JP2009119747A - 液体吐出装置、および、液体吐出方法 - Google Patents

液体吐出装置、および、液体吐出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】濃度むらを抑制すること。
【解決手段】液体を吐出するノズルと、搬送ベルトに設けられた孔を介して吸入機構により媒体を前記搬送ベルトに吸着させた状態で、前記媒体を搬送する搬送機構と、前記媒体の端部と、前記搬送ベルトに設けられた前記孔のうちの前記媒体に覆われない前記孔との位置関係に基づいて、前記媒体の周辺領域の範囲を特定し、前記媒体の前記周辺領域に対して、指令データに応じた量よりも少なく補正した量の液体を前記ノズルから吐出させる制御部と、を有する液体吐出装置である。
【選択図】図7

Description

本発明は、液体吐出装置、および、液体吐出方法に関する。
液体吐出装置の1つとして、紙や布、フィルムなどの各種媒体にノズルからインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。
インクジェットプリンタの中には、2つのローラにベルトが掛け渡された搬送機構を有し、ベルトの回転によって、ベルト上の媒体を搬送するプリンタがある。このような搬送機構では、搬送中に媒体の位置がずれないように、ベルトに設けられた複数の孔を介してサクションファン等によりベルトの下側から空気を吸引し、ベルトに媒体を吸着させる方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2005−280192号公報
しかし、上述の搬送機構を用いると、用紙の周辺領域に向けて吐出されたインクは、用紙近傍の孔からの吸引力の影響を受けてしまう。そのため、例えば、ノズルからのインク吐出後にサテライトが発生してしまった場合には、メインのインク滴とサテライトの着弾位置がずれ、複数のドットが形成されてしまう。その結果、用紙の周辺部は印刷データにて指示された濃度よりも濃く印刷され、濃度むらが発生する。
そこで、濃度むらを抑制することを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、液体を吐出するノズルと、搬送ベルトに設けられた孔を介して吸入機構により媒体を前記搬送ベルトに吸着させた状態で、前記媒体を搬送する搬送機構と、前記媒体の端部と、前記搬送ベルトに設けられた前記孔のうちの前記媒体に覆われない前記孔との位置関係に基づいて、前記媒体の周辺領域の範囲を特定し、前記媒体の前記周辺領域に対して、指令データに応じた量よりも少なく補正した量の液体を前記ノズルから吐出させる制御部と、を有する液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、液体を吐出するノズルと、搬送ベルトに設けられた孔を介して吸入機構により媒体を前記搬送ベルトに吸着させた状態で、前記媒体を搬送する搬送機構と、前記媒体の端部と、前記搬送ベルトに設けられた前記孔のうちの前記媒体に覆われない前記孔との位置関係に基づいて、前記媒体の周辺領域の範囲を特定し、前記媒体の前記周辺領域に対して、指令データに応じた量よりも少なく補正した量の液体を前記ノズルから吐出させる制御部と、を有する液体吐出装置を実現すること。
このような液体吐出装置によれば、媒体に覆われない搬送ベルトの孔の吸引力の影響を受け、メインの液体とサテライトが離れた位置に着弾し、指令データよりも濃く表される領域(ドットの表面積が大きくなる領域)に対して吐出される液体量が補正されるため、濃度むらを抑制することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記制御部は、前記媒体上において、前記媒体に覆われない前記孔までの距離が閾値以内である領域を前記周辺領域に特定すること。
このような液体吐出装置によれば、媒体上において、媒体に覆われない搬送ベルトの孔の吸引力の影響を受ける領域を周辺領域として特定することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記液体吐出装置はテストパターンを形成し、前記閾値は、前記テストパターン上において1回の液体吐出によりメインドットとサブドットとが離れて形成された領域と、前記テストパターンを形成した際に前記媒体に覆われなかった前記孔との位置関係に基づいて算出されること。
このような液体吐出装置によれば、媒体上において、媒体に覆われない搬送ベルトの孔の吸引力の影響を受ける領域を周辺領域として特定することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記制御部は、前記媒体の前記周辺領域内において、前記媒体に覆われない前記孔に近づくにつれて、前記指令データに応じた量よりもより少なく補正した量の液体を前記ノズルから吐出させること。
このような液体吐出装置によれば、媒体に覆われない孔からの距離が近い領域ほど、孔からの吸引力の影響を受け易く、指令データよりも濃く表される度合いが高くなるため、濃度むらをより抑制することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記液体吐出装置は、前記ノズルよりも前記媒体の搬送方向の上流側にセンサを有し、前記制御部は、前記センサによって検出された前記媒体の位置と前記媒体に覆われない前記孔の位置との位置関係に基づいて、前記周辺領域を異ならせること。
このような液体吐出装置によれば、媒体が搬送ベルトに供給される位置によって、媒体の端部と媒体に覆われない孔との距離が異なり、孔からの吸引力が影響を及ぶ範囲が異なるため、媒体の端部と孔との位置関係に基づいて、吐出する液体の量を補正することで、より濃度むらを抑制することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記液体吐出装置は、複数のサイズの媒体に対して液体吐出可能であり、前記制御部は、前記媒体のサイズに基づいて、前記周辺領域を異ならせること。
このような液体吐出装置によれば、媒体のサイズよって、媒体の端部と用紙に覆われない孔との距離が異なり、孔からの吸引力が影響を及ぶ範囲が異なるため、媒体のサイズに基づいて、吐出する液体の量を補正することで、より濃度むらを抑制することができる。
また、液体を吐出するノズルと、搬送ベルトに設けられた孔を介して吸入機構により媒体を前記搬送ベルトに吸着させた状態で、前記媒体を搬送する搬送機構と、を有する液体吐出装置が、テストパターンを形成するステップと、前記媒体の端部と、前記搬送ベルトに設けられた前記孔のうちの前記媒体に覆われない前記孔との位置関係に基づいて、前記媒体の周辺領域の範囲を特定するステップと、前記媒体の前記周辺領域に対して、指令データに応じた量よりも少なく補正した量の液体を前記ノズルから吐出するステップと、を有する液体吐出方法を実現すること。
このような液体吐出方法によれば、媒体に覆われない搬送ベルトの孔の吸引力の影響を受け、メインの液体とサテライトが離れた位置に着弾し、指令データよりも濃く表される領域に対して吐出される液体量が補正されるため、濃度むらを抑制することができる。
===ラインヘッドプリンタ===
以下、液体吐出装置をインクジェットプリンタとし、また、インクジェットプリンタの中のラインヘッドプリンタ(プリンタ1)を例に挙げて実施形態を説明する。
図1は、本実施形態のプリンタ1の全体構成ブロック図である。図2Aは、プリンタ1の断面図である。図2Bは、プリンタ1が用紙S(媒体)を搬送する様子を示す図である。外部装置であるコンピュータ50から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ10により、各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット30)を制御し、用紙Sに画像を形成する。また、プリンタ1内の状況を検出器群40が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラ10は各ユニットを制御する。
コントローラ10は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピュータ50とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、メモリ13に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、搬送ローラ21A,21Bと、搬送ベルト22と、吸入機構24とを有し、用紙Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向に所定の搬送速度で用紙Sを搬送させる。給紙ローラ23は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ1内の搬送ベルト22上に自動的に給紙するためのローラである。輪状の搬送ベルト22が搬送ローラ21A及び21Bにより回転することで、搬送ベルト22上の用紙Sは搬送される。
図3Aは、搬送ベルト22を上から見た図である。搬送ベルト22には複数の孔25(例えば、直径10mm)が設けられている。この孔は、搬送ベルト22上において、搬送方向と紙幅方向にそれぞれ所定間隔(例えば30mm)おきに並んでいる。そして、図2Aに示すように輪状の搬送ベルト22の間には吸入機構24が設けられている。この吸入機構24は、搬送ベルト22に設けられた孔25を介して、用紙を下側から吸引し、用紙を搬送ベルト22にバキューム吸着させる。こうすることで、印刷中(搬送中)における用紙の位置ズレを防止することができる。
なお、プリンタ1は、「フチ有り印刷」を行い、「フチ無し印刷」は行わないとする。フチ無し印刷を行う場合、通常、ノズルに対する用紙の位置ズレに備えて、用紙よりも広い領域に向けてインクが吐出される。そのため、搬送ベルト22により用紙を搬送するプリンタ1でフチ無し印刷を行おうとすると、用紙を越えて搬送ベルト22上にインクが吐出され、搬送ベルト22や用紙を汚してしまう。ゆえに、プリンタ1はフチ有り印刷のみを行うとする。
ヘッドユニット30は、用紙にインクを吐出するためのものであり、複数のヘッド31を有する。ヘッド31の下面には、インク吐出部であるノズルが複数設けられる。そして、各ノズルには、インクが入った圧力室(不図示)と、圧力室の容量を変化させてインクを吐出させるための駆動素子(ピエゾ素子)が設けられている。駆動素子に駆動信号が印加されることにより、駆動素子は変形し、その変形に伴って圧力室が膨張・収縮することによりインクが吐出される。
図3Bは、ヘッドユニット30の下面のノズル配列を示す。ヘッドユニット30は、それぞれ複数(n個)のヘッド31を有する。そして、複数のヘッド31は、搬送方向と交差する紙幅方向に千鳥状に並んで配置されている。ヘッド31の下面には、イエローインクノズル列Yと、マゼンタインクノズル列Mと、シアンインクノズル列Cと、ブラックインクノズル列Kが形成され、各ノズル列はノズルを180個ずつ備える。そして、各ノズル列のノズルは紙幅方向に一定の間隔180dpiで整列している。また、紙幅方向に並ぶ2つのヘッド31のうちの左側のヘッドの最も右側のノズル(例:31(1)の#180)と、右側のヘッドの最も左側のノズル(例:31(2)の#1)との間隔が180dpiとなるように、各ヘッド31が配置されている。即ち、ヘッドユニット30内において、4色のノズル(YMCK)がそれぞれ180dpiの間隔で紙幅方向に並んでいることになる。
このようなラインヘッドプリンタでは、コントローラ10が印刷データを受信すると、コントローラ10は、まず、給紙ローラ23を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ベルト22上まで送る。用紙Sは搬送ベルト22上を一定速度で停まることなく搬送され、ヘッドユニット30の下を通る。ヘッドユニット30の下を用紙Sが通る間に、各ノズルからインクが断続的に吐出される。その結果、用紙S上には搬送方向に沿った複数のドットからなるドット列が形成され、画像が印刷される。
===濃度むらについて===
本実施形態のプリンタ1では、搬送ベルト22の孔25から用紙Sを吸入機構24により吸引し、用紙Sを搬送ベルト22に吸着させた状態で搬送する。吸入機構24は、図2Aに示すように、上流側搬送ローラ21Aから下流側搬送ローラ21Bまでの間に位置し、また、搬送ベルト22の紙幅方向における左端から右端に亘って位置する。
図4Aは、搬送ベルト22上の用紙Sを示す図である。図示するように、印刷する用紙サイズや、搬送ベルト上における用紙の位置によって、搬送ベルトの上面に現れる孔は、用紙に覆われる孔と用紙に覆われない孔とに分かれる。用紙に覆われる孔は用紙を吸引するが、用紙に覆われない孔は搬送ベルト上の空気を吸引することになる。即ち、用紙に覆われない孔の周辺の空気は吸引されてしまう。そして、用紙の周辺領域は、図示するように、用紙に覆われない孔に囲まれている。そのため、用紙の周辺領域上の空気も吸引される。
図4Bは、用紙に向けて吐出されたインクの様子を示す図である。図中の搬送方向下流側のノズルから順にノズル1・ノズル2・ノズル3とする。ノズル1からは用紙Sの先端近傍の画素に向けてインクが吐出され、ノズル2からはノズル1よりも用紙の中央部側の画素に向けてインクが吐出され、ノズル3からはノズル2よりも更に用紙の中央部側の画素に向けてインクが吐出される。
ノズルから大きいインク滴(以下、メインインク滴とする)が吐出された後に、図4Bに示すような微小なインク滴(以下、サテライトとする)が発生する場合がある。例えば、ノズルから吐出されたメインインク滴の速度が遅すぎた場合に、メインインク滴の一部が分離し、その分離した一部のインクがサテライトとして発生する。また、メインインク滴吐出後のメニスカスの残留振動が大きい場合にも、メインインク滴とは別にサテライトが吐出される。即ち、ノズルからメインインク滴が1回吐出されることにより、複数のインク滴(メインインク滴とサテライト)が媒体に着弾してしまうことがある。このようなサテライトの発生は、特に、インクの粘度が低下する高温環境において発生し易い。
図4Bに示すノズル3からは、用紙の先端から比較的に離れた画素に対してインクが吐出される。そのため、メインインク滴もサテライトも、搬送ベルト22の孔25のうちの用紙に覆われない孔(以下、吸引孔とする)からの吸引力の影響を受けることなく、用紙に対して飛行曲がりすることなく垂直方向に落下する。その結果、メインインク滴とサテライトは、ほぼ同位置に着弾し、印刷データにて定められた画素に1つのドットとして形成される。
一方、ノズル1からは、用紙の先端に近い画素に対してインクが吐出される。そのため、特に自重の軽いサテライトは、吸引孔からの吸引力の影響を受け、滴下の際に用紙の先端方向に向かって飛行曲がりし易く、サテライトはメインインク滴よりも先端側の位置に着弾してしまう。その結果、メインインク滴とサテライトは離れた位置に着弾し、複数のドットが形成される。
また、ノズル1は、ノズル2よりも用紙先端から近い画素に対してインクが吐出される。即ち、ノズル1から吐出されるインク滴は、ノズル2から吐出されるインク滴よりも、用紙に覆われない孔からの吸引力の影響を受け易い。そのため、例えば図示するように、ノズルから2つのサテライトが発生する場合に、ノズル2から発生するサテライトは1つだけメインインク滴と離れた位置に着弾するのに対して、ノズル1から発生するサテライトは2つともメインインク滴と離れた位置に着弾することがあり得る。即ち、用紙の端部に近付くほど、メインインク滴から離れた位置に着弾するサテライトの数が増える。
以上をまとめると、搬送ベルト22に設けられた孔25を介して吸入機構24により媒体を搬送ベルトに吸着させた状態で搬送するプリンタにおいて、用紙の周辺領域に向けて吐出されたメインインク滴にサテライトが発生した場合、サテライトは、吸引孔(用紙近傍の孔)からの吸引力の影響を受け、メインインク滴と離れた位置に着弾してしまう。つまり、ノズルからの1回のメインインク滴吐出により、複数のドットが形成されてしまう。また、用紙の端部に近付くほど、メインインク滴から離れた位置に着弾するサテライトの数が増える。
図5Aは、用紙の先端から後端に亘って形成されたドットを示す図であり、図5Bは濃度むらの発生の様子を示す図である。図5Aに示すドットは、用紙(搬送方向の長さが420mmのA3サイズ紙)に対して、ノズルからメインインク滴が吐出された結果である。用紙の先端および後端領域では、大きいドット(以下、メインドットと呼ぶ)の近傍にサテライトによる小さいドット(以下、サブドットと呼ぶ)が形成されている。また、用紙の先頭(先端領域)では、メインドットに対してサブドットが先端側(上側)に形成され、逆に用紙の後端では、メインドットに対してサブドットが後端側(下側)に形成されている。このことから、サテライトは、用紙の端部近くに位置する孔からの吸引力の影響を受け、メインインク滴よりも用紙の端部側に着弾することが分かる。一方、用紙の中央領域では大きいドット(メインドット)のみ形成されており、メインインク滴とサテライトがほぼ同位置に着弾したことが分かる。
即ち、ノズルからメインインク滴が1回吐出されることにより、用紙の中央領域には1つのドットが形成されるのに対して、用紙の周辺領域には複数のドットが形成される。これは、同じインク量の吐出に対して、用紙の周辺領域の方が中央領域よりも、用紙の表面上に広がるインクの面積が大きいということである。つまり、用紙の中央領域と周辺領域に同じ様にインクを吐出したとしても、用紙の周辺領域の方が中央領域よりも濃く印刷されてしまう。言い換えれば、中央領域では印刷データにて指示された濃度に印刷されるのに対して、周辺領域では印刷データにて指示された濃度よりも濃く印刷される。その結果、周辺領域と中央領域とにおいて濃度むらが発生してしまう。例えば、用紙の全面に亘って一定の濃度に画像を印刷しようとしても、図5Bに示すように、用紙の周辺領域が中央領域に比べて濃く印刷されてしまう。
また、用紙の端部に近付くほど、用紙に覆われない孔からの吸引力の影響を受け易く、メインインク滴から離れた位置に着弾するサテライトの数が増える。例えば、紙幅方向に複数の画素が並ぶ画素列に着目すると、用紙の先端に近い画素列ほど、メインインク滴とサテライトが離れて着弾した画素の数が増える。そのため、用紙の端部に近付くにつれて、印刷データにて指示された濃度より濃く印刷される度合いが高くなるといえる。ゆえに、用紙の中央領域と周辺領域だけでなく、周辺領域内においても濃度むらが発生するといえる。
そこで、本実施形態では、搬送ベルト22に設けられた孔25を介して吸入機構24により媒体を搬送ベルト22に吸着させた状態で搬送するプリンタにて、メインインク滴とサテライトとの着弾位置がずれることにより発生する濃度むらを抑制することを目的とする。
以下、メインインク滴とサテライトの着弾位置がずれて、印刷データにより指示された濃度よりも濃く印刷されてしまう用紙の領域(1回の液体吐出によりメインドットとサブドットとが離れて形成される領域)を「周辺領域」と呼び、メインインク滴とサテライトとの着弾位置がほぼ同位置となる領域を「中央領域」と呼ぶ。
説明のため、メインインク滴により形成されるドットを「メインドット」と呼び、メインドットとは別にサテライトにより形成されるドットを「サブドット」と呼ぶ。また、中央領域にてメインインク滴とサテライトが同位置に着弾することにより形成されるドットも「メインドット」とする。メインインク滴から離れた位置に着弾したサテライトにより形成されたサブドットを「メインドットのサブドット」と呼ぶ。
なお、実際には、周辺領域に向けて吐出されたメインインク滴も、サテライトほどではないが、印刷データにて指示された位置よりも用紙の端部側に若干寄って着弾する虞がある。但し、ここではメインインク滴は印刷データにて指示された位置に着弾するとする。
===実施形態1:濃度むらの抑制について===
本実施形態では、メインインク滴とサテライトとの着弾位置がずれることにより発生する濃度むらを抑制するために、用紙の中央領域は印刷データ(指令データに相当)にて指示された濃度に印刷し(指令データに応じた量の液体が吐出され)、用紙の周辺領域は印刷データにて指示された濃度よりも淡く印刷されるように(指令データに応じた量よりも少なく補正した量の液体が吐出されるように)濃度補正して、印刷を行う。
その結果、印刷データよりも濃く印刷されてしまう周辺領域と印刷データ通りに印刷される中央領域との濃度むらが抑制され、画質の劣化が抑えられる。
ところで、搬送ベルト22に設けられた孔25は、図3Aに示すように、搬送方向および紙幅方向に所定間隔おきに形成されている。そのため、吸引孔から用紙端部までの距離が異なって給紙された場合、用紙端部からの距離が同じ領域(画素)であっても、吸引孔の影響力が異なる。即ち、用紙端部からの距離が同じ領域であっても用紙が給紙された位置によって、メインインク滴とサテライトがずれて着弾したり、同一位置に着弾したりする。
図6は、給紙位置が異なった用紙S1,S2において、用紙端部と吸引孔25の位置関係の違いを示す図である。プリンタ1は、用紙が給紙される紙幅方向の位置が一定でなく、紙幅方向の給紙位置が用紙ごとに異なるとする。例えば、図示するように、用紙S1(実線)は用紙S2(点線)よりも紙幅方向に長さZ6だけ左側にずれて給紙され、用紙S1の左側端部と左側端部近傍の吸引孔(太線)との距離Z3は、用紙S2の左側端部と左側端部近傍の吸引孔(太線)との距離Z2よりも長いとする。この場合、用紙S1の左側端部近傍領域の方が用紙S2の左側端部近傍領域よりも吸引孔の影響を受ける範囲が狭くなる。即ち、用紙S1の左側端部近傍の周辺領域の方が用紙S2の左側端部近傍の周辺領域よりも小さくなる。つまり、紙幅方向の給紙位置が用紙ごとに異なると、用紙端部(左端・右端)とその端部近傍の吸引孔との距離が用紙ごとに異なるため、周辺領域の大きさも異なってくる。また、吸引孔の搬送方向の位置は時間と共に変わるため、用紙が給紙されるタイミングによっても、用紙端部(先端・後端)とその端部近傍の吸引孔との距離が異なる。
そこで、この実施形態1では、搬送ベルト22に給紙された用紙端部と用紙に覆われない吸引孔との位置関係に応じて、周辺領域の範囲を特定して濃度補正を行う。そうすることで、用紙上において吸引孔の影響を受ける領域を「周辺領域」として正確に特定することができる。その結果、吸引孔の影響を受けて、指令濃度よりも濃く印刷されてしまう領域に対して確実に濃度補正を行うことができ、濃度むらをより抑制することができる。
図7は、濃度むら抑制のフローである。プリンタ1の出荷前に、プリンタごと又はプリンタの機種ごとにテストパターンを実際に印刷させる(S001)。そして、テストパターンにおける「周辺領域(メインインク滴とサテライトの着弾位置がずれる領域)」を特定する(S002)。次に、テストパターンにおける周辺領域と、テストパターンが印刷された際の搬送ベルト22上の孔と用紙端部との位置関係から、用紙周辺の吸引孔が用紙上のどの範囲に亘って影響を及ぼすかについての「閾値(詳細は後述)」を算出する(S003)。算出した閾値をプリンタ1のメモリ13(又はプリンタドライバ)に記憶させ、その後プリンタ1はユーザーの下へ出荷される。そして、ユーザーが印刷を実行させる際に、閾値を用いて、搬送ベルトに給紙された印刷用紙の端部と吸引孔との位置関係に応じて、印刷用紙における周辺領域の範囲を特定する(S004)。そして、印刷用紙の中央領域は印刷データにて指示された濃度に印刷し、印刷用紙の周辺領域は印刷データにて指示された濃度よりも淡く印刷されるように濃度補正し、印刷が行われる(S005)。なお、プリンタドライバまたはコントローラ10(制御部に相当)が濃度補正を行うとする。
次に、テストパターンを印刷して(S001)、テストパターン上の周辺領域を特定する(S002)方法について、具体例を挙げながら説明する。
〈テストパターン:第1例〉
図8Aは、テストパターンの第1例を示す図である。この第1例のテストパターンでは、紙幅方向および搬送方向にそれぞれ所定間隔(例えば1/90インチ)おきにメインドットが形成されるようにする。そのために、紙幅方向に1/90インチの間隔で並ぶノズル列から同時にインクを吐出させ、また、用紙が1/90インチ搬送されるごとに、先程の紙幅方向に1/90インチの間隔で並ぶノズル列から再び同時にインクを吐出させる。なお、プリンタ1ではヘッド31が紙幅方向に千鳥に配置されているが(図3B)、説明の簡略のため1直線上にノズルが並んでいるとする。また、紙幅方向に1/90インチの間隔で並ぶドット列を形成するノズルは一定とし(例えばブラックインクノズル列K)、テストパターンの結果が各ノズルの特性の影響を受け難いようにする。
その結果、用紙上には、図8Aに示すように、紙幅方向に1/90インチの間隔でメインドットが並んだドット列(以下、ラスタライン)が、搬送方向に1/90インチの間隔で並んで形成される。ここで、用紙の先端から順に第1ラスタライン・第2ラスタライン…第Iラスタラインとする。また、用紙の左端から順に第1ドット・第2ドット…第Jドットとする。なお、図8Aでは、説明のために、用紙サイズに対してドット径やドット間隔を大きくして描いている。
テストパターンの印刷が終了した後、テストパターンをスキャナで読み込んだり、顕微鏡を用いたりして、メインインク滴とサテライトの着弾位置がずれているか否かを確認する。そして、メインインク滴とサテライトの着弾位置がずれ、メインドットの近傍にサブドットが形成されている領域をテストパターン上における「周辺領域」に特定する。例えば、図8Aに示すテストパターンでは、第1ラスタラインから第10ラスタラインまでに属するメインドットの近傍には、サブドットが形成されている。このことから、用紙の先端から第10ラスタラインが形成された領域までを周辺領域に特定する。また、第I−9ラスタラインが形成された領域から用紙の後端まで間の領域も、メインドットの近傍にサブドットが形成されているため、周辺領域として特定する。同様にして、用紙の左端から第2ドットが形成された領域と、用紙の右端から第J−1ドットが形成された領域も周辺領域として特定する。即ち、図8Aに示す点線の囲いよりも内側の領域がテストパターン上における「中央領域」となり、点線の囲いよりも外側(端部側)の領域がテストパターン上における「周辺領域」となる。
なお、メインインク滴とサテライトの着弾位置がずれるドット列(例えば第10ラスタライン)と着弾位置がずれないドット列(例えば第11ラスタライン)との中間地点を、中央領域と周辺領域の境目とする。また、搬送方向にドットが並んだドット列、または、ラスタラインを構成する少なくとも1つのメインドットの近傍にサブドットが形成されていたら、その搬送方向に並んだドット列、または、ラスタラインが形成された領域は周辺領域とする。
そして、このテストパターンでは、各メインドットに関して、メインインク滴とサテライトとが離れた位置に着弾したか否かを確認するために、メインドット同士が重ならないように、所定の間隔(図中では1/90インチ)おきにメインドットが形成されている。更に、あるメインドットのサブドット(ある液体吐出により形成されたサブドット)が、別のメインドット(別の液体吐出により形成されたメインドット)と重ならないように、所定の間隔おきにメインドットが形成されている。もし、メインドット同士が重なっていたり、あるメインドットのサブドットと別のメインドットが重なっていたりしたら、各メインドットに関して、メインインク滴とサテライトとが離れた位置に着弾したか否かを確認することができない。その結果、テストパターン上における周辺領域を特定することができなくなってしまう。
そこで、第1例のテストパターンでは、メインドット同士が重ならず、また、あるメインドットのサブドットと別のメインドットとが重ならないように、メインドットを形成する紙幅方向および搬送方向の間隔を設定し、テストパターンを形成する。そうすることで、テストパターンに形成されたドットの中で、メインインク滴からサテライトがずれて着弾し形成されたサブドットを、確実に検出することができる。その結果、テストパターン上における周辺領域を正確に特定することができる。
図8Bは、テストパターンにおけるメインドット(太線)とサブドット(細線)の位置関係を示す図である。メインドット同士が重ならないようにするためには、搬送方向および紙幅方向に隣り合うメインドットの中心間の距離X1を、メインドットの直径D以上の長さにすればよい(X1≧D)。即ち、メインドットを形成する画素と、そのメインドットと搬送方向または紙幅方向に隣り合うメインドットが形成される画素との間隔X1が、メインドットの直径D以上となるように、テストパターンを印刷するための印刷データを作成する。
そして、あるメインドットのサブドットと別のメインドットとが重ならないようにするためには、あるメインドットのサブドットの外周と別のメインドットの外周とが重ならないようにすればよい。具体的には、搬送方向および紙幅方向に隣り合うメインドットの中心間の距離X1を、あるメインドットとあるメインドットのサブドットとの最大ドット間隔X2(例えば720dpi)に、サブドットの半径R2と、メインドットの半径R1を加えた長さ以上にすればよい(X1≧(X2+R1+R2))。即ち、メインドットを形成する画素と、そのメインドットと搬送方向または紙幅方向に隣り合うメインドットが形成される画素との間隔X1が、長さ「X2+R1+R2」以上となるように、テストパターンを印刷するための印刷データを作成する。なお、図7に示すテストパターンでは、隣り合うメインドットの紙幅方向および搬送方向の間隔を等しくしているが、これに限らず、隣り合うメインドットの紙幅方向と搬送方向の間隔を異ならせてもよい。
図8Cは、テストパターン上のメインドットとサブドットの別の位置関係を示す図である。ここまで、あるメインドットのサブドットと別のメインドットとが重ならないようにテストパターンを形成すると説明しているが、これに限らない。あるメインドットのサブドットと別のメインドットとが完全に重ならなければ、図8Cに示すように一部分同士が重なっていたとしても、メインインク滴からサテライトがずれて着弾したか否かを確認することができる。そのため、あるメインドットの中心と、そのメインドットと搬送方向および紙幅方向に隣り合う別のメインドットの外周との距離X3を、あるメインドットとサブドットの最大ドット間隔X2の長さ以上にすればよい(X3≧X2)。
〈テストパターン:第2例〉
図9は、テストパターンの第2例を示す図である。この第2例では、用紙の全域が一定の濃度(指令階調値)にて印刷されるように印刷データを設定し、テストパターンを印刷する。用紙に覆われない搬送ベルトの孔からの吸引力により、用紙周辺部に向けて吐出されたメインインク滴とサテライトは離れた位置に着弾してしまう。その結果、一定の指令濃度にてテストパターンを印刷しようとしても、図9に示すように、テストパターンの周辺部は中央部に比べて濃く印刷されてしまう。そして、この第2例では、印刷されたテストパターンにおいて、中央部よりも濃く印刷された領域を「周辺領域」に特定する。そのために、例えば、テストパターン結果をスキャナにより読み取って、中央部の読取階調値よりも読取階調値が高い領域を「周辺領域」として特定すればよい。
つまり、前述の第1例のテストパターンでは、メインドットの近傍にサブドットが形成されたか否かによって、周辺領域を特定するのに対して、第2例では、一定の指令濃度にて印刷したテストパターンを巨視的に見て、中央部と周辺部との濃度差によってテストパターン上における周辺領域を特定する。
第2例のテストパターンでは、印刷データの指令濃度に対して、実際に印刷された周辺領域の濃度と中央領域の濃度との差により、どの程度の濃度むらが発生するかを知ることができる。例えば、テンストパターンをスキャナで読み取った場合、周辺領域の読み取り階調値の平均値と、中央領域の読み取り階調値の平均値との比率を算出すればよい。また、第2例のテストパターンによれば、指令濃度に対して、周辺領域は、どの程度濃く印刷されたかを知ることができる。そのため、周辺領域に対して濃度補正を行う際に、指令濃度に対してどの程度淡く印刷すればよいかを算出できる。
なお、テストパターンを印刷する指令濃度(指令階調値)を高く設定し過ぎてしまうと(所謂ベタ塗り印刷)、メインドット同士が重なり合って形成される。そうすると、あるメインインク滴から離れた位置に着弾したサテライト(サブドット)の上に、別のメインインク滴が着弾することになる。ある大きさの領域に一定量以上のインクが着弾したとしても、用紙の表面上に広がるインクの表面積はあまり変わらず、また、その領域が表される濃度も変わらない。つまり、テストパターンを印刷する指令濃度を高く設定し過ぎてしまうと、周辺領域が指令濃度よりも濃く印刷される度合いが小さくなる。そのため、周辺領域と中央領域との濃度差によって、テストパターンにおける周辺領域を特定することが難しくなる。
そこで、第2例においても、第1例のテストパターンと同様に、メインドット同士が重ならず、また、あるメインドットのサブドットと別のメインドットとが重ならずにテストパターンが印刷されるように、テストパターンを印刷するための指令濃度(指令階調値)を設定する。そうすると、テストパターンの結果において、周辺領域と中央領域との濃度差がはっきりするため、テストパターン上における周辺領域を確実に特定することができる。また、図8Cに示すように、あるメインドットのサブドットと別のメインドットの一部分同士が重なってテストパターンが印刷されたとしても、周辺領域と中央領域に濃度差が生じるため、テストパターン上における周辺領域を特定することができる。
〈テストパターン:変形例〉
図10Aから図10Cは、テストパターンの変形例である。図10Aは、第1例のテストパターンの変形例であり、図10Bは、第2例のテストパターンの変形例であり、テストパターンの中央部にはドットが形成されていない。これは、用紙の中央部では、メインインク滴とサテライトの着弾位置がずれないことが予め分かっているため、用紙中央部にドットを形成しなくとも、周辺領域を特定する際に問題がないからである。そして、このようなテストパターンにより周辺領域を特定することで、インク消費量を削減でき、また、印刷時間を短縮することができる。
図10Cのテストパターンでは、第2例のテストパターンのように用紙の全域に一定の指令濃度にて画像を印刷するのではなく、所定間隔おきに小パターンを形成する。そして、各小パターンは一定の指令濃度にて印刷する。その結果、用紙周辺部の小パターンは用紙中央部の小パターンに比べて濃く印刷される。そこで、中央部に形成された小パターンよりも濃度が濃く印刷された小パターンが位置する領域を「周辺領域」として特定する。例えば、テストパターンをスキャナにより読み取り、各小パターンの読取階調値を比較し、読取階調値が高い小パターンが印刷された領域を周辺領域として特定すればよい。このようなテストパターンによれば、第2例のテストパターンに比べて、インク消費量を削減でき、また、印刷時間を短縮することができる。
以上のように、第1例(図8A)、第2例(図9)、変形例(図10)のテストパターンを印刷し(S001)、テストパターンにおける「周辺領域」を特定したら(S002)、テストパターン上における周辺領域と、テストパターンが印刷された際の搬送ベルト22上の孔と用紙端部との位置関係から、用紙周辺の吸引孔が用紙上のどの範囲に亘って影響を及ぼすかについての「閾値」を算出する(S003)。
図11は、第2例のテストパターンが印刷された用紙Sの端部と吸引孔25との位置関係を示す図である。用紙Sの中央部よりも濃く示された領域が、テストパターンにおける周辺領域である。図11より、左側端部近傍の吸引孔(太線)の吸引力は、吸引孔から距離Z1だけ離れた領域、即ち、周辺領域と中央領域との境目まで影響することが分かる。この距離Z1は、テストパターンを印刷した用紙の左側端部近傍の吸引孔から用紙の左側端部までの距離Z11と、用紙の左側端部から周辺領域と中央領域との境目までの距離Z12を加えた長さ(Z1=Z11+Z12)である。そして、この長さZ1を、周辺領域を特定するための「閾値Z1」とする。印刷用紙において、吸引孔の中心までの距離が閾値Z1以内の領域を周辺領域として特定する。同様にして、用紙の右端・先端・後端近傍の吸引孔が影響を及ぼす範囲を特定するための閾値も算出する。こうして、テストパターンを印刷した際の用紙端部と吸引孔との位置関係と、テストパターンにおける周辺領域とに基づいて「閾値」を算出した後、閾値をプリンタ1のメモリ13(又はプリンタドライバ)に記憶させ、プリンタ1はユーザーの下に出荷される。
次に、ユーザーの下で印刷が行われる際に、閾値に基づいて、印刷する用紙における周辺領域を特定する方法について説明する(S004)。
図12Aは、吸引孔25からの距離が比較的に近い用紙S2の周辺領域を特定する様子を示す図であり、図12Bは、吸引孔25からの距離が比較的に遠い用紙S1の周辺領域を特定する様子を示す図である。小さい升目を1つの画素とし、斜線部が施された領域を周辺領域とし、それ以外の領域を中央領域とする。ここでは、搬送方向に沿った画素列ごとに周辺領域であるか否かを判断する。
吸引孔の影響が及ぶ範囲が吸引孔の中心から閾値Z1に亘る範囲であり、印刷用紙において、吸引孔の中心までの距離が閾値Z1以内の領域を周辺領域として特定する。用紙S2(図12A)の左側端部から吸引孔までの長さを長さZ2とする。そのため、用紙S2の左側端部を基点とし、閾値Z1から長さZ2を引いた長さ(Z1−Z2)までの範囲に属する画素列を周辺領域として特定する。その結果、用紙の左側端部から3番目の画素列までが周辺領域として特定される。
一方、用紙S1(図12B)の左側端部から吸引孔25までの長さを長さZ3とする。そのため、用紙S1の左側端部を基点とし、閾値Z1から長さZ3を引いた長さ(Z1−Z3)までの範囲に属する画素列を周辺領域として特定する。その結果、用紙の左側端部から2番目の画素列までが周辺領域として特定され、左側端部から3番目の画素列は中央領域として特定される。
用紙の左側端部から同じ3番目の画素であっても、用紙S2では周辺領域に特定され、用紙S1では中央領域に特定されている。このように、用紙S2の方が用紙S1に比べて、吸引孔から用紙の左側端部までの距離が近いため、周辺領域として特定される画素列が多くなる。
図12Cは、画素ごとに周辺領域を特定する様子を示す図である。前述の図12A及び図12Bでは、搬送方向に沿った画素列ごとに周辺領域であるか否かを判断し、周辺領域を特定している。しかし、これに限らず、画素ごとに周辺領域を特定しても構わない。例えば、図12Cに示すように、吸引孔25に対して右上に位置し、吸引孔からの距離Z4が閾値Z1よりも長い画素は、中央領域に属する画素として特定し、吸引孔25に対して右下に位置し、吸引孔からの距離Z5が閾値よりも短い画素は、周辺領域に属する画素として特定する。つまり、吸引孔25の中心から半径Z1以内の範囲(図中の点線内)に画素の中心が位置する画素を周辺領域として特定する。このように、画素ごとに周辺領域であるか否かを特定することで、より正確に周辺領域を特定でき、その結果、濃度むらをより抑制することができる。但し、画素ごとに周辺領域であるか否かを特定していると、処理時間が長くなってしまうので、複数の画素から構成される領域ごとに周辺領域であるか否かを特定してもよい。そして、用紙の左側端部近傍の吸引孔からの影響による周辺領域だけでなく、それ以外の用紙端部(右端・先端・後端)近傍の吸引孔からの影響による周辺領域も特定する。
なお、搬送ベルト22に給紙された用紙端部と搬送ベルトに覆われない孔との距離は、図6に示すように、搬送ベルト22の上流側にCCDラインセンサ41(センサに相当)を用いて算出される。CCDラインセンサ41が搬送ベルト22上に給紙された用紙の位置を検出する。そして、検出結果を受け取ったコントローラ10が、用紙端部と端部近傍の吸引孔との距離を算出する。吸引孔の紙幅方向の位置は固定されているため、紙幅方向における用紙の左右端の位置を検出すれば、用紙の左右端と吸引孔との距離を算出することができる。一方、吸引孔の搬送方向の位置は時間と共に変化するため、搬送ローラ21の回転数を制御するエンコーダ等により吸引孔の搬送方向の位置を管理し、用紙の先端・後端と吸引孔との距離を算出すればよい。
こうして、印刷する用紙における周辺領域の範囲が特定されたら(S004)、周辺領域が指令濃度よりも淡く印刷されるように、濃度補正を行う(S005)。次に、周辺領域に対する濃度補正方法について説明する。
〈濃度補正例1〉
図13Aは、用紙Sの周辺領域におけるドットの間引きパターンを示す図である。図中の小さい升目を1つの画素とし、濃色にて示される画素にはドットが形成され、白色にて示される画素のドットは間引かれる。搬送方向に、用紙の先端から位置I1までの間に属する画素と、位置I2から用紙の後端までの間に属する画素とを周辺領域とし、紙幅方向に、用紙の左端から位置J1までの間に属する画素と、位置J2から用紙の右端までの間に属する画素とを周辺領域とする。例えば、用紙の全域に亘って一定濃度の画像が印刷されるように、印刷データは全ての画素にドットを形成するように指示しているとする。しかし、印刷データ通りに周辺領域の全ての画素にドットを形成してしまうと、周辺領域よりは印刷データよりも濃く印刷されてしまう。
そこで、濃度補正例1では、周辺領域に属する一部の画素の印刷データが「ドットを形成する」であったとしても、「ドットを形成しない」に書き換える。即ち、周辺領域ではドットを間引いて印刷する。そうすることで、周辺領域が指令濃度よりも濃く印刷されてしまうことを抑えられ、周辺領域と中央領域との濃度むらを抑制することができる。例えば、図13Aに示すように、用紙端部に最も近い外側の画素にはドットを形成せず(白色部)、その内側の画素にはドットを形成し(濃色部)、更にその内側の画素にはドットを形成しない…というように、周辺領域では1画素おきにドットを形成する。このように、周辺領域に属する一部の画素に対して、印刷データに反してドットを形成しなかったとしても、周辺領域に属する他の画素に向けて吐出されたメインインク滴とサテライトの着弾位置がずれ、1回のメインインク滴吐出により複数のドットが形成されるため、ドットを形成しなかった画素分の濃度が補われ、周辺領域は指令濃度にて(または指令濃度近付いて)印刷される。
図13B〜図13Eは、濃度補正例1の変形例を示す図である。周辺領域に属する画素の中で、印刷データに関わらず「ドットを形成しない」と設定する画素(白色部)を、例えば、図13Bのように、1行おき(紙幅方向に並ぶ画素ごと)に設定しても良いし、図13Cのように、1列おき(搬送方向に並ぶ画素ごと)に設定してもよい。また、図13Dや図13Eのように千鳥状にドットを形成してもよいとする。
なお、周辺領域に属する一部の画素の印刷データを「ドットを形成しないデータ」に書き換える処理は、プリンタドライバにより作成された印刷データに対してプリンタドライバが行ってもよいし、プリンタ1に送信された印刷データに対してプリンタ1内のコントローラ10が行ってもよい。
〈濃度補正例2〉
ここで、コンピュータ50内のプリンタドライバによる印刷データの作成処理について説明する。プリンタドライバが各種アプリケーションソフトから画像データを受信すると、まず、画像データの解像度をプリンタが印刷する解像度(印刷解像度)に解像度変換する。そして、RGB空間で表された画像データをプリンタが有するインク(YMCK)に合わせて色変換処理を行う。このとき、1つの画素は256階調にて示され、階調値が低いほど表される濃度が淡いとする。その後、高階調数のデータ(256階調)をプリンタが印刷可能な階調値(例えば、ドット形成の有無による2階調のデータ)に変換する(ハーフトーン処理)。これらの処理により形成されたマトリクス状の画像データをプリンタ1に転送すべきデータ順に並べかえ、印刷方式に応じたコマンドデータと共に、プリンタドラバからプリンタ1に送信される。
この濃度補正例2では、プリンタドライバによる印刷データの作成中にプリンタドライバが濃度補正処理を行うとする。色変換処理後に、プリンタドライバは、中央領域に属する画素が示す階調値はそのままに、周辺領域に属する画素が示す階調値(指令階調値)を低い階調値に補正する。そして、補正した階調値に基づいてハーフトーン処理を行い、ドット形成の有無を決定する。その結果、補正後の階調値にてハーフトーン処理が行われた印刷データでは、補正前の階調値にてハーフトーン処理が行われた印刷データに比べて、周辺領域に形成されるドット数が少なくなる(又はドットの大きさが小さくなる)。しかし、周辺領域に向けて吐出されたメインインク滴とサテライトは着弾位置がずれ、1回のメインインク滴吐出により複数のドットが形成されるため、ドット数が少なくなった分の濃度が補われる。その結果、周辺領域が指令濃度よりも濃く印刷されてしまうことが抑えられ、中央領域と周辺領域との濃度むらが抑制される。但し、給紙された用紙と孔との位置関係に基づいて、印刷用紙における周辺領域を特定した後に濃度補正を行う場合には、この濃度補正例2のようにプリンタドライバが印刷データ作成中に指令階調値に対して濃度補正を行う方法では、プリンタに送信された印刷データを再びプリンタドライバが濃度補正を行うことになるため、印刷に時間がかかってしまう。
以上のように、濃度補正例1と濃度補正例2では、周辺領域に対して、印刷データにて指示された濃度よりも淡く印刷する方法について説明している。次に、濃度むらを更に抑制するために、周辺領域内において濃度補正量を異ならせる濃度補正方法について説明する。
〈濃度補正例3〉
図14は、周辺領域を複数の領域に分けた様子を示す図である。用紙の斜線で囲われた部分を中央領域とし、中央領域の周りの領域を周辺領域とする。ところで、用紙の周辺領域では、印刷データにて指示された濃度よりも濃く印刷されるだけでなく、用紙の端部に近付くにつれて、用紙に覆われない吸引孔に近付くため、指示された濃度よりも濃く印刷される度合いが高くなる。そのため、周辺領域の全域に対して同じ濃度補正を行うと(指令濃度に対して淡く印刷する度合いを同じにすると)、周辺領域内にも濃度むらが発生してしまう。
そこで、この濃度補正例3では、周辺領域内においても濃度補正量を異ならせ、用紙端部、即ち、吸引孔に近付くにつれて(図中の矢印の方向に向かって)、指令濃度よりも淡く印刷される度合いが高くなるようする(指令データに応じた量よりもより少なく補正した量の液体が吐出されるようにする)。なお、用紙の角付近の領域に関しては、図中の矢印にて方向を示すように、用紙の角に近付くほど、指令濃度よりも淡く印刷される度合いが高くなるようする。
例えば、周辺領域を3つの領域に分け、用紙端部に近い領域から順に第1領域・第2領域・第3領域とする。そして、第1領域は第2領域よりも指令濃度より淡く印刷される度合いを高くし、第2領域は第3領域よりも指令濃度より淡く印刷される度合いを高くする。
濃度補正例1のように、周辺領域に属する画素の一部を印刷データに関わらず「ドット無し(ドットを形成しない)」とする場合、用紙端部に最も近い第1領域では例えば半分の画素をドット無しにし、第1領域よりも用紙端部から離れる第2領域では3画素のうちの1画素をドット無しにし、用紙端部から最も離れた第3領域では4画素のうちの1画素をドット無しにする。また、濃度補正例2のように、印刷データの作成中に周辺領域に属する画素が示す指令階調値を低い階調値に補正する場合、第1領域に属する画素が示す指令階調値を70%の階調値に補正し、第2領域に属する画素が示す指令階調値を80%の階調値に補正し、第3領域に属する画素が示す指令階調値を90%の階調値に補正する。
このように濃度補正を行うことで、中央領域と周辺領域との濃度むらだけでなく、周辺領域内における濃度むらも抑制され、より高画質な画像が得られる。
また、中央領域に近い周辺領域(第3領域)は、端部に近い周辺領域(第1領域)に比べて、中央領域よりも濃く印刷される度合いが小さい。そのため、中央領域に近い周辺領域に対して、端部に近い周辺領域と同じ濃度補正を行ってしまうと、中央領域に近い周辺領域では、指令濃度よりも淡く印刷され過ぎてしまう虞がある。そうすると、中央領域に近い周辺領域は中央領域よりも淡く印刷され、中央領域と周辺領域との境目が目立ってしまう。そこで、この濃度補正例3のように、用紙端部に近付くほど(吸引孔に近づくほど)、指令濃度より淡く印刷される度合いが高くなるように濃度補正することで、中央領域と周辺領域の境目を目立ち難くすることができる。
〈濃度補正例4〉
図15Aは、用紙Sの左上の角と搬送ベルト上の孔25との位置関係を示す図であり、図15Bは、周辺領域を複数の領域に分けた様子を示す図である。周辺領域を、図15Bに示すように、角領域(左上領域・右上領域・左下領域・右下領域)と、それ以外の一端部領域(先端領域・後端領域・左端領域・右端領域)とに分ける。一端部領域は、搬送方向に沿って並んだ吸引孔か、紙幅方向に沿って並んだ吸引孔のどちらか一方の影響を受ける。これに対して、角領域は、図15Aに示すように、搬送方向に沿って並んだ吸引孔と紙幅方向に沿って並んだ吸引孔の両方の影響を受ける。即ち、角領域は一端部領域に比べて多くの吸引孔の影響を受けるため、メインインク滴から離れた位置に着弾するサテライト数が増える。そのため、角領域は、一端部領域に比べて、同じインク吐出量に対するドット形成数が増え、指令濃度よりも濃く印刷される度合いが高くなる。そのため、一端部領域と角領域に対して同じ濃度補正を行うと、一端部領域と角領域とにおいて濃度むらが発生してしまう。そこで、この濃度補正例4では、角領域は一端部領域よりも指令濃度より淡く印刷される度合いが高くなるように濃度補正する。その結果、角領域と一端部領域とにおける濃度むらが抑制される。また、角領域と一端部領域とにおいて濃度補正量を異ならせるだけでなく、濃度補正例3のように、一端部領域では用紙端部に近付くほどに濃度補正量を高め、端部領域では用紙の角に近付くほどに濃度補正量を高めることで、用紙全体の濃度むらが抑制される。
〈濃度補正例5〉
ところで、第2例のテストパターンの印刷に際して、テストパターンを印刷する指令濃度(指令階調値)を高く設定し過ぎてしまうと、あるメインインク滴の吐出により発生したサテライトと別のメインインク滴が同位置に着弾するため、周辺領域が指令濃度よりも濃く印刷される度合いが小さくなると前述している。つまり、周辺領域に属する画素の指令階調値が高くなるにつれ、周辺領域にてメインインク滴から離れて着弾するサテライトの影響が小さくなり、周辺領域と中央領域との濃度むら小さくなる。
そこで、比較的に高い指令濃度(指令階調値)にて第2例のテストパターンを印刷し、中央領域と周辺領域との濃度差がなくなる閾値(階調値・濃度)を設定する。そして、ユーザーの下にて印刷を行う際に、周辺領域が閾値以上の階調値(指令濃度)にて印刷される場合には、周辺領域に対して指令濃度よりも淡く印刷されるように濃度補正を行わなくともよいとする。
===実施形態2:サイズの異なる用紙における濃度むらの抑制について===
図16は、3種類のサイズの用紙が搬送ベルト22上に給紙された様子を示す図である。ここで、プリンタ1は、A4サイズ紙・B5サイズ紙・ハガキの3種類のサイズの用紙を印刷可能とする。また、プリンタ1は、用紙の右端を固定ガイドレールに沿わせ、用紙の左端を可動ガイドレールに沿わせて給紙する。そのため、各用紙の右端は揃っているが、異なるサイズの用紙の左端は揃わない状態で給紙される。但し、用紙の左側端部と、その用紙に完全に覆われてしまわない孔のうちの用紙の左側端部に最も近い吸引孔(太線)との距離が、用紙サイズによって異なる。図6では、各用紙の左側端部と吸引孔(太線)との距離が、A4サイズ紙・B5サイズ紙・ハガキの順に短くなっている。
用紙サイズによって、用紙端部と用紙に覆われない吸引孔25との位置関係が異なり、用紙端部と吸引孔との距離が異なるということは、用紙サイズによって、吸引孔25の影響が及ぶ範囲、即ち、周辺領域の大きさが異なるということである。そのため、用紙端部からの距離が同じ領域(画素)であっても、その領域が周辺領域に属したり、中央領域に属したりする。例えば、図16に示すハガキは、A4サイズ紙に比べて、用紙の左側端部と吸引孔との距離が近く、吸引孔の影響が及ぶ範囲が広くなる。即ち、ハガキの方がA4サイズ紙よりも左側端部近傍の周辺領域の大きさ(図15Bの左端領域)が大きくなる。同様に、B5サイズ紙の方がA4サイズ紙よりも左側端部近傍の周辺領域の大きさが大きくなる。
そこで、複数サイズの用紙を印刷するプリンタにおいて、印刷用紙における周辺領域の範囲を特定する場合には、用紙端部と用紙に覆われない吸引孔からの距離に応じて、各用紙サイズに合わせた周辺領域の大きさを特定する。即ち、用紙サイズによって周辺領域を異ならせる。そして、各用紙サイズに合わせた周辺領域に対して、指令濃度よりも淡く印刷されるように濃度補正を行う。そうすることで、用紙上において吸引孔の影響を受ける領域を「周辺領域」として正確に特定することができる。その結果、濃度補正すべき領域に対して確実に濃度補正を行うことができ、濃度むらをより抑制することができる。
この実施形態2では固定ガイドレールに沿わせて給紙を行うため、用紙端部と吸引孔との位置関係は、図16に示すように、用紙サイズごとに常に一定となる。そのため、同じサイズの用紙であれば用紙によって周辺領域の大きさが変わることはない。ゆえに、前述の実施形態1のようにCCDラインセンサを設けて、用紙ごとに、用紙端部と吸引孔との位置関係に応じて、周辺領域を特定する必要がなくなる。その結果、印刷処理時間を短縮することができる。
なお、各用紙サイズに合わせた周辺領域の大きさは、プリンタ1が印刷可能な全てのサイズの用紙にテストパターン(図8から図10)を印刷し、各テストパターン結果から算出することができる。但し、複数のテストパターンを印刷しなければならず、処理時間が長くなるため、前述の実施形態1のように、あるサイズの用紙にテストパターンを印刷し、閾値を算出してもよい。そして、算出した閾値を用いて、別のサイズの用紙が給紙される際の用紙端部と吸引孔との位置関係に応じて、別のサイズ紙における周辺領域の範囲を特定してもよい。
各用紙サイズに合わせた周辺領域の大きさはプリンタ1のメモリ13等に記憶させ、印刷する用紙サイズに合わせて、コントローラ10やプリンタドライバは、印刷用紙における周辺領域に対して濃度補正を行う。濃度補正方法は前述の実施形態1と同様とする。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、濃度むらの抑制方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
〈用紙種類について〉
重さの異なる様々な種類の媒体に液体を吐出する液体吐出装置である場合、媒体の種類に応じて吸引装置の吸引力を変えて、媒体を搬送してもよい。この場合、媒体の種類に応じて吸引孔からの吸引力が異なるため、重い媒体に対して液体を吐出する場合には、メインインク滴とサテライトがずれて着弾する確率が高くなるため、周辺領域が大きくなり、また、指令濃度よりも濃く表される度合いが高くなる。そこで、媒体の種類に応じて、周辺領域として特定する領域の大きさや濃度補正量を異ならせてもよい。
〈液体吐出装置について〉
前述の実施形態では、液体吐出方法を実施する液体吐出装置(一部)としてインクジェットプリンタを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンタ(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。なお、透明な液体を吐出する場合、媒体の周辺領域が指令データよりも濃い濃度で表されるとは限らないが、媒体の周辺領域における液体の被覆面積(ドット表面積)が指令データにて指示した液体の被覆面積よりも大きくなることも、指令データよりも濃い濃度で表されることに含める。
また、液体の吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を吐出させるサーマル方式でもよい。
また、プリンタ1内のコントローラ10が周辺領域に対して濃度補正処理を行う場合には、コントローラ10が制御部に相当し、プリンタ単体が液体吐出装置に相当する。一方、コンピュータ50内のプリンタドライバが周辺領域に対して濃度補正処理を行う場合には、コンピュータ50が制御部に相当し、プリンタ1とコンピュータ50が接続されたシステムが液体吐出装置に相当する。
〈ラインヘッドプリンタについて〉
前述の実施形態では、媒体の搬送方向と交差する紙幅方向にノズルが並んだラインヘッドプリンタを例に挙げているがこれに限らない。例えば、孔が設けられた搬送ベルトの下から媒体を吸着させた状態で媒体を搬送するプリンタであれば、1つのヘッドが媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動しながら画像を形成する画像形成動作と、媒体を搬送する搬送動作とを交互に行うシリアル式プリンタであってもよい。
本実施形態のプリンタの全体構成ブロック図である。 図2Aはプリンタの断面図であり、図2Bはプリンタが用紙を搬送する図である。 図3Aは搬送ベルトを上から見た図であり、図3Bはノズル配列を示す。 図4Aは搬送ベルト上の用紙を示す図であり、図4Bは用紙に向けて吐出されたインクの様子を示す図である。 用紙に形成されたドットを示す図である。 濃度むらの発生を示す図である。 給紙位置が異なった用紙端部と吸引孔の位置関係の違いを示す図である。 濃度むら抑制のフローである。 図8Aはテストパターンの第1例を示す図であり、図8Bはテストパターンにおけるメインドットとサブドットの位置関係を示す図であり、図8Cはテストパターン上のメインドットとサブドットの別の位置関係を示す図である。 テストパターンの第2例を示す図である。 図10Aから図10Cはテストパターンの変形例である。 第2例のテストパターンが印刷された用紙の端部と吸引孔との位置関係を示す図である。 図12Aは吸引孔からの距離が比較的に近い用紙の周辺領域を特定する様子を示す図であり、図12Bは吸引孔からの距離が比較的に遠い用紙の周辺領域を特定する様子を示す図であり、図12Cは画素ごとに周辺領域を特定する様子を示す図である。 図13Aは用紙の周辺領域におけるドットの間引きパターンを示す図であり、図13B〜図13Eは濃度補正例1の変形例を示す図である。 周辺領域を複数の領域に分けた様子を示す図である。 図15Aは用紙の左上の角と搬送ベルト上の孔との位置関係を示す図であり、図15Bは周辺領域を複数の領域に分けた様子を示す図である。 3種類のサイズの用紙が搬送ベルト上に給紙された様子を示す図である。
符号の説明
1 プリンタ、10 コントローラ、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリ、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラ、22 搬送ベルト、
23 給紙ローラ、24 吸入機構、25 孔、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、40 検出器群、
41 CCDラインセンサ、50 コンピュータ

Claims (7)

  1. 液体を吐出するノズルと、
    搬送ベルトに設けられた孔を介して吸入機構により媒体を前記搬送ベルトに吸着させた状態で、前記媒体を搬送する搬送機構と、
    前記媒体の端部と、前記搬送ベルトに設けられた前記孔のうちの前記媒体に覆われない前記孔との位置関係に基づいて、前記媒体の周辺領域の範囲を特定し、前記媒体の前記周辺領域に対して、指令データに応じた量よりも少なく補正した量の液体を前記ノズルから吐出させる制御部と、
    を有する液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置であって、
    前記制御部は、前記媒体上において、前記媒体に覆われない前記孔までの距離が閾値以内である領域を前記周辺領域に特定する液体吐出装置。
  3. 請求項2に記載の液体吐出装置であって、
    前記液体吐出装置はテストパターンを形成し、
    前記閾値は、前記テストパターン上において1回の液体吐出によりメインドットとサブドットとが離れて形成された領域と、前記テストパターンを形成した際に前記媒体に覆われなかった前記孔との位置関係に基づいて算出される、
    液体吐出装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
    前記制御部は、前記媒体の前記周辺領域内において、前記媒体に覆われない前記孔に近づくにつれて、前記指令データに応じた量よりもより少なく補正した量の液体を前記ノズルから吐出させる液体吐出装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
    前記液体吐出装置は、前記ノズルよりも前記媒体の搬送方向の上流側にセンサを有し、
    前記制御部は、前記センサによって検出された前記媒体の位置と前記媒体に覆われない前記孔の位置との位置関係に基づいて、前記周辺領域を異ならせる、
    液体吐出装置。
  6. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
    前記液体吐出装置は、複数のサイズの媒体に対して液体吐出可能であり、
    前記制御部は、前記媒体のサイズに基づいて、前記周辺領域を異ならせる、
    液体吐出装置。
  7. 液体を吐出するノズルと、搬送ベルトに設けられた孔を介して吸入機構により媒体を前記搬送ベルトに吸着させた状態で、前記媒体を搬送する搬送機構と、を有する液体吐出装置が、テストパターンを形成するステップと、
    前記媒体の端部と、前記搬送ベルトに設けられた前記孔のうちの前記媒体に覆われない前記孔との位置関係に基づいて、前記媒体の周辺領域の範囲を特定するステップと、
    前記媒体の前記周辺領域に対して、指令データに応じた量よりも少なく補正した量の液体を前記ノズルから吐出するステップと、
    を有する液体吐出方法。
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