JP2013195775A - 画像形成システム及び潜像担持体交換時期検出方法 - Google Patents

画像形成システム及び潜像担持体交換時期検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】感光体等の潜像担持体の交換時期を高い確度で検出することを低コストで実現することを課題とする。
【解決手段】
交換可能な感光体表面上に形成された潜像を現像して可視画像を形成し、該可視画像を最終的に記録材上へ転写することで画像形成を行う画像形成装置内に感光体の残留電位を断続的に検知する表面電位センサを備えた画像形成システムにおいて、表面電位センサが検知する感光体残留電位のデータを追記的に不揮発性RAMへ記憶するとともに、記憶した感光体残留電位の時間変化に基づいて感光体交換時期を検出する処理を実行する。
【選択図】図6

Description

本発明は、感光体等の潜像担持体を備えた画像形成装置の保守や解析に役立つ潜像担持体交換時期の情報を検出する画像形成システム及び潜像担持体交換時期検出方法に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置においては、例えば、感光体(潜像担持体)を帯電装置により所定電位まで一様に帯電し、帯電した感光体表面上に露光装置によって光を露光して静電潜像を形成する。その後、感光体表面上の静電潜像を現像装置によりトナーで現像してトナー像を形成し、このトナー像を最終的に記録材上へ転写することで画像形成を行う。感光体は、定期的に又は突発的な故障時などに新しいものに交換されるが、このように新品の感光体へ交換した交換時期(感光体交換時期)の情報は、次に感光体を定期交換すべき時期を予測する場合に有益な情報である。
また、感光体交換の直前における、感光体表面の潜像部電位(露光後電位)、非潜像部電位(一様帯電電位)、残留電位(除電処理後の感光体表面電位)などの感光体電位情報等(感光体の物性値)や、感光体以外の部材の物性値は、故障時点や劣化時点における感光体や当該部材の状態を知ることができ、故障予測のための解析や次機種の設計などに利用できる。このような物性値を得るには、感光体交換時期を把握する必要があるので、この点でも、感光体交換時期は有益な情報である。
感光体交換時期は、保守員が感光体交換を行った際に保守作業レポートに記録される保守日時及びトータルカウンタ値を用いて検出することができる。しかしながら、この情報は保守員の手作業によって記録されるものであるため、記録時の入力間違いや入力漏れが生じるおそれがあり、感光体交換時期を高い確度で検出することは困難である。
特許文献1には、画像形成装置本体に備わった入力部から保守員のキー操作によって入力される感光体等の交換対象部品の識別情報を含む交換履歴情報を記憶媒体に登録するとともに、交換対象部品の交換が行われたときに、入力部から新たに入力される交換対象部品の識別情報を記憶媒体内の交換履歴情報に追加する画像形成装置の管理方法が開示されている。この交換履歴情報には実際に部品交換を行った日付が含まれるので、この方法によれば、交換履歴情報を参照することで感光体の交換時期を検出することができる。
また、特許文献2には、感光体が装着されているか否かを検出するセンサを備え、感光体が装着されたことを検知すると感光体が交換されたものと判断して、感光体交換履歴情報を記録する方法が開示されている。
また、特許文献3には、新品の消耗品(感光体等)に新品であることを示す識別片を設け、画像形成装置に新品の消耗品(感光体等)を交換セットしたときに当該消耗品の識別片と連携して交換のあったことを検知し、その検知結果から消耗品の交換時期が記憶される方法が開示されている。この方法においては、消耗品の交換検知後に新品表示用の識別片を消去する手段が画像形成装置に備わっているので、新品でない消耗品を装着したときに新品の消耗品が交換されたと誤判断されることはないので、感光体交換時期を高い確度で検出することが可能である。
ところが、特許文献1に開示の方法では、交換履歴情報を保守員の手作業によって入力するので、上述した保守作業レポートを記録する場合と同様、入力間違いや入力漏れが生じるおそれがあり、感光体交換時期を高い確度で検出することは困難である。
上記特許文献2に開示の方法によれば、感光体が装着されているか否かを検出するセンサの検知結果に基づいて感光体交換履歴情報を記録するので、保守員の手作業が介在しない点で、人的ミスを排除して感光体交換時期を検出することが可能である。しかしながら、この方法では、例えば一度取り外した感光体を直ぐに装着した場合など、新品でない感光体を装着したときも新品の感光体を装着したときも区別無く感光体が交換されたものと判断されてしまう。そのため、新品の感光体へ交換したときの感光体交換時期については高い確度で検出することができない。
上記特許文献3に開示の方法によれば、感光体に設けられた新品表示用の識別片と連動して感光体交換を検知するので、人的ミスを排除し、かつ、新品でない感光体が装着された場合と区別して新品の感光体が交換された時期を検出することができる。よって、新品の感光体へ交換したときの感光体交換時期を高い確度で検出することが可能である。
しかしながら、上記特許文献3に開示の方法では、新品表示用の識別片を感光体に設ける必要があり、また、新品の感光体を画像形成装置に装着した後に当該識別片を消去するための手段を画像形成装置に設ける必要があり、部品コストや製造コストが高騰するという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、感光体等の潜像担持体を新品の潜像担持体に交換した交換時期を高い確度で検出することを低コストで実現することができる画像形成システム及び潜像担持体交換時期検出方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、交換可能な潜像担持体の表面上に形成された潜像を現像して可視画像を形成し、該可視画像を最終的に記録材上へ転写することで画像形成を行う画像形成装置と、上記画像形成装置に設けられ、該画像形成装置内の所定の物性値を連続的に又は断続的に検知する物性値検知手段とを備えた画像形成システムにおいて、上記物性値検知手段が検知する物性値のうち潜像担持体の交換前後で変化する1種類または2種類以上の特定物性値のデータを記憶するデータ記憶手段と、上記データ記憶手段に記憶された特定物性値の時間変化に基づいて潜像担持体交換時期を検出する処理を実行する潜像担持体交換時期検出手段とを有することを特徴とする。
一般に、画像形成装置には、画像形成装置内の様々な物性値(画像形成装置を構成する部材や物質の電気的、機械的、光学的、熱的、磁気的などの性質を示す値)を検知する多数のセンサ(物性値検知手段)が備わっている。本発明者らは、鋭意研究の結果、これらの物性値検知手段によって検知される物性値の中に、新品の潜像担持体への交換時期(潜像担持体交換時期)の前後で変化する物性値(特定物性値)が含まれるという知見を得た。本発明は、この知見に基づき、このような特定物性値の時間変化に基づいて潜像担持体交換時期を検出する。このような特定物性値の検知結果には、保守員の手作業が介在しないので、人的ミスを排除して潜像担持体交換時期を検出することができる。また、新品でない潜像担持体が装着された場合と区別して新品の潜像担持体が交換された時期を検出することができる。更には、本発明によれば、潜像担持体交換時期を検出する特定物性値の検知手段として、画像形成装置の各種制御や各種処理に使用される物性値検知手段を利用することが可能である。したがって、上記特許文献2に開示の方法のように、潜像担持体に識別片を設けたり、画像形成装置内に識別片を消去するための手段を設けたりするなど、潜像担持体交換時期の検出専用の新たな部材を追加しないでも、潜像担持体交換時期を検出することが可能である。よって、低コストの実現が容易である。
以上、本発明によれば、感光体等の潜像担持体の交換時期を高い確度で検出することを低コストで実現することができるという優れた効果が得られる。
実施形態に係る保守支援システムにおける保守対象である複写機の一例を示す概略構成図である。 同複写機のプリンタ部を示す拡大構成図である。 同プリンタ部におけるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。 同複写機の制御系を示すブロック図である。 感光体交換前後における感光体残留電位と累積プリント枚数との関係の概要を示すグラフである。 実施形態における感光体交換時期の検出処理の流れを示すフローチャートである。 感光体交換前後にわたって感光体残留電位の検知データをプロットしたグラフである。 検出候補時点を実際の感光体交換時期前の直近の時期に設定したときの近似式を示したグラフである。 検出候補時点を実際の感光体交換時期後の直近の時期に設定したときの近似式を示したグラフである。 感光体残留電位の変化値levelの時間変化を示すグラフである。 複数回の感光体交換が行われた長期間にわたる感光体残留電位の検知データを示すグラフである。 一次近似する近似対象期間をずらしながら、各近似対象期間の終了時点における近似値をプロットしたグラフである。 一次近似する近似対象期間をずらしながら、各近似対象期間の開始時点における近似値をプロットしたグラフである。 互いに時期が隣接する後端近似値と前端近似値との差分値をプロットしたグラフである。 図14に示した差分値のデータを−30[V]以下であるか否かで2値化したときのグラフである。 複数回の感光体交換が行われた長期間にわたる感光体残留電位の検知データとともに、実際の感光体交換時期、本実施形態によって検出される感光体交換時期、感光体カウント値のリセット時期を示したグラフである。 他の例において、複数回の感光体交換が行われた長期間にわたる感光体残留電位の最小二乗法による近似値を示すグラフである。
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式の複写機(以下、単に「複写機」という。)を備える画像形成システムに適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る保守支援システムにおける保守対象である複写機の一例を示す概略構成図である。
この複写機は、プリンタ部100と給紙部200とからなる画像形成手段と、スキャナ部300と、原稿搬送部400とを備えている。スキャナ部300はプリンタ部100上に取り付けられ、そのスキャナ部300の上に原稿自動搬送装置(ADF)からなる原稿搬送部400が取り付けられている。
スキャナ部300は、コンタクトガラス32上に載置された原稿の画像情報を読取センサ36で読み取り、読み取った画像情報を図示しない制御部に送る。制御部は、スキャナ部300から受け取った画像情報に基づき、プリンタ部100の露光装置21内に配設された図示しないレーザやLED等を制御してドラム状の4つの感光体40K,40Y,40M,40Cに向けてレーザ書き込み光Lを照射させる。この照射により、感光体40K,40Y,40M,40Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK、Y、M、Cという添字は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン用の仕様であることを示している。
プリンタ部100は、露光装置21の他、1次転写ローラ62K,62Y,62M,62C、2次転写装置22、定着装置25、排紙装置、図示しないトナー供給装置、トナー供給装置等も備えている。
給紙部200は、プリンタ部100の下方に配設された自動給紙部と、プリンタ部100の側面に配設された手差し部とを有している。そして、自動給紙部は、ペーパーバンク43内に多段に配設された2つの給紙カセット44、給紙カセットから記録体たる転写紙を繰り出す給紙ローラ42、繰り出した転写紙を分離して給紙路46に送り出す分離ローラ45等を有している。また、プリンタ部100の給紙路48に転写紙を搬送する搬送ローラ47等も有している。一方、手差し部は、手差しトレイ51、手差しトレイ51上の転写紙を手差し給紙路53に向けて一枚ずつ分離する分離ローラ52等を有している。
プリンタ部100の給紙路48の末端付近には、レジストローラ対49が配設されている。このレジストローラ対49は、給紙カセット44や手差しトレイ51から送られてくる転写紙を受け入れた後、所定のタイミングで中間転写体たる中間転写ベルト10と2次転写装置22との間に形成される2次転写ニップに送る。
操作者は、カラー画像のコピーをとるときに、原稿搬送部400の原稿台30上に原稿をセットする。あるいは、原稿搬送部400を開いてスキャナ部300のコンタクトガラス32上に原稿をセットした後、原稿搬送部400を閉じて原稿を押さえる。そして、図示しないスタートスイッチを押す。すると、原稿搬送部400に原稿がセットされている場合には原稿がコンタクトガラス32上に搬送された後に、コンタクトガラス32上に原稿がセットされている場合には直ちに、スキャナ部300が駆動を開始する。そして、第1走行体33及び第2走行体34が走行し、第1走行体33の光源から発せられる光が原稿面で反射した後、第2走行体34に向かう。更に、第2走行体34のミラーで反射してから結像レンズ35を経由して読取りセンサ36に至り、画像情報として読み取られる。
このようにして画像情報が読み取られると、プリンタ部100は、図示しない駆動モータで支持ローラ14,15,16の1つを回転駆動させながら他の2つの支持ローラを従動回転させる。そして、これらローラに張架される中間転写ベルト10を無端移動させる。更に、上述のようなレーザ書き込みや、後述する現像プロセスを実施する。そして、感光体40K,40Y,40M,40Cを回転させながら、それらに、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。これらは、感光体40K,40Y,40M,40Cと中間転写ベルト10とが当接するK、Y、M、C用の1次転写ニップで順次重ね合わせて静電転写されて4色重ね合わせトナー像になる。感光体40K,40Y,40M,40C上にトナー像を形成する。
一方、給紙部200は、画像情報に応じたサイズの転写紙を給紙すべく、3つの給紙ローラのうちの何れか1つを作動させて、転写紙をプリンタ部100の給紙路48に導く。給紙路48内に進入した転写紙は、レジストローラ対49に挟み込まれて一旦停止した後、タイミングを合わせて、中間転写ベルト10と2次転写装置22の2次転写ローラ23との当接部である2次転写ニップに送り込まれる。すると、2次転写ニップにおいて、中間転写ベルト10上の4色重ね合わせトナー像と、転写紙とが同期して密着する。そして、ニップに形成されている転写用電界やニップ圧などの影響によって4色重ね合わせトナー像が転写紙上に2次転写され、紙の白色と相まってフルカラー画像となる。
2次転写ニップを通過した転写紙は、2次転写装置22の搬送ベルト24の無端移動によって定着装置25に送り込まれる。そして、定着装置25の加圧ローラ27による加圧力と、加熱ベルトによる加熱との作用によってフルカラー画像が定着せしめられた後、排出ローラ56を経てプリンタ部100の側面に設けられた排紙トレイ57上に排出される。
図2は、プリンタ部100を示す拡大構成図である。
プリンタ部100は、ベルトユニット、各色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット18K,18Y,18M,18C、2次転写装置22、ベルトクリーニング装置17、定着装置25等を備えている。
ベルトユニットは、複数のローラに張架した中間転写ベルト10を、感光体40K,40Y,40M,40Cに当接させながら無端移動させる。感光体40K,40Y,40M,40Cと中間転写ベルト10とを当接させるK、Y、M、C用の1次転写ニップでは、1次転写ローラ62K,62Y,62M,62Cによって中間転写ベルト10を裏面側から感光体40K,40Y,40M,40Cに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62K,62Y,62M,62Cには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、K、Y、M、C用の1次転写ニップには、感光体40K,40Y,40M,40C上のトナー像を中間転写ベルト10に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。各1次転写ローラ62K,62Y,62M,62Cの間には、中間転写ベルト10の裏面に接触する導電性ローラ74がそれぞれ配設されている。これら導電性ローラ74は、1次転写ローラ62K,62Y,62M,62Cに印加される1次転写バイアスが、中間転写ベルト10の裏面側にある中抵抗の基層を介して隣接するプロセスユニットに流れ込むことを阻止するものである。
プロセスユニット18K,18Y,18M,18Cは、感光体40K,40Y,40M,40Cと、その他の幾つかの装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ部100に対して着脱可能になっている。ブラック用のプロセスユニット18Kを例にすると、これは、感光体40Kの他、感光体40K表面に形成された静電潜像をブラックトナー像に現像するための現像手段たる現像ユニット61Kを有している。また、1次転写ニップを通過した後の感光体40K表面に付着している転写残トナーをクリーニングする感光体クリーニング装置63Kも有している。また、クリーニング後の感光体40K表面を除電する図示しない除電装置や、除電後の感光体40K表面を一様帯電せしめる図示しない帯電装置なども有している。他色用のプロセスユニット18Y,18M,18Cも、取り扱うトナーの色が異なる他は、ほぼ同様の構成になっている。本複写機では、これら4つのプロセスユニット18K,18Y,18M,18Cを、中間転写ベルト10に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設したいわゆるタンデム型の構成になっている。
図3は、4つのプロセスユニット18K,18Y,18M,18Cからなるタンデム部20の一部を示す部分拡大図である。
なお、4つのプロセスユニット18K,18Y,18M,18Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、同図においては各符号に付すK、Y、M、Cという添字を省略している。同図に示すように、プロセスユニット18は、感光体40の周りに、帯電手段としての帯電装置60、現像装置61、1次転写手段としての1次転写ローラ62、感光体クリーニング装置63、除電装置64等を備えている。
感光体40としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材を塗布し、感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。また、帯電装置60としては、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体40に当接させながら回転させるものを用いている。感光体40に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
現像装置61は、磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ65に供給する攪拌部66と、現像スリーブ65に付着した二成分現像剤のうちのトナーを感光体40K,40Y,40M,40Cに転移させる現像部67とを有している。
攪拌部66は、現像部67よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本のスクリュウ68、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、現像ケース70の底面に設けられたトナー濃度センサ71などを有している。
現像部67は、現像ケース70の開口を通して感光体40に対向する現像スリーブ65、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ72、現像スリーブ65に先端を接近させるドクタブレード73などを有している。ドクタブレード73と現像スリーブ65との間の最接近部における間隔は500[μm]程度に設定されている。現像スリーブ65は、非磁性の回転可能なスリーブ状の形状になっている。また、現像スリーブ65に連れ回らないようにないようされるマグネットローラ72は、例えば、ドクタブレード73の箇所から現像スリーブ65の回転方向にN1、S1、N2、S2、S3の5磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部66から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ65表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転に伴ってドクタブレード73との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体40に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ65に印加される現像バイアスと、感光体40の静電潜像との電位差によって静電潜像上に転移して現像に寄与する。更に、現像スリーブ65の回転に伴って再び現像部67内に戻り、マグネットローラ72の磁極間の反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部66に戻される。攪拌部66内では、トナー濃度センサ71による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。なお、現像装置61として、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
感光体クリーニング装置63としては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を感光体40に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体40に接触させる接触導電性のファーブラシ76を、図中矢印方向に回転自在に有するクリーニング装置63を採用している。そして、ファーブラシ76にバイアスを印加する金属製電界ローラ77を図中矢示方向に回転自在に設け、その電界ローラ77にスクレーパ78の先端を押し当てている。スクレーパ78によって電界ローラ77から除去されたトナーは、回収スクリュ79上に落下して回収される。
かかる構成の感光体クリーニング装置63は、感光体40に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ76で、感光体40上の残留トナーを除去する。ファーブラシ76に付着したトナーは、ファーブラシ76に対してカウンタ方向に接触して回転するバイアスを印加された電界ローラ77に取り除かれる。電界ローラ77に付着したトナーは、スクレーパ78でクリーニングされる。感光体クリーニング装置63で回収したトナーは、回収スクリュ79で感光体クリーニング装置63の片側に寄せられ、トナーリサイクル装置80で現像装置61へと戻されて再利用される。
除電装置64は、除電ランプ等からなり、光を照射して感光体40の表面電位を除去する。このようにして除電された感光体40の表面は、帯電装置60によって一様帯電せしめられた後、光書込処理がなされる。
ベルトユニットの図中下方には、2次転写装置22が設けられている。この2次転写装置22は、2つのローラ23間に、2次転写ベルト24を掛け渡して無端移動させている。2つのローラ23のうち、一方は図示しない電源によって2次転写バイアスが印加される2次転写ローラとなっており、ベルトユニットのローラ16との間に中間転写ベルト10と2次転写ベルト24とを挟み込んでいる。これにより、両ベルトが当接しながら当接部で互いに同方向に移動する2次転写ニップが形成されている。レジストローラ対49からこの2次転写ニップに送り込まれた転写紙には、中間転写ベルト10上の4色重ね合わせトナー像が2次転写電界やニップ圧の影響で一括2次転写されて、フルカラー画像が形成される。2次転写ニップを通過した転写紙は、中間転写ベルト10から離間して、2次転写ベルト24の表面に保持されながら、ベルトの無端移動に伴って定着装置25へと搬送される。なお、2次転写ローラに代えて、転写チャージャ等によって2次転写を行わせるようにしてもよい。
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト10の表面は、支持ローラ15による支持位置にさしかかる。ここでは、中間転写ベルト10が、おもて面(ループ外面)に当接するベルトクリーニング装置17と、裏面に当接する支持ローラ15との間に挟み込まれる。そして、ベルトクリーニング装置17により、おもて面に付着している転写残トナーが除去された後、K、Y、M、C用の1次転写ニップに順次進入して、次の4色トナー像が重ね合わされる。
ベルトクリーニング装置17は、2つのファーブラシ90,91を有している。これらは、複数の起毛をその植毛方向に対してカウンタ方向で中間転写ベルト10に当接させながら回転することで、ベルト上の転写残トナーを機械的に掻き取る。加えて、図示しない電源によってクリーニングバイアスが印加されることで、掻き取った転写残トナーを静電的に引き寄せて回収する。
ファーブラシ90,91に対しては、それぞれ金属ローラ92,93が接触しながら、順または逆方向に回転している。これら金属ローラ92,93のうち、中間転写ベルト10の回転方向上流側に位置する金属ローラ92には、電源94によってマイナス極性の電圧が印加されている。また、下流側に位置する金属ローラ93には、電源95によってプラス極性の電圧が印加される。そして、それらの金属ローラ92,93には、それぞれブレード96,97の先端が当接している。かかる構成では、中間転写ベルト10の図中矢印方向への無端移動に伴って、まず、上流側のファーブラシ90が中間転写ベルト10表面をクリーニングする。このとき、例えば金属ローラ92に−700[V]が印加されながら、ファーブラシ90に−400[V]が印加されると、まず、中間転写ベルト10上のプラス極性のトナーがファーブラシ90側に静電転移する。そして、ファーブラシ側に転移したトナーが更に電位差によってファーブラシ90から金属ローラ92に転移して、ブレード96によって掻き落とされる。
このように、ファーブラシ90で中間転写ベルト10上のトナーが除去されるが、中間転写ベルト10上にはまだ多くのトナーが残っている。それらのトナーは、ファーブラシ90に印加されるマイナス極性のバイアスにより、マイナスに帯電される。次いで下流側のファーブラシ91を用いて今度はプラス極性のバイアスを印加してクリーニングを行うことにより、それらのトナーを除去することができる。除去したトナーは、電位差によりファーブラシ91から金属ローラ93に転移させ、ブレード97により掻き落とす。ブレード96、97で掻き落としたトナーは、不図示のタンクに回収される。
ファーブラシ91でクリーニングされた後の中間転写ベルト10表面は、ほとんどのトナーが除去されているがまだ少しのトナーが残っている。これらの中間転写ベルト10上に残ったトナーは、上述したようにファーブラシ91に印加されるプラス極性のバイアスにより、プラス極性に帯電される。そして、1次転写位置で印加される転写電界によって感光体40K,40Y,40M,40C側に転写され、感光体クリーニング装置63で回収される。
レジストローラ対49は一般的には接地されて使用されることが多いが、転写紙Pの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
2次転写装置22および定着装置25の下には、上述したタンデム部20と平行に延びるような、転写紙反転装置28(図1参照)が設けられている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙が、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び2次転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ上に排紙される。
次に、本実施形態において検出される複写機内の所定の物性値の例について説明する。
図4は、本複写機の制御ブロック図である
本複写機の制御系は、制御部1、各種センサ2、操作表示部3などから構成される。制御部1は、複写機全体の制御を司る制御手段であり、制御プログラムを記憶しているデータ記憶手段たるROM1c、演算データや制御パラメータ等を記憶するデータ記憶手段たるRAM1b、演算手段たるCPU1a、データ記憶手段たる不揮発性RAM1d等を有している。操作表示部3は、文字情報等を表示する液晶ディスプレイ等から構成される表示部3aや、テンキー等などによって操作者から入力情報を受け付けて制御部1に送る操作部3bなどを有している。
制御部1や各種センサ2によって構成される物性値検知手段は、感光体表面の残留電位(除電処理後の感光体表面電位)などの各種物性値を検知する。また、制御部1や各種センサ2は、物性値以外にも、画像形成装置動作の制御や処理あるいは保守(異常予測など)に有用な情報を取得する。このような各種物性値や情報(以下「特性値」という。)としては、センシング情報、制御パラメータ情報、入力情報、画像読取情報などが挙げられる。以下、これらの情報について詳述する。
(a)センシング情報
センシング情報としては、駆動関係、記録媒体の各種特性、現像剤特性、感光体特性、電子写真の各種プロセス状態、環境条件、記録物の各種特性などが取得する対象として考えられる。これらのセンシング情報の概要を説明すると、以下のようになる。
(a−1)駆動の情報
感光体ドラムの回転速度をエンコーダーで検出したり、駆動モータの電流値を読み取ったり、駆動モータの温度を読み取る。同様にして、定着ローラ、紙搬送ローラ、駆動ローラなどの円筒状またはベルト状の回転する部品の駆動状態を検出する。駆動により発生する音を装置内部または外部に設置されたマイクロフォンで検出する。
(a−2)紙搬送の状態
透過型または反射型の光センサ、あるいは接触タイプのセンサにより、搬送された紙の先端や後端の位置を読み取ったり、紙詰まりが発生したことを検出したり、紙の先端や後端の通過タイミングのずれ、送り方向と垂直な方向の変動を読み取ったりする。同様に、複数のセンサ間の検出タイミングにより、紙の移動速度を求める。給紙時の給紙ローラと紙とのスリップを、ローラの回転数計測値と紙の移動量との比較で求める。
(a−3)紙などの記録媒体の各種特性
この情報は、画質やシート搬送の安定性に大きく影響する。この紙種の情報取得には以下のような方法がある。紙の厚みは、紙を二つのローラで挟み、ローラの相対的な位置変位を光学センサ等で検知したり、紙が進入してくることによって押し上げられる部材の移動量と同等の変位量を検知したりすることによって求める。紙の表面粗さは、転写前の紙の表面にガイド等を接触させ、その接触によって生じる振動や摺動音等を検知する。紙の光沢は、規定された入射角で規定の開き角の光束を入射し、鏡面反射方向に反射する規定の開き角の光束をセンサで測定する。紙の剛性は、押圧された紙の変形量(湾曲量)を検知することにより求める。再生紙か否かの判断は、紙に紫外線を照射してその透過率を検出して行う。裏紙か否かの判断は、LEDアレイ等の線状光源から光を照射し、転写面から反射した光をCCD等の固体撮像素子で検出して行う。OHP用のシートか否かは、用紙に光を照射し、透過光と角度の異なる正反射光を検出して判断する。紙に含まれている水分量は、赤外線またはμ波の光の吸収を測定することにより求める。カール量は光センサ、接触センサなどで検出する。紙の電気抵抗は、一対の電極(給紙ローラなど)を記録紙と接触させて直接測定したり、紙転写後の感光体や中間転写体の表面電位を測定したりして、その値から記録紙の抵抗値を推定する。
(a−4)現像剤特性
現像剤(トナーやキャリア)の装置内での特性は、電子写真プロセスの機能の根幹に影響するものである。そのため、システムの動作や出力にとって重要な因子となる。現像剤の情報を得ることは極めて重要である。この現像剤特性としては、例えば次のような項目が挙げられる。トナーについては、帯電量およびその分布、流動性、凝集度、嵩密度、電気抵抗、外添剤量、消費量または残量、流動性、トナー濃度(トナーとキャリアの混合比)を挙げることができる。キャリアについては、磁気特性、コート膜厚、スペント量などを挙げることができる。これらの情報を画像形成装置の中で単独で検出することは通常困難である。そこで、現像剤の総合的な特性として検出すると良い。この現像剤の総合的な特性は、例えば次のように測定することができる。感光体上にテスト用潜像を形成し、予め決められた現像条件で現像して、形成されたトナー像の反射濃度(光反射率)を測定する。現像装置中に一対の電極を設け、印加電圧と電流の関係(抵抗、誘電率など)を測定する。現像装置中にコイルを設け、電圧電流特性(インダクタンス)を測定する。現像装置中にレベルセンサを設けて、現像剤容量を検出する。レベルセンサは光学式、静電容量式などがある。
(a−5)感光体特性
感光体特性も現像剤特性と同じく、電子写真プロセスの機能と密接に関わる。この感光体特性の情報としては、感光体の膜厚、表面特性(摩擦係数、凹凸)、一様帯電電位、残留電位、表面エネルギー、散乱光、温度、色、表面位置(フレ)、線速度、電位減衰速度、電気抵抗、静電容量、表面水分量などが挙げられる。このうち、画像形成装置の中では、次のような情報を検出できる。膜厚変化に伴う静電容量の変化を、帯電部材から感光体に流れる電流を検知し、同時に帯電部材への印加電圧と予め設定された感光体の誘電厚みに対する電圧電流特性と照合することにより、膜厚を求める。残留電位や温度は従来周知のセンサで求めることができる。線速度は感光体回転軸に取り付けられたエンコーダーなどで検出される。感光体表面からの散乱光は光センサで検出される。
(a−6)電子写真プロセス状態
電子写真方式によるトナー像形成は、周知のように、感光体の均一帯電、レーザー光などによる潜像形成(像露光)、電荷を持ったトナー(着色粒子)による現像、転写材へのトナー像の転写(カラーの場合は中間転写体または最終転写材である記録媒体での重ね合わせ、または現像時に感光体への重ね現像を行う。)、記録媒体へのトナー像の定着という順序で行われる。これらの各段階での様々な情報は、画像その他のシステムの出力に大きく影響を与える。これらを取得することがシステムの安定を評価する上で重要となる。この電子写真プロセス状態の情報取得の具体例としては、次のようなものが挙げられる。帯電電位、露光部電位は従来公知の表面電位センサにより検出される。非接触帯電における帯電部材と感光体とのギャップは、ギャップを通過させた光の量を測定することにより検知する。帯電による電磁波は広帯域アンテナにより捉える。そのほか、帯電による発生音、露光強度、露光光波長なども取得する。
また、トナー像の様々な状態を取得すること方法としては、次のようなものが挙げられる。パイルハイト(トナー像の高さ)を、変位センサで縦方向から奥行きを、平行光のリニアセンサで横方向から遮光長を計測して求める。トナー帯電量を、ベタ部の静電潜像の電位、その潜像が現像された状態での電位を測定する電位センサにより測定し、同じ箇所の反射濃度センサから換算した付着量との比により求める。ドット揺らぎまたはチリを、ドットパターン画像を感光体上においては赤外光のエリアセンサ、中間転写体上においては各色に応じた波長のエリアセンサで検知し、適当な処理をすることにより求める。オフセット量(定着後)を、記録紙上と定着ローラ上の対応する場所をそれぞれ光学センサで読み取って、両者比較することにより求める。転写工程後(PD上,ベルト上)に光学センサを設置し,特定パターンの転写後の転写残パターンからの反射光量で転写残量を判断する。重ね合わせ時の色ムラを定着後の記録紙上を検知するフルカラーセンサで検知する。
(a−7)形成されたトナー像の特性
画像濃度、色は光学的に検知する。反射光、透過光のいずれでもよい。色に応じて投光波長を選択すればよい。濃度及び単色情報を得るには感光体上または中間転写体上でよいが、色ムラなど,色のコンビネーションを測るには紙上の必要がある。階調性は、階調レベルごとに感光体上に形成されたトナー像または転写体に転写されたトナー像の反射濃度を光学センサにより検出する。鮮鋭性は、スポット径の小さい単眼センサ、若しくは高解像度のラインセンサを用いて、ライン繰り返しパターンを現像または転写した画像を読み取ることにより求める。粒状性(ざらつき感)は、鮮鋭性の検出と同じ方法により、ハーフトーン画像を読み取り、ノイズ成分を算出することにより求める。レジストスキューは、レジスト後の主走査方向両端に光学センサを設け、レジストローラONタイミングと両センサの検知タイミングとの差異から求める。色ずれは、中間転写体または記録紙上の重ね合わせ画像のエッジ部を、単眼の小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサで検知する。バンディング(送り方向の濃度むら)は、記録紙上で小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサにより副走査方向の濃度ムラを測定し、特定周波数の信号量を計測する。光沢度(むら)は、均一画像が形成された記録紙を正反射式光学センサで検知するように設ける。かぶりは、感光体上、中間転写体上、または記録紙上において、比較的広範囲の領域を検知する光学センサで画像背景部を読み取る方法、または高解像度のエリアセンサで背景部のエリアごと画像情報を取得し、その画像に含まれるトナー粒子数を数えるという方法がある。
(a−8)画像形成装置のプリント物の物理的な特性
像流れや画像かすれなどは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上でトナー像をエリアセンサにより検知し、取得した画像情報を画像処理して判定する。トナーチリ汚れは記録紙上の画像を高解像度ラインセンサまたはエリアセンサで取り込み、パターン部の周辺に散っているトナー量を算定することにより求める。後端白抜け、ベタクロス白抜けは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上で高解像度ラインセンサにより検知する。記録紙のカール、波打ち、折れは、変位センサで検出する。折れの検出のためには記録紙の両端部分に近い所にセンサを設置することが有効である。コバ面の汚れやキズは、排紙トレイに縦に設けたエリアセンサにより,ある程度排紙が溜まった時のコバ面をエリアセンサで撮影,解析する。
(a−9)環境状態
温度検出には、異種金属どうし或いは金属と半導体どうしを接合した接点に発生する熱起電力を信号として取り出す熱電対方式、金属或いは半導体の抵抗率が温度によって変化することを利用した抵抗率変化素子、また、或る種の結晶では温度が上昇したことにより結晶内の電荷の配置に偏りが生じ表面に電位発生する焦電型素子、更には、温度による磁気特性の変化を検出する熱磁気効果素子などを採用することができる。湿度検出には、HO或いはOH基の光吸収を測定する光学的測定法、水蒸気の吸着による材料の電気抵抗値変化を測定する湿度センサ等がある。各種ガスは、基本的にはガスの吸着に伴う、酸化物半導体の電気抵抗の変化を測定することにより検出する。気流(方向、流速、ガス種)の検出には、光学的測定法等があるが、システムへの搭載を考慮するとより小型にできるエアブリッジ型フローセンサが特に有用である。気圧、圧力の検出には、感圧材料を使用する、メンブレンの機械的変位を測定する等の方法がある。振動の検出にも同様に方法が用いられる。
(b)制御パラメータ情報
画像形成装置の動作は制御部によって決定されるため、制御部の入出力パラメータを直接利用することが有効である。
(b−1)画像形成パラメータ
画像形成のために制御部が演算処理により出力する直接的なパラメータでは、例えば、制御部によるプロセス条件の設定値で、帯電電位、現像バイアス値、定着温度設定値などがある。同じく、中間調処理やカラー補正などの各種画像処理パラメータの設定値、制御部が装置の動作のために設定する各種のパラメータで、例えば紙搬送のタイミング、画像形成前の準備モードの実行時間などもある。
(b−2)ユーザー操作履歴
ユーザー操作履歴の情報としては、色数、枚数、画質指示など、ユーザーにより選択された各種操作の頻度、ユーザーが選択した用紙サイズの頻度などが挙げられる。
(b−3)消費電力
消費電力の情報としては、全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の総合消費電力あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)などが挙げられる。
(b−4)消耗品消費情報
消耗品消費情報としては、全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)のトナー、感光体、紙の使用量あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)などが挙げられる。感光体の使用量については、制御部1のCPU1aが、その使用量を示す感光体カウント値を不揮発性RAM1dに記憶する。この感光体カウント値は、通常、感光体40を新しい感光体に交換した際に、保守員の手作業でリセット(クリア)される。
(b−5)異常発生情報
異常発生情報としては、全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の異常発生(種類別)の頻度あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)などが挙げられる。
(b−6)累積動作時間情報
制御部1は、プロセスユニット、中間転写ベルト10、各種ローラ、ベルトクリーニング装置17、定着装置25などの各種部品それぞれについて、累積動作時間を計測して不揮発性RAM1d内に記憶している。なお、各色のプロセスユニット18K,18Y,18M,18Cは、プロセスユニットの状態で複写機本体に対して着脱するようになっているが、複写機本体から取り外した状態で、現像ユニットと、帯電装置と、それ以外の部位を保持する感光体ユニットとに分解することができる。部品の交換については、プロセスユニット全体ではなく、現像ユニット、帯電装置、感光体ユニットの形態で交換することができる。このため、累積動作時間については、プロセスユニット全体としてではなく、現像ユニットと帯電装置と感光体ユニットとをそれぞれ別々に計測している。また、累積動作時間としては、累積プリント枚数をカウントしている。プリント1枚分の動作を行う毎に、累積プリント枚数のカウント値を1ずつカウントアップしている。
(c)入力画像情報
ホストコンピュータから直接データとして送られる画像情報、あるいは原稿画像からスキャナーで読み取って画像処理をした後に得られる画像情報から、以下のような情報を取得することができる。着色画素累積数はGRB信号別の画像データを画素ごとにカウントすることにより求められる。例えば特許第2621879号公報に記載されているような方法でオリジナル画像を文字、網点、写真、背景に分離し、文字部、ハーフトーン部などの比率を求めることができる。同様にして色文字の比率も求めることができる。着色画素の累積値を主走査方向で区切った領域別にカウントすることにより、主走査方向のトナー消費分布が求められる。画像サイズは制御部が発生する画像サイズ信号または画像データでの着色画素の分布により求められる。文字の種類(大きさ、フォント)は文字の属性データから求められる。
次に、複写機からの特性値の具体的取得法について説明する。
(1)温度
本複写機は、温度の情報を取得する温度センサとして、原理及び構造が簡単でしかも超小型にできる抵抗変化素子を用いるものを備えている。
(2)湿度
小型にできる湿度センサが有用である。基本原理は感湿性セラミックスに水蒸気が吸着すると、吸着水によりイオン伝導が増加しセラミックスの電気抵抗が低下することによる。感湿性セラミックスの材料は多孔質材料であり、一般的にはアルミナ系、アパタイト系、ZrO−MgO系などが使用される。
(3)振動
振動センサは、基本的には気圧及び圧力を測定するセンサと同じであり、システムへの搭載を考慮すると超小型にできるシリコン利用のセンサが特に有用である。薄いシリコンのダイアフラム上に作製した振動子の運動を、振動子と対向して設けられた対向電極間との容量変化を計測する、或いはSiダイアフラム自体のピエゾ抵抗効果を利用して計測することができる。
(4)トナー濃度(4色分)
色ごとにトナー濃度を検出する。トナー濃度センサとしては公知の方式のものを用いることができる。例えば、特開平6−289717号公報に記載されているような現像装置中の現像剤の透磁率の変化を測定するセンシングシステムにより、トナー濃度を検出することができる。
(5)感光体一様帯電電位(4色分)
各色用の感光体40K,40Y,40M,40Cについて、それぞれ一様帯電電位を検出する。物体の表面電位を検知する公知の表面電位センサを用いることができる。
(6)感光体露光後電位(4色分)
光書込後の感光体40K,40Y,40M,40Cの表面電位を、(5)と同様にして検出する。
(7)感光体残留電位(4色分)
除電装置64による除電処理後の感光体40K,40Y,40M,40Cの表面電位を、(5)と同様にして検出する。
(8)着色面積率(4色分)
入力画像情報から、着色しようとする画素の累計値と全画素の累計値の比から着色面積率を色ごとに求め、これを利用する。
(9)現像トナー量(4色分)
感光体40K,40Y,40M,40C上で現像された各色トナー像における単位面積あたりのトナー付着量を、反射型フォトセンサによる光反射率に基づいて求める。反射型フォトセンサは対象物にLED光を照射し、反射光を受光素子で検出するものである。トナー付着量と光反射率とには相関関係が成立するため、光反射率に基づいてトナー付着量を求めることができる。
(10)紙先端位置の傾き
給紙部200の給紙ローラから2次転写ニップに至る給紙経路のどこかに、転写紙をその搬送方向に直交する方向の両端で検知する光センサ対を設置し、搬送されてくる転写紙の先端付近の両端を検出する。両光センサについて、給紙ローラの駆動信号の発信時を基準として、通過までの時間を計測し、時間のズレに基づいて送り方向に対する転写紙の傾きを求める。
(11)排紙タイミング
排出ローラ対56を通過後の転写紙を光センサで検出する。この場合も給紙ローラの駆動信号の発信時を基準として計測する。
(12)感光体総電流(4色分)
感光体40K,40Y,40M,40Cからアースに流れ出る電流を検出する。感光体の基板と接地端子との間に、電流測定手段を設けることで、かかる電流を検出することができる。
(13)感光体駆動電力(4色分)
感光体の駆動源(モータ)が駆動中に費やす駆動電力(電流×電圧)を電流計や電圧計などによって検出する。
制御部1は、以上のような各種の特性値を定期的にサンプリングして、データ記憶手段としての不揮発性RAM1dに追記的に記憶する。
次に、本発明の特徴部分である、感光体40を新しいものに交換した時期を検出する方法について説明する。
図5は、感光体40の交換前後における感光体の残留電位と累積プリント枚数との関係の概要を示すグラフである。
このグラフは、横軸に累積プリント枚数をとり、縦軸に感光体残留電位をとったものである。感光体40の残留電位とは、感光体40の帯電処理の前プロセスにおいて除電装置64による除電処理で除電しきれずに感光体表面に残留した電荷により発生する感光体表面電位である。一般に、除電処理で除電しきれずに感光体表面に残留する残留電荷の量は、感光体40の繰り返し使用によって増大する傾向にある。
累積プリント枚数が増えて感光体が劣化するにつれて、残留電荷が増大するので、マイナス帯電性の感光体における残留電位の値は低くなっていく。感光体が寿命を迎え、新しい感光体に交換されると、感光体の残留電位は急に高い値をとるようになる。したがって、このような残留電位の変化時点を検知することで、感光体の交換時期を推定することができる。
初期時における感光体残留電位は、感光体ごとにばらつきがあり、図5に示す例でも、交換前の感光体の初期時における残留電位と、交換後の感光体の初期時における残留電位とが異なっている。初期の感光体残留電位の値は、感光体の個体差による影響を軽減するための情報として役立てることができるなど、解析者に非常に有益な情報である。感光体の交換時期を検出することで、交換後の感光体の初期の残留電位を得ることが可能となる。
以上のように、感光体残留電位は感光体40の交換前後で顕著に変化するデータであるので、本実施形態では、上述したように取得される特性値に含まれる各種物性値のうち、感光体残留電位(特定物性値)のデータを用いて、感光体40の交換時期を検出する。なお、感光体40の交換時期の検出に用いる特定物性値は、本複写機を構成する各種部材や物質の電気的、機械的、光学的、熱的、磁気的などの性質を示す物性値であって、感光体40の交換前後で値が有意に変化するものであれば、感光体残留電位に限られない。
図6は、本実施形態における感光体交換時期の検出処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態の制御部1は、感光体残留電位を検知する電位センサからの出力信号に基づいて感光体残留電位を所定のタイミング(ここでは累積プリント枚数1000枚ごとのタイミングとする。)で断続的に検知し、その検知データを不揮発性RAM1dに追記的に記憶する感光体残留電位の検知処理を行う(S1)。制御部1は、感光体交換時期の検出処理の実行指示を受けたら(S2のYes)、以下のように感光体交換時期の検出処理を実行する。
制御部1は、実行指示に係る感光体交換時期検出処理の検出対象期間内における最初の検出候補時点を特定する(S3)。ここでは、当該検出対象期間内で最も古い検出候補時点を最初の検出候補時点とする。その後、当該検出候補時点を挟んだ前後の予め決められた近似対象期間分だけ、不揮発性RAM1dに記憶されている感光体残留電位のデータを読み出す。そして、当該検出候補時点前の近似対象期間(前期間)の感光体残留電位のデータと、当該検出候補時点後の近似対象期間(後期間)の感光体残留電位のデータについて、それぞれ、一次関数に近似した近似式を算出する(S4)。本実施形態では、最小二乗法により感光体残留電位の近似式(y=ax+b)を算出する。
図7は、感光体40の交換前後にわたって感光体残留電位の検知データをプロットしたグラフである。
このグラフは、横軸に累積プリント枚数をとり、縦軸に感光体残留電位をとったものであるが、新品の感光体40の使用開始時期と累積プリント枚数がゼロである時点とは一致していない。このグラフに示されている2つの近似式(近似直線)は、実際に感光体40の交換が行われた時点を境にした前後の近似対象期間における近似式である。図示の例では、累積プリント枚数が12000枚と13000枚との間で感光体40の交換が行われたものである。また、近似対象期間は累積プリント枚数に換算して10000枚分とし、10点の感光体残留電位を最小二乗法により近似したものである。図7に示す例においては、累積プリント枚数が3000枚〜12000枚までの近似対象期間についての近似式1は、y=−1.27x−195.8である。一方、累積プリント枚数が13000枚〜22000枚までの近似対象期間についての近似式2は、y=−1.42x−152.9である。
図7に示すグラフを見ると、前期間終了時点(累積プリント枚数が12000枚の時点)における近似式1の近似値と、後期間開始時点(累積プリント枚数が13000枚の時点)における近似式2の近似値との間に、大きな差が生じていることがわかる。そこで、本実施形態では、この差分値を感光体交換による残留電位の変化値levelとして求める(S5)。そして、この変化値levelの大きさ(絶対値)が所定の規定値以上であるか否かを判断する(S6)。規定値以上であると判断された変化値levelについては、その変化の境の時期すなわち当該変化値levelに対応する検出候補時点に感光体の交換が行われた可能性が高いので、RAM1bに保存しておく(S7)。
次に、当該検出対象期間内で2番目に古い検出候補時点を特定し(S8のNo,S9)、その検出候補時点について上述した処理(S4〜S7)を行う。その後、この処理(S4〜S7)を当該検出対象期間内で最新の検出候補時点まで順次行う。その結果、RAM1bには、当該検出対象期間内において、規定値以上の大きさをもつ変化値levelを示したデータが蓄積される。
本実施形態では、この規定値を30[V]に設定している。図7の例では、前期間終了時点の近似値は、下記の式(1)に示すように、−207.23[V]である。また、後期間開始時点の近似値は、下記の式(2)に示すように、−152.9[V]である。したがって、実際に感光体40の交換が行われた累積プリント枚数が12000枚と13000枚との間の変化値levelは、下記の式(3)に示すように、54.33[V]であり、規定値(30[V])以上となっている。
y = −1.27 × 9 − 195.8 = −207.23 ・・・(1)
y = −1.42 × 0 − 152.9 = −152.9 ・・・(2)
変化値 = −152.9 − (−207.23) = 54.33 ・・・(3)
図8は、検出候補時点を実際の感光体交換時期前の直近の時期(累積プリント枚数が11000枚と12000枚との間)に設定したときの近似式を示したグラフである。
この場合、累積プリント枚数が2000枚〜11000枚までの近似対象期間についての近似式1は、y=−1.34x−195.7であり、累積プリント枚数が12000枚〜21000枚までの近似対象期間についての近似式2は、y=−1.84x−170.1である。この検出候補時点についての変化値levelは37.64となる。したがって、この検出候補時点における変化値levelの大きさも規定値(30[V])以上となっている。
図9は、検出候補時点を実際の感光体交換時期後の直近の時期(累積プリント枚数が13000枚と14000枚との間)に設定したときの近似式を示したグラフである。
この場合、累積プリント枚数が4000枚〜13000枚までの近似対象期間についての近似式1は、y=−1.28x−205.4であり、累積プリント枚数が14000枚〜23000枚までの近似対象期間についての近似式2は、y=−2.67x−147.2である。この検出候補時点についての変化値levelは46.62となる。したがって、この検出候補時点における変化値levelの大きさも規定値(30[V])以上となっている。
図10は、感光体残留電位の変化値levelの時間変化を示すグラフである。
本実施形態では、複数時点の感光体残留電位を用いて近似式を算出しているので、図8や図9に示したように、実際の感光体交換時期の近傍の検出候補時点については、変化値levelの大きさが規定値以上を示すことがある。ここで、規定値(30[V])以上となった変化値levelの中でも、最も大きな値を示す変化値levelを示す時期が感光体残留電位の変化量が最も大きい時期であり、感光体が交換されている可能性が最も高いと言える。そこで、本実施形態では、規定値(30[V])以上となった変化値levelの中で最も大きな値を示す変化値levelを特定し(S10)、その変化値levelに対応する検出候補時点を感光体交換時期として検出する(S11)。
本実施形態では、説明の簡略化のため、10点の近似を行った例で説明したが、より多くの点(例えば64点)での近似を行ってもよい。また、感光体残留電位の検知頻度を高めれば、検出される感光体交換時期をより狭い時期に限定することができる。また、本実施形態では、感光体交換時期を検出するための規定値を30[V]に設定したが、感光体の種類によって感光体残留電位の時間変化は異なるものとなるので、規定値は感光体の種類毎に適宜設定するのが好ましい。
図11は、複数回の感光体交換が行われた長期間にわたる感光体残留電位の検知データを示すグラフである。なお、図中破線で示す各時点C2〜C5は、感光体の累積使用量を示す感光体カウント値をリセット(クリア)した時点を示す。
感光体残留電位は、巨視的に見れば、上述したように感光体の使用量に応じて低くなっていき、新しい感光体に交換すると高い値に戻る。一方、微視的に見れば、感光体残留電位は、多数枚の連続プリント中に徐々に低下し、その後、感光体をある程度の期間休ませると、感光体残留電位は高い値に戻る。例えば、多数枚の連続プリント後に一晩プリントせずに休ませた場合、その翌朝には感光体残留電位は高い値に戻る。ただし、感光体が劣化している場合には、連続プリントを開始するとすぐに感光体残留電位が低くなる傾向にある。
以上のように、感光体残留電位は、日々のプリント動作中にも上下動するものである。そのため、図11に示すように、1本の感光体が劣化するまでの過程においても感光体残留電位は激しく変動する。そのため、感光体交換前後における感光体残留電位の時間変化を適切に見るためには、このような日々のプリント動作中の上下動の影響を軽減させる必要がある。本実施形態では、上述したように、このような感光体残留電位の検知データを一次近似し、その近似値を使って感光体交換前後における感光体残留電位の時間変化を観察する。このような近似を行うことで、日々のプリント動作中の上下動の影響を軽減することができる。
図12は、一次近似する近似対象期間をずらしながら、各近似対象期間の終了時点における近似値をプロットしたグラフである。
図13は、一次近似する近似対象期間をずらしながら、各近似対象期間の開始時点における近似値をプロットしたグラフである。
ここでは、64点の感光体残留電位のデータを用いて最小二乗法による一次近似を行うように近似対象期間を設定してある。したがって、図12は、64点での最小二乗法で求めた近似式に64点中の最後の点を当てはめたときの後端近似値の時間変化を示している。同様に、図13は、64点での最小二乗法で求めた近似式に64点中の最初の点を当てはめたときの前端近似値の時間変化を示している。
図14は、互いに時期が隣接する後端近似値と前端近似値との差分値をプロットしたグラフである。
本実施形態では、この差分値の大きさが上述した規定値(30[V])以上である場合に、その時点を感光体が交換された時期として検出する。ただし、本実施形態では、マイナス帯電性の感光体40を使用するため、感光体を交換すると感光体残留電位が上昇する例となっている。また、図14では、後端近似値から前端近似値を差し引いた差分値をプロットしている。したがって、本実施形態では、差分値が−30[V]以下となる場合に、その時点を感光体が交換された時期として検出する。
図15は、図14に示した差分値のデータを、−30[V]以下であるか否かで2値化したときのグラフである。
本実施形態では、このグラフに示すように−30[V]以下であると判断された各時点B1〜B4が、感光体交換時期として検出される。
図16は、複数回の感光体交換が行われた長期間にわたる感光体残留電位の検知データとともに、実際の感光体交換時期A1〜A5、本実施形態によって検出される感光体交換時期B1〜B4、感光体カウント値のリセット時期C2〜C5を示したグラフである。
本実施形態によって検出される感光体交換時期B1〜B4のうち、時期B2〜B4については、感光体交換時に保守員が手作業でリセット処理した感光体カウント値のリセット時期C2〜C4と整合している。このように、本実施形態によって検出される感光体交換時期B2〜B4と感光体カウント値のリセット時期C2〜C4とが整合した時期については、非常に高い確度で、実際の感光体交換時期A2〜A4に整合する。
一方、本実施形態によって検出される感光体交換時期B1には、感光体カウント値がリセットされておらず、そのリセット履歴が残っていない。しかしながら、感光体が交換されていないにも拘わらず、上述した規定値以上の急激な感光体残留電位の変化(急激に感光体残留電位が高くなる変化)が生じることはまずあり得ない。したがって、本実施形態では、感光体カウント値のリセット履歴よりも、感光体残留電位の時間変化に基づく検出結果を優先し、感光体カウント値を保守員がリセットし忘れたものと推定して、感光体交換時期B1に感光体が交換されたと判断する。
感光体交換時期B1は、実際の交換時期A1と整合しているので、本実施形態によれば、感光体を交換した保守員が感光体カウント値をリセットし忘れた場合でも、その感光体交換時期を検出することができ、人的ミスによる感光体交換時期の見落としを軽減することができる。
他方、感光体カウント値のリセット時期C5には、実際には感光体の交換が行われているが、本実施形態によって感光体交換時期が検出されていない。このような場合でも、感光体カウント値のリセット履歴が残っているので、このリセット履歴に基づくリセット時期C5により、その時期に感光体が交換されたと判断する。このように、感光体残留電位の時間変化に基づく感光体交換時期の検出結果だけでなく、感光体カウント値のリセット履歴などの他の情報も併用して、感光体交換時期を検出することで、感光体交換時期の見落としを更に軽減することができる。
図17は、他の例において、複数回の感光体交換が行われた長期間にわたる感光体残留電位の最小二乗法による近似値を示すグラフである。
このグラフは、64点での最小二乗法による近似を行って得た近似値の時系列グラフである。本実施形態によって検出される感光体交換時期B6,B7のうち、時期B6については、感光体交換時に保守員が手作業でリセット処理した感光体カウント値のリセット時期C6と整合している。このように、本実施形態によって検出される感光体交換時期B2〜B4と感光体カウント値のリセット時期C2〜C4とが整合した時期については、非常に高い確度で、実際の感光体交換時期A6に整合する。
一方、本実施形態によって検出される感光体交換時期B7には、感光体カウント値がリセットされておらず、そのリセット履歴が残っていない。この場合、本実施形態では、感光体残留電位の時間変化に基づく検出結果が優先されるので、感光体交換時期B7に感光体が交換されたと判断される。
他方、感光体交換時期B7から500000枚後の時期C7に感光体カウント値の履歴が残っているが、本実施形態によって感光体交換時期が検出されていない。しかしながら、このリセット時期C7を境に感光体残留電位が改善された形跡は見られない。そのため、実際には感光体交換時期B7に感光体が交換されたが、何らかの事情によりその感光体交換時には感光体カウント値のリセット処理が行われず、500000枚程プリントした後に感光体カウント値がリセットされたことが推測できる。
そこで、本実施形態においては、感光体カウント値のリセット履歴があるリセット時期でも、その前後で感光体残留電位の変化値に有意な変化が見られない場合、例えば変化量levelの大きさが20[V]未満である場合には、感光体が交換されていないと判断する。これにより、人的ミスによる感光体交換時期の誤検知を軽減することができる。
また、感光体交換時期B6から100000枚後の時期C8に感光体カウント値の履歴が残っているが、本実施形態によって感光体交換時期が検出されていない。このリセット時期C8についても、その前後で感光体残留電位の変化値に有意な変化が見られない。そのため、本実施形態では、このリセット時期C8も、感光体交換時期として判断されない。
また、仮にリセット時期C8の前後で感光体残留電位の変化値に有意な変化が見られた場合でも、直前の感光体交換時期A6から100000枚程度の短い期間では、通常、感光体の劣化等が原因で感光体の交換が行われることはない。よって、感光体交換時期のうち感光体の劣化等に起因した感光体交換時期のみを検出したい場合等においては、感光体交換時期を検出してから予め決められた規定間内は感光体交換時期を検出しないようにしてもよい。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
交換可能な感光体40等の潜像担持体の表面上に形成された潜像を現像してトナー像等の可視画像を形成し、該可視画像を最終的に記録材上へ転写することで画像形成を行う画像形成装置と、上記画像形成装置に設けられ、該画像形成装置内の所定の物性値を連続的に又は断続的に検知する表面電位センサ等の物性値検知手段とを備えた画像形成システムにおいて、上記物性値検知手段が検知する物性値のうち潜像担持体の交換前後で変化する1種類または2種類以上の特定物性値(感光体残留電位等)のデータを記憶する不揮発性RAM1d等のデータ記憶手段と、上記データ記憶手段に記憶された特定物性値の時間変化に基づいて感光体交換時期等の潜像担持体交換時期を検出する処理を実行する制御部1等の潜像担持体交換時期検出手段とを有することを特徴とする。
これによれば、感光体等の潜像担持体の交換時期を高い確度で検出することを低コストで実現することができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、上記画像形成装置は、上記潜像担持体の表面を帯電装置60等の帯電手段により所定の帯電電位へ一様に帯電処理した後の潜像担持体表面を露光して上記潜像を形成し、該潜像を現像して形成した可視画像を転写した後の潜像担持体表面を除電装置64等の除電手段により除電するものであり、上記特定物性値は、上記除電手段による除電後の潜像担持体表面の電位(感光体残留電位)を含むことを特徴とする。
この特定物性値は感光体40の交換前後で顕著に変化するデータであるので、より高い確度で感光体等の潜像担持体の交換時期を検出することができる。
(態様C)
上記態様A又は上記態様Bにおいて、上記潜像担持体交換時期検出手段は、所定の近似対象期間内に検知された特定物性値の群を一次関数等の所定の関数式に近似した近似式を算出し、該近似式から得られる近似値に基づいて潜像担持体交換時期を検出することを特徴とする。
これによれば、特定物性値に短期的なばらつきが生じている場合でも、長期的な視点での特定物性値の時間変化を適切に得ることができるので、短期的なばらつきによる潜像担持体交換時期の誤検出を軽減でき、高い確度で感光体等の潜像担持体の交換時期を検出することができる。
(態様D)
上記態様Cにおいて、上記潜像担持体交換時期検出手段は、時系列で隣接する2つの近似対象期間のうちの前期間に検知された特定物性値の群を近似した近似式から得られる該前期間の終了時に対応する近似値(後端近似値)と、後期間に検知された特定物性値の群を近似した近似式から得られる該後期間の開始時に対応する近似値(前端近似値)との差分値を算出し、該差分値が規定値以上であるときに該2つの近似対象期間の境界時点を潜像担持体交換時期として検出することを特徴とする。
これによれば、当該2つの近似対象期間が互いに重複しないことから、当該差分値の算出に用いる後端近似値と前端近似値を得るための各近似式を求めるときに、重複する特定物性値を用いない。よって、後端近似値と前端近似値との差分値は、当該2つの近似対象期間の境界時点における特定物性値の急激な変化を顕著に示すものとなり、高い確度で感光体等の潜像担持体の交換時期を検出することができる。
(態様E)
上記態様Dにおいて、上記潜像担持体交換時期検出手段は、上記2つの近似対象期間をずらしながら上記差分値を順次算出し、所定期間内で該差分値が最大となる最大差分値の算出に用いた2つの近似対象期間の境界時点を潜像担持体交換時期として検出することを特徴とする。
これによれば、潜像担持体交換時期をより狭い範囲に絞って検出することが可能となる。
(態様F)
上記態様A〜Eのいずれかの態様において、上記潜像担持体の累積使用量(累積プリント枚数等)のデータを記憶する不揮発性RAM1d等の累積使用量情報記憶手段と、上記累積使用量情報記憶手段に記憶されている累積使用量のデータをリセットするCPU1a等の累積使用量リセット手段と、該累積使用量リセット手段がリセットしたリセット時期C2〜C8のデータを記憶するCPU1a等のリセット時期記憶手段とを有し、上記潜像担持体交換時期検出手段は、上記リセット時期記憶手段に記憶されたリセット時期C2〜C8のデータも用いて潜像担持体交換時期を検出することを特徴とする。
これによれば、特定物性値の時間変化だけでは検出することができない潜像担持体交換時期も、リセット時期C2〜C8のデータから検出することが可能となる。
(態様G)
上記態様Fにおいて、上記潜像担持体交換時期検出手段は、上記リセット時期記憶手段に記憶されたリセット時期のデータに対応するリセット時期と、上記データ記憶手段に記憶された特定物性値の時間変化に基づいて検出した潜像担持体交換時期とが一致しない場合、該リセット時期を潜像担持体交換時期として検出しないことを特徴とする。
これによれば、人的ミスによる潜像担持体交換時期の誤検出を軽減することができる。
(態様H)
上記態様A〜Gのいずれかの態様において、上記潜像担持体交換時期検出手段は、前回検出した潜像担持体交換時期から所定の不実施期間が経過するまでは、潜像担持体交換時期の検出処理を実行しないことを特徴とする。
これによれば、潜像担持体の劣化に起因して潜像担持体が交換された時期に絞って検出することが可能となる。
(態様I)
交換可能な潜像担持体の表面上に形成された潜像を現像して可視画像を形成し、該可視画像を最終的に記録材上へ転写することで画像形成を行う画像形成装置であって該画像形成装置内の所定の物性値を連続的に又は断続的に検知する物性値検知手段を備えた画像形成装置の潜像担持体交換時期を検出する潜像担持体交換時期検出方法において、上記物性値検知手段が検知する物性値のうち潜像担持体の交換前後で変化する1種類または2種類以上の特定物性値のデータをデータ記憶手段に記憶し、該データ記憶手段に記憶された特定物性値の時間変化に基づいて潜像担持体交換時期を検出する処理を実行することを特徴とする。
これによれば、感光体等の潜像担持体の交換時期を高い確度で検出することを低コストで実現することができる。
1 制御部
2 各種センサ
3 操作表示部
10 中間転写ベルト
18 プロセスユニット
20 タンデム部
21 露光装置
40 感光体
60 帯電装置
61 現像装置
63 感光体クリーニング装置
64 除電装置
100 プリンタ部
200 給紙部
300 スキャナ部
400 原稿搬送部
特開2006‐011230号公報 特開平03‐243978号公報 特開平03‐294872号公報

Claims (9)

  1. 交換可能な潜像担持体の表面上に形成された潜像を現像して可視画像を形成し、該可視画像を最終的に記録材上へ転写することで画像形成を行う画像形成装置と、
    上記画像形成装置に設けられ、該画像形成装置内の所定の物性値を連続的に又は断続的に検知する物性値検知手段とを備えた画像形成システムにおいて、
    上記物性値検知手段が検知する物性値のうち潜像担持体の交換前後で変化する1種類または2種類以上の特定物性値のデータを記憶するデータ記憶手段と、
    上記データ記憶手段に記憶された特定物性値の時間変化に基づいて潜像担持体交換時期を検出する処理を実行する潜像担持体交換時期検出手段とを有することを特徴とする画像形成システム。
  2. 請求項1の画像形成システムにおいて、
    上記画像形成装置は、上記潜像担持体の表面を帯電手段により所定の帯電電位へ一様に帯電処理した後の潜像担持体表面を露光して上記潜像を形成し、該潜像を現像して形成した可視画像を転写した後の潜像担持体表面を除電手段により除電するものであり、
    上記特定物性値は、上記除電手段による除電後の潜像担持体表面の電位を含むことを特徴とする画像形成システム。
  3. 請求項1又は2の画像形成システムにおいて、
    上記潜像担持体交換時期検出手段は、所定の近似対象期間内に検知された特定物性値の群を所定の関数式に近似した近似式を算出し、該近似式から得られる近似値に基づいて潜像担持体交換時期を検出することを特徴とする画像形成システム。
  4. 請求項3の画像形成システムにおいて、
    上記潜像担持体交換時期検出手段は、時系列で隣接する2つの近似対象期間のうちの前期間に検知された特定物性値の群を近似した近似式から得られる該前期間の終了時に対応する近似値と、後期間に検知された特定物性値の群を近似した近似式から得られる該後期間の開始時に対応する近似値との差分値を算出し、該差分値が規定値以上であるときに該2つの近似対象期間の境界時点を潜像担持体交換時期として検出することを特徴とする画像形成システム。
  5. 請求項4の画像形成システムにおいて、
    上記潜像担持体交換時期検出手段は、上記2つの近似対象期間をずらしながら上記差分値を順次算出し、所定期間内で該差分値が最大となる最大差分値の算出に用いた2つの近似対象期間の境界時点を潜像担持体交換時期として検出することを特徴とする画像形成システム。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成システムにおいて、
    上記潜像担持体の累積使用量のデータを記憶する累積使用量情報記憶手段と、
    上記累積使用量情報記憶手段に記憶されている累積使用量のデータをリセットする累積使用量リセット手段と、
    該累積使用量リセット手段がリセットしたリセット時期のデータを記憶するリセット時期記憶手段とを有し、
    上記潜像担持体交換時期検出手段は、上記リセット時期記憶手段に記憶されたリセット時期のデータも用いて潜像担持体交換時期を検出することを特徴とする画像形成システム。
  7. 請求項6の画像形成システムにおいて、
    上記潜像担持体交換時期検出手段は、上記リセット時期記憶手段に記憶されたリセット時期のデータに対応するリセット時期と、上記データ記憶手段に記憶された特定物性値の時間変化に基づいて検出した潜像担持体交換時期とが一致しない場合、該リセット時期を潜像担持体交換時期として検出しないことを特徴とする画像形成システム。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成システムにおいて、
    上記潜像担持体交換時期検出手段は、前回検出した潜像担持体交換時期から所定の不実施期間が経過するまでは、潜像担持体交換時期の検出処理を実行しないことを特徴とする画像形成システム。
  9. 交換可能な潜像担持体の表面上に形成された潜像を現像して可視画像を形成し、該可視画像を最終的に記録材上へ転写することで画像形成を行う画像形成装置であって該画像形成装置内の所定の物性値を連続的に又は断続的に検知する物性値検知手段を備えた画像形成装置の潜像担持体交換時期を検出する潜像担持体交換時期検出方法において、
    上記物性値検知手段が検知する物性値のうち潜像担持体の交換前後で変化する1種類または2種類以上の特定物性値のデータをデータ記憶手段に記憶し、該データ記憶手段に記憶された特定物性値の時間変化に基づいて潜像担持体交換時期を検出する処理を実行することを特徴とする潜像担持体交換時期検出方法。
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