JP2009047577A - シンチレータパネル及びその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光変換効率の高い放射線フラットパネルディテクタ(FPD)を実現するためのシンチレータパネルとその作製方法を提供する。
【解決手段】高分子フィルム基板上に蛍光体層を有するシンチレータパネルであって、当該蛍光体層が可視光域の光透過率を上げる処理を施されたことを特徴とするシンチレータパネル。
【選択図】なし

Description

本発明は、被写体の放射線画像を形成する際に用いられるシンチレータパネルとその作製方法に関する。
X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。近年では、放射線検出器を用いた放射線イメージングシステムが普及してきている。このシステムは、放射線検出器による2次元の放射線による画像データを電気信号として取得し、この信号を処理することでモニタ上へ表示させる。
シンチレータパネルは基板側から入射した放射線を光に変換する役割を果たす。1990年代に放射線画像の撮影装置として開発されたFPD(Flat Panel Detector)は、シンチレータパネルと撮像素子を組み合わせた放射線検出器である。
このためのシンチレータの材料としてはヨウ化セシウム(CsI)がよく用いられる。CsIはX線から可視光への変換率が比較的高く、蒸着によって容易に柱状結晶構造を形成できるため、光ガイド効果により発光光の散乱が抑えることができる。
しかしながら、蛍光体層の形成は、蒸着装置を用いて、例えば、CsI粉を充填したるつぼ(ボート)を加熱すると共に基板の加熱を行い、その基板加熱は赤外線ランプ等を用いて行われるが、基板が高分子フィルムのとき、熱伝導がよくないため基板面内の温度分布が均一でなくなる。基板温度の分布にばらつきがあると、CsIの柱状結晶形状がばらついてしまい、その結果、得られるシンチレータパネルとしての光変換効率と鮮鋭性が低下するという問題がある。
一方、CsIのみでは発光効率が低いため、例えば、ヨウ化セシウム(CsI)とヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものを、蒸着を用いて基板上にナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)として堆積させ、後工程としてアニールを行うことで可視変換効率を向上させ、X線蛍光体として使用している。
また、最近では、例えば、インジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)等の賦活物質をスパッタで形成するX線蛍光体作製方法等が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、高性能診断を実現するため、更に光変換効率の高いシンチレータパネル及びそれを用いた放射線フラットパネルディテクタ(FPD)を開発することが望まれている。
特許第3551851号明細書
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、光変換効率の高い放射線フラットパネルディテクタ(FPD)を実現するためのシンチレータパネルとその作製方法を提供することである。
本発明者は、高分子フィルム基板上へ蛍光体層を形成した後に加熱処理を施すことによって、光変換効率の高いシンチレータパネルが得られることを見出し、本発明に到った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段によって解決される。
1.高分子フィルム基板上に蛍光体層を有するシンチレータパネルであって、当該蛍光体層が可視光域の光透過率を上げる処理を施されたことを特徴とするシンチレータパネル。
2.前記蛍光体層がヨウ化セシウム(CsI)を主成分とする柱状結晶であることを特徴とする前記1に記載のシンチレータパネル。
3.前記1又は2に記載のシンチレータパネルの作製方法であって、蛍光体層の形成後に蛍光体層の可視光域の光透過率を上げる処理を行うことを特徴とするシンチレータパネルの作製方法。
本発明の上記手段により、光変換効率の高い放射線フラットパネルディテクタ(FPD)を実現するためのシンチレータパネルとその作製方法を提供することができる。
本発明のシンチレータパネルは、高分子フィルム基板上に蛍光体層を有するシンチレータパネルであって、当該蛍光体層が可視光域の光透過率を上げる処理を施されたことを特徴とする。この特徴は、請求項1〜3に係る発明に共通する技術的特徴である。
なお、本発明においては、前記蛍光体層がヨウ化セシウム(CsI)を主成分とする柱状結晶であることが好ましい。また、シンチレータパネルの作製方法としては、蛍光体層の形成後に蛍光体層の可視光域の光透過率を上げる処理を行う工程を含む。
以下、本発明とその構成要素、及び発明を実施するための最良の形態について詳細な説明をする。
(シンチレータパネルの構成)
本発明のシンチレータパネルは、基板上に柱状結晶からなる蛍光体層を設けて成るシンチレータパネルであるが、基板上に下記に示す導電性金属反射層、更にその上に保護層を設け、その上に蒸着により蛍光体層を設ける態様にすることが好ましい。また、基板と蛍光体層の間に下引層を有する態様も好ましい。さらに基板上に導電性金属反射層を設け、導電性金属反射層、下引層、及び蛍光体層の構成であってもよい。
以下、各構成層について説明する。
(蛍光体層)
本発明に係る蛍光体層の蛍光体とは、X線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの電磁波、即ち可視光線を中心に紫外光から赤外光に亘る電磁波(光)を発光する蛍光体をいう。
蛍光体を形成する材料としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができるが、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。CsIのみでは発光効率が低いために各種の賦活剤が添加されることが更に好ましい。
例えば、特公昭54−35060号公報の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば、特開2001−59899号公報に開示されているようなCsIを、蒸着でインジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活剤を含有するCsIが好ましい。
なお、特に1種類以上のタリウム化合物を含む賦活剤とヨウ化セシウムとを原材料とすることが好ましい。即ち、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長を持つことから好ましい。本発明に係る1種類以上のタリウム化合物を含有する賦活剤のタリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。本発明において、好ましいタリウム化合物は臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、またはフッ化タリウム(TlF、TlF3)等である。
本発明に係る蛍光体において、当該賦活剤の含有量は目的性能等に応じて最適量にすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して0.001〜50mol%、更に0.1〜10.0mol%であることが好ましい。ここで、ヨウ化セシウムに対し賦活剤が0.001mol%未満であるとヨウ化セシウム単独使用で得られる発光輝度と大差なく、目的とする発光輝度を得ることができない。また、50mol%を超えるとヨウ化セシウムの性質、機能を保持することができない。
〈透過率上昇処理〉
本発明においては、蛍光体層が可視光域の光透過率を上げる処理を施されたことを特徴とする。また、蛍光体層の形成後に蛍光体層の可視光域の光透過率を上げる処理を行うことを特徴とする。光透過率を上げることによって、蛍光体層で発光した光を撮像素子へ効率よく運ぶことが可能となる。
具体的には、例えば蛍光体層を作製した後、空気雰囲気下の加熱炉内で加熱処理を行うことで、光透過率を上げることができる。なお、加熱処理の温度は、蛍光体層を形成する際の基板の温度より30〜150℃高温であることが好ましい。
(高分子フィルム基板)
基板としては高分子フィルムが用いられ、耐熱性の観点からポリイミド(PI)またはポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムが好ましい。
更に、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、放射線フラットパネルディテクタの受光面内で均一な画質特性が得られないという点に関して、該基板を厚さ50〜500μmの高分子フィルムとすることでシンチレータパネルが平面受光素子面形状に合った形状に変形し、放射線フラットパネルディテクタの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られることが判明した。
(導電性金属反射層)
導電性金属反射層は蛍光体層で変換された光を外部へ出射するため反射層として機能させることが可能であり、発光光の利用効率の面で導電性金属反射層は反射率の高い金属で形成することが好ましい。反射率の高い金属膜層としては、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Mg、Pt、Auからなる群の中の物質を含む材料が挙げられる。本発明に係る導電性金属反射層の形成方法は既知のいかなる方法でも構わないが、例えば、上記原材料を使用したスパッタ処理が挙げられる。
導電性金属としては、電気伝導率で6.0S/m(ジーメンス毎メートル)以上のものであることが好ましく、より好ましくは30S/m以上である。具体的にはAl(40S/m)、Ag(67S/m)、Au(46S/m)が反射率や電気伝導率の点で好ましい。
(保護層)
保護層は溶剤に溶解した樹脂を塗布、乾燥して形成することが好ましい。ガラス転位点が30〜100℃のポリマーであることが蒸着結晶と基板との膜付の点で好ましく、具体的には、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられるが、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。
保護層の膜厚としては接着性の点で0.1μm以上が好ましく、保護層表面の平滑性確保の点で3.0μm以下が好ましい。より好ましくは保護層の厚さが0.2〜2.5μmの範囲である。
保護層作製に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
〈シンチレータパネルの作製方法〉
次に、本発明のシンチレータパネルの作製方法の典型的例について説明する。
《反射層の形成》
基板の一方の表面に反射層としての金属薄膜(Al膜、Ag膜等)をスパッタ法により形成する。また高分子フィルム上にAl膜をスパッタ蒸着したフィルムは、各種の品種が市場で流通しており、これらを基板として使用することも可能である。
《下引層の形成》
下引層は、上記の有機溶剤に高分子結合材を分散・溶解した組成物を塗布、乾燥して形成する。高分子結合材としては接着性、反射層の耐腐食性の観点でポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の疎水性樹脂が好ましい。
《蛍光体層の形成》
上記のように反射層と下引層を設けた基板を支持体(ホルダ)に取り付けるとともに、るつぼにヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む粉末状の混合物を充填する(準備工程)。この場合、るつぼと基板との間隔を100〜1500mmに設定し、その設定値の範囲内のままで後述の蒸着工程の処理をおこなうのが好ましい。
準備工程の処理を終えたら、真空ポンプを作動させて真空容器の内部を排気し、真空容器の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下にする(真空雰囲気形成工程)。ここでいう「真空雰囲気下」とは、100Pa以下の圧力雰囲気下のことを意味し、0.1Pa以下の圧力雰囲気下であるのが好適である。
次にアルゴン等の不活性ガスを真空容器の内部に導入し、当該真空容器の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下に維持する。その後、支持体(ホルダ)のヒータと回転機構のモータとを駆動させ、支持体(ホルダ)に取付け済みの基板をるつぼに対向させた状態で加熱しながら回転させる。
この状態において、電極からるつぼに電流を流し、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む混合物を700℃程度で所定時間加熱してその混合物を蒸発させる。その結果、基板の表面に無数の柱状結晶体が順次成長して所望の厚さの蛍光体層が得られる(蒸着工程)。これにより、本発明に係る放射線用シンチレータパネルを作製することができる。
なお、上記記載事項においては、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計変更をおこなってもよい。
一の改良・設計変更事項として、上記蒸着工程では抵抗加熱法による処理としたが、当該各工程の処理は電子ビームによる処理であってもよいし、高周波誘導による処理でもよい。本実施形態では、比較的簡単な構成で取り扱いが容易、安価、かつ、非常に多くの物質に適用可能である点から、上記の通り、抵抗加熱法による加熱処理を適用するのが好ましい。抵抗加熱法による加熱処理を実行すると、同一のるつぼにおいて、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとの混合物の加熱処理と蒸着処理という両処理を両立することができる。
他の改良・設計変更事項として、蒸着装置のるつぼと支持体(ホルダ)との間に、るつぼからホルダに至る空間部を遮断するシャッタ(図示略)を配してもよい。この場合、当該シャッタによってるつぼ上の混合物の表面に付着した目的物以外の物質が蒸着工程の初期段階で蒸発し、その物質が基板に付着するのを防止することができる。
(放射線画像検出器)
本発明のシンチレータパネルは種々の放射線画像検出器(「放射線フラットパネルディテクタ(FPD)」ともいう。)に適用できるが、以下に一適用例について、図2及び図3を参照しながら、放射線画像検出器100の構成について説明する。図2は放射線画像検出器100の概略構成を示す一部破断斜視図である。図3は撮像パネル51の拡大断面図を示す。
図2に示す通り、放射線画像検出器100には、撮像パネル51、放射線画像検出器100の動作を制御する制御部52、書き換え可能な専用メモリ(例えばフラッシュメモリ)等を用いて撮像パネル51から出力された画像信号を記憶する記憶手段であるメモリ部53、撮像パネル51を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電力供給手段である電源部54、等が筐体55の内部に設けられている。筐体55には必要に応じて放射線画像検出器100から外部に通信を行うための通信用のコネクタ56、放射線画像検出器100の動作を切り換えるための操作部57、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部53に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部58、等が設けられている。
ここで、放射線画像検出器100に電源部54を設けるとともに放射線画像の画像信号を記憶するメモリ部53を設け、コネクタ56を介して放射線画像検出器100を着脱自在にすれば、放射線画像検出器100を持ち運びできる可搬構造とすることができる。
図3に示すように、撮像パネル51は、放射線用シンチレータパネル10と、放射線用シンチレータパネル10からの電磁波を吸収して画像信号を出力する出力基板20と、から構成されている。
放射線用シンチレータパネル10は、放射線照射面側に配置されており、入射した放射線の強度に応じた電磁波を発光するように構成されている。
出力基板20は、放射線用シンチレータパネル10の放射線照射面と反対側の面に設けられており、放射線用シンチレータパネル10側から順に、隔膜20a、光電変換素子20b、画像信号出力層20c及び基板20dを備えている。
隔膜20aは、放射線用シンチレータパネル10と他の層を分離するためのものである。
光電変換素子20bは、透明電極21と、透明電極21を透過して入光した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層22と、透明電極21に対しての対極になる対電極23とから構成されており、隔膜20a側から順に透明電極21、電荷発生層22、対電極23が配置される。
透明電極21とは、光電変換される電磁波を透過させる電極であり、例えばインジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料を用いて形成される。
電荷発生層22は、透明電極21の一面側に薄膜状に形成されており、光電変換可能な化合物として光によって電荷分離する有機化合物を含有するものであり、電荷を発生し得る電子供与体及び電子受容体としての導電性化合物をそれぞれ含有している。電荷発生層22では、電磁波が入射されると、電子供与体は励起されて電子を放出し、放出された電子は電子受容体に移動して、電荷発生層22内に電荷、すなわち、正孔と電子のキャリアが発生するようになっている。
ここで、電子供与体としての導電性化合物としては、p型導電性高分子化合物が挙げられ、p型導電性高分子化合物としては、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリ(p−フェニレン)又はポリアニリンの基本骨格を持つものが好ましい。
また、電子受容体としての導電性化合物としては、n型導電性高分子化合物が挙げられ、n型導電性高分子化合物としては、ポリピリジンの基本骨格を持つものが好ましく、特にポリ(p−ピリジルビニレン)の基本骨格を持つものが好ましい。
電荷発生層22の膜厚は、光吸収量を確保するといった観点から、10nm以上(特に100nm以上)が好ましく、また電気抵抗が大きくなりすぎないといった観点から、1μm以下(特に300nm以下)が好ましい。
対電極23は、電荷発生層22の電磁波が入光される側の面と反対側に配置されている。対電極23は、例えば、金、銀、アルミニウム、クロムなどの一般の金属電極や、透明電極21の中から選択して用いることが可能であるが、良好な特性を得るためには仕事関数の小さい(4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするのが好ましい。
また、電荷発生層22を挟む各電極(透明電極21及び対電極23)との間には、電荷発生層22とこれら電極が反応しないように緩衝地帯として作用させるためのバッファー層を設けてもよい。バッファー層は、例えば、フッ化リチウム及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホナート)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル[1,10]フェナントロリンなどを用いて形成される。
画像信号出力層20cは、光電変換素子20bで得られた電荷の蓄積および蓄積された電荷に基づく信号の出力を行うものであり、光電変換素子20bで生成された電荷を画素毎に蓄積する電荷蓄積素子であるコンデンサ24と、蓄積された電荷を信号として出力する画像信号出力素子であるトランジスタ25とを用いて構成されている。
トランジスタ25は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を用いるものとする。このTFTは、液晶ディスプレイ等に使用されている無機半導体系のものでも、有機半導体を用いたものでもよく、好ましくはプラスチックフィルム上に形成されたTFTである。プラスチックフィルム上に形成されたTFTとしては、アモルファスシリコン系のものが知られているが、その他、米国Alien Technology社が開発しているFSA(Fluidic Self Assembly)技術、即ち、単結晶シリコンで作製した微小CMOS(Nanoblocks)をエンボス加工したプラスチックフィルム上に配列させることで、フレキシブルなプラスチックフィルム上にTFTを形成するものとしても良い。さらに、Science,283,822(1999)やAppl.Phys.Lett,771488(1998)、Nature,403,521(2000)等の文献に記載されているような有機半導体を用いたTFTであってもよい。
このように、本発明に用いられるトランジスタ25としては、上記FSA技術で作製したTFT及び有機半導体を用いたTFTが好ましく、特に好ましいものは有機半導体を用いたTFTである。この有機半導体を用いてTFTを構成すれば、シリコンを用いてTFTを構成する場合のように真空蒸着装置等の設備が不要となり、印刷技術やインクジェット技術を活用してTFTを形成できるので、製造コストが安価となる。さらに、加工温度を低くできることから熱に弱いプラスチック基板上にも形成できる。
トランジスタ25には、光電変換素子20bで発生した電荷を蓄積するとともに、コンデンサ24の一方の電極となる収集電極(図示せず)が電気的に接続されている。コンデンサ24には光電変換素子20bで生成された電荷が蓄積されるとともに、この蓄積された電荷はトランジスタ25を駆動することで読み出される。すなわちトランジスタ25を駆動させることで放射線画像の画素毎の信号を出力させることができる。
基板20dは、撮像パネル51の支持体として機能するものであり、基板11と同様の素材で構成することが可能である。
次に、放射線画像検出器100の作用について説明する。
まず、放射線画像検出器100に対し入射された放射線は、撮像パネル51の放射線用シンチレータパネル10側から基板20d側に向けて放射線を入射する。
すると、放射線用シンチレータパネル10に入射された放射線は、放射線用シンチレータパネル10中の蛍光体層2が放射線のエネルギーを吸収し、その強度に応じた電磁波を発光する。発光された電磁波のうち、出力基板20に入光される電磁波は、出力基板20の隔膜20a、透明電極21を貫通し、電荷発生層22に到達する。そして、電荷発生層22において電磁波は吸収され、その強度に応じて正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
その後、発生した電荷は、電源部54によるバイアス電圧の印加により生じる内部電界により正孔と電子はそれぞれ異なる電極(透明電極膜及び導電層)へ運ばれ、光電流が流れる。
その後、対電極23側に運ばれた正孔は画像信号出力層20cのコンデンサ24に蓄積される。蓄積された正孔はコンデンサ24に接続されているトランジスタ25を駆動させると、画像信号を出力すると共に、出力された画像信号はメモリ部53に記憶される。
以上の放射線画像検出器100によれば、上記放射線用シンチレータパネル10を備えているので、光電変換効率を高めることができ、放射線画像における低線量撮影時のSN比を向上させるとともに、画像ムラや線状ノイズの発生を防止することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
〈蒸着〉
高分子フィルムである厚さ0.125mmのポリイミド基板の上に蛍光体(CsI:0.003Tl)を図1に示した蒸着装置を使用して蒸着させ、蛍光体層を形成した。即ち、先ず上記蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱ルツボに充填し、また基板を、基板ホルダに設置し、基板と蒸発源との間隔dを400mmに調節した。この時、基板の温度は200℃とした。
続いて蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して0.5Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で基板を回転しながら基板の温度を200℃に保持した。次いで、抵抗加熱ルツボを加熱して蛍光体を蒸着し、蛍光体層の膜厚が450μmとなったところで蒸着を終了させ、蛍光体層を作製した。
〈透過率上昇処理〉
蛍光体層を作製した後、空気雰囲気下、250℃の加熱炉(例えばESPEC製、STH−120)内で加熱処理を行った。比較例として、透過率上昇処理を行わないものを準備した。
〔評価〕
〈光透過率の測定〉
光透過率は、蒸着時に基板に相隣り合わせて同時に蒸着層を形成させた石英ガラス上の蛍光体層を用いて、図1.に概要される装置によって測定される。このサンプルの光強度をI、石英ガラスのみを透過した光強度をI0とし、下記式によって光透過率Tを算出した。
T=I/I0×100(%)
ただし、比較例を1.0とした時の相対値で表す。
〈発光輝度の測定〉
シンチレータパネルを、10cm×10cmの大きさのCMOSフラットパネル(ラドアイコン社製X線CMOSカメラシステムShad−o−Box 4KEV)にセットし、管電圧80kVpのX線を各試料の裏面(シンチレータ蛍光体層が形成されていない面)から照射し、測定カウント値を発光輝度(感度)とした。ただし、比較例のシンチレータパネルの発光輝度を1.0とする相対値で表す。
Figure 2009047577
表1から明らかなように、蛍光体層の可視光域の光透過率を上げる処理を行うことで、発光強度の高い放射線フラットパネルディテクタ(FPD)を実現できることが分かる。すなわち、本発明の手段により、光変換効率の高い放射線フラットパネルディテクタ(FPD)を実現するためのシンチレータパネルとその作製方法を提供することができる。
本発明に用いた模式的CsI蒸着装置の図 放射線画像検出器100の概略構成を示す一部破断斜視図 撮像パネル51の拡大断面図
符号の説明
1 抵抗加熱ルツボ
2 高分子フィルム基板蛍光体層
3 基板支持体(ホルダ)
4 蒸気流
5 蛍光体層形成後のシンチレータパネル
d 基板と蒸発源との間隔
10 シンチレータパネル
11 基板
12 蛍光体(シンチレータ)層
13 反射層
14 下引層
20 出力基板
20a 隔膜
20b 光電変換素子
20c 画像信号出力層
21 透明電極
22 電荷発生層
23 対電極
24 コンデンサ
25 トランジスタ
51 撮像パネル
52 動作を制御する制御部
53 メモリ部
54 電源部
55 筐体
56 コネクタ
57 操作部
58 表示部
100 放射線画像検出器

Claims (3)

  1. 高分子フィルム基板上に蛍光体層を有するシンチレータパネルであって、当該蛍光体層が可視光域の光透過率を上げる処理を施されたことを特徴とするシンチレータパネル。
  2. 前記蛍光体層がヨウ化セシウム(CsI)を主成分とする柱状結晶であることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータパネル。
  3. 請求項1又は2に記載のシンチレータパネルの作製方法であって、蛍光体層の形成後に蛍光体層の可視光域の光透過率を上げる処理を行うことを特徴とするシンチレータパネルの作製方法。
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