JPWO2009028275A1 - シンチレータパネル - Google Patents

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Abstract

放射線画像の画像欠陥のないシンチレータパネルを提供する。本発明のシンチレータパネルは、グラファイトシート基板上に金属反射層及びシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、当該グラファイトシート基板がポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜で被覆されていることを特徴とする。

Description

本発明は、被写体の放射線画像を形成する際に用いられるシンチレータパネルに関する。
従来、X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。特に、増感紙−フィルム系による放射線画像は、長い歴史のなかで高感度化と高画質化が図られた結果、高い信頼性と優れたコストパフォーマンスを併せ持った撮像システムとして、今なお、世界中の医療現場で用いられている。しかしながらこれら画像情報はいわゆるアナログ画像情報であって、近年発展を続けているデジタル画像情報のような、自由な画像処理や瞬時の電送が出来ない。
そして、近年では、コンピューテッドラジオグラフィ(computed radiography:CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPD)等に代表されるデジタル方式の放射線画像検出装置が登場している。これらは、デジタルの放射線画像が直接得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直接表示することが可能なので、必ずしも写真フィルム上への画像形成が必要なものではない。その結果、これらのデジタル方式のX線画像検出装置は、銀塩写真方式による画像形成の必要性を低減させ、病院や診療所での診断作業の利便性を大幅に向上させている。
X線画像のデジタル技術の一つとしてコンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)が現在医療現場で受け入れられている。しかしながら鮮鋭性が十分でなく空間分解能も不十分であり、スクリーン・フィルムシステムの画質レベルには到達していない。そして、更に新たなデジタルX線画像技術として、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた平板X線検出装置(FPD)が開発されている(例えば、非特許文献1、2参照)。
放射線を可視光に変換するために、放射線により発光する特性を有するX線蛍光体で作られたシンチレータパネルが使用されるが、低線量の撮影においてのSN比を向上するためには、発光効率の高いシンチレータパネルを使用することが必要になってくる。一般にシンチレータパネルの発光効率は、シンチレータ層(蛍光体層)の厚さ、蛍光体のX線吸収係数によって決まるが、蛍光体層の厚さは、厚くすればするほど、蛍光体層内での発光光の散乱が発生し、鮮鋭性は低下する。そのため、画質に必要な鮮鋭性を決めると、膜厚が決定する。
なかでもヨウ化セシウム(CsI)はX線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成出来るため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であった。
しかしながら、CsIのみでは発光効率が低いために、例えば、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものを、蒸着を用いて基板上にナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)として堆積、又近年ではCsIとヨウ化タリウム(TlI)を任意のモル比で混合したしたものを、蒸着を用いて基板上にタリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)として堆積したものをX線蛍光体として使用している。
また他の光出力を増大する手段としては、シンチレータを形成する基板を反射性とする方法(例えば特許文献1参照)、基板上に反射層を設ける方法(例えば特許文献2参照)、基板上に設けられた反射性金属薄膜と、金属薄膜を覆う透明有機膜上にシンチレータを形成する方法(例えば特許文献3参照)などが提案されている。
従来、気相法によるシンチレータの製造方法としては、アルミやアモルファスカーボンなど剛直な基板上に蛍光体層を形成し、その上にシンチレータの表面全体を保護層で被覆させることが一般的である(例えば特許文献4参照)。しかしながら、自由に曲げることのできないこれらの基板上に蛍光体層を形成した場合、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、フラットパネルデテイクタの受光面内で均一な画質特性が得られないという欠点がある。この問題は近年のフラットパネルデテイクタの大型化に伴い深刻化してきている。
この問題を回避するために撮像素子上に直接、蒸着でシンチレータを形成する方法や、鮮鋭性は低いが、可とう性を有する医用増感紙などをシンチレータパネルの代用として用いることが一般的に行われている。また、保護層としてポリパラキシリレン等の柔軟な保護層を使用した例が示されている(例えば特許文献5参照)。
しかしながら、基板として使用しているアルミやアモルファスカーボンなどは剛直であり、基板の凹凸や反りなどの影響により、シンチレータパネル面と平面受光素子面の均一接触は達成し難い。また基板としてグラファイト板を使用する例も示されている(例えば特許文献6参照)がこれも剛直な基板でありシンチレータパネル面と平面受光素子面の均一接触は達成し難い。
上記の問題を解決するためには柔軟性を有する基板、特にグラファイトシートを使用することが有効である。しかし、基板であるグラファイトシートからグラファイト粉末が離脱しやすく、蒸着前の基板に付着してしまう。蒸着などの気相堆積法により基板上にCsI結晶を形成する場合に、グラファイトの粉末やごみ等があると状結晶の成長過程で蛍光体結晶が局所的に異常に成長することがあり、この異常成長した結晶(「異常結晶」、又は「hillock」ともいう。)の結晶サイズがパネル読み取り時の画素サイズや画像再生時の画像サイズを越えてしまうと、表示された放射線画像上でも画像欠陥(又は画像欠損)として確認できるようになり、各種の診断や検査に支障を来たすことが問題であった。
特公平7−21560号公報 特公平1−240887号公報 特開2000−356679号公報 特許第3566926号公報 特開2002−116258号公報 特開2001−33597号公報 Physics Today,1997年11月号24頁のジョン・ローランズ論文"Amorphous Semiconductor Usher in Digital X−ray Imaging" SPIEの1997年32巻2頁のエル・イー・アントヌクの論文"Development of aHigh Resolution,Active Matrix,Flat−Panel Imager with Enhanced Fill Factor"
本発明は、上記問題・状況に鑑み成されたものであり、その解決課題は、放射線画像の画像欠陥のないシンチレータパネルを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を加えた結果、ポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜で被覆されているグラファイトシート基板上にシンチレータ層を形成することで画像欠陥のないシンチレータプレートを提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.グラファイトシート基板上に金属反射層及びシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、当該グラファイトシート基板がポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜で被覆されていることを特徴とするシンチレータパネル。
2.前記シンチレータパネルの全面が保護層で覆われていることを特徴とする前記1に記載のシンチレータパネル。
3.前記金属反射層が金属薄膜からなることを特徴とする前記1又は2に記載のシンチレータパネル。
4.前記金属反射層とシンチレータ層の間に絶縁層を有することを特徴とする前記1乃至3のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
5.前記金属薄膜が、アルミ、銀、クロム、ニッケル、白金、及び金から選択される金属を含有することを特徴とする前記3又は4に記載のシンチレータパネル。
6.前記シンチレータ層が、ヨウ化セシウムとタリウムを含む添加剤とを原材料として気相法にて形成されたことを特徴とする前記1乃至5のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
本発明の上記手段により、放射線画像の画像欠陥のないシンチレータパネルを提供することができる。
放射線用シンチレータパネル10の概略構成を示す断面図。 放射線用シンチレータパネル10の拡大断面図。 蒸着装置61の概略構成を示す図。 放射線画像検出器100の概略構成を示す一部破断斜視図。 撮像パネル51の拡大断面図。
符号の説明
1 基板
2 シンチレータ(蛍光体)層
3 金属反射層
4 ポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜
5 保護層
10 放射線用シンチレータパネル
61 蒸着装置
62 真空容器
63 ボート(被充填部材)
64 ホルダ
65 回転機構
66 真空ポンプ
100 放射線画像検出器
本発明のシンチレータパネルは、グラファイトシート基板上に金属反射層及びシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、当該グラファイトシート基板がポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜で被覆されていることを特徴とする。この特徴は、請求の範囲第1項乃至第6項に係る発明に共通する技術的特徴である。
なお、本願において、「シンチレータ」とは、X線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300〜800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に電磁波(光)を発光する蛍光体をいう。
また、「グラファイトシート基板」とは、後で詳述するように、当該基板の主たる構成要素としてグラファイトシートを含有する基板をいう。
以下、本発明とその構成要素、及び発明を実施するための最良の形態・態様等について詳細な説明をする。
(シンチレータパネルの構成と好ましい態様)
本発明のシンチレータパネルは、可とう性を有するグラファイトシート基板上に金属反射層及びシンチレータ層を設けて成るシンチレータパネルであって、当該該グラファイトシート基板がポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜で被覆されていることを特徴とする。
なお、本発明のシンチレータパネルにおいては、その全面が保護層で覆われている態様が好ましい。また、金属反射層が金属薄膜からなること、当該金属薄膜が、アルミ、銀、クロム、ニッケル、白金、及び金から選択される金属を含有することが好ましい。
更に、金属反射層とシンチレータ層の間に絶縁層を有する態様が好ましい。また、シンチレータ層が、ヨウ化セシウムとタリウムを含む添加剤とを原材料として気相法にて形成されることが好ましい。
以下、各構成要素等について詳細な説明する。
(グラファイトシート基板)
本発明に係る「グラファイトシート基板」とは、上述のように、当該基板の主たる構成要素としてグラファイトシートを含有する基板をいう。
ここで、「グラファイトシート」とは、原料の高分子フィルム、例えば、ポリフェニレンオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾール、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドから選択され、円筒状グラファイト質炭素に巻き付け不活性ガス中あるいは真空中摂氏1800度以上の温度で加熱して炭化(グラファイト化)し、炭化(グラファイト化)後にローラーなどで圧延することにより、炭素原子同士の結合面がシートの面にほぼ平行にしたものをいう。このグラファイトシートは、柔軟性をも有するものである。もちろん、ほぼ同等の特性を有するものが得られれば、特にこれらの態様に限定されるものではない。
本発明のシンチレータパネルの作製に際しては、グラファイトシート基板の厚さは、可とう性等の観点から、50〜500μmの範囲にすることが好ましい。また、市場での入手容易性等を考慮すると、より好ましい厚さは、50〜300μmである。
なお、300μm以上の厚さのグラファイトシート基板は、インジウムなどの柔らかい金属を間に挟んだ複数枚のグラファイトフィルムを圧延処理し、その金属が両側のグラファイトシート表面の微細な凹凸に入り込むことによりグラファイトシート同士が接合されるようにして製造することができる(例えば特開平11−240706号公報参照。)。
なお、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、フラットパネルデテイクタの受光面内で均一な画質特性が得られないという点に関しては、グラファイトシート基板を、厚さ50〜500μmとすることでシンチレータパネルが平面受光素子面形状に合った形状に変形し、フラットパネルデテイクタの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られる。
〈ポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜による被覆〉
本発明に係るグラファイトシート基板は、その表面をポリイミド系樹脂膜またはポリパラキシリレン膜で被覆されていることを特徴とする。
(1)ポリイミド系樹脂膜
「ポリイミド系樹脂」とは、イミド環構造を有する樹脂の総称であるが、本発明において用いることができるポリイミド系樹脂としては,グラファイトシートの耐熱性能を損なわない為に、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドを主成分とする樹脂であれば特に制約は無く,使用する耐熱温度条件によっては,その温度で耐熱性を持つように,より安価なその他高分子樹脂とポリイミド及び/またはポリアミドイミドを適宜混合しても構わない。代表例として、ポリイミド樹脂、ポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。
ポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフルオロメタン二無水物等の少なくとも1種を用い、ジアミン成分としては〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、3,3‘−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)パーフルオロプロパン等の少なくとも1種を用いて重合反応させたものを用いることが好ましい。
基板上にポリイミド系樹脂膜を設ける場合に、ポリイミド系樹脂に代えてポリイミド系樹脂前駆体を用いてもよい。ポリイミド系樹脂前駆体は、加熱により熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化される。熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の一例として、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルとピロメリット酸無水物からなるポリアミド酸等が挙げられる。
ポリイミド系樹脂及びポリイミド系樹脂前駆体は、それぞれ単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、ポリイミド系樹脂膜とポリイミド系樹脂前駆体を用いた樹脂膜とを設けてもよい。また、異なるポリイミド系樹脂からなる複数の膜が形成されていてもよい。
また,ポリイミド系樹脂膜で被覆する方法としては,グラファイトシート表面に直接当該樹脂を塗布することが好ましい。この理由は,一般的にグラファイトシート表面は凹凸があり,樹脂を張り合わせる方法では完全にその凹凸を埋めることが困難で,且つ,密着力が弱く界面に空隙が発生する欠点を持ち,これを防止するために,グラファイトシートに直接樹脂を塗布させることが好ましい。
塗布方法としては,初めに当該樹脂を溶媒に溶かしたものを用いるか、当該樹脂の前駆体溶液を使用することが,出来上がりの膜厚を均一にさせる点で好ましい。この場合には,溶剤を蒸発させる工程が必要である。
ポリイミド系樹脂又はポリイミド系樹脂前駆体溶液に用いられる溶媒には、通常、有機溶媒が用いられる。有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素、N−メチルカプロラクタム、プチロラクタム、テトラヒドロフラン、m−ジオキサン、p−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス2−(2−メトキシエトキシ)エチルエーテル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ピリジン、ピコリン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して用いることもできる。
また,塗布する方法としては,ディップコート,スプレーコート,スピンコート,ロールコート,ダイコート,コンマコート,バーコート,カーテンコートなどその他一般的なコーティング方法が適用出来る。また,塗膜の乾燥方法は,一般的な熱風式乾燥機や,IRヒーター炉などが用いられ,空気中や不活性ガス中など特に制約はない。
例えば、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの反応により得られるポリイミド前駆体溶液は、スピン塗布により基板表面上に塗布され、最終温度200〜400℃で熱処理し、硬化されてポリイミド系樹脂被膜とされる。
(2)ポリパラキシリレン膜
本発明においてポリパラキシリレン膜を形成するために用いることができるポリパラキシリレンには、ポリパラキシリレンの他、ポリモノクロロパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレン、ポリテトラクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリジメチルパラキシリレン、ポリジエチルパラキシリレン等を含む。
なお、市販のポリパラキシリレンも使用できる。代表的なものとしては、米国ユニオンカーバイド社製のパリレンN(ポリパラキシリレン)、パリレンC(ポリモノクロロパラキシリレン)、及びパリレンD(ポリジクロロパラキシリレン)(パリレンは登録商標)等が挙げられる。
ポリパラキシリレン膜でグラファイトシート基板を被覆する方法としては、CVD法(Chemical Vapor Depositionの略で「化学蒸着法」ともいわれる。)によりポリパラキシリレン膜を形成できる。
(金属反射層)
本発明に係る金属反射層は、ポリイミド系樹脂又はポリパラキシリレン膜で被覆されているグラファイトシート基板とシンチレータ層の間に存在する。金属薄膜の例としては、アルミ、銀、クロム、ニッケル、白金、及び金から選択される金属及びその合金からなる金属薄膜があげあげられるが、シンチレータパネルの光出力向上の観点から、反射率の高いアルミ又は銀が好ましい。一般に、グラファイトシート基板上に反射層を設けることで光出力さらに向上できるが、グラファイトシート表面が非常に反応性に乏しいことから、高反射率のアルミや銀などの金属薄膜との接着性が悪く、シンチレータ形成後のアニール処理により、剥がれが発生する。しかし、本発明に係るポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜でグラファイトシート基板を被覆することで金属薄膜を確実に形成することが出来る。
金属薄膜は、真空蒸着、スパッタ蒸着、又はメッキにより直接付着することができるが、生産性の観点からスパッタ蒸着が好ましい。膜厚に関しては、付着方法によるが、真空蒸着の場合は50〜400nm、スパッタ蒸着の場合は20〜200nmが好ましい。また、シンチレータ層により金属薄膜が腐食するのを防ぐために、シンチレータ層と反射層の間に絶縁層があることが好ましい。
〈絶縁層〉
本発明のシンチレータパネルにおいては、金属反射層とシンチレータ層の間に絶縁層を設けることが好ましい。
絶縁層は、金属反射層とシンチレータ層を電気的に絶縁するものであれば、既知のいかなるものも使用可能であるが、溶剤に溶解した樹脂を塗布、乾燥して形成することが好ましい。ガラス転位点が30〜100℃のポリマーであることが蒸着結晶と基板との膜付の点で好ましく、具体的には、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられるが、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。さらに付け加えると、本発明に係る絶縁層として前記ポリパラキシリレン膜を使用することも出来る。グラファイトシートの被覆膜と絶縁層を同一にすることで工程設備が共用できるメリットがある。
絶縁層の膜厚としては接着性の点で0.1μm以上が好ましく、絶縁層表面の平滑性確保の点で3.0μm以下が好ましい。より好ましくは絶縁層の厚さが0.2〜2.5μmの範囲である。
絶縁層作製に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
(シンチレータ層)
シンチレータ層(「蛍光体層」ともいう。)を形成する材料としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができるが、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成出来るため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、シンチレータ層(蛍光体層)の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。
但し、CsIのみでは発光効率が低いために、各種の賦活剤が添加される。例えば、特公昭54−35060号の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば特開2001−59899号公報に開示されているようなCsIを蒸着で、インジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質を含有するCsIが好ましい。
なお、本発明においては、特に、1種類以上のタリウム化合物を含む添加剤とヨウ化セシウムとを原材料とすることが好ましい。すなわち、タリリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長をもつことから好ましい。
本発明に係る1種類以上のタリウム化合物を含有する添加剤のタリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。
本発明において、好ましいタリウム化合物は、ヨウ化タリウム(TlI)、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)等である。
また、本発明に係るタリウム化合物の融点は、400〜700℃の範囲内にあることが好ましい。700℃以内を超えると、柱状結晶内での添加剤が不均一に存在してしまい、発光効率が低下する。なお、本発明での融点とは、常温常圧下における融点である。
本発明のシンチレータ層において、当該添加剤の含有量は目的性能等に応じて、最適量にすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して、0.001〜50mol%、更に0.1〜10.0mol%であることが好ましい。
ここで、ヨウ化セシウムに対し、添加剤が0.001mol%未満であると、ヨウ化セシウム単独使用で得られる発光輝度と大差なく、目的とする発光輝度を得ることができない。また、50mol%を超えるとヨウ化セシウムの性質・機能を保持することができない。
(保護層)
本発明に係る保護層は、シンチレータ層の保護を主眼とするものである。すなわち、ヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを主眼とする。
当該保護層は、種々の材料を用いて形成することができる。例えば、CVD法によりポリパラキシリレン膜を形成する。即ち、シンチレータ及び基板の表面全体にポリパラキシリレン膜を形成し、保護層とすることができる。
また、別の態様の保護層として、シンチレータ層上に高分子保護フィルムを設けることもできる。
上記高分子保護フィルムの厚さは、空隙部の形成性、シンチレータ(蛍光体)層の保護性、鮮鋭性、防湿性、作業性等を考慮し、12〜100μmが好ましく、更には20〜60μmが好ましい。また、ヘイズ率が、鮮鋭性、放射線画像ムラ、製造安定性、作業性等を考慮し、3〜40%が好ましく、更には3〜10%が好ましい。ヘイズ率は、日本電色工業株式会社NDH 5000Wにより測定した値を示す。必要とするヘイズ率は、市販されている高分子フィルムから適宜選択し、容易に入手することが可能である。
保護フィルムの光透過率は、光電変換効率、シンチレータ発光波長等を考慮し、550nmで70%以上あることが好ましいが、99%以上の光透過率のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に99%〜70%が好ましい。
保護フィルムの透湿度は、シンチレータ層の保護性、潮解性等を考慮し50g/m2・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には10g/m2・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましいが、0.01g/m2・day(40℃・90%RH)以下の透湿度のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に、0.01g/m2・day(40℃・90%RH)以上、50g/m2・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には0.1g/m2・day(40℃・90%RH)以上、10g/m2・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましい。
(シンチレータパネルの作製方法)
本発明のシンチレータパネルの作製方法の典型的例について、図を参照しながら説明する。なお、図1は、放射線用シンチレータパネル10の概略構成を示す断面図である。図2は、放射線用シンチレータパネル10の拡大断面図である。図3は、蒸着装置61の概略構成を示す図面である。
〈蒸着装置〉
図3に示す通り、蒸着装置61は箱状の真空容器62を有しており、真空容器62の内部には真空蒸着用のボート63が配されている。ボート63は蒸着源の被充填部材であり、当該ボート63には電極が接続されている。当該電極を通じてボート63に電流が流れると、ボート63がジュール熱で発熱するようになっている。放射線用シンチレータパネル10の製造時においては、ヨウ化セシウムと賦活剤化合物とを含む混合物がボート63に充填され、そのボート63に電流が流れることで、上記混合物を加熱・蒸発させることができるようになっている。
なお、被充填部材として、ヒータを巻回したアルミナ製のるつぼを適用してもよいし、高融点金属製のヒータを適用してもよい。
真空容器62の内部であってボート63の直上にはグラファイトシート基板1を保持するホルダ64が配されている。ホルダ64にはヒータ(図示略)が配されており、当該ヒータを作動させることでホルダ64に装着した基板1を加熱することができるようになっている。基板1を加熱した場合には、基板1の表面の吸着物を離脱・除去したり、基板1とその表面に形成されるシンチレータ層(蛍光体層)2との間に不純物層が形成されるのを防止したり、基板1とその表面に形成されるシンチレータ層2との密着性を強化したり、基板1の表面に形成されるシンチレータ層2の膜質の調整をおこなったりすることができるようになっている。
ホルダ64には当該ホルダ64を回転させる回転機構65が配されている。回転機構65は、ホルダ64に接続された回転軸65aとその駆動源となるモータ(図示略)から構成されたもので、当該モータを駆動させると、回転軸65aが回転してホルダ64をボート63に対向させた状態で回転させることができるようになっている。
蒸着装置61では、上記構成の他に、真空容器62に真空ポンプ66が配されている。真空ポンプ66は、真空容器62の内部の排気と真空容器62の内部へのガスの導入とをおこなうもので、当該真空ポンプ66を作動させることにより、真空容器62の内部を一定圧力のガス雰囲気下に維持することができるようになっている。
〈シンチレータパネル〉
次に、本発明に係るシンチレータパネル10の作製方法について説明する。
当該放射線用シンチレータパネル10の作製方法においては、上記で説明した蒸発装置61を好適に用いることができる。蒸発装置61を用いて放射線用シンチレータパネル10を作製する方法について説明する。
《基板の作製》
厚さが50〜500μmグラファイトシート基板を使用し、表面をポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜で被覆する。
《金属反射層の形成》
ポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜で被覆されたグラファイトシート基板の一方の表面に金属薄膜としてスパッタ蒸着で金属薄膜(アルミ、銀)を形成する。
《絶縁層の形成》
絶縁層は、有機溶剤に高分子結合材を分散・溶解した組成物を塗布、乾燥して形成する。高分子結合材としては、接着性、導電性金属反射層の耐腐食性の観点でポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の疎水性樹脂が好ましい。
《シンチレータ層の形成》
上記のように反射層及び絶縁層3を設けたグラファイト基板1をホルダ64に取り付けるとともに、ボート63にヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む粉末状の混合物を充填する(準備工程)。この場合、ボート63と基板1との間隔を100〜1500mmに設定し、その設定値の範囲内のままで後述の蒸着工程の処理をおこなうのが好ましい。
準備工程の処理を終えたら、真空ポンプ66を作動させて真空容器62の内部を排気し、真空容器62の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下にする(真空雰囲気形成工程)。ここでいう「真空雰囲気下」とは、100Pa以下の圧力雰囲気下のことを意味し、0.1Pa以下の圧力雰囲気下であるのが好適である。
その後。アルゴン等の不活性ガスを真空容器62の内部に導入し、当該真空容器62の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下に維持する。次に、ホルダ64のヒータと回転機構65のモータとを駆動させ、ホルダ64に取付け済みの基板1をボート63に対向させた状態で加熱しながら回転させる。
この状態において、電極からボート63に電流を流し、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む混合物を700〜800℃程度で所定時間加熱してその混合物を蒸発させる。その結果、基板1の表面に無数の柱状結晶体2aが順次成長して所望の厚さのシンチレータ層2が形成される(蒸着工程)。これにより、本発明に係る放射線用シンチレータパネル10を製造することができる。
《保護層の形成》
前記シンチレータ層2を形成するヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く、露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解する。そこで、これを防止するために、例えば、CVD法によりポリパラキシリレンをシンチレータパネル全面に5μm〜30μm厚さに被覆することで保護層5を形成する。CsIの柱状結晶には隙間があり、ポリパラキシリレンがこの狭い隙間に入り込むので、保護層がヨウ化セシウム(CsI)に密着する。
(放射線画像検出器)
以下に、上記放射線用シンチレータパネル10の一適用例として、図4及び図5を参照しながら、当該放射線用シンチレータプレート10を具備した放射線画像検出器100の構成について説明する。なお、図4は放射線画像検出器100の概略構成を示す一部破断斜視図である。また、図5は撮像パネル51の拡大断面図である。
図4に示す通り、放射線画像検出器100には、撮像パネル51、放射線画像検出器100の動作を制御する制御部52、書き換え可能な専用メモリ(例えばフラッシュメモリ)等を用いて撮像パネル51から出力された画像信号を記憶する記憶手段であるメモリ部53、撮像パネル51を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電力供給手段である電源部54、等が筐体55の内部に設けられている。筐体55には必要に応じて放射線画像検出器100から外部に通信を行うための通信用のコネクタ56、放射線画像検出器100の動作を切り換えるための操作部57、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部53に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部58、等が設けられている。
ここで、放射線画像検出器100に電源部54を設けるとともに放射線画像の画像信号を記憶するメモリ部53を設け、コネクタ56を介して放射線画像検出器100を着脱自在にすれば、放射線画像検出器100を持ち運びできる可搬構造とすることができる。
図5に示すように、撮像パネル51は、放射線用シンチレータパネル10と、放射線用シンチレータパネル10からの電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板20と、から構成されている。
放射線用シンチレータパネル10は、放射線照射面側に配置されており、入射した放射線の強度に応じた電磁波を発光するように構成されている。
出力基板20は、放射線用シンチレータパネル10の放射線照射面と反対側の面に設けられており、放射線用シンチレータパネル10側から順に、隔膜20a、光電変換素子20b、画像信号出力層20c及び基板20dを備えている。
隔膜20aは、放射線用シンチレータパネル10と他の層を分離するためのものである。
光電変換素子20bは、透明電極21と、透明電極21を透過して入光した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層22と、透明電極21に対しての対極になる対電極23とから構成されており、隔膜20a側から順に透明電極21、電荷発生層22、対電極23が配置される。
透明電極21とは、光電変換される電磁波を透過させる電極であり、例えばインジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料を用いて形成される。
電荷発生層22は、透明電極21の一面側に薄膜状に形成されており、光電変換可能な化合物として光によって電荷分離する有機化合物を含有するものであり、電荷を発生し得る電子供与体及び電子受容体としての導電性化合物をそれぞれ含有している。電荷発生層22では、電磁波が入射されると、電子供与体は励起されて電子を放出し、放出された電子は電子受容体に移動して、電荷発生層22内に電荷、すなわち、正孔と電子のキャリアが発生するようになっている。
ここで、電子供与体としての導電性化合物としては、p型導電性高分子化合物が挙げられ、p型導電性高分子化合物としては、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリ(p−フェニレン)又はポリアニリンの基本骨格を持つものが好ましい。
また、電子受容体としての導電性化合物としては、n型導電性高分子化合物が挙げられ、n型導電性高分子化合物としては、ポリピリジンの基本骨格を持つものが好ましく、特にポリ(p−ピリジルビニレン)の基本骨格を持つものが好ましい。
電荷発生層22の膜厚は、光吸収量を確保するといった観点から、10nm以上(特に100nm以上)が好ましく、また電気抵抗が大きくなりすぎないといった観点から、1μm以下(特に300nm以下)が好ましい。
対電極23は、電荷発生層22の電磁波が入光される側の面と反対側に配置されている。対電極23は、例えば、金、銀、アルミニウム、クロムなどの一般の金属電極や、透明電極21の中から選択して用いることが可能であるが、良好な特性を得るためには仕事関数の小さい(4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするのが好ましい。
また、電荷発生層22を挟む各電極(透明電極21及び対電極23)との間には、電荷発生層22とこれら電極が反応しないように緩衝地帯として作用させるためのバッファー層を設けてもよい。バッファー層は、例えば、フッ化リチウム及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホナート)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル[1,10]フェナントロリンなどを用いて形成される。
画像信号出力層20cは、光電変換素子20bで得られた電荷の蓄積および蓄積された電荷に基づく信号の出力を行うものであり、光電変換素子20bで生成された電荷を画素毎に蓄積する電荷蓄積素子であるコンデンサ24と、蓄積された電荷を信号として出力する画像信号出力素子であるトランジスタ25とを用いて構成されている。
トランジスタ25は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を用いるものとする。このTFTは、液晶ディスプレイ等に使用されている無機半導体系のものでも、有機半導体を用いたものでもよく、好ましくはプラスチックフィルム上に形成されたTFTである。プラスチックフィルム上に形成されたTFTとしては、アモルファスシリコン系のものが知られているが、その他、米国Alien Technology社が開発しているFSA(Fluidic Self Assembly)技術、即ち、単結晶シリコンで作製した微小CMOS(Nanoblocks)をエンボス加工したプラスチックフィルム上に配列させることで、フレキシブルなプラスチックフィルム上にTFTを形成するものとしても良い。さらに、Science,283,822(1999)やAppl.Phys.Lett,771488(1998)、Nature,403,521(2000)等の文献に記載されているような有機半導体を用いたTFTであってもよい。
このように、本発明に用いられるトランジスタ25としては、上記FSA技術で作製したTFT及び有機半導体を用いたTFTが好ましく、特に好ましいものは有機半導体を用いたTFTである。この有機半導体を用いてTFTを構成すれば、シリコンを用いてTFTを構成する場合のように真空蒸着装置等の設備が不要となり、印刷技術やインクジェット技術を活用してTFTを形成できるので、製造コストが安価となる。さらに、加工温度を低くできることから熱に弱いプラスチック基板上にも形成できる。
トランジスタ25には、光電変換素子20bで発生した電荷を蓄積するとともに、コンデンサ24の一方の電極となる収集電極(図示せず)が電気的に接続されている。コンデンサ24には光電変換素子20bで生成された電荷が蓄積されるとともに、この蓄積された電荷はトランジスタ25を駆動することで読み出される。すなわちトランジスタ25を駆動させることで放射線画像の画素毎の信号を出力させることができる。
基板20dは、撮像パネル51の支持体として機能するものであり、基板1と同様の素材で構成することが可能である。
次に、放射線画像検出器100の作用について説明する。
まず、放射線画像検出器100に対し入射された放射線は、撮像パネル51の放射線用シンチレータパネル10側から基板20d側に向けて放射線を入射する。
すると、放射線用シンチレータパネル10に入射された放射線は、放射線用シンチレータパネル10中のシンチレータ層2が放射線のエネルギーを吸収し、その強度に応じた電磁波を発光する。発光された電磁波のうち、出力基板20に入光される電磁波は、出力基板20の隔膜20a、透明電極21を貫通し、電荷発生層22に到達する。そして、電荷発生層22において電磁波は吸収され、その強度に応じて正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
その後、発生した電荷は、電源部54によるバイアス電圧の印加により生じる内部電界により正孔と電子はそれぞれ異なる電極(透明電極膜及び導電層)へ運ばれ、光電流が流れる。
その後、対電極23側に運ばれた正孔は画像信号出力層20cのコンデンサ24に蓄積される。蓄積された正孔はコンデンサ24に接続されているトランジスタ25を駆動させると、画像信号を出力すると共に、出力された画像信号はメモリ部53に記憶される。
以上の放射線画像検出器100によれば、上記放射線用シンチレータパネル10を備えているので、光電変換効率を高めることができ、放射線画像における低線量撮影時のSN比を向上させるとともに、画像ムラや線状ノイズの発生を防止することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
〔実施例1〕
〈シンチレータパネルの作製〉
(基板の作製)
厚さ200μmのグラファイトシート基板を使用し、表面をポリイミド樹脂膜で被覆した。なお、ポリイミド樹脂による被覆は、スピンコーターを用いたスピン塗布によって行った。すなわち、3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸ニ無水物と芳香族ジアミンとの重縮合反応によって得られる溶剤可溶性ポリイミドの樹脂濃度20質量%のNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液(新日本理化株式会社製リカコートPN−20)を加えて10質量%溶液に希釈し、ポリイミド樹脂溶液を調製したポリイミド樹脂溶液を500rpm×5秒のプレスピンの後、2000rpm×10秒の条件でスピンコートを行った。スピンコート塗布した基板を、最終温度300℃で熱処理し、硬化させポリイミド系樹脂被膜を得た。
(金属反射層の形成)
ポリイミド樹脂で被覆したグラファイトシート基板の一方の表面に金属薄膜として厚さ100nmの銀薄膜をスパッタ蒸着で形成した。
(絶縁層の形成)
バイロン630(東洋紡社製:高分子ポリエステル樹脂) 100質量部
メチルエチルケトン(MEK) 90質量部
トルエン 90質量部
上記処方を混合し、ビーズミルにて15時間分散し、塗設用の塗布液を得た。この塗布液を上記グラファイトシート基板のスパッタ面に乾燥膜厚が1.0μmになるようにバーコーターで塗布した後、100℃で8時間乾燥することで絶縁層を作製した。
(基板の断裁)
絶縁層を作製したグラファイト基板を、基板ホルダ64に合わせて断裁し、セットした。
(シンチレータ層の形成)
基板の絶縁層側に蛍光体(CsI:0.003Tl)を図3に示した蒸着装置を使用して蒸着させ、シンチレータ層(蛍光体層)を形成した。
即ち、先ず上記蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱ルツボ(ボード)に充填し、また回転する基板ホルダの金属製の枠に基板を設置し、基板と蒸発源との間隔を400mmに調節した。
続いて蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して0.5Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で基板を回転しながら基板の温度を200℃に保持した。次いで、抵抗加熱ルツボ(ボード)を加熱して蛍光体を蒸着し、シンチレータ層の膜厚が450μmとなったところで蒸着を終了させ、シンチレータ層が形成された基板を得た。
(アニール処理)
上記シンチレータ層が形成された基板を25cm×20cmサイズに断裁し、得られた2枚のうち1枚に対し窒素雰囲気下で350℃2時間のアニール処理を実施した。
(保護層の作製)
上記シンチレータ層が形成された2枚の基板を両者ともCVD装置の蒸着室に入れ、ポリパラキシリレンの原料が昇華した蒸気中に露出させておくことにより、シンチレータと基板の全面表面が10μmの厚さのポリパラキシリレン膜で被服された25cm×20cmのサイズのシンチレータパネル2枚を得た。
上記の手順にて、同様のシンチレータパネルを50枚作製した。
〔実施例2〕
基板の作製において厚さ200μmのグラファイトシート基板を使用し、表面をポリイミド系樹脂膜の代わりにポリパラキシリレン膜で被覆した以外は、実施例1と同様にして、同様のシンチレータパネルを50枚作製した。
なお、ポリパラキシリレン膜による被覆は、CVD装置の蒸着室にグラファイトシート基板を入れ、ポリパラキシリレンの原料(前記パリレンC)が昇華した蒸気中でCVD法によりポリパラキシリレン膜を成膜する方法によって行った。
〔比較例〕
ポリイミド樹脂でグラファイトシートを被覆しないこと以外は実施例1と同様にして50枚作製した。
〈評価〉
得られたシンチレータパネルを、PaxScan(Varian社製FPD:2520)にセットし、シンチレータパネル全面で画像に影響を与える画像欠陥を数えた。50枚のシンチレータプレート中の平均画像欠陥数を実施例1、実施例2、及び比較例について調べ評価した。評価結果を表1に示す。
表1に示した結果から明らかなように、本発明に係る実施例は比較例に比べ画像欠陥が顕著に少なく、優れていることが分かる。

Claims (6)

  1. グラファイトシート基板上に金属反射層及びシンチレータ層を有するシンチレータパネルであって、当該グラファイトシート基板がポリイミド系樹脂膜又はポリパラキシリレン膜で被覆されていることを特徴とするシンチレータパネル。
  2. 前記シンチレータパネルの全面が保護層で覆われていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のシンチレータパネル。
  3. 前記金属反射層が金属薄膜からなることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のシンチレータパネル。
  4. 前記金属反射層とシンチレータ層の間に絶縁層を有することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  5. 前記金属薄膜が、アルミ、銀、クロム、ニッケル、白金、及び金から選択される金属を含有することを特徴とする請求の範囲第3項又は第4項に記載のシンチレータパネル。
  6. 前記シンチレータ層が、ヨウ化セシウムとタリウムを含む添加剤とを原材料として気相法にて形成されたことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
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