JP2013193571A - 車体前部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車体前部構造は、フロントサイドフレーム1と、フロントサイドフレーム1よりも車幅方向の外側に配置されるロアメンバ3と、フロントサイドフレーム1とロアメンバ3との間に配置されるガセット2と、を備える。フロントサイドフレーム1は、車両Vが衝突した際に、衝突荷重を受けて折れ曲がることで衝突荷重を吸収する第1折れ点P1を有する。ガセット2の車幅方向内側は、フロントサイドフレーム1の車幅方向外側に接合されてフロントサイドフレーム1の前端から第1折れ点P1まで延在する。ガセット2の車幅方向外側には、ガセット2の前端から後方へ向かうにつれてフロントサイドフレーム1側に位置するように傾斜するテーパ部22が形成される。
【選択図】図3
Description
図1に示すように、車両Vは、左右両側に配置された一対のフロントサイドフレーム1,1と、左右両側のフロントピラ40,40から前方へ延出してフロントサイドフレーム1の上方外寄りに配置された左右一対のアッパメンバ42,42と、を備える。
なお、車両Vは、左右対称となっているため、以下の説明においては、車両Vの左側部分のみを説明し、右側部分の説明を省略する。
図2に示すように、フロントサイドフレーム1は、車体前後方向に沿って延在する鋼製部材である。フロントサイドフレーム1の車体前後方向の途中には、第1折れ点P1〜第3折れ点P3が設けられ、かかる第1折れ点P1〜第3折れ点P3は、フロントサイドフレーム1を車幅方向外側又は内側へ局所的に凹ませることで形成されている。この第1折れ点P1〜第3折れ点P3を設けることで、車両Vの前部が対向車等に衝突した際に、フロントサイドフレーム1が衝突荷重を受けて折れ曲がることが可能となり、フロントサイドフレーム1の曲げ変形によって衝突エネルギ(衝突荷重)を吸収することができる。
図3及び図4に示すように、フロントサイドフレーム1は、縦断面視して略ロ字状を呈する中空フレーム材である。フロントサイドフレーム1は、図4に示すように、車内側に配置され縦断面視してハット状のインナ部材10と、車外側に配置され縦断面視して上下方向に沿って延びる略直線状のアウタ部材11と、を有する。
インナ部材10は、アウタ部材11の上下方向の位置で接合され車体前後方向に沿って延在する一対の上フランジ部10a及び下フランジ部10bと、上フランジ部10a及び下フランジ部10bに連続してアウタ部材11の側面との間で閉断面12を形成する突条中空部10cと、を有する。この上フランジ部10a及び下フランジ部10bを設けることで、インナ部材10には、車体前後方向に沿って延在する上フランジ稜線部10d及び下フランジ稜線部10eが形成されている。閉断面12には、バルクヘッド13及びスチフナー14が配置されている。
第2バルクヘッドたるバルクヘッド13は、図5に示すように、横断面視してコ字状を呈する鋼製部材である。バルクヘッド13は、後記するガセット2のテーパ部22の終端22aと車幅方向で重なる位置に配置されている。このバルクヘッド13を設けることで、フロントサイドフレーム1のうち、ガセット2のテーパ部22と延長部21bとの境界部分(荷重伝達経路が変化する部分)に対応する部分を補強でき、テーパ部22と延長部21bとの間の荷重伝達をスムーズに行うことができる。換言すると、バルクヘッド13によって、衝突荷重の伝達経路を、テーパ部22に沿う方向からフロントサイドフレーム1に沿う方向へ円滑且つ容易に変換することができる。
スチフナー14は、図3に示すように、縦断面視してL字状を呈する鋼製部材である。スチフナー14は、前端側がバルクヘッド13の上方に配置され、テーパ部22の終端22aよりも前方の位置から第1折れ点P1まで延在している。このスチフナー14を設けることで、フロントサイドフレーム1を補強でき、第1折れ点P1までの荷重伝達をスムーズに行うことができる。つまり、バルクヘッド13によってフロントサイドフレーム1に沿う方向へ変換された衝突荷重を、フロントサイドフレーム1に沿って後方(第1折れ点P1)へ向けて確実に伝達させることができる。
図6は、図1に示す車体前部の左側部分を右斜め前方から見た斜視図である。
図6に示すように、フロントサイドフレーム1の前端には、溶接等の固定手段によって略L字状を呈する第1取付プレート15が接合されている。第1取付プレート15の前方には、バンパビームエクステンション52の後端が取り付けられる第2取付プレート16が設けられている。第1取付プレート15及び第2取付プレート16の適所には、ボルト挿通孔15a,16aが形成され、両者はボルトBによって互いに締結されている。
ガセット2は、図3及び図4に示すように、フロントサイドフレーム1とロアメンバ3との間に配置され、車幅方向に沿った縦断面がハット形状を呈する鋼製部材である。ガセット2は、フロントサイドフレーム1のアウタ部材11に接合されてフロントサイドフレーム1の前端から第1折れ点P1まで延在している。ガセット2は、平面視して三角形状を呈すると共に左右両側に開口部20d,20eが形成された本体部材20と、本体部材20と別体で構成され本体部材20及びフロントサイドフレーム1の車外側に接合される補強部材21と、を有する。
図7は、図1に示す車体前部からロアメンバを取り外した状態の左側部分を左斜め後方から見下ろした斜視図である。なお、図7中の「*」は、フロントサイドフレーム1とのスポット溶接の溶接点を示す。本実施形態では、フロントサイドフレーム1とガセット2とをスポット溶接によって接合しているが、例えば、レーザ溶接やMIG溶接等の連続溶接によって接合してもよい。
図6及び図7に示すように、本体部材20は、一枚の鋼板をプレス成形して形成され、車体前後方向に沿った縦断面がコ字状を呈する部材である。本体部材20は、上壁部20aと、上壁部20aに対し下方に離間する下壁部20bと、上壁部20a及び下壁部20bの前端同士を繋ぐ前壁部20cと、を有する。
上壁部20aは、平面視して三角形状を呈する部分である。上壁部20aの車外側端部20sの前側には、フランジ片20fが上方へ延出形成されている。上壁部20aの車内側端部には、インナ部材10の上フランジ部10a及びアウタ部材11の側面上部に一体的に接合される上フランジ部20iが上方へ延出形成されている。上フランジ部20iは、上壁部20aの車内側端部の全長に亘って形成され、車体前後方向に沿って延在している。
下壁部20bは、上壁部20aに対応する形状に形成され、平面視して三角形状を呈する部分である。下壁部20bの車外側端部20tの前側には、フランジ片20gが下方へ延出形成されている。下壁部20bの車内側端部には、インナ部材10の下フランジ部10b及びアウタ部材11の側面下部に一体的に接合される下フランジ部20jが下方へ延出形成されている。下フランジ部20jは、下壁部20bの車内側端部の全長に亘って形成され、車体前後方向に沿って延在している。
図6に示すように、前壁部20cの車外側端部には、フランジ片20hが前方へ延出形成されている。前壁部20cの車内側には、ボルト挿通孔20r,20rが上下方向に離間して設けられている。本実施形態では、第1取付プレート15と第2取付プレート16との間に、前壁部20cの車内側端部が挟み込まれて前後に挟持され、第1取付プレート15、前壁部20c、及び第2取付プレート16によって積層された三枚の部材が、ボルトBで一体的に結合(締結)されている。これにより、ナローオフセット衝突の際に、前壁部20cが第1取付プレート15から剥がれにくくなるので、衝突荷重を確実に支持することができる。
補強部材21は、図4及び図7に示すように、一枚の鋼板をプレス成形して形成された部材であって、本体部材20の開口部20dを閉塞する縦断面視してコ字状の傾斜部21a(図4参照)と、傾斜部21aの後端から後方へ延出する縦断面視して略L字状の延長部21b(図7参照)と、を有する。
傾斜部21aは、図4に示すように、上壁部20a及び下壁部20bの間に配置される部分である。傾斜部21aの上下端には、上壁部20a及び下壁部20bに接合される一対の上フランジ部21c及び下フランジ部21dが車外側へ延出形成されている。また、傾斜部21aの前端には、図7に示すように、前壁部20cに接合される前フランジ部21eが車外側へ延出形成されている。傾斜部21aは、平面視して前方から後方へ向かうにつれてフロントサイドフレーム1側に位置するように傾斜し、上壁部20a及び下壁部20bの車外側端部20s,20tのテーパ形状に対応した角度で形成されている。
延長部21bは、図5及び図7に示すように、傾斜部21a(テーパ部22)の後端から後方へ延出して第1折れ点P1まで至る部分である。延長部21bは、ナローオフセット衝突の際に、本体部材20や傾斜部21aから第1折れ点P1へ衝突荷重を伝達する役割を果たしている。延長部21bは、図7に示すように、上壁部20a及び下壁部20bの幅寸法よりも小さく形成されている。延長部21bの適所は、溶接等の固定手段によってアウタ部材11の車外側側面に接合されている。延長部21bの上端には、上フランジ部21fが車外側へ延出形成され、かかる上フランジ部21fは、傾斜部21aの上フランジ部21cに連続して形成されている。
図7及び図8に示すように、延長部21bの略中央部には、車体前後方向に沿って延在するビード21gが形成され、かかるビード21gは、フロントサイドフレーム1から離間する方向に突出している。このビード21gを設けることで、延長部21bとフロントサイドフレーム1のアウタ部材11との間には、閉断面21hが形成されている。なお、図8に示すように、アウタ部材11の後端側は、縦断面視して略Z字状(クランク状)を呈している。
第1バルクヘッドたるバルクヘッド24は、ガセット2を補強するための鋼製部材である。バルクヘッド24は、ガセット2の強度・剛性を向上させて衝突荷重で断面変形するのを抑制してフロントサイドフレーム1に衝突荷重を確実に伝達させ、かかるフロントサイドフレーム1を曲げ変形させる役割を果たしている。また、バルクヘッド24は、図5に示すように、前壁部20cと傾斜部21aとの間に配置され、前壁部20cから傾斜部21aへの荷重伝達を促進させる役割を果たしている。
ロアメンバ3は、図6に示すように、フロントサイドフレーム1及びガセット2よりも車幅方向の外側に配置され、縦断面視して略ロ字状を呈する鋼製部材である。ロアメンバ3の前端(湾曲部34)には、3つのフランジ片31〜33が外方(上方、下方、前方)へ延出形成され、かかるフランジ片31〜33は、ガセット2のフランジ片20f〜20hに溶接等の固定手段によって接合されている。すなわち、ロアメンバ3は、フランジ片20f〜20hを介して、ガセット2のテーパ部22に接合されている。
特に、本実施形態では、ガセット2の車幅方向内側が、フロントサイドフレーム1の第1折れ点P1まで延在しているので、かかる第1折れ点P1に衝突荷重を確実に伝達させることが可能となり、フロントサイドフレーム1が曲げ変形して衝突エネルギを吸収できる。
特に、本実施形態では、ガセット2の車幅方向外側には、テーパ部22が形成されているので、かかるテーパ部22の終端22aの位置(収束位置)を車体前後方向で適宜調整することによって、フロントサイドフレーム1とロアメンバ3との間に車載部品の配置スペースSを好適に確保できる。その結果、車載部品のレイアウトの自由度を高めることができる。
更に、延長部21bの幅寸法を小さくできるので、フロントサイドフレーム1とロアメンバ3との間に配置スペースSを一層確保できる。
P1〜P3 折れ点
11 アウタ部材
13 バルクヘッド(第2バルクヘッド)
14 スチフナー
2 ガセット
20 本体部材
20a 上壁部
20b 下壁部
20s,20t(22) 車外側端部(テーパ部)
20f〜20h フランジ部
21 補強部材
21a(22) 傾斜部(テーパ部)
21b 延長部
21f 上フランジ部(高剛性部)
21g ビード(高剛性部)
22a 終端
23 閉断面(中空部)
24 バルクヘッド(第1バルクヘッド)
3 ロアメンバ
31〜33 フランジ部
V 車両
S 配置スペース
Claims (6)
- 車体前後方向に沿って延在するフロントサイドフレームと、
前記フロントサイドフレームよりも車幅方向の外側に配置されるロアメンバと、
前記フロントサイドフレームと前記ロアメンバとの間に配置されるガセットと、
を備えた車体前部構造であって、
前記フロントサイドフレームは、当該フロントサイドフレームの車体前後方向の途中に設けられ、車両が衝突した際に、衝突荷重を受けて折れ曲がることで前記衝突荷重を吸収する折れ点を有しており、
前記ガセットの車幅方向内側は、前記フロントサイドフレームの車幅方向外側に接合されて前記フロントサイドフレームの前端から前記折れ点まで延在しており、
前記ガセットの車幅方向外側には、当該ガセットの前端から後方へ向かうにつれて前記フロントサイドフレーム側に位置するように傾斜するテーパ部が形成されていることを特徴とする車体前部構造。 - 前記ガセットは、中空部を有しており、
前記中空部には、車体前後方向に沿って延在する第1バルクヘッドが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。 - 前記ガセットは、前記テーパ部の終端から後方へ延出して前記折れ点まで至る延長部を有しており、
前記フロントサイドフレーム内には、前記ガセットの前記テーパ部の終端と車幅方向で重なる位置に第2バルクヘッドが配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体前部構造。 - 前記ガセットの前記テーパ部の終端は、前記フロントサイドフレームの前記折れ点よりも前方に配置されており、
前記フロントサイドフレーム内には、少なくとも前記ガセットの前記テーパ部の終端から後方へ延在するスチフナーが配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車体前部構造。 - 前記ロアメンバの前端は、前記ガセットの前記テーパ部に接合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車体前部構造。
- 前記延長部には、車体前後方向に沿って延在する高剛性部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の車体前部構造。
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