JP5418178B2 - 重合トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、重合トナーの製造方法に関し、更に詳しくは、電子写真法、静電記録法等によって形成される静電潜像を現像するための重合トナーの製造方法に関するものである。
電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置において、感光体上に形成される静電潜像は、先ず、トナーにより現像される。次いで、形成されたトナー像は、必要に応じて紙等の転写材上に転写された後、加熱、加圧、などの方式により定着される。
近年、画像形成装置の高速化やカラー化などに伴い、トナーには低温定着性や耐久性が求められている。また、定着画像(印刷物)が屋外に暴露されることもあるので、耐候性も求められるようになってきた。
こうした画像形成装置に用いられる現像剤としてのトナーは、製造方法により、粉砕法トナーと重合トナーに分類される。重合反応により得られる重合体粒子を用いて製造される重合トナーは、小粒径化が可能で、粒子径分布が狭く、画像再現性にすぐれるだけでなく、離型剤の内包化やカプセル化も容易であることから、今日では高速機種で一般的に用いられている。重合トナーは、重合方法により、乳化重合トナーと懸濁重合トナーに大別される。
懸濁重合トナーは、結着樹脂原料である重合性単量体中に、必要に応じて着色剤、帯電制御剤及び離型剤等を溶解または分散させて、重合性単量体組成物を得た後に、該単量体組成物を、分散安定剤と重合開始剤等を含有する水系分散媒体中に懸濁させ、所定温度まで加温して重合を開始し、重合終了後に、重合体粒子を濾過、洗浄、脱水、乾燥することにより重合体粒子を得て、次いで、該重合体粒子に外添剤を加えることによって重合トナーを得ることが知られている。
乳化重合トナーは、乳化重合により得た極性基を含有する結着樹脂の粒子と、着色剤及び帯電制御剤等を含有してなる粒子とを、会合させた後に、重合体粒子の凝集物を、濾過、洗浄、脱水、乾燥することにより重合体粒子を得て、次いで、該重合体粒子に外添剤を加えることによって重合トナーを得ることが知られている。
画像形成装置で用いられる定着方法としては、加圧ローラ定着、加熱ローラ定着、オーブン加熱定着などの定着方法がある。これらの中で、紙等の転写媒体上のトナー像を加熱ローラ間に通す加熱ローラ定着法が、画質の点から、または熱効率の点から好ましく採用されている。加熱ローラ定着法では、ローラの加熱に電力が使用されるため、省エネルギーの観点から、低温定着性(トナーの定着温度が低いこと)が要求されるが、同時に、高温ホットオフセット性(オフセット幅が広いこと)、及び、印字耐久性(連続して印字できること)も要求される。従来、これらの要求を同時に満足する重合トナーを効率よく製造することは困難であった。
特許文献1には、少なくとも架橋樹脂微粒子を含む樹脂粒子からなる結着樹脂と着色剤粒子とを水系媒体中で造粒してなる、トナー及びトナーの製造方法が開示されている。特許文献2には、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、離型剤及び着色剤を含んで構成され、結晶性ポリエステル樹脂が特定量含有され、メタノールへの溶解成分量がトナー全体に対して1質量%以下である、静電荷像現像用トナーが開示されている。これらのトナーは、定着温度が低いこと及び耐ホットオフセット性に優れることが開示されているが、印刷速度がより高速になると、それらの特性が不十分であり、また高温高湿環境下での耐久性も不十分であることが分かった。
特許文献3には、重合性単量体組成物を、水系媒体中で、(1)チアゾールチオ化合物、(2)チウラム化合物または(3)ジチオカルバミン酸化合物の存在下で重合して成る、結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤と、チアゾリルジスルフィド化合物またはチウラムジスルフィド化合物とを含有するトナー及びトナーの製造方法が開示され、このトナーが、定着温度が低いこと及び耐ホットオフセット性に優れることが開示されている。しかしながら、本発明者らの検討から、このトナーは、高温高湿環境下での耐久性が不十分であることが分かった。
特開2005−91704号公報 特開2008−209489号公報 国際公開第02/077717号
本発明者らは、重合反応により得られる重合体粒子を構成する結着樹脂の分子量や分子量分布等が、重合トナーの性能に大きな影響を及ぼしているのではないかという考えに立って、鋭意検討を進めた。水系媒体中でのラジカル重合性単量体の重合反応は、使用する重合開始剤の化学構造、ラジカル生成能、重合性単量体や水系媒体との親和性など種々の要因の影響を受けるものであることから、新規構造を有する重合開始剤の探索を含めたラジカル重合開始剤の作用機構を検討し、重合体粒子を構成する結着樹脂の分子量や分子量分布を制御することを検討した。
その結果、重合体粒子の形成を、特定の窒素含有化合物の存在下で行うことにより、低温定着性、高温ホットオフセット性、印字耐久性、及び耐候性を高度にバランスさせた重合トナーを効率よく製造できることを見い出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明の重合トナーの製造方法は、分散安定化剤または乳化剤を含有する水系媒体中で、ラジカル重合可能な重合性単量体と、式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する重合性単量体組成物を、重合して重合体粒子を形成する重合工程、及び、得られた重合体粒子に外添剤を添加させる外添剤添加工程を含む重合トナーの製造方法である。
Figure 0005418178
(ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つであり、
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の直鎖または分岐アルキル基であって、該置換基は、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つである。)
Figure 0005418178
(ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つであり、
〜R12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル基であって、該置換基は、フェニル基、アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基、及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つであり、RとR10、または、R11とR12は、スピロ環を形成していてもよく、
Xは、CR1314、C=O、NR15、O及びSから成る群より選ばれる一つであって、該R13〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つである。)
また、本発明の重合トナーの製造方法は、式(1)において、R〜Rが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R及びRが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数3〜7の分岐アルキル基であって、該置換基は、フェニル基、アルキル基の炭素数が炭素数1〜6のジアルキルホスホノ基及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つである、重合トナーの製造方法である。
更に、本発明の重合トナーの製造方法は、式(2)において、
〜Rが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、
〜R12が、それぞれ独立に、炭素数2〜4の直鎖または分岐アルキル基であって、RとR10、またはR11とR12はスピロ環を形成していてもよく、
Xが、CH、C=O、NR15、及びOから成る群より選ばれる一つであって、R15が炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基である、重合トナーの製造方法である。
更に、本発明の重合トナーの製造方法は、ラジカル重合可能な重合性単量体が、スチレン系単量体を50質量%以上含有するものである、重合トナーの製造方法である。
更に、本発明の重合トナーの製造方法は、ラジカル重合可能な重合性単量体が、スチレン系単量体60〜95質量%及び(メタ)アクリル酸の誘導体5〜40質量%を含有するものである、重合トナーの製造方法である。
更に、本発明の重合トナーの製造方法は、重合体粒子が、コア−シェル構造を有する、重合トナーの製造方法である。
更に、本発明の重合トナーの製造方法は、重合体粒子の、重量平均分子量Mwが5,000〜30,000であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnで示される重合体粒子の分子量分布が1.60以下である、重合トナーの製造方法である。
更に、本発明の重合トナーの製造方法は、重合性単量体組成物中に、着色剤または離型剤を含有するものである、重合トナーの製造方法である。
本発明の重合トナーの製造方法によれば、低温定着性、高温ホットオフセット性、印字耐久性、及び耐候性を高度にバランスさせた重合トナーを効率よく製造することができるので、画像形成装置で用いられる加熱ローラ定着方法において、ローラの加熱のために使用される電力を節約できるため、省エネルギーに寄与することができる効果を奏する。
本発明の重合トナーの製造方法は、分散安定化剤または乳化剤を含有する水系媒体中で、ラジカル重合可能な重合性単量体と式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する重合性単量体組成物を、重合して重合体粒子を形成する重合工程、及び、得られた重合体粒子に外添剤を添加させる外添剤添加工程を含む重合トナーの製造方法である。
Figure 0005418178
(ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つであり、
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の直鎖または分岐アルキル基であって、該置換基は、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つである。)
Figure 0005418178
(ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つであり、
〜R12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル基であって、該置換基は、フェニル基、アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基、及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つであり、RとR10、または、R11とR12は、スピロ環を形成していてもよく、
Xは、CR1314、C=O、NR15、O及びSから成る群より選ばれる一つであって、該R13〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つである。)
I.重合性単量体組成物
重合性単量体組成物は、以下の成分を含むものである。
1.ラジカル重合可能な重合性単量体
ラジカル重合可能な重合性単量体としては、ラジカル重合開始剤を用いて重合することが可能な重合性単量体であれば特に限定されないが、モノビニル系単量体が好ましい。具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体(これらを合わせて、「(メタ)アクリル酸の誘導体」と表記する。);エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;などが挙げられる。モノビニル系単量体は、それぞれ単独で、または複数の単量体を組み合わせて用いることができる。好ましくは、重合性単量体として、スチレン系単量体を50質量%以上含むものである。より好ましくは、重合性単量体として、スチレン系単量体60〜95質量%と(メタ)アクリル酸の誘導体40〜5質量%とを含むものであり、特に好ましくは、重合性単量体として、スチレン系単量体60〜80質量%と(メタ)アクリル酸の誘導体40〜20質量%とを含むものである。
重合性単量体とともに架橋性単量体または架橋性重合体を用いると、高温ホットオフセット性の改善に有効である。
架橋性単量体は、2以上の重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有する単量体であり、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、これらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル;1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族両末端アルコール由来のジ(メタ)アクリレート;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル等のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;などを挙げることができる。
架橋性重合体としては、分子内に2個以上の水酸基を有するポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエステル、並びにポリシロキサン由来の多官能性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの架橋性単量体及び架橋性重合体は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋性単量体または架橋性重合体は、重合性単量体100質量部に対して、架橋性単量体または架橋性重合体の一方または両方を、通常10質量部以下、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部の割合で使用される。
重合性単量体とともにマクロモノマーを用いると、低温定着性、ホットオフセット防止性及び印字耐久性のバランスを改善することができる。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な官能基(例えば、炭素−炭素二重結合のような不飽和基)を有する比較的長い線状分子である。マクロモノマーとしては、数平均分子量が通常1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーが好ましい。数平均分子量が小さいマクロモノマーを用いると、重合体粒子の表面部分が柔らかくなり、トナーとしての保存性が低下する。逆に、数平均分子量が大きいマクロモノマーを用いると、マクロモノマーの溶融性が悪く、トナーの定着性が低下する。
マクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独でまたは2種以上を重合して得られる重合体、ポリシロキサン骨格を有するマクロモノマーなどが挙げられる。マクロモノマーを使用する場合、その配合割合は、重合性単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜5質量部、より好ましくは0.05〜1質量部である。マクロモノマーの使用割合が高すぎると、定着性が低下する傾向を示す。
2.式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物
本発明は、ラジカル重合可能な重合性単量体と式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する重合性単量体組成物を、重合して重合体粒子を形成する重合工程を含むことを特徴とする。
Figure 0005418178
(ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つであり、
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の直鎖または分岐アルキル基であって、該置換基は、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つである。)
Figure 0005418178
(ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つであり、
〜R12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル基であって、該置換基は、フェニル基、アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基、及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つであり、RとR10、または、R11とR12は、スピロ環を形成していてもよく、
Xは、CR1314、C=O、NR15、O及びSから成る群より選ばれる一つであって、該R13〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つである。)
式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群よりから選ばれる少なくとも一種の化合物の存在下で、重合性単量体組成物を重合することによって、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐久性が高度にバランスした重合体トナーが得られることから、重合体粒子のモルフォロジーが制御されているものと考えられるが、詳細な理由は、未だ明らかではない。本発明の重合トナーの製造方法は、重合反応を行うために、他の通常のラジカル重合開始剤を使用する必要がなく、むしろ、他の通常のラジカル重合開始剤を併用すると、重合反応が阻害されることから、式(1)で示される化合物または式(2)で示される化合物は、いずれも重合開始剤として機能しているものと解される。
すなわち、本発明の重合トナーの製造方法は、重合体粒子を得るための重合反応において、例えば、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)などの従来から知られているラジカル重合開始剤を使用しなくても、式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物が存在していれば、ラジカル重合可能な重合性単量体の重合反応が好適に進行する点に特徴がある。特に、親油性を有する重合性単量体が優位量を占めるような場合、具体的には、ラジカル重合可能な重合性単量体が、スチレン系単量体を50質量%以上含有する場合、より好ましい態様としては、スチレン系単量体60〜95質量%及び(メタ)アクリル酸の誘導体5〜40質量%を含有する場合には、いっそう好適に反応が進行する。
式(1)で示される化合物または式(2)で示される化合物のこのような特徴は、本発明において初めて見い出されたものであり、これら化合物の化学構造に由来するものであると推測される。
式(1)で示される化合物においては、R〜Rが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R及びRが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数3〜7の分岐アルキル基であって、該置換基は、フェニル基、アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つである、該化合物が好ましい。R及びRにおける、置換基を有してもいてよい炭素数3〜7の分岐アルキル基としては、tert−ブチル基やイソブチル基が、特に好ましい。また、R及びRにおける、置換基であるアルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基としては、ジエチルホスホノ基が特に好ましく、同じく、置換基であるアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基が特に好ましい。
式(2)で示される化合物においては、R〜Rが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、R〜R12が、それぞれ独立に、炭素数2〜4の直鎖または分岐アルキル基であって、RとR10、またはR11とR12はスピロ環を形成していてもよく、Xが、CH、C=O、NR15、及びOから成る群より選ばれる一つであって、R15が炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基であることが好ましい。
特に好ましい化合物は、式(1)で示される化合物としては、2−メチル−2−[N−(ターシャリブチル)−N−(1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピル)アミノキシ]プロパン酸、2−[N−(ターシャリブチル)−N−(1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピル)アミノキシ]プロパン酸メチル、2,2,5−トリメチル−3−[(2−メチル−2−カルボン酸)−エトキシ]−4−p−カルボキシフェニル−3−アザヘキサン、及び2,2,5−トリメチル−3−[(2−メチル−2−エトキシカルボニル)−エトキシ]−4−p−メチルベンゾエート−3−アザヘキサンなどが挙げられ、式(2)で示される化合物としては、2−[トランス−2,6−ビス(ターシャリブチルジメチルシロキシメチル)−2,6−ジエチル−1−ピペリジノキシ]−プロパン酸ブチルエステルなどが挙げられる。
式(1)で示される化合物または式(2)で示される化合物の使用量は、ラジカル重合可能な重合性単量体100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜8質量部、より好ましくは1〜7質量部、特に好ましくは2〜6質量部である。式(1)で示される化合物または式(2)で示される化合物は、いずれかの1種類を使用すればよいが、式(1)で示される化合物と式(2)で示される化合物とを併用する場合は、それらの合計使用量が、先の範囲内に含まれるように調整すればよい。
3.重合促進剤
本発明の重合トナーの製造方法においては、ラジカル重合可能な重合性単量体と式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する重合性単量体組成物に対し、重合促進剤を添加することができる。具体的には、カンファースルホン酸、無水酢酸、アセチルアセトン、トリフルオロ酢酸無水物、アセチル酢酸エチル、マロン酸ジエチル、ビスシアノメタン、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、トリニトロフェノール、N−安息香酸サクシミド、などが挙げられる。これらの重合促進剤を用いることにより、重合速度を向上することができる。用いる重合促進剤は、式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物との静電的な相互作用により、炭素酸素結合のホモ開裂を促進するものと解される。その添加量は特に制限されるものではないが、式(1)または(2)で示される化合物に対して、モル比で0.05〜10当量が好ましく、0.1〜5当量がより好ましい。添加量が少なすぎると重合促進効果が得られず、多すぎると重合を阻害する場合がある。
4.着色剤
本発明の重合トナーの製造方法においては、重合性単量体組成物中に着色剤を含有することが好ましい。
着色剤としては、カーボンブラックやチタンホワイトなどのトナーの分野で用いられている各種顔料及び染料を使用することができ、黒色着色剤及びカラートナー用着色剤のいずれも使用できる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;などを挙げることができる。カーボンブラックを用いる場合、一次粒径が20〜40nmであるものを用いると良好な画質が得られ、また、トナーの環境への安全性も高まるので好ましい。
カラートナー用着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤などを使用することができる。
イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、83、90、93、97、120、138、155、180、181;ネフトールイエローS、ハンザイエローG、C.I.バットイエロー等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等が挙げられ、より具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物等が挙げられ、より具体的には、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60;フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、C.I.アシッドブルーなどが挙げられる。
これらの着色剤は、結着樹脂または結着樹脂を形成するラジカル重合可能な重合性単量体100質量部に対して、通常0.1〜50質量部、好ましくは1〜20質量部の割合で用いられる。また、各着色剤は、単独で、または複数のものを組み合わせて使用することができる。
着色剤の均一分散のために、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸、脂肪酸とNa、K、Ca、Mg、Zn等の金属とからなる脂肪酸金属塩などの滑剤;シラン系、アルミニウム系またはチタン系カップリング剤などの分散助剤;を使用することができる。滑剤及び分散剤は、着色剤の質量を基準として、それぞれ通常1/1,000〜1/1程度の割合で使用される。
5.離型剤
本発明の重合トナーの製造方法においては、重合性単量体組成物中に離型剤を含有することが好ましい。
離型剤としては、一般にトナー用の離型剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラタム等の石油ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステル、並びに、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化合物;等が挙げられる。
これらの離型剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの離型剤を用いる場合には、ラジカル重合可能な重合性単量体100質量部に対して、0.1〜20質量部の割合で用いるのが好ましく、1〜15質量部の割合で用いるのがより好ましい。
6.分子量調整剤
本発明の重合トナーの製造方法においては、重合性単量体組成物中に分子量調整剤を含有することができる。
分子量調整剤としては、例えば、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前、または重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、ラジカル重合可能な重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いられる。
7.帯電制御剤
本発明の重合トナーの製造方法においては、トナーの帯電性を向上させるために、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を使用することが好ましい。
帯電制御剤としては、例えば、ボントロンN01(オリエント化学工業株式会社製)、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業株式会社製)、スピロブラックTRH(保土谷化学工業株式会社製)、T−77(保土谷化学工業株式会社製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業株式会社製)、ボントロンE−81(オリエント化学工業株式会社製)、ボントロンE−84(オリエント化学工業株式会社製)、ボントロンE−89(オリエント化学工業株式会社製)、ボントロンF−21(オリエント化学工業株式会社製)、COPY CHRGE NX VP434(クラリアント社製)、COPY CHRGE NEG VP2036(クラリアント社製)、TNS−4−1(保土谷化学工業株式会社製)、TNS−4−2(保土谷化学工業株式会社製)、LR−147(日本カーリット社製)などの帯電制御剤;特開平11−15192号公報、特開平3−175456号公報、特開平3−243954号公報などに記載の4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、特開平3−243954号公報、特開平1−217464号公報、特開平3−15858号公報などに記載のスルホン酸(塩)基含有共重合体等の帯電制御樹脂、例えば、FCA626N(藤倉化成株式会社製);を用いることができる。
帯電制御剤は、結着樹脂または結着樹脂を形成するラジカル重合可能な重合性単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜7質量部の割合で用いられる。
8.その他の添加剤
重合性単量体組成物には、重合トナーの製造方法において、通常配合されるその他の添加剤を含有させることができる。
しかし、本発明の重合トナーの製造方法の重合工程においては、他のいわゆるラジカル重合開始剤を併用してもよいが、併用しないことが好ましい。通常のラジカル重合開始剤を併用すると、低温定着性、高温ホットオフセット性、印字耐久性、及び耐候性を高度にバランスさせた重合トナーを効率よく製造することが阻害される場合がある。
II.分散安定化剤または乳化剤を含有する水系媒体
1.分散安定化剤または乳化剤
本発明の重合トナーの製造方法は、分散安定化剤または乳化剤を含有する水系媒体中で、ラジカル重合可能な重合性単量体と式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する重合性単量体組成物を、重合して重合体粒子を形成する重合工程を含む。
分散安定化剤は、懸濁重合において使用する。分散安定化剤としては、硫酸バリウム及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の金属化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定剤は、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定剤残存量が少ないため、得られるトナーは、画像を鮮明に再現することができ、環境安定性を悪化させないことから好ましい。
乳化剤は、乳化重合において使用する。乳化剤としては、界面活性剤を使用する。界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤;が挙げられる。
分散安定化剤または乳化剤は、ラジカル重合可能な重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.3〜10質量部の割合で使用する。この使用割合が低すぎると、十分な重合安定性を得ることが困難となり、重合凝集物が生成しやすくなる。逆に、この使用割合が高すぎると、微粒子の増加により重合体粒子の粒径分布が広がったり、水溶液粘度が大きくなって重合安定性が低くなる。
2.水系媒体
本発明の重合トナーの製造方法の重合工程においては、分散安定化剤または乳化剤を含有する水系媒体中で、ラジカル重合可能な重合性単量体と式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する重合性単量体組成物を、重合して重合体粒子を形成する。
本発明の重合トナーの製造方法において使用する水系媒体は、水単独でもよいが、低級アルコール及び低級ケトン等の水に溶解可能な溶剤を併用することもできる。水としては、超純水、イオン交換水または蒸留水などを使用することが好ましい。
III.重合トナーの製造方法
1.重合反応
本発明の重合トナーの製造方法は、分散安定化剤または乳化剤を含有する水系媒体中で、ラジカル重合可能な重合性単量体と、式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する重合性単量体組成物を、重合して重合体粒子を形成する重合工程を含む。重合の方法としては、通常、懸濁重合法または乳化重合法が採用される。
懸濁重合法では、先ず、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に、ラジカル重合可能な重合性単量体と、式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する重合性単量体組成物を添加して、重合性単量体組成物の水分散液を調製する。次いで、これを加熱して、重合反応を行い、重合体粒子を生成させる方法を採用することができる。
乳化重合法では、先ず、乳化剤を含有する水系分散媒体中に、ラジカル重合可能な重合性単量体と、式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する重合性単量体組成物を添加して重合性単量体組成物の乳化液を調製し、これを加熱して、重合反応を行い、重合体粒子の乳化分散液を得た後に、塩基を用いてpHをアルカリ性にして、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を凝集剤に用いたり、重合体の粒子のガラス転移点以上に加熱することで、塩析と凝集を進行させて、重合体の粒子を生成させる方法を採用することができる。
重合温度は、懸濁重合法、乳化重合法のいずれの場合も、通常50℃以上、好ましくは60〜95℃である。重合の反応時間は、通常1〜150時間、好ましくは5〜100時間である。生成した重合体粒子を含有する水分散液を濾過し、次いで、洗浄、脱水、及び乾燥の各工程を経て、重合体粒子を回収する。
重合体粒子を形成するのに用いるラジカル重合可能な重合性単量体は、それを重合して得られる重合体のガラス転移温度Tgが通常80℃以下、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃になるように選択することが望ましい。ラジカル重合可能な重合性単量体を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することにより、生成する重合体のガラス転移温度を所望の範囲に調整することができる。
また、上述した重合反応は、式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物の活性を低下させないために、窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行って、反応器の気相中の酸素濃度を1000ppm以下とすることが好ましく、500ppm以下とすることがより好ましく、100ppm以下とすることが更に好ましい。酸素濃度が1000ppmよりも高いと得られる重合体粒子の分子量分布が広くなり、ホットオフセットが発生し易くなることがある。更に、重合に使用するラジカル重合可能な重合性単量体や水性媒体は、窒素やアルゴン等の不活性ガスでバブリングを実施し、溶存酸素濃度を10ppm以下にすることが好ましく、5ppm以下とすることがより好ましく、1ppm以下とすることが更に好ましい。
2.重合体粒子の回収
重合により生成した重合体粒子を含有する水分散液は、分散安定化剤または乳化剤を含んでいる。特に、分散安定化剤を用いる場合には、重合体粒子は、多数の分散安定化剤の微粒子を含んでいる。分散安定化剤として、酸で可溶な無機水酸化物等の無機化合物を使用した場合には、生成した重合体粒子を含有する水分散液に酸を添加し、分散安定化剤を水に溶解させて除去する。分散安定化剤がアルカリで可溶な無機化合物である場合には、生成した重合体粒子を含有する水分散液にアルカリを添加して、分散安定化剤を水に溶解させて除去する。
例えば、分散安定化剤として水酸化マグネシウムコロイドなどの難水溶性金属水酸化物のコロイドを用いた場合には、水分散液に硫酸の如き酸を加えて分散安定剤を水に可溶化させる。この酸による洗浄により、水分散液のpHを通常6.5以下、好ましくは2〜6.5、より好ましくは3〜6.0に調整する。添加する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸;蟻酸、酢酸等の有機酸;を用いることができる。
酸またはアルカリによる洗浄を経て得られた水分散液を濾過して、重合体粒子を濾別する。次に、濾別した着色重合体粒子を、水で洗浄し、洗浄水を濾過する。水洗工程では、濾液(濾過した洗浄水)の電気伝導度が1,000μS/cm以下となるまで水で洗浄し、洗浄水を濾過することが好ましい。水洗工程は、バッチ式で繰り返し行ってもよく、あるいはベルトフィルターなどを用いて連続的に行ってもよい。水洗浄に用いる洗浄装置としては、例えば、ベルトフィルター、ロータリーフィルター及びフィルタープレスのいずれか1つまたはこれらの複数を組み合わせて用いることが好ましい。洗浄工程後、湿潤状態の重合体粒子は、脱水工程により脱水され、乾燥される。
3.コア−シェル構造を有する重合体粒子の製造
本発明の重合トナーの製造方法によれば、重合工程において、ミクロンオーダーの重合体粒子を、比較的小さい粒径分布で直接得ることができる。しかし、本発明の重合トナーを得るための重合体粒子は、コア粒子の表面に、更に樹脂被覆層(重合体層)を形成したコア−シェル構造を有する重合体粒子であってもよく、コア−シェル構造を有する重合体粒子を用いると、コア−シェル型トナー(カプセルトナー)を得ることができる。
コア−シェル構造を有する重合体粒子を製造する場合は、スプレイドライ法、界面反応法、in situ 重合法、相分離法などの方法により製造することができる。特に、in situ 重合法や相分離法は、製造効率が良いため好ましい。具体的には、分散安定化剤または乳化剤を含有する水系分散媒体中で、ラジカル重合可能な重合性単量体と式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する重合性単量体組成物を、懸濁重合または乳化重合することにより得られた樹脂粒子をコア粒子とし、該コア粒子の存在下に、シェル用重合性単量体を、重合開始剤の存在下で、懸濁重合または乳化重合することにより、シェル用重合性単量体が重合してシェルが形成される。なお、シェルを形成するためのシェル用重合性単量体の重合反応の過程において、コア粒子の重合反応が継続していても差し支えない。
シェル用重合性単量体を重合させるための重合開始剤としては、本発明の式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物を使用してもよいが、通常のラジカル重合開始剤を使用することもできる。
コア−シェル構造を有する重合体粒子におけるシェルの平均厚みは、通常0.001〜2μm、好ましくは0.003〜1μm、より好ましくは0.005〜0.5μm、特に好ましくは0.01〜0.3μm(10〜300nm)である。シェル厚みが大きすぎると、得られる重合トナーの定着性が低下し、小さすぎると保存性が低下する。重合体粒子のコア粒径及びシェルの厚みは、電子顕微鏡により観察できる場合は、その観察写真から無作意に選択した粒子の大きさ及びシェル厚みを直接測ることにより得ることができる。電子顕微鏡でコア粒子とシェルとを区別して観察することが困難な場合は、コア粒子の体積平均粒径とシェルを形成する重合性単量体の使用量とから、シェルの厚みを算出することができる。
コア−シェル構造を有する重合体粒子の場合、シェルを構成する重合体のガラス転移温度が、コア粒子を構成する重合体のガラス転移温度より高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが特に好ましい。シェル用重合性単量体としては、80℃を超える高いガラス転移温度を持つ重合体を形成することができるスチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、またはこれらの混合物などが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2′−アゾビス−[2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド]等のアゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができ、水溶性アゾ系開始剤が好ましい。重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60〜95℃である。重合の反応時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜15時間である。
着色した重合トナーを製造する場合は、通常、コア粒子を形成する重合性単量体組成物に着色剤を含有させておく。
4.重合体粒子の物性
1)重合体粒子の分子量
本発明の重合トナーの製造法においては、重合工程で得られる重合体粒子の重量平均分子量Mwが5,000〜30,000であることが好ましく、より好ましくは8,000〜20,000、特に好ましくは10,000〜16,000であり、また、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnで示される重合体粒子の分子量分布が1.60以下であることが好ましく、より好ましくは1.50以下、特に好ましくは1.40以下である。重合体粒子の重量平均分子量Mwが30,000を超えると、低温定着性に劣り、他方、Mwが5,000未満であると得られる重合トナーの耐熱性や耐久性が低下する。また、重合体粒子の分子量分布が、1.60を超えると、得られる重合トナーの耐熱性が低下したり、変色が生じやすくなることがある。
2)重合体粒子の粒度
本発明における重合工程で得られる重合体粒子(コア−シェル構造を有する重合体粒子を含む)の体積平均粒径(Dv)は、通常3〜12μm、好ましくは5〜11μm、より好ましくは6〜10μmである。本発明における重合体粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)で表される粒径分布は、通常1.5以下、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.3以下である。重合体粒子の体積平均粒径が大きすぎると、得られる重合トナーの解像度が低下しやすくなる。重合体粒子の粒径分布が大きいと、大粒径の粒子の割合が多くなり、得られる重合トナーの解像度が低下しやすくなる。
5.外添剤の添加
本発明の重合トナーは、重合体粒子に外添剤を添加させる外添剤添加工程を経て得られるものである。本発明の重合トナーは、一成分現像剤として使用することができる。
外添剤としては、流動化剤や研磨剤などとして作用する無機粒子及び有機樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。
有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがメタクリル酸エステル共重合体でシェルがスチレン重合体で形成されたコア−シェル構造を有する粒子などが挙げられる。
これらの中でも、無機酸化物粒子が好ましく、二酸化ケイ素(シリカ)が特に好ましい。無機微粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理された二酸化ケイ素粒子が特に好適である。外添剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよく、外添剤を組み合わせて用いる場合には、平均粒子径の異なる無機粒子同士または無機粒子と有機樹脂粒子とを組み合わせる方法が好適である。外添剤の量は、特に限定されないが、重合体粒子100質量部に対して、通常0.1〜6質量部である。外添剤を重合体粒子に付着させるには、通常、重合体粒子と外添剤とをヘンシェルミキサーなどの混合機に入れて攪拌する。
本発明について、実施例及び比較例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
実施例で使用した式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物は、Macromolecules 2004, 37, 4453-4463、Macromolecules 2004, 40, 6067-6075、J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 16327-16333及び国際公開第04/014926号に準じて合成して使用した。
また、重合に使用したラジカル重合可能な重合性単量体とイオン交換水は、窒素バブリングを実施し、溶存酸素濃度を1ppm以下とした。
実施例及び比較例において重合開始剤として使用した化合物等は、表1のとおりである。
Figure 0005418178
本発明で製造される重合トナーの物性及び特性の測定方法は、以下のとおりである。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)
重合体粒子の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で求めた。具体的には以下の方法を用いて行った。
1)試料調製
重合体粒子約10mgを5mlのテトラヒドロフラン溶媒に溶解し、25℃、16時間放置後、0.45μmメンブランフィルターを通して試料とした。
2)測定条件
温度:35℃、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1.0ml/min、濃度:0.2wt%、試料注入量:100μl。
3)カラム
東ソー株式会社製、GPC TSKgel MultiporeHXL−M(30cm×2本)を用いた。分子量Mw1,000〜300,000間のLog(Mw)−溶出時間の一次相関式が0.98以上の条件で測定した。
(2)体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)及び粒径分布(Dv/Dn)
測定試料(重合体粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム株式会社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30mL加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、重合体粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
なお、重合体粒子に添加させる外添剤は、少量であるので、重合体粒子の粒度に代えて、重合トナーの粒度(体積平均粒径(dv)及び個数平均粒径(dn))を測定して、重合体粒子の粒度とみなしても差し支えない。
(3)最低定着温度、及びホットオフセット発生温度
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(24枚機(印刷スピード:A4サイズ24枚/分))を、定着ロール部の温度を変化できるように改造して、定着ロールの温度を変化させて、5℃刻みで、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度と定着率の関係を求める定着試験を行った。
定着率は、定着ロールの温度が安定したところで、上記改造プリンターを用いて印字用紙にベタ印字を行い、印字した用紙の黒べタ(印字濃度100%)の印字領域について、テープ剥離操作前後の印字濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)として、定着率は、次式から算出した。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム株式会社製、スコッチ(登録商標)メンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。この定着試験において、定着率が90%以上になる定着ロールの温度のうち、最低の温度をトナーの最低定着温度とした。重合トナーの最低定着温度としては、160℃以下であることが、取り扱い上好ましい。
次に、更に温度を上げていき、ホットオフセットが発生するまでの温度を測定した。
最低定着温度の測定と同様の改造プリンターを用いて、ホットオフセット試験を行った。ホットオフセット試験は、定着ロール部の温度を150℃から5℃ずつ220℃まで変化させて、黒ベタ(印字濃度100%)、及び白ベタ(印字濃度0%)の印字領域を有する印字パターンを印刷し、それぞれの温度で、白ベタ(印字濃度0%)の印字領域に印字汚れが認められるか、定着ロールにトナーの融着が発生(ホットオフセット現象)しているかの有無を目視にて観察した。
このホットオフセット試験において、印字汚れまたは定着ロールにトナーの融着が発生した最低の設定温度を、ホットオフセット温度とした。重合トナーのホットオフセット温度としては、205℃以上であることが、耐熱性の点で好ましい。
なお、定着ロールの温度が220℃の時点でもホットオフセット現象の発生がなかった場合は、ホットオフセット温度を、「220<」と表記する。
(4)耐久印字試験(N/N環境下、H/H環境下)
耐久印字試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター〔負帯電有機感光体現像ドラム、24枚機(印字速度=24枚/分)〕を用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で最大で10,000枚まで連続印字を行なった。
500枚毎に黒ベタ印字(印字濃度100%)を行ない、反射式画像濃度計(グレタグマクベス社製、商品名:RD918)を用いて黒ベタ画像の印字濃度を測定した。さらに、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行い、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。
次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製、型式名:NDW−1D)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値ΔEとした。この値が小さい方が、カブリが少なく良好であることを示す。印字濃度が1.3以上で、且つ、カブリ値ΔEが0.7以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べた。
また、同様の耐久印字試験を、高温高湿(H/H)環境下(温度:35℃、湿度:80%)においても行なった。
なお、10,000枚の時点においても、印字濃度が1.3以上で、且つ、カブリ値ΔEが0.7以下の画質を維持できた場合は、「10,000<」と表記する。
実用上要求される耐久性としては、常温常湿(N/N)環境下で、10,000<であり、高温高湿(H/H)環境下で、8,500枚以上である。
(5)変色試験
変色試験には、前述と同様のプリンターを定着ロール部の温度を変えられるように改造したものを用い、M/A(印字用紙上のトナー乗り量)0.3〜0.45mg/cmの範囲になるよう調整し、ベタ(印字濃度100%)を印字して180℃で定着を行った。
加速状態において屋外露光試験を再現するために、ベタ印字サンプルは水冷キセノンアーク装置を用いるASTM G 26−タイプBの方法Aにしたがって、約63℃のブラックパネル温度、湿度75%で120分間露光した。
ベタ(印字濃度100%)の印字領域において露光前と露光後の色度座標を反射モードで、光色差計(日本電色社製、商品名:SE−2000)によりL*a*b*表色系における色度座標を測定した。測定値から、露光前後の色差値ΔE*を以下の式により求めた。
ΔE*=√((ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)
[実施例1]
スチレン77部、n−ブチルアクリレート23部、C.I.ピグメントイエロー(PY74)74を5部、及び帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成株式会社製、商品名「FCA626N(スルホン酸基含有単量体量7%品);重量平均分子量26,800、ガラス転移温度58℃」)1部、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート10部を室温下、ビーズミルで分散させ、均一混合液を得た。その後、開始剤(1)3.8部、アセチルアセトン1.0部を添加し、コア用重合性単量体組成物とした。
一方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.9部を溶解した水溶液を撹拌下で、徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調整した。上述により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記単量体組成物を投入し、プロペラ式撹拌機を用いて撹拌混合して、得られた組成物分散液を、次いで、回転子回転数21,000rpmで稼働している造粒装置(エムテクニック社製、機種名「クレアミックスCLM−0.8S」)に、ポンプを用いて供給し、トナー用単量体組成物の液滴を造粒した。この造粒した組成物水分散液を、攪拌翼を装着した反応器に移した後、反応器内を減圧にして脱気し、窒素置換した。
窒素気流下で組成物水分散液を加熱し、重合を開始した。このとき、水分散液温度が90℃で一定になるように、重合反応器ジャケット温度と重合反応溶液内温度とを測定し、カスケード制御法などを用いてジャケット温度をコントロールして制御した。このとき、反応器内の気相中の酸素濃度は50ppmであった。
90℃にて12時間重合後に重合転化率が95%以上であることを確認した後に、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート1部、及びイオン交換水10部に溶解した水溶性重合開始剤である2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製、商品名:VA−086、水溶性)0.1部を添加した。さらに3時間、温度を90℃に維持して、重合転化率がほぼ100%に達したことを確認した後、水分散液を冷却し重合を停止し、重合体粒子の水分散液を得た。重合時間は、合計15時間であった。この重合体粒子を脱水、洗浄、乾燥して重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の分子量測定を行ったところ、数平均分子量は11,500、重量平均分子量は13,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
このようにして得られた重合体粒子100部に、疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名「RX−300」)0.6部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して重合トナーを製造した。
その後、高速攪拌機(三井鉱山株式会社製ヘンシェルミキサー)の回転翼の周速を30m/秒に設定し、25分間混合した。その後、目開き45μmの篩を用いて粗粒を除去し、重合トナーを調製した。
重合トナーの体積平均粒径(dv)は7.3μmであり、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dn)は1.22であった。得られたトナーについて、上記の評価を行った結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1において、開始剤(1)3.8部を、開始剤(2)3.8部に変えた以外は、実施例1と同様に重合体粒子の製造を行った。得られた重合体粒子の分子量測定を行ったところ、数平均分子量は11,300、重量平均分子量は13,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.23であった。トナーの体積平均粒径(dv)は7.0μmであり、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dn)は1.25であった。得られたトナーについて、上記の評価を行った結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例1において、開始剤(1)3.8部を、開始剤(3)3.5部に変えた以外は、実施例1と同様に重合体粒子の製造を行った。得られた重合体粒子の分子量測定を行ったところ、数平均分子量は11,600、重量平均分子量は14,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.25であった。トナーの体積平均粒径(dv)は7.7μmであり、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dn)は1.26であった。得られたトナーについて、上記の評価を行った結果を表2に示す。
[実施例4]
実施例1において、開始剤(1)3.8部を、開始剤(4)3.9部に変えた以外は、実施例1と同様に重合体粒子の製造を行った。得られた重合体粒子の分子量測定を行ったところ、数平均分子量は11,200、重量平均分子量は13,600、分子量分布(Mw/Mn)は1.21であった。トナーの体積平均粒径(dv)は7.3μmであり、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dn)は1.22であった。得られたトナーについて、上記の評価を行った結果を表2に示す。
[実施例5]
実施例1において、開始剤(1)3.8部を、開始剤(5)5.7部に変え、反応時間を15時間から96時間に変更した以外は、実施例1と同様に重合体粒子の製造を行った。得られた重合体粒子の分子量測定を行ったところ、数平均分子量は10,800、重量平均分子量は12,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.16であった。トナーの体積平均粒径(dv)は7.5μmであり、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dn)は1.22であった。得られたトナーについて、上記の評価を行った結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例1において、造粒した組成物分散液を反応器に移した後、反応器内を減圧にして脱気せず、窒素を流さないで重合を開始し、反応時間を15時間から96時間に変更した以外は、実施例1と同様に重合体粒子の製造を行った。得られた重合体粒子の分子量測定を行ったところ、数平均分子量は10,000、重量平均分子量は15,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.50であった。トナーの体積平均粒径(dv)は7.4μmであり、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dn)は1.23であった。得られたトナーについて、上記の評価を行った結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、開始剤(1)3.8部を、開始剤(6)7.0部に変え、反応時間を15時間から96時間に変更した以外は、実施例1と同様に重合体粒子の製造を行った。得られた重合体粒子の分子量測定を行ったところ、数平均分子量7,500、重量平均分子量14,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.93であった。トナーの体積平均粒子径は6.9μmであり、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dn)は1.27であった。得られたトナーについて、上記の評価を行った結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1において、開始剤(1)3.8部を、周知の開始剤である開始剤(7)(TEMPO)2.6部に変え、反応時間を15時間から96時間に変更した以外は、実施例1と同様に重合体粒子の製造を行った。得られた重合体粒子の分子量測定を行ったところ、数平均分子量は1,500、重量平均分子量は1,950、分子量分布(Mw/Mn)は1.3であったが、重合転化率は20%であった。この重合体粒子をトナーとして評価しようとしたが、トナーを得ることができなかった。
実施例及び比較例の結果を、表2で示す。
Figure 0005418178
実施例1〜6の結果から、式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物を重合開始剤として重合反応させる本発明の重合トナーの製造方法により得られる重合トナーは、最低定着温度が十分低く(160℃以下)、ホットオフセット発生温度が十分高く(205℃以上)、H/H環境下における耐久印字試験結果も十分優れ(8500枚以上)、また、屋外露光試験を再現する変色試験において、露光前後の色差値ΔE*が小さく、耐候性に優れていることが分かる。
これに対して、本発明において使用する式(1)または式(2)で示される特定の化合物と異なる化合物を重合開始剤として使用する比較例1においては、最低定着温度は160℃であり、H/H環境下における耐久印字試験結果が8500枚であるものの、ホットオフセット発生温度が200℃であって耐熱性がやや劣るとともに、屋外露光試験を再現する変色試験において、露光前後の色差値ΔE*が0.4であり、実用上問題があるものしか得られなかった。
また、周知のリビングラジカル重合開始剤である2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)を使用する比較例2においては、重合転化率が20%であって、重量平均分子量及び数平均分子量ともに2000に至らず、トナーを得ることができなかった。
表2のとおり、本発明の重合トナーの製造方法によって、低温定着性、高温ホットオフセット性、印字耐久性、及び耐候性を高度にバランスさせた重合トナーを効率よく製造することができたことが分かる。
本発明の重合トナーの製造方法によれば、低温定着性、高温ホットオフセット性、印字耐久性、及び耐候性を高度にバランスさせた重合トナーを効率よく製造することができる。

Claims (9)

  1. 分散安定化剤または乳化剤を含有する水系媒体中で、ラジカル重合可能な重合性単量体と、式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物から成る群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する重合性単量体組成物を、重合して重合体粒子を形成する重合工程、及び、得られた重合体粒子に外添剤を添加させる外添剤添加工程を含む重合トナーの製造方法。
    Figure 0005418178
    (ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つであり、
    及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数3〜12の直鎖または分岐アルキル基であって、該置換基は、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つである。)
    Figure 0005418178
    (ここで、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つであり、
    〜R12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル基であって、該置換基は、フェニル基、アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基、及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つであり、RとR10、または、R11とR12は、スピロ環を形成していてもよく、
    Xは、CR1314、C=O、NR15、O及びSから成る群より選ばれる一つであって、該R13〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、及びフェニル基から成る群より選ばれる一つである。)
  2. 式(1)において、
    〜Rが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、
    及びRが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数3〜7の分岐アルキル基であって、該置換基は、フェニル基、アルキル基の炭素数が1〜6のジアルキルホスホノ基及びアルキル基の炭素数が1〜6のトリアルキルシリル基から成る群より選ばれる一つである、
    請求項1に記載の重合トナーの製造方法。
  3. 式(2)において、
    〜Rが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、
    〜R12が、それぞれ独立に、炭素数2〜4の直鎖または分岐アルキル基であって、RとR10、またはR11とR12はスピロ環を形成していてもよく、
    Xが、CH、C=O、NR15、及びOから成る群より選ばれる一つであって、R15が炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基である、
    請求項1に記載の重合トナーの製造方法。
  4. ラジカル重合可能な重合性単量体が、スチレン系単量体を50質量%以上含有するものである、
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
  5. ラジカル重合可能な重合性単量体が、スチレン系単量体60〜95質量%及び(メタ)アクリル酸の誘導体5〜40質量%を含有するものである、
    請求項4に記載の重合トナーの製造方法。
  6. 重合体粒子が、コア−シェル構造を有する、
    請求項1ないし5のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
  7. 重合体粒子の、重量平均分子量Mwが5,000〜30,000であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnで示される重合体粒子の分子量分布が1.60以下である、
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
  8. 重合性単量体組成物中に着色剤を含有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
  9. 重合性単量体組成物中に離型剤を含有する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
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