JP5343970B2 - 放射線画像検出装置 - Google Patents
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Description
13 受光素子(光電変換パネル)
14 筐体
15 保護カバー
21 発泡材層
31 対向基材
32 接着剤
41 密閉減圧空間
121 基板
122 蛍光体層
123 保護層
124 ポリパラキシリレン膜
961 蒸着装置
962 真空容器
963 ボート(被充填部材)
964 ホルダ
965 回転機構
966 真空ポンプ
1a 光電変換素子部
2a 接着剤
3a 基台
4a 光電変換パネル
5a シンチレータ
6a バンプ
7a 基板
8a 孔
9a 封止材
100 放射線画像検出装置
本発明の放射線画像検出装置の上記特徴等について、図を参照しながら、更に詳細な説明をする。
本発明に係るシンチレータパネルは、高分子フィルム基板上に柱状結晶からなる蛍光体層を設けて成るシンチレータパネルが好ましく、基板と蛍光体層の間に下引層を有する態様がより好ましい。また基板上に反射層を設け、反射層、下引層、及び蛍光体層の構成であってもよい。
本発明に係る蛍光体層を形成する材料としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができるが、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成出来るため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。
本発明のシンチレータパネルは、基板(「支持体」ともいう。)として、アルミニウム、アルミニウムを主成分とする金属基板、その他金属基板、石英ガラス、プラスチック樹脂、CFRP、アラミド積層板を用いることができるが、高分子フィルムを用いることが好ましい。高分子フィルムとしては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミド(PI)フィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム)を用いることができる。特に、ポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが、ヨウ化セシウムを原材料として気相法にて蛍光体柱状結晶を形成する場合に、好適である。
本発明においては、高分子基板上には反射層を設けることが好ましい、蛍光体(シンチレータ)から発した光を反射して、光の取り出し効率を高めるためのものである。当該反射層は、Al,Ag,Cr,Cu,Ni,Ti,Mg,Rh,Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。特に、上記の元素からなる金属薄膜、例えば、Ag膜、Al膜などを用いることが好ましい。また、このような金属薄膜を2層以上形成するようにしても良い。金属薄膜を2層以上とする場合は、下層を、Crを含む層とすることが基板との接着性を向上させる点から好ましい。また、金属薄膜上にSiO2、TiO2等の金属酸化物からなる層をこの順に設けてさらに反射率を向上させても良い。
本発明においては、基板と蛍光体層の間、又は反射層と蛍光体層の間に膜付の観点から、下引き層を設けることが好ましい。当該下引層は、高分子結合材(バインダー)、分散剤等を含有することが好ましい。なお、下引層の厚さは、鮮鋭性等の観点から、0.5〜4μmが好ましい。
本発明に係る下引層は、溶剤に溶解又は分散した高分子結合材(以下「バインダー」ともいう。)を塗布、乾燥して形成することが好ましい。高分子結合材としては、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。
本発明に係るシンチレータパネルは保護層を設けることができる。保護層は、蛍光体層の保護を主眼とするものである。すなわち、ヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを主眼とする。
本発明に関わるシンチレータパネルの作製方法の典型的例について、図を参照しながら説明する。
図3は、蒸着装置の概略構成を示す図である。当該図において、蒸着装置961は箱状の真空容器962を有しており、真空容器962の内部には真空蒸着用のボート963が配されている。ボート963は蒸着源の被充填部材であり、当該ボート963には電極が接続されている。当該電極を通じてボート963に電流が流れると、ボート963がジュール熱で発熱するようになっている。放射線用シンチレータパネル12の製造時においては、ヨウ化セシウムと賦活剤化合物とを含む混合物がボート963に充填され、そのボート963に電流が流れることで、上記混合物を加熱・蒸発させることができるようになっている。
次に、本発明に係るシンチレータパネル12の作製方法について説明する。
基板1の一方の表面に反射層としての金属薄膜(Al膜、Ag膜等)をスパッタ法により形成する。また高分子フィルム上にAl膜をスパッタ蒸着したフィルムは、各種の品種が市場で流通しており、これらを本発明の基板として使用することも可能である。
下引層は、有機溶剤に高分子結合材を分散・溶解した組成物を塗布、乾燥して形成する。高分子結合材としては接着性、反射層の耐腐食性の観点でポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の疎水性樹脂が好ましい。
上記のように反射層と下引層を設けた基板121をホルダ964に取り付けるとともに、複数個(図示しない)のボート963にヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む粉末状の混合物を充填する(準備工程)。この場合、ボート963と基板121との間隔を100〜1500mmに設定し、その設定値の範囲内のままで後述の蒸着工程の処理をおこなう。より好ましくはボート963と基板121との間隔を400mm以上、1500mm以下とし、複数個のボート963を同時に加熱し蒸着を行う。
本発明に係る光電変換パネルについて、図4を参照して説明する。図4は、放射線画像検出装置における光電変換パネルの概略構成図である。図4(a)は当該装置の上面図、図4(b)は断面図である。図4(b)に示すように、基台3a上に接着剤2aによって、光電変換素子が形成される光電変換素子部1aが接着されている。これを光電変換パネル4とする。
対向基材としては、アルミニウム、アルミニウムを主成分とする金属基板、その他金属基板、石英ガラス、プラスチック樹脂、CFRP、アラミド積層板を用いることができる。対向基材は、X線の透過率が良好で、平面性が良く、さらには、光電変換パネルとの熱膨張係数が近いものが好まれる。
本発明の放射線画像検出装置においては、光電変換パネル及び基材の周辺部が接着剤にて接着されているが、当該周辺部の接着剤部分の透湿度は、温度40℃・相対湿度90%下で、接着剤塗布厚さ1μあたりの透湿度が 30g/m2以下であるように調整することが好ましい。
以下に、上記放射線用シンチレータパネル10の一適用例として、図5及び図6を参照しながら、当該放射線用シンチレータパネル10を具備した放射線画像検出装置100の構成について説明する。なお、図5は放射線画像検出装置100の概略構成を示す一部破断斜視図である。また、図6は撮像パネル51の拡大断面図である。
厚さ125μm、250×250mmサイズのポリイミドフィルム(ガラス転移温度は285℃)(宇部興産製ユーピレックス)にアルミをスパッタして反射層(0.10μm)を形成した。
厚さ500μmの鏡面アルミ板を250×250mmサイズに断裁した。
バイロン20SS(東洋紡社製:高分子ポリエステル樹脂) 300質量部
メチルエチルケトン(MEK) 200質量部
トルエン 300質量部
シクロヘキサノン 150質量部
上記処方を混合し、ビーズミルにて15時間分散し、下引き塗設用の塗布液を得た。この塗布液を上記基板の反射層側に乾燥膜厚が1.0μmになるようにスピンコーターで塗布したのち100℃で8時間乾燥することで下引き層を作製した。
基板の下引き層側に蛍光体(CsI:0.03Tlmol%)を、図9に示した蒸着装置を使用して蒸着させ基板の全面に500μm蛍光体層を形成した。ボート963とホルダ964との間にシャッタ(図示略)を配し、蒸着開始時に目的物以外の物質が蛍光体層に付着するのを防止した。
ついで、試料のうち、保護層を設けるものについては、下記の方法で保護層を作製した。
(2)バリレン法:得られた蛍光体プレートにCVD法でポリパラキシリレン(日本パリレン)を蒸着しシンチレータ試料を得た。なお、パリレンの膜厚は、40μmであった。
得られたシンチレータと光電変換パネルを貼り合わせ、放射線画像検出装置を得た。30cm×30cmの光電変換パネル及び対向基材(AN100(旭硝子社製0.6mmtガラス)を準備した。まず対向基材中央部にマトリックステープにて、25cm×25cmのシンチレータを貼合した。次に、対向基材の端部から5mmのところに表記載の接着剤を塗布し、光電変換パネルと密着させた。密着させたパネルを減圧デシケータに投入し、デシケータ内でオーク社製メタルハライドランプを照射しながら減圧させた。庫内の圧力は1000Paとし、1000Paで1分間保持した後、大気圧まで戻した。貼り付けたパネルを筐体に入れ、本発明の放射線画像検出装置を得た。
シンチレータと光電変換パネルの貼りあわせを下記で行った他は試料3と同様にして比較用放射線画像検出装置を作製した。
上記のシンチレータがセットされた放射線画像検出装置の放射線入射面側に管電圧70kVpで3.0mRのX線を照射し、シンチレータの発光強度ムラを含めて入射X線に対する各画素からの出力が同一になるようにキャリブレーション(Gain補正)を実施した。次に、管電圧70kVpで1.0mRのX線を照射し、得られたデジタル信号をハードディスクに記録し、画像を得た。
正常に画像が取得できることを確認した後、エッジ法にてMTF測定を行い、2ln/mmの解析値を記録し表に記入した。数値が大きいほど密着性が良好で、0.2以上ならば実用の範囲内である。
上記MTFを評価した試料を30℃90%に調整した恒温槽に30日間保存した。保存後、上記と同様にしてMTFを測定し、初期値を1としたときの相対値を記録した。数値が大きいほど初期との性能変動がなく良好で、0.85以上ならば実用可能なレベルである。
Claims (9)
- 基板上に蛍光体層を有するシンチレータパネルと光電変換パネルとを具備した放射線画像検出装置であって、当該光電変換パネルと対向基材との間に、当該シンチレータパネルが保持され、当該光電変換パネルの周辺部及び対向基材の周辺部が接着剤にて接着され、当該光電変換パネルと対向基材との間の空間の気体の圧力が、大気圧よりも低く、かつ前記周辺部の接着剤部分の透湿度が、温度40℃・相対湿度90%下で、30g/m2/μm以下であり、前記接着剤の組成として、アクリル、ウレタン、エポキシ、シリコーン、フッ素含有樹脂から選ばれる組成を使用することを特徴とする放射線画像検出装置。
- 基板上に蛍光体層を有するシンチレータパネルと光電変換パネルとを具備した放射線画像検出装置であって、当該光電変換パネルと対向基材との間に、当該シンチレータパネルが保持され、当該光電変換パネルの周辺部及び対向基材の周辺部が接着剤にて接着され、当該光電変換パネルと対向基材との間の空間の気体の圧力が、大気圧よりも低く、かつシンチレータパネルが保護層を有せず、直接光電交換パネルと密着していることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像検出装置。
- 基板上に蛍光体層を有するシンチレータパネルと光電変換パネルとを具備した放射線画像検出装置であって、当該光電変換パネルと対向基材との間に、当該シンチレータパネルが保持され、当該光電変換パネルの周辺部及び対向基材の周辺部が接着剤にて接着され、当該光電変換パネルと対向基材との間の空間の気体の圧力が、大気圧よりも低く、かつシンチレータパネルが樹脂フィルムからなる保護層で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像検出装置。
- 基板上に蛍光体層を有するシンチレータパネルと光電変換パネルとを具備した放射線画像検出装置であって、当該光電変換パネルと対向基材との間に、当該シンチレータパネルが保持され、当該光電変換パネルの周辺部及び対向基材の周辺部が接着剤にて接着され、当該光電変換パネルと対向基材との間の空間の気体の圧力が、大気圧よりも低く、かつシンチレータパネルがポリパラキシリレン膜で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像検出装置。
- 前記対向基材とシンチレータパネルが貼合されており、当該シンチレータパネルが光電変換パネルに減圧により密着していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像検出装置。
- 前記シンチレータパネルの基板が、可撓性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像検出装置。
- 前記蛍光体層が、光電変換パネルに直接密着していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線画像検出装置。
- 前記蛍光体層が、気相法により堆積形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線画像検出装置。
- 前記蛍光体層が、ヨウ化セシウムとタリウムを含む添加剤を原材料として形成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の放射線画像検出装置。
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