使用者は操作パネル12を操作して用紙Pの曲げ強度に関するデータを入力することにより、排出トレイ11に排出される印刷済みの用紙Pのカール量を抑えることができる。
搬送ユニット5は、図1中の用紙Pを左から右に搬送する機構である。以下の記載では、印刷領域において用紙Pを搬送する方向を副走査方向、水平面内において該副走査方向と直交する方向を主走査方向と呼ぶ。
前記給紙ユニット6は、給紙トレイ60と、給紙ローラ61と、該給紙ローラ61と前記搬送ユニット5との間に配置された2つのガイド62及び送りローラ対63とを備えている。給紙ローラ61は給紙トレイ60内の最上位の用紙Pを取り出し、該ガイド62及び送りローラ対63によって搬送ユニット5の上流側に搬送する。
液体吐出ヘッド4は、主走査方向に延びた直方体状のラインヘッドであって、その下面はインクを吐出する多数の液体吐出孔が形成されたノズル面40として形成されている。各液体吐出ヘッド4は、吐出すべきインクの色に対応したタンク70にチューブ(図示せず)を介して接続される。ノズル面40の液体吐出口からはインクが液滴状に吐出され、該吐出されるインクの液滴にはその径のサイズに応じて、大滴、中滴、小滴の3種類がある。
前記搬送ユニット5の一部と後記のヒータ20とで、カール矯正機構2が構成される。印刷済みの用紙Pのカール量が一定以上の大きさであると、排出された印刷済みの用紙Pが整然と積み重ならず、用紙Pが折れ又は曲がる等の不具合が発生する。このカール矯正機構2は、印刷済みの用紙Pのカール量を一定未満の大きさに矯正してから、排出トレイ11に排出するためのものである。
図2は、カール矯正機構2の詳細な構成を示す図である。前記送りローラ対53は、互いに接近する向きに付勢された2つの送りローラ53aから構成される。各送りローラ53aはガイド52に開設された孔(図示せず)を通って用紙Pの搬送路に侵入し、両送りローラ53aにて用紙Pを挟持して搬送する。各送りローラ53aはモータMに接続されて、該モータMによって回転される。
両送りローラ53aにて用紙Pを挟持して搬送途中に、モータMを回転停止させると、用紙Pは搬送路上で停止し、用紙Pを上下に真っ直ぐ伸ばした状態で、用紙Pの形状を保持しつつ待機した待機状態となる。この待機状態を所定時間だけ続けることにより、用紙P上のインクが乾燥して、用紙Pのカールが矯正される。該待機状態を続ける所定時間を待機時間と呼ぶ。このように、印刷済みの用紙Pを待機時間だけ待機させ、用紙P上のインクを乾燥させることによって、用紙Pのカールを矯正することができる。
また、印刷済みの用紙Pを待機時間だけ待機させるのではなく、モータMを低速で回転させ、用紙Pを低速で搬送することによって、カールを矯正することもできる。低速搬送中に用紙P上のインクが乾燥するからである。
さらに、送りローラ53aの側方にはヒータ20が配置されている。該ヒータ20から温風が吹き出されると、各送りローラ53aによって搬送される用紙Pが温風にさらされて加熱される。用紙Pが待機状態を続けている間、または、低速で搬送されている間、ヒータ20から温風を吹き出すと、用紙Pの乾燥が促進される。つまり、用紙Pのカール量の矯正が促進される。
なお、用紙Pについてカールを矯正せずに排出トレイ11に排出したときに発生するカール量(用紙のたわみ量等)とカールを矯正して排出トレイ11に排出したときに発生するカール量とのカール量の差を、カール矯正度合としてもよい。
なお、カール矯正機構2において、ヒータ20は必須のものではない。つまり、用紙Pを待機状態にすることのみによってカールを矯正するようにしてもよいし、低速で搬送することのみによってカールを矯正するようにしてもよい。
図3は、コントローラ8の内部構成を示すブロック図である。コントローラ8は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、不揮発性メモリとを含んでいる(いずれも不図示)。コントローラ8を構成する各機能部は、これらハードウェアとROM内のソフトウェアとが協働して構築されている。
コントローラ8は各機能部として、前記印刷ジョブ及び使用者から操作パネル12を介して入力されたデータが一旦格納される記憶部83と、該記憶部83から印刷ジョブ及び使用者からのデータが入力されるパラメータ判別手段81と、該パラメータ判別手段81とカール矯正機構2とに接続された制御手段80とを備える。制御手段80は、カール矯正機構2に待機時間等を設定するカール矯正因子設定手段82を備える。
記憶部83には、複数の連続した印刷ジョブを格納することができる。パラメータ判別手段81は、印刷ジョブ又は使用者からのデータに含まれるパラメータを読み取って該パラメータの内容を判別する。パラメータ判別手段81はまた、記憶部83に格納された印刷ジョブが1つだけか、複数かを判別することができる。制御手段80は、液体吐出ヘッド4の吐出動作を司り、またパラメータ判別手段81が判別したパラメータの内容に基づいて、カール矯正因子設定手段82にカール矯正因子を設定させる。
また、画像データには、印刷すべき画像がモノクロ印刷かカラー印刷かを示すフラグ、用紙P上の画素領域に吐出するインクの液滴の大きさ及び量を演算する基準となるベクタイメージデータ等が含まれる。また、パラメータ判別手段81には、複数個の印刷ジョブが連続して入力されることもある。
排出トレイ11に印刷済みの1の用紙Pが排出されてから、更に多数枚の用紙Pが積み重なる場合は、該多数枚の用紙Pの重みで該1の用紙Pのカール量が矯正される。従って、1の用紙Pに印刷が施されてから、更に多数枚の用紙Pが積み重なる場合は、該1の用紙Pには少量のカール量が残存していてもよい。これに対し、排出トレイ11に印刷済みの1の用紙Pが排出されてから、更に積み重なる用紙Pの枚数が少ない場合は、積み重なる用紙Pの重みで該1の用紙Pのカール量が矯正される効果は少ない。従って、1の用紙Pに印刷が施されてから、更に積み重なる用紙Pの枚数が少ない場合は、該1の用紙Pはカール量が小さくされて、即ちカール矯正度合が大きくされて、排出トレイ11に排出される必要がある。コントローラ8は、1の用紙Pに印刷が施されてから、更に積み重なる用紙Pの枚数に応じて、カール矯正因子設定手段82を制御して、カール矯正因子を変更する。
以下、説明の便宜上、カール矯正因子の一例として、待機時間を例示する。図5に示すように、カール矯正因子設定手段82には、印刷ジョブ内のページ番号と該ページ番号に応じた待機時間の値が格納されたテーブルT0が設けられている。該テーブルT0内では、ページ番号が大きくなるほど、待機時間の値(単位:sec(秒))が長く設定されている。尚、図5のテーブルT0に示す待機時間の値は例示であり、これに限定されない。以下に、コントローラ8の具体的な動作を図6のフローチャートを用いて説明する。また、本実施形態では、パラメータ判別手段81が判別するパラメータは、印刷データのページ番号である。
1つの印刷ジョブは前端から後端までが、一旦記憶部83に格納される。即ち、記憶部83は複数の画像に係る画像データを記憶することができる。パラメータ判別手段81は該記憶部83内に格納された印刷ジョブから印刷データが何枚の用紙Pに係るかを判別する。即ち、パラメータ判別手段81は印刷ジョブ内にて、最後尾に位置する印刷データのページ番号N1を判別する(ステップS1)。ページ番号N1は制御手段80に送信される。
1の印刷ジョブに対し、更に印刷ジョブが続く場合は、仮に印刷に係る用紙Pのページ番号が1の印刷ジョブ内で後方に位置していても、該用紙Pが印刷されて排出トレイ11に収納された後に、その後から用紙Pが積載される。従って、この場合は待機時間を比較的短く設定して、スループットを短くしている。
即ち、本実施形態では、カール矯正因子設定手段82が、本発明の「待機時間設定手段」を構成する。
待機時間経過後は、カール矯正因子設定手段82は再びモータMを回転させ、カールが矯正された印刷済みの用紙Pを排出トレイ11に搬送する(ステップS8)。
この場合、印刷ジョブ内の全てのページ番号の用紙Pについて、待機時間を長く設定すると、スループットが長くなる。従って、印刷ジョブ内で後方に位置するページ番号の用紙Pについて、待機時間を長く設定することにより、スループットが長くなることを抑えている。
前記の如く、カール矯正因子には待機時間のみならず、ヒータ20の加熱時間及び加熱温度が含まれる。従って、待機時間を変更して用紙Pのカール矯正度合を変更することに代えて、ヒータ20の加熱時間及び加熱温度を変更して、用紙Pのカール矯正度合を変更してもよい。この場合は、待機時間を一定としておいてヒータの温度を上昇(カール矯正度合が多い場合)させたり、ヒータから用紙Pに送風する風量を大きくしてもよい。また待機時間とヒータの温度の組み合わせでカール矯正度合を設定してもよい。
用紙Pは種類によって、印刷後のカール量が異なる。具体的には、厚手の用紙Pと薄手の用紙Pとでは、用紙Pのコシとも呼ばれる曲げ強度が異なる。また、厚みが同じであっても、上質紙はコシが弱くてカールし難く、ワラ半紙はコシが強くてカールし難い。従って、用紙Pの曲げ強度が強い場合は、待機時間を長くして、カール量を抑える、即ちカール矯正度合を大きくする必要がある。
使用者が操作パネル12から、用紙Pの曲げ強度に関するデータを入力すれば、コントローラ8は以下の手順で曲げ強度に関するデータに基づいて、待機時間を変更する。即ち、本実施形態では、パラメータ判別手段81が判別するパラメータは、用紙Pの曲げ強度である。本実施形態におけるコントローラ8の動作を図7のフローチャートを用いて説明する。本実施形態にあっても、カール矯正因子として待機時間を例示するが、該カール矯正因子として待機時間に代えて、ヒータ20の加熱時間及び加熱温度を用いてもよい。また、カール矯正因子として待機時間、ヒータ20の加熱時間及び加熱温度を複合的に用いてもよい。
パラメータ判別手段81は、使用者が入力したデータから用紙Pの曲げ強度を判別する(ステップS10)。この曲げ強度は制御手段80に送信される。制御手段80内には、曲げ強度の閾値が設定されており、該制御手段80は用紙Pの曲げ強度が該閾値以上であるか否かを判別する(ステップS11)。即ち、本実施形態では、制御手段80が、本発明の「曲げ強度判断手段」を構成する。
ステップS11にて、用紙Pの曲げ強度が該閾値以上と判断されれば、制御手段80は曲げ強度が強い場合の待機時間、即ち、曲げ強度が弱い場合の待機時間よりも長い待機時間を設定するように、カール矯正因子設定手段82を制御する(ステップS12)。カール矯正因子設定手段82は、第2のテーブルから待機時間を読み出して、待機時間をモータMに設定する。即ち、モータMを回転させない。
この後に、前記のステップS1からステップS8までの工程を実行する。即ち、ページ番号に応じて第1のテーブル又は第2のテーブルから待機時間を読み出して、カール矯正機構2を該待機時間だけ待機させる(ステップS24)。
用紙Pの曲げ強度が強ければ、用紙Pのカールを矯正するのに時間が掛かる。従って、この場合は待機時間を長く設定して、カールを十分に矯正している。
前記の如く、印刷ジョブ内の画像データ内には、印刷すべき画像がモノクロ印刷かカラー印刷かを示すフラグ、用紙P上の画素領域に吐出するインクの液滴の大きさ及び量を演算する基準となるベクタイメージデータ等が含まれる。印刷すべき画像がモノクロ印刷であれば、画像データの処理に時間はかからず、印刷速度は速い。逆に、印刷すべき画像がカラー印刷であれば、画像データの処理に時間がかかり、印刷速度は遅い。また、用紙P上に吐出するインクの液適量が少なければ、印刷速度は速くなる。
用紙Pの印刷速度が速いと、印刷済みの1の用紙Pが排出トレイ11に排出されてから、次の用紙Pが排出されるまでの時間が短い。これでは、カール矯正機構2にてカールが十分矯正され難い。そこで、本実施形態のインクジェット記録装置では、先ず印刷ジョブ内の画像データから用紙Pの印刷速度が速いか否かを判別する。即ち、本実施形態では、パラメータ判別手段81が判別するパラメータは、用紙の印刷速度である。本実施形態におけるコントローラ8の動作を図9のフローチャートを用いて説明する。
パラメータ判別手段81は、印刷ジョブ内の画像データ内のフラグ、ベクタイメージデータから用紙Pの印刷速度を判別する(ステップS20)。この印刷速度は制御手段80に送信される。制御手段80内には、印刷速度の閾値が設定されており、該制御手段80は用紙Pの印刷速度が該閾値以上であるか否かを判別する(ステップS21)。ステップS21にて、用紙Pの印刷速度が該閾値以上と判断されれば、制御手段80は印刷速度が速い場合の待機時間、即ち、通常の印刷速度の場合の待機時間よりも長い待機時間を設定するように、カール矯正因子設定手段82を制御する(ステップS22)。カール矯正因子設定手段82は第2のテーブルから待機時間の値を読み出して待機時間を設定する。
この後に、前記のステップS1からステップS8までの工程を実行する(ステップS24)。即ち、ページ番号に応じて第3のテーブル又は第4のテーブルから待機時間を読み出して、カール矯正機構2を該待機時間だけ待機させる。
上記の如く、印刷速度が速い場合は、待機時間を通常の印刷速度の場合に比して長く設定する。この待機時間はスループットに影響を与えない程度の時間である。
前記の如く、印刷ジョブ内の画像データ内には、用紙P上の画素領域に吐出するインクの液滴の大きさ及び量を演算する基準となるベクタイメージデータが含まれる。該ベクタイメージデータをラスタイメージデータに変換することにより、インク吐出データを作成することができる。図10(a)〜(d)は、インク吐出データを示す図である。該インク吐出データは、用紙P上に仮想的に定められたブロック毎又は画素領域毎に吐出するインクの液滴の大きさ及び量を示す。図10(a)〜(d)ではインクの液滴の大きさである前記の大滴をL、中滴をM、小滴をSで示す。インク吐出データは前記の如く、インクの色であるブラック、シアン、マゼンタ、イエローに対応して作成され、図10(a)はブラック、(b)はシアン、(c)はマゼンタ、(d)はイエローに対応したインク吐出データを示す。
図10(a)〜(d)に示すブロック毎又は画素領域毎に吐出する各色のインク液滴の大きさ及び量を加算し、全てのブロック又は画素領域のインク液滴の大きさ及び量を総和すれば、用紙P全体に吐出するインクの量が判る。インクの吐出量が多ければ、インクを十分に乾燥させてカール量を抑える必要がある。逆に、インクの吐出量が少なければ、インクは早く乾燥する。
そこで、本実施形態のインクジェット記録装置では、先ず印刷ジョブ内の画像データに含まれる用紙Pへのインクの吐出量が多いか少ないかを判別する。即ち、本実施形態では、パラメータ判別手段81が判別するパラメータは、用紙Pへのインクの吐出量である。本実施形態におけるコントローラ8の動作を図11のフローチャートを用いて説明する。
用紙Pへのインクの吐出量が多い場合は、インクを十分に乾燥させてカール量を抑える必要があるから、用紙Pへのインクの吐出量が少ない場合に比して、待機時間を長くする必要がある。従って、同じページ番号にあっては、第6のテーブル内の待機時間の値は、第5のテーブル内の待機時間の値よりも大きい。
パラメータ判別手段81には、このラスタイメージデータが入力され、該ラスタイメージデータから用紙Pへのインク吐出量を判別する(ステップS30)。インクの吐出量は、ブロック毎に吐出されるインク量、即ちインク液滴のサイズに液滴の数を乗じた値を求め、この値を全てのブロックについて総計することにより求められる。このインク吐出量のデータは制御手段80に送信される。制御手段80内には、インク吐出量の閾値が設定されており、該制御手段80は用紙Pへのインク吐出量が該閾値以上であるか否かを判別する(ステップS31)。即ち、本実施形態では、制御手段80が、本発明の「液体吐出量判断手段」を構成する。
ステップS31にて、用紙Pへのインク吐出量が該閾値未満と判断されれば、制御手段80はインク吐出量が少ない場合の待機時間を設定するように、カール矯正因子設定手段82を制御する(ステップS33)。カール矯正因子設定手段82は第5のテーブルから待機時間の値を読み出して待機時間を設定する。この後に、前記のステップS1からステップS8までの工程を実行する。即ち、ページ番号に応じて第5のテーブル又は第6のテーブルから待機時間を読み出して、カール矯正機構2を該待機時間だけ待機させる(ステップS34)。
用紙Pへのインク吐出量が多ければ、用紙Pのカールを矯正するのに時間が掛かる。従って、この場合は待機時間を長く設定して、カールを十分に矯正している。
尚、本実施形態では、制御手段80は用紙Pへのインク吐出量と該閾値とを比較するとした。しかし、これに代えて、ブロック毎のインク付着面積を求め、これを全てのブロックについて総計して、用紙P上のインク付着面積を求める。制御手段80には、該インク付着面積に対する閾値が設けられ、制御手段80は該インク付着面積と閾値とを比較してもよい。
また、用紙P全体へのインク吐出量が同じであっても、用紙Pの縁へのインク吐出量が多く且つ用紙Pの中央部へのインク吐出量が少ない場合と、用紙Pの縁へのインク吐出量が少なく且つ用紙Pの中央部へのインク吐出量が多い場合とでは、用紙Pのカール量が異なる。一般に用紙Pの縁にインクが多く吐出すると、カール量は大きくなるから、待機時間を長く設定する必要がある。そこで、用紙P全体へのインク吐出量に基づいて待機時間の概略値を設定し、加えて用紙P上のブロック又は画素領域の位置に応じたインク吐出量を考慮して、待機時間を最終的に設定してもよい。
また、上記実施形態では制御手段80はカール矯正因子設定手段82を備えているとしたが(図3参照)、これに代えて、制御手段80とカール矯正因子設定手段82とが別個であって、互いに接続されていてもよい。
また、上記の実施形態では、用紙Pの曲げ強度に関するデータは、使用者が操作パネル12から入力するとした。しかし、これに代えて、曲げ強度の異なる用紙P毎に、専用の給紙トレイ60を設けてもよい。この場合、該給紙トレイ60の外面に該トレイの識別標識を設け、筐体10内に該識別標識の読取り装置を備える。
該給紙トレイ60が筐体10内に装着されれば、読取り装置によって該識別標識が識別されて、給紙トレイ60内の用紙Pの曲げ強度に関するデータが自動的に識別される。この識別標識としては、例えば二次元コードや、給紙トレイ60の外側に設けた凹凸形状が挙げられる。また、読取り装置としては、二次元コードのリーダや給紙トレイ60の凹凸を検出するスイッチ等が挙げられる。
上述の実施形態においては、図5に示されるように、ページ番号が大きくなるほど待機時間の値(単位:sec(秒))が長く設定されている構成であるが、所定のページまで(例えば4ページまで)の待機時間が同じ(例えば0.5sec)で、それ以降のページの待機時間が所定のページまでの待機時間より長く(例えば0.8sec)なるように設定されていてもよい。
また、印刷される用紙が少ないときは、用紙の重さによるカール矯正の効果などが期待できないので、印刷される用紙が少ない場合は全ての用紙についてカール矯正が十分なされるような同じカール矯正度合(待機時間など)を設定し、印刷される用紙(ジョブに含まれるページ)が所定の枚数より多い場合のみ、カール矯正度合を変化させるように制御してもよい。
また、上述の実施形態において、単一のCPUによってコントローラ8を構成してもよい。または複数のCPU、あるいは特定のASIC(application specific integrated circuit)、CPUと特定のASICの組み合わせによりコントローラ8を構成していてもよい。
2 カール矯正機構
4 液体吐出ヘッド
5 搬送ユニット
6 給紙ユニット
8 コントローラ
11 排出トレイ
80 制御手段
81 パラメータ判別手段
82 カール矯正因子設定手段
Claims (9)
- 複数の記録媒体それぞれに形成される複数の画像に係る画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画像データに係る前記複数の画像を前記複数の記録媒体のそれぞれに形成するための液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドにより画像が形成された前記複数の記録媒体それぞれに発生するカールを矯正するためのカール矯正機構と、
前記カール矯正機構によりカールが矯正された前記複数の記録媒体が積み重なって収納される排出トレイと、
前記カール矯正機構を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記複数の記録媒体のうち、前記液体吐出ヘッドにより後に画像が形成される記録媒体よりも先に画像が形成される記録媒体のカール矯正度合を小さくさせるように前記カール矯正機構を制御する、液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記カール矯正機構において前記複数の記録媒体を待機させる待機時間を設定する待機時間設定手段を有しており、
前記待機時間設定手段は、前記複数の記録媒体のうち前記液体吐出ヘッドにより後に画像が形成される記録媒体よりも先に画像が形成される記録媒体の前記待機時間が短くなるように前記待機時間を設定し、
前記制御手段は、前記カール矯正機構において前記複数の記録媒体を前記待機時間設定手段によって設定された待機時間だけ待機させて、該記録媒体のカールを矯正させるように前記カール矯正機構を制御する、請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記記録媒体夫々の曲げ強度を判断する曲げ強度判断手段をさらに備えており、
前記カール矯正因子設定手段は、前記曲げ強度判断手段が記録媒体の曲げ強度が所定の強度以上に強いことを判断した場合は、前記待機時間を、記録媒体の曲げ強度が前記所定の強度未満の場合に比して長くなるように前記待機時間を設定する、請求項2に記載の液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記複数の記録媒体への印刷速度が所定の速度以上である場合に、前記待機時間を、印刷速度が前記所定の速度未満の場合に比して長くなるように、前記カール矯正因子設定手段に設定させる、請求項2に記載の液体吐出装置。
- 前記制御手段は、前記記録媒体夫々に吐出される液体吐出量を判断する液体吐出量判断手段をさらに備えており、
前記カール矯正因子設定手段は、前記液体吐出量判断手段が記録媒体への液体吐出量が所定の量以上であることを判断した場合は、前記待機時間を、記録媒体への液体吐出量が前記所定の量未満の場合に比して長くなるように前記待機時間を設定する、請求項2に記載の液体吐出装置。 - 前記パラメータ判別手段には、複数の印刷ジョブを入力することができ、
前記制御手段は、前記液体吐出ヘッドをも制御し、
前記制御手段は、前記複数の印刷ジョブに係る前記複数の画像を前記複数の記録媒体それぞれに連続的に形成させるように前記液体吐出ヘッドを制御する、請求項1乃至5の何れか1項に記載の液体吐出装置。 - 前記カール矯正機構は、前記液体吐出ヘッドにより画像が形成された記録媒体の形状を保持しつつ前記排出トレイに搬送する搬送機構である、請求項1乃至6の何れか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記カール矯正機構は、前記液体吐出ヘッドにより画像が形成された記録媒体の形状を保持しつつ乾燥させる乾燥機構である、請求項1乃至6の何れか1項に記載の液体吐出装置。
- 複数の記録媒体夫々に形成される複数の画像に係る画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された記録媒体に液体を吐出して前記画像データに係る前記複数の画像を前記複数の記録媒体夫々に形成するための印刷処理を行う液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドにより画像が形成された前記複数の記録媒体夫々に発生するカールを矯正するためのカール矯正機構と、
前記カール矯正機構によりカールが矯正された前記複数の記録媒体が積み重なって収納される排出トレイと、
前記カール矯正機構を制御する制御手段を備え、
前記制御手段が、前記複数の記録媒体のうち、前記液体吐出ヘッドにより後に画像が形成される記録媒体と、該記録媒体よりも先に画像が形成される記録媒体を決定する工程と、
前記制御手段が、後に画像が形成される記録媒体よりも先に画像が形成される記録媒体のカール矯正度合を小さくさせるように前記カール矯正機構を制御する工程、とを有する、カール矯正方法。
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