JP2013178251A - シンチレータパネルとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蛍光体柱状結晶からなる蛍光体層を含み、平面受光素子とともに放射線画像検出器を構成するために用いられるシンチレータパネルであって、
当該蛍光体柱状結晶の先端部が、蛍光体柱状結晶の融点よりも低い温度で熱処理されたものであることを特徴とするシンチレータパネル。
【選択図】なし
Description
しかしながら、基板として使用しているアルミやアモルファスカーボンなどは剛直であり、基板の凹凸や反りなどの影響により、シンチレータパネル面と平面受光素子面の均一接触は達成し難い。
本発明のシンチレータパネルは、高分子フイルム基板上に柱状結晶からなる蛍光体層を設けて成るシンチレータパネルであるが、基板と蛍光体層の間に下引層を有する態様が好ましい。また基板上に反射層を設け、反射層、下引層、及び蛍光体層の構成であってもよい。以下、各構成層及び構成要素等について説明する。
本発明に係る蛍光体層(「シンチレータ層」ともいう。)は、蛍光体柱状結晶からなる蛍光体層であることを特徴とする。また、当該蛍光体柱状結晶の先端部が圧熱処理により平坦化されていることを特徴とする。
本発明においては、高分子基板上には反射層を設けることが好ましい、蛍光体(シンチレータ)から発した光を反射して、光の取り出し効率を高めるためのものである。当該反射層は、Al,Ag,Cr,Cu,Ni,Ti,Mg,Rh,Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。特に、上記の元素からなる金属薄膜、例えば、Ag膜、Al膜などを用いることが好ましい。また、このような金属薄膜を2層以上形成するようにしても良い。
本発明においては、基板と蛍光体層の間、又は反射層と蛍光体層の間に膜付の観点から、下引き層を設けることが好ましい。当該下引層は、高分子結合材(バインダー)、分散剤等を含有することが好ましい。なお、下引層の厚さは、0.5〜4μmが好ましい、4μm以上になると下引層内での光散乱が大きくなり鮮鋭性が悪化する。また下引層の厚さが5μmより大きくなると熱処理より柱状結晶性の乱れが発生する。以下、下引層の構成要素について説明する。
本発明に係る下引層は、溶剤に溶解又は分散した高分子結合材(以下「バインダー」ともいう。)を塗布、乾燥して形成することが好ましい。高分子結合材としては、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。
本発明に係る保護層は、蛍光体層の保護を主眼とするものである。すなわち、
ヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを主眼とする。
本発明のシンチレータパネルは、基板として、高分子フィルムを用いることを特徴とする。高分子フィルムとしては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PEN)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミド(PI)フィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム)を用いることができる。特に、ポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが、ヨウ化セシウムを原材料として気相法にて蛍光体柱状結晶を形成する場合に、好適である。
本発明のシンチレータパネルの作製方法の典型的例について、図を参照しながら説明する。なお、図1は、放射線用シンチレータパネル10の概略構成を示す断面図である。図2Aは、本発明の放射線用シンチレータパネル10の拡大断面図であり、基板1、反射層3、下引層4及び蛍光体層2の順に形成されている。蛍光体層2の先端部2bは本発明の圧熱処理により平坦化されている。
図3に示す通り、蒸着装置61は箱状の真空容器62を有しており、真空容器62の内部には真空蒸着用のボート63が配されている。ボート63は蒸着源の被充填部材であり、当該ボート63には電極が接続されている。当該電極を通じてボート63に電流が流れると、ボート63がジュール熱で発熱するようになっている。放射線用シンチレータパネル10の製造時においては、ヨウ化セシウムと賦活剤化合物とを含む混合物がボート63に充填され、そのボート63に電流が流れることで、上記混合物を加熱・蒸発させることができるようになっている。
次に、本発明に係るシンチレータパネル10の作製方法について説明する。
基板1の一方の表面に反射層としての金属薄膜(Al膜、Ag膜等)をスパッタ法により形成する。また高分子フィルム上にAl膜をスパッタ蒸着したフィルムは、各種の品種が市場で流通しており、これらを本発明の基板として使用することも可能である。
下引層は、上記の有機溶剤に高分子結合材を分散・溶解した組成物を塗布、乾燥して形成する。高分子結合材としては接着性、反射層の耐腐食性の観点でポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の疎水性樹脂が好ましい。
上記のように反射層と下引層を設けた基板1をホルダ64に取り付けるとともに、ボート63にヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む粉末状の混合物を充填する(準備工程)。この場合、ボート63と基板1との間隔を100〜1500mmに設定し、その設定値の範囲内のままで後述の蒸着工程の処理をおこなうのが好ましい。
以下に、上記放射線用シンチレータパネル10の一適用例として、図4及び図5を参照しながら、当該放射線用シンチレータプレート10を具備した放射線画像検出器100の構成について説明する。なお、図4は放射線画像検出器100の概略構成を示す一部破断斜視図である。撮像パネル51の拡大断面図を図5に示す。
図4に示す通り、放射線画像検出器100には、撮像パネル51、放射線画像検出器100の動作を制御する制御部52、書き換え可能な専用メモリ(例えばフラッシュメモリ)等を用いて撮像パネル51から出力された画像信号を記憶する記憶手段であるメモリ部53、撮像パネル51を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電力供給手段である電源部54、等が筐体55の内部に設けられている。筐体55には必要に応じて放射線画像検出器100から外部に通信を行うための通信用のコネクタ56、放射線画像検出器100の動作を切り換えるための操作部57、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部53に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部58、等が設けられている。
厚さ125μm、幅500mmのポリイミドフィルム(ガラス転移温度は285℃)(宇部興産製ユーピレックス)にアルミをスパッタして反射層(0.10μm)を形成した。
バイロン20SS(東洋紡社製:高分子ポリエステル樹脂) 300質量部
メチルエチルケトン(MEK) 200質量部
トルエン 300質量部
シクロヘキサノン 150質量部
上記処方を混合し、ビーズミルにて15時間分散し、下引き塗設用の塗布液を得た。この塗布液を上記基板の反射層側に乾燥膜厚が1.0μmになるようにスピンコーターで塗布したのち100℃で8時間乾燥することで下引き層を作製した。
基板の下引き層側に蛍光体(CsI:0.03Tlmol%)を、図3に示した蒸着装置を使用して蒸着させ基板の全面に蛍光体層を形成した。
蛍光体層が形成された幅500mmの基板をカレンダー装置を用いて総荷重200kgで蛍光体側ローラー温度を表1に示した温度に設定し、基板側ローラー温度40℃、速度0.1m/分にて圧熱処理した。その後、10cm×10cmのサイズに断裁した。尚、比較例として圧熱処理なし品も10cm×10cmのサイズに断裁した。
得られた試料を、CMOSフラットパネル(ラドアイコン社製X線CMOSカメラシステムShad−o−Box4KEV)にセットし、12bitの出力データより輝度及び鮮鋭性を、以下に示す方法で測定し、結果を表1に示す。
管電圧80kVpのX線を試料の裏面(蛍光体層が形成されていない面)から照射し、画像データをシンチレータを配置したCMOSフラットパネルで検出し、画像の平均シグナル値を発光輝度とした。測定結果を下記表1に示す。ただし、表1中、試料の輝度を示す値は、比較例である試料の発光輝度を1.0とした相対値である。
鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線を各試料の裏面(蛍光体層が形成されていない面)から照射し、画像データをシンチレータを配置したCMOSフラットパネルで検出しハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の記録をコンピュータで分析して当該ハードディスクに記録されたX線像の変調伝達関数MTF(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。表中、MTF値が高いほど鮮鋭性に優れていることを示す。MTFはModulation Transfer Functionの略号を示す。
2 蛍光体(シンチレータ)層
3 反射層
4 下引層
10 放射線用シンチレータパネル
61 蒸着装置
62 真空容器
63 ボート(被充填部材)
64 ホルダ
65 回転機構
66 真空ポンプ
100 放射線画像検出器
Claims (7)
- 蛍光体柱状結晶からなる蛍光体層を含み、平面受光素子とともに放射線画像検出器を構成するために用いられるシンチレータパネルであって、
当該蛍光体柱状結晶の先端部が、蛍光体柱状結晶の融点よりも低い温度で熱処理されたものであることを特徴とするシンチレータパネル。 - 前記熱処理の温度が、200℃以上440℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータパネル。
- 前記熱処理が、熱ローラーによる熱処理であることを特徴とする請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
- 前記蛍光体層が、ヨウ化セシウムとタリウムを含む添加剤を原材料として形成されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 前記蛍光体層が基板上に設けられたものであり、前記熱処理の温度が、該基板の耐熱温度以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 前記蛍光体層が高分子フィルム基板上に形成されたものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のシンチレータパネルの製造方法であって、蛍光体柱状結晶の先端部を、温度200℃以上440℃以下の熱ローラーで熱処理する工程を有することを特徴とするシンチレータパネルの製造方法。
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