JP2013205593A - 静電荷像現像用カラートナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも重合性単量体、及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散液中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び当該懸濁液について重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って着色樹脂粒子を得る工程を含む静電荷像現像用カラートナーの製造方法であって、前記懸濁工程において、着色剤としてキナクリドン顔料及びベンズイミダゾロン顔料の少なくともいずれか1つを用い、当該着色剤を重合性単量体組成物中に分散させる分散剤として、ビニルピリジン単量体単位ブロックを有するブロック共重合体を用いることを特徴とする静電荷像現像用カラートナーの製造方法。
【選択図】なし
Description
粉砕法においては、結着樹脂及び着色剤を溶融混練する方法により得た着色樹脂の固形物を粉砕し、分級することにより、着色樹脂粒子が製造される。
重合法としては、例えば、重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物の液滴を形成し、当該液滴を重合させて着色樹脂粒子を製造する懸濁重合法や、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子の分散液を得て、別途調製した着色剤の分散液等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する乳化重合凝集法等が挙げられる。粉砕法により得られる着色樹脂粒子が不定形であるのに対して、重合法により得られる着色樹脂粒子は形状が球形に近く、小粒径且つシャープな粒径分布を有する。特に、画像再現性や精細性等の画質特性を向上させる観点から、重合法により得られるトナー(いわゆる重合法トナー)のように、形状及び粒径分布が高度に制御されたトナーが用いられるようになってきた。
すなわち、本発明によれば、少なくとも重合性単量体、及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散液中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び当該懸濁液について重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って着色樹脂粒子を得る工程を含む静電荷像現像用カラートナーの製造方法であって、前記懸濁工程において、着色剤としてキナクリドン顔料及びベンズイミダゾロン顔料の少なくともいずれか1つを用い、当該着色剤を重合性単量体組成物中に分散させる分散剤として、ビニルピリジン単量体単位ブロックを有するブロック共重合体を用いることを特徴とする静電荷像現像用カラートナーの製造方法が提供される。
本発明により得られるカラートナーは、少なくとも、結着樹脂、着色剤、及び特定のブロック共重合体を含有する。
以下、本発明に用いられる着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本発明のカラートナーの製造方法及び当該製造方法により得られるカラートナーについて、順に説明する。
本発明に用いられる着色樹脂粒子は、懸濁重合法を採用して、以下のようなプロセスにより製造される。
まず、重合性単量体、着色剤、及び特定のブロック共重合体、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機やインライン型乳化分散機等を用いることができ、好ましくはインライン型乳化分散機を用いる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明で使用されるキナクリドン顔料は、特に限定されるものではなく、具体的には、C.I.ピグメントレッド122等のジメチルキナクリドン顔料;C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209等のジクロロキナクリドン顔料;C.I.ピグメントバイオレット19等の無置換キナクリドン顔料;等が例示できる。これらの顔料の中でも、特に、C.I.ピグメントレッド122が好ましい。
本発明で使用されるベンズイミダゾロン顔料は、特に限定されるものではなく、具体的には、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー167、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー194、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ60、C.I.ピグメントオレンジ62、C.I.ピグメントオレンジ72、及びC.I.ピグメントレッド185等が例示できる。これらの顔料の中でも、特に、C.I.ピグメントイエロー180が好ましい。
ビニルピリジン単量体単位ブロックを構成する単量体としては、4−ビニルピリジン、4−ビニルピリジニウムイオン、2−ビニルピリジン、2−ビニルピリジニウムイオン、3−ビニルピリジン、3−ビニルピリジニウムイオン等が挙げられるが、中でも4−ビニルピリジンが好ましい。
ビニルピリジン単量体中のピリジン骨格は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、炭素数1〜10の炭化水素基等が挙げられる。
ブロック共重合体中のビニルピリジン単量体単位ブロックの含有量は、1〜7mol%であることがより好ましく、2〜4mol%であることがさらに好ましい。
なお、上記含有量は、ブロック共重合体の数平均分子量を100mol%としたときの値である。
ビニルピリジン単量体単位ブロックは、数平均分子量が500〜2,000であるのが好ましく、800〜1,500であるのがより好ましい。
CH2=C(Ra)−(C=O)−O−Rb 式(I)
(上記式(I)中、−Raは、水素又はメチル基である。上記式(I)中、−Rbは、置換基を有さず且つ炭素数1〜18のアルキル基、及び、置換基を有し且つ炭素数1〜18のアルキル基からなる群より選ばれる1つの基である。)
アルキレンオキサイド単量体単位ブロックは、酸化エチレン及び酸化プロピレンの少なくともいずれか1つを開環重合して得られるポリマーであり、顔料への親和性に優れていることから酸化エチレンを開環重合して得られるポリマーが好ましい。酸化エチレン又は酸化プロピレンを開環重合して得られるポリマーは、2つのポリマー末端である水素の片方が炭素数1〜6のアルキル基で置換されていることが好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
アルキレンオキサイド単量体単位ブロックとして、例えば、メトキシポリエチレンオキサイドブロックを含む場合には、ブロック共重合体中のメトキシポリエチレンオキサイドブロックの含有量は、50〜94.5mol%であるのが好ましく、70〜94mol%であるのがより好ましく、75〜88mol%であるのがさらに好ましい。また、メトキシポリエチレンオキサイドブロックは、数平均分子量が100〜1,000であるのが好ましく、300〜800であるのがより好ましい。
重合性単量体100質量部に対するブロック共重合体の添加量は、0.5〜3質量部であることがより好ましい。
まず、ポリビニルピリジン(ビニルピリジン単量体単位ブロックの原料)、又は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸エステル単量体単位ブロックの原料)等の共重合の相手方となる重合体のいずれか一方を合成する。必要となる単量体の量は、上述した各単量体単位ブロックの含有量から予め計算するものとする。なお、ブロック共重合体を合成する観点から、本合成段階における重合転化率は50%以下とすることが好ましい。
重合には、原料として上述した単量体の他、重合開始剤や、1−メトキシ−2−プロピルアセテート等の溶媒等を用いる。
ブロック共重合体を合成する観点から、重合法としては、反応点が重合体の末端に存在するリビング重合法等を用いる。
ニトロキシルエーテルとしては、例えば、下記式(a−1)〜(a−7)で表される化合物が使用できる。
重合開始剤の添加量は、上述した単量体等の原料混合物を100mol%としたとき、0.01〜30mol%であるのが好ましく、0.1〜20mol%であるのがより好ましく、0.1〜10mol%であるのがさらに好ましい。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミネート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもグリセリンエステル化合物が好ましく、また、ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネートがより好ましく、ヘキサグリセリンオクタベヘネートが特に好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明においては、少なくとも重合性単量体、着色剤、及び上述したブロック共重合体を含む重合性単量体組成物を、好ましくは分散安定化剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(株式会社荏原製作所製、商品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(特殊機化工業製、商品名「T.K.ホモミクサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
上記1−2のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散液を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子が分散している水系分散液中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
このとき、小粒径微粒子抑制剤を添加してもよい。
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、公知の方法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
上述した懸濁重合法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
上述した着色樹脂粒子は、外添剤と共に混合攪拌することにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を均一かつ好適に付着添加(外添)させることができる。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分トナーとしてもよい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。粒径の異なる2種以上のシリカを併用してもよい。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
[製造例1]
(1−1)ポリアクリル酸n−ブチルの合成
マグネチックスターラー、冷却装置、内部温度計、及び滴下漏斗を備えた丸底フラスコ中に、アクリル酸n−ブチルを150g、下記式(a−1)に示す2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−1−(1−フェニルエトキシ)ピペリジン8.6g、及び1−メトキシ−2−プロピルアセテート(以下、「MPA」と称する場合がある。)120gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、135℃にて重合転化率が約8%になるまで重合した。さらにアクリル酸n−ブチル330gを、滴下漏斗を用いてゆっくりと加え、重合転化率約48%に達するまで135℃にて重合した。残留モノマー及び溶媒を80℃及び1.2kPaにて除去し、ポリアクリル酸n−ブチルを得た。得られたポリアクリル酸n−ブチルの数平均分子量MnをGPC(THF、ポリスチレン換算)にて測定したところ8,600であった。
マグネチックスターラー、冷却器、及び温度計を備えた三つ首500mL丸底フラスコ中に、上記(1−1)により得られたポリアクリル酸n−ブチル231.8g、4−ビニルピリジン27.8g及びMPA 80gを加え、窒素を用いて3回脱気し、窒素雰囲気下、125℃にて8時間重合した。残留モノマー及び溶媒を80℃及び1.2kPaにて留去して、(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリ4−ビニルピリジン)ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の数平均分子量MnをGPC(THF、ポリスチレン換算)にて測定したところ9,500であった。
ドライアイス−アセトン冷却を用いる蒸留カラム、及びマグネチックスターラーを備えた500mLフラスコ中に、キシレン100g、上記(1−2)により得られた(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリ4−ビニルピリジン)ブロック共重合体102.3g、及び数平均分子量が550のメトキシポリエチレングリコール(和光純薬社製)135.1gを加え、キシレンの共沸蒸留を利用して乾燥させた。オルトチタン酸テトラ(イソプロピル)0.36gを3回に分け、190〜205℃にて3時間かけて加えた。副生したn−ブタノールを減圧下で留去して、(メトキシポリエチレンオキサイドグラフト化ポリアクリル酸)−(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリ4−ビニルピリジン)ブロック共重合体1(以下、ブロック共重合体1と称する場合がある。)を合成した。得られたブロック共重合体1の数平均分子量MnをGPC(THF、ポリスチレン換算)にて測定したところ22,000であった。
(2−1)ポリアクリル酸n−ブチルの合成
マグネチックスターラー、冷却装置、内部温度計、及び滴下漏斗を備えた丸底フラスコ中に、アクリル酸n−ブチルを150g、上記式(a−1)に示した2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−オキソ−1−(1−フェニルエトキシ)ピペリジン8.6g及びMPA 120gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、135℃にて重合転化率が約8%になるまで重合した。さらにアクリル酸n−ブチル291.1gを、滴下漏斗を用いてゆっくりと加え、重合転化率約48%に達するまで135℃にて重合した。残留モノマー及び溶媒を80℃及び1.2kPaにて除去し、ポリアクリル酸n−ブチルを得た。得られたポリアクリル酸n−ブチルの数平均分子量MnをGPC(THF、ポリスチレン換算)にて測定したところ7,900であった。
マグネチックスターラー、冷却器、及び温度計を備えた三つ首500mL丸底フラスコ中に、上記(2−1)により得られたポリアクリル酸n−ブチル291.1g、4−ビニルピリジン40.9g及びMPA 80gを加え、窒素を用いて3回脱気し、窒素雰囲気下、125℃にて8時間重合した。残留モノマー及び溶媒を80℃及び1.2kPaにて留去して、(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリ4−ビニルピリジン)ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の数平均分子量MnをGPC(THF、ポリスチレン換算)にて測定したところ9,200であった。
ドライアイス−アセトン冷却を用いる蒸留カラム、及びマグネチックスターラーを備えた500mLフラスコ中に、キシレン100g、上記(2−2)により得られた(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリ4−ビニルピリジン)ブロック共重合体99.4g及び数平均分子量が550のメトキシポリエチレングリコール(和光純薬社製)114.7gを加え、キシレンの共沸蒸留を利用して乾燥させた。オルトチタン酸テトラ(イソプロピル)0.36gを3回に分け、190〜205℃にて3時間かけて加えた。副生したn−ブタノールを減圧下で留去して、(メトキシポリエチレンオキサイドグラフト化ポリアクリル酸)−(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリ4−ビニルピリジン)ブロック共重合体2(以下、ブロック共重合体2と称する場合がある。)を合成した。得られたブロック共重合体2の数平均分子量MnをGPC(THF、ポリスチレン換算)にて測定したところ21,500であった。
[製造例3]
テトラヒドロフラン(THF)300mLを1L反応容器に加え、THFの温度を68℃とした。次に、スチレン95g、4−ビニルピリジン5g、2,2−アゾイソブチロニトリル6g、及びTHF80mLの混合溶液を調製し、当該混合溶液を反応容器内に2時間かけて滴下した。滴下後、68℃にて6時間還流させた。これを室温まで冷却し、メタノール1Lを加えた。析出した結晶を濾過し、メタノール洗浄、水洗を行った。得られた粉体を温度30℃にて24時間減圧乾燥させ、スチレン−(4−ビニルピリジン)ランダム共重合体(以下、ランダム共重合体と称する場合がある。)を30.8g得た。得られたスチレン−(4−ビニルピリジン)ランダム共重合体について、IRスペクトル、元素分析及び分子量測定を行ったところ、スチレン単量体単位と4−ビニルピリジン単量体単位の共重合質量比がスチレン:4−ビニルピリジン=96:4であり、数平均分子量(Mn)が2,850であり、重量平均分子量(Mw)が7,410であることが分かった。
[実施例1]
重合性単量体としてスチレン80部及びn−ブチルアクリレート20部、イエロー顔料としてベンズイミダゾロン顔料の1種であるC.I.ピグメントイエロー180(クラリアント社製、商品名「toner yellow HG」)6部、並びに分散剤として製造例1で合成したブロック共重合体1 2部を、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名「エバラマイルダー」)を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。
上記重合性単量体混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名「アクリベース FCA−207P」)1部、離型剤として脂肪酸エステルワックス8部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」)0.3部、架橋性重合性単量体としてジビニルベンゼン0.3部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.2部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
実施例1において、分散剤であるブロック共重合体1 2部を、製造例2で合成したブロック共重合体2 2部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の静電荷像現像用カラートナーを製造した。得られたカラートナーの評価結果を表1に示す。
実施例1において、ベンズイミダゾロン顔料の1種であるC.I.ピグメントイエロー180(クラリアント社製、商品名「toner yellow HG」)6部を、キナクリドン顔料の1種であるC.I.ピグメントレッド122(DIC社製、商品名「FASTOGEN SUPER MAGENTA RG」)6部に変更したこと、及び、分散剤であるブロック共重合体1の添加量を2部から0.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の静電荷像現像用カラートナーを製造した。得られたカラートナーの評価結果を表1に示す。
実施例1において、分散剤であるブロック共重合体1 2部を、製造例3で合成したランダム共重合体2部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の静電荷像現像用カラートナーを製造した。得られたカラートナーの評価結果を表1に示す。
実施例1において、分散剤であるブロック共重合体1 2部を、市販の高分子分散剤である変性ポリウレタン(BASF社製、商品名「EFKA4080」)2部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の静電荷像現像用カラートナーを製造した。得られたカラートナーの評価結果を表1に示す。
実施例1において、分散剤であるブロック共重合体1 2部を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の静電荷像現像用カラートナーを製造した。得られたカラートナーの評価結果を表1に示す。
実施例1において、ベンズイミダゾロン顔料の1種であるC.I.ピグメントイエロー180(クラリアント社製、商品名「toner yellow HG」)6部を、キナクリドン顔料の1種であるC.I.ピグメントレッド122(DIC社製、商品名「FASTOGEN SUPER MAGENTA RG」)6部に変更したこと、及び、分散剤であるブロック共重合体1 2部を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の静電荷像現像用カラートナーを製造した。得られたカラートナーの評価結果を表1に示す。
上記実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例4の静電荷像現像用カラートナー、及びこれらのカラートナーに用いられた着色樹脂粒子について、物性を調べた。詳細は以下の通りである。なお、比較例1〜比較例3の静電荷像現像用カラートナーについては、後述するように、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、及び粒径分布(Dv/Dn)の値から明らかに着色樹脂粒子の凝集が認められた。したがって、比較例1〜比較例3の静電荷像現像用カラートナーについては「4−3.印字濃度の測定及び彩度(c*)の評価」を行わなかった。
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フイルム社製、商品名「ドライウエル」)0.1mLを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30mL加え、20W(Watt)の超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名「マルチサイザー」)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
容器中に、予めイオン交換水10mLを入れ、その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に測定試料(着色樹脂粒子)0.02gを加え、超音波分散機で60W(Watt)、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度が3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名「FPIA−2100」)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均をとったものである。
計算式1:(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターを用い、ベタ画像の紙面上トナー量(M/A)が0.4mg/cm2となるようにプリンターの調整を行った後、当該プリンターの現像装置内のトナーカートリッジに、上記静電荷像現像用カラートナーを100g充填した。次いで、定着ロールの温度(定着温度)を180℃にして、5cm四方のベタ画像を複写機用普通紙(80g/m2)に印字した。得られた5cm四方のベタ画像を、反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名「RD914」)を用いて測定した。
また、ベタ画像を分光色差計(日本電色社製、商品名「SE−2000」)で色調をL*a*b*空間の座標として表して測定した。彩度(c*)は、前記色調から、下記式(A)により求めた。
(c*)2=(a*)2+(b*)2 式(A)
以下、表1を参照しながら、静電荷像現像用トナーの評価結果について検討する。
表1より、比較例1のトナーは、アミン含有量が3mol%のランダム共重合体を、重合性単量体100質量部に対して2質量部用いて製造したカラートナーである。
表1より、比較例1のトナーは、体積平均粒径(Dv)が16.7μm、個数平均粒径(Dn)が9.1μmといずれも大きく、且つ、粒径分布(Dv/Dn)が1.84と広い。特に、比較例1のトナーの体積平均粒径(Dv)は、実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例4のトナー中、最も大きい。したがって、ビニルピリジン単量体単位を含み且つ配列順序がランダムな共重合体を分散剤として含む着色樹脂粒子には、凝集が明らかに認められる。また、このような着色樹脂粒子を用いて製造した比較例1のカラートナーにおいては、粒径肥大が著しく生じ、且つ、トナー粒子の形状が不揃いであると考えられる。
表1より、比較例2のトナーは、体積平均粒径(Dv)が12.0μm、個数平均粒径(Dn)が6.7μmといずれも大きく、且つ、粒径分布(Dv/Dn)が1.79と広い。したがって、変性ポリウレタンを分散剤として含む着色樹脂粒子には、凝集が明らかに認められる。また、このような着色樹脂粒子を用いて製造した比較例2のカラートナーにおいては、粒径肥大が著しく生じ、且つ、トナー粒子の形状が不揃いであると考えられる。
表1より、比較例3のトナーは、体積平均粒径(Dv)が13.2μm、個数平均粒径(Dn)が6.4μmといずれも大きく、且つ、粒径分布(Dv/Dn)が2.06と広い。特に、比較例3のトナーの粒径分布(Dv/Dn)は、実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例4のトナー中、最も広い。したがって、ベンズイミダゾロン顔料を含み且つ分散剤を含まない着色樹脂粒子には、凝集が明らかに認められる。また、このような着色樹脂粒子を用いて製造した比較例3のカラートナーにおいては、粒径肥大が生じ、且つ、トナー粒子の形状が著しく不揃いであると考えられる。
しかし、表1より、比較例4のトナーは、反射IDが1.01であり、且つ彩度c*が72.4である。これら反射ID及び彩度c*の値は、ブロック共重合体1を用いたこと以外は比較例4と同様の製造方法で製造された実施例3のトナーの反射ID及び彩度c*の値よりも低い。したがって、比較例4のトナーは、実施例3のトナーよりも印字濃度及び画像の彩度に劣ることが分かる。
表1より、実施例1〜実施例3のトナーは、体積平均粒径(Dv)が5.8〜7.1μm、個数平均粒径(Dn)が5.2〜6.3μmといずれも小さく、且つ、粒径分布(Dv/Dn)は1.11〜1.14と狭い。また、表1より、実施例1〜実施例3のトナーは、反射IDが1.10〜1.37と高く、且つ彩度c*が73.6〜94.5と高い。
したがって、着色剤としてキナクリドン顔料又はベンズイミダゾロン顔料を含み、且つ、分散剤として4−ビニルピリジン単量体単位ブロックを有するブロック共重合体1又は2を含む実施例1〜実施例3のトナーは、トナー粒子の凝集が抑えられ、粒径分布が狭く、且つ従来よりも優れた印字濃度及び画像の彩度を有するカラートナーであることが分かる。
Claims (5)
- 少なくとも重合性単量体、及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散液中に懸濁させて、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、及び当該懸濁液について重合開始剤の存在下で懸濁重合を行って着色樹脂粒子を得る工程を含む静電荷像現像用カラートナーの製造方法であって、
前記懸濁工程において、着色剤としてキナクリドン顔料及びベンズイミダゾロン顔料の少なくともいずれか1つを用い、当該着色剤を重合性単量体組成物中に分散させる分散剤として、ビニルピリジン単量体単位ブロックを有するブロック共重合体を用いることを特徴とする静電荷像現像用カラートナーの製造方法。 - 前記ブロック共重合体中のビニルピリジン単量体単位ブロックの含有量が0.5〜20mol%であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用カラートナーの製造方法。
- 前記ブロック共重合体が更に(メタ)アクリル酸エステル単量体単位ブロックを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用カラートナーの製造方法。
- 前記ブロック共重合体が更にアルキレンオキサイド単量体単位ブロックを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用カラートナーの製造方法。
- 前記懸濁工程において、重合性単量体100質量部に対して前記ブロック共重合体を0.2〜4質量部添加することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の静電荷像現像用カラートナーの製造方法。
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