JP2009143010A - カール予測方法、及び、液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より正確にカールを予測すること。
【解決手段】媒体上に定められた領域ごとに、液体吐出装置が前記領域に吐出する液体量を算出するステップと、前記媒体上における前記領域の位置と前記領域に吐出される液体量とに基づいて、前記媒体に液体が吐出されることにより発生する前記媒体のカール状態を予測するステップと、を有するカール予測方法。
【選択図】図6
【解決手段】媒体上に定められた領域ごとに、液体吐出装置が前記領域に吐出する液体量を算出するステップと、前記媒体上における前記領域の位置と前記領域に吐出される液体量とに基づいて、前記媒体に液体が吐出されることにより発生する前記媒体のカール状態を予測するステップと、を有するカール予測方法。
【選択図】図6
Description
本発明は、カール予測方法、及び、液体吐出装置に関する。
液体吐出装置の1つとして、紙や布、フィルムなどの各種媒体にノズルからインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタには水溶性のインクが多く使用され、印刷用紙の表裏に塗布される水分量の差が大きい場合、印刷用紙がカールしてしまう。
そこで、印刷用紙に塗布されるインク量が閾値以上であれば、用紙にカールが発生すると判断する方法が提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
特開2002−67357号公報
しかし、用紙に同量のインクを塗布したとしても、インクが用紙の全域に亘って塗布された場合と、局所的に塗布された場合とでは、カールの発生の仕方が異なる。そのため、上述のカール予測方法のように、用紙に塗布されるインク量のみによりカールの発生の有無を判断しようとすると、誤った予測をしてしまう。
そこで、より正確に用紙のカール状態を予測することを目的とする。
そこで、より正確に用紙のカール状態を予測することを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、媒体上に定められた領域ごとに、液体吐出装置が前記領域に吐出する液体量を算出するステップと、前記媒体上における前記領域の位置と前記領域に吐出される液体量とに基づいて、前記媒体に液体が吐出されることにより発生する前記媒体のカール状態を予測するステップと、を有するカール予測方法である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、媒体上に定められた領域ごとに、液体吐出装置が前記領域に吐出する液体量を算出するステップと、前記媒体上における前記領域の位置と前記領域に吐出される液体量とに基づいて、前記媒体に液体が吐出されることにより発生する前記媒体のカール状態を予測するステップと、を有するカール予測方法を実現すること。
このようなカール予測方法によれば、媒体上における液体が吐出される位置によっても媒体のカール状態が異なるため、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
このようなカール予測方法によれば、媒体上における液体が吐出される位置によっても媒体のカール状態が異なるため、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
かかるカール予測方法であって、前記領域ごとに、前記液体量を前記媒体がカールする力に変換し、前記カールする力に基づいて、前記領域ごとに、前記領域のカール量を予測すること。
このようなカール予測方法によれば、領域ごとに発生するカール量を予測することができる。
このようなカール予測方法によれば、領域ごとに発生するカール量を予測することができる。
かかるカール予測方法であって、前記液体量を前記カールする力に変換する際に、前記媒体が前記媒体の所定方向にカールする力と、前記媒体が前記媒体の前記所定方向と交差する方向にカールする力とを異ならせること。
このようなカール予測方法によれば、液体量を、カールする方向が異なる力(所定方向にカールする力と交差する方向にカールする力)に変換することで、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。また、媒体には、例えば繊維の目の方向などによりカールし易い方向があるため、同じ液体量であっても、カールし易い方向にカールする力をカールし難い方向にカールする力よりも大きくなるように変換すれば、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
このようなカール予測方法によれば、液体量を、カールする方向が異なる力(所定方向にカールする力と交差する方向にカールする力)に変換することで、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。また、媒体には、例えば繊維の目の方向などによりカールし易い方向があるため、同じ液体量であっても、カールし易い方向にカールする力をカールし難い方向にカールする力よりも大きくなるように変換すれば、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
かかるカール予測方法であって、前記領域の前記液体量を前記媒体が前記媒体の所定方向にカールする力に変換する際に、前記領域と前記所定方向に並ぶ前記領域よりも前記領域と前記所定方向と交差する方向に並ぶ前記領域の前記液体量の方が大きく影響し、前記領域の前記液体量を前記媒体が前記媒体の前記交差する方向にカールする力に変換する際に、前記領域と前記交差する方向に並ぶ前記領域よりも前記領域と前記所定方向に並ぶ前記領域の前記液体量の方が大きく影響すること。
このようなカール予測方法によれば、媒体は一体物であり、ある領域のカールする力の影響を受け、ある領域の周辺の領域もカールすることが考慮される。また、媒体上に長い範囲に亘って液体が吐出される方向と交差する方向にカールし易いことが考慮されるため、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
このようなカール予測方法によれば、媒体は一体物であり、ある領域のカールする力の影響を受け、ある領域の周辺の領域もカールすることが考慮される。また、媒体上に長い範囲に亘って液体が吐出される方向と交差する方向にカールし易いことが考慮されるため、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
かかるカール予測方法であって、前記カールする力は、前記媒体に液体が吐出される面が内側となるように前記媒体がカールする力であり、ある前記領域から前記媒体の端部までの前記媒体の自重により、ある前記領域に生じるモーメント力を、前記領域ごとに算出し、前記カールする力と前記モーメント力との差に基づいて、前記領域ごとに、前記領域のカール状態を予測すること。
このようなカール予測方法によれば、媒体の自重によって、媒体がカールしようとする力が抑制されることが考慮されるため、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
このようなカール予測方法によれば、媒体の自重によって、媒体がカールしようとする力が抑制されることが考慮されるため、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
かかるカール予測方法であって、前記領域の前記カールする力が前記領域の前記モーメント力よりも大きい場合、前記領域はカールすると予測し、前記領域の前記カールする力が前記領域の前記モーメント力以下である場合、前記領域はカールしないと予測すること。
このようなカール予測方法によれば、液体が吐出された面が内側となるように媒体がカールする際のカール状態を予測することができる。
このようなカール予測方法によれば、液体が吐出された面が内側となるように媒体がカールする際のカール状態を予測することができる。
かかるカール予測方法であって、前記媒体の中心部に位置する前記領域のカール量を所定値とし、ある前記領域のカール量は、ある前記領域と前記中心部側に隣接する前記領域の前記カール量を基準に算出され、前記媒体の中心部から前記媒体の端部に向かう順に、前記領域のカール量を算出すること。
このようなカール予測方法によれば、媒体の中心は媒体の端部に比べて、カールし難いことが考慮されるため、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
このようなカール予測方法によれば、媒体の中心は媒体の端部に比べて、カールし難いことが考慮されるため、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
また、媒体に液体を吐出するノズルと、前記ノズルから液体を吐出させるための画像データを作成する制御部であって、前記画像データ上に定められた領域に相当する前記媒体の領域に吐出される液体量を算出し、前記媒体の領域の位置と前記領域に吐出される液体量とに基づいて、前記媒体に液体が吐出されることにより発生する前記媒体のカール状態を予測する制御部と、を有する液体吐出装置である。
このような液体吐出装置によれば、媒体上における液体が吐出される位置によっても媒体のカール状態が異なるため、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
このような液体吐出装置によれば、媒体上における液体が吐出される位置によっても媒体のカール状態が異なるため、より正確に媒体のカール状態を予測することができる。
===ラインヘッドプリンタ===
以下、液体吐出装置をインクジェットプリンタとし、また、インクジェットプリンタの中のラインヘッドプリンタ(プリンタ1)を例に挙げて実施形態を説明する。
以下、液体吐出装置をインクジェットプリンタとし、また、インクジェットプリンタの中のラインヘッドプリンタ(プリンタ1)を例に挙げて実施形態を説明する。
図1は、本実施形態のプリンタ1の全体構成ブロック図である。図2Aは、プリンタ1の断面図である。図2Bは、プリンタ1が用紙S(媒体)を搬送する様子を示す図である。外部装置であるコンピュータ50から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ10(制御部)により、各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット30)を制御し、用紙Sに画像を形成する。また、プリンタ1内の状況を検出器群40が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラ10は各ユニットを制御する。
コントローラ10は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピュータ50とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、メモリ13に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、搬送ローラ21A,21Bと、搬送ベルト22と、吸引機構24とを有し、用紙Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向に所定の搬送速度で用紙Sを搬送させる。給紙ローラ23は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ1内の搬送ベルト22上に自動的に給紙するためのローラである。輪状の搬送ベルト22が搬送ローラ21A及び21Bにより回転することで、搬送ベルト22上の用紙Sは搬送される。なお、用紙Sは搬送ベルト22に静電吸着又はバキューム吸着している(不図示)。
ヘッドユニット30は、用紙にインクを吐出するためのものであり、複数のヘッド31を有する。ヘッド31の下面には、インク吐出部であるノズルが複数設けられる。そして、各ノズルには、インクが入った圧力室(不図示)と、圧力室の容量を変化させてインクを吐出させるための駆動素子(ピエゾ素子)が設けられている。駆動素子に駆動信号が印加されることにより、駆動素子は変形し、その変形に伴って圧力室が膨張・収縮することによりインクが吐出される。
図3は、ヘッドユニット30の下面のノズル配列を示す。ヘッドユニット30は、それぞれ複数(n個)のヘッド31を有する。そして、複数のヘッド31は、搬送方向と交差する紙幅方向に千鳥状に並んで配置されている。ヘッド31の下面には、イエローインクノズル列Yと、マゼンタインクノズル列Mと、シアンインクノズル列Cと、ブラックインクノズル列Kが形成され、各ノズル列はノズルを180個ずつ備える。そして、各ノズル列のノズルは紙幅方向に一定の間隔180dpiで整列している。また、紙幅方向に並ぶ2つのヘッド31のうちの左側のヘッドの最も右側のノズル(例:31(1)の#180)と、右側のヘッドの最も左側のノズル(例:31(2)の#1)との間隔が180dpiとなるように、各ヘッド31が配置されている。即ち、ヘッドユニット30内において、4色のノズル(YMCK)がそれぞれ180dpiの間隔で紙幅方向に並んでいることになる。
このようなラインヘッドプリンタでは、コントローラ10が印刷データを受信すると、コントローラ10は、まず、給紙ローラ23を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ベルト22上まで送る。用紙Sは搬送ベルト22上を一定速度で停まることなく搬送され、ヘッドユニット30の下を通る。ヘッドユニット30の下を用紙Sが通る間に、各ノズルからインクが断続的に吐出される。その結果、用紙S上には搬送方向に沿った複数のドットからなるドット列が形成され、画像が印刷される。
また、印刷データはコンピュータ50にインストールされているプリンタドライバにより作成される。プリンタドライバが各種アプリケーションソフトから印刷する画像に関するデータを受信すると、画像データを作成する。画像データとは画素データの集まりであり、画素データは印刷用紙上に仮想的に定められた画素にドットを形成するか否かを示すデータである。プリンタドライバは、まず、アプリケーションソフトからのデータの解像度をプリンタが印刷する解像度(印刷解像度)に解像度変換する。そして、RGB空間で表されたデータをプリンタが有するインク(YMCK)に合わせて色変換処理を行う。その後、高階調数のデータ(256階調)をプリンタが印刷可能な階調値に変換した結果(ハーフトーン処理)、画像データが作成される。プリンタドライバは、作成した画像データをカール予測処理プログラムに受け渡し、印刷用紙のカール状態を予測させる。カール予測処理プログラムはプリンタドライバと同様にコンピュータ50にインストールされている。プリンタドライバは、カール予測処理プログラムが予測したカール量が閾値よりも大きい場合にはカール防止対策を行う(詳細は後述)。また、カール量が閾値以下であれば、マトリクス状に並んだ画像データをプリンタ1に転送すべきデータ順に並べかえ(ラスタライズ処理)、画像データは印刷方式に応じたコマンドデータ等と共に印刷データとしてプリンタ1に送信される。
===用紙のカールについて===
図4は、片面印刷時の印刷用紙のカール(丸まり)を示す図である。インクジェットプリンタでは水性のインクが用いられることが多い。そのため、用紙の片面にだけ画像を印刷すると、水分(インクの溶媒成分)が用紙の繊維に浸透し、まず、用紙の表面側が膨潤する。その結果、表面側が盛り上がるようにカールしてしまう(不図示)。その後、用紙の繊維内部に浸透した水分が蒸発し、表面側が印刷前よりも収縮する。その結果、図4に示すように、印刷面が内側となるように用紙がカールする。なお、片面印刷だけでなく両面印刷の場合でも、表面と裏面にそれぞれ打ち込まれるインク量の差が大きくなると、膨潤・収縮率の違いにより用紙はカールしてしまう。
図4は、片面印刷時の印刷用紙のカール(丸まり)を示す図である。インクジェットプリンタでは水性のインクが用いられることが多い。そのため、用紙の片面にだけ画像を印刷すると、水分(インクの溶媒成分)が用紙の繊維に浸透し、まず、用紙の表面側が膨潤する。その結果、表面側が盛り上がるようにカールしてしまう(不図示)。その後、用紙の繊維内部に浸透した水分が蒸発し、表面側が印刷前よりも収縮する。その結果、図4に示すように、印刷面が内側となるように用紙がカールする。なお、片面印刷だけでなく両面印刷の場合でも、表面と裏面にそれぞれ打ち込まれるインク量の差が大きくなると、膨潤・収縮率の違いにより用紙はカールしてしまう。
また、本実施形態のプリンタとは異なるシリアル式のプリンタでは、用紙の搬送動作と、ヘッドが移動しながらインクを吐出して画像を形成する動作とが交互に繰り返されて、印刷が行われる。そのため、用紙上のインクを乾燥させながら印刷が行われる。これに対して、本実施形態のラインヘッドプリンタでは、搬送される用紙にインクが吐出されるため、印刷が高速となる反面、印刷中にインクが乾燥することなく、用紙にカールが発生し易い。用紙にカールが発生してしまうと、排紙された時にきれいに積層されず、用紙が折れてしまうなどの不具合が発生する。
そこで、印刷用紙のカールを抑制することが目的となる。そのために、印刷用紙にカールが発生するか否かを予測し、カールが発生すると予測された場合には、カール防止対策を行う。以下、用紙のカールの予測方法とカール防止対策について説明する。
===比較例のカール予測方法について===
まず、本実施形態とは異なる比較例のカール予測方法について説明する。比較例のカール予測方法では、プリンタドライバにより作成された画像データ(各画素のドット形成の有無を示すデータ)を基にインク吐出に係わるデータ数(例えば、形成されるドット数・吐出されるインク量)を算出する。インク吐出に係わるデータ数が閾値よりも大きい場合、このまま印刷を行うとカールが発生する虞があると判断する。一方、インク吐出に係わるデータ数が閾値以下である場合には、カールが発生しないと判断する。
つまり、比較例のカール予測方法では、印刷用紙に打ち込まれるインク量のみを基準として、カールの発生の有無を予測する。
まず、本実施形態とは異なる比較例のカール予測方法について説明する。比較例のカール予測方法では、プリンタドライバにより作成された画像データ(各画素のドット形成の有無を示すデータ)を基にインク吐出に係わるデータ数(例えば、形成されるドット数・吐出されるインク量)を算出する。インク吐出に係わるデータ数が閾値よりも大きい場合、このまま印刷を行うとカールが発生する虞があると判断する。一方、インク吐出に係わるデータ数が閾値以下である場合には、カールが発生しないと判断する。
つまり、比較例のカール予測方法では、印刷用紙に打ち込まれるインク量のみを基準として、カールの発生の有無を予測する。
図5A及び図5Bは、インクの打ち込み位置の違いによるカール発生の違いを示す図である。図5Aと図5Bの用紙に対して、同量のインクXmlをそれぞれ異なる位置に打ち込む。図5Aの用紙には、用紙の横方向における左右の端部にそれぞれX/2mlずつインクを打ち込み、図5Bの用紙には、用紙の横方向における中央部にXmlのインクを打ち込む。その結果、図5Aの用紙は、インクが打ち込まれた左右の端部がカールするのに対して、図5Bの用紙はカールしない。
つまり、用紙に打ち込まれるインク量が同じであったとしても、インクが打ち込まれる位置によって、カールが発生したり、カールが発生しなかったりする。そのため、比較例のカール予測方法のように、用紙に打ち込まれるインク量のみにより用紙のカールの発生の有無を判断してしまうと、正確にカールの発生を予測することができない。
そこで、本実施形態では、用紙のカールの発生を出来る限り正確に予測することを目的とする。そのために、本実施形態では、用紙に打ち込まれたインク量だけでなく、インクが打ち込まれる位置も考慮して、用紙のカール状態を予測する。即ち、用紙上に打ち込まれるインクの分布に基づいて用紙のカール状態を予測する。なお、カール状態とは、例えば、「カールの発生の有無」や「カール量」、「カールする位置」などのことである。
===本実施形態のカール予測方法について===
図6は、本実施形態のカール予測処理のフローである。プリンタドライバにより作成された画像データ(各画素のドット形成の有無を示すデータ)をカール予測処理プログラムが受信すると(S001)、カール予測処理プログラムは、画像データを基に、コンピュータ50に以下の処理S002〜S007を実行させる。そうして、印刷後の用紙のカール状態を予測する。
以下、カールの予測方法について詳しく説明する。
図6は、本実施形態のカール予測処理のフローである。プリンタドライバにより作成された画像データ(各画素のドット形成の有無を示すデータ)をカール予測処理プログラムが受信すると(S001)、カール予測処理プログラムは、画像データを基に、コンピュータ50に以下の処理S002〜S007を実行させる。そうして、印刷後の用紙のカール状態を予測する。
以下、カールの予測方法について詳しく説明する。
〈S002:マス目ごとにインク量iを算出する〉
図7Aは、用紙に定められた領域(マス目)と画素との関係を示す図である。カール予測処理プログラムは、まず、印刷用紙1枚(1ページ)に相当する画像データを所定の領域に分割する。この所定領域を「マス目」と呼ぶ。マス目は複数の画素が集められた大きさの領域である。例えば、1つのマス目を12.7mm×12.7mm(0.5インチ×0.5インチ)とし、印刷解像度を180dpi×180dpiとすると、1つのマス目は90×90画素から構成されることになる。また、4インチ×6インチの用紙であれば、96個のマス目(8マス×12マス)から構成されることになる。そして、カール予測処理プログラムは、プリンタドライバにより作成された画像データに基づいて、各マス目に打ち込まれるインク量を算出する。
図7Aは、用紙に定められた領域(マス目)と画素との関係を示す図である。カール予測処理プログラムは、まず、印刷用紙1枚(1ページ)に相当する画像データを所定の領域に分割する。この所定領域を「マス目」と呼ぶ。マス目は複数の画素が集められた大きさの領域である。例えば、1つのマス目を12.7mm×12.7mm(0.5インチ×0.5インチ)とし、印刷解像度を180dpi×180dpiとすると、1つのマス目は90×90画素から構成されることになる。また、4インチ×6インチの用紙であれば、96個のマス目(8マス×12マス)から構成されることになる。そして、カール予測処理プログラムは、プリンタドライバにより作成された画像データに基づいて、各マス目に打ち込まれるインク量を算出する。
図7Bは、文字Lが印刷されたマス目とグレーのベタ塗り画像が印刷されたマス目におけるインク打ち込み量の違いを示す図である。説明の為、1つのマス目が25画素(5×5画素)で構成されるとする。ところで、テキスト画像よりもベタ塗り画像(例えば写真)の方が、用紙がカールし易い。これは、ベタ塗り画像の方がテキスト画像よりも用紙全体に打ち込まれるインク量が多いからである。マス目ごとに見ても(図7B)、文字Lが印刷されたマス目に打ち込まれるインク量が「50」であるのに対して、ベタ塗り画像が印刷されたマス目に打ち込まれるインク量が「125」である。しかし、画素ごとに見ると、文字が印刷されたマス目に属する画素のうちの最大インク打ち込み量は「10」であり、ベタ塗りされたマス目に属する画素のうちの最大インク打ち込み量「5」よりも多くなっている。即ち、テキスト画像では一部の画素に局所的にインクが打ち込まれている。そのため、画素よりも大きい領域であるマス目ごとに見ると、ベタ塗り画像の方がテキスト画像よりもインク打ち込み量が多くなる。しかし、画素などの小さい領域で見ると、ベタ塗り画像を構成する画素よりもテキスト画像を構成する画素の方が、インク打ち込み量が多くなる場合がある。
次のステップにおいて(S003)、マス目ごとに算出したインク打ち込み量に基づき、マス目ごとに用紙がカールしようとする力(カールする力に相当、以下、たわみ応力と呼ぶ)を算出する(詳細は後述)。仮に、マス目ではなく画素ごとに算出したインク打ち込み量に基づいて、画素ごとのたわみ応力を算出するとする。そうすると、文字画像を構成する一部の画素のたわみ応力が、ベタ塗り画像を構成する画素のたわみ応力よりも大きくなり、文字画像を印刷した用紙の方がベタ塗り画像を印刷した用紙よりもカール量が大きいと予測されてしまう虞がある。これは、テキスト画像よりもベタ塗り画像の方が、用紙がカールし易いという現象に反する。
そこで、本実施形態のように、1ページ分の画像データを画素よりも大きい領域であるマス目(媒体上に定められた領域に相当)に分割し、マス目ごとに打ち込まれるインク量を算出する。そして、各マス目に打ち込まれるインク量に基づいて、用紙のたわみ応力を算出することで、用紙のカール状態をより正確に予測することができる。
〈S003:たわみ応力の算出〉
図8Aは、用紙がカールする方向を示す図である。本実施形態では、インクが打ち込まれた側の用紙の面(印刷面)が内側となるように、用紙がカールする状態を予測する。そして、このS003では、用紙がカールしようとする力であるたわみ応力を算出する。用紙は4辺から構成されるため、図示するように、用紙が横方向(所定方向に相当)にカールする場合(以下、横方向カールと呼ぶ)と、用紙が縦方向(交差する方向に相当)にカールする場合(以下、縦方向カールと呼ぶ)の2通りが考えられる。用紙が横方向にカールするとは、用紙上の横方向に沿った領域が円弧状にカールすることであり、逆に、用紙が縦方向にカールするとは、用紙上の縦方向に沿った領域が円弧状にカールすることである。
図8Aは、用紙がカールする方向を示す図である。本実施形態では、インクが打ち込まれた側の用紙の面(印刷面)が内側となるように、用紙がカールする状態を予測する。そして、このS003では、用紙がカールしようとする力であるたわみ応力を算出する。用紙は4辺から構成されるため、図示するように、用紙が横方向(所定方向に相当)にカールする場合(以下、横方向カールと呼ぶ)と、用紙が縦方向(交差する方向に相当)にカールする場合(以下、縦方向カールと呼ぶ)の2通りが考えられる。用紙が横方向にカールするとは、用紙上の横方向に沿った領域が円弧状にカールすることであり、逆に、用紙が縦方向にカールするとは、用紙上の縦方向に沿った領域が円弧状にカールすることである。
図8Bは、用紙がカールし易い方向を示す図である。紙には繊維の方向(紙の目)があり、本実施形態で用いる用紙は縦方向に沿った繊維の流れで構成されるとする。この場合、用紙は横方向にカールし易くなる。特に、インク打ち込み量が少ないときは(3.0mg/inch2)、縦方向カールと横方向カールの発生状態がほぼ同等であるが、インク打ち込み量が多くなると(8.0mg/inch2)、縦方向カールよりも横方向カールの方が発生し易くなる。
以上のことから、本実施形態では、マス目ごとのインク打ち込み量に基づいて、横方向カールに対するたわみ応力t(x)と縦方向カールに対するたわみ応力t(y)を個別に算出する。
図8Cは、インク打ち込み量iとたわみ応力tの変換関数を示す図である。横軸は1つのマス目に打ち込まれるインク量iを示し、縦軸はたわみ応力tを示す。例えば、あるマス目のインク打ち込み量が「0.75」である場合、インク打ち込み量0.75に対応するたわみ応力は(t(x),t(y)共に)「0.75」となる。なお、インク打ち込み量iやたわみ応力tは無次元化された値とする。このように「インク打ち込み量i−たわみ応力t変換関数(以下、i−t変換関数)」を用いて、各マス目のインク打ち込み量からたわみ応力を算出する。i−t変換関数は経験上(実験結果など)に基づいて算出する。
i−t変換関数では、インク打ち込み量iが1.0以下であるときは、横方向カールの変換関数と縦方向カールの変換関数を等しくし、インク打ち込み量が所定量(1.0)を越えたとき、横方向カールに対するたわみ応力t(x)への変換関数(一点鎖線)と、縦方向カールに対するたわみ応力t(y)への変換関数(実線)とを異ならせている。
そのため、インク打ち込み量iが1.0以下であるときは、横方向カールに対するたわみ応力t(x)も縦方向カールに対するたわみ応力t(y)も同じ値が算出される。例えば、前述のように、インク打ち込み量が0.75であるとき、横方向カールに対するたわみ応力t(x)も縦方向カールに対するたわみ応力t(y)も0.75となる(i=0.75→t(x)=t(y)=0.75)。一方、インク打ち込み量iが1.0を超えるときは、横方向カールに対するたわみ応力t(x)の方が縦方向カールに対するたわみ応力t(y)よりも大きな値が算出される。例えば、インク打ち込み量が1.75であるとき、横方向カールに対するたわみ応力t(x)は1.75となり、縦方向カールに対するたわみ応力t(y)は1.0となる(i=1.75→t(x)=1.75,t(y)=1.0)。
本実施形態では、横方向カールに対するたわみ応力t(x)への変換関数と、縦方向カールに対するたわみ応力t(y)への変換関数とを異ならせている。具体的には、横方向カールへの変換関数と縦方向カールへの変換関数の各飽和たわみ応力を異ならせている。
インク打ち込み量iが1.0よりも多いとき、マス目に打ち込まれるインク量がいくら増えたとしても、縦方向カールに対するたわみ応力t(y)は1.0とする。即ち、縦方向カールに対するたわみ応力t(y)の飽和たわみ応力は1.0である。一方、横方向カールに対するたわみ応力t(x)は、インク打ち込み量が1.0から2.0に増えるにしたがって、たわみ応力t(x)も増える。しかし、インク打ち込み量が2.0を越えたとき、マス目に打ち込まれるインク量がいくら増えても、たわみ応力は2.0よりも大きくはならない。即ち、横方向カールに対するたわみ応力t(y)の飽和たわみ応力は2.0である。
以上の結果、インク打ち込み量が少ないときには、縦方向カールと横方向カールの発生状態がほぼ同等であるという現象を再現して用紙のカール状態を予測することができる。一方、インク打ち込み量が多いときには、縦方向カールよりも横方向カールの方が発生し易くなるという現象を再現して用紙のカール状態を予測することができる。その結果、より正確に用紙のカール状態を予測することができる。
図9は、i−t変換関数の変形例を示す図である。図8Cに示す変換関数では、横方向カールに対する飽和たわみ応力を縦方向カールに対する飽和たわみ応力よりも大きくすることで、インク打ち込み量が多いときには縦方向カールよりも横方向カールの方が発生し易くなるという現象を再現しているが、これに限らない。例えば、図9に示す変換関数のように、横方向カールの変換関数(一点鎖線)と縦方向カールの変換関数(実線)との傾きを異ならせても良い。図9では、横方向カールの変換関数の傾き(横軸に対する傾き)を縦方向カールの変換関数の傾きよりも大きくしている。このようなi−t変換関数によれば、インク打ち込み量が少ないときには、横方向カールに対するたわみ応力t(x)と縦方向カールに対するたわみ応力t(y)の差が小さく、インク打ち込み量が多いときには、横方向カールに対するたわみ応力t(x)と縦方向カールに対するたわみ応力t(y)の差が大きくなる。その結果、インク打ち込み量が多いときには縦方向カールよりも横方向カールの方が発生し易くなるという現象を再現することができ、より正確に用紙のカール状態を予測することができる。
こうして、各マスに打ち込まれるインク量に基づいて、各マス目の横方向カールに対するたわみ応力t(x)と縦方向カールに対するたわみ応力t(y)とが算出される(インク打ち込み量i→たわみ応力t(x),t(y))。そして、1ページの画像データを構成する全てのマス目のたわみ応力が算出されたら次の処理に進む。
〈S004:たわみ応力の平滑化〉
図10Aは、S003にて算出したマス目ごとのたわみ応力tをそのまま用いて、用紙のカールを予測した図と、図10Bは、実際に用紙がカールする様子を示す図である。用紙に横縞を印刷すると、インクが打ち込まれた領域(以下、黒縞と呼ぶ)と、インクが打ち込まれない領域(以下、白縞と呼ぶ)が縦方向に沿って交互に並んで印刷される。白縞に属するマス目のインク打ち込み量iはゼロであるため、白縞に属するマス目の横方向カールに対するたわみ応力t(x)はゼロである。ゆえに、白縞はカールすることなく平面状態が保たれると予測される。一方、黒縞に属するマス目にはインクが打ち込まれるため、黒縞に属するマス目には横方向カールに対するたわみ応力t(x)が発生する。ゆえに、黒縞は横方向にカールすると予測される。その結果、S003にて算出されたたわみ応力t(x)のみに基づいて用紙のカールを予測すると、図10Aのように、白縞はカールせず、黒縞だけに横方向カールが発生し、用紙が黒縞と白縞が分離した状態で用紙のカールが予測されてしまう。
図10Aは、S003にて算出したマス目ごとのたわみ応力tをそのまま用いて、用紙のカールを予測した図と、図10Bは、実際に用紙がカールする様子を示す図である。用紙に横縞を印刷すると、インクが打ち込まれた領域(以下、黒縞と呼ぶ)と、インクが打ち込まれない領域(以下、白縞と呼ぶ)が縦方向に沿って交互に並んで印刷される。白縞に属するマス目のインク打ち込み量iはゼロであるため、白縞に属するマス目の横方向カールに対するたわみ応力t(x)はゼロである。ゆえに、白縞はカールすることなく平面状態が保たれると予測される。一方、黒縞に属するマス目にはインクが打ち込まれるため、黒縞に属するマス目には横方向カールに対するたわみ応力t(x)が発生する。ゆえに、黒縞は横方向にカールすると予測される。その結果、S003にて算出されたたわみ応力t(x)のみに基づいて用紙のカールを予測すると、図10Aのように、白縞はカールせず、黒縞だけに横方向カールが発生し、用紙が黒縞と白縞が分離した状態で用紙のカールが予測されてしまう。
しかし、実際の用紙は一体物であるため、黒縞(インクが打ち込まれた領域)のみがカールし、白縞(インクが打ち込まれなかった領域)はカールしないというカール状態はあり得ない。実際には、図10Bに示すように、黒縞のたわみ応力につられて白縞もカールする。即ち、用紙のカールは不連続に発生するのではなく、連続的に発生する。このことから、あるマス目にたわみ応力tが発生する場合、あるマス目の周辺のマス目にもそのたわみ応力tが影響することが分かる。そのため、S003にて算出したマス目ごとのたわみ応力tだけで用紙のカール状態を予測してしまうと、誤ったカール状態を予測してしまう。具体的には、横方向カールの場合には、特に、あるマス目と縦方向に並ぶマス目のたわみ応力tが影響し、縦方向カールの場合には、特に、あるマス目と横方向に並ぶマス目のたわみ応力tが影響する。
そこで、S004では、あるマス目のたわみ応力tを、あるマス目の周辺のマス目のたわみ応力tも考慮したたわみ応力Tに変換する。即ち、1ページに相当する画像データに属するマス目のたわみ応力を平滑化し(ぼかす、重み付けを異ならせる)、平滑化したたわみ応力T(以下、平滑化たわみ応力Tと呼ぶ)に基づいて、用紙のカール状態を予測する。なお、横方向カールに対するたわみ応力t(x)と縦方向カールに対するたわみ応力t(y)とをそれぞれ個別に平滑化する。横方向カールに対するたわみ応力t(x)を平滑化するときは、平滑化するマス目(以下、着目マス目と呼ぶ)と横方向に並ぶマス目よりも縦方向に並ぶマス目のたわみ応力をより考慮し、縦方向カールに対するたわみ応力t(y)を平滑化するときは、着目マス目と縦方向に並ぶマス目よりも横方向に並ぶマス目のたわみ応力をより考慮する。
平滑化たわみ応力Tの算出式を以下に示す。ここで、用紙の横方向に相当する画像データ上の方向をX方向とし、用紙の縦方向に相当する画像データ上の方向をY方向とする。1ページ分の画像データ上におけるマス目の座標を(i,j)にて表す。「i」がX方向(横方向)の位置であり、「j」がY方向(縦方向)の位置である。また、たわみ応力tを平滑化するマス目の座標(i,j)を(x,y)とし、算出される平滑化たわみ応力をT(x,y)とし、平滑化するためのフィルタ係数をcnv(i−x,j−y)として表す。なお、平滑化たわみ応力Tも無次元化された値とする。
つまり、着目マス目の平滑化たわみ応力T(x,y)は、着目マス目の周辺のマス目のたわみ応力t(i,j)と周辺の各マス目に対応するフィルタ係数cnv(i−x,j−y)とを乗じた値を積算した値となる。
つまり、着目マス目の平滑化たわみ応力T(x,y)は、着目マス目の周辺のマス目のたわみ応力t(i,j)と周辺の各マス目に対応するフィルタ係数cnv(i−x,j−y)とを乗じた値を積算した値となる。
図11は、横方向カールに対する平滑化たわみ応力T(x)を算出する際に用いるフィルタ係数cnvを示すグラフである。以下、横方向カールに対するフィルタ係数について説明する。X’Y’平面に対する鉛直方向の値がフィルタ係数cnvである。X’Y’平面に描かれる小さいマス目が、S002にて画像データ上に定めたマス目に相当し、X’方向がX方向(横方向)に、Y’方向がY方向(縦方向)に相当する。そして、平滑化たわみ応力T(x,y)を算出する際には、着目マス目の座標位置(x,y)をフィルタ係数cnvの中心Oに合わせる。
フィルタ係数cnvは以下の式(正規分布)にて表される。フィルタ係数cnv(A,B)における「A」は着目マス目(中心O)からのX方向の距離を示し、「B」は着目マス目(中心O)からのY方向の距離を示す。aをX方向のぼかし幅(例えば、5(mm))とし、bをY方向のぼかし幅(100(mm))とする。ぼかし幅a,bは正規分布における標準偏差であり、着目マス目のたわみ応力に大きく影響を及ぼす範囲に相当する。
図11のグラフ上にて、中心OからX方向の右側に5マス目のフィルタ係数cnv(A,B)=cnv(5,0)はほぼゼロに近い。そのため、着目マス目の平滑化たわみ応力T(x,y)を算出する際に、右から5マス目のたわみ応力t(x+5,y)はゼロとして積算される。これは、着目マス目から横方向の右側に5マス目のたわみ応力tは、着目マス目のカール状態に影響しないということである。なお、図11のグラフのX’Y’平面上に描かれたマス目の中心における鉛直方向の値がそのマス目のフィルタ係数値である。一方、中心OからX方向の右側に1マス目におけるフィルタ係数cnv(1,0)は約1.5(平均値)である。そのため、着目マス目の平滑化たわみ応力T(x,y)を算出する際に、右隣のマス目のたわみ応力t(x+1,y)の1.5倍の値が積算される。これは、着目マス目から横方向の右側に1マス目のたわみ応力tは、着目マス目のカール状態に大きく影響するということである。
横方向カールに対するフィルタ係数cnv(A,B)の算出式では、X方向のぼかし幅aよりもY方向のぼかし幅bを大きくしている。そのため、フィルタ係数を示すグラフも(図11)、中心OからY’方向に離れたマス目のフィルタ係数の値は比較的に大きい。例えば、中心OからX’方向の右側に5マス目のフィルタ係数cnv(5,0)はほぼゼロであるのに対して、中心OからY’方向の上側に5マス目のフィルタ係数cnv(0,5)は約1.4である。図11のグラフによると、着目マス目の横方向カールに対する平滑化たわみ応力T(x)には、着目マス目とX方向の左右に隣接する2つのマス目のたわみ応力tと、着目マス目とY方向の上下に11マスずつの範囲に亘るマス目のたわみ応力とが大きく影響することが分かる。つまり、横方向カールに対するたわみ応力t(x)を平滑化する際には、着目マス目とX方向に並ぶマス目よりもY方向に並ぶマス目の方が長い範囲に亘って、着目マス目の平滑化たわみ応力T(即ち、カールし易さ)に影響する。
一方、縦方向カールに対するたわみ応力t(y)を平滑化する際には、X方向のぼかし幅a(例えば、100(mm))をY方向のぼかし幅b(例えば、5(mm))よりも大きな値とする。その結果、縦方向カールのフィルタ係数のグラフは、横方向カールのフィルタ係数を示す図11のグラフのX’Y’方向を逆にしたようなグラフとなる(図11のY’方向のフィルタ係数が着目マス目と横方向に並ぶマス目のフィルタ係数となり、図11のX’方向のフィルタ係数が着目マス目と縦方向に並ぶマス目のフィルタ係数となる)。そのため、縦方向カールに対する着目マス目の平滑化たわみ応力T(y)には、例えば、着目マス目とY方向の上下に隣接する2つのマス目のたわみ応力tと、着目マス目とX方向の左右に11マスずつの範囲に亘るマス目のたわみ応力とが大きく影響することが分かる。
図12A及び図12Bは、横方向カールに対する平滑化たわみ応力T(x)を算出する具体例を示す図である。説明のため、1ページ分の画像データが「横(X)方向×縦(Y)方向」に「3×4のマス目」で構成されるとする。1ページ分の画像データを構成するマス目のうちの一番左上のマス目の座標(i,j)を(1,1)とし、左上のマス目からX方向に右側のマス目ほど座標iの値が増え(i+1,j)、左上のマス目からY方向に下側のマス目ほど座標jの値が増える(i,j+1)とする。フィルタ係数cnvは、着目マス目とX方向の左右に1マスずつ並ぶマス目の値を「1」とし、着目マス目とY方向の上下に並ぶ2マスずつの値を「1」とし、それ以外のマス目の値を「0」とする。また、着目マス目の座標(x,y)に対応するフィルタ係数がフィルタ係数の中心(0,0)に相当する。
まず、左上のマス目(1,1)を着目マス目として平滑化たわみ応力T(1,1)を前述の式1により算出すると、以下のようになる(図12A)。
T(1,1)=cnv(0,0)×t(1,1)+cnv(1,0)×t(2,1)+cnv(2,0)×t(3,1)+cnv(0,1)×t(1,2)+cnv(1,1)×t(2,2)+cnv(2,1)×t(3,2)+cnv(0,2)×t(1,3)+cnv(1,2)×t(2,3)+cnv(2,2)×t(3,3)+cnv(0,3)×t(1,4)+cnv(1,3)×t(2,4)+cnv(2,3)×t(3,4)=A×a+B×b+C×c+D×d+E×e+F×f+G×g+H×h+I×i+J×j+K×k+L×l
T(1,1)=cnv(0,0)×t(1,1)+cnv(1,0)×t(2,1)+cnv(2,0)×t(3,1)+cnv(0,1)×t(1,2)+cnv(1,1)×t(2,2)+cnv(2,1)×t(3,2)+cnv(0,2)×t(1,3)+cnv(1,2)×t(2,3)+cnv(2,2)×t(3,3)+cnv(0,3)×t(1,4)+cnv(1,3)×t(2,4)+cnv(2,3)×t(3,4)=A×a+B×b+C×c+D×d+E×e+F×f+G×g+H×h+I×i+J×j+K×k+L×l
着目マス目である左上のマス目(1,1)の左側にマス目は存在せず、また、上側にもマス目は存在しない。そのため、フィルタ係数A,B,D,G=1となり、C,E,F,H,I,J,K,L=0となる。ゆえに、平滑化たわみ応力T(1,1)は以下の式にて表される。
T(1,1)=A×a+B×b+D×d+G×g
T(1,1)=A×a+B×b+D×d+G×g
同様にして、左から2番目であり、上から2番目のマス目の平滑化たわみ応力T(2,2)を算出する(図12B)。フィルタ係数の中心cnv(0,0)=Aが、着目マス目(2,2)と対応するフィルタ係数となり、例えば、着目マス目よりも右側のマス目(3,2)に対応するフィルタ係数はcnv(1,0)=Bとなる。着目マス目の平滑化たわみ応力T(2,2)は、着目マス目よりもY方向の上側に1マス、下側に2マス、X方向の左右に1マスずつのたわみ応力の影響を受ける。そのため、フィルタ係数N,P,A,B,D,G=1とし、M,O,Q,E,R,H=0とする。その結果、平滑化たわみ応力T(2,2)は以下のように表される。
T(2,2)=N×b+P×d+A×e+B×f+D×h+G×k
T(2,2)=N×b+P×d+A×e+B×f+D×h+G×k
このようにして、1ページ分の画像データに属するマス目のたわみ応力t(x),t(y)を平滑化し、平滑化たわみ応力T(x),T(y)を算出する。その結果、周囲のマス目のたわみ応力tが考慮され、インク打ち込み量の少ない領域(例:図10の白縞)であっても周辺のインクが打ち込まれる領域(例:図10の黒縞)のカール力につられてカールする現象を再現できる。つまり、連続的に用紙のカールが発生するように予測することができ、より正確に用紙のカール状態を予測することができる。
図13は、用紙に横縞と縦縞を印刷した場合における用紙のカール状態の違いを示す図である。横縞を印刷した場合、縦方向にカールし易く、逆に、縦縞を印刷した場合、横方向にカールし易い。但し、用紙は紙の目の方向と交差する方向にカールしやすいため、本実施形態では、横縞印刷の縦方向カールよりも縦縞印刷の横方向カールの方が大きくなる。例えば、横縞印刷の場合、前述の図10Aに示すように、黒縞が横方向にカールしようとしても、黒縞と縦方向に隣接する白縞が平面状態を保とうとして、横方向カールに対するたわみ応力が緩和されるからである。これに対して、縦縞印刷の場合、縦方向に沿った黒縞のたわみ応力が重なり合うため、横縞印刷に比べて、用紙は横方向にカールし易い。即ち、用紙は、長い範囲に亘ってインクが打ち込まれる方向と交差する方向にカールし易いといえる。
そこで、本実施形態では、横方向カールの平滑化たわみ応力T(x)を算出するためのフィルタ係数cnvにおいて、Y方向のぼかし幅bをX方向のぼかし幅aよりも大きくしている(横a<縦b)。即ち、図11のフィルタ係数cnvのグラフにも示すように、着目マス目に対して横方向に並ぶマス目よりも縦方向に並ぶマス目の方が広い範囲に亘って、着目マス目の横方向カールに対する平滑化たわみ応力T(x)に影響する(即ち、着目マス目の液体量が横方向カールに対する平滑化たわみ応力に変換される際に、着目マス目と横方向に並ぶマス目よりも縦方向に並ぶマス目の液体量の方が大きく影響する)。縦縞印刷のように、着目マス目と縦方向に並ぶマス目のたわみ応力tが大きい場合、着目マス目と縦方向に並ぶ多くのマス目のたわみ応力tが積算されるため、横方向カールに対する平滑化たわみ応力T(x)の値が大きくなる。
逆に、縦方向カールの平滑化たわみ応力T(y)を算出するためのフィルタ係数cnvにおいて、X方向のぼかし幅aをY方向のぼかし幅bよりも大きくしている(横a>縦b)。即ち、着目マス目に対して縦方向に並ぶマス目よりも横方向に並ぶマス目の方が広い範囲に亘って、着目マス目の縦方向カールに対する平滑化たわみ応力T(y)に影響する。そのため、縦縞印刷のように、着目マス目と横方向に並ぶマス目のたわみ応力tが小さい場合、縦方向カールに対する平滑化たわみ応力T(y)の値が小さくなる。
用紙は縦方向か横方向のどちらか一方にカールする。そのため、縦縞印刷のように、横方向カールに対する平滑化たわみ応力T(x)の方が縦方向カールに対する平滑化たわみ応力T(y)よりも大きな値となる場合、用紙は、横方向にカールすると予測する。これは、縦縞印刷の場合(縦方向に長くインクが打ち込まれる場合)、横方向カールし易いという現象と一致する。
一方、横縞印刷の場合、横方向に長くインクが打ち込まれる。そのため、横方向カールに対する平滑化たわみ応力T(x)は、着目マス目と縦方向に並ぶたわみ応力tが小さいため、小さな値となり、縦方向カールに対する平滑化たわみ応力T(y)は、着目マス目と横方向に並ぶたわみ応力tが積算され、大きな値となる。その結果、図13に示すように、横縞印刷の場合(横方向に長くインクが打ち込まれる場合)、用紙は縦方向にカールし易いと予測することができる。
つまり、本実施形態では、用紙が長い範囲に亘ってインクが打ち込まれる方向と交差する方向にカールし易いことを再現するために、横方向カールに対するたわみ応力t(x)を平滑化する場合には、着目マス目と横方向に並ぶマス目よりも縦方向に並ぶマス目のたわみ応力をより考慮し(a<b)、縦方向カールに対するたわみ応力t(y)を平滑化する場合には、着目マス目と縦方向に並ぶマス目よりも横方向に並ぶマス目のたわみ応力をより考慮する(a>b)。このように、インクの打ち込まれ方によって縦方向カールし易いのか、それとも、横方向カールし易いのかを考慮するため、より正確に用紙のカール状態を予測することができる。
〈たわみ応力の平滑化の変形例〉
図14は、前述のたわみ応力平滑化の式1と、変形例のたわみ応力平滑化の式2との違いを示す図である。図14の左側に、横縞を印刷するための画像データの一部(5×5マス)のたわみ応力tを示し、縦縞を印刷するための画像データの一部のたわみ応力tの違いを示す。インクが打ち込まれるマス目のたわみ応力を「1」とし、インクが打ち込まれないマス目のたわみ応力を「0」とする。横方向カールに対する平滑化たわみ応力Tを算出するために、着目マス目と縦方向の上下に並ぶ2マスずつのたわみ応力tが影響するとする。そのため、フィルタ係数cnvでは、中央の着目マス目(太線)と縦方向に並ぶマス目のフィルタ係数cnvを「1」とし、他のマス目のフィルタ係数cnvを「0」とする。
図14は、前述のたわみ応力平滑化の式1と、変形例のたわみ応力平滑化の式2との違いを示す図である。図14の左側に、横縞を印刷するための画像データの一部(5×5マス)のたわみ応力tを示し、縦縞を印刷するための画像データの一部のたわみ応力tの違いを示す。インクが打ち込まれるマス目のたわみ応力を「1」とし、インクが打ち込まれないマス目のたわみ応力を「0」とする。横方向カールに対する平滑化たわみ応力Tを算出するために、着目マス目と縦方向の上下に並ぶ2マスずつのたわみ応力tが影響するとする。そのため、フィルタ係数cnvでは、中央の着目マス目(太線)と縦方向に並ぶマス目のフィルタ係数cnvを「1」とし、他のマス目のフィルタ係数cnvを「0」とする。
その結果、前述のたわみ応力平滑化の式1によると、中央の着目マス目(太線)の平滑化たわみ応力は、横縞印刷の場合「3」となり、縦縞印刷の場合「5」となる。同様にして、他のマス目の平滑化たわみ応力Tも算出する。その結果、横縞印刷の場合、横方向に並んだマス目のたわみ応力が全て「3」であるマス目列と、横方向に並んだマス目のたわみ応力が全て「2」であるマス目列とが、縦方向に交互に並ぶ。一方、縦縞印刷の場合、縦方向に並んだマス目のたわみ応力が全て「5」であるマス目列と、縦方向に並んだマス目のたわみ応力が全て「0」であるマス目列とが、横方向に交互に並ぶ。
ところで、図13に示すように、縦縞印刷では横縞印刷に比べて横方向にカールし易い。前述の式1により算出した横方向カールに対する平滑化たわみ応力Tによると、横縞印刷のマス目の横方向カールに対する最高たわみ応力が「3」であるのに対して、縦縞印刷のマス目の横方向カールに対する最高たわみ応力が「5」である。そのため、縦縞印刷の方が横縞印刷よりも横方向カールし易い現象が再現されている。また、5×5マス目における横方向カールに対する平滑化たわみ応力Tの合計も、縦縞印刷「75」の方が横縞印刷「65」よりも大きくなっているため、縦縞印刷の方が横縞印刷よりも横方向カールし易い現象が再現されている。
また、図13に示すように、横縞印刷の縦方向カールよりも縦縞印刷の横方向カールの方が、カール量が大きい。そこで、縦縞印刷の方が横縞印刷よりも横方向カールし易いことを更に強調して再現するために、以下の式2を用いて、たわみ応力を平滑化してもよい。
変形例の式2によれば、平滑化前のたわみ応力tを1/γ乗した値と、対応するフィルタ係数cnvとを掛けた値を積算し、その後、積算した値をγ乗する。γは1よりも大きい値とする。
変形例の式2によれば、平滑化前のたわみ応力tを1/γ乗した値と、対応するフィルタ係数cnvとを掛けた値を積算し、その後、積算した値をγ乗する。γは1よりも大きい値とする。
本実施形態では、横方向カールのフィルタ係数cnvの算出式において、縦方向のぼかし幅bを横方向のぼかし幅aよりも大きくしている。そのため、縦縞印刷を行う場合、インクが打ち込まれる縞の横方向カールに対する平滑化たわみ応力Tは大きくなり、逆にインクが打ち込まれない縞の横方向カールに対する平滑化たわみ応力Tは小さく、その差は大きい。一方、横縞印刷を行う場合、インクが打ち込まれる縞とインクが打ち込まれない縞の横方向カールに対するたわみ応力の差は小さくなる。ゆえに、縦縞印刷においてインクが打ち込まれるマス目の方が、横縞印刷においてインクが打ち込まれるマス目よりも、フィルタ係数cnvとたわみ応力tを掛けて積算した値が大きくなる。そのため、フィルタ係数cnvとたわみ応力t(1/r乗)を掛けて積算した値を最後にr乗することで、横縞印刷と縦縞印刷の横方向カールに対するたわみ応力の差を大きくすることができる。
図14では強調係数γ=2とし、式2による平滑化たわみ応力Tを算出した結果を示す。横縞印刷においてインクが打ち込まれるマス目の平滑化たわみ応力Tは「9」となり、縦縞印刷においてインクが打ち込まれるマス目の平滑化たわみ応力Tは「25」となる。5×5マス目における平滑化たわみ応力Tの合計においても、縦縞印刷の方が「375」となり、横縞印刷「175」よりも大きくすることができる。そのため、横方向カールに対する平滑化たわみ応力を算出する際に式2を用いることで、縦縞印刷の方が横縞印刷よりも横方向カールしやすい現象を強調して再現できる。また、縦方向カールに対する平滑化たわみ応力を算出する際にも式2を用いることで、横縞印刷の方が縦縞印刷よりも縦方向カールし易い現象を強調して再現することができる。
〈S005:重力モーメントの算出〉
用紙自身も質量を持っている。そのため、インクが打ち込まれたことにより発生するたわみ応力により用紙がカールしようとするのに反して、用紙の自重によりカールを抑制しようとする力が働く。ところで、図5Bに示すように、「用紙の中心部」にインクが吐出された方が「用紙の端部」にインクが吐出されるよりも用紙がカールしやすい。これは、用紙の中心部がカールするためには、用紙の中心部から用紙端部までの用紙の自重によるカール抑制力にたわみ応力が勝らないといけないからである。そのため、用紙に同じインク量を塗布したとしても、用紙中央部は用紙端部よりもカールし難い。
用紙自身も質量を持っている。そのため、インクが打ち込まれたことにより発生するたわみ応力により用紙がカールしようとするのに反して、用紙の自重によりカールを抑制しようとする力が働く。ところで、図5Bに示すように、「用紙の中心部」にインクが吐出された方が「用紙の端部」にインクが吐出されるよりも用紙がカールしやすい。これは、用紙の中心部がカールするためには、用紙の中心部から用紙端部までの用紙の自重によるカール抑制力にたわみ応力が勝らないといけないからである。そのため、用紙に同じインク量を塗布したとしても、用紙中央部は用紙端部よりもカールし難い。
そこで、このS005では、マス目ごとに、あるマス目から用紙端部までの用紙の自重によるカール抑制力を算出する。このカール抑制力は、あるマス目(着目マス目)を中心とし、あるマス目から用紙端部までの間に位置するマス目の自重により発生するモーメント力を積算して算出する。以下、このカール抑制力を重力モーメントGと呼ぶ。そして、次のステップS006において、平滑化たわみ応力Tと重力モーメントGの差から用紙のカール状態を予測する。
図15Aは、着目マス目(斜線部)から用紙端部までに位置するマス目を示す図であり、図15Bは、1つのマス目の重力モーメントguを算出する様子を示す図である。まず、着目マス目を中心として、着目マス目から用紙端部までの間に位置する各マス目の自重により発生するモーメント力(以下、単位重力モーメントgu)を算出する。そして、着目マス目から用紙端部までの間に位置する各マス目による単位重力モーメントguを積算し、重力モーメントGとして算出する。但し、用紙は4つの端部を有し、カールする方向が2種類ある(横方向カールと縦方向カール)。そのため、1つの着目マス目において、横方向カールに対する重力モーメントG(x)と縦方向カールに対する重力モーメントG(y)とを算出する。横方向カールに対する重力モーメントG(x)は、用紙の左側端部か右側端部のうちの着目マス目に近い方の端部と着目マス目との間に位置するマス目であって着目マス目とX方向に並ぶマス目の単位重力モーメントgu(x)を積算した値となる。縦方向カールに対する重力モーメントG(y)は、用紙の先端か後端のうちの着目マス目に近い方の端部と着目マス目との間に位置するマス目であって着目マス目とY方向に並ぶマス目の単位重力モーメントgu(y)を積算した値となる。
以下に、横方向カールG(x)の算出式を示す。縦方向カールG(y)の算出式も同様である。mは1つのマス目あたりの質量(例えば64g/m2)、gは重力加速度(例えば、9.8m/s2)、Xは着目マス目の座標位置、Xmaxは紙端に最も近いマス目の座標、rは着目マス目と単位重力モーメントguを算出するマス目との距離である。用紙が平面状態であるときの重力モーメントGであり、重力モーメントGは平滑化たわみ応力Tと同様に無次元化した値である。
1つのマス目の単位重力モーメントgu(x)は「gu(x)=mgr」により表される。図15Bでは、着目マス目から右側に2つめのマス目x2の単位重力モーメントgu(x2)を算出する様子を示している。マス目x2の質量がmであり、マス目x2に働く重力がgであり、着目マス目とマス目x2の距離がrであるため、着目マス目を中心としたマス目x2によるモーメント力(単位重力モーメントgu(x2))はmgrとなる。
例えば、図15Aに示す着目マス目(斜線部)のXY座標が(5,5)であるとする。そして、この着目マス目は、X方向において用紙の左端よりも右端に近いとする。この場合、着目マス目の横方向カールに対する重力モーメントG(x)は、着目マス目から右端までに位置する3つのマス目((6,5)(7,5)(8,5))の単位重力モーメントguの積算値である。また、着目マス目は、Y方向において用紙の後端よりも先端に近いとする。この場合、着目マス目の縦方向カールに対する重力モーメントG(y)は、着目マス目から先端までに位置する4つのマス目((5,1)(5,2)(5,3)(5,4))の単位重力モーメントguの積算値である。
図16Aは、マス目(5,5)の横方向カールに対する重力モーメントG(5)を算出する様子を示す図である。着目マス目(5,5)の重力モーメントG(5)は、マス目(6,5)の単位重力モーメントgu(6)とマス目(7,5)の単位重力モーメントgu(7)とマス目(8,5)の単位重力モーメントgu(8)との積算値である。また、マス目の横方向長さをAとし、隣接するマス目の間隔もAとする。その結果、重力モーメントG(5)は以下の式のように表される。
G(x)=G(5)=gu(6)+gu(7)+gu(8)=mgA+2mgA+3mgA=6mgA
G(x)=G(5)=gu(6)+gu(7)+gu(8)=mgA+2mgA+3mgA=6mgA
図16Bは、マス目(6,5)の横方向カールに対する重力モーメントG(6)を算出する様子を示す図であり、図16Cは、マス目(7,5)の横方向カールに対する重力モーメントG(5)を算出する様子を示す図である。
同様にして、マス目(6,5)の重力モーメントG(6)とマス目(7,5)の重力モーメントG(7)は以下の式にて表される。
G(x)=G(6)=gu(7)+gu(8)=mgA+2mgA=3mgA
G(x)=G(7)=gu(8)=mgA
同様にして、マス目(6,5)の重力モーメントG(6)とマス目(7,5)の重力モーメントG(7)は以下の式にて表される。
G(x)=G(6)=gu(7)+gu(8)=mgA+2mgA=3mgA
G(x)=G(7)=gu(8)=mgA
以上の結果から、用紙の中心部に近いマス目の重力モーメント(例えば、G(5)=6mgA)ほど、用紙の端部に近いマス目の重力モーメント(例えば、G(7)=mgA)よりも大きくなる。そのため、用紙の中心部に近いマス目ほど、平滑化たわみ応力Tが重力モーメントGに打ち勝って、カールすることが難しくなる。つまり、用紙の中心部ほど用紙の端部に比べてカールし難いという現象を再現することができ、より正確にカールの発生を予測することができる。
こうして、各マス目の横方向カールに対する重力モーメントG(x)と縦方向カールに対する重力モーメントG(y)が算出されたら次のステップに進む。なお、用紙の中心部のマス目であって、マス目の中心から用紙の左右端(又は先後端)の距離が等しい場合、中心部のマス目からどちらか一方の端部までの間に位置するマス目の単位重力モーメントguを積算した値を重力モーメントとする。
〈S006:マス目ごとのカール量の算出〉
ここまで予測処理ソフトは、マス目に打ち込まれるインク量iに基づいて横方向カールと縦方向カールに対するたわみ応力t(x),t(y)を算出し、その後、周囲のマス目のたわみ応力が考慮された平滑化たわみ応力T(x),T(y)を算出している。また、マス目ごとに横方向カールと縦方向カールに対する重力モーメントG(x),G(y)も算出されている。これらの値に基づいて、マス目ごとのカール角度θとカール量Z(カール角度θとカール量Zがカール量に相当する)を算出する。
ここまで予測処理ソフトは、マス目に打ち込まれるインク量iに基づいて横方向カールと縦方向カールに対するたわみ応力t(x),t(y)を算出し、その後、周囲のマス目のたわみ応力が考慮された平滑化たわみ応力T(x),T(y)を算出している。また、マス目ごとに横方向カールと縦方向カールに対する重力モーメントG(x),G(y)も算出されている。これらの値に基づいて、マス目ごとのカール角度θとカール量Z(カール角度θとカール量Zがカール量に相当する)を算出する。
図17Aは、マス目ごとの横方向カールに対するカール角度θ(x)とカール量Z(x)を示す図であり、図17Bは、カール量Z(x)を示す斜視図である。平滑化たわみ応力Tは用紙をカールさせようとする力であり、重力モーメントは用紙のカールを抑制しようとする力である。そこで、平滑化たわみ応力Tと重力モーメントGとの差から用紙のカール角度θを算出する。着目マス目の座標を(x,y)とし、以下に、横方向カールに対するカール角度θ(x)を示す。なお、縦方向カールに対するカール角度θ(y)も同様の式にて表される。αは平滑化たわみ応力T(x)と重力モーメントG(x)との差の力をカール角度θ(x)に変換する変換係数であり、経験上(実験)において算出することができる。
θ(x)=θ(x−1)+(T(x)−G(x))・α
θ(x)=θ(x−1)+(T(x)−G(x))・α
なお、本実施形態では、印刷面が内側となるカールにのみ着目しているため、インクの打ち込み量が少なく平滑化たわみ応力T(x)が小さかったり、用紙の中心部に近いマス目であって重力モーメントG(x)が大きかったりして、「T(x)−G(x)」が負の値となるときは、θ(x)をゼロとし、用紙がカールしないとする。θ(x−1)とは、着目マス目(x)よりも中心部側に着目マス目と隣接するマス目(x−1)のカール角度である。
また、マス目ごとのカール角度θ(x)が算出されたらカール量Z(x)を算出することができる。カール量Z(x)は用紙の平面を水平面としたときの鉛直方向の長さである。横方向カールのカール量Z(x)の算出式を以下に示す。「A」はマス目のX方向の長さである。縦方向カールのカール量Z(y)も同様にして算出することができる。Z(x−1)は、着目マス目(x)よりも中心部側に着目マス目と隣接するマス目(x−1)のカール量である。
Z(x)=Z(x−1)+A・sinθ(x)
Z(x)=Z(x−1)+A・sinθ(x)
前述のように用紙の中心部に近いほど用紙端部に比べて用紙がカールし易く、また、用紙のカールは連続的に発生する。そこで、本実施形態では、用紙の中心部を基準とし、中心部のマス目から4つの端部(左右端,先端・後端)に向けて各マス目の用紙のカール角度θとカール量Zを積算していく。そのため、カール角度θ(x)の算出式では、着目マス目と中心部側に隣接するマス目のカール角度θ(x−1)に、着目マス目自身のカールしようとする力によるカール角度θ(x)を加えている。カール量Z(x)の算出式では、着目マス目と中心部側に隣接するマス目のカール量Z(x−1)に着目マス目自身のカールしようとする力によるカール量Z(x)を加えている。
具体的には、用紙の中心を基準とするために用紙の中心部に相当するマス目のカール量Z、カール角度θをゼロ(所定値)とし、用紙の中心部から用紙の各端部に向かう順に、各マス目のカール量、カール角度を積算していく。横方向カールであれば、用紙の横方向の中心部側に隣接するマス目を基準とし、中心部のマス目と横方向に並ぶマス目のカール量、カール角度を用紙の左端または右端に向けて積算していく。図17Aでは、中心のマス目の右隣のマス目(x+1)のカール角度θ(x+1)はゼロであり、マス目(x+1)のカール量Z(x+1)もゼロとなっている。そして、マス目(x+1)よりも更に右側のマス目(x+3)では、カール角度θ(x+3)でカールが発生する。マス目(x+3)におけるカール量Z(x+3)は、マス目(x+2)のカール量Z(x+2)と角度θ(x+3)によるカール量A・sin(θ(x+3))を加えた長さとなり、マス目(x+3)は水平面よりもZ(x+3)だけカールする。このように、用紙のどの位置にどの程度のカールが発生するかを予測することができる。
なお、縦方向カールであれば、用紙の縦方向の中心部に位置するマス目を基準とし、各中心部のマス目と縦方向に並ぶマス目のカール量を用紙の先端または後端に向かう順に積算していく。また、前述の平滑化たわみ応力Tを算出する際(S004)に示したマス目のXY座標は、左上のマス目を基準(1,1)としている。この場合、用紙の中心部よりも左側又は上側のカール角度θ(x),カール量Z(x)を算出する際には、座標の大きいマス目のカール角度θ(x+1),カール量Z(x+1)が基準となる。
図17Cは、比較例として、用紙の左側端部を基準としたカール角度とカール量を示す図である。本実施形態では、用紙の中心部は用紙端部よりもカールし難いという現象を再現するために、用紙の中心部を基準に重力モーメントGやカール角度θ、カール量Zを算出する。仮に、これらの値G,θ,Zを用紙の中心部を基準として算出せず、用紙の左側端部を基準に算出するとする。そうすると、用紙の中心部よりも左側のマス目(例えばマス目(x−2))の重力モーメントG’(x−2)は、着目マス目(x−2)から右側端部までに位置するマス目の単位重力モーメントgu(x)の積算値となる。即ち、左側のマス目の重力モーメントG’は用紙の右側半分に位置するマス目の単位重力モーメントguを積算した値よりも大きく、実際にカールを抑えようとする力(重力モーメント)よりも大きくなり過ぎてしまう。その結果、重力モーメントG’はたわみ応力Tよりも大きくなり過ぎてしまい、図17Cに示すように、用紙の左側のマス目には、カールが全く発生しないと予測されてしまう。そのため、本実施形態のように、用紙の中心部が用紙端部よりもカールし難いという現象を考慮して、用紙の中心部を基準に重力モーメントGとカール角度θ、カール量Zを算出することで、より正確に用紙のカール状態を予測することができる。
図17Dは、別の比較例として、用紙の左側端部を基準としたカール角度θとカール量Zを示す図である。この比較例では、用紙の中心部を基準に重力モーメントGは算出したが、カール角度θとカール量Zを算出する際には用紙の左側端部を基準にしたとする。そのため、前述の比較例(図17C)のように、用紙の中心部よりも左側のマス目の重力モーメントGが大きくなり過ぎ、カールが発生する場合であっても用紙の左側に全くカールが発生しないと予測されてしまうことは防止される。しかし、カール角度θとカール量Zを左側端部から積算してしまうと、用紙の左側端部から中心部までの各マス目に発生するカール量を積算した値が、用紙の中心部のカール量として予測されてしまう。これは、用紙の中心部は用紙端部よりもカールし難いという現象に反してしまう。また、用紙の右側端部では、用紙の左側端部からのカール量が積算されるため、実際のカール量よりも大きなカール量が発生すると予測されてしまう。そうすると、後のステップにて予測したカール量と閾値を比較したときに、本来であれば、用紙の右側端部のカール量が閾値を越えない程度のカール量であったにも関わらず、閾値を越えるカール量と予測されてしまう。その結果、不必要なカール防止対策を行われてしまう虞がある。
そのため、本実施形態のように、重力モーメントGを算出するだけでなく、カール角度θ、カール量Zを算出する際にも用紙の中央部を基準とすることで、より正確に用紙のカール状態を予測することができる。
そのため、本実施形態のように、重力モーメントGを算出するだけでなく、カール角度θ、カール量Zを算出する際にも用紙の中央部を基準とすることで、より正確に用紙のカール状態を予測することができる。
〈S007:用紙のカール状態の予測〉
最後に、マス目ごとに、横方向カールに対するカール量Z(x)と縦方向カールに対するカール量Z(y)とを比較し、カール量Zの大きい方をそのマス目のカール量Zとして採用する。
最後に、マス目ごとに、横方向カールに対するカール量Z(x)と縦方向カールに対するカール量Z(y)とを比較し、カール量Zの大きい方をそのマス目のカール量Zとして採用する。
図18Aは、用紙の縦方向の上半分に画像(写真画像)を印刷した用紙のカール状態を示す図であり、図18Bは、カール予測処理プログラムにより算出したカール量Zを3次元のグラフにて表した図である。実際に用紙の上半分にのみ画像を印刷すると、用紙の左上と右上に横方向カールが発生する。カール予測処理プログラムにて予測した結果も(図18B)、用紙の左上と右上に横方向カールが発生しており、正確にカール状態(カール位置・カール量)を予測できている。
===カール防止対策について===
図19は、カール防止対策のフローである。前述のカール予測方法にて予測された各マス目のカール量Zが閾値以上である場合(少なくとも1つのマス目のカール量が閾値以上であれば)、カール防止対策を行う。本実施形態では、用紙のインク打ち込み量を制限し、用紙のカールを防止する。
図19は、カール防止対策のフローである。前述のカール予測方法にて予測された各マス目のカール量Zが閾値以上である場合(少なくとも1つのマス目のカール量が閾値以上であれば)、カール防止対策を行う。本実施形態では、用紙のインク打ち込み量を制限し、用紙のカールを防止する。
図19のフローによると、プリンタドライバがアプリケーションソフトから画像データを受信すると(S101)、プリンタドライバは解像度変換処理(S102)、色変換処理(S103)、ハーフトーン処理(S104)を行って、画像データ(各画素のドット形成の有無を示すデータ)を作成する。その後、プリンタドライバはカール予測処理プログラムに画像データを送信し、カール量Zを予測させる(S105)。プリンタドライバは、算出されたカール量Zが閾値以上である場合(S106→NO)、インク打ち込み量が低減するようにハーフトーン処理の設定値を変更し(S107)、再びハーフトーン処理を行う。インク打ち込み量が低減するように、例えば、ドット生成率を低下させる等を行えばよい(S107)。インク打ち込み量が低減された画像データに基づいて再び算出されたカール量Zが閾値以下であれば(S106→YES)、プリンタドライバはラスタライズ処理等を行い、プリンタ1に印刷データを送信する。その結果、プリンタ1が印刷を行った用紙にはカールが発生し難くなる(S109)。
このように、カール予測処理プログラムによって、用紙に打ち込まれるインク量だけでなく、インクの分布に基づいて用紙のカール状態を予測し、カールが発生すると予測された場合にのみカール防止対策を行うことで、より確実に用紙のカールを防止することができる。逆に、カールが発生しないと予測されれば、無駄にカール防止対策を行う必要がなくなり、印刷処理時間を短縮でき、また、インク打ち込み量を低減して画質を低下させてしまうこともなくなる。
なお、カール防止対策方法はインク打ち込み量を低減させるだけでなく、これ以外の方法でもよい。例えば、カール量Zが閾値以上であるとき、印刷後のインクを乾燥させるためにヒータを有するプリンタであればヒータの照射時間を長く設定したり、用紙がカールしないようにカールを抑える機構を有するプリンタであれば、カールの抑え時間を長く設定したりするとよい。印刷画像以外の領域にカール防止剤(例えば水)を塗布するプリンタであれば、カール防止剤の塗布量を増やしてもよい。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、カールの予測方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、カールの予測方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
〈液体吐出装置について〉
前述の実施形態では、液体吐出方法を実施する液体吐出装置(一部)としてインクジェットプリンタを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンタ(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、液体の吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を吐出させるサーマル方式でもよい。
前述の実施形態では、プリンタ1に接続されたコンピュータ50内のカール予測処理プログラムが印刷用紙のカール状態を予測しているが(なお、この場合はコンピュータが制御部に相当し、プリンタとコンピュータが)、これに限らない。例えば、プリンタ1内のコントローラ10(制御部に相当)がカール状態を予測してもよい。この場合、プリンタ1単体が液体吐出装置に相当する。
前述の実施形態では、液体吐出方法を実施する液体吐出装置(一部)としてインクジェットプリンタを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンタ(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、液体の吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を吐出させるサーマル方式でもよい。
前述の実施形態では、プリンタ1に接続されたコンピュータ50内のカール予測処理プログラムが印刷用紙のカール状態を予測しているが(なお、この場合はコンピュータが制御部に相当し、プリンタとコンピュータが)、これに限らない。例えば、プリンタ1内のコントローラ10(制御部に相当)がカール状態を予測してもよい。この場合、プリンタ1単体が液体吐出装置に相当する。
〈ラインヘッドプリンタについて〉
前述の実施形態では、媒体の搬送方向と交差する紙幅方向にノズルが並んだラインヘッドプリンタを例に挙げているがこれに限らない。例えば、孔が設けられた搬送ベルトの下から媒体を吸着させた状態で媒体を搬送するプリンタであれば、1つのヘッドが媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動しながら画像を形成する画像形成動作と、媒体を搬送する搬送動作とを交互に行うシリアル式プリンタであってもよい。
前述の実施形態では、媒体の搬送方向と交差する紙幅方向にノズルが並んだラインヘッドプリンタを例に挙げているがこれに限らない。例えば、孔が設けられた搬送ベルトの下から媒体を吸着させた状態で媒体を搬送するプリンタであれば、1つのヘッドが媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動しながら画像を形成する画像形成動作と、媒体を搬送する搬送動作とを交互に行うシリアル式プリンタであってもよい。
〈画像データ〉
前述の実施形態では、プリンタドライバによりハーフトーン処理された画像データに基づいて、カール処理予測プログラムが印刷用紙のカール状態を予測しているが、これに限らない。例えば、高階調数のデータ(256階調)であっても、印刷用紙のカール状態を予測することができる。
前述の実施形態では、プリンタドライバによりハーフトーン処理された画像データに基づいて、カール処理予測プログラムが印刷用紙のカール状態を予測しているが、これに限らない。例えば、高階調数のデータ(256階調)であっても、印刷用紙のカール状態を予測することができる。
1 プリンタ、10 コントローラ、11 インターフェース、
12 CPU、13 メモリ、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラ、22 搬送ベルト、23 給紙ローラ、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、40 検出器群、50 コンピュータ
12 CPU、13 メモリ、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラ、22 搬送ベルト、23 給紙ローラ、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、40 検出器群、50 コンピュータ
Claims (8)
- 媒体上に定められた領域ごとに、液体吐出装置が前記領域に吐出する液体量を算出するステップと、
前記媒体上における前記領域の位置と前記領域に吐出される液体量とに基づいて、前記媒体に液体が吐出されることにより発生する前記媒体のカール状態を予測するステップと、
を有するカール予測方法。 - 請求項1に記載のカール予測方法であって、
前記領域ごとに、前記液体量を前記媒体がカールする力に変換し、
前記カールする力に基づいて、前記領域ごとに、前記領域のカール量を予測する、カール予測方法。 - 請求項2に記載のカール予測方法であって、
前記液体量を前記カールする力に変換する際に、前記媒体が前記媒体の所定方向にカールする力と、前記媒体が前記媒体の前記所定方向と交差する方向にカールする力とを異ならせるカール予測方法。 - 請求項2または請求項3に記載のカール予測方法であって、
前記領域の前記液体量を前記媒体が前記媒体の所定方向にカールする力に変換する際に、前記領域と前記所定方向に並ぶ前記領域よりも前記領域と前記所定方向と交差する方向に並ぶ前記領域の前記液体量の方が大きく影響し、
前記領域の前記液体量を前記媒体が前記媒体の前記交差する方向にカールする力に変換する際に、前記領域と前記交差する方向に並ぶ前記領域よりも前記領域と前記所定方向に並ぶ前記領域の前記液体量の方が大きく影響する、
カール予測方法。 - 請求項2から請求項4のいずれかに記載のカール予測方法であって、
前記カールする力は、前記媒体に液体が吐出される面が内側となるように前記媒体がカールする力であり、
ある前記領域から前記媒体の端部までの前記媒体の自重により、ある前記領域に生じるモーメント力を、前記領域ごとに算出し、
前記カールする力と前記モーメント力との差に基づいて、前記領域ごとに、前記領域のカール状態を予測する、
カール予測方法。 - 請求項5に記載のカール予測方法であって、
前記領域の前記カールする力が前記領域の前記モーメント力よりも大きい場合、前記領域はカールすると予測し、
前記領域の前記カールする力が前記領域の前記モーメント力以下である場合、前記領域はカールしないと予測する、
カール予測方法。 - 請求項2から請求項6のいずれかに記載のカール予測方法であって、
前記媒体の中心部に位置する前記領域のカール量を所定値とし、
ある前記領域のカール量は、ある前記領域と前記中心部側に隣接する前記領域の前記カール量を基準に算出され、
前記媒体の中心部から前記媒体の端部に向かう順に、前記領域のカール量を算出する、
カール予測方法。 - 媒体に液体を吐出するノズルと、
前記ノズルから液体を吐出させるための画像データを作成する制御部であって、前記画像データ上に定められた領域に相当する前記媒体の領域に吐出される液体量を算出し、前記媒体の領域の位置と前記領域に吐出される液体量とに基づいて、前記媒体に液体が吐出されることにより発生する前記媒体のカール状態を予測する制御部と、
を有する液体吐出装置。
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