JP2013196780A - 金属イオン二次電池セパレータ用塗液及び金属イオン二次電池セパレータ - Google Patents

金属イオン二次電池セパレータ用塗液及び金属イオン二次電池セパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐熱性の高い金属イオン二次電池セパレータを製造するにあたり、塗工性に優れ、均一な塗膜を形成できる塗液を提供する。また、微小短絡防止に優れ、且つ、充放電を繰り返しても容量低下が少ない金属イオン二次電池セパレータを提供する。
【解決手段】顔料を含有してなる金属イオン二次電池セパレータ層用塗液において、該塗液のせん断速度1sec−1における粘度と10sec−1における粘度の比が45以上であり、且つ、1sec−1における粘度が800mPa・s以上であることを特徴とする金属イオン二次電池セパレータ顔料層用塗液、及び、該塗液を不織布基材に塗工、乾燥してなることを特徴とする金属イオン二次電池用セパレータ。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属イオン二次電池セパレータ用塗液及び金属イオン二次電池セパレータに関する。
電気化学素子の一つである金属イオン二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴を有し、例えば、そのうちの一つであるリチウムイオン二次電池は携帯電話、携帯型音楽プレーヤー、ノート型パーソナルコンピューター等の携帯型電気機器の電源として広く利用されている。また、電気自転車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の大型機器にも、リチウムイオン二次電池を利用する動きが広がっている。また、ナトリウムイオン二次電池等その他の金属イオン電池も注目されている。そのため、金属イオン二次電池には高容量化、大電流での充放電特性といった性能が求められているが、金属イオン二次電池は一般に非水系電池であるため、水系電池と比較して、発煙、発火、破裂等の危険性が高いことが知られており、安全性の向上も要求されている。
金属イオン二次電池では、外熱による温度上昇、過充電、内部短絡、外部短絡等によって発煙等の危険性が高まる。これらは、外部保護回路によってある程度防ぐことが可能である。また、金属イオン二次電池セパレータとして使用されているポリオレフィン系樹脂の多孔質フィルムが120℃付近で溶融し、孔が閉塞して電流やイオンの流れを遮断することによって、電池の温度上昇が抑制される。これは、シャットダウン機能と呼ばれている。しかし、外熱によって温度が上昇した場合や温度上昇によって電池内部で化学反応が起きた場合には、シャットダウン機能が働いても電池温度は更に上昇し、電池温度が150℃以上にまで達すると、多孔質フィルムが収縮して内部短絡が起こり、発火等が起きることがあった。
このように、セパレータのシャットダウン機能では電池の発火を抑制することができ難くなっている。そのため、ポリオレフィン系樹脂の多孔質フィルムよりも熱収縮温度を上げることによって、内部短絡を起こり難くして電池の発火を抑制することを目的として、ポリオレフィン系樹脂の多孔質フィルムの表面に、無機顔料や耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質層を塗工した非水系二次電池用セパレータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、耐熱性多孔質層を塗工した場合、塗液中の顔料や樹脂が多孔質フィルムの微多孔を閉塞させることにより、セパレータの内部抵抗が高くなるという問題があった。
また、内部抵抗が低い耐熱性セパレータとして、ポリエステル系繊維で構成した不織布セパレータ、ポリエステル系繊維に耐熱繊維であるアラミド繊維を配合した不織布セパレータが提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。しかし、これら不織布セパレータは熱収縮性には優れるものの孔径が大きく、両極活物質の接触による内部短絡、あるいは負極上に生成するデンドライトによる微小短絡が発生しやすく、実用的とは言い難かった。これら短絡を抑制し、また、耐熱性を更に向上させるため、不織布や織布等の基材に、顔料や樹脂を塗工することで担持させる例が開示されている(例えば、特許文献5〜6参照)。しかしながら、顔料や樹脂を塗工しても、基材の孔が大きいため、塗液の裏抜けや、乾燥段階でのハジキにより、ピンホールと呼ばれる塗工欠陥が生じやすく、微小短絡の防止効果は不十分であった。また、基材表面の凹凸により、塗膜厚みにムラが生じることや、塗液の基材への部分的な浸透により内部抵抗にムラが生じることで局所的な負荷が大きくなり、電極及びセパレータが劣化しやすくなり、繰り返し充放電時容量が低下しやすくなるという課題もあった。
国際公開2008/062727号パンフレット 特開2003−123728号公報 特開2007−317675号公報 特開2006−19191号公報 特表2005−536857号公報 特開2007−157723号公報
本発明の課題は、耐熱性の高い金属イオン二次電池電池セパレータを製造するにあたり、塗工性に優れ、均一な塗膜を形成できる塗液を提供すること、また、微小短絡防止に優れ、且つ、充放電を繰り返しても容量低下が少ない金属イオン二次電池セパレータを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究した結果、課題を解決できる金属イオン二次電池セパレータ用塗液及び金属イオン二次電池セパレータを発明するに至った。即ち、
(1)顔料を含有してなる金属イオン二次電池セパレータ用塗液において、該塗液のせん断速度1sec−1における粘度と10sec−1における粘度の比が45以上であり、且つ、1sec−1における粘度が800mPa・s以上であることを特徴とする金属イオン二次電池セパレータ用塗液、
(2)上記塗液における水溶性成分の含有量が、全固形分に対して5質量%以下である請求項1記載の金属イオン二次電池セパレータ用塗液、
(3)上記(1)又は(2)記載の金属イオン二次電池セパレータ用塗液を、不織布基材に塗工、乾燥してなることを特徴とする金属イオン二次電池用セパレータ、
である。
顔料を含有してなる金属イオン二次電池セパレータ用塗液において、該塗液のせん断速度1sec−1における粘度と10sec−1における粘度の比が45以上であり、且つ、1sec−1における粘度が800mPa・s以上であることにより、塗工性に優れ、均一な塗膜を形成できる塗液を提供することができる。
また、該塗液における水溶性成分の含有量を、全固形分に対して5質量%以下とすることで、繰り返し充放電時の容量低下を少なくすることができる。
該塗液を、不織布に塗工、乾燥することによって、微小短絡防止に優れ、また、繰り返し充放電時の容量低下の少ない金属イオン二次電池セパレータを得ることができる。
本発明の塗液は、顔料を含有してなり、該塗液のせん断速度1sec−1における粘度と10sec−1における粘度の比が45以上であり、且つ、1sec−1における粘度が800mPa・s以上である。
また、該塗液における水溶性成分の含有量が、全固形分に対して5質量%以下であることが好ましい。
セパレータの耐熱性を高めるために、不織布や織布等の基材に、顔料を含有してなる塗液を塗工、乾燥することによって塗工層を設ける場合、塗液の裏抜けや乾燥段階でのハジキを抑制してピンホールのない塗膜を得るためには、塗液粘度を上げて塗工後の塗液の不動化を速めることが考えられる。塗液粘度を上げることで、基材への塗液の部分的な浸透を抑制することもできる。しかし、一方で塗液粘度を上げると、塗液のレベリング性が低下し、膜厚が不均一になりやすく、繰り返し充放電時の劣化を招く懸念となる。本発明においては、塗液のせん断速度1sec−1における粘度と10sec−1における粘度の比が45以上であり、且つ、1sec−1における粘度が800mPa・s以上とすることによって、ピンホール及び塗液の基材への浸透を抑制し、且つ、十分なレベリング性を確保して、膜厚の均一な、繰り返し特性に優れるセパレータが得られることを見出した。これは、塗工時のせん断下においては、塗液が十分な流動性を有してレベリングするが、塗工後せん断が小さくなると、即座に粘度が上がり速やかに不動化するものと推察される。より好ましくは1sec−1における粘度が1000mPa・s以上、更に好ましくはせん断速度1sec−1における粘度と10sec−1における粘度の比が70以上であり、且つ、1sec−1における粘度が1000mPa・s以上である。また、10sec−1における粘度としては、10〜30mPa・sとするのが良好なレベリング性が得られるため好ましい。なおここで言う粘度とは、液温23℃における測定値である。
本発明の塗液を、不織布基材に塗工することで、ピンホールのない、微小短絡抑止に優れたセパレータが得られる。また、塗液の基材への浸透が抑制されるため、不織布セパレータの特徴である低抵抗を損なうことなく、良好な放電特性の得られる金属イオン二次電池セパレータが得られる。また、塗膜の均一な、繰り返し特性に優れる金属イオン二次電池セパレータが得られる。
本発明において、塗液のせん断速度1sec−1における粘度と10sec−1における粘度の比を45以上、且つ、1sec−1における粘度を800mPa・s以上とする方法は任意により選択されるが、例えば、用いる顔料の比表面積及び粒径を選択すること、あるいは増粘剤等の添加剤にて調整可能である。
本発明に用いる顔料としては、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ、メラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル等が挙げられる。これらを単独で用いても、2種以上併用して用いても良い。中でも熱安定性及び塗工適性の点からベーマイトが好ましい。耐熱性の点から本発明の塗液に含有される顔料は塗液の固形分中の80質量%以上であるのが好ましく、より好ましくは90質量%以上である。
本発明に用いる顔料の粒径としては0.1〜10.0μmが好ましく用いられ、より好ましくは0.2〜7.5μm、更に好ましくは0.3〜5.0μmである。粒径0.1μm以上とすることで塗液の安定性が高くなり、また粒径10.0μm以下とすることで平坦な塗面が得やすくなる。また、粒径1.0μm以下の無機顔料を単独で、あるいは粒径の異なる顔料と併用して用いると、1sec−1における粘度800mPa・sが得られやすくなる。なお、ここで言う平均粒子径とはレーザー回折散乱法により測定される平均粒子径(D50)を指す。
本発明においては、バインダとして、例えばポリビニルアルコールのような水溶性高分子を用いることでも、本発明の特徴であるせん断速度1sec−1における粘度と10sec−1における粘度の比が45以上であり、且つ、1sec−1における粘度が800mPa・s以上の塗液が得やすくなる。一方で、水溶性高分子は塗工、乾燥後の含水率が大きく、セルの乾燥工程を経ても、一般に非水系である金属イオン二次電池セル内に水を持ち込む可能性があり、電解液の劣化を招く懸念がある。従って本発明においては、塗液における水溶性成分の含有量が、全固形分に対して5質量%以下であるのが好ましく、バインダの主成分としては水分散性樹脂を用いるのが好ましい。
本発明には、バインダとして、水分散性樹脂を主体として用いることができる。また、水溶性樹脂を併用することも可能である。具体例としては、例えばスチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン等の水分散性樹脂、澱粉類、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、ポリアクリル酸のアルカリ塩、ポリマレイン酸のアルカリ塩、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、セパレータの内部抵抗の点から塗工層中のバインダ量は固形分中20質量%以下とするのが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。また、バインダ中の水溶性樹脂量は50質量%未満であるのが好ましい。
本発明においては各種増粘剤によって液性を調整することができる。具体例としては、例えばポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体等の合成高分子、キサンタンガム、ウェランガム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース誘導体、デキストリン、アルファー化デンプン等のデンプン類等の天然多糖類、モンモリロナイト、ヘクトライト等の粘度鉱物、ヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、ヒュームドチタニア等の無機酸化物類が挙げられる。また、本発明の塗液には、発明の効果を損ねない範囲で分散剤、濡れ剤等の各種添加剤を用いることができる。
本発明の塗液は、多孔質フィルム、織布、不織布等の機材に塗工することができるが、好ましくは織布基材、不織布基材に塗工され、より好ましくは不織布基材に塗工される。不織布基材は従来公知の方法によって製造したものを用いることができる。例えば、スパンボンド法、メルトブロー法、乾式法、湿式法、エレクトロスピニング法等の方法によって製造したものを使用することができる。
本発明において、不織布基材表面の平坦化や厚みをコントロールする目的で、カレンダー処理や熱カレンダー処理により不織布基材を平滑化しても良い。
不織布基材の構成材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びそれらの誘導体、芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステル等のポリエステル、ポリオレフィン、アクリル、ポリアセタール、ポリカーボネート、脂肪族ポリケトン、芳香族ポリケトン、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール)、ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン及びポリ塩化ビニル等の樹脂からなる繊維並びにセルロース繊維等が挙げられる。該不織布基材はこれらの構成材料の2種以上を含有していても構わない。
本発明の金属イオン二次電池セパレータに用いる不織布基材としては、目付が5〜30g/mであるのが好ましく、より好ましくは7〜20g/mである。目付を5g/m以上とすることで不織布としての均一性を得やすくなり、また、30g/m以下とすることで金属イオン二次電池セパレータに適した厚みとなる。なお、目付はJIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定法)に規定された方法に基づく坪量を意味する。
本発明の塗液を不織布機材に塗工する方法に特に制限はなく、例えば、従来公知のエアドクターコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、含浸コーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ダイコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、スプレーコーター等が挙げられる。特に均一塗工の観点から含浸コーター、グラビアコーター、ダイコーターが好ましく用いられる。
本発明において、塗工層の塗工量としては、5〜30g/mが好ましく、更に好ましくは10〜20g/mである。塗工量を5g/m以上とすることで、不織布基材表面を十分に被覆しやすくなり、内部短絡を防止しやすくなる。また、塗工量を30g/m以下とすることでセパレータの内部抵抗上昇を抑えることができる。
本発明において、塗工後に乾燥する方法は特に限定されず、公知の乾燥方法を用いることができるが、特に熱風を吹きつける方法、赤外線を照射する方法など、加熱により乾燥する方法は、生産性が良く好ましく用いられる。
本発明の金属イオン二次電池セパレータにおいて、セパレータの坪量は10〜50g/mが好ましく、より好ましくは、17〜40g/mである。また、セパレータの厚みは10〜50μmが好ましく、より好ましくは15〜40μmである。セパレータの密度としては0.4〜1.2g/cmが好ましく、より好ましくは0.5〜1.0g/cmである。
本発明において、塗工、乾燥後、塗工層表面の平坦化や厚みをコントロールする目的で、カレンダー処理により金属イオン二次電池セパレータを平滑化しても良い。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、%及び部は、断りのない限り、全て質量基準である。また塗工量は絶乾塗工量である。
実施例1
(1)不織布基材の作製
繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維45質量部と繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維15質量部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40質量部とを一緒に混合し、パルパーにより水中で離解させ、アジテーターによる攪拌のもと、濃度1質量%の均一な抄造用スラリーを調製した。円網抄紙機を用い、この抄造用スラリーを湿式方式で抄き上げ、120℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維を接着させて不織布強度を発現させ、目付12g/mの不織布とした。更に、この不織布を金属ロール−金属ロールからなる1ニップの熱カレンダーを使用して、ロール温度185℃、線圧740N/cm、搬送速度20m/分で加熱処理を実施し、厚み19μmの不織布基材を作製した。なお、PMI社製パームポロメーターCFP−1500Aを用いて測定したこの不織布基材の最大ポア径は18μmであった。
(2)塗液の作製
体積平均粒子径2.3μm、比表面積3m/gのベーマイト90部及び体積平均粒子径0.3μm、比表面積17m/gのベーマイト10部を、その1質量%水溶液の25℃における粘度が200mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.3%水溶液120部に分散し、良く攪拌してベーマイト分散液を作製した。次いで、その1質量%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.5%水溶液100部を混合、攪拌し、更に10%ポリビニルアルコール水溶液100部を混合、攪拌して、セパレータ用塗液を作製した。
(3)セパレータの作製
(1)にて作製した不織布基材上に、(2)で作製した塗液を絶乾塗工量が15g/mとなるように塗工、乾燥し、厚み35μmの金属イオン二次電池セパレータを得た。
(4)電池の作製
(3)で作製したセパレータを用い、正極活物質がマンガン酸リチウム、負極活物質が人造黒鉛、正負極面積が15cm、電解液がリチウムヘキサフルオロフォスフェートのエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの7/3(容量比)混合溶媒溶液(1mol/L)である設計容量が30mAhのラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
実施例2
実施例1の(2)塗液の作製において、10%ポリビニルアルコール水溶液100部を45部とした以外は実施例1と同様にして金属イオン二次電池セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例3
実施例1の(2)塗液の作製において、10%ポリビニルアルコール水溶液100部の代わりに、45%スチレンブタジエンラテックス11部を用いた以外は実施例1と同様にして金属イオン二次電池セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例4
実施例1の(2)塗液の作製において、体積平均粒径2.3μm、比表面積3m/gのベーマイトを80部とし、また、体積平均粒径0.3μm、比表面積17m/gのベーマイトを20部とし、且つ、10%ポリビニルアルコール水溶液100部の代わりに、45%スチレンブタジエンラテックス11部を用いた以外は実施例1と同様にして金属イオン二次電池セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例5
実施例1の(2)塗液の作製において、体積平均粒径2.3μm、比表面積3m/gのベーマイトを100部とし、また、体積平均粒径0.3μm、比表面積17m/gのベーマイトを用いなかった。また、1質量%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.5%水溶液を250部とし、且つ、10%ポリビニルアルコール水溶液100部の代わりに、45%スチレンブタジエンラテックス11部を用いた以外は実施例1と同様にして金属イオン二次電池セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
比較例1
実施例1の(2)塗液の作製において、体積平均粒径2.3μm、比表面積3m/gのベーマイトを100部とし、また、体積平均粒径0.3μm、比表面積17m/gのベーマイト及び1質量%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩0.5%水溶液を用いなかった。また、10%ポリビニルアルコール水溶液100部の代わりに、45%スチレンブタジエンラテックス11部を用いた以外は実施例1と同様にして金属イオン二次電池セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
比較例2
実施例1の(2)塗液の作製において、10%ポリビニルアルコール水溶液100部の代わりに、7.5%ポリビニルアルコール水溶液200部を用いた以外は実施例1と同様にして金属イオン二次電池セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
比較例3
実施例1の(2)塗液の作製において、体積平均粒径2.3μm、比表面積3m/gのベーマイトを100部とし、また、体積平均粒径0.3μm、比表面積17m/gのベーマイトを用いず、且つ、10%ポリビニルアルコール水溶液100部の代わりに、45%スチレンブタジエンラテックス11部を用いた以外は実施例1と同様にして金属イオン二次電池セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた塗液、リチウムイオン電池セパレータ、及びリチウムイオン二次電池について、下記の評価を行い、結果を表1に示した。
[塗液粘度]
作製した塗液のせん断速度1sec−1及び10sec−1における粘度をAnton Paar社のMCR301にて測定し、粘度比を算出した。測定は23℃にて実施した。
[塗液の水溶性成分の含有量]
塗液の全固形分に対する水溶性成分の含有量を小数点以下1桁を四捨五入して算出した。単位は質量%である。
[セパレータの透気抵抗度のばらつき]
作製したセパレータについて、任意の5箇所のガーレー透気抵抗度を測定し、セパレータの内部抵抗のばらつきの指標とし、次の度合いで評価した。
◎:透気抵抗度のばらつきが測定5箇所の平均値から±10%以内である。
○:透気抵抗度のばらつきが測定5箇所の平均値から±10超±15%以下である。
△:透気抵抗度のばらつきが測定5箇所の平均値から±15超±20%未満である。
×:透気抵抗度のばらつきが測定5箇所の平均値から±20%以上である。
[初期充放電時のクーロン効率]
作製した電池について、30mA定電流充電→4.2V定電圧充電→充電電流3mAになったら30mAで2.8Vまで定電流放電を行い、充電容量及び放電容量を測定し、(クーロン効率)=(放電容量)/(充電容量)を算出した。クーロン効率が小さいものは微小短絡が発生していると考えられる。
[電池の繰り返し充放電特性]
作製した電池について、30mA定電流充電→4.2V定電圧充電→充電電流3mAになったら30mAで定電流放電→2.8Vになったら次のサイクルのシーケンスにて、100サイクルの充放電を行い、[1−(100サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)]×100(%)として容量低下率を求めた。
表1から明らかなように、塗液のせん断速度1sec−1における粘度と10sec−1における粘度の比が45以上であり、且つ、1sec−1における粘度が800mPa・s以上である実施例1〜5は、比較例1〜3に比べ、透気抵抗のばらつきが少ない均一な塗工層が得られる。また、初期充放電時のクーロン効率に優れ、繰り返し充放電特性に優れる金属イオン二次電池セパレータが得られる。
また、水溶性成分が5質量%以下の実施例2は水溶性成分が5質量%超の実施例1に比べ繰り返し充放電特性に優れる。
本発明の金属イオン二次電池セパレータ用塗液及び金属イオン二次電池セパレータは、金属イオン二次電池用途以外にも、金属イオンポリマー電池、金属イオンキャパシター等にも利用できる。

Claims (3)

  1. 顔料を含有してなる金属イオン二次電池セパレータ用塗液において、該塗液のせん断速度1sec−1における粘度と10sec−1における粘度の比が45以上であり、且つ、1sec−1における粘度が800mPa・s以上であることを特徴とする金属イオン二次電池セパレータ用塗液。
  2. 該塗液における水溶性成分の含有量が、全固形分に対して5質量%以下である請求項1記載の金属イオン二次電池用セパレータ用塗液。
  3. 請求項1又は2記載の金属イオン二次電池用セパレータ用塗液を、不織布基材に塗工、乾燥してなることを特徴とする金属イオン二次電池用セパレータ。
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