JP4473495B2 - X線イメージ検出器およびx線イメージ検出器の製造方法 - Google Patents

X線イメージ検出器およびx線イメージ検出器の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用診断装置や非破壊検査装置などに使用されるX線イメージ検出器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線イメージ検出器は、被写体を透過したX線を可視光に変換する装置であり、X線イメージ増強管(X線イメージインテンシファイア)などとして医療用診断装置や非破壊検査装置などに使用されている。
【0003】
このようなX線イメージ検出器は、例えば金属製やガラス製の真空外囲器の両端部に、X線を光電子に変換する入力部と、光電子を可視光に変換する出力部を設けた構造を有している。入力部と出力部との間には、入力部から出射されて出力部に向う光電子を、加速および集束する集束電極や陽極が配置されている。X線イメージ検出器に入射したX線像は、入力部と出力部を経て可視光像として出力される。そして、X線イメージ検出器から出力された可視光像をCCDカメラなどで撮影することによって、被写体画像がモニタテレビなどに表示される。
【0004】
X線イメージ検出器の入力部は、例えばドーム型の凹面を有する入力基板と、この入力基板の凹面上に蒸着法で形成されたCsI膜などのX線発光蛍光体膜と、このX線発光蛍光体膜上に形成された透明導電膜と、透明導電膜上に形成された光電面とから構成されている。X線発光蛍光体膜を構成するCsI(ヨウ化セシウム)膜には、入力基板に対してほぼ垂直に成長したCsIの柱状結晶の集合体が用いられている。CsIの柱状結晶は互いに微細な隙間で分離されており、チャンネル間の分離精度が向上するため、高い解像特性を得ることが可能となる。
【0005】
上述した柱状結晶を主体とするCsI膜は、柱状結晶間が互いに微細な隙間で分離されていることに加えて、柱状結晶の先端部分による凹凸を有している。このようなCsI膜上に透明導電膜や光電面を形成すると、これらの面方向の電気的な導通が低下したり、あるいは導通が得られなくなるため、柱状結晶を主体とするCsI膜の表面を連続化並びに平坦化する必要がある。CsI膜の連続化に関しては、例えば特開平2−170331号公報に記載されているように、柱状結晶を主体とするCsI膜上に、高真空下でCsIの連続膜を形成する方法が知られている。
【0006】
上述したCsIの連続膜を形成する方法では、成膜時間の増大などを招くと共に、CsI膜の平坦化に対して十分な効果を得ることができない。そこで、柱状結晶を主体とするCsI膜上で複数の金属ボールをころがし、CsI膜の表面部を連続化並びに平坦化することが行われている(特開平3−22325号公報や特開平3−280325号公報参照)。この方法は、金属ボールの重みを利用して柱状結晶の頂部を塑性変形させることによって、CsI膜の表面部を連続化並びに平坦化する方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したボールによる平坦化方法では、CsI膜全体にボールの重みを均一に加える必要があるため、CsI膜の平坦化に要する加工時間が長くなってしまう。また、ボールの動きが不規則であるため、CsI膜の平坦性の制御が困難になっている。平坦性を制御するためにボールの動きに規則性を持たせると、その規則的な動きによって平坦性が阻害されるという問題が生じる。
【0008】
また、特開2001−93415号公報には、入力基板の凹面(例えば球状面)に沿って移動するローラで、柱状結晶を主体とするCsI膜を加熱状態で加圧することによって、CsI膜の表面部を連続化並びに平坦化する方法が記載されている。この方法によれば、CsI膜の平坦化の制御性を高めることができる反面、平坦化に使用するローラの移動経路が限られるために、入力基板の凹面形状が限定されてしまう。
【0009】
本発明の目的は、X線発光蛍光体膜を効率的にかつ均質に平坦化することを可能にしたX線イメージ検出器の製造方法と製造装置を提供することにある。さらに、そのような平坦化方法を適用することによって、X線像の解像度や表示精度などを向上させたX線イメージ検出器を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のX線イメージ検出器は、真空外囲器と、前記真空外囲器の一端部側に設けられ、かつ入力基板上に順に形成されたX線発光蛍光体膜と透明導電膜と光電面とを有する入力部であって、入射したX線像を光電子像に変換する入力部と、前記真空外囲器の他端部側に設けられ、前記光電子像を可視光像に変換して出力する出力部とを具備するX線イメージ検出器であって、前記X線発光蛍光体膜の表面はこの表面を溶融及び/又は昇華するレーザ光を移動して照射することにより平坦化されており、かつ前記レーザ光を移動して照射することにより生じる照射跡ピッチをx[μm]、前記出力部から出力される前記可視光像の撮像部もくしは表示部の画素数のうちいずれか大きい方の値をyとしたとき、前記高エネルギー光の照射跡ピッチx[μm]はx≦1.48×10/yを満足することを特徴としている。
本発明のX線イメージ検出器の製造方法は、X線イメージ検出器の入力部を構成する入力基板上に、X線を光に変換するX線発光蛍光体膜を形成する工程と、500nm以下の波長を有するレーザ光を前記X線発光蛍光体膜の表面部に移動しながら照射し、前記レーザ光の照射により生じる照射跡ピッチをx[μm]、前記出力部から出力される前記可視光像の撮像部もしくは表示部の画素数のうちいずれか大きい方の値をyとしたとき、前記レーザ光の照射跡ピッチx[μm]が、
x≦1.48×10 /y
になるようにして前記X線発光蛍光体膜の表面部を溶融させて平坦化する工程とを有することを特徴としている。
【0012】
本発明において、X線発光蛍光体膜に照射する高エネルギー光は総エネルギー量を1×10−2〜5×10−2J/mmの範囲に制御することが好ましい。
【0013】
前記高エネルギー光をX線発光蛍光体膜に照射する時間は10〜20nsecが好ましい。
【0014】
本発明のX線イメージ検出器の製造方法においては、例えばCsI膜からなるX線発光蛍光体膜の柱状結晶の頂部に高エネルギー光を照射し、X線発光蛍光体膜の表面部を局所的に昇華及び/又は溶融させることによって平坦化している。
【0015】
従って、X線発光蛍光体膜の表面部を効率的にかつ均質に平坦化並びに連続化させることができる。さらに、高エネルギー光の照射範囲は入力基板の凹面形状などに応じて制御することができるため、種々のX線イメージ検出器に対応させることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。まず、図1を参照して本発明の製造方法を適用するX線イメージ検出器の構成について説明する。図1は本発明を適用して製造されるX線イメージ検出器の一構成例の概略構造を示す図である。図1はX線イメージ検出器の一例としてX線イメージ管を示している。なお、図1に示されるX線イメージ管は、本発明のX線イメージ検出器の一実施形態を示すものである。
【0018】
同図に示すX線イメージ管10は、金属やガラスなどからなる真空外囲器を有している。真空外囲器11はX線イメージ管10の外管を構成するものであり、その内部は例えば1×10−5Pa以下の真空に維持されている。真空外囲器11は、その一端部側(X線が入射する側)に設けられた入力窓12と、他端部側(出力像を取り出す側)に設けられた出力窓13とを有している。
【0019】
真空外囲器11の入力窓12の真空側には入力部14が設けられており、また出力窓13の真空側の面には出力部15が設けられている。入力部14と出力部15との間には複数の筒状集束電極16、17、18が配置されており、さらに出力部15の近傍には筒状陽極19が配置されている。なお図1において、符号mは管軸を示している。
【0020】
X線イメージ管10の入力部14は、例えば図2に示すような構造を有している。図2において、符号21はドーム状の凹面を有する入力基板であり、この入力基板21は例えばAl(アルミニウム)基板,Be(ベリリウム)基板により構成される。入力基板21の周辺には、入力基板21を真空外囲器11に固定するためのフランジ21aが設けられている。
【0021】
入力基板21のドーム状凹面上には、X線イメージ管10に入射したX線を光に変換するX線発光蛍光体膜22が形成されている。X線発光蛍光体膜22は、例えば入力基板21のドーム状凹面に0.1〜1.5PaのN(窒素)雰囲気中で蒸着されたヨウ化セシウム(CsI)膜からなる。X線発光蛍光体膜としてのCsI膜22は柱状結晶を主体としており、CsIの柱状結晶間は互いに微細な隙間で分離されている。このようなCsI膜22をX線発光蛍光体膜として使用することによって、シンチレータのチャンネル間の分離精度を高めることができる。
【0022】
上記したようなCsI膜22上には、透明導電膜として例えばITO導電膜23が形成されている。さらに、ITO導電膜23上にはCsI膜22で変換された光を、さらに電子に変換する光電面24を構成する層が形成されている。これら入力基板21と各層22、23、24によって、入力部14が構成されている。なお、入力部14は真空外囲器11の入力窓12の内面に直接形成することもできる。
【0023】
上述した構成を有するX線イメージ管10においては、まず被写体を透過したX線が入力窓12を通して入力部14に入射する。X線イメージ管10に入射したX線(X線像)は入力部14で光電子(光電子像)に変換され、さらに集束電極16〜18および陽極19で加速、集束されて出力部15に入射する。光電子(光電子像)は出力部15で可視光(可視光像)に変換され、出力窓13を通して外部に出力される。
【0024】
X線イメージ管10から外部に出力された可視光像は、図示を省略したCCDカメラなどの撮像部で撮影され、さらにカメラコントロールユニットなどを介してモニタテレビなどの表示部に送られる。このようにして、被写体を通過した際の情報(被写体によるX線の吸収もしくは散乱に基づく情報)を有するX線像は、モニタテレビなどの表示部に被検体画像として表示される。
【0025】
次に、上述したX線イメージ管10の製造工程に本発明の製造方法および製造装置を適用した実施形態について説明する。図3は本発明の一実施形態によるX線イメージ管の製造装置(X線発光蛍光体膜の平坦化装置)の概略構造を示す図である。なお図3において、図2と対応する部分(X線イメージ管の入力部14)については同一符号を付し、重複する説明を一部省略する。
【0026】
図3に示すX線イメージ管10の製造装置(X線発光蛍光体膜の平坦化装置)は、X線発光蛍光体膜(図3ではCsI膜22)の表面部を昇華及び/又は溶融させて平坦化する高エネルギー光Lの発生源31を有している。
【0027】
ここで、X線発光蛍光体膜に照射する高エネルギー光Lには、500nm以下の波長を有する光が用いられる。なぜなら、図4から明らかな通り、波長が500nm以上だと高エネルギー光LがCsIであまり吸収されなくなるからである。
【0028】
高エネルギー光Lの波長が500nmを超えると、光LのエネルギーがX線発光蛍光体膜の表面に十分に伝わらず、X線発光蛍光体膜(CsI膜22)を平坦化することができない。さらに、X線発光蛍光体膜を透過した光Lが入力基板21(例えばAl基板)を加熱し、この熱によってX線発光蛍光体膜が加熱されてCsIの基板からの剥離や、融解によるCsIの柱状結晶間の微細な隙間が消失し、X線イメージインテンシファイア画像としての輝度斑や解像度劣化を招くことになる。高エネルギー光Lの波長は500nm以下であることがより好ましく、望ましくは400nm以下であり、更に望ましくは250nm以下である。
【0029】
さらに、X線発光蛍光体膜に照射する高エネルギー光Lは、短時間でX線発光蛍光体膜に大きなエネルギーを与えることが可能な出力を有していることが好ましい。出力[W/mm]が小さい光では、あるエネルギー量[J/mm]をX線発光蛍光体膜に与えるための照射時間[sec]が長くなることから、X線発光蛍光体膜の表面部のみならず、内部側で変質などが生じるおそれがある。
【0030】
X線発光蛍光体膜に照射する高エネルギー光Lの総エネルギー量は、X線発光蛍光体膜の表面平坦化効果や膜特性の維持効果などを考慮して、1×10−2〜5×10−2J/mmの範囲とすることが好ましい。従って、高エネルギー光Lにはこのような総エネルギー量を短時間(例えば20nsec以下、望ましくは10〜20nsec)で実現することが可能な出力エネルギーを有する光を適用することが好ましい。このような高エネルギー光Lとしてはレーザ光が好適である。レーザ光の具体的な種類は、波長や出力エネルギーなどを考慮して適宜選択するものとする。本発明における好ましい波長と高出力とを有する光としては、例えばエキシマレーザ光が挙げられる。エキシマレーザは発振周波数域が紫外線域に集中しており、かつパルス幅が狭く(例えば10〜30nsec)、またピーク出力や平均出力も大きい。
【0031】
図3に示した製造装置(平坦化装置)は、高エネルギー光Lの発生源31としてレーザ光源を有している。この実施形態の平坦化装置をCsI膜22の平坦化に適用する場合には、上述したようにレーザ光源31としてエキシマレーザ装置を用いることが好ましい。レーザ光源31として用いるエキシマレーザ装置は、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス、あるいはこれらと共にハロゲンガスを含んだレーザ装置であり、例えばパルス状にレーザ光Lを発生する。エキシマレーザ装置は例えば193〜351nmというような発振波長を有している。
【0032】
上述したようなレーザ光源31の照射口の近傍には、レーザ光Lの焦点位置を監視するセンサ32が配置されている。レーザ光源31の下方には、図2に示したドーム状の入力基板21が配置される。図2に示したように、入力基板21の凹面部分にはCsI膜22が形成されている。入力基板21は、その凹面部分の外縁Eで囲まれた円形の開口面が、レーザ光源31から出力されるレーザ光Lの照射方向に対して直交する向きに配置されている。
【0033】
入力基板21はXYZステージ33の支持部材34に固定されており、支持部材34は駆動装置35に連結されている。XYZステージ33が動作状態に入ると、支持部材34は矢印Y1で示すレーザ光Lの照射方向(図面の上下方向)、および矢印Y2で示すレーザ光Lの照射方向に対して直交する方向(図面の左右方向)に移動する。さらに、XYZステージ33は矢印Y1および矢印Y2の2つの方向にそれぞれ直交する方向(図面の前後方向)に支持部材34を移動させる。このように、XYZステージ33は入力基板21を3次元方向に移動させることが可能な構造を有している。
【0034】
上述した実施形態の製造装置(平坦化装置)において、レーザ光源31から入力基板21上のCsI膜22に向けてレーザ光Lが照射される。レーザ光Lの照射にあたって、最初は例えばCsI膜22の図中左側の縁22aがレーザ光源31の照射口の直下に位置するように、入力基板21を配置する。次いで、XYZステージ33を駆動させて、入力基板21を矢印Y2で示す左方向に移動させる。これと同時に図の前後方向にも移動させることによって、入力基板21を2次元方向に動かす。入力基板21は、最終的にはCsI膜22の図中右側の縁22bがレーザ光源31の照射口の直下にくる位置まで移動させる。
【0035】
このとき、入力基板21はドーム状凹面を有しているため、入力基板21の移動に伴ってレーザ光源31とCsI膜22との間の距離が変化する。そこで、入力基板21の水平方向の移動に合わせて、矢印Y1で示すレーザ光Lの照射方向(図中上下方向)に移動させることによって、レーザ光源31とCsI膜22との間の距離が常に一定になるように制御する。なお、レーザ光Lの照射時において、レーザ光源31とCsI膜22との間の距離に変動が発生した場合にはセンサ32により変動分を検出し、この変動分がなくなるように制御される。
【0036】
図5(A)は蒸着した段階(レーザ光Lの照射前)のCsI膜22の微細構造を模式的に示す断面図であり、図5(B)はレーザ光Lを照射した後のCsI膜22の微細構造を模式的に示す断面図である。図5(A)のCsI膜22の表面Pと図5(B)のCsI膜22の表面Qとの対比から分かるように、CsI膜22の表面部にレーザ光Lを照射することによって、CsI膜22の表面を均質に平坦化することができる。
【0037】
柱状結晶を主体とするCsI膜22の平坦化について、さらに詳述する。蒸着法で形成したCsI膜22は、例えば図5(A)に示すように柱状結晶25を主体とし、これら柱状結晶25間には微細な隙間26が存在している。このようなCsI膜22の表面Pには、柱状結晶25の頂部に基づく凹凸が存在している。さらに、柱状結晶25間の微細な隙間26によって、CsI膜22の表面部は不連続な状態となっている。
【0038】
CsI膜22の表面部に上述したレーザ光Lなどの高エネルギー光を照射すると、図5(B)に示すように、その大きなエネルギーでCsI膜22の表面部が局所的に昇温し、昇華及び/又は溶融する。レーザ光LはCsI膜22の表面に存在する凹凸の凸部分に集中的に照射されるため、凸部分が昇温し、昇華及び/又は溶融して平坦化されると共に、隣接する柱状結晶25間が融合して連続化する。レーザ光Lなどの高エネルギー光はCsI膜22の表面部を短時間で局所的に加熱するため、CsI膜22のバルク部分を加熱するに至らず、柱状結晶25間の微細な隙間26で分離された状態が維持される。
【0039】
ここで、CsI膜22の表面に照射するレーザ光Lなどの高エネルギー光の総エネルギー量は、前述したように1×10−2〜5×10−2J/mmの範囲に制御することが好ましい。図6はこの実施形態で平坦化を実施した各サンプル(A〜H)に照射したレーザ光Lの総エネルギー量[J/mm]を示している。照射したレーザ光Lの総エネルギー量が1J/mmに満たないサンプルA、Bでは、CsI膜の良好な平坦性が得られなかった。総エネルギー量が5J/mmを超えたサンプルG、Hでは、CsI膜に剥がれが発生した。
【0040】
これらに対して、照射された総エネルギー量が1〜5J/mmの範囲のサンプルC、D、E、Fはいずれも良好な平坦性が得られた。従って、X線発光蛍光体膜に照射する総エネルギー量は符号Wで示した1〜5J/mmの範囲とすることが好ましいことが分かる。X線発光蛍光体膜に照射する高エネルギー光の総エネルギー量は1〜5J/mmの範囲とすることがさらに好ましい。
【0041】
上述したように、レーザ光Lなどの高エネルギー光をCsI膜22全体に照射することによって、CsI膜22の表面部を効率的にかつ均質に平坦化並びに連続化することができる。CsI膜22に対しては上述したようにレーザ光源31としてエキシマレーザ装置を用いることが有効である。エキシマレーザ装置が発生するレーザ光はCsI膜22の透過率が小さく、CsI膜22を効率よく加熱することができる。従って、CsI膜22の表面部を短時間で平坦化することができる。このように、本発明によればCsI膜22などのX線発光蛍光体膜の表面部を効率よくかつ均質に平坦化並びに連続化することが可能となる。
【0042】
さらに、レーザ光Lなどの高エネルギー光の照射領域は、前述したように入力基板(Al基板)21の凹面形状に応じて3次元的に制御することができる。言い換えると、入力基板の凹面形状が限定されることはない。従って、本発明の製造方法および製造装置は種々の形状のX線イメージ検出器に適用することが可能である。
【0043】
平坦化工程を経たCsI膜22上には、ITO導電膜23などからなる透明導電膜と光電面24を構成する層とが形成される。このようにしてX線イメージ管10の入力部14を作製する。このような入力部14を常法にしたがって、図1に示した出力部13や筒状集束電極16、17、18、筒状陽極19などを有する真空外囲器11に組み込むことによって、目的とするX線イメージ管10が得られる。
【0044】
本発明の実施形態によるX線イメージ検出器(X線イメージ管10)は、レーザ光Lなどの高エネルギー光が照射されたCsI膜22をX線発光蛍光体膜として有している。CsI膜22の表面部はレーザ光Lなどの高エネルギー光の照射により平坦化並びに連続化されている。図7はCsI膜22にレーザ光Lを照射した後の表面状態を模式的に示す図である。図7においては、符号27はレーザ光Lの照射跡である。
【0045】
レーザ光Lはその照射跡ピッチx[μm]が所定の値となるように照射される。レーザ光Lの照射跡ピッチxは、X線イメージ管10から出力された可視光像を撮影する撮像部(例えばCCDカメラ)の画素数、もしくはこの撮像部で撮影された被検体画像を表示する表示部(例えばモニタテレビ)の画素数をyとしたとき、x≦1.48×10/yの関係を満足するように設定される。画素数yは撮像部および表示部の画素数のうち、いずれか大きい方の値を選択する。
【0046】
例えば、40万画素のCCDカメラもしくはモニタテレビを用いる場合、上記したxとyの関係式から、レーザ光Lの照射跡ピッチxは370μm以下に設定される。レーザ光Lの照射跡ピッチxが370μmを超えると、レーザ光Lの照射跡がノイズとして表示されてしまう。他の画素数のCCDカメラやモニタテレビを用いる場合も同様である。言い換えると、上記したxとyの関係式を満足するように、レーザ光Lの照射ピッチxを設定することによって、被検体画像の解像度や表示精度などを向上させることができる。
【0047】
なお、上記した実施形態ではCsI膜22などのX線発光蛍光体膜にレーザ光を照射する際に、Al基板などの入力基板21を水平方向に移動させつつ、垂直方向に移動させた例について説明した。入力基板の移動はその中心を軸とした回転移動であってもよい。レーザ光は入力基板の中心から外側に向かって螺旋軌道に沿って照射される。このような照射方法を採用する場合においても、上記したxとyの関係式を満足させることによって、良好な平坦性と表示精度などを得ることができる。
【0048】
ここで、上記レーザ光Lの照射跡ピッチxの測定方法は、照射跡を垂直に横切るよう、例えば入力基板21中心から外周部に向け仮想線を引き、その仮想線を3等分し、その中央の1/3分のピッチを測定した平均値とする。
【0049】
【発明の効果】
本発明のX線イメージ検出器は、X線像(被検体画像)の解像特性や表示特性の向上に寄与する。また製造方法によれば、表面部の平坦性に優れたX線発光蛍光体膜を効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を適用するX線イメージ検出器の一構成例の概略構造を示す図である。
【図2】図1に示すX線イメージ検出器の入力部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるX線イメージ検出器の製造装置の概略構造を示す図である。
【図4】X線発光蛍光体膜として用いられるヨウ化セシウム(CsI)の厚さ5mmの時の光の波長による透過率を示す特性図である。
【図5】(A)および(B)は本発明に基づくCsI膜の平坦化工程を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態でCsI膜に照射した高エネルギー光の総エネルギー量をサンプル毎に示す図である。
【図7】本発明の一実施形態で平坦化したCsI膜の表面状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
11…真空外囲器
12…入力窓
13…出力窓
14…入力部
15…出力部
16、17、18…筒状集束電極
19…筒状陽極
21…入力基板
22…CsI膜
23…ITO膜
24…光電面層
31…レーザ光源
32…センサー
33…XYZステージ
34…支持部材
35…駆動装置
L…レーザ光

Claims (4)

  1. 真空外囲器と、
    前記真空外囲器の一端部側に設けられ、かつ入力基板上に順に形成されたX線発光蛍光体膜と透明導電膜と光電面とを有する入力部であって、入射したX線像を光電子像に変換する入力部と、
    前記真空外囲器の他端部側に設けられ、前記光電子像を可視光像に変換して出力する出力部とを具備するX線イメージ検出器であって、
    前記X線発光蛍光体膜の表面はこの表面を溶融及び/又は昇華するレーザ光を移動して照射することにより平坦化されており、かつ前記レーザ光を移動して照射することにより生じる照射跡ピッチをx[μm]、前記出力部から出力される前記可視光像の撮像部もしくは表示部の画素数のうちいずれか大きい方の値をyとしたとき、前記レーザ光の照射跡ピッチx[μm]は、
    x≦1.48×10/y
    を満足することを特徴とするX線イメージ検出器。
  2. 請求項1記載のX線イメージ検出器の製造方法であって、X線イメージ検出器の入力部を構成する入力基板上に、X線を光に変換するX線発光蛍光体膜を形成する工程と、
    500nm以下の波長を有するレーザ光を前記X線発光蛍光体膜の表面部に移動しながら照射し、前記レーザ光の照射により生じる照射跡ピッチをx[μm]、前記出力部から出力される前記可視光像の撮像部もしくは表示部の画素数のうちいずれか大きい方の値をyとしたとき、前記レーザ光の照射跡ピッチx[μm]が、
    x≦1.48×10/y
    になるようにして前記X線発光蛍光体膜の表面部を溶融させて平坦化する工程とを有するX線イメージ検出器の製造方法。
  3. 前記X線発光蛍光体膜に照射する前記レーザ光の総エネルギー量を1×10−2〜5×10−2J/mmの範囲とする請求項2記載のX線イメージ検出器の製造方法。
  4. 前記X線発光蛍光体膜として柱状結晶を主体とするCsI膜を使用し、かつ前記CsI膜の柱状結晶の頂部を前記レーザ光で溶融及び/又は昇華させて平坦化並びに連続化する請求項2記載のX線イメージ検出器の製造方法。
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