JP2013203692A - 精製フェノール系化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スルホン酸型陽イオン交換樹脂として、架橋度6.0%以下のポーラス型陽イオン交換樹脂を用いる。架橋度が6.0%以下のポーラス型の陽イオン交換樹脂は、樹脂内部にまでフェノール系化合物や不純物が拡散し易く、この結果、主として樹脂表面で反応が進行するゲル型の陽イオン交換樹脂に比べて、陽イオン交換樹脂内でのフェノール系化合物と不純物との反応性が高く、効率的に精製フェノールを製造することができる。
【選択図】なし
Description
C6H6+CH2=CHCH3 → C6H5CH(CH3)2 …(i)
C6H5CH(CH3)2+O2 → C6H5C(OOH)(CH3)2
→ C6H5OH+(CH3)2C=O …(ii)
(1) 助触媒であるチオール化合物を劣化させ、触媒活性を低下させる。
(2) 得られるフェノールの誘導体が着色する。
という問題がある。特に、上記(2)の点については、ポリカーボネート樹脂の製造原料としてのフェノールの誘導体において、大きな問題となる。即ち、ポリカーボネート樹脂は、その優れた透明性を活かして光学的用途に好適に使用されるため、その着色は重大な欠点となる。従って、出発原料であるフェノールについても、フェノールの誘導体(ビスフェノールA)についても、その色相が問題となる。
不純物を含むフェノールをスルホン酸型陽イオン交換樹脂と接触させると、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の触媒作用で、フェノール中のアセトール等の不純物をフェノールと反応させることにより高分子量化し、フェノールと容易に蒸留分離することができるようになる。
この「SK104」は、平均粒径750μm、均一係数1.5と、平均粒径が大きく、均一係数も大きいゲル型陽イオン交換樹脂である。
本発明で精製するフェノール系化合物は、前記式(1)で表され、通常クメン法により製造されたフェノール系化合物であり、アセトール(ヒドロキシアセトン)、メシチルオキシド、ベンズアルデヒド、アセトフェノン、(メチル)ベンゾフラン、(α)−メチルスチレン等を不純物として含むものである。ただし、本発明の精製フェノール系化合物の製造方法を適用するフェノール系化合物はクメン法により製造されたものには限られず、上記のような不純物を含むフェノール系化合物であれば、いずれの製造方法によって得られたものに対しても本発明を好適に用いることができる。なお、本発明においては前記式(1)で表されるフェノール系化合物を単に「フェノール系化合物」と称することがある。
<ポーラス型陽イオン交換樹脂>
本発明において、フェノール系化合物の精製に用いるスルホン酸型陽イオン交換樹脂は、ポーラス型の陽イオン交換樹脂である。陽イオン交換樹脂がゲル型かポーラス型かは、目視にて容易に判別することができ、透明なゲル型陽イオン交換樹脂に対して、ポーラス型はその多孔質により、不透明な外観となる。
本発明で用いるスルホン酸型陽イオン交換樹脂の架橋度は、6.0%以下である。また、架橋度は好ましくは1.0%以上であり、より好ましくは1.5%以上であり、更に好ましくは2.0%以上であり、特に好ましくは2.5%以上である。一方、好ましくは5.5%以下であり、より好ましくは5.0%以下であり、更に好ましくは4.5%以下である。なお、ここで言う架橋度とは、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の製造時において、用いられる全仕込み重合性モノマーの合計重量に対する架橋性芳香族モノマーの重量%により決定されるものである。
本発明で用いるスルホン酸型陽イオン交換樹脂は、平均粒径が次のような範囲であることが好ましい。
一方、触媒活性や製品の破砕の抑制の観点から平均粒径は850μm以下であることが好ましく、750μm以下であることがより好ましく、700μm以下であることが更に好ましく、600μm以下であることが特に好ましい。
本発明で用いるスルホン酸型陽イオン交換樹脂は、粒度分布がシャープであることが好ましく、均一係数が1.4以下であることが好ましく、特に1.2以下、とりわけ1.1以下であることが好ましい。均一係数が上記上限以下であると、触媒活性が向上し、また、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の充填層へのフェノール系化合物通液時の圧力損失が緩和される点で好ましい。均一係数は小さい程望ましい。均一係数の下限は1.0である。
均一係数が小さくなると、粒子の均一性が高くなることを意味し、均一係数1.0は完全に均一粒子であることを表す。
本発明で用いるスルホン酸型陽イオン交換樹脂は、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂であることが好ましく、樹脂1mLあたりのスルホン酸基の中性塩分解容量に相当する交換容量が、0.2meq/mL−樹脂以上が好ましく、0.6meq/mL−樹脂以上がより好ましく、一方、1.8meq/mL−樹脂以下が好ましく、1.3meq/mL−樹脂以下がより好ましい。この交換容量が上記下限値以上であると触媒活性が十分なものとなるために好ましく、一方、上記下限値以下であると、触媒活性や触媒の寿命の点で好ましい。
濾過管に2NのHCl280mL、次いで脱塩水約1LをダウンフローSV30hr−1で順次流し、樹脂を再生、洗浄する。
次いで、5重量%NaCl250mLをSV30hr−1で流し、流出液を250mLメスフラスコに全量回収する。
この溶液をメチルレッド・メチレンブルー混合指示薬を用いて0.1NのNaOH水溶液(力値:F)で滴定し、滴定量a(mL)を求める。
交換容量(meq/mL−樹脂)は下記式により算出する。
交換容量(meq/mL−樹脂)=[a(mL)×0.1×F]/10
本発明で用いるスルホン酸型陽イオン交換樹脂は、そのスルホン酸基の一部がチオール化合物で変性されていてもよく、このようなチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂であれば、チオール化合物による助触媒効果でフェノール系化合物と不純物との反応速度をより一層高めることができる。
IO3 − + 5I− + 5H+ → 3I2 +3H2O …(iv)
2R−SH + I2 → R−S−S−R + 2HI …(v)
精製に供するフェノール系化合物とスルホン酸型陽イオン交換樹脂とを接触させる方法としては特に制限はなく、フェノール系化合物とスルホン酸型陽イオン交換樹脂とを攪拌混合した後、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を濾過分離する方法、陽イオン交換樹脂を入れた攪拌槽にフェノール系化合物を供給しながら、処理液を抜き出す方法、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の充填層にフェノール系化合物を下向流または上向流で通液する方法などが挙げられる。
本発明においては、更に陰イオン交換樹脂を用いてフェノール系化合物を処理してもよく、陰イオン交換樹脂を用いることにより、陰イオン交換樹脂の触媒効果で、フェノール系化合物中の不純物のうち、アセトール、メシチルオキシド等のケトン類やアルデヒド類のカルボニル誘導体をアルドール縮合反応により高分子量化してフェノール系化合物との蒸留分離性を高めることができる。
上述のようにして、フェノール系化合物をスルホン酸型陽イオン交換樹脂、或いはスルホン酸型陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂で処理した後は、フェノール系化合物を常法に従って蒸留精製することにより、スルホン酸型陽イオン交換樹脂による処理で高分子量化することにより高沸点化合物となった不純物、また、陰イオン交換樹脂による処理で縮合して高分子量化することにより高沸点化合物となった不純物を、フェノール系化合物と効率的に蒸留分離することが可能となり、不純物を高度に除去した高純度の精製フェノール系化合物を得ることができる。
全仕込み重合性モノマーの合計重量に対する架橋性芳香族モノマーの割合(重量%)で求めた。
篩目の径が1180μm、850μm、710μm、600μm、425μm、300μmの篩を、下方になる程、篩目の径が小さくなる様に積み重ねた。この積み重ねた篩をバットの上に置き、最上段に積み重ねられた1180μmの篩の中に陽イオン交換樹脂を約100mL入れた。
脱塩水の供給口につないだゴム管から樹脂上にゆるやかに水を注ぎ、小粒を下の方へ篩別した。
1180μmの篩の中に残った陽イオン交換樹脂は、さらに以下の方法により、厳密に小粒を篩別した。即ち、別のバットの1/2位の深さまで水を満たし、1180μmの篩を前記バットの中で上下及び回転運動を与えて動揺させることを繰り返し、小粒を篩別した。
このバットの中の小粒は次の850μmの篩の上へ戻し、また1180μmの篩の上に残った陽イオン交換樹脂はさらに別のバットに採取した。篩の目に陽イオン交換樹脂が詰まっていれば、篩をバットに逆に置き、脱塩水の供給口につないだゴム管に密着させ、水を強く流して篩の目に詰まった陽イオン交換樹脂を取り出した。取り出した陽イオン交換樹脂は、1180μmの篩上に残った陽イオン交換樹脂を採取したバットに移し、合計の容積量をメスシリンダーで測定した。この容積をa(ml)とした。
1180μmの篩を通った陽イオン交換樹脂は850μm、710μm、600μm、425μm、300μmの篩についてそれぞれ同様の操作を行い、メスシリンダーを用いて容積b(850μmの篩上に残った樹脂の容積)(mL)、c(710μmの篩上に残った樹脂の容積)(mL)、d(600μmの篩上に残った樹脂の容積)(mL)、e(425μmの篩上に残った樹脂の容積)(mL)、f(300μmの篩上に残った樹脂の容積)(mL)を求め、最後に300μmの篩を通った樹脂の容積をメスシリンダーで測定し、g(mL)とした。
a/V×100=a’(%)
b/V×100=b’(%)
c/V×100=c’(%)
d/V×100=d’(%)
e/V×100=e’(%)
f/V×100=f’(%)
g/V×100=g’(%)
を算出した。
(なお、上記平均粒径の算出法は、例えば三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部発行「ダイヤイオン1」改訂1版(平成19年10月31日)第140〜142頁に記載される公知の算出法である。)
対数確率紙上に、上記の平均粒径の測定において算出したa’〜g’の各篩の残留分累計(%)とそれに対応する篩目の径(mm)をプロットし、その中から残留分の多い順に3点を選び、この3点を出来るだけ満足するような直線を引いた。この直線から残留分累計が90%に対応する篩目の径(mm)を求め、これを有効径とした。次に、残留分累計40%に対応する篩目の径(mm)を求め、次式により均一係数を求めた。
均一係数=[残留分累計40%に対応する篩目の径(mm)]/[有効径(mm)]
(なお、上記均一係数の算出法は、例えば三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部発行「ダイヤイオン1」改訂1版(平成19年10月31日)第140〜142頁に記載される公知の算出法である。)
100mL三角フラスコに、チオール化合物で変性処理し、セントル脱水した樹脂1g入れ、精秤した。ヨウ化カリウムを0.5g加え、次に酢酸をピペットで1mL加え、更に脱塩水20mLを加えてスターラーで攪拌した。30分後、1/100N−ヨウ素酸カリウム溶液で樹脂を含む溶液を適定した。これを3回繰り返し、その平均値をその樹脂のSH担持量、すなわちチオール化合物の変性率とした。
<チオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂の調製>
三菱化学(株)製スルホン酸型陽イオン交換樹脂「ダイヤイオン(登録商標)PK206H」)(ポーラス型、架橋度3.0%、交換容量0.84meq/mL−樹脂)を490〜510μmの粒度範囲で水簸分級した。この分級後のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の平均粒径は500μmで、均一係数は1.03であった。分級後のスルホン酸型陽イオン交換樹脂を10mlのメスシリンダーで秤取り、遠心分離器で脱水した後、シャーレに樹脂を入れ、真空乾燥器で50℃にて8時間乾燥した。
125mLの耐圧瓶に、アセトール(ヒドロキシアセトン)(東京化成社製試薬)、メシチルオキサイド(東京化成社製試薬)、2−メチルベンゾフラン(シグマアルドリッチ社製試薬)、アセトフェノン(キシダ化学社製試薬特級)、ベンズアルデヒド(キシダ化学社製試薬特級)、α−メチルスチレン(東京化成製社製試薬)を入れ、更に70℃で溶融させたフェノールを入れ均一溶液にした。各成分の濃度は1.0重量%に調整した。この溶液を更にフェノールで希釈して各成分が1000ppmの被処理フェノールを調製した。
上記のフェノールで膨潤させたチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂に、上記の被処理フェノール(9.5g)を、オートピペッターで添加して反応を開始した。
反応開始60分後に、予めメタノール5.0mLを入れた20mLスクリューバイアル瓶に、反応溶液を1mLサンプリングしてクエンチした。このメタノール希釈液を以下の条件でGC(ガスクロマトグラフ)分析を行い、各成分の濃度を求めた。
GC装置:Agilent 6850シリーズ
昇温条件:50℃→10℃/分→300℃(10分間保持)
分析時間:35分
分析カラム:Agilent J&W GCカラム
HP−5 50m×0.20mmID、0.33μm
キャリアガス:He 40cm/S
検出器:FID
気化室温度:200℃
検出器温度:250℃
スプリット比:5/1
注入量:1.00μL(メタノール中)
実施例1において、スルホン酸型陽イオン交換樹脂として、三菱化学(株)製スルホン酸型陽イオン交換樹脂「ダイヤイオン(登録商標)PK208H」(ポーラス型、架橋度4.0%、交換容量1.12meq/mL−樹脂)を490〜510μmの粒度範囲で水簸分級したものを用いた。そのまま脱水、真空乾燥し、その後、実施例1と同様にして2−(2−ピリジン)エタンチオールによる変性を行い、得られたチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いて実施例1と同様にしてフェノールの精製を行い、結果を表1Bに示した。
なお、水簸分級していない「ダイヤイオン(登録商標)PK208H」の平均粒径と均一係数を測定したところ、平均粒径は500μmで、均一係数は1.03であった。
実施例1において、スルホン酸型陽イオン交換樹脂として、三菱化学(株)製「ダイヤイオン(登録商標)PK228H」(ポーラス型、架橋度14.0%、交換容量2.07meq/mL−樹脂)を水簸分級することなく、そのまま脱水、真空乾燥し、その後、チオール化合物を含まないフェノールで膨潤させて、チオール化合物による変性を行わずに、同様にフェノールの精製に供した。
結果を表1Bに示す。
なお、水簸分級していない「ダイヤイオン(登録商標)PK228H」の平均粒径と均一係数を測定したところ、平均粒径は750μmで、均一係数は1.5であった。
<ゲル型のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の製造>
比較例2においては以下に示すように特開2006−328290号公報の実施例に記載した方法と同様の方法により架橋度が6.4%、交換容量が1.84meq/mL−樹脂のゲル型のスルホン酸型陽イオン交換樹脂を製造した。
重合反応用の反応器として、攪拌翼、圧力計、窒素管、温度計を取り付けたステンレス(以下適宜「SUS」と略する。)製の耐圧性の反応器を使用した。
水相として、2重量%ポリビニルアルコール水溶液30mL及び0.1重量%メチレンブルー水溶液10mLを含む水溶液2150mLを調製した。得られた水相を攪拌しながら、10μmのSUS製焼結フィルターを通じて窒素ガスを1時間バブリングした。溶存酸素濃度は0.1ppm以下であった。
原料モノマーとして、スチレン497gと、ジビニルベンゼン(ダウ・ケミカル社製、純度63%)56.2gを用いるとともに、重合開始剤として、含水BPO(過酸化ベンゾイル)(BPO濃度75重量%)0.75gと、PBZ(t−ブチルパーベンゾエート)0.55g(全モノマー量に対してBPO、PBZともに0.1重量%)を用い、これらを混合して油相(モノマー相)を調製した。得られた油相を攪拌しながら、10μmのSUS製焼結フィルターを通じて窒素ガスを1時間バブリングし、溶存酸素をほぼ完全に除去した。
上述の水相と油相を上述の反応器に入れ、室温で、1kPaで減圧した後、窒素ガスで置換するという脱気操作を3回繰り返すことにより、反応器中の気相を窒素置換し、気相中の酸素をほぼ完全に除去した上で、反応器を密閉した。30℃で30分間、110rpmで攪拌し、懸濁液とした。2時間かけて80℃まで昇温し、80℃で4時間保持した(前段重合)後、2時間かけて120℃まで昇温し、120℃で更に4時間保持する(後段重合)ことにより、二段階に分けて重合反応を行なった。反応の終了後、反応器を50℃以下に冷却し、得られた重合体を反応器から取り出して脱塩水で洗浄し、真空乾燥器を用いて50℃で8時間乾燥した。得られた重合体の収率は99.5%であった。
得られた重合体200gを2Lの3つ口フラスコに入れ、ニトロベンゼン400gを加え、室温で0.5時間攪拌した後、80℃まで昇温して更に3時間攪拌し、重合体を膨潤した。一度室温まで冷却した後、98%硫酸1400gを加え、攪拌した。4時間かけて100℃まで昇温し、更に100℃で4時間保持して反応させた。その後、反応液を冷却し、内温が50℃を越えないようにしながら、脱塩水を15時間かけて滴下した。この間、途中3回反応液を抜き出し、硫酸を除去した。その後、ニトロベンゼンと水相を除去し、更に脱塩水を加えて加熱することにより、残留するニトロベンゼンを留去した。得られた樹脂を10BVの脱塩水で洗浄することにより、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を製造した。
スルホン酸型陽イオン交換樹脂として、このゲル型のスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にしてフェノールの精製を行い、結果を表1Bに示した。
実施例1において、スルホン酸型陽イオン交換樹脂として、三菱化学(株)製「ダイヤイオン(登録商標)SK104H」(ゲル型、架橋度4.0%、交換容量1.25meq/mL−樹脂)を水簸分級することなく、そのまま脱水、真空乾燥し、その後、実施例1と同様に変性処理を行い(ただし変性率は20モル%)、同様にフェノールの精製に供した。
結果を表1Bに示す。
なお、水簸分級していない「ダイヤイオン(登録商標)SK104H」の平均粒径と均一係数を測定したところ、平均粒径は750μmで、均一係数は1.5であった。
比較例3において、2−(2−ピリジン)エタンチオールの代りに、表1Aに示すチオール化合物を用い、表1Aに示す変性率としたこと以外は同様にしてスルホン酸型陽イオン交換樹脂の変性処理を行い、得られたチオール変性スルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いて、実施例1と同様にしてフェノールの精製を行い、結果を表1Bに示した。
実施例1において、スルホン酸型陽イオン交換樹脂として、三菱化学(株)製「ダイヤイオン(登録商標)RCP145H」(ポーラス型、架橋度14.0%、交換容量0.87meq/mL−樹脂)を用いたこと以外は同様にして(ただし変性率は20モル%)、フェノールの精製を行った。
結果を表1Bに示す。
なお、水簸分級していない「ダイヤイオン(登録商標)RCP145H」の平均粒径と均一係数を測定したところ、平均粒径は750μmで、均一係数は1.5であった。
表1A,Bより架橋度が6.0%以下のポーラス型のスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いることにより、フェノール中の不純物を効率的に除去することができることが分かる。
これに対して、比較例1,8ではポーラス型であるが、架橋度が大きいために、不純物の除去効果が悪い。比較例2〜7はゲル型であるために不純物の除去効果が悪く、ゲル型のスルホン酸型陽イオン交換樹脂では、チオール変性を行っても、十分な結果は得られなかった。
<触媒の負荷試験>
実施例1と同様の反応装置に70℃に加熱したフェノール(89.90g)と、乾燥した三菱化学(株)製スルホン酸型陽イオン交換樹脂「ダイヤイオン(登録商標)PK206H」)を加えた。100℃に加熱したオイルバスに付けて30分間静置膨潤後、180rpmで30分間攪拌した。アセトール、メシチルオキシド、メチルスチレン、ベンズアルデヒドの4種類の不純物をそれぞれ各1.0g量り取り、フェノール溶液に添加して反応を開始した。15分毎に反応溶液をサンプリングし、20%フェノール/メタノール溶液で希釈し、GC分析を行って不純物の減少速度を確認した。この結果を、表2Aに示した。
さらに反応開始後の1時間目以降、1時間おきに6時間まで上記4種類の不純物を含む混合溶液を2.0gずつ加え、8時間100℃で反応させた後、室温まで放置することにより冷却した。12時間後まで室温で保管していたが、溶液は結晶化しないで、赤褐色の溶液のままであった。
前記反応の12時間後、オイルバスを加熱し内温を70℃に設定し、4種類の不純物の濃度が1000ppmとなるように混合物のフェノール溶液9.3gを添加した。時間毎に反応溶液をサンプリングし、20%フェノール/メタノール溶液で希釈した溶液についてGC分析を行い、触媒寿命の評価を行った。反応4時間後の各成分の残留率を表2Bに示した。
用いた樹脂の種類を「PK206H」から三菱化学(株)製「ダイヤイオン(登録商標)SK104H」に変更した以外は実施例3と同様に実施した。その結果を表2A及び表2Bに示す。
実施例3のスルホン酸型陽イオン交換樹脂は、比較例9のスルホン酸型陽イオン交換樹脂と比較して、不純物の低下速度が大きく、長期間活性を維持することができる。
Claims (7)
- 請求項1において、前記スルホン酸型陽イオン交換樹脂の架橋度が1.0〜5.0%であることを特徴とする精製フェノール系化合物の製造方法。
- 請求項1又は2において、前記スルホン酸型陽イオン交換樹脂の平均粒径が10〜850μmであることを特徴とする精製フェノール系化合物の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記スルホン酸型陽イオン交換樹脂の均一係数が1.4以下であることを特徴とする精製フェノール系化合物の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記スルホン酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部がチオール化合物で変性されており、その変性率が1〜40モル%であることを特徴とする精製フェノール系化合物の製造方法。
- 請求項5において、前記チオール化合物がピリジンエタンチオールであることを特徴とする精製フェノール系化合物の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記フェノール系化合物を前記スルホン酸型陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に接触させることを特徴とする精製フェノール系化合物の製造方法。
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